令和6年3月13日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◆この議事速報(未定稿)は、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◆後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◆今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○長坂委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小宮山泰子さん。 ○小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。  本日、参議院の方もありまして、冒頭での御挨拶をさせていただくことを感謝申し上げます。  さて、まず、冒頭になりますけれども、本年元旦に発生いたしました令和六年能登半島地震で被災された皆様、被災地支援に向かう途中で命を落とされた海上保安庁機乗員にもお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。  立憲民主党においても対策本部を設置し、石川県では近藤和也代議士、そのほか被災した地域の議員を中心に現場の状況の報告を受け、政府への要請などを続けております。  改めて、対応に当たられている国土交通省、地方整備局始め、被災地対応をしていただいている関係の皆様に感謝を申し上げます。  昨年来、日本の安全性、信頼度を損ねかねない案件も続いております。羽田空港航空機事故や新幹 線架線トラブルでの運行停止など、国土交通省関連事案への再発防止への取組を徹底、豊田自動織機並びにダイハツ工業での不適切案件への分析と適切な対応をいただきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。大きくうなずいていただき、ありがとうございます。  いわゆる有償のライドシェア、白タクの取締りについてお伺いしていきたいと思います。  昨年来、日本でもライドシェア導入との声が上がっているのは承知しておりますが、配車仲介させるような提案には、公益を増進するものとならず、賛同できる要素はありません。  日本におけるタクシー事業は、明治四十五年に始まり、百年以上の歴史はありますが、戦後のモータリゼーションの発達とともに、粗暴運転、乗車拒否、不当運賃請求、交通事故多発、白タクの横行などが生じてきたため、現在のタクシー制度がつくられております。  先週の大臣の所信表明において、地域交通の担い手不足や移動の足の不足に対応するため、タクシーの規制緩和を進めるとともに、地域の自家用車や一般ドライバーの活用について、実効性のある仕組みの設計を早急に行ってまいりますとありました。  いわゆるライドシェアの懸念点は、危険性、交通事故、身体的暴行、性的暴行、また、低所得化の負のスパイラル、ギグワーカーの増加、プラットフォーマーの運賃や報酬決定のアルゴリズムがブラックボックスで、公平性、透明性の担保がされていないこと、安定しない供給と価格、ダイナミックプライシングで振れ幅が大きく、採算の取れない地区では運営されないなど指摘がされております。  EU、欧州連合では、ウーバーが提供する当初のライドシェアは違法であるとの司法判決が出ています。違法というか運送事業だということで、仲介事業ということは否定されているものであります。斉藤大臣は、白タクを容認することはないでしょうから、一般ドライバー活用のため、二種免許取得の支援を伴うとともに、道路運送法の下、安全が確保される規制緩和を進められるようにしているというふうに理解したいと思っております。  公共交通、タクシー、バス、鉄道、歩いて回れるまちづくりなどの充実で、持続可能な都市交通計画、SUMPの発想を日本も積極的に取り入れるべきだと私自身は考えております。  車両の整備、管理、保険、一般免許での運転手に対しての指導や健康状態確認、さらに、万が一の事故発生時についても、タクシー事業者が相当範囲の責任を負うことを表明して、地域公共交通の担い手として、安全、安心の確保に全力で取り組もうと準備されている関係者の皆様には心から敬意を表したいと思います。  