【プレス民主 号外 2006年5月版−3】

こみやま泰子

◆高齢者医療費負担増で自民はまた強行採決
 またまた高齢者の医療費負担増等の法案が与党の強行により可決されました。この医療制度改正では、産婦人科や小児科・脳神経外科不足など医師・看護士の過酷な環境も改善されません。
 根本的な医療制度改正をしない限り、問題は解決しません。民主党は対案を提出し討論しましたが、衆議院厚生労働委員会で、小泉総理出席の総括質疑後に与党による強行採決が行われました。
◆強行採決にみる政治の変質
 国会で繰り返される乱闘騒ぎの目的は、時代で変化しています。
 55年体制下の国会では与野党が裏で話し合い、与党・自民党は野党が支援団体に対して「闘ってまで抵抗した」という見せ場を合意の上で演出したとも聞きます。
 現在の官僚主導・小泉非論理的政治では、間違いを指摘する勇気もなく、自己の保身ため理屈抜きに従う為に、与党には充分な議論を行う余裕すら無くなっているようです。年金・医療・イラクへの自衛隊派遣など、私が国会議員になってから強行採決された案件を例に見ても、審議で議論が深まるにつれて、法案の不備や疑問点が露見していきます。この様な状態になると与党は「審議は尽くした」といって、強行採決に踏み切ってくるようです。昔は野党の都合で、今は与党の都合(主導)に変化しているのではないでしょうか。
 また、重要な法案について淡々と手順を踏んだ審議を行っている時、残念ながらマスコミ各社はしばしば報道として扱ってはくれません。しかし乱闘騒ぎ等になってから問題点を報じ始めるという場面が見られます。乱闘騒ぎが国民の皆様に法案への注目を喚起し、内容の周知と施行後へのある種「自己防衛」をする為に少しは役立つのかなと感じています。
 余談ですが、強行採決の現場に何度か立ち会いましたが、いつもはいない与党の体格のがっちりとした一年生議員(突撃隊?)が、委員会室前方で傍聴しているのを見ると、そろそろ強行採決する気なんだなと、ついつい推測してしまいます。
◆共謀罪・繰り返される与党の議論回避
 今週、またもや強行採決かと言われている法案があります。
 共謀罪(組織犯罪処罰法)は、かなり簡単に表すと『犯罪を行おうと話し合うだけで逮捕出来る』法律です。これは自民・民主・公明・共産の各党も承認した国際組織犯罪防止条約に対応する国内法として整備されるものではありますが、政府原案で対象とされる刑法犯は615種類に上ります。目配せやまばたきによる合図でさえも共謀罪の成立の根拠となりえるという答弁も見られるなど、法案の不備から後の運用時への疑問点が拭いきれない議論が続いています。
 政府原案と、与党による修正案が同時に提出されるという国会提出時点をみてもその混乱ぶりは顕著ですが、審議が続く中で世論を気にしてか、自民党も民主党提出の修正案に似せた再修正案も提出してきましたが、まだまだ厳格に刑法の適用範囲を明確にするべく審議が必要です。
◆終盤国会の課題 会期は実質あと20日
 教育基本法案をはじめ、少年法、建築基準法改正、米国産牛肉輸入再開問題、年金の無駄づかいをした社会保険庁の看板の付け替え「ねんきん事業機構」への組織変更、更には国民投票法まで提出するとの報道もありました。
 わずかな時間の審議で、これら法律を採決するべきでないのは、明らかでしょう。
 現在開会中の第164国会は6月18日までです。土日を除くと審議に費やせるのは残りわずか20日(6月21日現在)となります。
 なぜこれらの重要な法律をもっと早く審議出来る様に国会に提出しなかったのでしょう。まるで夏休みに遊び過ぎた子どもが始業式前日、出来はどうあれ宿題を仕上げていく様を連想します。もちろん国会は子供の集まりではありません。突貫工事で採決した法律が、生活に大きな負担を強いていきます。このような姿勢の現政権には政治は任せてはおけないと実感します。
 小沢代表のもと、真の構造改革へとつながる政権交代をこれからも目指して参ります!

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