令和3年4月7日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○あかま委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小宮山泰子君。 ○小宮山委員 立憲民主党、小宮山でございます。  本日は、流域治水法ということで、本会議に続きまして質疑をさせていただきます。  令和元年の台風におきまして、川越市、ふじみ野市、富士見市においても被害が地元でも起きました。これを受けて、水害のあった後、十一月の国交委員会において、建築規制の検討についての問いに、赤羽大臣は、国交省はもとより、法務省を始め関係省庁ともしっかりと連携を取りながら具体的な検討を進めてまいりたいと答えていただきました。その後、都市計画法、都市再生特別措置法改正、そして今回の流域治水の整備と進んでおります。  先週末、被害に遭ったけやきの郷の、このときの水害の被害報告を聞く機会がありました。当時の状況から、阿部理事長は、いざというときのための障害者の集団避難の場の用意、大規模災害により施設が甚大な被害を受けたときに応急仮設とその後の安全な場所への公的補助のある移転の実現、ハザードマップ上にある危険な施設に対して安全な場所への公的補助を改めて要望されました。  これまでも、法整備が進んでも、新設、大規模改修などの施設が対象となり、実存する既存の施設は、地方自治体の予算がなく、実際には、危険地域からの移転や危険回避の手段から取り残されているままというのが現実ではないでしょうか。  本会議での質問で、本法案において、これまでの総合治水から流域治水へ大きく国の治水が前進することを確認し、一定の評価をいたしますが、実際に協議会設置、運営、計画の策定、対象の実施がされてこそ、九本束ねたこの法案の意義がある、その認識の下、質問させていただきます。  まず、地元地域での治水事業についての現状についてお伺いします。  令和元年の台風十九号により、荒川水系入間川支流の越辺川の堤防決壊によって、川越市、坂戸市などで大規模な浸水被害が生じたことを受けて、関係自治体並びに国交省協力の下、入間川流域緊急治水対策プロジェクトの取組が進められております。河道の流下能力向上を図る施策、遊水、貯留機能の確保、向上を図る施策、更には土地利用、住まい方についても検討を講じております。  まず最初に、入間川流域緊急治水対策プロジェクトとして取り組まれている諸施策の現状について御説明ください。 ○井上政府参考人 お答えいたします。  荒川水系入間川流域においては、令和元年東日本台風と同規模の洪水でも再度災害を防ぐことを目標に、昨年一月、国、県と四市町が連携して入間川流域緊急治水対策プロジェクトを策定し、令和六年度までに、河道掘削、堤防整備、遊水地など、約三百三十八億円の治水事業などに取り組んでいます。  このプロジェクトにおいては、ハード対策として、決壊した堤防六か所の復旧を終えるとともに、約百十万立方メートルに及ぶ河道掘削を下流から順次進めているほか、入間川や荒川への流出を抑制するため整備する二か所の遊水地については、地元調整を行っているところです。プロジェクトの実施により、東日本台風と同規模の洪水が発生した場合でも、越辺川、都幾川では、堤防から洪水が何とかあふれずに流すことが可能になります。  一方、越辺川合流点より下流の入間川や、更に下流の荒川本川においては、洪水時の流量が増えることになりますが、二か所の遊水地の整備の効果もあり、プロジェクト実施前と変わらず、洪水を計画高水位以下で安全に流すことが可能です。 ○小宮山委員 川越市とふじみ野市の市境に位置する下水道、川越江川では、荒川水系入間川の支流、新河岸川に続くエリアにて、平成二十九年台風二十一号、令和元年台風十九号と、繰り返し水害が生じております。樋門を開けたままでの河川からのバックウォーターによる浸水、樋門を閉めたことによる内水被害と、原因は異なるものの、同じ地域に浸水被害が生じております。川越江川の地域における内水被害対策の進捗について確認をさせていただきたいと思います。  あわせて、この法案では下水道法の改正も含まれております。第七条の二及び第三十一条関係、公共下水道管理者、流域下水管理者及び都市下水管理者は、逆流を防止する樋門又は樋管について、操作に従事する者の安全の確保が図られるよう配慮された操作規則を定めなければならないものとすると規定され、これまで全国で約六割の施設にとどまっていた樋門操作規則の策定を義務化するものとなっております。