ライドシェア推進派の方は、タクシー不足を導入理由に掲げますけれども、現在、新型コロナ禍から明けてきたことで、タクシー運転手は増加傾向にあり、国会近くの夜の赤坂周辺は空車タクシーが列を成しております。乗りたいときになかったこと、つまり、タクシープールに、たまたま、電車到着時などで出払い、空車がなかった、一時の需要集中で乗車できなかった経験からタクシーが不足していると判断するのは適当ではありません。  地域などにより差異が大きく、一概にタクシー不足と言えないことから、国土交通省として、タクシー不足と一律に言えるのか、調査しているのか、定義はあるのか、これについてお答えをください。 ○鶴田政府参考人 タクシーの運転者は、コロナ禍で減少しており、御指摘のように、最近増加に転じてはおりますが、地域、時期、時間帯によってはタクシーがつかまりづらいなど、需要に供給が追いつかなくなる状況が発生しておりますが、都市部、観光地、地方部などによって状況が異なるものと認識しております。  このため、国土交通省では現在、配車アプリ事業者に協力いただいて、アプリでの配車依頼に対するマッチング率などによって、タクシーが地域、時期、時間帯においてどの程度不足しているのか、調査しているところです。 ○小宮山委員 一律にタクシー不足とは言えないということでいいんですよ。だからこそ調べているということであると思います。よりデータに基づく分析と、まずは現行制度の中で規制緩和をすべきと考えます。現行タクシー事業への規制緩和として、営業所の要件緩和、施設要件の緩和、二種免許の地理試験廃止など行われていると思いますが、現在並びに今後実施していく内容や課題についてお聞かせください。 ○鶴田政府参考人 タクシー事業への規制緩和につきましては、昨年制度改正を行いまして、御指摘ありました営業所ごとのタクシー車両の最低車両台数ですとか営業所などの施設設置要件を緩和しました。これによって、特に地方部においてタクシーの固定費の削減効果が期待されます。 また、カーナビが普及した現状を考えまして、タクシー運転者の就業を進める上で過剰な負担となっていました地理試験を先月廃止したところです。  さらに、道路運送法に基づきタクシー運転者になるために課せられている法定研修につきましても、現在は十日間としています期間の要件を、年度内に撤廃する予定です。  これらのような、現行法の中におけるタクシー事業の規制緩和等を通じまして、地域交通の担い 手不足や移動の足の不足に対応してまいります。 ○小宮山委員 タクシー不足というか人口減少によって、やはりタクシー会社も維持ができないというのが多々あるかと思います。しかし、様々な課題があるとは思いますが、これは国土交通省だけではなく、現実には、二極地域の住む問題とか都市部に人口が流入すること、人口減少が、去年で出生数が七十五万人台まで急激に下がり、予想よりも十二年も前倒しだという話もあります。これは国全体として、本来的なところ、要するに、需要が生まれる見込みが地方がなくなってしまっている、人口減少が起きている、働く場がない、いろいろな課題があります。そういう意味において、こちらを解決しない限りは、この有償のライドシェアというもの自体、成立しないんだと思っています。  というのは、私ども立憲民主党の国土交通部門会議でライドシェア推進の方からヒアリングをした際、アメリカからのオンライン参加でありましたが、地方都市において、過疎地とかそういったところには、もうからないからとははっきりは言わなかった、言ったかな、導入しないと。ここに関しては、今までどおり地方自治体等がやる、国交省も認めておりますが、自家用有償運送でやってもらいますと明言をされた。つまり、都市部とか、もうかるところには入るということを明言をされておりました。  そういう意味においては、つくられたイメージというもので、ライドシェアを入れれば地方のタクシー不足が解消されるということは、そもそも推進派の方からも否定されているということを目の当たりにいたしました。だからこそ、この問題というのは、移動の権利を守る、そしてそういったことによって地域を守るということにつながる重要な案件だとも、ひとつ思っております。 そこで、二種免許を持たない運転手による有償旅客運送は、白ナンバーの自家用車タクシーで業務を行うという意味から、白タクとして禁止をされています。  