令和2年12月1日 国土交通 令和二年十二月一日(火曜日)(未定稿) 午前十時開会 ○委員長(江崎孝君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日、西田実仁君、末松信介君及び鶴保庸介君が委員を辞任され、その補欠として下野六太君、加田裕之君及び三木亨君が選任されました。 ───────────── ○委員長(江崎孝君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  交通政策基本法及び強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、国土交通省鉄道局長上原淳君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(江崎孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ───────────── ○委員長(江崎孝君) 交通政策基本法及び強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、提出者衆議院国土交通委員長あかま二郎君から趣旨説明を聴取いたします。あかま衆議院国土交通委員長。 ○衆議院議員(あかま二郎君) ただいま議題となりました交通政策基本法及び強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。  これまでの国土交通政策は、運輸業は黒字で運営することが可能であるとの前提で民間事業者に対して事業許可等がなされてきました。人口が増加し、経済成長が続いている時代には、その前提で問題がありませんでしたが、人口減少や災害発生など様々な事情によって輸送サービスの提供は採算が取れないものになりつつあり、採算が取れない輸送サービスを民間事業者が提供することは不可能となります。  一方で、国内交通網は、通勤、通学等の生活基盤であり、また地域における企業の立地や地域内、地域間の交流等の促進に資するものであることから、一部の路線又は区間の採算性が低いとしても、適切な整備及び輸送サービスの提供が行われないと、若年層の流出等を招き、地方における地域社会の維持及び発展に影響を及ぼすおそれがあります。  また、人口の減少や感染症対策等の現在の交通事業を取り巻く環境の変化に鑑みると、国が公共交通機関に係る旅客施設及びサービスに関する安全及び衛生の確保の支援等の必要な施策を講ずる必要も生じております。  さらに、災害が頻発、激甚化し、南海トラフ地震や首都直下地震等の発生も懸念される中、国土強靱化の観点から、大規模な災害が発生した場合においても交通の機能が維持され、社会経済活動が持続可能となるよう必要な施策を講ずる必要があります。  本案は、このような現状に鑑み、交通政策基本法と強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の連携を図りながら施策を推進していくことの重要性を踏まえ、交通政策基本法について、地域社会の維持及び発展の観点を明記し、赤字路線への補助は行わないというこれまでの運輸行政の在り方を転換し、交通に関して国が支援を行う根拠となるような改正などを行うとともに、国土強靱化に当たって、代替性の確保による交通機能の維持や地域の活力の向上が重要であることから、国土強靱化基本法の基本方針に、国家及び社会の重要な機能の例示として交通を明示し、地域の活力の向上を追加する等、所要の規定の追加等を行うもので、その主な内容は次のとおりであります。  交通政策基本法について、第一に、交通の機能の確保及び向上に関する規定に、交通に関する施策の推進は人口の減少に対応しつつ、交通が地域社会の維持及び発展に寄与するものとなるよう行われなければならないことを追加するとともに、交通の機能の確保及び向上を図るに当たっては、国土強靱化の観点を踏まえ、我が国の社会経済活動の持続可能性を確保することの重要性に鑑みることを追加することとしております。  第二に、日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保等に関する規定に、国は、少子高齢化の進展、人口の減少その他の社会経済情勢の変化に伴い、国民の交通に対する需要が多様化し、又は減少する状況においても、国民が移動を円滑に行うことができるようにすべきことを明記することとしております。  第三に、国は、国民が安全にかつ安心して公共交通機関を利用することができるようにするため、公共交通機関に係る旅客施設及びサービスに関する安全及び衛生の確保の支援その他必要な施策を講ずることとしております。  第四に、国が地域の活力の向上に必要な施策を講ずる目的として、地域社会の維持及び発展を図ることを明記するとともに、そのために必要な施策として基幹的な高速交通網の形成及び輸送サービスの提供の確保を追加することとしております。  第五に、国が運輸事業その他交通に関する事業の健全な発展のために行う施策として、必要な労働条件の改善を含む人材の確保の支援を追加することとしております。  