令和4年11月9日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○木原委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 立憲民主党、小宮山泰子でございます。  本日は、先週の大臣に対する質疑の残余の質問を引き続き質問させていただきたいと思います。  先般、日鳶連の会長から、足場からの転落事故による直近の被害事例を伺いました。日本では毎日のように工事現場からの転落事故により負傷また死亡事故が起きているようです。非常に痛まし いことでもあります。対策を万全にするための安全経費が確保されていない、こんな現場からの声もあり、危険な仕事ではありますが、都市の発展や、また社会インフラの整備、こういう意味にお いては、日本の大きな産業でもあり、ここを支える職人をしっかりと支えるということは政治の使命だと考えております。  また、このような危険な職場ということもあり、若い世代や新規労働者の参入障壁というものも、安全経費が確保されない、そして安全が確保されないということにつながり、参入障壁につながっ ているとの認識がございます。そこで、伺わせていただきたいと思います。  まず最初に、建築現場での転落事故の被害状況について現在どのような把握をされているのか、把握している実数、事故発生の傾向をお聞かせください。 ○美濃政府参考人 お答え申し上げます。  令和三年の労働災害による死亡者八百六十七人のうち、建設業における死亡者は二百八十八人であり、全産業の約三三%と最も大きな割合を占めております。  また、建設業における死亡者二百八十八人のうち、墜落、転落によるものは百十人であり、約三八%と最も大きな割合を占めているという状況にございます。 ○小宮山委員 今厚生労働省から示されたとおり、大変大きな割合がこの事故によって起きているということになります。  大臣所信の所信的挨拶において、担い手、特に建設業の確保の項目で、労務費や燃料費を適切に転嫁できる環境の整備等による取引環境の適正化を図りつつ、賃金の引上げに向けた取組を進めま すと述べられましたが、具体的にどのようなことに取り組んでいかれるのか、お聞かせください。 ○斉藤国務大臣 建設業の担い手の確保は喫緊の課題でございます。労務費等の必要な経費が適切に確保されるよう、建設資材等の高騰を踏まえた価格転嫁や賃金水準の引上げに向けた取組、この 二つに取り組んでおります。  現下の建設資材等の高騰に関しては、直轄工事において、最新の単価を予定価格に反映するとともに、請負代金額の変更規定、いわゆるスライド条項の適切な運用に努めており、本年六月には一 部規定の運用ルールを改定したところです。  また、地方公共団体に対して、最新の単価を適切に予定価格へ反映させつつ、適正な積算を行うこと等を要請しております。  さらに、民間工事についても、適正な工期の確保や、契約後の状況に応じた必要な契約変更について、民間発注者や建設業団体等に対して要請しております。  また、賃金水準の引上げに関しましては、公共工事設計労務単価について、十年連続となる引上げを行うとともに、私と建設業四団体トップとの定期的な意見交換会において、おおむね三%の賃 金上昇の実現に向けて、官民一体となって取り組んでいくことを再確認したところです。また、ダンピング対策の徹底等、賃金引上げに向けた取組を進めております。  このような適正な価格転嫁、賃金水準の引上げが、ひいては、現場の安全、そして魅力ある職場につながっていくと思います。 ○小宮山委員 大臣のおっしゃるとおり、ダンピング対策、また、賃金がしっかり上がるということは重要だと思います。これが現実に具体的に実行されなければならないんだと思っています。  建設職人基本法超党派の国会議員フォローアップ推進会議では、転落事故防止による被害をなくすための議論を重ねております。同会議での取りまとめを受けて、国土交通省では、建設工事における安全衛生経費の確保に関する実務者検討会を設置し、六月、建設工事における安全衛生経費の適切な支払いに向けての提言を取りまとめられました。  提言を踏まえて、民間工事においても、安全衛生経費の適切な支払いのための実効性ある施策として、今後どのような取組を進めていくのか、確認をいたします。 ○斉藤国務大臣 御指摘の安全衛生経費は、労働災害防止対策を適切に実施する上で必要な経費であり、この安全衛生経費が下請負人まで適切に支払われることが重要でございます。  このため、国土交通省では、本年六月に実務者検討会において取りまとめていただいた提言を踏まえ、学識経験者や業界団体等にも御協力を得ながら、安全衛生経費の見える化等に向けた検討を 開始したところでございます。  