令和3年5月26日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○あかま委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 おはようございます。  まず、今、何か第一報で、ロシア船と日本のカニ漁船が衝突をし死亡が出たという速報が入っております。是非、海上保安庁を始め皆様、しっかりと情報収集と、まず邦人の安全の確保をお願いしたいと思います。  また、新型コロナの緊急事態宣言また蔓延防止等重点措置の期間延長が、関係自治体からも政府に要望が始まっております。自粛と補償はセットでなければもう耐え切れないという状況に、様々なところで声が上がっております。国会の方の会期は延長しない、東京都議選があるからと通例的に言われることもあります。オリンピックがあるからといろいろ言われますが、国会議員としては、緊急事態宣言下、またそれをする意味において、国民の命、そして生命や、事業者、そういう人たち、現場で頑張っている、そういったエッセンシャルワーカーを始め皆様を守る、その思いで、閉じることなくしっかり対応したい、ここにいる委員の皆様方とはその思いを共有させていただければと思っております。  さて、本日は一般質疑でもございます。建築基本法を制定をしようと、多くの専門家の方々が集まり、議論を重ねておりました。それをまとめられました建築基本法制定の冊子を改めて読みながら、神田順教授を始め皆様方の思いを読ませていただく中で、建築が単なる消費財ではなく社会資産として生き続けるというくだりがありました。  これから、サステーナブルなもの、時代に合わせてこの点をしっかりとするための質疑をさせていただければと思っております。  日本は、古来より建築材料として木材を利用していましたが、昭和三十年頃は国内自給率が九割を超えており、戦後復興復旧に伴う住宅供給増加と昭和三十九年の木材輸入の全面自由化により、安価な外国産木材が建築市場の主流となり、その影響で、平成十四年には国内木材の自給率は一八・八%まで下落しました。国土の七割を森林が占める日本において、建築材料として利用できる木材は豊富に存在しているにもかかわらず、国産木材が今まで十分に有効に活用されてこないで、安価で大型の外国産木材に市場を奪われてきたという形です。  ところが、昨今、この国産木材市場に大きな変化が生じております。  先週の国土交通委員会で、深澤委員から、中小工務店、中小事業者が輸入材、国産材を含めて入手困難となり、事業に支障を来しているとの問いに、林野庁の前島林政部長から、川上から川下に至るまでサプライチェーンを構築していくことに国土交通省と連携して取り組み、国産材で需要を賄っていける、国産材の安定供給体制を構築する取組をしていきたいといった答弁がありました。  私も、青年会議所の後輩も含めて、木材が高騰しているということで、本当に今悲鳴を上げているというのが入ってきております。  国土交通省では、林野庁とどのような連携を取り、国産材の安定供給体制の構築を行っていくのか、お伺いいたします。 ○和田政府参考人 委員御指摘のとおり、木造住宅供給事業者等からは、輸入木材の価格上昇と品薄が進行していること、国産材への代替需要の増加で国産材も品薄、値上がりが起きていることなどなど、お話を聞いてございます。また、木材の調達能力のある大手事業者に比べて、中小工務店に対する影響が大きいものと受け止めてございます。  このため、短期的な対応としましては、住宅用の木材の調達が困難になることなどにより資金繰りに影響を受ける中小工務店を想定し、中小工務店でも活用可能な融資制度の相談窓口等について周知をしているところでございます。  また、事業者による意欲的な取組も出てきており、複数の木造住宅供給事業者と林業事業者などが連携して、関係者の間で木材の需給をコーディネートすることにより、林業事業者にとっては年間の木材供給量を想定しやすくなり、木造住宅の供給事業者にとっては安定的な確保がしやすくなる、このような仕組みを構築している事例もございます。  このような事例を参考に、林野庁と連携しまして、木造住宅供給事業者と林業事業者等との国産材の中長期的な調達の協定や契約、複数の木造住宅事業者による共同調達の仕組みなどについて、事業者からの相談に乗るとともに、業界や市場の実態を把握しながら、必要に応じて、これらに取り組みたいという事業者への支援を検討してまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 人材不足や輸送方法の確保、さらには費用面などから、伐採されないまま放置された樹木があり、様々な課題が山林にはございます。  戦後、全国で広く植林された杉、ヒノキは、樹齢五十年、六十年を超えるなど、伐採に適した時期を迎えていると言われます。これらの活用、用途についてどのような計画があるのか、簡潔にお聞かせください。 ○前島政府参考人 お答えいたします。  本年六月頃の閣議決定を目指して現在検討中の新たな森林・林業基本計画におきましては、木材の生産や運搬に対応した路網の整備、林業の生産性向上や従事者の確保、製材、集成材などの加工流通施設の整備といった施策を展開しながら、川上から川下まで一体となった国産材の安定供給体制を構築していくこととしております。  こうした取組によりまして、新たな基本計画案におきましては、林産物の供給及び利用に関する目標といたしまして、令和元年には三千百万立米である国産材の供給量を、令和十二年には一千百万立米プラスいたしまして、一・四倍の四千二百万立米まで拡大することを掲げております。