【泰子リポート、2022年9月12日号】

新型コロナ禍第7波の中、日本列島を台風11号などによる豪雨災害などの自然災害が起きています。世界に目を転じても、米国内や、パキスタン、中国、韓国など水害・地震等での大規模災害が生じています。
被害にあわれた国内ならびに各国の皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げます。
9月8日、今年在位70年「プラチナ・ジュビリー」を迎えられた英国・エリザベス2世女王が崩御されました。高校在学中、英国への語学留学のとき、女王の横顔がコインや切手などになり、生活に溶け込んでいると感じました。
近年もSNS発信や、ロンドンオリンピックや、プラチナ・ジュビリー記念映像への出演、ウィットに富んだエピソードなどに接して、親しみを感じられました。
心よりご冥福をお祈り申し上げますとともに、チャールズ3世国王と英国並びに英王室のご繁栄を祈念いたします。

◆時代の変わり目 「多様性の調和」ゴルバチョフ氏の言葉の重さ

今年、時代の変わり目なのか、鬼門に入られた著名な政治家も多いと感じます。
冷戦終結を実現された旧ソ連最後の指導者ミハイル・ゴルバチョフ元大統領も、先月ご逝去。
ロシヤによるウクライナ侵攻で原発施設周辺への攻撃のニュースに触れ、ゴルバチョフ氏が目指した核軍縮から乖離していく現状に大きな危機を感じています。
平和の大切さを考えるとき、ノーベル平和賞受賞時の「平和とは、類似性の調和ではなく、多様性の調和である」の言葉は、様々な分断が生じている現在の世界において尚更に感慨深いと思います。
SDGs=持続可能な開発目標の考え方の中で重視されるもの、地球環境が人間社会に大きな影響があり、経済競争優先では人間は生き続けられず、新たな秩序や資源の活用方法を変えることが求められている点にも通じてきます。

◆個々人への弔意要請は求めない事が確認されました。それぞれの思いのもとに“9月27日”をお過ごしください。

安倍晋三元総理の国葬が9月27日、日本武道館で開催される予定です。
凶弾に倒れ殺害された事に故人もさぞ無念だったことと拝察いたします。
とはいえ、岸田総理が早々に実施を決断し、閣議決定のもと全額国費で行うこととされた「国葬」に対して疑問や批判の声が高まっています。
伊藤博文初代総理大臣から64人が総理大臣に就いています。明治時代から、日本で国葬とされた28回の内、歴代総理大臣は5人(伊藤博文氏、山県有朋氏、松方正義氏、西園寺公望氏、吉田茂氏)。
戦後の国葬は、貞明皇后、吉田茂氏、昭和天皇、に次いで4回目となります。
安倍家ご葬儀は既に増上寺で執り行われ、国会においても今後に所属常任委員会での黙とう・本会議での追悼演説が予定されています。
私・小宮山泰子は衆議院議員として、衆議院本会議場において弔意を示したいと思います。

<参考:主な戦後・歴代首相の葬儀の国費負担>
故人(敬称略) /  形式  /  国費(総額)   / 実施年
吉田茂   国葬        1804万円(全額国費)   1967年
佐藤栄作  国民葬       1996万円        1975年
大平正芳  内閣・自民党合同葬 3643万円        1980年
岸信介   内閣・自民党合同葬 4510万円        1987年
三木武夫  衆院・内閣合同葬 1億1871万円      1988年
福田赳夫  内閣・自民党合同葬 7334万円(1億4700万円) 1995年
小渕恵三  内閣・自民党合同葬 7555万円(1億5100万円) 2000年
鈴木善幸  内閣・自民党合同葬 5449万円(1億900万円)  2004年
橋本龍太郎 内閣・自民党合同葬 7703万円(1億5400万円) 2006年
宮沢喜一  内閣・自民党合同葬 7585万円(1億5400万円) 2007年
中曽根康弘 内閣・自民党合同葬 8295万円(1億9300万円) 2020年
安倍晋三  国葬 16億6000万円(9/5発表、全額国費)2022年
※東京新聞・西日本新聞等より抜粋

◆国葬がなぜ問題になっているのか

読売新聞はじめ各社のアンケートでも、多数が国葬反対の結果となっています。
国葬の問題点は、(1)吉田茂元総理国葬でも問題になった法律的根拠の曖昧さ。国葬令は失効しており、内閣府設置法を無理に根拠とした閣議決定行うなど法令根拠・予算執行根拠の欠落している。(2)戦前の国葬令は、国家の威信をかけた行事の意味合いが強く、純粋な意味での故人の弔いとは言い難い面があった。岸田首相は記者会見で「国葬儀いわゆる国葬」と述べていることからも、儀式の権威づけを目していて、自民党内権力維持への利用が見透かされる。(3)アベノミクスの継続による日本経済の弱体化・人権意識と関連政策の遅れなどによる日本の地位低下・国民が被害者となった旧統一教会との関係や様々な疑惑への関与など安倍晋三元総理の実績が国民皆で弔う対象として適正なのか。
という3点が挙げられるでしょう。

◆令和5年度予算概算要求公開。

国の2023年度予算に対する各省庁からの概算要求の合計は、一般会計で110兆円余りに上っています。
物価高対策や防衛費などでも金額を示さない「事項要求」が目立っています。
防衛省は過去最大の5兆5947億円を計上。
このほかに、長射程のミサイルなど少なくとも100程度の事業を事項要求として列挙し、安倍元総理が公言していたGDP比2%に近づけようとしている様に映ります。
ロシアによるウクライナ侵攻もあり防衛力整備の必要性は指摘もされるものの、賃金上昇のないまま、急速な円安と物価高による日本の一人負け状態で国民・市民は大変厳しい状態にあり、予算の優先確保すべき分野を生活に根ざしたところに改めていく必要があると思います。
防衛費増額の一方、骨太方針から、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化達成目標と示してきた「25年度」の表現が消え、財政規律の意識低下が表れており、今後の予算編成過程で要求総額はさらに膨らみ、過去最大の22年度を超える可能性もありそうです。

◆ウクライナ、大規模自然災害、物価高対策、国葬、旧統一教会など問題山積。
国会開会を改めて求める。

参議院選挙前の6月に通常国会が閉会してから、唯一の立法府・国会は実質的な審議を行っていません。
立憲民主党はじめ野党は、8月に憲法53条に基づき、臨時国会召集の要求書を衆参両院議長に提出しました。
閉会中審査では、短時間での質疑となり、また法案成立が出来ないことから不十分です。
日本円が1ドル=140円台となる急激な円安、ウクライナ侵略から明確になったエネルギーや食糧確保問題、パキスタン・韓国等を襲った水害など、国内・世界規模の課題と日本国の施策を議論すべき国会を早急に開く必要があります。
国会は与党の都合で開催時期を判断するのではなく、現状の分析や失政の検証から学び、国内外の課題を議論し、国民の生活を守るために“敬意をもちつつ、自由な議論”が可能な場であるべきです。これからも国民の生活を守る政治環境を得るために、全力で頑張ります。

表面
裏面

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