具体的には、本年度は、安全衛生経費の適切な支払いを確認するための確認表の作成に取り組むこと、そして来年度は、安全衛生経費の内訳明示のための標準見積書の作成に取り組んでまいりま す。また、作成した確認表等の普及や、安全衛生経費の必要性や重要性に関する戦略的広報も重要であり、業界団体等の御協力もいただきながら、並行して取組を進めてまいります。  国土交通省としましては、公共工事、民間工事、いずれにおきましても、安全衛生経費が下請負人に確実に支払われ、技能者の方々が建設現場で安全に安心して働くことができるよう、引き続き、 しっかりと検討を進めてまいりたいと思っております。 ○小宮山委員 建設職人基本法、これは、ある意味、初めて一人親方をきちんと法律上に記したものでもあります。この中での、今大臣が指摘いただきました確認表の作成、また、これを普及され、 そして標準見積りの作成というものが現実になっていくこと、これは大変重要なことだと思っておりますし、その実行、是非しっかりと私たちも注視をしていきたいと思っております。  さて、足場組立て後の安全点検においては、事業者と注文者の各々が安全点検実施者の指名を行い、その結果と氏名の記録、保存をすることとし、そのために必要な規則改正を行うべきだと考えて おります。点検実務者の指名に当たっては、推進要綱に示された十分な知識経験を有する四要件のいずれかの資格を有する者とすることなど、労働基準監督署などによる指導徹底が図られるべきで もあります。また、足場の安全点検を行う場合は、機材別チェックリスト等の活用を図っていくことも必要です。  厚生労働省に所見をお伺いいたします。 ○美濃政府参考人 お答え申し上げます。  厚生労働省では、建設業における労働災害のうち最も大きな割合を占める墜落、転落災害を防止するため、建設業における墜落・転落防止対策の充実強化に関する実務者会合を開催し、令和四年 十月に報告書を公表したところでございます。  その報告書では、現在、法令によって義務づけられている足場の点検をより確実に実施するため、点検実施者を指名し、その氏名、お名前を記録、保存の対象とすることを法令上明確化すること、 足場の点検実施者は、研修の受講等により一定の能力を有する者とすることが適切であることなどが提言されてございます。  厚生労働省では、実務者会合の御提言を踏まえ、関係法令の見直しに向けて速やかに対応していきたいと考えております。  また、法令改正に合わせて、足場からの墜落・転落防止総合対策推進要綱に基づく点検実施者の要件や足場等の種類別点検チェックリストの活用につきまして改めて周知、指導を行う等、墜落、 転落災害防止対策の充実強化を図ってまいりたい、このように考えてございます。 ○小宮山委員 手すり先行足場採用の促進、強化、向上を更に図るために、一人親方等を含め、労働基準監督署などによる周知、指導が必要と考えます。また、転落、墜落死傷災害の原因分析とフォ ローを徹底して行っていかなければなりません。厚生労働省にこの点を伺いますし、また、厚生労働省だけではなく、国土交通省においても、やはり建設職人の方たちは国交省の関係の情報に触れ ることが基本的には多いので、やはり周知、指導というのは国交省からも行うべきと考えますが、御所見をお聞かせください。 ○美濃政府参考人 建設業におけます墜落・転落防止対策の充実強化に関する実務者会合報告書では、手すり先行工法の更なる普及のため、手すり先行工法等に関するガイドラインの内容の充実を 図るとともに、同ガイドラインの周知、指導とフォローを行うことなどが提言されてございます。  厚生労働省では、実務者会合の御提言を踏まえ、ガイドライン等の見直しに向けて速やかに対応し、改めて一人親方を含めたガイドラインの周知、指導を行うとともに、墜落、転落死傷災害の原因分析等にも引き続き取り組んでまいりたい、このように考えてございます。 ○長橋政府参考人 委員御指摘のとおり、一人親方の建設技能者に対しまして、安全衛生対策に関する情報を分かりやすく伝えるということが非常に重要だと考えております。  このため、先ほど答弁ございました厚労省におけるガイドラインの見直し、あるいは周知、指導の取組と併せて、国土交通省としても、安全衛生対策の重要性が分かりやすく伝わるようなリーフ レットを作成し、関係団体とも連携しながら戦略的広報に取り組んでいきたいと思います。 ○小宮山委員 是非よろしくお願いいたします。  さて、あしたは、皆さん、何の日か御存じでしょうか。あしたは無電柱化の日ということで、十一月十日は無電柱化の日であります。  昨日は四百四十二年ぶりの天体ショーということで、空を見上げた方もいるかと思いますが、日中見ると、電線が横切って、青い空を見ることができない地域はたくさんあると思います。