浄土宗の震災対応シンポジウム

こみやま泰子

 浄土宗総合研究所主催の公開シンポジウム「浄土宗の災害対応~何ができ、何が出来なかったのか」を、大本山増上寺三縁ホールで聞いてきました。
 昨年の被災地では浄土宗のお寺も被害にあったことなど、地元の御住職からも伺っていましたが、NPO法人セカンドハーベストと共に活動していたり、また青年会災害本部を設置し安否確認、被災寺院での瓦礫撤去、読経ボランティアなど様々な活動に取り組んでおられた詳細を初めて伺いました。
 シンポジウムのパネリストの言葉に、災害救助を目的とした団体でないために初動支援は専門にして頂く方がいいのではないかといったお話や、組織より個人としての繋がりから支援活動に入ったことなどがあり、改めて、日頃の人と人の出会いが、ご縁を結ぶきっかけになり、行動の原動力になると感じました。
 政治と宗教は一線を画していますが、日常生活のなかに存在するものであります。インドネシアのスマトラ島アチェへ復興庁視察では、中国政府により現地の宗教であるイスラム教の寺院を備えた復興宅地が建設されていました。
 被災地の寺院からのパネリストは亡くなられた方々の事を想い哀しみや苦しみを想い、手を会わせることを続けられたらとの言葉には、宗教のもつ温かさが伝わってきました。
 お寺の再建やお盆の法要が地域と住民を繋ぎ、自己の存在意義をも与える様子がニュースなどで取り上げられています。今後の東日本大震災からの復興に際し、故人を尊び、災害も忘れない、街の復興をインフラだけでなく、精神・文化も含めて、絆を結べる新たな街づくりが進むことを切実に願うばかりです。

シンポジウム会場の様子
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