令和2年11月20日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 午前九時十分開議 ――――◇――――― ○あかま委員長 これより会議を開きます。  国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官久保田雅晴君、大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官馬場ア靖君、水管理・国土保全局長井上智夫君及び鉄道局長上原淳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ――――――――――――― ○あかま委員長 交通政策基本法及び強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、盛山正仁君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・社民・無所属、公明党及び日本維新の会・無所属の会の四会派共同提案により、お手元に配付してありますとおり、交通政策基本法及び強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。盛山正仁君。 ○盛山委員 本起草案の趣旨及び内容について、提出者を代表して御説明申し上げます。  これまでの国土交通政策は、運輸業は黒字で運営することが可能であるとの前提で民間事業者に対して事業許可等がなされてきました。人口が増加し、経済成長が続いている時代には、その前提で問題がありませんでしたが、人口減少や災害発生などさまざまな事情によって輸送サービスの提供は採算がとれないものになりつつあり、採算がとれない輸送サービスを民間事業者が提供することは不可能となります。  一方で、国内交通網は、通勤、通学等の生活基盤であり、また、地域における企業の立地や、地域内、地域間の交流等の促進に資するものであることから、一部の路線又は区間の採算性が低いとしても、適切な整備及び輸送サービスの提供が行われないと、若年層の流出等を招き、地方における地域社会の維持及び発展に影響を及ぼすおそれがあります。  また、人口の減少や感染症対策等の現在の交通事業を取り巻く環境の変化に鑑みると、国が、公共交通機関に係る旅客施設及びサービスに関する安全及び衛生の確保の支援等の必要な施策を講ずる必要も生じております。  さらに、災害が頻発、激甚化し、南海トラフ地震や首都直下地震等の発生も懸念される中、国土強靱化の観点から、大規模な災害が発生した場合においても、交通の機能が維持され、社会経済活動が持続可能となるよう必要な施策を講ずる必要があります。  本起草案は、このような現状に鑑み、交通政策基本法と強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の連携を図りながら施策を推進していくことの重要性を踏まえ、交通政策基本法について、地域社会の維持及び発展の観点を明記し、赤字路線への補助は行わないというこれまでの運輸行政のあり方を転換し、交通に関して国が支援を行う根拠となるような改正などを行うとともに、国土強靱化に当たって、代替性の確保による交通機能の維持や地域の活力の向上が重要であることから、国土強靱化基本法の基本方針に、国家及び社会の重要な機能の例示として交通を明示し、地域の活力の向上を追加する等、所要の規定の追加等を行うもので、その主な内容は次のとおりであります。  交通政策基本法について、第一に、交通の機能の確保及び向上に関する規定に、交通に関する施策の推進は、人口の減少に対応しつつ、交通が地域社会の維持及び発展に寄与するものとなるよう行われなければならないことを追加するとともに、交通の機能の確保及び向上を図るに当たっては、国土強靱化の観点を踏まえ、我が国の社会経済活動の持続可能性を確保することの重要性に鑑みることを追加することとしております。  第二に、日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保等に関する規定に、国は、少子高齢化の進展、人口の減少その他の社会経済情勢の変化に伴い、国民の交通に対する需要が多様化し、又は減少する状況においても、国民が移動を円滑に行うことができるようにすべきことを明記することとしております。  第三に、国は、国民が安全にかつ安心して公共交通機関を利用することができるようにするため、公共交通機関に係る旅客施設及びサービスに関する安全及び衛生の確保の支援その他必要な施策を講ずることとしております。  第四に、国が地域の活力の向上に必要な施策を講ずる目的として、地域社会の維持及び発展を図ることを明記するとともに、そのために必要な施策として基幹的な高速交通網の形成及び輸送サービスの提供の確保を追加することとしております。  