令和2年4月3日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○土井委員長 次に、小宮山泰子さん。 ○小宮山委員 立国社、小宮山泰子でございます。  本日は、高齢者、障害者等の移動の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対し質疑をさせていただきます。  前回、二〇一八年の法改正は、二〇一四年に障害者権利条約の批准を受けての大改正で、共生社会の実現、社会的障壁の除去を基本理念に、公共交通事業者によるハード、ソフト一体的な取組の推進、バリアフリーのまちづくりに向けた地域における取組の強化などが主な改正でありました。  同年には議員立法でユニバーサル社会実現推進法も成立させていただき、公共交通のバリアフリーは著しく進展をしてきていると認識をしております。  今回のバリアフリー法改正は、心のバリアフリーに重点が置かれている点、バリアフリー基準適合義務の対象が公立小中学校に拡大されたこと、特に、避難所となり得る公立小中学校への義務化は大きな進展の一歩であり、また、この点に関しましては、前回附帯決議をつけさせていただいたことに対して国土交通省におきまして更に進めていただいたことに感謝をするとともに、今回から文科省におきます主管も追加されておりますので、公立中学校へのバリアフリーの実行、実現には期待をしたいと考えております。  三月三十一日には、バリアフリー法改正に対して参考人からもさまざまな御意見を伺う機会がございました。  中央大学研究開発機構の秋山哲男機構教授におきましては、今後の期待として、調査段階から当事者参加、インクルーシブデザインへの努力、心のバリアフリーの仕組みづくりの必要性、地方都市の鉄道の無人化や、地域のモビリティーとアクセシビリティーの一体化対応と、地方都市の公共サービスへのモビリティーの発想の必要性を語っていらっしゃったこと。  NPO法人ちゅうぶ代表理事の尾上浩二さんからは、空港バス、長距離バスのバリアフリー化、ホームドアの設置促進、ホームと車両乗降口の段差、すき間解消、また、三千人未満の駅などのバリアフリー化、無人駅の問題。  また、全日本視覚障害者協議会代表理事の山城完治さんからは、視覚障害者の安全で安心な歩行バリアは、落ちる、ぶつかる、つまずく、迷うをなくすことだ、命の危険を伴う事故は、二〇一〇年以降毎年、毎週一件以上視覚障害者の駅ホームからの転落事故が起きているなど、本当に現実的であり、また示唆に富むものでございました。  また、委員会としましては、はとバスや羽田空港、そして営団地下鉄への視察もさせていただいたところでもあります。  この中からまた質問させていただきたいと思いますが、まず最初に、建物のバリアフリー化について質問させていただきます。  国土交通省が二〇一九年八月にまとめた、二千平米未満の店舗・飲食店等のバリアフリー化の実態把握に関する調査結果によりますと、面積別バリアフリー化、建築物移動円滑化基準への適合率は、二割以下のバリアフリー化にとどまっているそうです。  バリアフリー化が進んでいない最大の原因と考えられるのは、バリアフリー法のもと、店舗、飲食店など店舗が多数入っている二千平方メートル以上の特別特定建築物にバリアフリー整備基準が課せられてはおりますが、建物内に入っている個々の店舗内についてはバリアフリー整備基準は規定をされていないことにあると思います。つまり、建物はバリアフリー化されているのに、中に入っている店舗や中の段差や固定椅子のため、車椅子では入れないお店が多く存在していることでもあります。  平成三十年バリアフリー法改正時の附帯決議に、小規模店舗について実態把握、UD化に向けての、ユニバーサルデザイン化に向けての所要の措置を講ずることといたしましたが、今回の改正案提出までの国交省の対応、目標などの概要についてまずは簡潔に御説明ください。 ○眞鍋政府参考人 前回のバリアフリー法改正以来の取組について御説明申し上げます。  前回のバリアフリー法の改正時の附帯決議において、小規模店舗のバリアフリー化の実態把握に努めるとともに、ユニバーサルデザイン化に向けて所要の措置を講じることとされております。  この附帯決議を踏まえまして、私どもでは、全国の特定行政庁等の協力をいただきまして、平成三十年十一月から平成三十一年一月までに確認申請が行われた小規模店舗のバリアフリー化基準の適合状況、これを調査いたしまして、先ほど御説明のありました小規模店舗のバリアフリー基準への適合率、これを約二割というふうに明らかにしたわけでございます。  こうした実態調査の結果も踏まえまして、国土交通省では、小規模店舗のバリアフリー化の促進に向けまして、地方公共団体の担当者を集めた会議などの場を通じまして、地域の実情を踏まえた条例による義務づけ、対象規模の引下げに向けた前向きな対応を繰り返して要請してきております。  