令和3年5月21日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○あかま委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。  まず冒頭ですけれども、本編に入る前に、新型コロナ対策緊急事態宣言が、本日、沖縄県に発令される見込みとなってきた、そういった報道が多々あります。四月の段階から見ると、十都道府県に拡大するという状況になってきております。政府内には宣言再延長は避けられないという空気が広がりつつあるという報道もなされております。  このような宣言が続くと観光地や地域経済には多大な影響、被害が及んでいくこと、これが増大していくことが推測されるものでありますし、また、長期化によって既に、夜間等、飲食や飲酒というところは閉めずに営業を始める、そういったところも大分出てきているようであります。  まず、通告はしておりませんけれども、このような状況はかなりの影響があります。改めて大臣には、政府内におきまして、雇用調整助成金の特例の延長を引き続き要求すること、そして、観光業や地域の経済、観光は自分の住んでいるところから別のところに行って非日常を楽しむこと、その非日常というのは、行った先の地域では日常であります。この経済をしっかり守るために是非頑張っていただきたいと思っております。  あわせて、船員や、タクシー、バス、鉄道を始めエッセンシャルワーカーと言われる皆様方には、感染拡大が急速に強まっている中では、まず、経済を回すためにも、移動の権利やその環境を整えなくてはなりません。こういったエッセンシャルワーカーに対して、新型インフル特別措置法に規定された特定接種の考えにのっとった優先接種を行い、社会機能を維持するために政府が決断をするべきだと考えております。  この点について、通告はしておりませんけれども、大臣、是非、新型コロナの中で自粛を本当に頑張っている皆様方へのエールも含め、御決意をお聞かせいただければと思います。 ○赤羽国務大臣 感染拡大が全国的にこうした状況になっておる、このことについてはもちろん感染症の専門家の皆さんの分析ですとか御助言をいただきながら政府として決めていかなければいけないというふうに思っておりますが、国土交通省所管の業界は特に人手がかかっておりますし、人が来てこその御商売だという方もたくさんいらっしゃいますし、加えて、地域の公共交通インフラという本当に最大のインフラを支えていただいているエッセンシャルワーカーの業務の方もたくさんいらっしゃいますので、出先の機関で、うちはたくさん現場もありますので、丁寧に状況を把握しながら、適時適切にしっかりと対応しなければいけない。  四月に観光関連の皆様に出させていただいた対策もまだ執行されているような状況じゃございませんので、各全国の都道府県知事の皆様には早くそうした対応を整えていただきたいということは、督促のお願いをさせていただいたと同時に、こうしたことが本当に現場の皆さんに対してどれだけ効果が生まれるのかということもしっかりとフォローしていかなければいけないと思います。  恐らく、同じ施策でも、効果的な業者の方もいらっしゃれば、そうじゃない方もいらっしゃるというのは多分想定されることでございますので、そうした支援策の効果をなかなか裨益できない方に対しては、また別途、効果的な必要のある支援策を講じていく、そういった体制で責任を持って取り組んでいく、そうした決意で対応していきたいと思っております。 ○小宮山委員 様々な観点で現場の方の話を聞いていただいていること、また、省庁間においての努力をしていただいていることを伺っております。  さらに、この点に関しましては、感染症拡大を防止する、そして地域経済のために、党を超えてしっかりと応援させていただきたいと思います。  さらに、補正予算、今国会見送りという記事が本日出ておりました。今年は、東京都議選挙の投開票を控え、また、東京五輪、オリンピックが予定されているので、国会会期の大幅延長は難しく、補正予算の成立は困難な情勢というのが報道の中身であります。  しかし、これだけ感染が拡大している中で国会を閉じるということは、感染症というのがどういうふうに動くのかは、想像ができないというか、必ずしも予測ができるものではありません。