令和3年5月20日 衆議院災害対策特別委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○金子委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。  本日は、災害対策特別委員会で質疑の機会をいただき、ありがとうございます。  本年五月二日、静岡県の竜巻で電柱が倒れ、民家が被害に遭いました。無電柱化は都市景観の美化に寄与することは広く認識されておりますが、防災に寄与することが広く知れ渡ったのは、令和元年の台風十五号で千葉県内の多くの電柱が倒れ、最大九十三万戸が長期間停電したことが大々的に報道されてから顕著になったと感じております。  この台風十五号での電柱損壊の原因は、倒木や建物の損壊、これが約七四%、看板などの飛来物での損壊は約一四%、土砂崩れの地盤影響によっては約一二%という二次被害が大半であります。  大規模自然災害時に電柱が倒れることで、緊急道路、生活道路を塞ぎ、結果として復旧や救命に遅れと復旧費用が生じています。防災、減災への取組の中においても、無電柱化の推進は重要性を増していると言えるかと思います。  二〇一六年十二月、無電柱化推進法が施行され、二〇一八年四月には無電柱化推進計画も作成されております。法施行後は、新規の電柱をなくして、立法府として、また立法した者としては、この強い意志を示したはずなんですが、電柱の総数は増加が止まらず、今もおおむね年間七万本も増加を続けております。これが現状です。  先日、国土交通委員会において、経済産業省資源エネルギー庁に、無電柱化のためにどのように取り組んでいるのか、本気でやっているのか尋ねたところ、エネルギー庁の小野資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官におきましては、ケーブルは二〇二〇年までに仕様統一が完了、変圧器は仕様統一と同時に小型化も進め、無電柱化を推進する仕組みでは、昨年六月に改正電気事業法が成立し、無電柱化に必要なコストは電力消費者に電気料金として転嫁されますが、送配電事業者が無電柱化を含む計画の実施に必要な投資を着実に行い、同時に、国民負担を抑制するため、託送料金制度を見直し、配電事業者の収入上限を定め、電柱の新設抑制に向けた取組を進めていきたいという回答がありました。もう一押し、本気度を見せていただきたかったというのはある んですが。  そうはいいましても、七万本増え続けているのは現実であります。様々な施策を重ねていてもなお、電柱の新設、総数の年間七万本の増加というのが続いている要因をどのように捉えているのか、国交省に御見解を伺います。 ○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。  道路の無電柱化につきましては、無電柱化推進計画に基づき進めてきたところでございますけれども、委員御指摘のとおり、電柱の総本数については、毎年増加しておりまして、平成二十四年から二十九年度までの五年間で約三十三万本、年平均約七万本増加しているという状況です。  また、平成二十八年十二月には無電柱化の推進に関する法律が成立いたしまして、電柱又は電線を道路上に新設しないようにということとされましたけれども、二十九年度から三十年にかけても依然として約七万本が増加しているという状況でございます。  委員御指摘の電柱本数の増加要因については、電気事業連合会が行ったサンプル調査の推計では、家屋新設などに伴うものが約七割、太陽光発電等再生可能エネルギーとの接続等に対応するものが約二割となってございますが、詳細は分かっていないという状況でございます。  このため、現在策定を進めております今年度を初年度とする次期無電柱化推進計画では、関係者が連携して新設電柱の増加要因を調査分析し、削減に向けた対応策を令和三年度中に取りまとめることとしておりまして、その方向で進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。 ○小宮山委員 無電柱化に係る費用は、事業者、電力会社や通信事業者、地方自治体、国で、おおよそ三分の一ずつ負担をしています。現状、一キロ当たりの無電柱化の費用は約五億三千万円程度、電力会社の負担は、電柱設置の場合に要する約千五百万円と比べて約十倍。無電柱化が進まない要因として、このコスト高が言われます。  