第五に、国が運輸事業その他交通に関する事業の健全な発展のために行う施策として、必要な労働条件の改善を含む人材の確保の支援を追加することとしております。  第六に、大規模な災害が発生した場合における交通の機能の低下の抑制及びその迅速な回復等に必要な施策について、国土強靱化の観点から、我が国の社会経済活動の持続可能性を確保することの重要性に鑑みるべきことを明記することとしております。  そして、強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法について、同法の基本方針に、国家及び社会の重要な機能として、行政、情報通信、交通を明記し、地域間の連携の強化等により、地域の活力の向上が図られることを追加することとしております。  以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。  何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。 ――――――――――――― ○あかま委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。岡本充功君。 ○岡本(充)委員 おはようございます。  質問の機会をいただき、ありがとうございます。  限られた時間ですから、端的に質問していきたいと思います。  今回の起草案、本当にお疲れさまでございます。  大変重要な視点で法律を起草していただいていると思います。いろいろな各地域の事情があります。  いろいろなところで人は暮らしています。そうした各地域で暮らす皆さん方の生活基盤の整備をしていくという観点での今回の法律、もちろん、この日本にこれから押し寄せる災害の対策はもちろん、少子化が進む中でどうしていくか、大変重い課題を突きつけられています。その中で、今回の法律で、ちょっと気になる点を確認だけしておきたいと思います。  まずは、交通政策基本法の改正の方ですけれども、二十条ですね、「基幹的な高速交通網の形成を」ということで、これを「含む。」、こうなります。 「基幹的な」となると一体どこになるんだろうということになるわけでありまして、例えば私の選挙区である愛知県でいえば、名古屋の一部だけなのかなとか、いや、私の選挙区のあるような町村は含まれないのかな、こう思うわけです。  例えば、その中でも、ちょっと、航空網もこれに入ると聞いておりますけれども、例えばどういったところが基幹的な航空路線となるのかということについて御検討いただいていると思いますけれども、それについてお答えいただけますか。 ○盛山委員 第二十条、改正の趣旨ということは、地域の活力に公共交通機関、これが大事であるということでございます。この趣旨というのは、公共交通の衰退によって地方の都市の活力が失われ、若年層が大学に進学する際や就職する際に、希望する大学や企業が地元にないために大都市に移転して、人口、特に生産年齢層が減少することを食いとめる、そういうことでございまして、例えば北陸新幹線の延伸によって富山や金沢に企業が本社等を移転した例がありますが、これは新幹線、高速道路、空港などの高速輸送サービスの存在が不可欠であるというふうに考えております。  そういった点で、今委員から御質問がありましたように、何が基幹的であるかということを定性的に今ここで定めるというものではございませんですけれども、地域そして国、その両者が協力をしながら、どこをどの程度、高速交通網あるいは輸送機関を残していくか、そしてその輸送サービスを残していくか、そういうことをこれから議論していってもらえるものと期待しているところでございます。 ○岡本(充)委員 ということで、いろいろな地方の交通網も見ていただけるということですが、そこで、きょう、国交省、来ていただいていると思いますが、ちょっと鉄道について、まず一点目。  平成四年の運輸審議会、平成六年は地元の愛知、三重、岐阜そして名古屋市などが参画して、中部運輸局も入って確認したと承知をしていますけれども、名古屋圏の高速鉄道網ということで、答申A、答申Bと、いろいろな答申が出ています。答申Aはほぼできてきているわけでありますが、答申B、これは例えば地方が入るわけですね。私の地元なども入っておりまして、中村区役所という駅から名古屋市内を通ってあま市七宝までの地下鉄路線をB路線としています。  これは、なかなか、町やまた市が名古屋市と協議をするというのは、非常にハードルが高うございまして、こういったことも、今回のこの法律をもとに、やはり、より柔軟に国交省が仲介をして、そうした協議若しくは評価を進めていっていただきたいと思いますが、それについて、今の状況、そしてそういう趣旨でやっていっていただけるか、お答えいただきたいと思います。 ○上原政府参考人 お答えいたします。  委員からは平成二十九年二月にも桜通線の延伸につきまして御質問をいただきました。  その後、関係地方公共団体に意向を再度聞きましたところ、一定の整備ニーズを確認しているところでございます。  御指摘のとおり、桜通線の延伸は複数の地方公共団体にまたがるプロジェクトでありますことから、これらの地方公共団体による連携した取組が必要となります。  大規模な建設費を要する鉄道プロジェクトの推進に当たりましては、需要の見通し、費用対効果、収支採算性等について、学識経験者や専門家の知見も活用して算出し、具体的な事業計画の検討を行う必要がございます。複数の地方公共団体にまたがるプロジェクトでは、これらの地方公共団体、鉄道事業者、有識者等の関係者による議論、検討の場を設けるなどして取り組んでいる事例もございます。  国土交通省といたしましては、名古屋市、あま市等の地方公共団体に対しましても、こうした全国の事例も紹介しながら、地元での議論が進むように必要な協力を行ってまいりたいと思っております。 以上でございます。 ○岡本(充)委員 大変重要な観点でありますので、きょう、確認させていただきました。  ぜひ、しっかりと、国交省さん、評価が少なくともできるところまではお手伝いいただきたいと思います。手伝っていただけるということでよろしいですね。はい、うなずいていただいておりますので、じゃ、お願いします。  もう一点、これは激甚化する災害ともかかわってくる、強靱化ともかかわる話でありますが、もう一つは、大変重要な道路である国道一号線の交通の問題とも絡んでまいりますけれども、いわゆる河川の堤防が、私が地元だからよくわかっているんですけれども、木曽川の堤防が一部低い、そこはどこかというと、国道一号線の橋がかかっているんですよ。橋がかかっているんですが、基準まで堤防がないんです。つまり、その道路のところから水が入ってくる。じゃ、どうするかというと、土のうが置いてあって、これを一個一個動かしていく。セットするのに四時間かかるんです。  四時間、国道一号線、とまっちゃうんです。今度戻すのにまた四時間かかるんです。  これは、こういう計画ができてかなり時間がたつのに、一体どのタイミングで国道一号線をとめるのか、これはなかなか地元の自治体では判断つきませんよ。きょうも朝、中部直轄河川の整備事業の会合がありましたね、局長にも行っていただいたと思いますけれども。そこでも、私の選挙区ではありませんが、木曽岬町長さん、来られていましたけれども。私の地元は弥富市です。こういったところの皆さん方が、まさか国道一号線をとめるというのは、すぐには判断つかないんです。  そういう意味で、どういうタイミングでとめていくのか、誰がどういうふうに協議をして決めるのか、これは本当に急激に水位が上がってきますから、こうした決定をしていかなきゃいけません。  全国にもそういうところがあるのかもしれませんけれども、速やかに、どういうタイミングでとめるのか、そして、とめるときはこういうときなんだというのを地元に周知をしていただかないといけない。そういう意味で、ほかの事例もきっとあると思いますけれども、私は地元だからそれがわかるんです。ぜひそれはきちっと決めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○井上政府参考人 お答えいたします。  木曽川河口部で計画の堤防高が不足している区間は、尾張大橋を含めた橋の上下流部分で、愛知県側では約百四十メートル、三重県側では約二百十メートルとなっております。  約二メートル程度堤防の高さが不足しているため、緊急時の対応としては大型土のうを積むこととしており、これに必要な大型土のうを付近の堤防の上部などを活用して備蓄しております。  そして、その大型土のうを積む際の関係機関の役割分担や実施手順を取りまとめるため、河川管理者、道路管理者、交通管理者、関係自治体による協議会を設置して検討を開始することとしております。  この中で、委員御指摘のように、できるだけ通行どめなどによる社会的影響を少なくするため、例えば、緊急時に現地で対策に当たる時間が短くなるように、平時から、土のうの設置の場所をどうするのか、簡易なパラペットの設置というものは適切かどうか、緊急時に稼働する重機の追加が必要かどうか、土のうよりも迅速に設置が可能なほかのやり方、例えば水のうなどの配備など、どういうようなものがいいのか、さまざまな方法を検討するとともに、その効果を訓練などを通じて確認してまいりたいと思います。 ○岡本(充)委員 いやいや、どういうときに設置をするのか。今これからするんですよ。何年もやっていなかったと認めてください。四時間かかるということもきちっと言ってください。