令和5年3月10日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○木原委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。  本日、このような機会をいただき、誠にありがとうございます。  いまだに、日本の都市計画や地方自治は、経済成長と人口増を前提とした高度経済成長期の発想からさほど変化をしていません。低成長と人口減少、気候危機や自然災害の激甚化、経済の成熟化の時代にふさわしい、持続可能な都市計画、まちづくり、住宅政策へと転換しなければなりません。  差別や不寛容の背景には社会の分断があり、同じ日本社会に生きる国民、市民として連帯感を醸成し、分断を克服し、孤立を感じずに済む共生社会をつくることを目標に、立憲民主党は、昨年、ビジョン22をまとめました。  競争を神聖化する新自由主義的な考え方は、経済だけでなく、政治や教育といった分野にまで広がりましたが、失われた十年、失われた三十年とも言われるように、経済至上主義で経済は低成長、財政悪化、人口減少したのが現実であります。経済成長は手段であって、政治の目的ではありません。  自由な社会であるか、暮らしやすいまちづくりがなされているのか、環境や生物多様性は保全されているのか、ハザードマップなど、安心して暮らせるために必要な情報公開、情報共有ができるのかなど、経済至上主義ではなくても、脱成長でもなく、環境と経済を両立する経済政策へとシフトする必要がある、そして、定常社会を目指す時代に入っていると考えております。日本に暮らせてよかったと実感できる公助の整った社会、地域づくりを基盤とし、質問をさせていただきます。  まず最初に、通告と順番を変えさせていただきますけれども、失われた三十年、十年とも言われ、経済の低迷の中に日本は置かれております。国土交通省は、設計労務単価の十一年連続しての引上げを行った。適切な決定と評価をしております。  国土交通省では、道路整備を始めとした公共工事に伴う用地取得、その土地の登記といった業務が生じます。公共嘱託登記業務、権利及び表示は、司法書士法、土地家屋調査士法を始めとする関係法令、仕様書等にのっとり実施されているものですが、競争入札制度の下、低価格での受注が見受けられます。予定価格に対して大幅に価格が下回る入札での受注が増えている状況で、公共嘱託業務、権利及び表示についての品質確保への懸念も拭いにくくなっています。  国土交通省関東地方整備局において、令和五年一月十八日付の通知、公共嘱託登記業務、権利及び表示における品質確保対策の試行についてが発せられています。関東地方整備局のみの取組が始まったところであり、これは大変よい取組だと考えております。  そこで、地方整備局における公共嘱託登記の品質確保に対して、関東地方整備局での試行を含めた取組をほかの整備局にも拡大することが望ましいと考えますが、国土交通省の所見をお伺いいたします。 ○井上政府参考人 お答えします。  国土交通省では、公共事業用地の取得に伴い必要となる登記申請、これを公共嘱託登記業務として外部発注する場合がありますけれども、当該業務では、御指摘がありましたように、低価格での入札が多く見受けられる状況であります。  こうしたことから、委員御指摘のとおり、関東地方整備局においては、当該業務の品質確保を図るため、会計法規等に基づく低入札価格調査に加えまして、予定価格が一千万円以下の業務につきましても、低価格での入札があった場合には、履行確実性の審査、評価を行いまして、また、履行体制の強化等の実施を求める取組を令和五年度から試行する予定としてございます。  国土交通省としましては、この試行の状況等を踏まえて、必要に応じて他の地方整備局等にも拡大することも含めまして、当該業務の品質確保に努めてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。是非結果をしっかりと出していただければと思います。  そして、大切なことを聞くのを忘れておりました。西田政務官の公職選挙法事前運動の疑惑についての質問をさせていただきたいと思います。  