令和4年4月6日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ○中根委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。  本日は、宅地造成等規制法の一部を改正する法律案、いわゆる盛土規制法案についての質疑をさせていただきます。  今回の改正は、繰り返しになりますけれども、昨年の熱海での大規模な、盛土を起点とした被害が生じたことから検討され、そして今ここに至っております。改めて、被災者の御冥福と、お見舞いを申し上げたいと思います。  本法案は、盛土等による災害から国民の生命、身体を守るため、宅地造成等規制法を抜本的に改正し、土地の用途にかかわらず、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制しようとするもので、隙間のない規制、盛土等の安全性の確保、責任の所在の明確化、実効性のある罰則の措置を制定するものであります。  まず最初にお聞きいたしますけれども、指定都市又は中核市の市境や県境などの土地の扱いについてです。  竜巻などの被害が起きますと、自然災害は境界線のところは加味をされません、検討しませんけれども、これによって、その後の被災者支援等に、扱いが変化というか、差異が生じてきます。指定都市又は中核市の市境が含まれる土地の区域や都道府県境が含まれる土地の区域に対して基礎調査を行う場合、また、宅地造成等工事規制区域の指定を行おうとする場合、片側だけ基礎調査の実施や規制区域指定が進められるというような不均衡が生じることはないのか、そうした事態とならないよう、どのように対応されるのか、お聞かせください。 ○宇野政府参考人 お答え申し上げます。  盛土等に伴う災害から人命を守るため、本法案に基づく規制区域については、必要かつ十分な区域を指定する必要があり、規制区域を指定する地方公共団体によって、その考え方についてばらつきのないようにする必要があると考えております。  このため、本法案に基づき、国土全体にわたる盛土対策の総括的な考え方や基礎調査の実施方法、規制区域の指定の考え方等について、国から基本方針を示すことにしています。  あわせて、基礎調査や規制区域指定の具体的な方法等についても、国においてガイドラインを策定の上、地方公共団体に示すこととしており、その中で、行政区域の境界における区域の指定等についても互いに整合が取れるよう調整する等、的確な対応について示してまいりたいと考えております。  これらの措置により、必要に応じた十分な区域の指定がなされるものと考えております。 ○小宮山委員 続きまして、法第十二条二項四号及び法第三十条二項四号にて、宅地造成等工事規制区域内での宅地造成等工事、並びに、特定盛土等規制区域内での大規模な崖崩れなどについての質問をさせていただきますが、所有者不明土地が含まれる区域や、相続登記が適宜に行われることのないまま所有者の代替わりが重なるなどして所有権者が複数になる区域など、それらの所有権者全ての同意が確認できない区域については、工事の申請ができない、あるいは工事の許可がされないということになるんでしょうか。 ○宇野政府参考人 お答え申し上げます。  今回の法案では、工事の許可に当たっては、所有者全員の同意を得ていることを求めることとしております。  このため、例えば一部の所有者が不明で連絡がつかないなど、結果として土地所有者全員の同意が得られない場合は、工事の許可がされないこととなります。 ○小宮山委員 本法が有効に活用されるためには、まずは、対象地域の土地の所有者が明確になる必要があります。さきに改正した所有者不明土地の改正法や、また、昨年扱われました相続登記の義務化など、こういった法改正をしてまいりましたけれども、この解決に向けてのなお一層の対応というのが求められておりますので、是非国交省においてもしっかりと進めていただければと思いまこの議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。  後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。  今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。  さて、四月四日、衆議院国土交通委員会としての熱海市への現地視察を行いました。逢初川の源頭部の被災現場に視察した際に、静岡県杉本砂防課長や中部地方整備局からの説明の中に、残土などによって盛土がされることによって、地下水の流れ、こういったものが見えづらくなったということ、大変、地下水というものが大きな役割というか鍵を持っているんだという言葉が耳から離れませんし、重要だと感じました。  地下水の状況把握のため、京都大学の釜井教授は、観測井の設置の重要性を指摘され、義務化をすべきだと推奨されております。  昨年、流域治水関連法が成立し、また、水循環基本法の改正におきましても、地下水を対象とする改正を行ったものであります。その際には、参考人であります橋本淳司さんや、また、水循環基本法フォローアップ委員会の蔵治教授も、地下水の状況把握のためには、観測井の整備、重要性について取り上げられております。  大規模な盛土等の際には、中央縦排水方式にも注意が必要で、工事中の排水施設と供用開始後は分けて考える、地下水の排水施設の適切な設置も必要であります。  まず、盛土が行われる場所について、地下水の状況を把握するため、観測井の設置について、重要性など国土交通省としてどのように捉えていらっしゃるのか、大臣からお伺いします。 ○斉藤国務大臣 小宮山委員おっしゃるとおり、盛土の安全性については地下水により大きな影響を受けるため、必要に応じて、ボーリング調査等による地下水の状況の把握というのは非常に重要だと思っております。それに応じた排水施設等を設置することが安全性確保のために重要となります。  また、盛土後も継続的に地下水の状況を把握するためには、御指摘のような地下水の観測井を設置し、中長期的に水位等の観測を行う方法も考えられます。  