質問主意書と答弁書を対比

こみやま泰子

「Go To Eatキャンペーン事業参加に要する手数料等に関する質問主意書」で問い質した内容と、答弁内容を並べ、読みやすいように整えてみました。

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「Go To Eatキャンペーン事業参加に要する手数料等に関する質問主意書」

新型コロナウイルス感染症への対応として発出された緊急事態宣言及び外出の自粛要請などの影響により、外食産業等の売上高は著しく落ち込んでいる。五月二十五日の緊急事態宣言全面解除以降も外食産業等への深刻な影響は継続しており、飲食店の需要喚起への支援は喫の課題である。

政府は、新型コロナウイルス感染症の発生により落ち込んだ経済活動を回復させるために、令和二年度第一次補正予算にGo To Eatキャンペーン事業を含む官民一体型の需要喚起キャンペーンによる支援を措置した。

しかし、Go To Eatキャンペーン事業のうちオンライン飲食予約委託事業(以下「本事業」という。)では、飲食店側はオンライン飲食予約サイトへの登録が必要となるなど、参加のための負担を伴う一方で、オンライン飲食予約サイトの運営者(以下「サイト運営者」という。)は委託費の交付を受けることができるとともに飲食店や消費者の新規登録による顧客確保など、今後の事業に発展をもたらすスキームとなっている。政府はキャッシュレス・ポイント還元事業と同様に、Go To Eatキャンペーン事業の目的に直接関係しない手数料徴収ビジネスに加担しているという印象がぬぐえない。本事業が、甚大な影響を受けている飲食業の需要回復に効果のあるスキームとなっているか検証するために、以下、質問する。

一 本事業において、飲食店の自社ウェブサイトからの予約や電話予約による来店者へのポイント付与は認められていないため、本事業に参加する飲食店は、本事業受託者が運営するオンライン飲食予約サイトへの登録が必須とされている。このようなスキームを採用した理由は如何に。

一について
「Go To Eatキャンペーン」(以下「本キャンペーン」という。)のうちオンライン飲食予約委託事業(以下「本事業」という。)においては、本事業において採択されたオンライン飲食予約事業者(以下「予約事業者」という。)が提供するオンライン飲食予約ウェブサイト(以下「予約ウェブサイト」という。)を経由して飲食店を予約し、来店及び利用をした消費者に付与されるポイント(以下「ポイント」という。)が、当該消費者により、予約ウェブサイトを経由して幅広い飲食店で更に利用されることを通じて飲食業における需要喚起につながるように、予約ウェブサイトを活用した制度としているところである。

二 本事業の仕様書において「キャンペーン期間中に受託者の運営するオンライン飲食予約サイトへ加入する飲食店には、基本手数料(固定費)を無料とすること」とされているが、オンライン飲食予約サイト経由で予約・来店した消費者に係る送客手数料を飲食店側がサイト運営者に支払わなければならない。特に個人経営の小規模な店舗にとって、新型コロナウイルス感染症予防対策のために新たな経費が発生している中、送客手数料の支払いは大きな負担である。飲食店が支払う送客手数料について税制優遇措置などの負担軽減策が必要だと考えるが、政府の見解を求めたい。

二について
予約事業者の中には、御指摘の飲食店から予約事業者への送客手数料を不要としている者もいるところである。また、本事業では、飲食店が、あらかじめ登録する予約ウェブサイトを自由に選択することができるよう、政府としては、飲食店に対して、送客手数料に関する情報を含め必要な情報提供を行うなど飲食店の負担の軽減に努めている。

三 農林水産省は、Go To Eatキャンペーン事業について、「感染予防対策に取り組みながら頑張っている飲食店を応援し、食材を供給する農林漁業者を応援するものです」と説明している。Go To Eatキャンペーン事業による国産農林水産物の需要拡大や経済効果を如何に見込んでいるのか、明らかにされたい。また、Go To Eatキャンペーン事業によって国内の農林漁業者への支援を図ろうとするのであれば、飲食店で使用する食材を国産に限定する等の条件も必要と考えられるが、そうした条件を設けない理由は如何に。

三について
政府としては、本キャンペーンを実施することにより、その目的である新型コロナウイルス感染症の感染拡大により落ち込んだ飲食業における需要の喚起が可能であり、飲食業の活性化や飲食店で食材として使用される国産農林水産物の需要拡大といった経済効果が期待できるものと考えている。また、幅広い飲食店を対象とすることが本キャンペーンの目的である飲食業における需要喚起につながるために必要であることから、御指摘のような条件は定めないこととしている。

四 本事業では飲食代金に応じたポイント付与ではなく、オンライン飲食予約サイト経由で予約・来店した消費者一人あたりについて次回以降利用可能なポイントを付与することとされている。消費者は、次回以降の来店時の飲食代金についてポイントを利用して支払いし、かつポイントが付与されることとされているため、ポイント利用による割引とポイント獲得を繰り返すことも可能である。本事業において一人あたりの飲食代金の下限やポイント付与回数の制限を設けないことの妥当性についての認識は如何に。

四について
政府としては、消費者が、付与されたポイントを利用することにより新たなポイントを取得し、更に当該新たなポイントを利用することは、本キャンペーンの目的である飲食業における需要喚起につながることから、御指摘のような制限を設けないこととしている。

五 採択された事業者の中には、実績及び知名度のあるオンライン飲食予約サイトを運営している事業者のほか、「知見・専門性及び類似・関連事業の実績等」や「事業の目的、趣旨との整合性及び事業内容の妥当性」の観点からの評価が必ずしも高くない事業者も含まれている。「知見・専門性及び類似・関連事業の実績等」や「事業の目的、趣旨との整合性及び事業内容の妥当性」の観点からの評価が高くない事業者が採択された理由は如何に。

五について
本事業に参加する予約事業者の審査においては、御指摘の観点についても審査を行い、一定の基準を満たした適切な事業者を、本事業の予算の範囲内において、採択しているところである。

六 本事業のポイント付与期間は令和三年一月末まで、ポイント利用期間は同年三月末までであり、極めて短期間である。一方で、本事業の参加飲食店の登録は九月十四日時点で行われておらず、事業者採択後の実施準備に時間を要している。実質的な事業期間と対象となる飲食業の市場規模との関係、事業効果の見込み、事業期間の妥当性についての認識は如何に。

六について
お尋ねの「実質的な事業期間と対象となる飲食業の市場規模との関係、事業効果の見込み、事業期間の妥当性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の本事業への飲食店の参加の登録は令和二年九月十五日に開始し、ポイントの付与期間にあっては令和三年一月末まで、ポイントの利用期間にあっては同年三月末までとしているところ、政府としては、本事業により付与される、昼食の時間帯の予約者一人当たり五百円分又は夕食の時間帯の予約者一人当たり千円分のポイントは、消費者による当該ポイントの早期の利用を促進し、飲食業における需要喚起につながるものと考えている。したがって、当該付与期間及び利用期間は、適切であると考えている。

対比1
対比2
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