近年、海外からのインバウンド旅客の増加に伴い、例えば成田空港の到着ロビー出口側から白ナンバーのミニバンやワンボックス車による白タク行為が行われている事例がしばしば報じられ、また、捜査機関による摘発、逮捕に至る事件が生じております。  海外の旅行業者で、旅行申込みの時点で日本国内の空港に到着後の移動方法を含めた内容で売り出されるなどして、あたかも知人、友人が空港まで迎えに来ているというていで事実上の白タク行為が繰り返されるなど、実態把握や事件化がされているということであります。 昨日もテレビの報道で、白タク運転手に質問をしている最中に逃げていった、それを追っかけていったら、熱海かどこか、静岡の方でそのバンが見つかって逮捕に至るというような報道がされておりました。  これらの国際線空路の到着時だけでなく、白タク行為がどこでどれだけの規模で行われているのかについてどのように把握され、白タク行為の取締りはどのように取り組まれているのか。事件化された件数などの現状、さらに、事件化された場合の行政処分などはどのように行われているかについて、国土交通省並びに警察庁よりお答えを、御説明をお願いいたします。 ○鶴田政府参考人 まず、国土交通省からお答え申し上げます。  羽田、成田、関西空港や主要観光地において、白タク行為の実態調査を行うことに加えまして、警察、都道府県タクシー協会、出入国在留管理庁、施設管理者と白タク対策会議を実施して、関係者連携しまして白タク防止に取り組んでおります。 ○小林政府参考人 続きまして、警察庁からお答え申し上げます。  警察では、いわゆる白タクと呼ばれる道路運送法違反について、国土交通省等の関係機関と連携し実態把握に努めるとともに、積極的に捜査を行っており、令和五年には三十三件を検挙いたしました。その内訳は、道路運送法第四条第一項違反となる無許可旅客運送事業が二十一件、第七十八条違反となる有償運送が十二件となっております。  なお、これらの違反の法定刑については、第四条第一項違反は三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金、又はこれの併科、第七十八条違反については一年以下の懲役若しくは百五十万円以下の罰金、又はこれの併科と規定されております。  また、警察におきましては、これら白タク行為で検挙された者に対しまして、道路交通法の規定を適用し、最長六か月の運転免許の停止処分の適用に努めております。  警察としては、引き続き国土交通省と連携し、白タクの未然防止のための広報啓発に努めるとともに、積極的な取締りを引き続き推進してまいります。 ○小宮山委員 令和五年で、たった三十三件ということであります。少な過ぎる。それで実態を捉えているとは私は思えませんし、この白タク行為があることで何が損じられているかといえば、日本の国内での事業や、二種免許とかお金を出してしっかり取って安全運転に努めている運転者や事業者、この利益を失っているということです。日本にとってこの白タク行為というのは、実際には損失であるとはっきり言えると思います。  その上、ヒアリングのときに伺いましたけれども、じゃ、実際にお金を出して乗っていた方たちというのはどういう処罰があるか。ないんですね。要するに、運転者はお金をもらう、仲介業者もお金をもらう、料金を出した旅行者は何のおとがめもない、これが法体系の状態でもあります。  現行法でも、確かに、幇助とか共同正犯など、立件できるかもしれませんが、そこに行くまでの時間と、現実に有罪になるかといったら、取り調べるということはほぼ不可能で、白タクという行為が実は戦後もずっとあっても、結果として減らなかった、そしてそこにつけ込まれているのが今の日本の現状じゃないでしょうか。  例えば、飲酒運転の場合であれば、運転手ではない同乗者やほかの関係者、飲酒の提供をした者、飲食店関係者についても、運転手が飲酒していることを知りながら運転するよう求めたり運転を容認した場合に、これらに対しても責任が問われます。  白タク行為にしても同じじゃないでしょうか。関わった運転手本人、仲介した事業者、さらに、白タクを利用した者について、再発防止のために有効な罰則などが付されることが必要なのではないでしょうか。余り事件化されにくく、その上、実態が把握しにくい。