この点に関しましても併せてお答えいただければと思います。 ○井上政府参考人 近年、市街地に降った雨が排除できない内水氾濫が全国各地で頻発していることから、内水対策の強化が重要でございます。  川越江川は、当該流域の浸水被害を軽減することを目的とした、川越市、フジミ市の市境を流れる都市下水路であり、平成二十九年の台風二十一号や令和元年東日本台風において、川越江川の下流部では、合流する新河岸川の水位上昇などにより浸水被害が発生しております。  このため、川越市及びふじみ野市において、これまでに内水浸水の軽減を図るための排水ポンプ車の配備等を行ってきましたが、今後の中長期の内水対策として両市で締結された内水対策施設の整備に関する協定も踏まえ、新たに調整池や調整池内に雨水ポンプ場を整備することとしており、今年度はそのための測量調査が実施される予定です。国土交通省としましては、必要な施設の整備が早期に進むよう、重点的に支援してまいります。  また、委員から御質問のありました下水道のことでございますけれども、今後、気候変動に伴う降雨量の増大によって、下水道管理者が樋門等の操作を行う機会が増えることが想定されますが、約四割の施設で操作規則が定められておりません。  今回の法案では、樋門等の操作を安全かつ確実に実施し、浸水被害の発生を防止するため、河川等からの逆流を防止するために操作を行う樋門等について、操作規則策定を義務づけ、義務化することとしております。  義務化に当たり、災害地の樋門等の操作員の安全確保が不可欠と考え、操作規則は、「操作に従事する者の安全の確保が図られるように配慮されたものでなければならない。」と規定することとしております。  具体的には、下水道管理者が定める操作規則において、河川等が危険な水位を超え、更に上昇が見込まれる場合、津波警報が発表された場合など、水位や気象情報等から操作を安全に行えないと判断されるときには、樋門等の管理責任者が操作員に対して退避指示をすることなどを定めること等を想定しております。  あわせて、下水道管理者が操作規則を策定するに当たって参考となるよう、操作員の退避ルールを盛り込んだ作成指針を作成し、下水道管理者向けの説明会等により周知することで、操作員の安全確保を徹底してまいります。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  樋門操作に関しては、本会議で大臣答弁で、樋門等の自動化、遠隔化について、令和三年度より新たに防災・安全交付金の交付対象に追加し、地方公共団体を財政的にも支援していくと述べていただいております。自動化、遠隔化は、操作に従事する者の安全確保に資するものと思いますので、この施策には期待をしておりますことをお伝えさせていただきます。  さて、先ほど、水害に遭った理事長さんの話もありました。日本全国あちらこちらで、やはり、ハザードエリアに高齢者施設や障害者施設など、様々な要支援者の施設があることは事実でもあります。  ハザードエリアからの移転先の用地、災害発生後の仮設住宅建設用地、これがなかなか見つからないというのも現実にあるかと思います。これらの候補地というものはふだんから確保していくことというのは、今後様々な大規模な災害が見込まれる中において大変重要ではないかと思っております。  この点に関しまして、また、平時であれば、平らなところがあれば、ふだんは、ソフトボールのグラウンドであったりサッカーであったりとか、一般の市民の方が使っていて、必要なときにはそれを転用し、仮設住宅や災害復興住宅、こういったものに転用するということもできるんだと思いますが、なかなかこの準備ができるという状況にないのが現実でもあります。平時のときから確保しておく仕組みというものを進めるべきではないかと考えますが、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。 ○赤羽国務大臣 災害対策は、基本的に、全般的に、平素から常に災害を想定して準備をしておくということが最重要だというふうに私も思っております。  今の仮設住宅についても、阪神・淡路大震災の神戸のときも、都市部の直下型の地震ですから、大変な数の仮設住宅を用意しなければいけないということで、その用地、大変苦労がありました。  