第六に、大規模な災害が発生した場合における交通の機能の低下の抑制及びその迅速な回復等に必要な施策について、国土強靱化の観点から、我が国の社会経済活動の持続可能性を確保することの重要性に鑑みるべきことを明記することとしております。  そして、強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法について、同法の基本方針に、国家及び社会の重要な機能として、行政、情報通信、交通を明記し、地域間の連携の強化等により、地域の活力の向上が図られることを追加することとしております。  以上が、本案の趣旨及び主な内容であります。  何とぞ速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。 ○委員長(江崎孝君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。 ○森屋隆君 おはようございます。  立憲民主・社民の森屋隆です。質問の機会をいただいたことに感謝を申し上げます。  ただいま議題となりました法律案について質問をさせていただきます。  提出者の趣旨説明の中に、「交通政策基本法について、地域社会の維持及び発展の観点を明記し、赤字路線への補助は行わないというこれまでの運輸行政の在り方を転換し交通に関して国が支援を行う根拠となるような改正などを行う」としています。具体的には、改正案のどの部分に示されているのでしょうか。この辺について教えていただきたいと思います。 ○衆議院議員(盛山正仁君) 御質問ありがとうございます。  この法案の第二十条におきまして、地域の活力の向上に必要な施策として、「輸送サービスの提供の確保」を新たに加え、たとえ採算が取れないような輸送サービスであっても、地域の維持発展のために必要と考えられるものであれば、その輸送サービスの提供が確保されるよう、赤字の輸送サービス路線に対して、国、地方公共団体が助成その他の支援策を講ずる根拠を設け、そして必要な輸送サービスを提供できるようにすることとしたところであります。  加えまして、交通手段の確保について規定している第十六条においても、「社会経済情勢の変化に伴い、国民の交通に対する需要が多様化し、又は減少する状況においても」を新たに加え、たとえ採算が取れない路線等であっても、日常生活等に必要不可欠な移動を円滑に行うことができるようにするために、国、地方公共団体が支援策を講じ、その交通手段を確保できるようにするとしたところでございます。 ○森屋隆君 ありがとうございます。  地方公共交通、大変厳しい状況にありますから、よろしくお願いしたいと思います。  次に、交通事業者の厳しい状況に鑑み、国の補助金だけではなくて、特に災害時など、機動的に対応できるような基金的な財政的支援基盤も私は必要ではないかと、このように思います。この辺についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。 ○衆議院議員(盛山正仁君) 委員の御指摘、そのとおりだと思います。  災害時等の場合におきまして機動的に対応できるようにしておくことの重要性、本当にこの数年、毎年のように大規模な災害が起こっております。  何とかしなくてはならないと私も感じておるところでございます。  地域住民の皆様のための交通サービスを維持、提供してもらうためにどのような支援を行うかにつきましては、この法律ができた上で、今後、国、地方公共団体、その他関係者も含めて今後検討していく必要があると考えておりますし、また、進めていただきたいと考えているところでございます。 ○森屋隆君 ありがとうございます。是非この基金についても引き続き検討をお願いしたいと、このように思います。  続いて、今回の改正案では、交通政策基本法の第二十一条において、「、人材の確保(これに必要な労働条件の改善を含む。)の支援」が盛り込まれることになりますが、先日の質疑でも質問をさせていただきましたが、人材の確保はこの公共交通において切実な問題であり、改正案に明記されたことを大変歓迎をしています。どのような背景でこのような改正案の御提案になったのか、教えていただけますでしょうか。 ○衆議院議員(小宮山泰子君) 御質問ありがとうございます。  今回の法改正に当たり、働く方の団体を含め、幅広く様々な御意見を伺わせていただきました。  その中で、委員も御指摘のとおり、例えば公共交通事業やトラック事業など交通事業においては人材の確保が切実な問題になっております。ということで、様々な御意見をいただいてまいりました。  そこで、本法案は、交通に関する事業の健全な発展を図るため、事業基盤の強化に加え、国が人材の確保の支援を講ずることを明記いたしました。  また、人材確保のためにはそこで働く方の労働条件の改善が必要であるため、労働条件の改善の支援を講ずることも明記いたしました。  本法案によって必要な人材の確保が実現し、交通事業の安定的な運営に寄与することを期待しております。 ○森屋隆君 ありがとうございます。本当に、現場の声を取り入れていただいたということで、本当に心からの感謝をしたいと思います。  最後になりますけれども、公共交通は、当然、高齢者や障害者など交通弱者にとってこそ利便性の高い交通機関であるべきだと私は思っております。