仮に事件化されたといっても、ある意味、甘い処分に終わってしまうということ。これでは白タクはなくなりません。  白タクをなくすためには、再犯を防ぐため、よりしっかり状況を把握し、関係する現場、捜査機関とも協力していただき、現行法以上に取り得る行政処分などを含めた罰則も充実して用いていくという対応が必要となると考えております。啓蒙活動、ポスター掲示などにも取り組んでいるとは説明を受けておりますが、より一層取り組んでいく課題があるのではないかと考えております。  この点について、国土交通大臣から御所見をお伺いしたいと思います。 ○斉藤(鉄)国務大臣 先ほど小宮山委員からおっしゃっていただきましたように、まず、周知徹底、啓蒙活動という意味では、ポスター掲示やチラシ配布を行っているところです。  そして、その上で、道路運送法に基づきまして、白タク行為の調査を行い、白タク行為を行った者に対しては、自家用自動車の車検証及びナンバープレートを取り上げる、そして使用禁止処分を行うといった厳しい措置を、我々としてはできる限りの厳しい措置を取っているところでございます。  これから、引き続き、警察やタクシー業界と連携しながら、白タク行為に対して厳正に対処していきたいと思います。 ○小宮山委員 しかし、海外の仲介事業者や、海外でその場でお金を払わずオンライン決済等をしている利用者、お金を出す人ですね、ここに関しての対応というのは、現行法でできるんでしょうか。ここ、通告はしていませんけれども、やはり、お金を出す人が、啓蒙活動をやって、世界中で啓蒙活動が浸透するとは私は思えません。ここはしっかりと、国内で罰則があるから出しちゃいけないんだということを告知ができるようにしない限りは、これは止まらないんじゃないでしょうか。  また、夜の町とか様々な課題はあります。そういう意味においては、もう一歩先に進んでいただかなければならないと思っておりますので、もう一度、その点、何かしら今後検討されるのかどうか、お聞かせください。 ○斉藤(鉄)国務大臣 今、例えば海外から関与している組織もあるというお話も私も報道等で知っております。そういうことに対してどういうことができるか、この白タク行為を、厳正に対処していくためにどういう対応ができるかということも考えさせていただきたいと思います。 ○小宮山委員 よろしくお願いします。  無責任な白タクによる違法事業を野放しにしないようにするため、また、安全、安心を確保したハイヤー、タクシー事業、有償運送事業の制度とするためには、デジタル行政改革会議など政府における関係会議で、ライドシェア解禁に対して懸念を示す、さらには反対意見を表明するメンバー の策定、さらには、十分な発言機会を設けられていないのが現状じゃないでしょうか。  命を預かる、命を預けるには、無謀運転とか様々な法律改正をこれまでも国や国会も含めてやってきましたけれども、命を預けるには、議論や検討が、過程に大きな瑕疵が残されているというふうに感じております。  これらの会議体は国土交通省の下に設置していないことは承知しておりますが、国土交通省としては、交通政策審議会自動車部会において責任を持って議論をしていこうと努めているのも理解はしておりますが、所管省庁でないほかの省庁で、規制緩和という名の下で安全を、国土交通省が頑張って、そして、理解をしている、現場を知っている方たちが守ろうとしている命に関する議論が、ほかで緩められて、危険を生む、リスクを生むという状況には、やはり私自身は違和感を禁じ得ません。  国土交通省より、もっと強力にこの安全に関して声を上げていただきたいと思いますし、しっかりと事業当事者や現場の方、事故に巻き込まれた方、そういった方も含まれて、内閣府かもしれませんけれども、しっかりと意見が言える環境を整えるべきだということを、内閣の中で是非リーダーシップを取って、国交大臣にしていただきたいんですが、この点に関しまして、大臣からの御見解をお聞かせください。 ○斉藤(鉄)国務大臣 小宮山委員おっしゃるとおり、この今回の地域交通の担い手不足の問題、またタクシーが現実に足らないといった、地域の足の不足といった課題に対応することは、国土交通省が所管する交通政策そのものである、国土交通省が責任を持って対応する政策である、このように私も思います。  