令和3年2月25日 衆議院予算委員会第七分科会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○山際主査 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山分科員 立憲民主党の衆議員、小宮山泰子でございます。  大臣におきましては、先週、予算委員会の方で質問させていただく準備をして、答弁の準備をしていただいたにもかかわらず、様々な疑惑の追及も含めまして質疑が遅れ、できなかったことを残念に思いますが、本日こうやって改めまして質疑をさせていただけること、答弁をいただけるということに感謝を申し上げます。  さて、そのときの題材でもありますけれども、グリーン産業の市場規模やグリーン社会というものについての質問をさせていただきたいと思います。  まず最初、やはり、グリーン社会という言葉、最近だなと。十月二十六日の衆議院本会議の所信表明演説を聞きまして、菅総理がその中で、グリーン社会の実現に最大限注力していくことを述べられました。グリーン投資の更なる普及を進める、環境関連分野のデジタル化により効率的、効果的にグリーン化を進める、世界のグリーン産業を牽引し経済と環境の好循環をつくり出すとの方針を出されました。  最近は、行政の様々なところにグリーンばやりでございまして、いろいろな予算にグリーンがつく。過去に言えば地方創生だったり国土強靱化だったり、予算書を見るとはやりの言葉があちらこちらに散見されるということで、今回はグリーンではないかと考えております。  では、そのグリーン社会、グリーン投資、グリーン化、グリーン産業、これまで使われている用語と何が違うんでしょうか。 この意味についてお聞かせいただければと思います。 ○白石政府参考人 お答え申し上げます。  議員御指摘のグリーンという言葉でございますが、直訳すると緑でございますけれども、一般的には緑以外に英語で、環境に優しいでありますとか環境負荷が低いという意味で使われておりまして、脱炭素のみならず、自然との共生、循環型社会の構築、水、大気環境の保全などを幅広く含む概念だというふうに捉えてございます。それらが互いに結びついて、全体として環境の保全につながるというものだというふうに考えてございます。  海外におきましてもこういった、日本だけではなく、例えば諸外国におきましてもグリーンニューディールでありますとかグリーンリカバリーというような言葉が最近はよく使われてございまして、これも脱炭素以外のものも含む幅広い意味で使われているというふうに承知してございます。  その意味で、カーボンニュートラルの実現もグリーン社会実現のための手法の一つと言うことができると考えてございます。  環境省としても、脱炭素社会、循環経済、分散型社会、この三つの社会への移行を加速するために本通常国会に四本の法律の提案を目指しているところでございまして、関係省庁と一丸となってグリーン社会の実現に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。  以上です。 ○小宮山分科員 環境省の方から、グリーン社会の一つの要素としてのカーボンニュートラルという話がございました。一部の話で本当にいいのかというのは、後々また提案させていただきますが。  世界のグリーン産業を牽引し経済と環境の好循環をつくり出すと述べられていますけれども、グリーン産業として、どういった規模の市場が形成されることとなるのか、これも期待をしているところではありますが、なかなか曖昧なことが概念としては大きいと思います。どんなような試算を出されてグリーン社会を目指すのか、大臣の御見解をお聞かせください。 ○梶山国務大臣 現在、世界全体の環境投資は三千兆円とも言われておりまして、これを我が国に呼び込んで経済成長の新たな原動力としていくことを目的としております。  そのためにも、私どもが掲げるグリーン成長戦略では、二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて、技術革新を通じて今後の成長が期待される十四の産業分野ごとに実行計画を策定いたしました。  例えば、洋上風力分野は、部品数が約三万点に及ぶものもあり、さらに、製造業、建設業、運転、保守など関連産業の裾野が広いということであります。水素分野では、水素発電技術など、我が国物づくり産業による輸出等を通じて、グローバル市場の獲得余地があるということであります。我が国の経済成長が期待されている分野でもあります。  