しかし一方で、利用者の減少によって路線の廃止や駅の無人化などが進んでいるのも事実でございます。  今回の法案改正案を作られる中でこの辺に関してはどのようにお考えになられたのか、教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○衆議院議員(小宮山泰子君) 国内交通網は通勤、通学、また通院などの生活基盤であることから、利用者の減少による路線の廃止や駅の無人化が進むことは地域社会の維持及び発展に影響を及ぼすおそれがあることと考えています。  本法案は、交通政策は厳しい社会経済情勢の下にあっても地域社会の維持及び発展に寄与するものとなるように行わなければならないとの問題意識などから提案したものであり、地域社会の維持及び発展のために必要な施策を講ずる旨を規定する二十条の改正や、交通弱者を含む国民の日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保等について規定している十六条の改正を始めとした本法案により、委員御指摘の路線の廃止や駅の無人化への対策を含めた交通弱者に対する施策が一層進められることを期待しております。 ○森屋隆君 どうもありがとうございます。  この委員会でも、バリアフリーを始め、そういった意見が多々あったかと思います。現在、二〇二〇年三月現在でありますけれども、日本の駅、九千四百六十五駅あるそうですけれども、このうちの四千五百六十四駅がもう既に無人化になっているというふうに、全体の四八・二%が無人駅だということでございます。無人駅の増加に伴って転落事故など、こういったことで、安全面での課題も少なくないと私は思っております。  是非、このバリアフリー、ハード、ソフト面を含めてですけれども、事業者任せにせず、ユニバーサルデザインの共生社会の推進に向けて更なる国の支援をお願いをして、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。 ○浜口誠君 おはようございます。国民民主党・新緑風会の浜口誠でございます。  今日は、あかま委員長、盛山先生、小宮山先生、御対応ありがとうございます。  まず、私から、安定した財源の確保についてお伺いしたいと思います。  交通政策様々やっていくためには、今回の法整備と併せて、やっぱり財源をいかに確保していくのかというのが非常に重要な課題だというふうに思っております。  今回も、法律の第十三条、ここで法制上の措置等という欄があって、その中に、業界の皆さんからは、安定した財源の確保、この趣旨を織り込んでいただきたいという要望がありましたけれども、結局、法案の中にはその趣旨は織り込まれなかったというのが今回の実態かなというふうに思っておりますが、今後、この安定した財源の確保に向けてどのように取り組んでいくのか、御所見がありましたらお伺いしたいと思います。 ○衆議院議員(小宮山泰子君) 御質問ありがとうございます。  今回の改正項目の趣旨を踏まえて様々な交通に関する政策を推進するためには、安定的な財源の確保が重要であることは委員御指摘のとおりでございます。  この点に関しては、現行法の第十三条において、政府は、交通に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならないとされており、今回の改正の趣旨を踏まえ、提案者としては、これまでまだまだ足りないところはあったかもしれませんが、必要な財政上の措置がなされるものと考えております。 ○浜口誠君 是非、これは国会側も、行政側に対して、政府に対してもしっかり財政上の措置を求めていく、この姿勢を与野党共にしっかり持っていくことが非常に大事だなというふうに思っておりますので、今回の法改正の趣旨もしっかり踏まえながら、引き続き財政的な支援できるように取り組んでまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  では、続きまして、高速道路網ですとか、あと地域の公共交通、これに対しては、そうした交通網を整備するというのはもちろん大事なんですけれども、その一方で、国民の皆さんですとかあるいは地域の皆さんにそういった交通網を使っていただく、活用していただく、このことが非常に大事だというふうに思っております。  例えばですけれども、高速道路についていえば、もう料金を大幅に引き下げて、より高速道路を使っていただく、あるいは地域の公共交通においては利便性の高いダイヤを戦略的に組むだとか、あるいは定額制運賃といったような新たな発想でそれぞれの交通モードを使っていただく、この取組をしっかり進めていくというのが非常に大事だというふうに思っておりますので、道路網の利活用という観点で御所見なり御意見があったらお伺いしたいと思います。 ○衆議院議員(小宮山泰子君) 委員は以前より高速道路料金の引下げや定額料金制などを御提案されており、御指摘のとおり、交通の活用促進の観点では非常に重要と私も認識をしております。  現行法でも、十八条では、国は交通の利便性の向上のために必要な施策を講ずるとされていますが、本法案では、二十条の改正で地域社会の維持及び発展を加え、交通の活用による地域社会の維持発展を目指すこととしております。  