【泰子リポート、2023年9月4日 通常国会質疑概要号】

2023年 通常国会での質疑一覧

2月20日 日本伝統文化・茶室の改修等(衆議院予算委員会第4分科会 文部科学省所管事項)

日本の伝統文化に関しては和装で気合を入れて質疑。
全国各地で、公共施設の茶室の使い勝手が悪いという話しや、和室が公共施設で設置されなくなっているとの危惧を聞き、文科大臣等へ質問をした。
日本の伝統文化政策 ( 伝統文化の市場規模等の施策目標・伝統文化が縮小した理由及び文化的価値の経済効果・近年及び令和5年度予算案における特徴的な伝統文化支援策 )さらには、茶室等の地方公共団体設置の文化施設で、特別な設計を求められる部分について分離発注を可能とする必要性について質問したところ以下の趣旨での答弁があった。

○永岡国務大臣 和装等の生活文化を含めた伝統文化につきましては、生活様式の変化や担い手の減少によりまして、次世代への継承が大変課題となっているところでございます。今年度からは、文化GDPに関する調査研究におきまして、ユネスコの国際的な枠組みには含まれていない我が国独自の生活文化等に関します経済規模につきましても推計を進めているところでございます。
○杉浦政府参考人 自治体の施設におきます茶室等の整備は、その設計や発注方法は、設置者、当該自治体がその用途や予算等に応じて検討を実施されているところでございます。一方で、利用者が使いやすい茶室等とするためには、必要に応じて茶道団体等の伝統文化の担い手の方々等の御助言を受けつつ整備を進めていくことも一つの方法と考えております。委員御指摘のとおり、いろいろな専門的な、使いやすい形にするということも大切だと思います。
文化庁としては、伝統的な文化を多くの人が体験し、継承していくばとなる施設を設置、管理する自治体や、知見を有する団体などと機会を捉えて議論して、御提案のことにつき、またいろいろ検討してまいりたいと思います。

この他、高等教育の給付型奨学金拡充、小中学校などへの災害時エネルギー供給施設、日本独自の美意識デザインなどの保存と活用などについても取り上げた。

3月10日 関東地方整備局での登記業務・品質確保について(衆議院国土交通委員会)

国土交通省では、道路整備を始めとした公共工事に伴う用地取得、その土地の登記業務が生じている。
公共嘱託登記業務、権利及び表示は、司法書士法、土地家屋調査士法を始めとする関係法令、仕様書等のもと実施されるが、競争入札制度の下、予定価格に対して大幅に価格が下回る入札での受注が増えており、公共嘱託業務、権利及び表示についての品質確保にも懸念が持たれる。国土交通省関東地方整備局より、令和5年1月18日付の通知「公共嘱託登記業務、権利及び表示における品質確保対策の試行について」に関して質問した。

○井上政府参考人 お答えします。
国土交通省では、公共事業用地の取得に伴い必要となる登記申請、これを公共嘱託登記業務として外部発注する場合があり、当該業務で御指摘がありましたように、低価格での入札が多く見受けられる状況であります。
こうしたことから、委員御指摘のとおり、関東地方整備局においては、当該業務の品質確保を図るため、会計法規等に基づく低入札価格調査に加えまして、予定価格が一千万円以下の業務につきましても、低価格での入札があった場合には、履行確実性の審査、評価を行いまして、また、履行体制の強化等の実施を求める取組を令和五年度から試行する予定としてございます。
国土交通省としましては、この試行の状況等を踏まえて、必要に応じて他の地方整備局等にも拡大することも含めまして、当該業務の品質確保に努めてまいりたいと考えております。

この他、観光政策、住宅・建築政策の新築至上主義から既存ストック活用への施策転換、住宅補助、家賃補助制度の整備に対する見解及び関係施策、西田政務官の公選法違反疑惑記事に関してなどについて取り上げた。

4月5日 道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案 (衆議院国土交通委員会)

高速道路の償還期間を、92年後の令和97年まで大幅に延長する内容の法案に対して、他の案は検討されていないのか、抜本的な制度改正が必要ではないかと政府の姿勢を正した。
実質「高速道路の有料化」となる法案審議で、これまでインフラの更新、維持管理費用が想定されていないなど、建設優先の政治の無責任な姿勢があぶりだされた。抜本的な公共交通政策の転換が必要であり、この政府の無策案には反対の立場を取りました。

4月26日 歴史的な街並み保存、新しい資本主義実現会議、羽田空港アクセス線、川越線の複線化について (衆議院国土交通委員会 一般質疑)

政府内の会議「新しい資本主義実現会議」の第十五回開催では、委員の一人が、ライドシェアの拡充に努めるべきであるとした資料を提出されていた。国土交通省以外で論議・提示されたライドシェア拡充について、政府内で資料提出や意見表明が行われ、なし崩しに政府の政策に位置づけられる恐れがある。この新しい資本主義実現会議での意見に対し、どのように対応していくのか国土交通大臣に質し、従来と変わらないとの答弁を得た。