この実行計画では、高い目標を掲げた上で、あらゆる政策を総動員して戦略の実現に向けた企業の挑戦を後押しすることとしております。この戦略により、二〇三〇年では年額九十兆円、二〇五〇年では年額百九十兆円程度の経済効果を見込んでおります。  二〇五〇年カーボンニュートラルは並大抵の取組では実現できない困難な課題であるという認識を持っております。だからこそ、経済と環境の好循環につなげる産業政策として、イノベーションを実現し、経済効果を生み出し、メリットを国民に還元できるように取り組んでまいりたいと思っております。 ○小宮山分科員 経産省の資料におきまして、カーボンニュートラルの産業イメージという絵図がございます。  これを見ながら、やはり、グリーン計画が他省庁の関連分野は避けて通っているような形になっているふうに思います。縦割り行政が如実に現れた図なのかな、ひもづけをしているところが省庁内でのひもづけになっておりますので。例えばエリートツリーとか農林水産業とか、そういったところには、この図だと、矢印で関連性があるようには見えないという図になっておりまして、存在は認めているけれどもというところがちょっと残念だなと。また、運輸や交通分野での関連性の打ち出しも薄いというのが印象であります。  目的としているカーボンニュートラルを実現するには、農林水産省、国土交通省始め、他省庁の所管事業もしっかりと組み合わせることが重要だと思っております。これは本当に避けて通れない課題だと感じております。  この中で気になっているのは、近年、二酸化炭素を排出しない燃料として、水素ガスを燃料電池に用いることで電力を得る、水素ガスの活用の部分です。  水素は沸点が低く、マイナス二百五十二・九度、ガス、気体で取り扱うために、爆発の危険もあり取扱いが難しく、実際には補助金がつけられて導入される。つまり、補助金をつけなければ普及ができないというのが現実に起こっているのではないでしょうか。  そこで、私自身が注目しているのは、水素と窒素の化合物であるアンモニアの燃料としての可能性です。  窒素は、大気中約七八%を占めており、水素ガスと化合させることでアンモニアを得ることができます。アンモニアは、燃焼させると水と窒素酸化物を生じる。この窒素酸化物はそのまま排出すると公害の元となりかねませんけれども、触媒などを用いて無害化する技術はもう確立しています。  そこで、アンモニアは沸点がまたマイナス三十三・三四度と比較的高く、液化しての輸送にも適しているということがあります。資料のカーボンニュートラル産業のイメージの中でも、アンモニア輸送船、アンモニア発電の記載は見受けられます。  このアンモニアの燃料としての活用、これをもっと大きくしっかりと進める方がカーボンニュートラルに近づくのではないかと思いますが、この活用の促進と拡大について御所見をお聞かせください。 ○南政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、アンモニアは、燃焼させてもCO2を排出しないことから、カーボンニュートラルに向けて有望な燃料であると私どもも考えているところでございます。また、既存の生産、輸送、貯蔵技術等の活用も可能であることから、早期の実用化を期待しております。  火力発電へのアンモニア混焼につきましては、二〇二〇年代後半の実用化を目指しまして、来年度から実機実証を行う予定となっております。また同時に、将来的な専焼化、又は船舶や工業炉等での活用に向けた技術開発も進めてまいりたいと思っております。  他方、将来的な需要拡大に対応した供給確保も重要でありますので、ファイナンス支援等を通じまして、安定的かつコスト競争力のあるアンモニアのサプライチェーンを構築すべく、官民で取り組んでまいりたいと思っております。 ○小宮山分科員 是非、この分野、しっかりと見ていただきたい。特に水素ありきでいろいろ書かれているものが多いですけれども、どんどん技術も革新をしていくという意味においては、このカーボンニュートラルが目指す経済産業省の中でのエネルギーの利用のところでは、こういった新しいものもどんどん入れていただきたいと思います。  そうなっていきますと、先ほど言いました計画のこの絵図、カーボンニュートラルの産業イメージ、ここの隅の方には「エネルギーの地産地消分散型エネルギーシステム」の表記が結構ちっちゃく入っているんですね。本当に隅の方にひっそりと書かれておりまして、用語だけの記載では見過ごしてしまうんじゃないかというふうに危惧もいたします。  