本会議にて討論に登壇

こみやま泰子

25日、平成最後の衆議院本会議、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」への対案として野党4会派提出の3法案「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部を改正する法律案」、「業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案」、「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」の採決が行われ、討論において会派を代表して登壇しました。

【討論原稿】

私は国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました野党4会派提出「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部を改正する法律案」、「業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案」、「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」について賛成の立場から討論を行います。
73年前 昭和21年(1946年)4月10日の戦後初(帝国議会最後)の第22回衆議院議員総選挙の結果、女性議員39名が誕生しました。
明治から今日まで、日本で、女性参政権や権利を守るために闘った全ての先達に心から敬意と感謝をいたします。
本日は平成で最後の本会議討論となりますが、残念ながら日本は女性活躍とは言えない現状に未だあることを指摘しなくてはなりません。
連合が2017年に行った「ハラスメントと暴力に関する実態調査」によれば、職場でいずれかのハラスメントを受けた・見聞きした人は半数を超え、この調査では、職場のハラスメントが原因で、「仕事のやる気がなくなったり、ミスやトラブルが多くなったりした」、「心身に不調をきたした」、「仕事をやめた・仕事を変えた」といった生活上の変化が起き、ハラスメントが、働く人に深刻な影響を与えている実態が浮き彫りとなっています。
また、UAゼンセンのアンケート調査では、客からの迷惑行為に遭遇した人の割合が、7割を超えるなど、悪質クレームも深刻な社会問題となっています。
女性の活躍を推進するためだけでなく、全ての働く人が心身ともに 健康で、安心して働くことができるようにするため、ハラスメント対策の強化は喫緊の課題です。
また世界共通の課題として、ハラスメント根絶が求められているなか、昨年、国民民主党などが参議院に「パワハラ規制法案」を提出しましたが、与党はこれを否決し、パワハラ対策に後ろ向きな姿勢が、明らかとなりました。
政府が今国会に、セクハラ・パワハラ対策を盛り込んだ女性活躍推進法等改正案を提出したことは一定程度、評価したいと思いますが、残念ながら法案には不十分な点が見られます。会社間のパワハラ・セクハラへの対応が不十分であること、悪質クレームから 労働者を保護するための措置を講ずる義務を 事業者に課していないこと、就職活動中の学生や フリーランスで働く人に対するセクハラ問題を 放置していること、セクハラ行為を禁止していないことなどです。
一方で、国民民主党・無所属クラブなど野党4会派が提出した「セクハラ規制強化法案」「セクハラ禁止法案」「パワハラ規制法案」は、セクハラ・マタハラ・パワハラ・悪質クレームから働く人を しっかり守る法案となっています。
「セクハラ規制強化法案」は、会社間のセクハラ・マタハラ対策を 抜本的に強化するものとなっています。具体的には、被害側の事業主から、加害側の事業主にセクハラを行わないよう求める 義務を課すことや、加害側の事業主に、加害者である自らの社員に対し、セクハラを行わないようにするため必要な措置をとる義務を課しています。
例えば、元請け企業の社員が 下請け企業の社員にセクハラ行為をした場合、下請け企業の事業主は、取り引きを止められること などを恐れて、元請け企業の事業主に 対応を求めることを躊躇することが想定されますが、「セクハラ規制強化法案」には、被害側の企業が 厚生労働大臣に措置を求め、厚生労働大臣が加害側の企業に助言・指導・勧告等を行うという 仕組みが 盛り込まれています。
この仕組みによって、取引上など立場の弱い企業が、立場の強い企業に対して、セクハラ行為を行わないように求めることができる実効性が担保された法案と言えます。
また、「セクハラ禁止法案」は、企業・組織に属していない就職活動中の学生や、フリーランスで働く人に対するセクハラも含め、セクハラ行為を禁止するものであり、セクハラ根絶のために不可欠な法案です。
さらに、「パワハラ規制法案」には、会社内でのパワハラだけでなく、取引先などの他の会社からのパワハラや悪質クレームについて労働者を保護するための必要な措置を講ずることを事業者に義務付けることが盛り込まれています。
野党4会派提出3法案は、すべての人が安心して働き、自分の能力を活かす社会を実現するために必要不可欠な法案であり、賛成いたします。
委員会質疑の際に岡本みつのり委員の「女性の活躍とはどういうことか・何を指すのか」との問いに、根本大臣は「職業生活において活躍すること」と答弁を繰り返していました。女性が自らの能力を十分発揮して生き生き働くためにもハラスメントをなくす事が重要です。
政府提出法案は、野党4会派提出法案と比べて具体策が見劣りするものとなっていますが、ハラスメントが深刻な問題となっている現状に鑑みると、働く人のためには、一歩でも対策を進めることは必要であると考え、政府提出法案にも、賛成することとしました。
委員会の審議等の大臣答弁、付帯決議にあったように、性的指向・性自認に関して、アウティング等もハラスメントとして位置付けを指針での明示、対策を確実に盛り込むことを要望いたします。
女性活躍をめぐる政府・与党の対応に一言申し述べます。
第187国会で初めて女性活躍推進法案が提出された当初、女性活躍担当大臣はおいても、一般法扱いで本会議登壇も予定されていませんでした。
私は、議院運営委員会理事会で、「政府は、女性活躍は重要と言いつつも、青少年対策特別委員会を廃止してまで、特別委員会を設置して地方創生法案が重く扱われるのとは対照的に、「女性を軽んじている」として、登壇案件にすることを要求し、なんとか本会議にかかることになりました。
この時、地方創生法は成立に至りましたが、解散総選挙となり、女性活躍推進法案は審議未了・廃案となりました。
そもそも本法案が提示された当時、「女性活躍推進法」をつくるなら、「男性の家庭生活における活躍推進法」も政府は同時に提出すべきではないかなどといった会話もかわされましていました。
当時から、政府・与党が本気で女性の活躍を推進というよりも、労働力として女性の利用をしたいとの印象は拭えぬままにいます。
しかし「女性活躍」と銘打った法律をつくったのが「あの時代の男性の都合」とか「そんな時代があったのか」と笑い話にできるよう、今国会の議論が、共同参画社会の実現に遠くない時期に繋がることを期待します、かつ実現に向けて、更なる前進が必要です。
最後に、国民民主党は引き続き、ハラスメントのない社会、真のジェンダーフリー社会の実現に向けて、ハラスメント規制の強化、待機児童問題を解消するための保育所の整備や 保育士の抜本的処遇改善、子育てや介護と仕事との両立を実現させる長時間労働規制のさらなる強化などに全力を挙げて取り組む所存であることを申し述べ、討論を終わります。

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