週刊誌、いわゆる文春砲で取り上げられておりました、西田政務官の公職選挙法疑惑の記事について、事実確認をさせていただきたいと思います。  二月上旬に地元住民に対し送付した、本年三月に行われる県議会議員選挙に、ある地方議会議員の名前を出し、最適任者と認め公認し、強力に推薦いたしますなどと記した文書について、このような文書を送付したことは事実でしょうか。 ○西田大臣政務官 お答えいたします。  事実でございます。 ○小宮山委員 それでは、週刊誌では一か所となっておりましたけれども、ほかの選挙区やほかの候補者について、同様の類似の送付は行っていないか。旧統一教会の自民党の調査、後出しじゃんけんが結構ありまして、それを考えると、まず、ちょっとこの辺りも、ほかのところに出していないか、いるのか、確認をさせていただきたいと思います。 ○西田大臣政務官 ほかにもございます。  これらは、自由民主党石川県支部連合会における公認決定の事実を党支部から連絡した文書であり、選挙運動に係る文書ではございません。 ○小宮山委員 選挙を特定し、支援をお願いしますと記述しているのは、公職選挙法が禁じている告示前の事前運動に当たるとの指摘に当たらないと主張するなら、その理由、改めてお聞かせください。 ○西田大臣政務官 お答えいたします。  公認決定の事実を連絡するための文書でありますので、対象の選挙と公認対象者の名前を記載しているものでございます。そのため、選挙運動に係る文書ではございません。 ○小宮山委員 大分苦しいかなと思いますけれども。  石川県では、二〇一三年、同様の事前運動が発覚し、公職選挙法で金沢市議が書類送検され、罰金三十万円と公民権停止二年間の略式命令を受け、議員は辞職をされています。この当時、西田政務官は、衆議院議員秘書を経て、市議会議員、県議 会議員になられたはずで、この市議会議員が辞職に至った事件を知らないわけはないと思います。  選挙を特定した上での特定候補者への投票の呼びかけと有権者に捉えられる、ましてや、総理大臣や国土交通政務官という権威ある役職に就いている方の言葉、また、許認可や公共事業の決定に深く関わる政務は、公職選挙法だけでなく、景気の落ち込んだ地域経済では、推さなくては仕事が取れなくなるかもしれないといった心理的圧迫にもつながりかねる可能性があります。これによって、政治は汚いと嫌悪感を拡散するなど、倫理的にも問題が多く含まれた課題だと思っております。  ここで反省を促しておきますし、また、この点に関しましては、二〇一三年の事例も考えますと、司法の方にしっかりと判断も、私自身は委ねるべきかと考えております。  それでは、大臣所信に対する質疑に戻らせていただきます。  さて、観光産業です。  地方は本当に疲弊をしておりますので、新型コロナが収束に向かう中で、水際対策の緩和など、マスクの使用のルールの変更、個人の判断に委ねるという状況が多々出ております。そして、たとえコロナ禍を乗り切ったとしても、旅館業や仕出しさんや、観光産業の関係の事業者さんたちには多くの多くの課題が残っています。  観光関連産業の裾野は広くて、大体九百万人の雇用にもつながっていると分析もされています。  しかし、このような中において、たとえ新型コロナ禍を乗り切ったとしても、無利子の融資などの返済が求められてくるなど、厳しい状況に変わりはありません。コロナ禍での旅館の海外投資家への売却が進んでいるなどという、観光立国でありながら大変残念な話があちこちから聞こえてもまいります。  観光立国の実現は、国内企業、地域の参加があってこそですが、日本政府として、国内観光産業の現時点の問題点、課題、そして将来に向けた支援と結果の目標についてお聞かせください。 ○秡川政府参考人 今御指摘をいただきました観光産業、特に宿泊業なんですけれども、地域経済の牽引役であるとともに、それ自体が地域の個性を象徴する有力な観光資源だというふうに考えております。  しかしながら、コロナ禍によりまして旅行需要が大幅に減少した結果、債務残高がコロナ前と比較して大幅に増大したり、大変大きな影響を受けております。また、収益性や生産性が低い、あと人手不足などの構造的な課題も顕在化しております。  