経済産業省としてエネルギーの地産地消を推進していくという考えをしっかり持っていらっしゃるのか、この点に関しまして大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。 ○梶山国務大臣 まずは、大きなイノベーションを期待する十四分野ということで記載をさせていただいているということでありますけれども、地産地消というのは非常に重要なことであると思っております。特にやはり災害時の分散型電源という意味では非常に重要でありまして、そういったものの組合せが今後の災害対策ということにもつながってくると思いますし、安定供給というものにもつながってくると思っております。  地域の分散型エネルギーの普及促進に向けて、環境省と分散型エネルギープラットフォームを開催をして、関係する企業や自治体の参加の下に分散型エネルギー導入に向けた課題や先進的な事例の共有を図っていくために、来年度の予算も組ませていただいたところであります。  こうした取組を通じて、今後も関係省庁と連携しつつ、経済産業省としてもエネルギーの地産地消の取組に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。 ○小宮山分科員 グリーン社会の名の下に新たな社会像を実現していくのであれば、カーボンニュートラルの実現を目指すにとどまらず、自然エネルギーの地産地消も活用して、産業革命以来、あるいは戦後の高度経済成長以降、現在に至るまでの大量生産、大量消費の上に成り立つビジネスモデル、これ自体を大きく見直す、改めていく必要があるんだと思います。  この点に関してリードするのは、やはり経済産業省ではないかと思います。そもそも、ちょっとカーボンニュートラルに水を差すようですけれども、排出量が世界の三%に満たない日本の場合、国内のカーボンニュートラルによる地球の大気の改善効果というのはわずかなものではないかというところもあります。脱炭素社会への移行というのは産業革命につながるという意見もございますので、この点も含めて、やれること、また地球規模で考えること、ここも是非経産省にはやっていただきたいと思います。  その中で、目指すべき豊かな社会像として、文化的な消費生活を確保しつつ、できるだけ廃棄処分を少なくしていく社会へと転換を図ることは重要かと思います。経済、産業、エネルギーを所管する立場からの所見を求めたいと思います。 ○矢作政府参考人 お答えいたします。  先生御指摘が今ございましたように、経済規模の拡大に伴いまして、資源、エネルギー等の需要が増大しまして、また、廃棄物の増加など、環境問題等も顕在化しているところでございます。こうした中で、経済全体として、大量生産、大量消費、大量廃棄型のビジネスモデル、これを見直していくことが重要と考えてございます。  こうした観点から、生産そのものからいかに無駄をなくしていくか、あるいは一度作ったものをいかに長期利用あるいは再利用していくか、そうした中でいかに中長期的に筋肉質な成長を目指していくか、こういった視点に立ちまして、経済産業省として、昨年五月、循環経済ビジョン二〇二〇を取りまとめたところでございます。  このビジョンにおきましては、あらゆる経済活動におきまして資源の投入量あるいは消費量の無駄を抑えつつ、形成しましたストックを有効活用しながら付加価値の最大化を図る、いわゆる循環型の経済社会活動への転換に向けまして企業の取組を促していく、こうした方針を打ち出しているところでございます。  また、こうした取組の具体的な一例といたしまして、例えばプラスチックについての取組を申し上げれば、環境省等関係省庁と連携いたしまして、昨年七月よりレジ袋の有料化を開始して、過剰な使用の抑制といったものを促してございます。この結果、コンビニではレジ袋の辞退率が約七五%程度に上昇しているというふうに承知してございます。さらに、設計、製造から販売、提供、あるいは排出、処理、こういった各段階でプラスチックの循環利用を進めるための環境整備に向けまして、現在検討を進めているところでございます。  引き続き、経済、産業、エネルギーを所管する経済産業省といたしまして、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済から、あらゆる段階で資源の効率的、循環的な利用を図りつつ付加価値の最大化を図っていく、こうした循環経済への転換を進めて、新たなビジネスチャンス、成長につなげていけるよう取り組んでいきたいと考えてございます。 ○小宮山分科員 今、立憲民主党におきまして、グリーンインフラワーキングチームというのを私が座長で立てさせていただきました。  