国土交通省が所管しない会議体の在り方についてコメントすることは差し控えさせていただきますけれども、交通政策は様々な行政分野と関係するため、各省庁の観点に応じた検討を行っているものと考えております。  国土交通省としては、交通政策の議論に際して、輸送サービスとして、一つに車やドライバーの安全性、二つ目に事故が起こった際の責任、三つ目に適切な労働条件の、バランスの取れた議論が重要であると考えておりまして、国土交通省に置かれている交通政策審議会自動車部会において、様々な立場の方から御議論をいただきながら、自家用車活用事業に係る制度案を含め、交通政策として、しっかりと議論を行ってまいりたい、このように思います。 ○小宮山委員 三月五日、総務省より、アプリ利用者の情報漏えいが相次いでいる事業者、具体的にはLINEヤフーに対して行政指導が行われました。  同事業者の代表取締役川辺健太郎会長は、さきに述べたデジタル行政改革会議の上にありますね、規制改革推進会議などで政府会議に委員として出席しており、ライドシェア解禁、新法制定について持論を述べるなどされております。情報セキュリティー管理ですら、本業のですね、不十分である者が、行政指導を受ける事業者の代表がライドシェアの解禁を求めているというのは、ある意味、異常な事態だと指摘せざるを得ません。  特に、ライドシェアはまたいろいろな、どこからどこに移動したとか、様々な個人情報を扱うことに仲介業者はなり得ます。そこが情報漏えいの発信者になるということが、推進をしているということにも私自身は違和感と危惧を隠すものではありません。  安全、安心を重視して、交通、旅客政策を適切に論ずることのできるメンバーによる議論が行われていない、改めてこの点に問題があると指摘し、国交大臣には権限はないとおっしゃられますが、メンバーとしては入られているわけですから、ここは何らかの形で、しっかりと安全を守る、国土交通省所管の担当大臣として強く行動に移していただくことを要望させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。 ○斉藤(鉄)国務大臣 しっかり今、小宮山委員の御指摘を受けて、交通政策の責任者として頑張りたいと思います。 ○小宮山委員 交通政策の責任者として頑張っていただくこと、確認をさせていただきました。 そして、次ですけれども、安全性ということで、消えた白線の予算確保の早期対応、実施についてお伺いしたいと思います。  警察庁が二〇年八月に行ったサンプル調査によりますと、横断歩道が六一%摩耗していたものは一三・二%、四一%摩耗した場所は三〇%近くに全国の中で達したというサンプル調査が出ております。この点に関しまして、これまで、消えたあるいは消えかかった白線のために起きた事故は、裁判では和解や無罪など事例によって異なる判決が出ておりますが、一概に判断はできませんけれども、一番大切なのは安全であり人命です。この点は、いわゆるライドシェアの議論においても全く同じだと思っております。  横断歩道など、消えた白線に対し、道路を管理する側としての対策、予算措置、警察庁の調査から約三年経過し改善されたのか、実態状況についてお答えをお願いいたします。 ○小林政府参考人 お答えいたします。  警察庁では、横断歩道を含む道路標示の効率的な維持管理のため、優先順位を付して適切に更新するよう都道府県警察に指示をしており、各都道府県警察において道路標示の計画的な点検と更新に努めていると承知しております。  委員御指摘のサンプル調査の結果につきましても、これを、計画期間が令和三年度から令和七年度までである第五次社会資本整備重点計画の指標に活用して、同計画の中で、信号機のない横断歩道を約八万本更新するとの指標を定め、取り組んでいるところでございます。  また、警察庁では、道路標示の更新を含む交通安全施設等整備事業への補助金として、令和五年度に約百七十八億円を措置し、各都道府県警察へ交付しております。  引き続き、道路交通の安全確保のため必要な予算の確保に努めつつ、道路標示の適切な維持管理について都道府県警察を指導してまいります。 ○小宮山委員 ありがとうございます。安全、安心、道路上の問題、様々課題があります。これは命を守る国土交通省所管の事業でもありますので、しっかりと、警察庁も、また、地方においての、都道府県等、県警も含めまして、是非頑張っていただきたいと思います。  