盛土の安全確保のための技術基準や安全対策については、地下水が盛土に与える影響等に詳しい有識者にも参画いただく有識者会議を設置し、検討を行うこととしており、その中で、地下水の観測井の取扱いも含め、検討してまいりたいと思っております。 ○小宮山委員 先ほど後藤委員の方からの質問もありましたけれども、扱われました、安定計算による盛土や地盤が液状化をしないことを前提にと言いますけれども、やはり地下の水というものが液状化にももちろん大きく影響もしてくるかと思います。是非この点に関しましても、前提となるところを見直すということを、大臣には、政治家として、そして専門家として、先頭に立って進めていただきたいと思います。  さて、今回の法案に関しましては、農林水産省共管の法律となります。このことの意義について農林水産省から伺いたいとともに、時間の関係がございます、続けて質問も重ねさせていただきますが、森林の維持も大きく影響いたします。国産木材の利益は重視しつつも、皆伐されることによって、水のしみ込み方、そして斜面の保水力や強度というものは大きく変わる。今回も、また、これまで私自身も様々な土石流が起きた被災現場に行く途中、山が皆伐されている姿というのを見てまいりました。これからは、その意味では、小さな林業も推進し、地域を守る、そして、土石流などによって崩落がしないことによって命を守る、この法案の趣旨、一番そこだと思います。命を守るために法案を改正し、農林水産省も共管として入られたんだと思っておりますが、この点に関して、二点、林野庁のお考えをお聞かせください。 ○小坂政府参考人 お答えさせていただきます。  本法案では、御案内のとおり、宅地に加え、森林、農地等も法律の対象とし、国が規制区域の指定の考え方等を定めた基本方針や規制区域内の盛土等の許可基準を策定することとしております。  この基本方針や許可基準の策定に当たっては、地形、地質等の自然的な条件とか、あと土地利用状況、そういった社会的条件を踏まえた検討が必要となることから、森林や農地等における土地の利用に関する知見を有する農林水産省も共管とさせていただいて、国交省とともに、連携してきっちりと盛土規制を進めていきたいというふうに考えているところでございます。  もう一つの御指摘は、皆伐がやはり問題があるんじゃないか、適切な皆伐をすべきではないかというような御質問だというふうに捉えさせていただきました。  近年、豪雨災害等による皆伐跡地崩壊を見ますと、伐採、搬出のための集材路の周辺で崩壊しているケースが多く確認されています。林野庁におきましては、集材路の適切な設置を行うための指針を作成し、その周知を図るとともに、今年の四月から、その指針の内容を市町村森林整備計画に盛り込んでいただいて、伐採届の際に市町村が指導できる、そんな取組を始めたところでございます。  さらに、皆伐した後にやはりきっちりと再造林を確実に行うということが重要だと考えておりまして、再造林に対して事業費の七割を国、県で補助するとともに、省力、低コスト造林への支援の強化、エリートツリーや早生樹による新しい造林モデルの実証、そういったことを予算措置で進めているところでございます。  林野庁としましては、このような取組によって適切な皆伐と再造林を進めることによって、国土保全を始めとする森林の有する多面的機能の発揮を図ってまいりたいと考えているところでございます。 ○小宮山委員 被災した熱海市は、全国的に日本を代表する観光地でもあります。災害というのは、様々な課題はありますし、影響もあり、また、現地に行ったときに、風評被害で、最初やはり厳しい環境に観光地としてはなったということをおっしゃっていました。今も週末は蔓延防止措置も解除されて少しは戻ってきましたが、まだまだ元には戻らないということでもありました。残念ながら新規感染者数も微増という報道はありますが、やはり観光立国としては、観光地への支援というのは大変重要かと思っております。  新型コロナ禍の影響を強く受ける観光関連産業事業者への、債務返済、これも間もなく始まってまいります。負担軽減をすることが重要かと思っております。災害だけではなく、この対策、観光政策というのは国の柱の一つでもありますので、この支援を観光庁から、やはりコロナだけではなく、被災地になった場所、こういったところに対しての、観光庁から関係省庁に強く要請をするべきだと考えますが、いかがでしょうか。 ○和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。  コロナ禍が長期化し、観光関連事業者は、旅行需要の減少に加え、債務が増大するなど、大変厳しい状況にあります。  観光庁といたしましては、観光関連事業者の実情について、都度、金融庁や中小企業庁など関係省庁にもお伝えし、実情に即した対応が取られるよう連携を図ってきたところでございます。  観光関連事業者を含めた事業者の金融の円滑化につきましては、関係大臣から金融関係団体等に対して、累次にわたり、事業者への資金繰り等に関して柔軟な対応を行うよう要請がなされているところです。  また、観光庁といたしましても、各地方運輸局等に特別相談窓口を設け、観光関連事業者からのお問合せに対して、関係機関と連携し、支援策の紹介等を行っております。  観光関連事業者は、この先も地域活性化の重要な担い手であり、しっかり支援していく必要があると考えております。引き続き、観光関連事業者の実情の把握に努め、関係省庁と連携して適切に対応してまいります。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  自然災害による風評被害や的確な情報提供、また、事業継続による観光産業の再興は、観光庁も行う重要な災害対策でもある、また景気対策でもあると考えております。この点に関しまして更に尽力いただくことをお願いいたしまして、また、本日の質疑の中にありましたけれども、やはり、森林審議会を参考に、盛土規制審議会を組織するべきなのではないかということを強く感じておりますので、この点の御検討をお願いいたして、私の質問を終わりといたします。  ありがとうございました。