観光庁としては、観光地、観光産業の再生、高付加価値化、観光DXの推進などの施策を総合的に講じることによりまして、観光産業が持続可能で魅力ある、稼げる産業へと変革していけるよう、しっかり取り組んでまいります。 ○小宮山委員 観光による経済効果八割は、国内旅行でもあります。海外からの旅行者の大半を受け入れる航空旅客は、まだ低調にとどまっていると聞いています。  大臣は、「航空会社や空港会社等の経営基盤の強化を図ってまいります。」とした上で、グラウンドハンドリングや保安検査の体制強化等による受入れ環境整備の推進について述べられております。  現在、各地の空港では、グラウンドハンドリングや検査、保安に対する要員の確保が十分でなく、出入国に非常に時間がかかり、さらに、新型コロナ感染拡大防止のために間隔を空けての対応が非常に難しいといった問題も起きていると聞いています。  観光産業が、新型コロナ禍で、将来不安定な産業と認識され、人材確保においては、新規に従事することが避けられるといった傾向も報告がされております。即戦力となる経験者の復職も、望んでも離職者が戻ることがないのが現実で、保安検査の人材も、同様になかなか戻ってきてもらえません。また、新人では直ちに職務を行えないために、出入国手続の窓口の縮小といったことも起きています。  グラウンドハンドリングや保安検査の体制強化等としての、どのような取組を進めていくのか、お伺いいたします。 ○久保田政府参考人 お答えいたします。  グラウンドハンドリングや保安検査などの空港業務は航空機の離発着に不可欠な業務でございますが、厳しい労働環境やコロナ禍で脆弱な業界というイメージがちょっと定着したことなどによりまして、コロナ前と比較しますと人員が約二割減少するなど、人手不足に直面をしておるところでございます。  この課題の解決には、地方自治体、空港関係事業者など地域の関係者が総力を挙げて取り組むことが不可欠であると考えてございます。このため、国土交通省におきましては、空港ごとにワーキンググループを設置して、関係者、これは自治体を含めてですけれども、一丸となって人材確保、育成、そして効率的な運用に取り組むことを推進しておるところでございます。  また、これらの取組を後押しするため、今年度の補正予算では、採用活動や人材育成の支援、業務効率化等の支援を実施しているところでございます。これによりまして、空港関係事業者による合同就職セミナーなどの新たな取組も個々の空港で進んでいるところでございます。  さらに、先月から、空港業務全体を対象とした、我々としては初の有識者会議を設置いたしまして、空港関係者から実態をお伺いしながら、空港業務の持続的発展に向けた取組指針の検討を進めることとしております。  引き続き、自治体関係者を含む関係者と密接に連携をしながら、空港におけます必要な人材の確保や生産性の向上に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えてございます。 ○小宮山委員 是非全力で取り組んでいただきたいと思いますし、また、多くの学生さんたち、学んでいる方たち、保安検査やグラウンドハンドリング、この仕事というのが非常に有意義であり、将来性があるということが実感できるような、そんな支援の仕方もお考えいただきたいと思います。  よろしくお願いいたします。  さて、あした、三・一一は、東日本大震災から十二年を迎えます。また、トルコ、シリアでの大地震から約一か月が経過をいたしました。改めて、お亡くなりになった皆様に御冥福と、被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。  また、先ほども指摘がございましたけれども、東日本大震災、またシリアも、大規模な自然災害のときには行方不明になった方々がずっといらっしゃいます。多くの御家族の方の御心痛を考えると、少しでもその方たちが癒やされること、そして見つかることを改めて願わずにはいられません。  これらの大規模地震災害から私たちは様々なことを教えられ、学んでおります。私たちが忘れずにいることもお伝えしていきたいと思います。  