そして、 防災上も非常に危ないことがある、倒壊等で道を塞ぐ、そういったこともあり、この無電柱化推進の法律はできております。  この法律自体は超党派による議員立法で成立させて、新たな電柱は立てない、既存の電柱は減らしていくことが期待され、現在も進んでいる施策だとは思いますが、今も毎年、電柱が増加をして おります。推進法が求めている政策実現に即しているとは言い難く、厳しく言えば逆行しているのではないかとさえ指摘もあります。  無電柱化に向けた国土交通省の取組、十分行われていると考えているのか、どのような施策に取り組んでいくのか、大臣にお伺いします。 ○斉藤国務大臣 無電柱化は、道路の防災性の向上、そして安全、円滑な交通の確保、良好な景観形成などの観点から大変重要な施策と考えております。  しかしながら、令和三年度に、関係省庁で連携し新設電柱の設置状況を調査したところ、約四万八千本増加している、そういう状況でありました。  増加要因としては、個別の家屋新築等に伴う電力の供給を目的とした増加であったこと等の結果を踏まえ、令和四年四月に、関係省庁とともに新設電柱の抑制策を取りまとめたところです。  このうち、国土交通省の抑制策としては、市街地開発事業等においては、令和四年度から無電柱化の新たな支援制度を創設し、市街地開発事業等における無電柱化の取組を進めております。  また、道路管理者としては、市町村管理を含む緊急輸送道路の全線において新設電柱の占用制限を実施するとともに、道路整備時に将来の電力需要が見込める場合には、事前に管路を埋設するな どの取組を進めているところです。  なお、既存の電柱に対しては、引き続き、無電柱化を進めるとともに、緊急輸送道路において、電柱倒壊による道路閉塞の影響が大きい区間など、優先順位の高い区間から早期に占用制限の開始に 取り組んでまいります。  引き続き、関係省庁と連携し、新設電柱の抑制及び既設電柱の削減に向けて取り組んでまいりたいと思います。 ○小宮山委員 二〇一六年に無電柱化推進法ができた頃までは、毎年七万本ずつ新設の電柱が増えていました。しかし、できてから、何とか今、新設は四万八千本に増加が鈍化をしましたが、全国 には、日本には約三万六千万本もの電柱が立っている現実は変わりません。  無電柱化、いろいろな工事をしていく中において、私自身が台湾の台北市に視察を行った際、インフラ工事とメンテナンス、改修までの一元管理が行われている現場を見させていただきました。  道路、電気、通信などインフラ整備と併せて、計画、日程についても情報公開も行われ、縦割りの弊害と言われる日本でも同様の管理体制が導入できたら効率化になるのではないかと感じておりま す。  従前も委員会での質疑で取り上げましたが、改めて国交大臣に御所見を聞きたいと思います。 ○斉藤国務大臣 効率的に取り組めというお話でございます。  無電柱化の推進に当たっては、コスト縮減や事業のスピードアップを図ることが重要であり、御指摘の事業手法の効率化は極めて重要であると認識しております。  そのために、設計と道路管理者が実施する工事、それから電線管理者が実施する工事等を一体的に実施する包括発注の普及や、民間ノウハウを活用し、設計、工事に加え維持管理まで一体的に実施 するPFI手法の普及などに取り組んでおります。  関係省庁と連携し、無電柱化の効率的な事業手法の普及拡大に努めてまいります。 ○小宮山委員 本日配付させていただいております資料、先ほどからの大臣の答弁にあった電柱の調査結果、また、日本がどれだけ遅れているかということを記したもの、これは国土交通省のホー ムページより添付をさせていただきました。  また、私の町、埼玉県の川越市は、無電柱化でまちづくりが非常にうまくいった、町並み保存がいったということで有名ではありますが、残念ながら、まだまだ川越祭りの巡行するルートにおい ては電線がたくさんあります。これについても、今現在というか昭和五十年代からの資料等を出させていただきましたが、電線がないところとあるところ、これをくぐるために山車の形まで変える という意味では、祭り自体も矮小化するというようなことも起きています。  観光政策に力を入れていくという国において、まだまだ、そういう意味では、本来の姿を取り戻すためにも、この無電柱というのは進めていただきたいと思います。  時間となりましたので、最後の質問の方はこちらから最後にお願いでございます。  本日もここにいらっしゃる委員も含めまして、あしたが無電柱化の日ということ、なかなか認知が進んでいないかと思いますが、みんな知っていらっしゃいますか、それだと心強いんですが、是 非、この認知向上のために、しっかり推進をしていただくこと、国交省には全力を尽くしていただくことも併せてお願いいたしまして、私の質問を終わりといたします。  ありがとうございました。