また、昨今の新型コロナウイルスをめぐる状況に鑑み、国民が安全かつ安心して公共交通機関を利用できるようにするために必要な施策を講ずることを十七条の二に追加いたしました。  本法案によって、委員御指摘の点の検討も含めて、整備だけでなく利用促進の観点からも施策が推進され、交通機能が一層充実されていくことに期待をしております。 ○浜口誠君 ありがとうございます。小宮山先生に私の日頃の議論まで触れていただきまして、大変ありがとうございます。  高速道路料金は、本当、しっかり、使う利用者の立場で今後どうあるべきかというのを考えていくのが非常に大事だなと。  日本の場合、高速道路の分担率は欧米に比べて低いんですね。欧米はもう三割超えていますけれども、日本はまだ二割行くか行かないかということで、高速使われていないと。せっかくの国民の財産であるこういった重要なインフラが十分活用できていないということに対して、やっぱり国会としても様々な提案もしていく必要があるというふうに考えておりますので、引き続きこれは与野党の枠超えていろんなアイデア、知恵を出し合っていきたいなと、このように思っております。  続きまして、日本の生産性を高めるために、やっぱり物流の効率、生産性高めるというのはすごく大事だと思っています。日本全体の生産性を高めるためにも、物流が私はキーだと思っています。  そんな中で、例えば陸上のトラック輸送を考えたときには、効率性、物流の生産性を高めるために一度にたくさん運べばこれは効率性上がるんですね。一方で、たくさん運ぶとなると積載重量が重くなって、その分道路にも負荷が掛かると、こういう面も一方であります。今後、道路インフラ、道路そのもの、橋、トンネル、こういったものの老朽化更新がこれからピークを迎えるに当たって、今後の老朽化更新をやるときには、やはり物流の生産性を後押しするような道路側の改良だったり強化、このことをやっていくということは非常に重要だというふうに私は思っております。  今後、是非、改修を迎える老朽化更新について、そのような視点、物流の生産性を上げるという視点での取組が非常に大事だというふうに考えておりますけれども、先生方の御所見がありましたらお伺いしたいと思います。 ○衆議院議員(盛山正仁君) 委員の御指摘、誠にありがとうございます。  我が国は周りを海で囲まれております。そういう点で、多分、委員が御比較をされたヨーロッパあるいはアメリカは大きな大陸で、中に海で、あるいは水運で運ぶということはなかなかできないものですから、そういう点でトラック若しくは鉄道貨物の比率が当然高くなるんですが、イギリスや日本の場合には周りが海で囲われているので、大きい物あるいは重い物を内航海運で運ぶ、そういうことで先生が御指摘のトラックの、高速道路含めての比率が低いんだろうと思います。  そうはいいながらも、もちろんその物流の重要性ということは我々も強く認識しております。現行の第二十条におきまして、地域内及び地域間の交流及び物資の流通の促進に資する国内交通網の形成を講ずるものとすると定められておりますので、この規定に基づいて道路等の改良、強化がこれまでも進められてきたとは思うんですけれども、今回改正をするところ、二十条のところに、括弧書きでございますが、地域社会の維持、発展のために、「(基幹的な高速交通網の形成を含む。)」ということで追記をいたします。  これは、その在来のものに比べて高速交通網、つまり高速の鉄道であり道路、こういう高規格のものができるということが、災害等に対しても大変耐震性その他もありますし、そして、今後の道路を使っての、あるいは鉄道を使ってのそういう物流ですとか、そういうことを今まで以上に強化することができるということで今回明記をしたものでございますので、御指摘の道路等の改良あるいは強化がより一層進められていくものと我々期待しているところでございます。 ○浜口誠君 ありがとうございます。  是非、本当に物流、これからの日本の様々な産業を考えたときにも大事な要素だと思っておりますので、物流をどう改善していくか、より生産性高めていくか、本当に重要な取組これから必要だというふうに考えておりますので、一緒に取り組んでまいりたいなというふうに思っております。  最後になりますけれども、先ほど森屋先生の方からも御指摘ありました人材確保ですね、本当にこの交通業界の人材確保、非常に重要なテーマになってきております。長時間労働をどう是正していくのか、あるいは処遇をどう底上げしていくのか、これはまさに政労使で一体となって改善していかないといけない大きなテーマになっていると思いますので、今後の物流業界における人材確保に向けての対応について御意見をいただきたいなというふうに思います。 ○衆議院議員(小宮山泰子君) 公共交通事業における人材確保が大変困難な状況であることは御指摘のとおりであります。  そこで、同じ問題意識から、二十一条において、「人材の確保」、括弧ですが、「(これに必要な労働条件の改善を含む。)の支援」と明記することを提案いたしました。具体的には、労働者の処遇改善については、労働法規に違反するような事業者に対する指導の厳格化等を通じて、労働者のワーク・ライフ・バランスの向上を図ることが重要であると考えます。  