大臣所信で、国民の生命財産を守るため、災害への備えが必要と述べられました。また、安心して暮らせる住まいの確保も掲げられておりました。  超高齢化、少子化社会、人口減少の社会を迎える中で、我が国の住宅・建築政策において、建物そのものに関しての課題は、大きくくくると、空き家問題、老朽化マンション対策、そして省エネ対策の三点に集約されると考えます。  空き家問題については、一九七〇年代初頭には既に住宅総数が総世帯数を超えており、二〇一八年現在のデータで、空き家数は約八百四十九万戸、空き家率は一三%を超えており、老朽化により倒壊の危険性が高まるなど、社会問題となっています。これは、新築至上主義的な住宅政策により、中古住宅の資産価値が築後二十年でほぼゼロになるということも大きな要因になっていると考えます。  旧耐震基準で建てられた築後四十年以上が経過したマンションは、全国で百万棟を超えております。このような老朽化マンションの建て替え、更新は余り進んでおりません。法務省、国土交通省等により、区分所有法改正、建て替え要件の緩和等が検討されていると聞きますが、建て替えには関係者の調整に多大な労力と時間がかかり、これまた即効性があるものではないと捉えております。  老朽化マンションについて一刻も早く耐震性能を確保することは喫緊の課題でもあり、具体的な解決策をどのように考えていらっしゃるのか、大臣にお伺いいたします。 ○斉藤(鉄)国務大臣 いつ起きるか分からない大地震に備えて、多くの国民が居住するマンションの耐震性が確保されるよう、老朽化が進んだマンションにおきまして耐震改修や建て替えを進めることは、非常に重要な課題だと思っております。  特に、区分所有形態という性質上、これらを実施する際に不可欠となる管理組合内の合意形成を後押しし、また、所有者負担の軽減を図る支援措置を講じていく必要があると考えております。  具体的には、耐震改修を促進するため、地方公共団体が耐震性不足であることを確認したマンションを対象に、管理組合における決議要件を緩和する措置を講じているところです。また、耐震改修費を支援するため、合意形成などが困難であるマンションの特性を踏まえ、通常よりも高い、国、地方の合計で三分の一を補助しております。さらに、耐震性不足のマンションを建て替える場合の容積率を緩和し、建て替え事業の採算性向上を図る等の措置を講じております。  引き続き、様々な施策を総動員して、全力でマンションの耐震性の確保に取り組んでまいりたいと決意しております。 ○小宮山委員 ありがとうございますます。  思い起こしますと十年以上前、私は、当選間もなくから、前田武志先生を始め多くの先輩議員とともにマンションの建て替え問題に着手いたしました。なかなか法務省の壁が厳しくて、その後も、空き家問題も含めまして、国交省の住宅局関係の皆様、本当に努力をされて今ここに来ているんだというふうに、改めて大臣の答弁を聞きながら感じておりますが、まだまだ、もう一歩先に進まなければならないということも事実だと思います。  家庭でのヒートショック等による死亡者は年間約一万七千人で、住宅における安全確保というのは、大変大きなテーマとなっています。  省エネ対策に関しては、昨年、令和四年五月に建築物省エネ法が改正され、新築の建物について、省エネ基準適合が義務化が拡大されております。  建築物、特に住宅の省エネ基準を欧米並みに引き上げるとともに、建築物の断熱改修を早急に進める必要があると思いますが、国土交通省の御見解をお聞かせください。 ○塩見政府参考人 お答え申し上げます。  ドイツなどの欧米諸国におきます建築物の省エネ基準では、全館暖房でありますとか長時間の暖房に伴いますエネルギー使用量が多いということなども背景に、我が国の現行の省エネ基準を上回る、ZEH水準におおむね相当する断熱性能を求めているというふうに承知をしてございます。  我が国は、二〇三〇年度以降に新築される住宅に関しまして、このZEH水準の省エネ性能が確保されることを目指しまして、省エネ基準の段階的な引上げを遅くとも二〇三〇年度までに行うということが政府の方針となってございますので、その円滑な実施に努めてまいりたいと存じます。  