【泰子リポート 2018年2月8日】

こみやま泰子

 第196回通常国会が開会しています。現在衆議院予算委員会での平成30年度予算審議が行われており、さらに内閣提出予定の64法案・10条約、議員立法等の審議が見込まれます。これまで同様、生活者・働く者の立場に立ち、将来の日本の姿も見据えて審議に臨んでまいります。
 節分も過ぎ、春の到来が待ち望まれる時節ですが、福井県内をはじめ日本各地では豪雪被害が深刻化しています。先月には白根山噴火、7日未明(日本時間)には台湾東北部花蓮市でM6.4の地震も起き多大な被害が起きています。被災された皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げます。国会においても早期の復旧復興にむけ支援すべく努力してまいります。

◆平成30年国会審議のポイント

 国会審議の争点は働き方改革ではありますが、生活保護費見直しで、約15万に上る子育て世帯のうち約4割近くが減額となる見通しとなり「子どもの貧困対策」に逆行するなど、格差拡大も大きな争点です。安倍内閣のもと、個人には厳しく、企業には優しい政策が散見されます。
 安倍総理の憲法改正議論には、現行憲法の存在自体を否定し、国家主義的で明治憲法回帰の様相が強く見受けられます。

◆政府の明治150年アピールに異議あり

 明治150年関連施策も注意深く見極めていく必要がありそうです。内閣官房に「明治150年関連施策推進室」まで設けられますが、違和感もあります。
 明治維新では、賊軍となった奥羽越列藩同盟の南部藩出身の原敬が、長州藩士だった伊藤博文の立憲政友会の総裁になり、総理大臣に就任し、広く人材を求め新しい国づくりをしたことからも、明治維新の革命と日本が近代国家へ移行できました。ところが、原敬が暗殺され、翌年には明治の元老山縣有朋が亡くなり、急速に偏狭な皇国史観が強まり、陸軍が暴走する昭和史へと移っていくのです。
 明治・大正時代を合わせた60年間に比べ、昭和初期の20年間は官僚主導になり、その場その場の施策に流され、結果として敗戦にまでつながりました。今の政治状況は、この戦前昭和史が辿る経過によく似ていると感じます。

◆官軍的体質が昭和の戦争をはじめ、賊軍系が戦争を終わらせた。

 「勝てば官軍負ければ賊軍」と言われますが、明治維新以来、明治維新の勝者である薩摩・長州の側からの歴史解釈・薩長史観に基づいて行われてきました。つまり <薩長土肥(官軍)=開明派(正義)・旧幕府側(賊軍)=守旧派(悪)> とのイメージです。
 賊軍の筆頭の会津は、律儀に忠誠を尽くして職責を果しただけで、討伐され、徹底して蹂躙されましたが、謀略に明け暮れた長州薩摩に比べ、純粋な尊王藩だったとの見解もあります。
 国における「明治150年関連施策」一覧にある予算案を単純に合計すると、1兆3000億円を超えます。地方創生や在外公館文化事業、国立研究開発法人運営費などの内数もあるのでそのままに使われるわけではありませんが、消費者庁・法務省・農水省・防衛省に至るまで関連施策が152、民間団体による関連施策は158施策もあります。
 過去の歴史を美化し、都合のよい形に解釈することは政治利用につながりやすく危険でもあります。諸外国の歴史に照らして、国力が下降するなどし国民が自信や希望を失いかけると「○○国民としての誇りを取り戻そう」などとうちあげていく為政者の例が見受けられます。

◆「知ることが力になる」

 3月12日、小沢一郎代議士を講師に迎えて、日本国憲法の勉強会を開催します。議論・反論するにも、全体像を知らなくては水掛け論で結局、物量に押され強いものが勝ってしまいます。
 明治維新に学ぶべきは多様な人材・価値観を認め合い受け入れ「新しい政府」をつくったことにあると思います。政治の場に身を置くものは「誰かに希望を丸投げる」のではなく、「自らつくる・自ら国民が希望を見出せる社会をつくる」ことです。名称や枝葉の論議など違いを際立たせることに心血を注ぎエネルギーを浪費するのではなく、安倍一強政治を終わらせ「国民の生活」を守るための政治改革を目指していきます。
 安心して暮らせる日本をこれからも地元地域から目指してまいります。

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