令和4年5月20日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◆この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◆後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◆今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○中根委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。  本日は、脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案を審議させていただきますが、今回、今国会で検討として実質提出を見送られていたのが、四月下旬に一転して、急遽、国会提出となりましたこの法案であります。  自民党や与党の方々は事前審査でやっているかもしれませんが、野党に関しては、非常に短時間で法案審査をする、本日も度々、審査の法文内容で不明瞭なところがある、また、現場からも、理解というものが難しい、読み込みが難しいという声が、不安が届いていることを伝えさせていただきます。  今回の法案に関しては、日本は一九八〇年に初めて断熱基準を導入し、それ以降、長らく任意基準という形で、ずっとこの問題は置き去りにされてきました。二〇二〇年に本来であれば法案も恐らく成立させて、二〇二五年の義務化という方向だったのが、やっと本日、こうやって審議まで至ったこと、これに関しては、これまで様々努力された方々、そして受け入れようとされる方々の御努力には心から敬意と、そして現実に、この義務化をすることによって、環境に優しい、そういった建築物にしていかなければならない責務があると思っております。  本法案の、エネルギー消費の法案では、消費の大体約三割を占める建築物分野での省エネ対策、そして木材需要の約四割を占めるのも建築物分野であります。だからこそ、この法案で両面からの制度の義務化、また推進というのがうたわれていることになるんだと思います。  具体的な目標は、二〇一三年度からの対策としての、住宅建築物に係るエネルギー消費量を約八百八十九万キロリットル削減を二〇三〇年度までにと掲げた策でもあります。全ての新築住宅、非住宅に省エネ基準適合義務をつけるものでもあります。  まず最初に、大規模修繕の模様替えに伴う建築確認についてお伺いいたします。  建築基準法第六条の改正により、二階建て、二百平方メートル超えは、新築及び大規模修繕、模様替えなどに伴い、建築確認が必要となります。  例えば、鳥取県の事例のように、屋根のふき替えなど大規模修繕には当たらないとされる条例等で示される事例もありますが、その一方で、明示されていない特定行政庁が多いのも事実です。あくまで特定行政庁の判断であるため、国土交通省から、このようにしてくださいと指導したり、ガイドラインで示すということはできない仕組みながらも、建築の現場に携わる実務者には混乱を招きかねません。また、仮に屋根ふき替えが大規模修繕に該当するという判断をする地域、特定行政庁があって、その地域で気づかれないままにふき替え工事を行った場合、建築基準法違反建築となるおそれもあります。  二階建て木造住宅の屋根ふき替えなどが建築確認の対象となる大規模修繕に該当するか否かの判断については、自治体、特定行政庁により地域ごとに判断が異なるため、工務店や施主が混乱、心配の声が上がっております。  国土交通省としてどのように周知徹底や情報提供など取組を行っていくのか、お伺いいたします。 ○淡野政府参考人 お答え申し上げます。  本法案に基づきます建築基準法の改正において、建築確認時の審査省略対象物件における構造規定の違反事案の発生を踏まえ、消費者が安心して二階建ての木造建築物を新築、改修できる環境を整備するため、二階建ての木造建築物についても建築確認完了検査により基準への適合性を確保することとしてございます。  当該改正により、御指摘のとおり、壁、柱、屋根など主要構造部の過半の修繕、模様替え、いわゆる大規模な修繕、模様替えを二階建ての木造建築物について行う場合につきましても建築確認検査の対象となってまいります。  どのような工事がこの大規模な修繕、模様替えに該当するかは特定行政庁が判断することとなりますので、御指摘を踏まえ、特定行政庁に運用状況を確認したところでは、屋根瓦など屋根ぶき材のみを交換する工事については、一般的に主要構造部の修繕、模様替えには該当しないものとして、過半を交換する場合であっても建築確認手続を求めない取扱いがなされていると承知しております。  今回の改正に伴い、現場にて混乱が生じないよう、全国の特定行政庁及び指定確認検査機関によって構成される日本建築行政会議などと連携を図りつつ、改正法の施行までに統一的な方針の下で適切な扱いが現場においてなされるよう調整してまいりたいと存じます。 ○小宮山委員 局長の決意や、また説明、ありがとうございます。  これはやはり、先ほどからも質疑の中で、様々な法文の読み込み方、様々課題が出てきています。  明確な判断基準というのが特定行政庁に委ねられたために、そこもまた、全国で活躍する工務店であったり、職人の方だったり、そういった方たちは、その県ごと全部調べるというのもなかなか難しいものもあります。やはり国交省として、きちんと、混乱させないための明確な判断基準というものを提示する、そのような万全の準備を行うべきだと思っております。  通告はしておりませんけれども、大臣、是非、しっかりとその点、省内もそうですけれども、フォローするというか、対応していく決意をお聞かせください。 ○斉藤国務大臣 特定行政庁における判断に大きなばらつきができないよう、しっかり、統一的な扱いになるように、国交省としても指導していきたいと思っております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  また、悪質リフォーム、これだけ機能が充実する、ヒートショック等がなくなる方向に行く、非常に有効なものもこの断熱、高断熱、高気密というものにはあります。そうなると、新築は無理でも建て替えをしたい、少しでも安全に健康的に暮らしたいという方は増えるはずです。また、広告もこの法施行で現場はなると考えます。いわゆる悪質リフォームなどの防止というものは大変この施策を進める中で重要な課題かと思います。  