【泰子リポート 2017年2月6日】

こみやま泰子

 1月20日、第193回通常国会が開会し、また米国ではトランプ大統領が正式に就任しました。
 現在、衆議院予算委員会では米国大統領令もでて発効見込みのないTPP関係予算が含まれる平成29年度予算案等の審議が行われています。
 給付型奨学金予算付けは評価したいと思いますが、その額は米国から購入予定の4機のオスプレイ1機分を下回っています。
 大統領令を連発するトランプ大統領の発言に振り回され、その発言に一喜一憂の様相の漂う安倍内閣の米国一辺倒な外交は、各大臣答弁とともに一抹の不安が募ります。
 共謀罪を含むテロ等防止法案、欧米での自国優先の右傾化勢力の台頭、ヘイトスピーチ・ネット上での中傷や米国の入国禁止措置にも見られる排他主義の拡大、アジア周辺諸国脅威論とともに、安倍政治・権力側が不安感を煽っているように感じます。
 今年は、民主主義を守り、扇動されぬよう冷静に内外の報道・情報を精査し、生活者の立場にたって、駅頭、国政報告会また泰子レポート等を通じて、分析と政策提言発信を重ねて参ります。

◆昨年、私が実務者として推進した議員立法、2本成立!

 国民生活を豊かにするために法律をつくり、全会派一致で可決されました。
 (1)「建設職人基本法」公共・民間の建設工事を対象に安全衛生経費の確保や一人親方・下請の適正化の促進など。
 (2)「無電柱化推進法」災害の防止、安全・円滑な交通の確保、良好な景観の形成を図る。
これら法律の周知と実現をはかることを今年の目標にしています。
 また昨年、熊本地方地震で被災された障がい者・高齢者など要支援者が、避難所となっている学校施設に入れない、使えなかったと伺いました。
 首都直下型地震などで一次避難所となりうる学校のバリアフリーの義務化の法改正も目指してまいります。

◆建設工事従事者の安全と健康を確保する法律

 昨年12月、増子輝彦参院国土交通委員長のもと参議院先議で審議された「建設工事従事者の安全と健康の確保の推進に関する法律案」が衆議院国土交通委員会、本会議で可決・成立し、来月3月に施行されます。
 労働災害による死亡者数に占める建設業の死亡者数の割合は約3割で、製造業など他産業と比べて重大事故の発生件数が多くなっています。
 そのなかでも建設業における建設現場での作業を請け負う「一人親方」の死亡率は高いうえに、労働安全衛生法の対象外のため特別任意加入をしない限り労災保険の補償が受けられません。
 更に、国土交通省では4度にわたり公共の労務単価を引き上げてきましたが、建設職人の賃金は実際には上がらず、下請けに対しての経費が「商慣習」によりダンピングとなり、結果、必要な安全対策の研修、設備、社会保障などを削り、重大事故に繋がっている現実を改善するために、公共・民間のすべての建設工事を対象に安全衛生経費の確保や一人親方問題への対処等がなされるよう国及び都道府県に求める法律を制定いたしました。

 建設職人は自然災害での復旧復興、老朽化インフラの更新、年間20兆円産業となりうると試算される中古住宅市場、無電柱化推進など社会資本整備には欠くことの出来ない存在です。
 技能労働者は330万人いますが、ここでも高齢化が進んでいます。
 建設業を支える若年層の参入を促すためにも、工事現場での安全確保と生活が可能な賃金体系を構築することが必要です。
 この法律が現状を打破することに寄与することを願っております。
 今後この法律に対しての理解を深める勉強会なども開催して参ります。

 【建設工事従事者の安全と  健康を確保する法律の基本的施策の概要】
 ◇安全や健康の確保に必要な経費を工事請負契約で適切かつ明確に積算、明示し、支払いを促進する。
◇下請け関係の適正化の促進
◇労災保険関係の状況把握の促進
◇現場の安全性の点検・分析・評価
◇安全に配慮した設計、省力化・生産性向上にも配慮した材料・資機材・施工方法の開発・普及の促進

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