ちなみに、軒下配線などにすればその十分の一でできるということもあります。無電柱というのは、地中に埋めるだけが無電柱ではありません。  そこで、無電柱化について、自治体の費用負担が重く推進できないとの指摘や、事業者の負担が大きいから実施されないとも言われますけれども、こうした認識で正しいんでしょうか。 ○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。  無電柱化に係る費用につきましては、国、地方自治体、電線管理者が負担しており、例えば、電線共同溝方式では、平均して一キロ当たり約五・三億円のコストを各々がおおむね三分の一ずつ負担しているという状況でございます。  この費用負担に対しましては、令和二年七月に国土交通省が地方自治体に対して実施した無電柱化に関するアンケートにおいても、無電柱化の課題として、コストが高いという回答が最も多くなっているという状況でございます。  また、電線管理者からも、次期無電柱化計画の策定に向けた有識者委員会の審議の中で、無電柱化は整備、維持コストが高いとの意見をいただいております。  こうしたことから、次期無電柱化推進計画においては、関係省庁、地方自治体、電線管理者などとの関係者と連携し、管路を浅く埋設する浅層埋設や、低コストの材料の採用など低コスト手法の普及拡大や技術開発の推進、それから、必要な投資確保とコスト効率化を促す新たな託送料金制度の確実な実施などに取り組むことによりまして、令和七年度までに平均して約二割のコスト縮減を目指してまいりたいというふうに考えてございます。 ○小宮山委員 無電柱化を進めるための予算措置としては、市街地開発事業等に際して行われる無電柱化を対象として各種補助金制度があります。  また、電線管理者に対しては、観光地振興無電柱化推進事業、観光地において単独地中化方式や軒下・裏配線等による無電柱化を支援するなど、また、電線敷設工事資金貸付金制度を活用しての電線共同溝方式や無電柱化を支援するということでありますが、無電柱化に対する予算支援は活用が進んでいるんでしょうか。  若しくは、活用に際して条件など障壁があるとの認識があるならば、ワンストップ相談センターも設けているのに、地方自治体の八割は無電柱化自体を施策として実施したことがないという現実もあります。  国交省の見解や、また、この解決策についての答弁を求めます。 ○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。  無電柱化の推進に当たっては、国から自治体に対しまして、地方自治体が定める無電柱化推進計画に基づく事業を計画的に支援する個別補助制度を令和二年度に創設したところでありまして、令和三年度予算においては百四十三自治体が活用しているという状況でございます。  また、国から電線管理者に対して、観光地における単独地中化方式や軒下・裏配線等を対象として支援しております観光地域振興無電柱化推進事業を実施しておりまして、平成三十一年度、令和元年度の創設以降、六自治体が活用しているという状況でございます。  また、御指摘のありました、電線管理者に対して無利子貸付けをします電線敷設工事貸付金制度を緊急輸送道路に限定して平成二十五年度に創設いたしましたけれども、現在まで活用されていないという状況でございまして、このため、昨年五月、委員の御指導もありまして、道路法の改正を行いましたけれども、その中で創設した歩行者利便増進道路を無利子貸付けの対象に追加したという状況でございます。  また、委員御指摘のとおり、国土交通省が実施しました、全国千七百八十八自治体にアンケートを実施したところ、直近五か年で無電柱化事業を実施したことがない自治体は約八割になっているということもあります。  このため、令和元年度に地方自治体から相談に応じる無電柱化ワンストップ相談窓口を全国十ブロックに設置いたしまして、軒下配線や、御指摘ありました裏配線も含め、現場に応じた最適な手法を活用するように今助言しているという状況でございます。  国土交通省といたしましては、地方自治体に対しまして、防災面を始めとする無電柱化の意義や必要性の周知に努めるとともに、無電柱化を推進するための手法や様々な支援制度について、地方自治体等が幅広く活用できるものになるよう、その活用状況を踏まえて、必要に応じ、制度の改善に努めてまいりたいというふうに考えてございます。 ○小宮山委員 無電柱化推進法設立時の考えに基づいては、やはり、新規の造成時や再開発時、新規を含めて道路改修工事を行う際には新規の電柱を設置しない、させないようにするということが理想ではありました。でも、これはそろそろ、義務化や、あるいは、推奨する、もっと助成制度というのが、創設が必要ではないかと考えます。  先ほど言った、八割の自治体が五年間この事業をやっていないということを考えて、まず最初に、お金がかかるからやること自体を最初から排除している、最初からやらないということを決めているというところも多くあるかと思います。なので、この点に関しまして、国交省の見解をお聞かせください。 ○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。  無電柱化の推進のためには、既設電柱を安く早く地中化することはもちろんのこと、新しく設置される電柱を抑制することが重要であるというふうに考えてございます。  このため、今年度を初年度とする次期無電柱化推進計画では、三つのポイントとして、徹底したコスト縮減を推進する、事業の更なるスピードアップを図るに加えまして、一番の柱として、新設電柱を増やさないということを盛り込んで策定する予定でございます。  具体的には、新設電柱の抑制につきましては、緊急輸送道路など道路区域内においては、平成二十八年四月から新設電柱の占用禁止措置を導入してございまして、道路区域外においても、本年三月、踏切改良促進法等の改正におきまして、沿道区域を対象とした届出、勧告制度を創設いたしたところでございます。  また、道路事業や市街地開発等の実施に当たっては、技術上困難と認められる場合以外は、原則として道路における新たな電柱の設置の禁止を徹底したいというふうに考えてございます。  現在、今月中の次期計画の策定に向けまして、経済産業省や総務省、電線管理者等と最終的な調整を進めているところでございますけれども、引き続き、関係者が連携して、策定される計画に基づきまして、御指摘の新設電柱の設置の抑制も含め、無電柱化を加速してまいりたいというふうに考えてございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  世界主要都市、ロンドン、パリ、ベルリンなどを始めとして、二十世紀中にはほぼ一〇〇%に無電柱化は進んでいます。東アジアの主要都市でも取組は進んでおりますが、一方、日本では、一番進んでいる東京二十三区でも八%、大阪市で六%、全国の平均では約二%と遅れているのが実情であります。  数年前に台湾の台北市に行きましたときに、無電柱化の取組について、ここも一〇〇%に近いほどで進んでいるところでありますが、埋設管渠等の工事を、官庁、民間も同じ事務所に集まり、そして、予約、管理、工事、監視も含めて、工事の監視ですね、効率よく工事のワンストップセンターで運営をされていました。無電柱化を推進する、また災害復旧のときも様々な埋設管渠等、そういったものがあります。このような台湾、台北市のような効率的な行政運営も参考にしていただきたいと思います。  毎年七万本も増加し、災害時の危険が増しているということ、これは現実であります。防災担当大臣として、無電柱化推進に強力に後押しをお願いしたいと思います。防災、減災に資する無電柱化の取組に対して、国の見解、防災大臣としての見解、また災害復旧現場の効率化に対しての見解もお伺いします。 ○小此木国務大臣 小宮山委員から、冒頭、一昨年の台風での電柱が倒壊した話やら、ただいま、世界の都市部においてのその無電柱化の様子、日本との比較、話がございました。  日本の防災基本計画においては、災害時の交通の確保を図るため、避難路、緊急輸送道路など防災上重要な道路の無電柱化を盛り込んでいるところであります。国及び地方公共団体による無電柱化の促進を図っています。  また、大規模地震の際には、特に被害が甚大となるおそれがあることから、南海トラフ地震対策や首都直下地震対策の基本計画においても、災害時の交通の確保等の観点から、無電柱化の推進を位置づけております。  さらに、当委員会において委員からの御支援もいただきまして、昨年十二月に策定した防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策においても無電柱化の推進を盛り込んでいるところであります。  引き続き、国交省、経産省等の関係省庁と連携して、無電柱化推進法や次期無電柱化推進計画も踏まえながら、防災、減災を推進する観点から無電柱化を後押ししてまいりたいと存じます。