学校の校庭を使ったりとか公園を、従来の目的とは違うところに造らざるを得なかった。私もあのとき思ったんですけれども、平らであればいいということではなくて、やはりそこにいれば水回りをしなければいけないので大変な工事もかかるということであり、仮設ですから、終わるとまたそれを全部元に戻さなければいけない、大変な状況でございまして、そういう意味では、国交省として、復興まちづくりのための事前準備ガイドラインというものを策定しながら、常に地方自治体の皆さんにそうしたことを訴えているわけでございますが、現状は、昨年七月に実施した調査では、全国の地方自治体のうち、約一二%、二百二十二の自治体が、仮設住宅用地の候補地等について事前検討を行って、それを地域防災計画に位置づけている。この一二%にしかすぎないというのが現実でございます。  こうしたことについて、まず、仮設住宅の建設用地につきましては、公有地を原則としていますけれども、民有地を借り上げる場合は災害救助法において国費の負担の対象としておりますし、また、国交省の事業としましても、災害時に仮設住宅用の用地として活用できる避難地、避難場所等の整備に対しましては防災・安全交付金より支援を行っているところでございます。  また、先ほどからお話に出ている要配慮施設等の移転につきましては、一定の要件はありますけれども、都市構造再編集中支援事業ということで、安全な地域への移転を支援する仕組みも設けているところでございます。  こうした意味で、特に災害弱者の集中する拠点につきましては、様々な対応もありますけれども、そうしたことをフルに活用していただけるように周知徹底をしていきたいということが一つと、あと、仮設住宅を造るのはテンタティブな話なので、空き家等々を災害協定とか空き家バンクに登録していただいて、いざというときには仮設住宅を経由せずに恒久的な住宅になり得るような、そうした対応も視野に入れるべきだというふうに私は思っております。 ○小宮山委員 是非、事前に準備ができるというか、ここを、しっかりと用地というものを確保できるようにしていただきたいと思います。そのためには新しい制度、場合によっては立法も必要かと思います。なかなか仮設住宅を建設する場所というものが見つからず転々とするということもありますし、その後、移転等も強いられることもよく被災地から聞くことでもありますので、是非制度としても成り立つように御検討いただければと思います。  さて、特定都市河川の指定以外の河川についてお伺いします。  今回の法案は、この特定の指定河川に指定されるか否かというのが大きな分かれ目になる法案でもございます。また、全国、埼玉県もそうですが、雨水流出抑制条例など、様々な総合治水の取組に従っての条例を作っています。全国の自治体で、これまでの取組との整合性を図られているのか。  また、指定河川以外の施策も重要でもあります。  特定都市河川指定以外の河川に対して、これまで各地で総合治水として取り組んできた対策が、これまで同様に進めることができるのか。また、国からの支援や対策の内容に違いが生じるのか。違いが生じた場合、非指定河川を有する地域に改修などで不利益になるのかならないのか、お聞かせください。 ○井上政府参考人 埼玉県のように、独自の条例によって実施されてきた先進的な取組は、都道府県等の意見を伺いつつ、運用において整合を図り、法改正後もこれまでの取組を継続していただけるようにしてまいりたいと考えています。  また、本法案の施行により、雨水貯留浸透施設の整備費用に対する財政支援の割合を引き上げることや新たな土地利用規制などを措置することとしており、新たに法的枠組みを活用していただくことで対策を強化することが可能となるため、特定都市河川の指定についても促していきたいと考えています。  これまで特定都市河川の対象となっていなかった河川においても、自然条件等によって河道等の整備だけでは浸水被害を防止することが困難な河川を新たに対象に追加することとしており、指定を促すことにより流出抑制などの対策を強化してまいります。  また、特定都市河川に指定されない河川においても、自治体に限られていた雨水貯留浸透施設整備の支援対象に民間企業も追加することとし、更に支援してまいります。 ○小宮山委員 本会議での大臣答弁において、現状の八水系六十四河川から、関係自治体との調整を経て、数百程度の河川を指定することを想定している旨、答弁されました。  