つくづく、四十三兆円、五年間で防衛費に充てると言いますけれども、この一部でも、こういう安全対策の費用にしっかりと、更に回すべきだなと思う次第であります。  さて、能登半島地震から考察する建築物の在り方についてお伺いしていきたいと思います。  今回、元旦に起きた地震におきましては多くの家屋が倒壊したとの報道がございます。能登半島地震における建物被害の特徴について、国交省の分析をお伺いいたします。  併せまして、今回、能登半島地震の経験から、震度七に至らない複数の地震により蓄積された被害と合わせ技による倒壊というんでしょうか、というようなことが起こっております。こうした知見から、建設物の耐震性能について、建築上の規定内容について何らかの見直しを行うことが必要なのではないかと感じておりますが、国交省の見解を二点お伺いいたします。 ○石坂政府参考人 今回の地震では、現時点において、古い木造住宅が多数倒壊している一方、比較的新しい住宅は無被害又は軽微な損傷にとどまっていると見られております。七階建ての鉄筋コンクリート造の建築物が倒壊したほか、複数の鉄筋コンクリート造の建築物が傾いております。また、広範囲で液状化による被害が生じていることといったことが確認されております。  国交省といたしましては、発災直後から現地調査に入るとともに、二月十七日から建築学会と連携した詳細な調査を開始しております。この中で、有識者委員会を設置し、被害の分析調査も行っております。これらにより、御指摘の新耐震基準による建築物も含め、建築物の被害について調査分析をしっかり進めてまいりたいと思っております。  また、今回の地震では、能登地域におきましては震度六強以上の地震が連続して起きたという御指摘がございました。現行の建築基準法におきましては、震度五強程度の中地震まででは地震時は損傷しないこと、震度六強から七に至るまでの大地震では、損傷はしても倒壊しない性能を求めてございます。中地震であれば、繰り返し受けても損傷が蓄積することは考えにくいのでございますけれども、近年の能登地域、先ほど申し上げたように、震度六強以上の地震が続けて発生しておりますので、損傷していた可能性がございます。  現在、先ほど申し上げましたように、現地調査を行っているところでございまして、今御指摘をいただいた点につきましても、過去の地震が倒壊の原因になったのかどうかについても有識者委員会におきましてしっかりと検証を進めてまいりたいと思っております。 ○小宮山委員 昨今、千葉沖等でも地震が続き、地震に対する備えとかは非常に皆さん関心を持っているところでもあります。  そして、今回の結果から、大規模地震発生時の対策として、地震が起きても生き続けられる役割 を担えるように、住宅全体ではなく、部分耐震、低コスト耐震改修の導入、促進というものが注目も浴び、また必要とされているかと思っております。全体では工事費もかかり、なかなか難しくて費用が賄えなくても、一部屋だけならば、ヒートショック、エネルギー高騰もありますので、省エネ性能を向上させられる改修工事の金額も含めて抑えられると考えております。例えば、十五万円程度の支出で大きな効果が得られるという実例も伺っております。  そこで、災害から命を守る、日常の暑さ寒さからも命を守るために、既存住宅、建築物の一部の居室に対して、耐震性向上改修並びに高断熱、高気密改修について補助制度の充実をしていくべきだと考えますが、国交省の見解を伺いたいと思います。  あわせまして、この小さな改修工事というのは、地域工務店などでの受注の可能性もありますので、地域経済にも寄与すると考えます。リフォームや改修工事を既存住宅で行うことは重要と考えるものでありまして、また、今後の市場として成長する可能性も大きいと考えます。どの規模に市場が拡大すると試算しているかも併せてお答えください。 ○石坂政府参考人 耐震性につきまして、議員御指摘の一部の居室のみを改修する手法も、地方公共団体が当該住宅の安全性確保を図る上で適切と判断した場合には、国交省としても、防災・安全交付金において支援をさせていただいております。  また、既存住宅の断熱改修につきましても、光熱費の削減効果だけでなく、健康面の効果も期待できることから、既存住宅の省エネ化は大変重要でございます。  