また、本年の一月になりますが、学識経験者、高齢者、障害者の団体、あるいは事業者の団体などで構成される、建築物のバリアフリー化のガイドラインである建築設計標準の見直しのための検討会、これを立ち上げたところでございます。この中の中心的な課題が、小規模店舗を効果的にバリアフリー化するための知見や優良事例をまとめるということでございまして、令和二年度中にこのガイドラインをまとめ、関係省庁と連携して関係業界に周知したいというふうに考えてございます。 ○小宮山委員 ぜひ、このワーキンググループの結果というのは、期待をして待たせていただきたいと思います。  とはいえ、小規模店舗のバリアフリー化推進のためには、まず、二千平方メートル未満の建築物に対しても、新築、大規模改修時にバリアフリー整備義務を課すことが必要ではないかと考えております。また、建物自体のバリアフリー義務化とともに、店舗内のバリアフリー整備基準を策定することが必要かと思いますが、この点に関しまして大臣の御所見をお聞かせください。 ○赤羽国務大臣 まず、今回の法改正につきまして、委員会として現場の視察ですとか大変有意義な、参考人の皆さんからの御聴取をいただいたこと、大変感謝を申し上げたいと思います。私も大変、資料を読ませていただいて、勉強になっております。  私、先ほど申し上げましたように、二十年余りこのバリアフリー化に取り組んでまいりましたが、率直に言って、最後に残ったのがこの小規模のお店のバリアフリー化なんですね。私、この二十年間を振り返って、やはり現実をどう変えていくのかという中で、法を義務化すれば簡単にバリアフリー化が進むかというとなかなかそうじゃないと。  現実、この二千平米以下の小さなお店というのは、恐らく、商店街で空き店舗なんかが利用されて若い人が起業でお店を始めているようなところがあって、そこにバリアフリー化のことを、若干高いハードルを掲げるというのはどうかみたいなことが現実的にはあって、非常に歯がゆいわけでありますが。  そうした中で、今、検討会も、先ほど局長から答弁させていただいたように、方向的にどうするかということは検討しながらも、同時に、やはり、ここのお店はそうしたバリアフリー施設があるといったことを発信してもらって、障害者団体の人に使ってもらえる、世の中で、小さなお店でも、バリアフリーといっても、多分、段差解消とかトイレを少し広くするとかそうしたことだと思いますので、そうしたことが進むですとか。特に東京オリパラ、大変重要なものですから、この東京オリパラに向けてバリアフリーの飲食施設のガイドの作成をしているとか、若しくは、ホストタウンに所在する飲食店につきましてはバリアフリー化に対する補助制度も創設をしたところでございます。  また、本年一月に、飲食とか小売業の業界団体の皆さんと官民一体となってチーム・ウエルカムという組織をつくりまして、ちょっとした工夫でできる店舗等のバリアフリー対応事例を積極的に共有していこう、そういう運動論も立ち上げて、私も、初回、参加をさせていただきました。  少しずつではありますが、こうしたやはり少しのバリアフリー化を進めるということが、共生社会がしっかり進んでいくんだということをどう社会に認知させていくのかということを、不断の努力をしながら、また法的な検討もあわせてしっかりと進めていきたい、こう考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  昨年、国民民主党の女性議員たちと兵庫県の明石市に視察また研修に行かせていただいたときに、市長の方から、やはりバリアフリーのまちづくりということで、小規模の店舗などの段差解消などのために上限二十万円での改修費用を出していらっしゃいました。これは有効な手だてかなと思います。大きな額ではないかもしれませんけれども、これによって多くの方々が店舗を選べるということは大切だと思います。  特に、私自身も昨年、第五中骨骨折、いわゆるげた骨折をしたときに電動車椅子を借りて活動しておりましたが、そのときに、いつも行っている個人商店とかレストラン、そういったところに段差があったがために入れなかった経験をいたしました。これ自体は、いつも障害者の方々がおっしゃる、自分たちが何を食べたいかで店を選ぶのではなく、日本ではどんな店に入れるかでしか選べないということをおっしゃっていたことを私自身も実感したところであります。ぜひ、大臣におかれましても、更にこの課題に関しましては後押しをしていただくことを要請いたします。  さて、二〇一七年五月に、IPC、国際パラリンピック委員会にバリアフリー対応の客室が不足していると指摘されたように、我が国のホテルのバリアフリー化は諸外国に比べて大きくおくれていると感じております。  