その中で、一体どの水位になったらやるのかということをきちっと決めないと、どういう状況になったらやるということを決めないと、スタート時点から決めないと、四時間かかるんですから、やっている間に作業員の方にも命の危機が来ますよ。それじゃまずい。だから、ちゃんと、どういうふうになったらやるか、それも決めるんだと、ここで言っていただきたいと思います。 ○井上政府参考人 先ほど答弁しました、きちっと実施手順の中で、そのタイミング、誰がいつ何をするのかを決めていきたいと思います。(岡本(充)委員「四時間かかるんですね」と呼ぶ)四時間、今はかかっております。 ○岡本(充)委員 ぜひ、しっかりやっていただきたいと思います。 ○あかま委員長 次に、高橋千鶴子君。 ○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。  盛山提出者の「鉄道に対する公的関与」と題した論説を拝読しました。運輸官僚の経験をもとに、少子高齢化が進む我が国にあって、採算がとれる路線のみの鉄道輸送サービスを行うことだけで国民の移動ニーズに対応することができるだろうかと問題提起されていること、赤字路線にも国の財政支援をという趣旨が、今回の提案につながったものと考えます。この点は全く共感するものです。  一方、新型コロナ感染拡大、近年の水災害等の激甚、頻発化のもと、地域公共交通の運行の維持、確保が一層困難になっています。高齢者等増大する交通制約者の足を守り、地域経済社会の基盤を守るためにも、交通政策基本法に交通権、移動する権利の保障を明記すべきと考えますが、御意見を伺います。 ○小宮山委員 御指摘の交通権や移動する権利については、交通政策基本法の制定時や平成三十年のバリアフリー法改正の際にもさまざまな議論がありました。また、同年十一月三十日の当委員会におけるユニバーサル社会推進法案の審議において、御党の宮本岳志委員から移動の権利について質問がなされ、提案者から、具体的な措置については、この法案が成立、施行された後、政府で検討されることと期待しているとの答弁がありました。  移動の権利の法定にはケース・バイ・ケースの判断が必要であり、国、地方公共団体、交通事業者、そのほか全てが責任を負うことはできない等、問題があるため、国民のコンセンサスがいまだ形成されていないと考えられております。また、具体的にどのような権利として構成するのかといった問題や財源の問題など、さまざまな論点についても国民の合意形成が図られなければなりません。  令和二年四月三日の当委員会におけるバリアフリー法改正のときに、私の質問において、赤羽国交大臣から、現状ではなかなか難しいとしかお答えできないですけれども、こうしたものが将来、継続的に検討しながらも、実態としてはしっかりとしたものを進めていかなければならないと答弁がありました。  その上で、災害時における地域の公共交通の維持確保や、地域経済社会の維持発展のために、交通制約者を始め、地域住民の足を確保することが重要であることは、高橋委員の御指摘のとおり、重く受けとめております。本法案は、まずこうした点を明記するものと考えております。 ○高橋(千)委員 小宮山提出者の、もとの党が出した法案、交通基本法の中でこれが盛り込まれていたものでありますし、それからもう大分時間がたっているということで、議論をするときではないか、このように思っております。私自身も、ことし四月の地域公共交通活性化再生法の質疑の中でもこのことを指摘をさせていただきました。  それで、続けますけれども、法案第十六条に、人口の減少その他の社会経済情勢の変化に伴い、国民の交通に関する需要が多様化とあります。この需要が多様化とは具体的に何を指しているのか、伺います。 ○小宮山委員 御質問ありがとうございます。  交通に対する需要が多様化するとは、例えば、少子高齢化の進展などにより、より柔軟な通院を可能とするコミュニティータクシーの需要が高まることなどを想定しております。  第十六条の改正は、そのような状況においても、従来から通勤通学を含めた人の移動の基礎となってきたバスなどの基本的な交通手段が淘汰され、その利用者の移動が制限されることのないよう、交通手段の確保そのほか必要な措置を講ずることを明記したものでございます。 ○高橋(千)委員 今御説明いただいた、例えばコミュニティータクシーなどは、先ほど私がお話しした地域公共交通活性化再生法の問題のときにも議論したわけですけれども、逆だと思うんですよね。やはり、なかなか、基幹的なバスですとか地域鉄道とかが廃線になったり、そういう中で、その代替策として生まれてきたものじゃないか。  だから、柔軟とは言えるかもしれないけれども、それはニーズではない、それは違うんじゃないかと指摘をしたいと思います。  