不測の事態にしっかり備えるためにも、国会を閉じずに、必要とあれば地域経済を支えるための補正予算をするべきであるということを、私からは強く要求したいと思います。  さて、本題であります海上交通安全法の一部を改正する法律案についての質疑に入らせていただきます。  本日審議の海上交通安全法の改正は、平成三十年九月、台風二十一号による強風によりタンカーが走錨し、関西国際空港連絡橋への衝突事故が起きたことを踏まえ、再発防止策として、港外避難や錨泊制限などの勧告、命令制度を整えるとともに、バーチャル航路標識の緊急表示制度、航路標識の復旧のための施行命令、原因者負担金制度の創設、航路標識協力団体制度の創設などを定めるものであります。  船舶の位置、針路、速力など安全に関する情報自動的に送受信するシステムであるAISの船舶への設置について、参議院熊谷議員の質問の中で、総トン数五百トン以上の船舶及び国際航路に従事する総トン数三百トン以上の船舶には法定義務づけとなっており、これら以外に任意で取り付けられている船舶もあると答弁されております。  AISは海上交通の安全を確保する上で有効であり、設置が義務づけとなっていない船舶についても設置が推進されることが望ましいと考えておりますが、海上保安庁保有の巡視船において、小型船舶へのAISの設置状況はどのようになっているのでしょうか、お聞かせください。 ○奥島政府参考人 お答えいたします。  海上保安庁におきましては、関連する法律の規定に基づき、搭載義務のある総トン数五百トン以上の巡視船の全船にAISを搭載しております。  また、搭載義務のない総トン数五百トン未満の巡視船艇につきましても、当該巡視船艇の配備海域や業務特性に応じ、AISを搭載しているところでございます。 ○小宮山委員 AISで送受信させる情報は、静的情報、動的情報、航海関連情報、大別して三種類の情報がやり取りされております。  潜水艦を含む自衛隊艦船についてのAIS設置状況についても確認いたします。また、海上保安庁長官や各港の港長からの勧告や命令は自衛隊艦船に対して有効か否かも確認させてください。 ○奥島政府参考人 お答えいたします。  海上自衛隊の使用する船舶は、自衛隊法第百九条第二項により船舶安全法の適用除外となっており、AISの搭載義務はございませんが、航行安全の観点から、平成十五年度以降、順次AISを搭載しており、現在、AISの搭載義務に該当する船舶については全てがAISを搭載済みであると聞いております。  また、異常気象時の勧告、命令制度につきましては、船種や船舶の大きさを問わず措置し得るものであり、海上自衛隊の使用する船舶に対しても当該制度の対象となります。 ○小宮山委員 海上保安庁も自衛隊も含めて、日本国内での航行の安全に対して、規定はなくても対応していただいているということが分かるかと思います。  さて、本年三月、スエズ運河にて日本企業所有の大型コンテナ船エバーギブンが座礁し、運河の航行ができなくなるという事故が発生いたしました。座礁した大型コンテナ船の位置や向き、影響を受けて待機、滞留を余儀なくされたほかの船舶の数や位置の情報が、パソコンやスマートフォンの画面から、ほぼリアルタイムで、どこからでも確認することができておりました。  AISを船舶に設置するには本体価格だけで百五十万円ほど、簡易なものでも数十万円ほどかかると伺っております。かかるからこそ、逆に義務づけのない小型船舶への設置には足かせとなっているのではないでしょうか。スエズ運河のコンテナ船やほかの船舶の情報が誰にでも見られるように、スマートフォンアプリの類いの活用の可能性というのは極めて高いことが分かっております。  ソフトウェアの国主導での開発は、丸投げや再委託による不具合の事例が多く見受けられる近年の状況であり、うまくいかないのではないかという懸念は払拭できないところではありますが、利便性、操作性などに優れたソフトウェア開発に、個人であれ企業であれ民間主体であれ、どんどん取り組まれることを促すことはいいことだと思っております。  例えば、台湾におきまして、オードリー・タン大臣の著書にもありましたけれども、シビックハッカーによってマスクをどこで入手できるのかというアプリが開発され、ブラッシュアップされていった、オープンソースによって、政府がしっかりと国民に対し責任を持つというよりかは、信頼しアプリの開発が進んだという事例もあります。  