一般客室の段差を解消し、ドア幅八十センチ以上にするなど、ユニバーサルデザイン化のガイドラインや義務化をする自治体もありますが、新築や大規模改修に伴うものが対象となるので、大半の既存ホテルにおいてはバリアフリー、ユニバーサルデザインにはなっていない。車椅子を利用する障害者やパラアスリートのホテルの選択肢は狭いままであります。バリアフリー対応ではない一般客室で不自由を強いられているというのも、現実でもありましょう。  パラリンピックも、一年後になりましたので、この間に更に改善が進むことを願っておりますが、先ほどお伝えしたとおり、私自身は電動車椅子を二カ月ほどレンタルしてバリアフリー体験も重ねさせていただきました。ホテルに泊まった場合、車椅子が大丈夫だというホテルの説明を聞いた上で一般の部屋に入ったんですが、狭いがために、車椅子の方向転換ができませんでした。外に出ようと思ったときには、車椅子に座って動かそうとすると、扉が内開きになっているので、両方一遍に操作することができなく、閉じ込められたような状態に一瞬なりまして大変焦ったんですけれども。その後、パラリンピアンの大日方さんにお目にかかったときに、泊まったんだ、あなた閉じ込められたでしょうというようなことを突然指摘をされました。非常にびっくりしたんですが、恐らく、多くの障害をお持ちの方また車椅子ユーザーの方々は同じような経験をしているんだなということを実感をいたしました。  つまり、多くの場面で、健常者が考えるバリアフリーとよくやゆされますけれども、そういったことが起きているというのも実感をいたしました。  高齢者、障害者の協議会で意見を聞いたのに、実際にでき上がった施設等は使いづらいものになっていたなどという報告も聞こえてまいります。  これは、バリアフリー施設等の設計やデザインをする方々が、バリアフリーを卓上で学び、スロープがあれば大丈夫のように、実際には角度が急過ぎるなど、実際使用するには向かない設計、また、確認する側も適正化が判断できないというようなことが、建築の確認ですね、できないということが重なっているのも日本の現状ではないでしょうか。  そこで、国の提示する整備方法のバリアフリールームは、いわばフルスペック整備であるがために、設置に費用、面積がかかり、事業者も導入が進められないということを鑑みると、現状のままでも、扉幅や手すりの設置などで配慮がなされた一般客室のユニバーサルデザイン化を義務づけることが必要と考えますが、政府の見解をお伺いしたいと思います。 〔委員長退席、工藤委員長代理着席〕 ○眞鍋政府参考人 ホテルのバリアフリー化についてのお尋ねがございました。お答え申し上げます。  ホテル、旅館のバリアフリー化の推進に当たりましては、御指摘のとおり、車椅子使用者用客室に加えまして、一般客室のバリアフリー化を進めることも望ましいことだと考えてございます。  ホテルなどの客室の大きな割合を占める一般客室に一律の基準を義務づけることについては慎重な検討が必要とは考えてございますが、昨年三月に、障害者団体の方々や有識者などで構成されるホテル等の客室の設計に関する検討会、これを取りまとめたときに、ホテルなどの一般客室部分に関する設計のガイドライン、これもあわせて策定しておりまして、現在、周知に努めているところでございます。  さらに、東京都あるいは大阪府においては、バリアフリー法に基づく条例によりまして、ホテル、旅館等の新築に当たり、車椅子使用者用客室だけではございませんで、一般客室についても一定のバリアフリー化を義務づける、こういう条例を定めているところでございます。  私どもといたしましては、他の地方公共団体でも、地域の実情に応じてこのような取組について前向きに検討するよう要請してきているところでございます。 ○小宮山委員 引き続いて、歴史的建造物のバリアフリー整備についてお伺いしたいと思います。  名古屋城天守閣木造復元事業では、史実に忠実な復元を理由にエレベーターを設置しない方針で計画が進められると聞いて、実はこの点が物議を醸しているところでもあります。税金を投入して新たに建てる公共建築物にもかかわらず、バリアフリー整備を行わず障害者が利用できないとなると、また、機能低下をされた方が使えないということになると、障害者権利条約や障害者差別解消法、バリアフリー法の共生社会の理念に反してしまうのではないでしょうか。  歴史的建造物についてもバリアフリー法の対象とし、既存の建築物などの大規模改修時に可能な限りバリアフリー化整備を行うこととし、また、新規に復元建造物などを設ける際はバリアフリー化整備を義務とすることも決断が必要かと考えます。  文化庁と国土交通省で判断が分かれるところかもしれませんが、政府の見解をお聞きします。 ○眞鍋政府参考人 歴史的建築物の復元に当たりましてのバリアフリー化について、お答え申し上げます。  