それから、既存建築物の断熱化についてのお尋ねをいただきました。  エネルギー消費量を削減する観点だけでなくて、温熱環境の改善を通じたヒートショックの防止など、住まい手の健康の観点からも大変重要であるというふうに認識をしてございます。このため、断熱改修によってもたらされる様々な効果の普及啓発を行いながら、住宅所有者の後押しとなるような負担軽減策を関係省庁と連携しながら講じてまいりたいと存じます。 ○小宮山委員 省エネ推進というのは、あくまでエネルギーを使うことでもありますから、まずこの前提から脱却する必要があるかと思います。省エネ基準を諸外国並みに引き上げていくという方向も望ましいけれども、同時に、低エネルギー、ゼロエネルギーとして、エネルギーを用いないという住まい方も推進されるべきだと考えます。  日本の伝統的構法の建築物から分かるのは、夏の高温多湿に対応するため、風通しをよくすることで、ゼロエネルギーかつ心地よく暮らせる住宅設計も行われてきております。高気密、高断熱での省エネ性能のよい住宅とともに、気候風土適応型の建築も施主が選択できるように、国土交通省には、地方自治体とともに両施策を推進されることをお願いいたします。  マンションなどの老朽化ビルは、これまで、取壊しと建築を繰り返す、スクラップ・アンド・ビルドを行うしかありませんでした。しかし、この手法では、建築廃棄物や建て替えるための用地確保など、再建築以外の経費が多額となるため、実際には老朽化マンションの建て替えは進んでおりません。西欧諸国では、既存住宅の活用を重視しており、むしろ新築の原則を認めていない地域も多いと聞きます。  住宅建築政策における課題への対応策として、取壊しと建築を繰り返すスクラップドビルドの現状から脱却して、既存ストックの活用にかじを切ることが求められています。政府として、新築重視から既存住宅活用へと大きく政策転換を行うことは検討されているのか、お聞かせください。 ○斉藤(鉄)国務大臣 私も小宮山委員と同じ問題意識を持っております。  日本は、住宅はいわゆるストックとしてなかなか財産化しないという問題がございます。今後の住宅政策においては、将来世代に継承できる良質な住宅ストックを形成し、これらの良質なストックが循環するシステムの構築など、既存住宅中心の施策体系へ転換を進めることが非常に重要だと思っております。  住宅ストックの現状を見ますと、耐震性を満たさない住宅が約七百万戸あり、省エネ性能やバリアフリー性能が不十分な住宅等も多数あることから、これらの住宅の建て替えや改修による性能向上が必要です。  また、既存住宅の流通を活性化し、空き家の発生を抑制するためにも、既存住宅の流通とリフォーム市場を二十兆円規模に拡大させる長期目標の達成に向け、ストックの性能向上と併せて、既存住宅に対する安心感を高める施策を一層強化してまいります。  国土交通省としては、こうした施策を通じ、住宅ストックの質の向上に取り組むとともに、これらの住宅ストックが世代を超えて継承される市場環境の整備に取り組んでまいりたいと思います。  既存住宅をまず性能をアップさせる、そして、それを長年使っていけるようにする、そういうふうに日本を変えていかなければいけないと思います。 ○小宮山委員 これまで、木材活用として、CLT、直交集成材などの新技術の推進にしても、提唱してまいりましたが、既存ストックの活用に資する新たな手法の一つとしてリファイニング建築と呼ばれる改修技術がありますが、国土交通省での認識をお聞かせください。 ○塩見政府参考人 お答えいたします。  委員御指摘のリファイニング建築は、建築家でいらっしゃる青木茂先生がその名称や定義も含めて提唱されておられまして、既存建築物の柱やはりなどの構造躯体を有効利用しながら、大胆なデザインの転換や設備の一新を図る、しかも、耐震性能を現行基準のレベルまで向上させる、そういう改修手法として、事業化が図られていると承知しております。  国土交通省の方でも、予算事業であります住宅・建築物省CO2先導事業というものがございます。