既存の住宅ストック約五千万戸、このうちの省エネ基準適合住宅は約一三%、令和元年の数字ですが、無断熱の住宅は約二九%と推計されております。  この法案が成立し、施行された場合の対象棟数や市場規模をどのぐらい想定をされているのか。  また、いわゆる悪質リフォーム被害の実態について、年間の相談件数など、国交省の把握に関しまして、対応について、簡潔に御説明ください。 ○淡野政府参考人 お答え申し上げます。  本法案において、住宅の省エネ改修に係る住宅金融支援機構による低利融資制度の創設や、補助、税制、融資など、あらゆる施策を総動員することにより、省エネ改修については、戸数ベースで年間二十五万戸を推進してまいりたいと考えてございます。  また、市場規模につきましては、昨年三月に閣議決定された住生活基本計画におきまして、省エネ改修も含めたリフォームや既存住宅流通の市場規模として、二〇一八年時点で十二兆円であったものを、長期的には二十兆円にすることを目指すこととしてございます。  また、悪質リフォームの年間の相談件数ですとか関連の対策でございますけれども、リフォームの訪問販売や点検商法に関する消費者からの相談件数は、二〇二〇年度の実績で、住宅リフォーム・紛争処理支援センターへのリフォーム訪問販売のトラブルに関する相談が五百九十三件、また、全国の消費生活センター等への点検商法に関する相談が七千二十件と承知しておりますが、御指摘のような悪質リフォームの被害金額までは承知していないところでございます。  工事業者の選定、工事内容や工事費用についての情報を十分にお持ちでない住宅の所有者がリフォーム工事に関するトラブルに巻き込まれることを防止する観点から、消費者庁と連携した注意喚起でございますとか、住宅リフォーム・紛争処理支援センターによる相談対応、工事費用の見積りチェックを推進してきているところでございます。 ○小宮山委員 これまで様々ヒアリングを消費者庁等もさせていただいて、相談は受けます、裁判を起こしました、でも、結果として、その後、リフォーム詐欺や被害に遭った方々というのがどのように権利を回復したのか、家を回復したのかというのは、なかなか数字が出てきておりません。  この点に関しては、しっかりとフォローし、また調査をするということもお願いしたいと思います。  また、消費者庁から伺っているんですが、今後、過量の契約は事後でも解約できるという仕組みを設けるべきで、国交省と準備を行っているとの説明がありました。具体的に、国交省として、悪質事業者、悪質リフォームなどの防止のために今後どのような取組をされていくのか、少し後の質問ですけれども、お聞かせください。 ○淡野政府参考人 お答え申し上げます。  過量販売につきましては、訪問販売や電話勧誘販売で行われた場合には、特定商取引法に基づく行政処分の対象となるとともに、契約の締結から一年以内であれば契約の解除を行うことができることとなってございます。  現在、消費者庁におきまして、訪問販売又は電話勧誘販売による悪質リフォーム対策として、住宅リフォーム工事において過量販売と判断される具体的な考え方を検討しているところであり、国土交通省としても検討に必要な協力を行ってございます。  また、本法案に基づく取組の結果として、省エネ改修を進めていく必要性が広く認識されることに伴い、住宅所有者が不利益を被ることなく安心して省エネリフォーム工事を行うことができるよう、改めて、消費者庁と連携して、悪質リフォームに関する注意喚起を行うとともに、相談窓口等の関連制度に関し、周知徹底を図ってまいりたいと存じます。 ○小宮山委員 今、クーリングオフ、約一週間しかありません。その間に工事を始めて断れない状況をつくり出す悪徳事業者の営業マンの告発みたいなもの、そんなものもありました。是非、この過量の制度ができれば、大体一年ぐらいということがクーリングオフの対象、契約を解除できるということですので、これもかなりの抑止力になると思いますので、しっかりと進めてください。  さて、時間の関係もありますが、改正法、この省エネルギー法ですが、断熱、密閉を重視したものとなり、魔法瓶のようなと表現できる建築物になっていくのだろうと。これが主流になるんでしょう。だが、省エネルギーはあくまでエネルギーを使うことが前提です。適度な通気性や湿度、ひさしの活用、周辺の植栽などを用いて、住まう人が自ら心地よいと思える建築物、ゼロエネルギー、低エネルギーで自然とも共生する住まい方など、多様な価値観を包括する建築物省エネになることも期待をしておるところであります。  そこで、伝統的構法に基づく木造建築、気候風土適応住宅などの振興支援について、国土交通大臣のお考えをお聞かせください。 ○斉藤国務大臣 伝統的構法による木造建築物は、我が国の歴史、気候風土に根差した木造文化の伝承や、地域の観光資源の観点からも、次世代に継承していく必要があると考えております。  伝統的構法による木造住宅は、通風、日射の制御や活用など、地域の気候、風土、文化を踏まえた工夫により、優れた居住環境の確保を図るものであることから、建築物省エネ法においては気候風土適応住宅として位置づけ、断熱性能に関する基準の適用を除外するとともに、その要件については、国が定めるものに限らず、地方公共団体が独自要件を定められることとしております。  こうした独自要件の運用の取組も進められつつありますので、今後は、先行する地域の取組状況を横展開するなど、制度の活用を促進してまいります。  これらの取組に加えて、伝統的構法を含め、木造住宅の担い手の育成を推進するため、民間事業者団体が各地域で行う建築大工技能者の育成のための実技や座学の研修等に対し、支援を行っているところです。  このような、規制の合理化や担い手の育成などの取組を通じて、伝統的構法の建築物の振興や気候風土適応住宅の普及拡大に努めてまいります。 ○小宮山委員 今回、大変時間のない中で、東北芸術工科大学の竹内教授や、また東京大学工学部の前准教授、そして、職人がつくる木の家ネットの環境部会に所属もされています綾部工務店の方々や、また、全国の関係の皆様、現場の方から様々なお話を聞きました。まだまだ、改善するところ、そして進めるべきこと、たくさんあるのがこの建築物省エネ法だと思います。  これからもしっかりと私たちの提言をさせていただくことを伝えさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。