それで、この趣旨に近い条文、趣旨というのは、移動する権利に近い条文として、第二条には、「国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図るために欠くことのできないものであることに鑑み、将来にわたって、」「国民その他の者の交通に対する基本的な需要が適切に充足されることが重要」と明記をされています、第二条に。この条文は、さわっていないわけですよね。  国民のニーズが充足されるということを書きながら、一方では、今回、多様化していると書くというのはいかがなものか。地域公共交通の審議でも指摘したとおり、路線バスは、この十年間で一万三千キロが廃止され、地域鉄道は、二〇〇〇年以降、八百九十五キロ、四十一路線が廃止されました。むしろ、多様化ではなく、地域公共交通へのアクセスが困難になっている方の方がふえているのではないかと指摘したい。  そこで、交通政策基本法第二十条の「地域の活力の向上に必要な施策」として、「基幹的な高速交通網の形成」を追加しています。この「基幹的な高速交通網」とは何か。リニア中央新幹線、整備新幹線、東京外環道などの高速道路を指すんでしょうか。 ○盛山委員 高橋先生の今ほどの御指摘、大変重く受けとめたいですし、交通輸送サービスをどのようにいろいろな形で維持するのかということで我々はこの法案を提出したということをぜひ御理解賜りたいと思います。  その上でお答えしますが、先ほどの岡本先生のところでも御質問にもお答えしたところでございますが、この第二十条の改正の趣旨といいますのは、地方の都市の活力、これを衰退させないようにするためのものでございます。そういう点では、新幹線も高速道路も、空港、こういったものも含めての高速輸送サービスの存在というのが、地域の活力を高めるために不可欠であると考えております。  新たに、今回、基幹的な高速交通網としてございますけれども、これは、若年層の流出を防いで、地域社会を維持し、更に地域社会を発展させることに資する高規格の道路、鉄道などを想定しております。  御指摘のとおり、地域間の人や物資の移動を容易にするとともに、在来の道路、鉄道等ではなく、高規格のインフラ、輸送サービスが提供されることで、簡単に被災することなく、災害時においても代替輸送等のルートとして機能することが期待されている高規格の道路、鉄道、空港、港湾の整備、これが地域社会の維持発展に重要な役割を果たすと考えておりますので、先生が御指摘のモードについては含まれるというふうに考えております。 ○高橋(千)委員 含まれるということでありました。  先ほどからの続きで、やはり国民の需要が多様化という条文も、まさに今私が指摘したようなリニアも新幹線も、さまざまにと読むことができると思うんです。もちろん、新幹線も高速道路も全部反対と言っているんじゃないんですよ。だけれども、御存じのように、それが住民の中で大きな争点になっている、反対になっているというものがあるんだということはお認めいただきたいと思うんですね。  北海道新幹線の札幌延伸が進む一方で、ことし五月に廃止した札沼線、九月に廃止合意された日高線など、在来線、駅の存廃問題に揺れている。  つまり、生活の足は失われるけれども、大都市へのアクセスだけが延びていく、これが本当に正しい姿なのか。住民の反対運動があったり、利用者が少ないとはいえ住民にとっては重要な足である、そういう深刻な問題が実際にあるわけですよね。  そこを振り切っていく、そういう法案であってはいけないと思うんです。  そこで、高速交通網の形成に当たっては、今言ったような地域住民の理解、納得が前提だと考えます。事業の必要性や工事の進め方について、十分、計画段階あるいは工事段階でも、各段階で住民等関係者との合意形成に努めるべきだと考えますが、伺います。 ○小宮山委員 先生の御指摘はごもっともだと思いますが、高速交通網の形成は、国、地域社会の維持及び発展を図るものでございまして、御指摘のとおり、事業を進めるに当たっては、地域住民の理解や納得が得られるよう、計画段階や工事段階において地域住民等関係者との合意形成に努めていくことが重要と考えております。 ○高橋(千)委員 残念ですが、時間になりましたので、これで終わります。  ありがとうございました。 ○あかま委員長 次に、古川元久君。 ○古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。  時間が限られておりますので、早速お伺いしたいと思います。  まず、提案された交通政策基本法の改正に当たっての基本認識について少し申し述べたいと思います。  二〇一三年の交通政策基本法の成立を契機として、我が国の国土交通行政は、少子高齢化の進展という人口動態の変容を踏まえながら、事業者の自助努力にのみ委ねることなく、さまざまな関係者の連携によって公共交通を維持していく方向にパラダイムシフトをしたものと認識しております。  