これまでのインフラというのはコンクリートであって、作ったときから劣化が始まります。このグリーンインフラの発想でいえば、作ったときから自然との共生をするので根が張り、強くなる、都会とかでは一概に自然を活用できないのでハイブリッドインフラということで、両方のいい面を適材適所のように使うということを提案させていただきます。  こういったインフラや建築の面におきましても、新しい発想、新しいビジネス、産業というのをつくっていかなければならないんだと思っております。それが環境にも優しく、そして持続可能な開発にもつながっていくと考えております。  その観点でいうと、住宅や建築物などについては、省エネルギーから低エネルギーで生活ができる建築物など、建築の基本も変えていく必要があるかと思います。建築物省エネ法の質疑の際にも言いましたけれども、省エネから一層の低エネルギーを発展させる必要があるんだと考えています。  現代社会において低エネルギー化を目指す場合には、電力の利用をより積極的に減少させる、縮小化させることは避けて通れません。豊かで便利な生活は、大量の電力消費から現在成り立っている。できるだけ電力消費に頼らない生活への提案や、生活様式の変換を目指す。ここは、新しい産業や消費の在り方、経済が回るという礎になっていきます。このイメージというものを、大臣、どのように捉えているのかもお聞かせいただければと思います。 ○梶山国務大臣 グリーン社会をつくっていくためには、個人個人の意識と、また、それらを支える仕組みであったり技術が必要であると思っております。  自らのライフスタイルや価値観に照らして無理なく不必要な電気を節約していただくことは大変重要でありまして、ホームページ等を通じて広報で国民にこうした取組を呼びかけしておりますけれども、経済産業省の役割は、技術革新や省エネ機器の普及拡大等を通じて、より効率的に電気を消費することができる環境をつくること。使わないという認識とこれが合わさってそういう社会につながるものだと思っております。  このため、断熱強化や、再エネ、蓄電池等の導入による住宅・建築物のゼロエネルギー化に向けた支援や、エアコン等のエネルギー多消費機器のトップランナー制度を通じたエネルギー消費効率の向上などに取り組んできているところであります。  こうした取組につきましては年末に策定しましたグリーン成長戦略においても取り上げているところでありますけれども、二〇五〇年のカーボンニュートラルを実現するためには省エネ、節電というものも当然必要です。それには、エネルギー起源のものだけではなくて、やはり住宅であるとかライフスタイルというものも大きく関わってくると思っておりますので、また御指導を仰ぎたいと思います。 ○小宮山分科員 ありがとうございます。  今、全国でまだ、豪雪などでいろいろな被害が今年は出ております。秋田県と伺いましたけれども、電気給湯器で温めた水を用いて凍結を防止されていますが、停電をした場合に、水道管路の凍結防止機能が作動せずに結果として破裂が起きるということが各地で起きていると伺いました。被害を拡大させて、復旧に時間と労力を、電気を使うことで現実には起きてしまっていること。以前であれば、アナログ的手法ですけれども、水道を細く開ける形が、給湯器を介して電気を使用する仕組みを選んだがためにトラブルが起きてしまうということもあります。  また、電気というのは、この前も震度六強の地震が福島県沖で起きました。このときも、かなりの数の、関東も含めて、震度二とか一とか、そういったところでも停電が大規模に起きるということで、かなりいろいろなところで電気に依存をするということによっての暮らしづらさ、生きづらさというのが起きてしまっているのも事実だと思います。  今、先ほど大臣がおっしゃっていただきましたけれども、日本は本来、伝統建造物においても、高密度、高断熱は大切ですけれども、空気が通り、夏はそこそこ涼しく、冬は木材ですので冷え切らないとか、様々な手法がありました。こういった建物においては別に、昔であればクーラーをつけているわけでもございません。  でも、建築家協会だったと思いますけれども、一年間、そういった工法をつくって検査をしたところで、冷房とかを使わなくても何とかいられるというような居住者の方のデータを取ったのもあります。その中では、残念ながら、政府の方において、快適な住まい方という中では必ず、基本的には冷暖房がつけられるということがあったりしますので、それがなくてもできるための基準が、湿度が大変大きいんですが、そこでは湿度はカウントに入らないんですね。  