今、名古屋城のお話が出ましたが、名古屋城の復元に関する具体的な計画については承知しておりませんし、また、その取扱いについてもまだ未定と聞いておりますので、一般論でのお答えをお許しいただきたいと思います。文化財保護法に基づき指定された国宝あるいは重要文化財などにつきましては、文化的価値の保存、継承に配慮することが必要と考えられることから、バリアフリー法に基づく義務づけの対象からは除外される仕組みとなっております。  一方で、バリアフリー法におきましては、高齢者、障害者などが日常生活又は社会生活において利用する施設を設置し、又は管理する者が移動等円滑化のために必要な措置を講ずるよう努めなければならないというふうに定められているところでもございますので、個別の歴史的建築物の復元に当たりましては、こういったバリアフリー法の規定、枠組みも踏まえながら、当該建築物の設置者などにおいて適切に計画していただくことが重要ではないかと考えるところでございます。 ○杉浦政府参考人 お答え申し上げます。  障害のある人や高齢者を含む全ての人がより快適に文化財に親しむことができるよう、文化財の活用のためのバリアフリー化は重要である、このように考えております。  一方で、史跡等文化財の整備に当たりましては、史跡が有する価値を適切に保存し、次世代に確実に伝えることが重要であるとともに、個々具体の文化財の特性や物理的な環境によっては一律に基準を定めることが技術的に困難な場合もございます。  このように、文化庁といたしましては、こうした文化財のバリアフリー化と史跡等の文化財の価値を保存する形での整備につきましてはできる限り両立が図られることが大切だ、このように考えておりますけれども、それと同時に、復元建造物のバリアフリーのあり方やその対策に関しましては一律に基準を定めることは困難であるという実情もございます。  したがいまして、復元建造物につきましては、施設の所有管理者におきまして、文化財の特性に応じて具体的かつ適切に判断されていくことが重要である、このように考えているところでございます。 ○小宮山委員 時間の関係で先に進めさせていただきますが、空港アクセスバス、長距離バス、いろいろ努力をされています。  視察に行きましたはとバスさんでも、空気の循環、車内の関係を聞いていた最中に、バスの方でバリアフリーのため車椅子の乗車の講習などを一生懸命続けている姿、本当に感銘も受けましたし、こういった方々もぜひ支援をしていただきたいということを伝えさせていただき、またさらに、その導入も、一定割合などを検討していただくことを要望いたしまして、次に行かせていただきたいと思います。  電動車椅子を利用している際、新幹線を利用するのも、実は予約にも大変苦労いたしました。数日かかるような状況でもありましたが。大臣も、就任直後、視察もされて、複数の車椅子が同時に同一車両に乗車できるようにするなど、積極的な発言をされておりました。  例えば東京駅は自動車の車寄せがないため、また、大きな駅になるほど誘導する職員との合流までに時間がかかる。新幹線に乗る場合は大体三十分前に駅に到着してくれと言われ、ホームの方に連れていかれて、またここから何十分も待つというようなことも経験をいたしました。  本来ならば、福祉車両が横づけできる駐車スペースも必要ですし、新幹線もフリースペースの増設など改善を進めるべきでしょう。今後、機能低下をした高齢者や障害者など、誰もが国内を移動し、観光を楽しめる環境整備は急務であります。  大臣の理想とする新幹線のあり方やバリアフリー、ユニバーサル社会推進について、御指示をいただければと思います。 〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕 ○赤羽国務大臣 新幹線は世界に冠たる高速鉄道だというふうに思っております。その速度の速いこととか、パンクチュアリーというか時間厳守性とか。ただ、客観的に見て、バリアフリーの施設というのは大変おくれているというふうにかねがね思っておりました。今はルールでは十六両編成で二席以上ということが指針となっておりまして、それを守られているわけでありますが、これは東京オリンピック・パラリンピックを迎えるには余りにも貧弱だというふうに思っておりまして、かねてよりJRと検討してきたところでございます。  今のところは、通路からはみ出すので車内販売が来ると一回外に出なければいけない、こうしたことが当たり前のように行われているというのはやはり是正しなければいけないということで、何とかフリースペースの確保ということ。これは大変難しい問題で、最初は難航しておりましたが、昨年十二月だったと思いますが、JR各社の社長に出席してもらって、私たちの思いをして、これはしっかりやりたいということで、そうしたことで会議を進めております。  