最上流と最下流、また大きく利害の反する者により構成される協議会の合意形成は相当に難しいと参考人の陳述にもありました。  例えば、埼玉県下の各河川について、実際にどのような指定を行っていくのか。荒川、利根川といった規模で、上流から下流まで、細かな支流まで含めて指定されるということが生じるのか。荒川の支流である入間川と、更にその支流について指定を行っていくのか。指定する対象の範囲はどこまでなのか、対象となり得るのかが不明瞭であります。  そこで、流域治水の対象範囲のスケール感、現在の国交省の想定をお聞かせください。 ○井上政府参考人 特定都市河川浸水被害対策法は、河道等の整備のみでは浸水被害の防止が困難な河川において、河川への雨水の流出抑制や土地利用規制など、法的枠組みを活用して総合的な浸水対策を実施することで浸水被害を防止することを目的としております。  荒川、利根川や入間川のうち、国が管理する本川の中下流域等については、まずは河道掘削や遊水地等の更なる河川整備を加速化し、治水安全度の向上に取り組んでまいります。  その上で、今般の法改正により、バックウォーター現象によって氾濫が発生しやすい本川と支川の合流点や川幅が狭くなる狭窄部等の自然条件によって、河道等の整備だけでは浸水被害の防止をすることが困難な河川を特定都市河川の対象に追加することとしております。  このような本川の上流域や支川の流域などについては、主に埼玉県知事が指定権者となりますが、国土交通省としても、特定都市河川の指定の意義や流域全体で取り組む必要性を示すなど、必要な技術的支援を行ってまいります。 ○小宮山委員 近年、障害者や高齢者などの要配慮者の関連施設によって、施設ごとに避難計画、タイムラインを作成したり、防災訓練、避難訓練を行っていくという取組が進んでおります。  関係省庁からの通知を始め、文書などの伝達は、国交省からの通知は建設部局や都市計画部局、厚生労働省からの通知は福祉関連部局へ、文科省からの通知は教育部局などへと、地方自治体の組織内においても縦割りで、情報、通知が流れていきます。  このような実情から、防災・減災に関する有益な情報や指導内容が十分に共有、活用し切れないまま、時には見落とされるということも起きてしまうことがあります。  省庁からの情報発信、自治体への指導助言においても、関係省庁との連携を取って実施していくことが重要だと考えます。省庁を超えての連名での通知とするなど、工夫を積極的に行い、自治体内での情報共有が行われやすい、特に災害時で各部局が出払っていることもあります、その情報が活用されやすいように努めるべきだと思います。  この点に関しまして、国交省より御見解をお聞かせください。 ○井上政府参考人 流域治水は、あらゆる関係者が協働して治水対策に取り組もうとするものであり、平時にも、災害時においても、その主要な役割を担う自治体が効果的に対策を実行できるよう、自治体内部の関係部局間での情報共有や連携が必要です。  例えば、災害時に高齢者の命を守るためには、自治体の防災部局のみならず、福祉関連部局と一体となった取組が求められます。そのため、河川が氾濫した場合の被害軽減の取組を協議する大規模氾濫減災協議会に、厚生労働省との連名により、自治体の福祉関連部局の参加を促し、連携体制を構築しています。協議会の場では、気象庁や河川管理者から、いつ、どのような防災情報が発出され、その際にどのような行動を取る必要があるか等、情報共有を行い、自治体の連携しやすい環境づくりに努めているところです。  三月三十日に全国百九の全ての一級水系を取りまとめた流域治水プロジェクトでは、このほかにも、現場レベルの様々な連携を推進していくこととしました。引き続き、流域治水の旗振り役として、関係省庁とともに、自治体内の関係部局が連携した取組をしっかり支援してまいります。 ○小宮山委員 雨水貯留施設の整備など、今回の民間の取組の支援として、固定資産税の減免などは政策推進のインセンティブになるとして有効なものと考えます。  一方、各自治体の財政は大変厳しい状況にあり、税収減につながることから、自治体からは非常に歓迎されないものではないかとも思います。厳しい自治体財政は、新型コロナへの対応でなお一層厳しくなっています。治水の取組が進展するかは、やはり財源の確保が重要となります。国からの補助金による後押しが必要ではないか、予算確保に関しての御所見をお聞かせください。 ○赤羽国務大臣 まさしく御指摘のとおりでございます。  