○斉藤(鉄)国務大臣 いわゆるライドシェアにつきましては、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としており、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があると考えておりまして、この考えは従来から変わっておりません。
また、新しい資本主義実現会議でライドシェア拡充についての御意見がありましたが、国土交通省としましては、住民、来訪者の移動手段の確保に関しては、安全性及びサービスの安定的な提供の観点から、まずはタクシーやデマンド交通を御活用いただき、それでも不十分な地域では、自家用有償旅客運送も組み合わせて交通サービスを確保していくことが重要だと考えております。このため、先般、交通不便地域を念頭に、タクシーやデマンド交通の供給力を高めるとともに、自家用有償旅客運送を安定的に運営するための制度、運用の改善に関する検討会を開始したところでございます。
加えて、喫緊の課題となっているタクシーの運転手の人材確保に向け、運賃改定への迅速な対応や必要な財政支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

○上原政府参考人 お答えいたします。
御指摘のございました羽田空港アクセス線西山手ルートにつきましては、今後、事業化に向けて、JR東日本、東京都を始めとする関係者間において、具体的な事業計画の検討を深めていくことが必要であるというふうに認識をいたしております。
先ほど御指摘の東山手ルートによりまして、羽田空港へのアクセス新線は、共通して整備が行われると思います。
国土交通省といたしましては、地域における検討状況を踏まえつつ、制度面や技術面の観点から必要な協力や助言を行ってまいりたいと考えております。
また、川越線大宮駅―川越駅間における複線化につきましては、荒川橋梁の架け替えに向けた埼玉県における協議会におきまして、現在線の上流線に単線で架け替え、複線化時には現在線位置に単線構造の橋梁を架ける案が、総合評価として最も高い結果であることが示されたと承知いたしております。地元自治体とJR東日本との間で十分な協議が行われていくことが重要であると考えております。

4月26日「生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案」審議
(衆議院厚生労働委員会・国土交通委員会連合審査会)

主に水道行政の厚生労働省から国土交通省(一部は環境省)への移管に関し法案質疑を行った。来年春以降に、上水道も下水道と共に国交省に業務が移管される(水質は環境省)が、人口減少など維持管理には課題も多い。
先ず、水道は厚生労働省、下水道は国土交通省に別れていた所管が一元化されることで、効率化・合理化など好ましいが、全体での予算削減圧力が高まるのではないかという懸念もあることから、水道事業、下水道事業の維持管理に必要な予算確保について今後どのように取り組んでいくのか国土交通大臣に質した。

○斉藤大臣 水道、下水道は、経営基盤の強化、また老朽化、耐震化など、多くの課題を抱えており適切に対応していくために、予算の確保が重要であり、必要な予算確保に向けしっかりと取り組みたい。
水に関わる行政については、各施策を相互に連携、調整しながら進めることが重要だと認識しており、引き続き関係省庁との連携に努めていきたい。

5月19日 「気象事業法及び水防法の一部を改正する法律案」(衆議院国土交通委員会)

平成二十九年台風二十一号・令和元年の台風十九号の豪雨では、都市下水路・川越江川流域で冠水被害が生じ、最終的には適用となったが、当初、ふじみ野市側は災害救助法の基準に達しておらず法適用が遅れたことを踏まえて、川越江川のような小河川等においても、降雨と地形にそくして、洪水などの予測高度化を進めるべきと訴え、政府の見解を求めた。
気象庁からは、雨量や地形等のデータに基づき、水の流下状況を計算し、きめ細かく分かりやすく示した危険度分布、愛称洪水キキクルをホームページで提供しており、今後とも、雨量予測の精度向上や最新の地形データの活用、そして基準値の不断の改善等により高度化を進めていく考えが示された。
その他、気象庁の人員確保についてなど答弁を求めた。

6月1日 衆議院災害対策特別委員会 一般質疑

平成29年以来、防災担当大臣との間で質問を重ねている被災地、避難所での性暴力被害について取り上げた。
今回、谷大臣に被災地、災害避難所での性暴力、性被害実態把握の取組に進捗しているのか質疑したが、残念ながら、性被害の実態調査への認識は歴代の大臣と変わりはないが、避難所運営ガイドラインの作成は評価したい。
これからも性被害・性暴力防止に向けて認識喚起を続けてまいります。

○谷国務大臣 警察では、熊本地震以降、避難所における性暴力犯罪があったという報告は受けていないが、内閣府防災として令和四年四月に改定した避難所運営ガイドラインも踏まえ、避難地を管轄する自治体や避難所の運営主体、NPO法人等とも連携を深めながら、性犯罪を始め各種犯罪の相談、届出をしやすい環境の整備、また、そもそもそういう犯罪が起こりにくいよう取り組んでいきたい。

このほか、発災後の通電火災を防止する感震ブレーカーの普及・仮設住宅用地確保、被災時の電源確保・防災情報放送についてなど質問行った。

表面
裏面

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