また、近年、建設業者とトラック運転手の働き方改革に関して議員立法で法改正を行っておりますので、これらの改正も参考にしつつ、ワーク・ライフ・バランスに関する施策が実施されることを期待しております。  また、賃金についても、事業者の自主的な取組を応援したいと考えております。 ○浜口誠君 どうもありがとうございました。以上で質問を終わります。 ○武田良介君 日本共産党の武田良介でございます。  今日は、発議者の先生方、どうぞよろしくお願いをいたします。  早速、交通政策基本法の改正案の質問に入らせていただきたいと思います。  本改正案は、コロナ禍での公共交通機関の感染防止対策として、国による旅客施設等の安全、衛生を確保するためにその支援を明記するなど、大変重要な内容が盛り込まれているものというふうに認識をしておりますが、今日は、法案にあります基幹的な高速交通網の形成について質問をさせていただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  今回のこの法案の第二十条で、地域への企業立地、交流及び物資の流通の促進に資するとして基幹的な高速交通網の形成ということが盛り込まれております。この高速交通網の形成に当たっては、地域住民の理解と納得が重要であって、事業の必要性ですとか工事の進め方等について、事業主体と住民その他の関係者との十分な協議の場を計画段階、工事段階、それぞれで設けて関係者間の合意形成を図ることが必要だというふうに考えておりますけれども、発議者の先生方のお考えはいかがでしょうか。 ○衆議院議員(小宮山泰子君) 高速交通網の形成は地域社会の維持及び発展などを図るためのものであるため、事業を進めるに当たっては、御指摘のとおり、地域住民の理解や納得が得られるよう地域住民等関係者間との合意形成に努めていくことは重要だと考えております。先生の御指摘のとおりです。 ○武田良介君 地域社会のためなので、理解、納得、合意形成が非常に重要だということで御答弁をいただきました。  これ大変重要なことだというふうに私も思っておりますけれども、実際の工事で住民の理解と納得が得られるような十分な協議の場が設けられているのかどうかということについて、国交省にお伺いをしたいというふうに思います。  この基幹的な高速交通網の形成には北陸新幹線も含まれていることは衆議院の審議でも明らかになっているかというふうに思います。この北陸新幹線をめぐっては、金沢―敦賀間の工事で、敦賀駅周辺工事の遅れですとか、あるいは加賀トンネルでのひび割れの発生で開業時期の遅れや追加の工事費が今問題となっております。  今何が起こっているのかを地域住民にも十分説明する必要があるのではないかというふうに思っておりますが、事業主体である鉄道・運輸機構は、国交省とともに、十一月の十二日に福井県それから石川県の知事に、またそれぞれの県議会にも説明をしているというふうに承知しておりますけれども、地域住民の方に対する説明というのはなされたんでしょうか。 ○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。  北陸新幹線の金沢―敦賀間につきましては、令和四年度、二〇二二年度末の完成、開業を目指して工事を進めてきたところでございますが、今般、工期の遅延あるいは事業費の増嵩の可能性が生じているところでございます。  このため、十一月十二日には、先ほどもありましたとおり、私と鉄道・運輸機構の理事長で、沿線三県、福井県、石川県、富山県の知事、県議会議長、あるいは各県の報道各社に対しまして、今般の工期遅延、事業費増嵩について説明を行いました。また、鉄道局と鉄道・運輸機構におきまして、福井県議会、石川県議会に対しましても説明を行ったところでございます。  現在、この工期遅延、事業費の増嵩につきましては、第三者から成る検証委員会におきまして検証が続けられているところでございます。御指摘の地域住民の方への御説明につきましては、この検証結果が取りまとまった後に、鉄道・運輸機構におきまして、県や沿線市町とも相談の上、必要に応じて対応してまいりたいと考えております。 ○武田良介君 第三者による検証委員会の検証結果がまとまった後にということの御答弁だったかというふうに思いますが、質問したのにはちょっと理由がありまして、これらの問題について、今言われました北陸新幹線の工程・事業費管理に関する検証委員会、これが正式名称ということでよろしいでしょうか、これが設置されて、工期の遅延、事業費増額に関する検証と原因究明、再発防止策が検討されているというふうに思います。しかし、この検証委員会は非公開というふうにされておりまして、議事概要は公表されておりますけれども、議事録ですとか会議で配付された資料も公表を今されておりません。  国交省は、契約に関する書類もあるからということもお聞きをしておるんですけれども、配付資料を公開することを拒否されております。しかし、その鉄道・運輸機構が保有する文書というのは公文書管理法上も法人文書に該当しますので、情報公開の対象になるというふうに思っております。  個人情報だとか契約に関わる公表できない部分というのはもちろん隠して、マスキングなどしていただいても構わないというふうに思いますけれども、こういう公開できる情報は公開すべきではないかと。