そういう意味においては、やはりしっかりとした調査というものを様々することによって、必要なところにはもちろん電気は使う、でも、使わなくてもいい暮らしというのもあるんだと思います。  これは新たな産業にもつながるでしょうし、自然にも環境にも優しい、そして豊かさも享受できるという意味においては、住宅・建築物は国土交通省ですけれども、農水省だったり、環境省だったり、グリーン社会、グリーン産業の旗振りの一翼を担う経済産業省には、所管の範囲内でカーボンニュートラル計画というのを出すのではなく、真のカーボンニュートラル計画を他省庁を巻き込んで是非リードしていただきたいと思います。  大臣に、先ほども言っていただきましたけれども、是非もう一度御決意をお願いいたします。 ○梶山国務大臣 断熱基準とか、そういうものはもう国交省と連携をしております。また、港でカーボンニュートラルポートというものを造るということで、そういったものも連携しておりますし、風力発電も同様ということで、省庁の壁を越えて同じテーマに関しては一緒にやっていくということでもありますし、環境省ともこのカーボンニュートラルの件については折に触れて話合いをしておりますので、是非そういう思いで取り組んでまいります。 ○小宮山分科員 その思いを込めまして、是非、自然エネルギーなどの積極的な活用も、経済産業省として、しっかりと絶大なる支援をお願いしたいと思います。  さて、続きまして、ジェンダー不平等の実態と経済損失について伺わせていただきたいと思います。  最近では、森喜朗先生のオリンピック・パラリンピック組織委員会での女性蔑視発言と取られたことが話題になりました。国内のみならず、先進国を始めとして、諸外国において大きな波紋を広げたのも事実でもあります。男女間格差、男性中心の社会のありようが表れたものであり、ジェンダー不平等な日本の実情というのも非難の対象となったというふうに感じております。  女性活躍ということに対して、女性活躍推進法の下で、法律まで作っているにもかかわらず批判を浴びる事態を迎えたというのは、大変残念な、またお粗末な現状でもあります。ジェンダーギャップ指数もこの数年下がり続けている、特に政治分野で順位を上げることがないというのも現実でもあります。  アメリカの大手金融グループ、シティグループが、黒人への人種差別が社会全体の経済損失につながっているという研究報告を取りまとめています。差別を背景としたものは約千四百兆円の企業収益が生まれなかったと推計するのを始めとして、過去二十年間で日本円に換算してアメリカの社会において千七百兆円ほどの経済損失があったと推計を出されています。  人種差別、ジェンダー不平等などが経済損失につながっているという認識があるのか、この点の御見解をお聞かせください。 ○梶山国務大臣 まず、人種差別やジェンダー不平等はあってはならないものと思っております。  損失に関しましては、詳しく承知をしておりませんけれども、逸失利益というものはあると思います。  例えば、ジェンダーに関して、女性の活用の中で、女性の比率が少ない会社は、どうしてもやはり市場に対して目が届かないところがあって逸失利益というものが生じてくるということでもありますでしょうし、また、ある商社では、来年度の採用というか、今年はもう採用は終わったかもしれませんけれども、総合職の半数を女性にするというような動きも出てきておりますので、しっかりとそういった動きを支援をしてまいりたいと思っております。 ○小宮山分科員 大臣、今、不平等においての経済損失があるという認識、確認させていただきました。  そうしますと、EUとかはたしか同じような報告書を作っているかと思いますが、日本においてどれだけ不平等を起こすことによって経済損失があるのか。ここを直すことで、アメリカであれば、先ほどのシティグループの報告書ですと、GDPは五年間で五百二十五兆円ほど増えるという指摘をされています。こういった目標があることによって、不平等をやめることの利点が大きく皆さん意識を共有できる、そういう意味では法律も必要ですけれども、早く現実の不平等を解消することとなるんだと思います。  そこで、是非、この報告書など様々な試算が世界では出されています、日本においても調査研究を行ってみるべきだと思いますが、この点に関して大臣の御見解をお願いいたします。 ○梶山国務大臣 まずは、御指摘の米国金融機関作成のレポートをしっかりと研究をしてみたいと思っております。先ほど申しましたように、損失というよりも、逸失利益がかなりあると思います。  そういった点も含めて調べてみたいと思っております。 ○小宮山分科員 ありがとうございます。是非調べていただき、平等な中で自由な競争、それが日本の活力につながる、その礎となる調査研究をしていただければと思います。  さて、不平等でいいますと、ジェンダー問題があります。同性カップル、同性婚、性の自認不一致の方など、いわゆるLGBTQ、性的マイノリティーの方々に対する行政対応の在り方、企業など社会の中でも、いまだに諸外国と比べて硬直的であり、不平等が生じている、また対応が遅れているというのは現実だと思います。  同性婚、同性カップルの場合、そのうちの一方の方が入国、在留許可が認められた場合、家族でありパートナーであるもう一人の方の入国、在留に対しては大きなハードルが維持されています。  異性間でのカップルであればこの点に関しては伴侶として様々な権利が認められますが、同姓であると日本は受け入れるのが非常に難しい状態が続いています。  在日米国商工会議所では、日本政府に対してLGBTカップルへの婚姻の権利を認めるよう提言を二〇一八年に行っております。LGBTカップルの婚姻が認められれば、日本でビジネスを行う企業も、LGBTカップルの権利や保護が充実して、よりインクルーシブな生活、職場環境を整備することにより、国際的なレベルの人材確保において他国と対等な条件で競争することができるようになるという指摘であります。  婚姻と同様の関係にあるLGBTQの個人同士で、他国では婚姻関係にあると法律的に認められる関係であっても、日本では配偶者ビザは発給されない。また、企業には、このようなカップルに住宅手当や配偶者の健康保険といった福利厚生を提供することに関しても障害が存在します。  先日は、同性婚の原告の方のカップルの方が亡くなられて、最期をみとるときに一緒にいることも拒否される、本当にそんなようなことが日本では多々起こっております。LGBTカップルの婚姻を法律上認めること、また、入国、在留に関しての問題も解消するべきであります。  この点に関しまして、政府からの御見解、現状の取扱いについてお聞かせください。 ○丸山政府参考人 お答え申し上げます。  まず、現状についてお答え申し上げます。  同性婚の当事者がいずれも外国人である場合につきましては、その双方の本国で有効に婚姻が成立しているときは、本国と同様に我が国においても安定的に生活できるようにとの配慮から、特定活動の在留資格をもって入国、在留を認めております。  他方で、当事者の一方が日本人の場合、我が国においては同性婚が認められていないことから、相手方の本国において同性婚が認められていたとしても我が国において公的な手続を何ら取ることなく関係を解消できることから、身分関係の明確性、確実性が十分とは言い難く、現在、在留資格を認めていないところでございます。  同性パートナーに係る在留資格の今後の在り方につきましては、今申し上げたような課題への対応を含め、引き続き慎重に検討してまいります。 ○小宮山分科員 日本の対応は大変慎重ではありますが、同性カップルまた同性婚を認めているG7の中では、認めていないのが逆に日本だけなのではないでしょうか。台湾でももう既に、国民投票も含めまして成立もしております。  そういった意味において、大臣、ビジネス環境を整えるという意味においても、日本に来る優秀な人材若しくは日本の優秀な人材が同性カップルがいるということで日本を選ばないという現実が起きているそうです。この点に関して、やはり、経済産業省としても、管轄は確かに法務省かもしれませんけれども、これもリードしていくべきなのではないかと思います。大臣の見解をお願いします。 ○山際主査 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。 ○梶山国務大臣 私の知り合いでも、長くアメリカのIT企業に勤めていた方が戻ってきて、そういう環境で、アメリカのIT企業というのは非常に自由だということで、優秀な人材、多様な人材が集まるというお話を聞いたことがあります。  日本の企業におきましてもそれぞれ事例がありまして、株式会社丸井グループでは相談窓口を設置したり、NTTデータでは結婚、忌引、慶弔金といった社内制度をLGBTQの社員にも適用拡大をしているという事例もありますので、そういった事例を紹介することによって、またそういった事例が広がることを含めて、私どもも努力をしてまいりたいと思っております。 ○小宮山分科員 事例は広がっています。でも、法律の壁があるんです。ここをしっかりと正すことが政府に求められておりますので、このことはまた引き続き質疑させていただきます。  ありがとうございました。