この中におきまして、特に価値の高い建築用材につきましては、国産材の割合を四割半ばから六割強まで増加する、こういったことを目指してまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 日本の伝統構法では、一本一本の材木の特性を生かしていくものであり、それに対して、現行の建築基準法の下で行われる現在の一般的な建築、在来工法では、材木も統一規格を材料とするという違いがあります。木材が安価に輸入されるようになったことも国産材が利用されなくなった要因の一因だと考えております。  今後、山林の管理、水源涵養機能の維持、そのほかの目的のためにも治山は必要ですが、山を守るにも、林野庁の計画も、切り出した木材が消費されなくては実行につながりません。国産材の消費、例えば木造建築、伝統的構法の住宅、木造の仮設住宅など、様々なことが考えられますが、これらの消費を増加させ、安定した市場形成が課題だと考えます。国土交通省の計画があればお聞かせください。 ○和田政府参考人 木材の利用は、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止など森林の有する多面的機能の発揮や地域の活性化のほか、花粉症対策、こういったものにも資するものでありまして、我が国の森林資源が本格的な利用期を迎える中、このような国産材を含めた木材需要の拡大は重要な課題であると認識しております。  国土交通省としましては、自ら整備する公共建築物における木造化、木質化の推進や、国の木造建築物に関する技術基準などの整備と地方公共団体等への普及、あるいは、先導的な木造建築物のプロジェクトや林業事業者と工務店等が連携したプロジェクトに対する支援、あるいは、木造建築物等に関する構造あるいは防火関係基準の合理化の推進、中高層の木造建築物を担う設計者等の育成への支援などを行っております。  今後につきましても、農林水産省を始めとします関係省庁と連携して、公共建築物等の木材の活用、民間の先導的プロジェクトなどでの活用、建築基準の合理化、人材の育成などに積極的に取り組み、木材の利用促進を進めてまいります。 ○小宮山委員 国内市場を育成させることで、国内事業者にとり、安定した国産材の確保、つまり、安心して受注ができ、建築ができることで事業継続が可能になってまいります。今回のウッドショックに対しても、融資など短期の支援策、そして事業継続に向けての長期の支援を中小工務店等に対しても継続的に行うことを要望しておきます。  さて、CLT、木材の利活用でありますけれども、直交集成板の利活用の推進についてお伺いしたいと思います。  国交省では、サステナブル建築物等先導事業、木造先導型、つまり、木材を多く利用する建築物への補助制度を実施しております。木造実験、その中においても、CLTというのは非常に強度もあり、また、コンクリートと違い乾燥の時期も要らないという意味では、非常に有効な資材だというふうに考えております。  本年三月の閣議決定の住生活基本計画の中においても、CLT等の新たな部材を活用した工法等、中高層住宅等の新たな分野における木造技術の普及とこれらを担う設計者の育成等が盛り込まれたところであります。農林水産省、林野庁、そして住宅局を始めとした国土交通省関係部局と共々、国産材流通の促進を唱えております。  木材は、CO2を固定し、炭素を貯蔵するため、環境保護にも寄与します。CLTは木の塊で、従来の木造建築と比較し、単位面積当たりの木造使用量が多く、木材利用量を促す効果も期待されるところであります。また、CLT活用を担う設計者の育成推進や製造工場設置等の支援、より積極的な支援を展開するべきだと考えます。どのように取り組んでいくのか、国交大臣にお伺いいたします。 ○赤羽国務大臣 まず、木材の利用の拡大は、お話ございましたように、グリーン社会の実現ですとか、林業の成長産業化、また地域の活性化、そして、山が整備されるわけでありますから、防災・減災にも資する大変重要な課題であるというふうにまず認識をしております。  加えて、木材を利用するということは、今、小宮山委員からお話ございましたように、環境面でも大変大きな貢献が期待をされているところでもございますし、加えて、CLTには間伐材を活用することが可能だという利点もあるわけでございます。  こうしたCLTの利用推進に向けまして、国交省では、先ほど御紹介いただきましたが、サステナブル建築物等先導事業、木造の先導型の事業として、CLTを用いた建築物の実績、これは四十四件、そうした支援をする実例もございますし、また、建築基準法に基づいて構造、防火関係基準の合理化の推進もさせていただいたところでございます。  現在、国交省も一員となって、CLT活用促進に関する関係省庁連絡会議が立ち上がっておりますが、本年三月にCLTの普及に向けた新ロードマップも取りまとめられたところでございます。  国交省としまして、これまでの取組に加えまして、新たに中高層の先導的なCLT建築物の整備を積極的に支援するですとか、その設計ですとか、技能者、大工さんの育成の支援、また、万博等の展示効果の高い場所でのCLTの活用の促進をした施設等々を応援していかなければいけないと思っております。  多分、少しコストも高いというような課題もあるかと思っておりますが、そうしたことを、このCLTの魅力というか優位性みたいなことをしっかりと周知徹底をしながら、国交省としても積極的な取組を進めていきたいと考えているところでございます。 ○小宮山委員 国内市場も今後拡大すると考えられます。木造ビルにおいては一から二兆円の規模の新しいマーケットになるという試算もあり、期待もされているところであります。国産材を活用する市場を形成するよう、国交大臣により積極的な計画と施策の展開をお願いしたいと思います。  さて、最後の課題でありますが、伝統的構法の木造建築の現実的活用の推進についてお伺いしたいと思います。  サステナブル建設物事業では、木造主導型に加え、気候風土適応型の事業公募も取り組んでおります。私も、以前には当時の石井国交大臣にも質問を重ねてまいりました。しかし、昨年の採択事例数は応募総数自体も少なく、また、建築許可を取るための書類も膨大となるため、まだまだ制度を改正しなければ活用には至らないのではないかと危惧しているところであります。  そこで、気候風土適応住宅への支援があること自体の周知が足りていないのではないかという疑問もございます。世界的に、SDGs、持続可能な開発目標にリンクするよう、環境負荷を意識し、未来の世代に負担を残さない社会づくりを意識した建築、住まい方も日本の課題だと考えます。  日本は、元々自然との共生の中で建築技術が育まれてきました。昨年、ユネスコ無形文化遺産に伝統建築工匠の技の登録も決定されております。  以前にも増して伝統的構法、気候風土適応住宅の建築が可能であることと、建築士、工務店、施主への周知を含め、国、地方自治体による積極的な取組が必要だと思います。  この点に関しまして、大臣の御見解をお聞かせください。 ○赤羽国務大臣 もう十年以上前になったかと思いますが、国土交通委員会の景観条例に関する視察で京都を訪問したことがありまして、そのときに、京都のいわゆる町家ですか、町家造りのところも見させていただきました。恐らく伝統的構法による木造住宅の範疇に入ると思いますが、風通しのよさですとか日射の制御ですとか、本当に自然を生かしたすぐれた居住空間の確保がされているなというふうに思っておりますし、湿度の調節機能が高いとされている土塗り壁につきましては、結露の防止や快適性の確保等の効果があるとされております。  最近の、私なんかが今借り家で住んでいる家では、すぐ結露もするし、まさに家としての風格が、恐らく昔と比べると随分なくなったなというのは個人的に思っておりますが。  建築物省エネ法におきまして、この伝統的構法による木造住宅について、土壁の、先ほどの湿度を調節する機能等々に着目して、気候風土適応住宅として位置づけて、断熱性能に関する基準への一律の適用は求めていないということでございます。  周知徹底がされていないのではないかという御指摘でございます。  平成二十八年度から、気候風土適応住宅の普及を図るための整備に対する支援を行い、また、取組事例については、住宅事業者ですとか建築主に対して周知を行っているというふうにございますが、まだまだ全国的な広がりという意味では御指摘のとおりだと思いますので、これからの、まさに二〇五〇年カーボンニュートラルの時代にふさわしい、日本の特性を生かした住宅ということで、しっかり広報をしていきたい、こう考えております。 ○小宮山委員 先日、石場建て、神社や農家とかでよく見られるもの、これをまた新しく住宅で建てるということで、今工事が進んでおりまして、その石場建て、よいとまけの作業を、私自身も施主の家族の方々とともに交ざり、体験をしてまいりました。本当に、角度などを見るという意味では繊細な作業でありました。  これまで、伝統的構法をより採用したくなるように、「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会で取り組まれたデータの整備、告示など、形に整えていくこと、建築士に使いやすくしていくべきだという観点で質問も重ねてまいりました。この点に関しまして、簡潔に答弁をいただければと思います。 ○和田政府参考人 仕様規定に適合しない伝統的構法による場合、地震に対する安全性の確認のために、基準法により、精緻な構造計算が要求されております。  このため、国土交通省では、この構造計算の際に活用可能な継ぎ手や仕口などの接合部のデータベースの整備を進めており、専門家の確認が終了したものについて平成二十九年三月から公開しております。  また、設計時の参考となるよう、伝統的構法の木造二階建て住宅について、データベースの伝統的要素を用いた構造計算の事例を示すなど、データベースの使い方を解説するマニュアルを本年の三月に公表しております。  さらに、精緻な構造計算を行うことなく、伝統的構法を採用しやすくするために、安全性が確認できた壁や接合部の仕様を順次基準としてきております。  具体的には、一階の柱と土台を鉛直方向に固定しないだぼの接合方法や、土塗りの垂れ壁、上の方だけの壁ですね、こういったものについて、仕様規定として告示に追加しております。  これらに加えまして、伝統的構法でよく使われる小屋ばり組みについて、実験等による知見が得られたことから、仕様規定に追加すべく検討してございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  是非、伝統的構法を生かし、そして吸湿、湿度等を含めて快適な住まい、そして社会資本というか資産となるような建築物に寄与することを心から願い、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。