全てが公開できないわけじゃないと思うんですね。公開できるものから公開していただく必要もあるのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。 ○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。  先ほども申し上げましたけれども、工期遅延、事業費増嵩につきましては、第三者から成る検証委員会、北陸新幹線の工程・事業費管理に関する検証委員会におきまして、工期遅延、工事費増嵩に至ったこれまでの事実関係の検証を含めて検討を進めておるところでございます。このため、現在行われている検討のほとんどは工事の契約内容に関するものになっております。  検証過程においては、現在非公開としておりますが、各回、委員会の各回の終了後には、その日行われた議事について報道陣に対しましても詳細の説明を行っております。また、先ほども申し上げましたが、この検証委員会において中間取りまとめがなされ、公表される後は、今回使用しました検証資料につきまして、個人情報等の取扱いに留意しながら公表することを予定いたしております。 ○武田良介君 事実関係を確認するんだということでありましたけれども、だからこそ公開すべきものは公開していくということが私必要になるんじゃないかというふうに思うわけですけれども、福井だとか石川県だけではありませんで、京都でも、十一月の六日に開催された住民説明会、このときに、建設残土の発生量の試算ですとかあるいは処分地について住民が説明を求めたのに対して機構は具体的に答えなかったということをお聞きしております。  高速交通網の形成に関わって、その一つである北陸新幹線の建設工事では今こういう状況があるんだと、冒頭にも発議者の先生から、地域社会のためにその理解、納得が必要なんだと、合意形成必要なんだということで御答弁いただきましたけれども、地域住民のそういった理解、納得、十分な協議の場、あるいは関係者との合意形成という点で、実際にはそれと違う現実もあるんじゃないだろうかというふうに私思っております。  今後の法案の運用に当たって、住民の理解と納得、合意形成が図られているのかどうか、しっかりと見ていく必要があるというふうに思いますけれども、最後に発議者の先生の御見解を伺いたいと思います。 ○衆議院議員(盛山正仁君) 委員御指摘のとおり、先ほど小宮山委員も御答弁申し上げましたとおり、住民の理解というのは必要不可欠だと私自身も考えているところでございます。  今回の法案第二十条に基幹的な高速交通網の形成というふうに明記をするわけでございますけど、その今後の状況について、今後の推移を見守っていきたいと考えておりますし、関係者間の合意形成についてもうまく図られていくことを期待もしておりますし、また我々自身も注視していきたい、そんなふうに考えているところでございます。 ○武田良介君 住民の皆さんの意に反するような工事で進められないように注意していく必要があるということ申し上げて、質問を終わります。 ○委員長(江崎孝君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。 ○武田良介君 日本共産党の武田良介です。  私は、日本共産党を代表して、交通政策基本法改正案及び国土強靱化基本法改正案に反対の討論を行います。  改正案は、コロナ禍での公共交通機関の感染防止対策として…… ○委員長(江崎孝君) 済みません。大臣、もうちょっとお待ちください。 ○武田良介君 よろしいですか。済みません。 ○委員長(江崎孝君) どうぞ続けてください。 済みません。中断させて申し訳ございません。 ○武田良介君 改正案は、コロナ禍での公共交通機関の感染防止対策として、国による旅客施設等の安全、衛生を確保するための支援を明記するなど、評価できる内容もあります。  しかし、以下の点で問題があり、賛成できません。  交通政策基本法改正案で、地域における企業立地、地域内及び地域間の交流、流通の促進に資する国内交通網及び輸送拠点の形成に、基幹的な高速交通網の形成を含むとの文言を特出しで追加していることです。  これは、高速道路、整備新幹線、高規格の鉄道網などが対象とされており、リニア新幹線や東京外環道など、大規模開発事業が推進されることが懸念されます。元々、交通政策基本法と基本計画は、国際競争力の強化の名の下に、外環道や整備新幹線、リニア新幹線、海峡横断道路など、安倍政権の下で復活、拡張された大規模開発事業を位置付け、推進してきました。改正案は、基幹的な高速交通網の形成との文言を特出しして追加することで、重点的に推進する意図があると言わざるを得ません。  コロナの感染拡大、災害の頻発、激甚化の下で本来改正すべきは、住民の足と地域経済基盤を守るために交通権、移動する権利を保障することであり、大規模開発事業の復活、拡張とその財源確保に道を開くことではありません。  以上、指摘をし、討論を終わります。 ○委員長(江崎孝君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  大臣、申し訳ございません。お席にお着きください。  