御指摘の例えば居間やトイレ、浴室など、日常生活で使用する空間の断熱改修あるいは省エネ改修を推進することは大変効果があると思ってございます。そうした観点から、断熱窓の改修、床や壁の改修など、住宅の省エネ改修につきまして引き続き環境省、経産省とも積極的に連携して取り組んでまいりたいと考えてございます。  また、二点目の点でございますけれども、既存住宅のこうしたリフォーム、あるいは既存住宅の流通、こうした住宅市場の活性化については、地域の中小工務店の受注機会の役割が非常に大きいと思っています。また、地域でそういった方々が熱心に取り組んでいただくことで、耐震化や省エネ化が一層進むものだというふうに考えているところでございます。  こうしたリフォーム市場でございますけれども、平成三十年時点で約十二兆円の市場規模、これにつきましては長期的に二十兆円に拡大させるという目標を掲げて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  二十兆円に拡大するリフォーム市場ということ、ここはしっかりと育てていかなければならないし、その機会を是非つくっていただくことを大臣には要請をさせていただきます。  ちょっと時間の都合で、観光政策の方に幾つか入らせていただきます。  観光資源としての日本文化、町並み保存の現状と今後についてお伺いしていきたいと思います。  私の地元川越市は、町並みが整えられる中で、常に観光客の皆様でにぎわっております。昨年の暮れからも、本当にひっきりなしにテレビ番組等で取り上げていただいておりますし、また、歴史的町並みや伝統文化を象徴する町並み保存を、地方自治体や個人での維持、継続への努力が非常に大きいところでありますが、一方で、政策的には、任せ切りにしていたのでは、全国ではこのような歴史的な町並みというのは十分な対応ができないというのも現状ではないでしょうか。  能登地震、熊本地震始め震災や豪雨災害、台風災害などが生じた際には、観光資源となるような建築物などにも大きな被害が生じる場合がございます。  国指定や都道府県指定の文化財などに指定されている場合は、また、熊本城のように大規模な復旧の取組が行われるものに関しては多くの支援が集まりやすいですが、ここから外れたものは、なかなか町のシンボル的な建物であっても、ランドマークとなるものであっても、これが復興されるということは非常に難しいのが現状であると思います。  そこで、観光資源ともなる町並み保存などに対して観光庁としてどのように取り組んでいくのか。また、単に既存の町並みを守るだけではなく、更に、その隣接周辺地域に対して面的に拡大させていくような取組も行うべきと考えますが、観光庁の御所見をお聞かせください。 ○加藤政府参考人 お答え申し上げます。  我が国が有する良好な景観や歴史的な町並みは、国内外の観光旅行者を魅了する、すばらしい観光資源の一つであります。これらを活用していくことは、観光立国の実現に当たっても不可欠な取組であると認識しております。  このため観光庁では、歴史的な資源を活用した観光まちづくりの取組、これを推進してきておりまして、これまでも、例えば古民家を宿泊施設や商業施設に改修する取組などを支援してまいりました。  また、来年度からは、例えば宿泊施設の整備を軸として、周辺の歴史的な資源とも連携した面的な取組などを後押しするため、施設の棟数が複数となる大規模な施設改修計画に対しても支援することとしているところでございます。  今後も歴史的な資源の活用を面的に広げる取組などを支援することにより、観光資源となる町並みの保全に向けた取組を進めてまいります。 ○小宮山委員 昨年、実はこの関係で質問をさせていただいたのは、私の地元の明治時代に建てられたお店、店蔵というんでしょうか、ここが火災によって焼け落ちました。延焼は免れるだけの設備というか、昔ながらの知恵が詰まったところでありますが、個人の所有だったこと、借りた方の店舗が保険に入っていなかったことで、どうしてもいろいろな補助金を合わせても再建には二億ぐらいかかると言われていたのですが、残念ながら、これに関しては復興することを諦められまして、所有者の方も、市の方も、結果として現在更地になっております。  