翌一月にはJR東海の最新の車両ができたということで実車しましたが、私たちの思っていることとは相当乖離があるということで、それをしっかりと改善してくれということをはっきり申し上げました。  恐らく、フリースペースを実現するという方向になっておりますし、それは大きな一歩であると思いますけれども、まず第一歩ということで、世界に冠たる、さすが日本の新幹線は質的にも速度的にもサービス的にもすばらしい、こう言っていただけるように頑張っていきたい、こう思っております。  バリアフリーというのは私は国の品格のあらわれだというふうに思っておりますし、やはり日本は成熟国家としてふさわしいユニバーサルデザインの社会というものを世界に示していけたらというふうに思っておるところでございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  ユニバーサルサービス、バリアフリーの進捗状況が国の品格にあらわれるというようなことだと思っておりますので、私もそれに賛同いたします。 (赤羽国務大臣「ちょっと」と呼ぶ)大臣、何か。 ○赤羽国務大臣 ハード面だけじゃなくて、ソフトも、予約も、ウエブ予約ができなかったとか、二日前までに予約しないと、当日はもうそこはキープできないというようなこともありましたので、ウエブ予約もできるようにし、特にバリアフリー対応の席は、この十四日のダイヤ改正から、当日も一般用には販売しない、確保するということも実現しましたので、ちょっと御報告をさせていただきたいと思います。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  私が車椅子を使ったときはまだ実現していなかったので大変苦労をいたしましたので、次はできれば体験はしたくはないのですが、皆さんの報告を、障害者、当事者の方からの報告を受けたいと思います。  さて、小規模駅のバリアフリーの整備の推進についてお伺いしたいと思います。  三千人未満の駅のうち二二%のみしかバリアフリー化がなされておりません。この現状を見ますと、やはり社会的障壁除去のためには、最終的には単独乗降可能な駅のホームの整備というのは、迅速な人的対応システム確立等、事業者の取組というものは期待されるところではございますけれども、障害というのは、土地や地域を選んで、大きな駅を選んでいるものではございません。そういったことにおいては、検討会を立ち上げて、無人化のバリアフリー整備のガイドラインを策定し、事業者にその遵守を求めることも必要だと考えますが、この点に関しまして、国交省の見解をお聞かせください。 ○水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。  鉄道を障害者の方に御利用いただく場合におきまして、障害のある方とない方との取扱いを可能な限り同様なものとすることが大変重要であるというふうに考えておるところでございます。  無人駅についてのお尋ねがございました。  鉄道駅については、現状、総駅数九千四百六十四駅のうち四千四百七十八駅が無人駅となっておりますけれども、無人駅であっても、障害者の方が利用する駅については、障害者の方に可能な限り御不便なく鉄道を御利用いただくことが重要であると考えております。  このため、鉄道事業者の方におきましても、これまでさまざまな取組を実施してきたところでございまして、障害者の利用実態を踏まえた上で、必要に応じスロープや内方線つき点状ブロックなどの施設整備を図ってきております。  また、利用が一定程度見込まれる時間帯における巡回、見守りや介助要員のスムーズな派遣などの人的な対応体制の整備を行っている事業者もございます。  国土交通省におきましても、無人駅における安全や利用者利便の確保について、その実態を把握いたしますとともに、必要な対策について鉄道事業者との間でさまざまな議論を行ってきたところでございますけれども、今後も議論を重ねまして、対策の充実に努めてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  UDタクシーのことをお伺いするところですが、ちょっと先に進ませていただきます。  指摘をさせていただきたいのは、UDタクシー、私自身は電動車椅子のウィルというのを使いますが、登坂力、十度を超すと急角度の危険のランプがつきます。スロープをおろすような車両、UDタクシーや例えばバスなどは、おりる場所によって角度が変わってきます。そういったところにおいても、まだまだ新たな車両の開発や補助金などの施策においては、やるべきことがあるかと思っております。  特に、UDタクシー、横から乗るのはさまざまな困難がありますので、通常のUDデザインの、ユニバーサルデザインの車両などは、後ブースから乗るのが通常になっております。こういったところもぜひ参考にしていただきたいと思います。  