海上交通センターの持つレーダー情報や船舶に設置されたAIS機器の情報などを組み合わせて、小型船舶などの海上安全に役立つ情報提供ができる有効なソフト開発をより促進されるような支援に取り組んでいただきたいと考えますが、御所見をお聞かせください。 ○奥島政府参考人 お答えいたします。  海上保安庁では、我が国におけるMDA、海洋状況把握の能力強化のため、海上保安庁を始めとする関係省庁等が収集している広域性、リアルタイム性の高い海洋情報を集約、共有、提供するシステムとして、海洋状況表示システム、愛称海しると申しますが、これを運用しております。  現在、民間では海しるのデータの閲覧のみができる状況でございますが、現在システムの改修を行っており、これにより、今年度中にはこれまでできなかった官民のデータを統合し編集するということができるようになります。こうしたことは海上安全に役立つアプリの開発促進にも貢献するものと考えております。  引き続き、海洋の関係者のニーズを踏まえつつ、海洋情報の提供に努めてまいります。 ○小宮山委員 スエズ運河庁から船主らに求める損害賠償額について、当初は九億一千六百万ドル、約一千億円ともされたものが約六億ドルに減額されたという報道もありました。スエズ運河コンテナ座礁事故での損害賠償がどのように行われることとなるのか、船主の掛けた保険による賠償の範囲はどこまで及ぶのか、現時点での見込みについて簡潔にお答えください。 ○大坪政府参考人 今回の座礁事故の損害賠償に関しては、当事者間で協議が進められているところであり、個別具体の損害賠償の手法や範囲についてはお答えを控えさせていただきます。  一般論を申し上げれば、船舶事故においては多様な損害の発生が想定され、それぞれの責任関係については各民間契約の内容に依存しますが、損害については幾つかの種類に分けることができます。  まず、船体の修理や、離礁、これは座礁した船舶を再び浮上させるという意味ですが、これに要する費用については、船主が加入する船体保険で填補されることとなります。  また、施設の損傷など第三者への直接的損害については、船主が加入する損害賠償責任保険で填補されることとなります。  さらに、積載されている生鮮食品の劣化など積荷の損害については、荷主が自ら加入する外航貨物海上保険で填補されることになります。  一方、運河の中それから入口において滞留した他船の遅延損害などの間接的損害については、慣習上、船主は責任を負わないこととされております。  なお、上述の各種費用のうち離礁に要する費用については、共同海損を船主が宣言することによって、船主は荷主と費用分担することが可能となります。今回の座礁事故においてもこの手続が使われるということは公表されております。 ○小宮山委員 今回の法改正は国内の港湾の海上交通の安全についてでありますが、海は世界に続いています。今回、このような外航海運での重大事故に対してしっかりと日本も対応していかなければならない時代が来るのではないか。  先週は、海事産業に関しての、これから日本がもっとしっかりと支援をしていくという法案も通させていただきました。このようなことに対して国交省としてどのように取り組んでいるのか、最後に一言、大臣からいただければと思います。 ○赤羽国務大臣 我が国が置かれた状況を鑑みますと、我が国の外航海運における高い安全性と信頼性を確保していくというのは大変重要なことだというふうに認識しております。  国交省として、人的要因による事故を減らすために、先ほど御答弁がありましたが、自動運航システムの開発支援や実証を行っており、今のところ、二〇二五年までにフェーズ2の自動運航船の実現を目指しておるところでございます。  また、モーリシャス事案を含めまして、事故の事例を分析しながら、再発防止策について我が国の事業者に広く周知を行いまして、業界全体としての安全性を向上させる、同時に、船舶の安全基準につきましては、IMOで統一ルールが決められておりますので、国交省といたしましては、海運事業者との連携を基に、事故原因分析ですとか技術革新を踏まえた合理的なルール作成に向けてしっかり議論を主導していきたい、こう考えております。  以上でございます。 ○小宮山委員 日本が海上交通の安全をリードする国であること、心から私もつくるために頑張ることをお伝えさせていただきまして、終わらせていただきます。  ありがとうございました。