【泰子リポート、2022年7月19日号】

<生活に彩り加え、交流を促していく日本酒との付き合いを通じて地域・文化を学ぶ。>

国会議員となる以前、現在の地元川越事務所と同じ町内で事業を行っていた鏡山酒造さんが経営者の急逝にともない廃業され、一時期、小江戸川越に造り酒屋が無くなりました。
幸い“醸造繋がり”から松本醤油さんが川越の地酒があるべきだとしてご尽力をされ、その後、五十嵐酒造さん(飯能市)協力のもと「小江戸鏡山酒造」として復活しました。一連の推移を間近で目にした市民として「土地の特徴を示す味」を一旦失うと、再興するのは難しいと学びました。
日本酒を通じて、地域の味・原材料の製造から販売まで食文化が、地域産業とともに国内観光の重要な資源になると確信し、議員となって日本酒造酒販振興議員連盟を設立しました。
この議連での学びは、立憲民主党國酒議連に引き継がれ活動しています。
グローバル化の時代だからこそ、地域ごとの歴史や味などを大切にする、その土地でしか味わえない“特別感”が、これからの“地域の資源”の重要な要素となります。
19日、勉強会にお招きした講師・森田まいさんは、初代ミス日本酒として、全国の造り酒屋や世界市場での日本酒の可能性を切り拓く活動をされています。
世界の日本酒の市場規模は、2019年の92億9016万米ドルから、2027年までに131億4668万米ドルに達し、2020年~2027年のCAGR(年平均成長率)で4.7%の成長が予測されています。
(グローバルインフォメーション社 市場調査2020より)
新型コロナ禍で厳しい酒類業界ですが、日常の彩や交流に欠かせない日本酒の話題を、森田さんから伺うことで、今後、お仕事で、またプライベートで、会話の幅を広げる種とするなど活かしていただければ幸いです。

<日本酒の歴史と特徴は、酒蔵万流>

縄文・弥生・大和(紀元前300~200年頃)この時代に、水稲の渡来〜米麹利用による米の酒造り始まる(推定)日本の米の酒のはじまりとみられます。
西暦250年頃「魏志(ぎし)」東夷伝に「倭国の酒」の記事があり、平安初期には、現代と変わりない製法が確立し、地方ごとに特色ある“日本酒”が生まれていました。
明治時代には現在の蔵数の10倍ほど存在し、各地域ごとの味があった。

<日本酒業界の現状>

新型コロナ感染症は、国内消費の動向を大きく変化させました。
店舗での飲食が自粛により縮小し、「家飲み」となり、購入単価の減少がみられます。
一方で、日本においても経済的格差拡大により、高額価格帯の酒類人気は増加しているため、安価な大衆向けとともに、希少価値を乗せた高級酒の流れが日本酒にも起こっています。
世代ごとに飲酒習慣(週3日以上かつ1回に飲む酒量が1合以上)を持つ人の割合を見ると、40代から60代の世代でその割合が高く、若い世代ほど飲酒習慣が少ない傾向がみられます。
年々、飲酒習慣が少なくなってきていることも国内市場の縮小に影響していると考えられ、日本の酒類産業の活路は、海外市場の開拓も重要です。

<日本酒業界のIWCへの参加と、輸出産業への成長の可能性>

IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)は、世界最大規模の酒類のコンペティションで、「お酒のオリンピック」とも呼ばれています。
ここIWCに「SAKE部門」が誕生したのは2007年。
以来、SAKE部門の受賞酒は国内外で注目され、IWCは日本酒の海外進出における重要なイベントとして、その価値を高めてきました。
2007年金賞受賞酒蔵でもある末廣酒造(福島県)は、東日本大震災後の福島県支援日本酒“衆議院”の販売にも多大な協力を賜り、日本酒の販売が単に“嗜好品”から“地域支援”とその存在意義を広げるのにも寄与しています。
また世界に向けて農林水産省は、平成18年12月に制定された「有機農業の推進に関する法律」によりJAS規格による酒類における有機表示基準が追加されたことに、多くの生産者が期待を寄せるなど、新たな市場が生まれます。
欧州の有機栽培先進国から周回遅れではありますが、日本でも農産物・酒造においての自然農法・有機栽培など新しい価値観でつくられた、美味しい日本酒を楽しみたいものです。

表面
裏面

【印刷用pdf】
https://www.yasko.net/wp-content/pdf/20220719yasko_report.pdf

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