そして、全てはここから発するところでありますが、移動の権利についてお伺いしたいと思います。  障害者は、公共交通機関を利用しての移動を伴う際、通勤、通学、旅行あるいは日常の移動、いずれの場合においても、障害を持たない者に比べてさまざまな制約を受けているのが現実です。社会的障壁を除去していき、障害者にもより一層の移動の自由を確保していただくためには、障害者のアクセシビリティー、移動の権利があることを明確にすることが必要ではないでしょうか。  障害者権利条約一般的意見二号では、「アクセシビリティは、障害のある人が自立して生活し、社会に完全かつ平等に参加するための前提条件である。」と示されています。IPCアクセシビリティガイドでは、「アクセスは基本的人権であり、社会的公正の基本である。社会的公正とは、人々を個人として受け入れ、社会生活に完全に参加するための公平で平等な機会へのアクセスを保障すること」と明記されております。  今後、バリアフリー法においても障害者の移動の権利について明記していくことが重要な課題となると考えますが、国土交通大臣の御所見をお聞かせください。 ○赤羽国務大臣 移動権の問題というのは、これまでも何度も審議をしてきたところでございます。  大変難しい問題でありますが、結論的に言うと、この移動権で保障されるような内容を体現できるようなユニバーサルデザイン社会づくりを目指して、私自身は取り組んできたつもりでございます。  特に、二〇〇六年だったと思いますが、国連で障害者差別禁止法が、また、日本政府も二〇一三年にそれに調印をした。そうした中で、我が国の整理は、そのもとで障害者基本法などを通してそうしたものを担保されて、バリアフリー化を進めているということでございます。  この移動権を日本の法律の中に入れるということ、なかなかコンセンサスがとれない状況でございまして、平成三十年のバリアフリー法の大改正のときもこうした議論は同じような状況でございましたが、私、当時、政府の原案の中で、移動権はなかなか入れられないのはよくわかるけれども、何とかもう少し、物理的なものだけではなくて、基本理念というものが大事なのではないかということで、今御紹介いただきましたように、社会的障害の除去ですとか、共生社会の実現というものを法の基本理念に入れさせていただいたところでございます。  現状ではなかなか難しいとしかお答えができないんですけれども、こうしたものが将来、継続に検討しながらも、実態としてはしっかりとしたものを進めていかなければいけない、今申し上げられるのはそうしたことでございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  私も大臣とほぼ同じ方向で移動の権利については考えるところではありますけれども、バリアフリー法改正、前回以降も、さまざまなところでこの移動の権利というものが現実的には確保されるような状況が生まれてきたこと、そして今回、心のバリアフリーということに重点を置かれたこと、インクルーシブもそうですけれども、そういったところにおいてはそろそろ機が熟してきたのかなと考えております。移動の権利については、今回の法改正には盛り込まれませんでしたけれども、障害者権利条約の理念と繁栄という点からも、今後引き続いて検討していくことを要望させていただきます。  また、最後になりますけれども、地域主権改革に係る第一次、第二次の一括法の施行に伴い、道路法及びバリアフリー法が改正され、国の政省令等で規定されていた道路の構造等の技術的基準について、県道や市町村道等の基準を地方公共団体が条例により定めることに変更されています。  バリアフリー法に関係します移動等円滑化のために必要な道路の構造に関する条例の地方自治体における制定状況については、都道府県、政令市については既に制定済みですが、全ての自治体について制定されているか否かも国交省で把握すべきだと考えます。  今後の、バリアフリー法改正を契機に、誰もがより安全に安心して移動できる道路が整備されるためにも、今後、各自治体での条例整備状況の把握、条例のもとでの整備、管理の推進が図られるように促していただくことを、重ねて要望いたします。  最後になりますけれども、この数年、バリアフリー法は確かに改正をされましたけれども、そもそもで言いますが、障害者権利条約の精神を語る上での、ナッシング・アバウト・アス・ウイズアウト・アス、私たちを抜きに私たちのことを決めないでとの言葉は欠かせません。  多くの当事者の方々、そして障害をお持ちでない方々もともに住みやすい日本をつくるために、また移動の権利を確保するために努力されること、またそのための支援を国交省、文科省に依頼をいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。