今回、そうしたことも踏まえて、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策というものを、これは五か年で計十五兆円の事業費を想定しておりますが、それをしっかり活用する。この大きな予算の塊を活用しながら、完成までの期間を定めて集中的に実施する、それをより集中させるために、個別補助事業として、地方公共団体をしっかり応援してまいりたい、こう考えております。 ○小宮山委員 しっかりやっていただけるということで、是非期待したいと思います。  さて、今回の法改正は、主なものだけでも九本の法律改正となる、いわゆる束ね法案となっております。いずれも治水のため関連しているとはいいながらも、改正に及ぶ範囲が大変広く、成立後に内容を読み込んで、それぞれの地域、それぞれの自治体でどのように活用するのが最適なのかを見極めるのは大変難しいという自治体職員からのお話を伺いました。  各自治体で今後の事業推進や予算編成に生かされていくためにも、改正法に関するガイドラインとか、分かりやすい説明資料を十分用意しておく、また、理解が進むように国交省からの丁寧な対応、説明が必要となると思います。政府の今後の取組について御説明ください。 ○井上政府参考人 本法案では、雨水貯留対策の強化や防災集団移転促進事業による被災前の移転、高齢者施設における避難対策の強化、中小河川におけるハザードマップの作成などに取り組むこととしておりますが、その多くは自治体が主要な役割を担うこととしているため、まず、自治体の方々に改正内容を十分に理解いただくことが必要となります。このため、本法案が成立すれば、直ちに、自治体に対し、実務面、技術面から丁寧な情報提供を幅広く行ってまいります。  例えば、雨水貯留対策、防災集団移転促進事業については、国庫補助だけでなく、地方財政措置や税制を含め、手厚い支援制度を周知します。また、高齢者施設の避難確保については、厚生労働省と連携して、自治体の福祉・防災両部局を対象とする研修会を開催する予定です。  ハザードマップの作成については、簡便な浸水範囲の設定手法などのガイドライン、マニュアルを作成、周知します。  本法案を活用した流域治水の成否は自治体が握っていると言っても過言ではなく、自治体との連携を密に取りながら流域治水の取組を強化してまいります。 ○小宮山委員 ありがとうございます。是非丁寧にしていただければと思います。  なかなかこの九本の法律、多岐にわたっておりまして、各自治体の方々、ほかの通常の業務もしながらの勉強になるかと思いますので、よろしくお願いします。  さて、時間の関係で先に進ませていただき、流域治水における生態系への配慮について大臣に伺いたいと思います。  昨年七月の社会資本整備審議会答申において、流域治水を進める上で、生態系ネットワークに配慮した自然環境の保全や創出、かわまちづくりと連携した地域経済の活性化やにぎわいの創出など、防災機能以外の多面的な要素も考慮し、洪水対策を適切に組み合わせることにより、持続可能な地域づくりに貢献していくべきであると提言されております。  流域治水において、各地それぞれの生物多様性、自然環境保全、再生をし、自然を生かすといった観点が重要であると捉えているのか、また、生態系ネットワークなど、地域の生態系や生物多様性を治水とともに保全、再生していくのか、国交省のお考えをお聞かせいただければと思います。 ○赤羽国務大臣 流域治水を行うことで、国民の皆様、地域住民の皆様の安全、安心を確保するというのは大変重要でありますが、その結果として、生態系に配慮せずに、自然環境が保全されない、また再生ができなくなるということは、やはり基本的にあってはならないことだというふうに考えております。  具体的には、河川や遊水地を掘削する際には、できるだけ浅く広く掘削することで湿地環境を再生するですとか、また、そもそも保水ですとか遊水機能を有する水田や林など自然地を積極的に活用し、保全しながら、いわゆるグリーンインフラの観点から流域治水を進めていくということを考えていかなければいけないというふうに思っております。  流域住民の皆様の安全、安心の確保と、自然環境の保全や再生、これを両立していけるように、しっかりと取り組んでいきたいと思います。