この事業におきましてリファイニング建築の手法によります建築物の再生を補助したことがございまして、その実績を踏まえて申し上げますと、耐震性や居住性、省エネ性等の向上を図りながら既存建築物の長寿命化を図ることができる、意義の多い改修手法の一つであると認識をしてございます。 ○小宮山委員 リファイニング建設は、一般的なリフォームやリノベーションとは異なりまして、一級建築士の資格を持った技術者が確認申請を行って、建築部の躯体を残しながら、先ほど説明があったとおり、建築物の躯体を残しながら、新築同様に再生する手法であり、耐震性や省エネ性能を向上させる上で、新築、建て替えた場合と比べてCO2の排出量が約六分の一で済むとされるものであります。  これに関しまして、リファイニング建築の考え方は政府のカーボンニュートラル政策に適した改修の手法と考えますが、大臣、どうお考えになりますか。 ○斉藤(鉄)国務大臣 カーボンニュートラルという観点からも、既存建築物を省エネ性能の高い建築物に改修することでCO2排出量を削減することは大変重要であり、御指摘のリファイニング建築は非常に有効な手法である、このように考えております。  さらに、既存の構造躯体を有効利用する改修手法であるため、完全に解体して新築する工事と比較して、工事段階でのCO2排出量を大幅に削減できることからも、リファイニング建築はカーボンニュートラル政策に適している改修手法と考えられます。  国土交通省としては、省エネ改修や耐震改修などに対する支援措置を活用しながら、リファイニング建築を始めとした、既存建築物の性能向上を図り、その有効活用を図る取組を推進してまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 災害大国である日本でもあります。  早く百万戸ある老朽化マンションなどの建て替えが進むことで、より安全な地域、日本になると考えておりますので、これからもこのようないろいろな機会を捉えて進めていただくことを要請いたします。  さて、住宅政策を考える中で、建築物、国交省では、よく、建てること、建築に関してのハードの面が取り上げられますが、建築物というのはやはり使ってこそ意味があります。ハード面と別で、居住や暮らす、ソフト面の充実があってこそ、建てることも、リファインすることも、そして、リノベーションすることにも大きな意義が生まれてくると考えています。  住宅政策においては、建物そのものに対しての課題のほかに、G7を始め諸外国と比べて、住宅補助、家賃補助などの導入が行われていないという特徴が日本では見られます。  立憲民主党では、住宅補助、家賃補助を制度として設けることで、生活する上での極めて重要な住まいの確保について取り組んでいくべきだという政策の提言をさせていただいています。  住宅セーフティーネットの拡充又は適用拡大など福祉の観点だけでなく、住宅補助、家賃補助制度の整備について、国土交通省としてどのようなお考えがあるか、施策があるかお聞かせください。 ○斉藤(鉄)国務大臣 住まいは生活の基盤であり、住宅の確保に配慮が必要な方も含め、誰もが安心して暮らせる居住環境の整備に取り組んでおります。  具体的には、住宅に困窮する低額所得者に対して、低廉な家賃で住まいを賃貸する公営住宅等の供給に加えて、住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティーネット登録住宅の確保、家賃低廉化等の支援を推進しているところでございます。  引き続き、福祉政策を所管する厚生労働省や地方公共団体等と連携して、令和五年度からセーフティーネット登録住宅に係る家賃低廉化補助の支援期間を一定の場合に延長するなど、住宅の確保に関する支援の充実に取り組んでまいりたいと思っております。 ○小宮山委員 是非、厚生労働省も含めまして、国交省も含めて、しっかりと住まいの安定の確保というものを進めていただければと思います。  今国会、様々な重要な案件がこの国土交通委員会にはかかります。また、国土交通省の所管に関しても多くの課題があります。是非十分な審議を取られること、委員長を始め理事の皆様方には確保していただくことをお願いいたしまして、質問を終了いたします。