【プレス民主 号外 2007年5月版-3】

こみやま泰子

 また与党自民党による審議打ち切り、強行採決が行われました。
 年金納付記録が5000万件も不明になり、本来貰えたはずの年金が貰えない事例が発覚しています。社保庁の入力ミスによる記録紛失が多数報告されています。
 ご自身の年金記録を早急に調べる事をお勧めします!

◆「強行採決された社保庁法案」のヤバイ内容

 今回の社保庁法案は、特殊法人化して、厚生労働省から一線を画す法案ですが、実に多くの問題を内在したまま採決されました。
 先ず、非公務員型の特殊法人であるにもかかわらず、職員の給与は今までと同様税金から払い続けることとなります。
 正に看板を付け替えて国民の視線を誤魔化し、逃げ切ろうとしています。
 また、非公務員型の法人だと、属する職員には公務員倫理規定が適用されなくなります。
 年金保険料や運営費として渡された税金が、法人内で無駄遣いされても国会での追及が、今以上に困難になるでしょう。
 年金記録の入力ミスは、転職や婚姻で名前や年金種類が変わった方だけでなく、より単純な読み間違え・性別・生年月日の記載漏れなど多岐にわたります。
 現状では『ねんきん定期便』送付と同時に社保庁から“あなたの年金記録には抜け落ちているところがあるかもしれませんよ”と確認を促す情報が送られる対象者は極めて限定的であり、膨大な数に上る不明記録の解明や気づかないまま本来の支給額より少ない年金となっている方の為の充分な施策だと言えるものでありません。
 早急に年金記録を確認されることをお勧めします。

◆年金だけでなく、責任も消そうとしている…

 社保庁法案のズサンな記録管理が明らかになっていく中で、私は一つ思い出していました。
 三年前の年金審議の過程で取り上げられた、年金資金をグリーンピア等施設に掛け金を流用する仕組みに携わった厚生官僚の回顧録(『厚生年金保険制度回顧録』)の内容です。
 目の前に有り余る資金があり、これを使えば基金とか財団をつくって何でも出来る。そうすれば厚生省のOBの勤め先も何千人でも確保できる。将来年金が支払えなくなったら制度を変えてしまえばいいから、今のうちに使ってしまえ。といった主旨の記述で、ひどい嫌悪感を覚えました。

◆天下り斡旋バンクは必要ない。

 農水省所管の緑資源機構で逮捕者が出たのも、組織的な天下り団体の存在が税金を長年食い物にしてきたことのあらわれです。今回の社保庁も先の機構と同じ様に別組織〈特殊法人〉にする法案が与党自民党により推進されています。
 衆議院内閣委員会では、天下り斡旋バンクの審議が続いています。これも無駄遣いにつながってしまうと懸念しています。
 先週、決算委員会の質問で指摘しましたが、厚労省では、講演・原稿料として多額の資金が利害関係のある製薬会社や法人から職員に渡っていることを指摘しました。長年に渡る関係の積み重ねが、先の社保庁技官の逮捕といった癒着にもとつながってしまうのではないでしょうか。同じ構図が農水省の所管下にある「独立行政法人緑資源機構」にもあてはまるのではないかとの印象を拭いきれません。

 いよいよ今国会も最終盤に突入してきました。
 政治は生活を守るためにあります。そのことをしっかりと心に留めてさまざまな課題に取り組んでまいります。
 みなさまのご意見、情報をお待ちしています。

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