しかるに、交通政策基本法では、国、地方公共団体の連携、協働による施策の推進が明記されているにもかかわらず、そうした取組は残念ながらまだまだ十分とは言えません。持続可能な公共交通の維持のためには、従来の単純延長上にあるパッチワーク的な支援策では限界があり、財源の安定的な確保が必要不可欠であります。  今回のコロナ禍の中でも、公共交通事業は、固定費が占める割合が高い特性から急激な需要の変化に追随しにくい一方で、日々の人々の移動を支える公益性のゆえに、収入が急減していても、採算を度外視して運行を継続することが要請されております。それは、既に露呈しつつあった民間事業としての公共交通事業と独立採算原則のそごが、コロナ禍によって明らかになったと言えるのではないでしょうか。  そこで、まず、交通に関する施策の実施に当たって必要となる財源の安定的な確保について伺います。  今、公共交通を維持することによって、医療や福祉、まちづくり等の多様な行政施策の費用を節約することが可能となるクロスセクター効果が注目されています。国も、地域公共交通の活性化及び再生の促進に関する基本方針の中で、地域公共交通は、地域の目指すべき将来像を実現するために必要な公共財としての側面を有するものであって、これに対する支援は、民間事業に対する支援にとどまらず、地域社会に対する支援という側面があることに留意して、国による支援に加え、地方公共団体も支援を充実させることが期待される、また、地域公共交通を維持、充実させることは、まちづくり、観光振興等の地域振興施策、さらには健康、福祉、教育、環境等のさまざまな分野でも大きな効果をもたらすことを踏まえ、地方公共団体の内部部局間での連携や、地方公共団体相互の連携等、多様な主体が連携して支援を行うあり方について検討を行うべきであるとしております。  コロナ禍が、公共交通の事業環境に劇的な変化をもたらしている今こそ、改めて、事業者の自助努力のみでは交通の機能を確保することは困難な事態に陥っているという認識に立った上で、縦割り行政から脱却して、省庁横断的な財源の安定的な確保のあり方について社会的な合意を図る時期に来ているのではないかと思いますが、この法案ではこの財源の問題については触れられておりません。この点について政府の見解を伺いたいと思います。 ○久保田政府参考人 お答え申し上げます。  地域公共交通事業者は、先生御指摘のとおり、新型コロナウイルスの影響以前から、人口減少や少子高齢化の進展によりまして厳しい経営状況にございました。加えて、今回の事態によりまして更に深刻な危機に瀕しているというふうに認識してございます。  今後も、外出控え、そして、テレワークの普及などの人々の行動変容によりまして輸送需要の減少が当分継続すると見込まれていることから、引き続き、公共交通事業者は厳しい経営状況に置かれるものと認識をしてございます。  これまで国土交通省におきましては、令和二年度二次補正におきまして、必要な公共交通を確保するための支援を行っておるとともに、また、多くの自治体におきましては、地方創生臨時交付金を活用した支援が数多く行われていると承知しておるところでございます。  また、令和三年度当初概算要求におきましても、国土交通省としましては、地域公共交通確保維持改善事業として取り組んでいるバスの運行経費等に対する補助の増額要求に加えまして、地域公共交通の持続可能な運行確保に向けた支援について事項要求を行っているところでございます。  加えまして、今般、総理大臣から指示のあった経済対策としまして、感染症対策の新技術などを活用した地域公共交通の維持、活性化のための支援を盛り込むべく調整を行っておりまして、アフターコロナも見据えて、各地域の公共交通の維持、活性化に向けた自主的な取組や経営改革に向けた努力などを前提に、強力な支援を検討しておるところでございます。  国土交通省としましては、関係省庁、そして、関係する地方自治体と連携して、公共交通の機能が維持されるようしっかりと取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○古川(元)委員 次に、コロナ禍という社会変容を踏まえた公共交通における安全、安心の確保についてお伺いします。  今回のコロナ禍によって国民の利用に対する価値観は大きく変わって、密と接触を可能な限り避けて移動するニーズが高まったことを反映して、公共交通の利用が低迷し、自家用車利用に回帰するという現象も生じております。  公共交通が過度に危険視されるような風潮は誤解や偏見も背景にあると思いますが、いずれにせよ、安全で安心な輸送サービスの提供は社会的要請でもあろうかと考えています。  改正案では、第十七条の二で、「公共交通機関に係る旅客施設及びサービスに関する安全及び衛生の確保の支援その他必要な施策を講ずるもの」とされております。