町の中で、町並みというのが一回壊れていく、失われていくと、どんどん歯抜けになるし、観光地として優秀になればなるほど、建物を除去すると時間割りのタイムパーキングとかが非常に入りやすくなって、ここでもうけられるようになってしまうので、駐車場だらけの町に実はなってしまうんじゃないでしょうか。  こういう意味において、観光庁の方で昨年来、歴史的資源を活用した観光まちづくり推進事業というのを組んでいただいているようで、令和六年度予算も組んでいただいて、補助事業では最大二億円、五地区を今後大規模改修等の支援をしていただけるという施策につないでいただいていると伺っております。  現在この関係では、歴史的資源を活用した観光まちづくり推進事業の補助対象事業と、事業化支援及びモデル創出の共通の地域公募をされている、公募を現在やっていらっしゃるということであります。是非、この点に関しましてはしっかりと広報していただき、多くの町が失われないように、歴史ある町並みを失わないようにしていただきたいなと思います。  有形の建築物、無形の祭礼は、いずれも日常の文化の延長線上につくられ、継承されてきたものであり、日常があるからこそハレの日、特別な日、大切な日になっています。日常にある日本的な文化が継承、継続されなくては、有形無形の文化資産の価値も下がってしまうのではないでしょうか。  木の特性を生かし、木と木を組み上げて建物を構成する伝統構法も、伝統建築工匠、伝統建築工のたくみの技が二〇二〇年ユネスコ無形文化遺産に決定されております。また、最近は和室にも注目が集まっております。日本文化の特徴は自然との共生を旨としており、季節により食器を変え、衣装も柄も変え、目から見る視覚からも季節を味わうなど、多様な感性が生かされているものであります。  近年、こうした感性が失われつつあるのではないかと懸念を持っています。落語とか歌舞伎の舞台とかを見ても、江戸時代の風習というのが今伝わっていないので、なぜそうやっているのか、これの奥深い意味というのが伝わらなくなるんじゃないかと、演者の方たちもとても心配するのが聞こえてきます。  この文化に関しまして、日本文化、日本の感性に触れていただくという点についても、いかに評価しているのか、またいかに生かしていくのか、他省庁を含めた連携を行っていくのか、大臣に御所見を伺いたいと思います。 ○斉藤(鉄)国務大臣 今御指摘ありましたように、我が国には国内外の旅行者を魅了するすばらしい自然、気候、文化、そして食がそろっております。また、我が国の各地域において長い年月をかけて育まれてきた生活文化は、世界に誇る日本の宝でございます。  日本を訪れる海外の方々が、こうした我が国の生活文化に触れ、地域の方々と交流することは、我が国での特別な体験であり、日本や日本人に対する理解、さらには国際相互理解の増進につなが る、極めて意義のあることと認識しております。  国土交通省としましては、こうした特別な体験の付加価値を一層高める、こういう考え方の下に、今後とも、文化庁等の関係省庁と連携して、各地域における特別なコンテンツの創出や、観光地、観光産業の高付加価値化等に取り組んでまいります。  これまでの観光、観光ですから光を見ると書きますが、見るだけではなく体験していただく、そういうこれからの観光の一つの核をつくり上げていきたい、関係省庁又は地域と連携しながらつくり上げていきたいと思っております。 ○小宮山委員 非常に急を要するものかもしれません、日本文化というものが非常に失われている。  私自身も、いろいろな国会議員の方々に伺いますし、また、例えば、開会日に着物を来ていらっしゃる皆様の大半はレンタル着物で着つけをしていただいているという、自分で着物すら着れない方々、自分で着物を持っていないとか、そういった状況があります。それで外国人に着物を着て町を歩かすとか、観光客は着物を着るというのも、何か本末転倒というか、何か違うかなと。 観光資源というのじゃなく、日常を体験する。観光というのは、私たちの日常を、そこを、非日常である旅行者が来て、その私たちの日常を味わうことで、繰り返し繰り返し人生を深め、そして見識を深め、楽しまれ、人生を豊かにしていくものだと思っております。相互理解にも通じるものであり、この点に関しまして、また引き続き、いずれの時点でこういう議論をさせていただければと思います。  ありがとうございました。