【プレス民主 号外 2007年6月版-2】

こみやま泰子

 巷ではハンカチ王子にハニカミ王子と好感度高い青年の活躍が大きく話題になっている一方で、永田町では、あまり爽やかな話題に出会えない近頃です。

◆『消された年金』と言いたい

 5,000万件の誰のものか分からない年金記録のほかに、そもそもコンピューターに入力されずマイクロフィルムのまま残された1,400万件もの記録があることが判明。
 各地方自治体にあった台帳処分の指示を出していたことも加味すると、「消えた年金」より「消された年金」と呼んだほうが相応しいとさえ思います。
 参議院での審議に移った社会保険庁の看板付け替え法案“年金機構法案”は、非公務員型とは言っても、給与等は今と変わらず税金で支払われます。
 社保庁が特殊法人に移行すると、問題が発覚しても、国家公務員倫理法が適用できなくなるなど、国会での追及が難しくなります。看板付け替えにより責任追及からにげて「社保庁を存続させる」ための法案です。
 消えた年金記録問題では、私たち民主党の指摘と共に、国民の皆様からの不安や怒りの声が、行政機関、議員に寄せられ、マスメディアに大きく取り上げられるようになって、ようやく社保庁や政府もミスを認め始めています。
 政治は議員だけで行っているのではありません。『政治は生活である』の信念の下、国民皆様の声と共に本当の改革実現に務めて行かねばならないことを改めて感じます。

◆天下りの四類型
 【人質型・たすき掛け型・創業型・しりぬけ型】

 これは内閣委員会で長妻代議士が用いた表現です。公共事業などの受発注に関連したもの、はじめに天下りありきで事業母体自体を作ってしまうもの、いずれもそれぞれの人の能力や適正を発揮していただくことを求めて職に就くこととは程遠く、結果として税金が無駄に使われてしまいます。
 天下り規制のため公務員制度改正を成立させると意気込む総理の姿勢には、消えた年金と社保庁看板付け替え法案から目をそらそうとする意図が見え隠れします。
 小泉前首相が郵政解散に打って出たように、安倍首相も強い指導力を見せるのだとでも言いたいのか、会期末近くなり与党自民党に指示だけ出して海外に。
 それにしても、名前は「公務員制度改革法案」と勇ましいが、中身は天下り斡旋人材バンクの新設を行う要らない組織の新設法案です。総理は中身より外見だけが重要なのでしょうか。
 政府与党は、提出した法律案を採決する事のみを目的とせず、問題がある不十分な案であることの指摘にも耳を傾け、今一度見直す事も政権を担う立場にあって責任ある行動であるとしっかり認識すべきです。
 政府案のように公然と天下りを行える仕組みを作るという本体の目的に逆行するものでなく、民主党案の通り天下り自体を認めないという基本的考えに立たねばなりません。

◆参院選に向けて危ない政府公報

 支持率急落で安倍総理にも焦りの色が感じられます。
 政府広報として温暖化対策などをPRする新聞広告には首相夫妻が登場しました。このような政府公報の使い方は、小泉内閣時にも多用されていました。
 環境問題への取り組み姿勢を強調することで人気回復を図ろうとしたのでは、政府の方針や政策を広く知っていただくため、という本来の目的から逸脱しているのではないかと疑われても仕方が無いのではないでしょうか。まして参院選目前のこの時期、尚更です。ちなみに、今回の広告費用は1億6,500万円。
 税金が恣意的思惑に基づいて使われてしまうということの無いように、これからもしっかりとチェックに努めてまいります。
 皆様からのご意見、お寄せください。お待ち申し上げます。

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