これより採決に入ります。  交通政策基本法及び強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕 ○委員長(江崎孝君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、青木愛君から発言を求められておりますので、これを許します。青木愛君。 ○青木愛君 私は、ただいま可決されました交通政策基本法及び強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会、日本共産党及びれいわ新選組の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。  交通政策基本法及び強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。  一 交通が国民の通勤通学等日常生活の移動手段及び社会経済活動の基盤であることに鑑み、人口減少が進む中においても地域経済の活性化並びに地域社会の維持及び発展を図るとともに、交通における防災・減災を推進するため、基幹的な高速交通網の形成と活用、地域内及び地域間の交流及び物資の流通の促進に資する国内交通網及び輸送に関する拠点の形成、交通事業者の経営基盤の強化、人材の確保等に必要な財政、税制、金融、料金体系見直し等の各種支援策の一層の充実に努めること。  二 地域公共交通により経済活性化、観光振興、健康増進等多面的に効果が波及するクロスセクター効果が発揮される一方、地域公共交通事業者の経営が非常に厳しい状況に鑑み、地域公共交通の利用促進を図り、その活性化及び再生のための更なる施策を講ずるとともに、地域公共交通の利便性及び安全性の向上等に関する事業者の取組に対して更なる支援の強化に努めること。  三 交通事業における人材確保が困難となっている状況に鑑み、交通事業の従事者の賃金及び労働時間等を含む労働条件の改善並びに人材の育成・確保のための支援に努めること。特に、新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化している交通事業者において雇用の維持が可能となるよう引き続き強力に支援すること。  四 新型コロナウイルス感染症の影響下においても交通が十分に確保されるよう、交通事業の従事者や旅客の感染症対策の一層の推進も含め、交通事業に対する柔軟かつ機動的な支援を充実すること。また、感染症対策の推進に当たっては、科学的知見に基づいた安心感の醸成に向けて、事業者と連携して取組を推進すること。  五 自然災害により被災した交通サービス及び交通インフラの早期復旧を図るため、人材及び代替交通手段の確保、交通インフラの復旧の推進等に係る事業者の取組の更なる支援の強化に努めること。また、国土強靱化の観点から、再度災害防止のための改良復旧等を対象とする支援制度の整備及び運用改善について検討すること。  六 高速交通網の形成に当たっては地域住民の理解が重要であることを踏まえ、事業の必要性や工事の進め方等について事業主体と住民その他の関係者との間で十分な協議を行うための場を設ける等の環境整備を行い、計画段階及び工事段階の双方における関係者間の合意形成に努めること。  七 高齢者、障害者、妊産婦等の円滑な移動のために介助を要する場合に対し、交通事業者、行政、ボランティア団体等の連携の下、安全を確保し、支えていくための取組を推進すること。特に障害者については、公共交通機関の利用が拡大していることから、車椅子使用者や視覚障害者をはじめとする移動制約者と事業者双方との対話を重ねた上で介助の在り方を明確化するなど、必要な措置を講ずること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。 ○委員長(江崎孝君) ただいま青木愛君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕 ○委員長(江崎孝君) 全会一致と認めます。よって、青木愛君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、赤羽国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。赤羽国土交通大臣。 ○国務大臣(赤羽一嘉君) ただいまの御決議につきましては、本法案施行に際し、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  どうもありがとうございました。 ○委員長(江崎孝君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(江崎孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  衆議院議員の皆さんは御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。  赤羽大臣、先ほどは失礼しました。申し訳ございません。討論の途中でしたのでしばらく着座をお待ちいただきました。  武田良介委員、申し訳ございません。 (以下略)