また、災害復旧現場の効率化についても御指摘をいただきましたが、縦割り、官民の垣根を越えて効率的に進めるべきなのはそのとおりであります。災害復旧に限らず、様々な地下埋設物の整備、維持管理、災害時の復旧等の効率的な推進に改めて関係省庁とともに取り組んでまいりたいと存じます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  大規模災害時には、学校など様々なところが避難所となります。この避難所に必須な設備として、電源確保は最も重要な、極めて高いものだと思います。  例えば、生活排水処理で、下水道と比較して合併浄化槽が災害に対して強いと言われますが、これと同様に、配給元から管路で保たれ、安全確認が必要な都市ガスに対して、分散配置されるLPガスは、災害時の供給の途絶えるリスクが低く、仮に設備被害などが生じた場合でも復旧が早いという特性があります。  私の地元の地域となります埼玉県富士見市でも、小中学校にLPガス、ヒートポンプを導入するとともに、災害対応バルク貯槽の設置に取り組んでおります。  LPガスによる災害対策設備の導入費の支援制度は、経済産業省の災害対策バルク等の導入補助金や総務省の緊急防災・減災事業債などが準備されてまいりました。  LPガスの特性に着目し、学校や公共施設などにヒートポンプや発電施設を備えておくことは、災害時への対応として有効性が高いものであります。政府として認識を確認するとともに、より一層の普及促進のための取組をお伺いしたいと思います。 ○小此木国務大臣 御指摘のように、LPガスについては、運搬や貯蔵が容易である、そういったところに利点があります。劣化せずに長期保管が可能なことから、災害時に備えたエネルギーとしては適していると認識しています。  政府として、災害時の停電に備え、指定避難所において非常用電源等の防災機能を整備することは重要と考えており、防災基本計画や取組指針において、整備に努めるよう地方公共団体に促しております。また、指定避難所等におけるLPガスを燃料とした空調設備や非常用電源等の整備についても現在、財政的に支援をしており、地方公共団体等の取組を促しております。  内閣府として、引き続き、関係省庁とこれも連携し、各種支援制度を地方公共団体に活用していただきながら、指定避難所における非常用電源やLPガスの設備の整備など、生活環境の改善のための施設整備を図ってまいりたいと存じます。 ○小宮山委員 地方自治体での導入の場合、助成率の高さから、総務省の緊急防災・減災事業債が活用される場合が多いと伺っております。LPガス施設の利用に特化している制度ではないために事例の把握が難しいということは理解しておりますが、経済産業省の補助金は、地方公共団体の活用例は数%から一〇%にとどまりますが、病院とか福祉施設、介護施設などで用いられることが多く、予算は全て消化されると説明を受けております。  総務省の緊急防災・減災事業債による非常用電源の確保において、LPガスによる災害対策施設導入はどのぐらい活用されているのか、お伺いいたします。 ○荻澤政府参考人 消防庁では、非常用電源につきまして、関係省庁と連携をいたしまして、各地方団体に対して、避難所となる施設の防災機能強化、また庁舎につきましては事業継続の観点から整備を働きかけてきているところでございまして、一定程度進捗しているものというふうに考えております。  その際の財源でございますけれども、これにつきましては、補助制度を活用する、またあるいは地方単独事業として行う、それぞれの事業ごとにふさわしいものをそれぞれの団体の方で選択をして取り組んでいただいているものというふうに認識しておりまして、こちらの方では把握しておりませんけれども、引き続き整備促進を働きかけてまいりたいというふうに考えております。 ○小宮山委員 大規模災害時など、重油などを使った非常用電源、多く準備しているかと思います。  そちらにも使われていると思いますが、是非、どのようなものに、地方自治体から言われただけ出しただけというのではなく、本当に大規模災害などのときに使える非常用電源になっているのか、そのための把握を是非、総務省にはしていただきたいと思います。  首都直下型地震の様々なものに関しての質問も用意しておりましたが、準備もしていただいたんですが、またの機会ということにさせていただきます。  本日は、ありがとうございました。