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  本会議で質問したときには、実は環境大臣に質問させていただきましたが、余り流域治水と生物多様性についての関係というのを環境省の方の答弁からは感じられなかったのは大変残念なんですが、是非これを機会にしっかりと働きかけもお願いしたいと思います。  さて、グリーンインフラの活用ということで、今答弁にありましたが、このグリーンインフラという言葉が日本ではまだほとんど使われていない二〇一四年に、衆議院予算委員会において、私自身は、EUにおいての生物多様性戦略に基づきグリーンインフラ戦略が二〇一三年に策定されることを紹介しつつ、日本でもこの考えを取り入れるよう、当時の安倍総理に提言をさせていただきました。これに対して、安倍総理は、「グリーンインフラという考え方を取り入れて、将来世代に自然の恵みを残しながら、自然が有する機能を防災、減災等に活用していきたいと考えております。」と答弁をしております。  グリーンインフラという文字が少しずつ広まり、今回の流域治水推進に際しても取り入れられたことは歓迎をしております。しかし、現在、国交省を始め使われるようになったグリーンインフラの意味が、従来の緑化とか公園整備、歩道や建物敷地の一部への植栽を進める等、かなり狭い範囲で捉えられているのではないかとの懸念があります。  整備完了した後から劣化が始まる、三十年、五十年で再整備や大規模改修が必要となるコンクリートを基盤としたグレーインフラに対して、整備後、年月を経ていくことで、より機能面でも、地域の生物多様性向上といった面からも一層価値が高くなっていく、植物や生物の力を活用したグリーンインフラという概念の、この幅広い可能性というのをやはり引き出していくというのが重要かと考えております。  グリーンインフラを普及、推進していくに当たり、単なる緑化推進にとどまらず、自然の力を生かしていくことが重要と考えておりますが、この点に関しまして、国交大臣の御見解をお聞かせください。 ○赤羽国務大臣 グリーンインフラというものは、二〇一五年に閣議決定をいたしました国土形成計画において初めて政府としての計画に位置づけられました。それは、生物の生息、生育の場ですとか、樹木による暑熱対策、良好な景観形成といった自然環境が有する多様な機能を活用する幅広い可能性を有しているというふうに考えております。  当時、振り返りますと、屋上緑化ですとか、様々、相当積極的に取り組まれておりますが、残念ながら余り今、屋上緑化というのは、いろいろな試行錯誤の中で、なかなか難しい点もある、こう言われていると思います。それは、多分、小宮山委員が言われているように、そうしたことというよりも、もう少し幅広く、恐らく自然の力を生かしていくということが重要だという認識の下で、例えば水田を含む川沿いの低地などを、流域の沿川の保水、遊水機能を有する土地を貯留機能保全区域として指定できるようにするですとか、また、雨水を蓄え、地中に浸透させる能力が高い都市部の緑地そのものを特別緑地保全地区として指定できるようにする。こうした形で、やはり幅広い、今ある自然の力を活用していく、そうしたグリーンインフラの方が私は永続性があるのではないかというふうにも思っております。  しっかり、ちょっと足らない部分、必要であれば局長から答弁、補足しますが、そうしたことを考えながら、グリーンインフラ、本当の本質の意味でのグリーンインフラを実現できる流域治水にしていかなければいけないというふうに思っております。 ○小宮山委員 今大臣にも言っていただきましたけれども、グリーンインフラの概念は大変広いし、また、これまでのインフラ整備とは一線を画すものかと思いますが、これまでも、赤羽大臣も御一緒させていただきました各地の被災地において、山の大規模な崩壊であったり、先回の参考人のときに橋本参考人からも、流域治水を進める上において、地質であったり、地下水の流れであったり、様々なことをしなければ水害は防ぐことができないということも指摘もございました。  グリーンインフラの概念というのは、そういった意味において、今回の法案では入っておりません農水関係のところとの連携であったり、また、多くの地域を守ってきた市民の団体やNPOなど様々な意見を取り入れて、地域が、しっかりと協議会を通じ、この流域治水というものが、再び水害に見舞われないように、新たな一歩を進められることを心から願いまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。