公共交通においてこれまでクラスターが発生したという事例は承知しておりませんし、また、事業者の皆さんも感染対策をしっかり行っていると認識しております。  したがって、改正案にある「安全及び衛生の確保の支援」という意味では、まずは国が、科学的見地に基づいた公共交通の安心感の醸成に向けて、事業者と連携した取組を推進するとともに、広く社会に発信していく必要があるのではないかと思いますが、政府の御見解をお伺いいたします。 ○馬場ア政府参考人 お答え申し上げます。  公共交通機関を安心して御利用いただくためには、事業者において、専門家の知見も踏まえ作成されました感染拡大防止ガイドラインに基づきまして、車内等の消毒や換気といった感染予防対策を確実に行っていただくとともに、利用者におきましても新しい生活様式を実践していただくことが大変重要だと考えております。  このため、国土交通省におきましては、関係業界に対しまして、先ほどのガイドラインを個々の事業者にしっかり周知し、感染予防に万全を期すように要請するとともに、事業者の取組を一層支援するため、地域公共交通事業者による駅、車両等の衛生対策などへの支援を行っておるところでございます。  また、利用者に対しましても、マスクの着用や会話を控え目にすること、車内換気への御理解、御協力をいただくこと、テレワーク、時差出勤等への御協力などについて、業界団体とともに共同で作成したポスターの掲示などを通じまして呼びかけを行っております。  さらに、今先生御指摘のとおり、公共交通機関を安心して御利用いただくために事業者が講じている感染予防対策につきまして、広く社会に発信していくことも重要であると考えております。各事業者等において積極的に情報発信を行っていただいておりますが、国土交通省といたしましても、さまざまな機会を用いまして情報発信に努めてまいりたいと思います。 ○古川(元)委員 時間の関係でこれが最後の質問になると思いますが、交通の機能を確保する上で前提となる人材の確保、育成についてお伺いします。  公共交通従事者の中でもとりわけ自動車運転者については、低賃金であるにもかかわらず長時間労働を強いられている上に、人材の確保が困難になっております。コロナ禍を奇貨として、エッセンシャルな産業としての公共交通事業の存在が注目を浴びている中で、そこで働く人たちの使命感のみに委ねるのではなくて、その社会的役割に見合った賃金と労働条件の確立が求められていると考えています。  その意味では、今回の改正案の第二十一条で、「人材の確保(これに必要な労働条件の改善を含む。)の支援、」とあり、これは一歩前進したものというふうに考えますが、これには財政面も含めた措置が必要であり、事業基盤の強化と人材の確保、育成、これが表裏一体のものであることを踏まえて、公共交通事業者の皆さんの労働条件改善に向けた施策について政府としてどう考えているか、その見解を伺いたいと思います。 ○久保田政府参考人 お答え申し上げます。  エッセンシャルサービスでございますバス、タクシーなどの従事者の担い手不足、高齢化というのが進展する中で、その労働条件を改善し、人材確保を図っていくということは、交通政策における重要な課題であると認識をしてございます。  現在、自動車運送事業につきましては、自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた政府行動計画に基づきまして、労働環境の改善に向けた各種の取組を推進してございます。  例えば、直近で申しますと、ことし八月に、職場環境改善に向けた各事業者の取組の見える化を行う働きやすい職場認証制度というものを創設をさせていただいたところでございます。  また、海運分野につきましては、船員の労働環境改善に向け、労務管理の適正化など、働き方改革に取り組むこととしてございます。  今後とも、厚生労働省などの関係省庁と連携して、公共交通における労働条件の改善に必要な施策に国交省としても取り組んでまいりたいと考えてございます。 ○古川(元)委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。 ○あかま委員長 これにて発言は終了いたしました。  これより採決いたします。  交通政策基本法及び強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付してあります草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○あかま委員長 起立多数。よって、そのように決しました。  なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ――――――――――――― ○あかま委員長 この際、平口洋君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・社民・無所属、公明党、日本共産党、日本維新の会・無所属の会及び国民民主党・無所属クラブの六会派共同提案による交通政策及び国土強靱化に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。城井崇君。 ○城井委員 ただいま議題となりました交通政策及び国土強靱化に関する件につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  なお、お手元に配付してあります案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。  交通政策及び国土強靱化に関する件(案)  政府は、交通政策基本法及び強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。  一 公共交通の防災・減災、公共交通が被災した場合の早期の代替交通・手段の確保、地域経済の活性化や地域社会の維持及び発展のための基幹的な高速交通網の形成、地域内及び地域間の交流及び物資の流通の促進に資する国内交通網及び輸送に関する拠点の形成、運輸事業その他交通に関する事業の基盤の強化並びに人材の確保等に必要なハード・ソフト両面にわたる施策を講ずるための財政上の措置を講ずること。  二 交通が国民の日常生活及び社会生活の基盤であることに鑑み、新型コロナウイルス感染症の影響によりあらゆる交通需要が大幅に減少する状況においても国民の交通手段が確保されるよう、運輸事業に対する柔軟かつ機動的な支援等を行うこと。  三 人材確保が困難となっている自動車運転者等公共交通に従事する者の賃金及び労働条件の改善のための支援に努めるとともに、新型コロナウイルス感染症の影響により輸送需要が減少した事業者において雇用の維持が可能となるよう引き続き必要な施策を講じること。  四 経営が非常に厳しい地域の公共交通事業者の状況に鑑み、公共交通機関の利用促進を図り、地域公共交通網を維持及び確保するために更なる必要な施策を講じるとともに、地域公共交通の利便性及び安全性の向上についての事業者の取組を財政面も含め支援すること。また、科学的知見に基づいた安心感の醸成に向けて、事業者と連携した取組に努めること。  五 大規模な自然災害により被災した交通施設等の復旧に当たっては、防災・減災等に資する国土強靱化の観点から、再度災害防止のための改良復旧等を対象とする支援制度の整備及び運用改善について検討すること。また、復旧に際しては、地域における持続可能性を考慮した上での建設的な協議の下、地域の全ての関係者が連携、協働して、再構築を図る取組を支援すること。  六 高速交通網の形成に当たっては地域住民の理解が重要であることを踏まえ、事業の必要性や工事の進め方等について事業主体と住民その他の関係者との間で十分な協議を行うための場を設ける等の環境整備を行い、計画段階及び工事段階の双方における関係者間の合意形成に努めること。  七 人口の減少その他社会経済情勢に鑑み、交通に関する施策の推進を通じて、分散型社会の形成、国土の均衡ある発展に努めること。  八 高齢者、障害者、妊産婦等の円滑な移動のために介助を要する場合に対し、交通事業者、行政、ボランティア団体等の連携の下、安全を確保し、支えていくための取組を推進すること。特に障害者については、公共交通機関の利用が拡大していることから、車椅子使用者や視覚障害者をはじめとする移動制約者と事業者双方との対話を重ねた上で介助の在り方を明確化するなど、必要な措置を講じること。  右決議する。  以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。 ○あかま委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○あかま委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。  この際、ただいまの決議につきまして、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣赤羽一嘉君。 ○赤羽国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存でございます。引き続き御指導よろしくお願いいたします。 ○あかま委員長 お諮りいたします。  ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る二十七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。  午前九時五十五分散会