令和2年3月18日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○土井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小宮山泰子さん。 ○小宮山委員 立国社、小宮山泰子でございます。  本日は、土地基本法等の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。  その前に、新型コロナウイルス感染症について、本当に、まさかここまで拡散するとは思っていなかったのも事実でありますが、これまでも私ども民主党としてもさまざまな提言もしてまいりました。最近では、家計第一の緊急経済対策案ということで、消費喚起で十兆円の家計減税や、また、生活保障として一人に十万円給付という給付措置など、また、事業継続支援としての、損失に対する十兆円規模の減収補償などを提案をさせていただいております。  さき三月十日、政府におきましても、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策の第二弾が決定、公表されたところでありますが、令和元年の予備費からの対処、雇用保険に基づく雇用調整助成金での対処並びに政府系金融機関などを通じての融資が重立った内容でありました。  令和二年度の衆議院の予算審議の際からも、私ども野党は、二次補正の予算を組まなければならないなどのさまざまな提案をしておりましたが、残念ながら、この点はいまだに与党において受け入れられておりません。  早くにやらなければならないこと、それは、特に国土交通省管轄でもあります、関係のあります観光政策などで、観光地などでは人影が本当になくなり、ホテル、旅館、宿泊や宴会のキャンセルと新規予約が入らない状況が、また、土産物屋、飲食店、宴会場、飲食の材料を納めている事業者、それらの事業者に食材を納めている一次産業従事者や、そして、輸送でありますバス、タクシーなど交通事業者、旅行業者など、観光に携わるさまざまな広い産業分野で危機的な状況との厳しい現実の訴えが連日のように私どものところにも届けられております。  さて、観光バス、通学バスなどの運行を行っているバス事業者の中には、仕事激減の状況の中、雇用調整助成金の申請をしたいと考えられている企業も多いと聞きます。たとえ終息しても、観光需要、旅客需要は今後更に予測が困難な状況でもありますが、この雇調金の申請に当たっては、休業の内容、本年度の年間休日カレンダーなどを記載した資料も求められ、観光に携わる事業者では申請しにくい若しくは申請ができないということだそうです。これは、労働基準監督署において、観光バス事業者では申請が難しいのではないかといった見解が担当者間でも示されたとのことを伺いました。  新型コロナウイルス感染症の影響がどこまで続くと政府は見込んでいるのでしょうか。三月、四月には歓送迎会や総会などが開催され、書き入れどきにもかかわらず、不要不急の外出は控えてとの呼びかけもあり、イベントも宴会も中止、予約などもほとんどなくなっており、収入がなく、日々の支払いも厳しいという悲鳴が聞こえております。  日本各地の地域のにぎわいとなる、地域の飲食店や宴会場、生花など納入業者、その納入業者に納める業者や生産者なども被害は甚大であります。  今月は決算期でもあり、政府が発表した予備費での対応は小さ過ぎるし、本予算成立後の四月に入ってからの補正予算対応では手おくれになるのではないかと心配しております。  そこでまず、政府には、新型コロナウイルス対策で特例を設けたとはいえ、現実には雇用調整助成金の申請手続は、将来予測の難しい業種では使いにくい。例えば、今後の休業予定や当年の年間休日予定表など、記入や提出が難しい書類の提出自体を不要とするなど、早急に適用できるよう、申請書類のあり方なども見直すべきではないでしょうか。申請書が書きにくい業種、あるいは、今回初めて雇用調整助成金を申請するという者も多数出てくると考えられることから、柔軟かつ丁寧な対応も求められております。  政府の見解をお聞かせください。 ○岸本政府参考人 雇用調整助成金についてお答えいたします。  経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業等を行い、労働者の雇用の維持を図っていただいた場合に、休業手当等の一部を助成するものでございまして、その適正支給という観点からは、休業等の実態については確認をさせていただく必要がございます。  一方で、その申請手続につきましては、事業主の方の負担をできるだけ軽減できるよう、添付書類は必要最小限というふうになるように努めておるところでございまして、例えば、休業確認の前提として所定労働日の確認が必要となりますが、これにつきましては原則就業規則で行うことといたしまして、年間休日カレンダー等の提出は特に必要がない限りは求めないといった柔軟な運用を行っているところでございます。  今後につきましても、適正支給の観点を踏まえつつではございますが、初めて本助成金を申請される事業主の方への丁寧な説明など、申請に当たっての事業主の方々への負担軽減に資するよう努めてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 厚生労働省は、感染拡大を防ぐため、保護者が仕事を休んだ場合に賃金を補償する制度として雇用保険を活用し、雇用形態や企業規模にかかわらず、失業給付の日額上限である八千三百三十円を上限に企業に助成金を支給するとしております。さらに、フリーランスとして働く者に対しては日額四千百円を支給できるように特例で対応すると表明をされています。  この額はともかくも、これと相入れないものがやはり建設現場です。建設現場では、建設会社や工務店の社員のような雇用者でない、一人親方の大工さんとか下請の職人さんが多く働いているわけです。このような一人親方や下請の個人事業主である職人さんとかでは、子供の小学校が休校となったことに伴い仕事に出られない状況になった者は助成対象とするフリーランスに含まれることになるのか、見解をお聞かせください。 ○辻田政府参考人 お答え申し上げます。  今回の臨時休校要請によって小学校等に通う子供の世話を行うことが必要となった保護者の方であって、個人で業務委託契約で仕事をされている場合についても、今回支援を広げることといたしました。委員御指摘のとおり一日当たり四千百円というものでございます。  支援金の対象となる方の要件といたしまして、契約を締結している本人が個人で契約を結び業務を行う場合、契約において、業務従事や業務遂行の態様、業務の場所、日時等について発注者から一定の指定を受けている場合というものをお示ししているところでございます。  委員御指摘の一人親方や建設現場で働く職人といっても、働き方や報酬の定め方は多種多様であるというふうに承知しておりますけれども、そういう意味で、職種だけで一概に一定の要件を満たすとは言えないのですが、業務を行う場所や日時等が指定されるなど要件を満たしており、臨時休校要請によって小学校等に通う子供の世話を行うために休業したということであれば、一人親方や職人といった方々も対象となり得るというふうに考えております。 ○小宮山委員 建設現場では、休校による影響ではないけれども、建設資材や住宅設備が入手できないことによって仕事ができなくなっているということもよく言われます。一人親方や下請の職人への対応も問題となりますけれども、新型コロナウイルス感染症による建設、建築の現場への影響をどのように捉えているのか伺いたいと思います。  また、材料等の入手困難により仕事ができなくなっているなどとする一人親方、下請職人への支援について、大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。 ○土井委員長 小宮山さん、もう一度。 ○小宮山委員 はい。ちょっと時間がありませんので。  建設現場に対して、なかなか、雇用形態やまた下請であったりということもありますので、この部分に関してどう考えているのか、国交省の見解をぜひお聞かせいただければと思います。  あわせて、この部分では最後になりますけれども、確認機関による工事の完了検査は、一部の機器がそろっていなくとも検査を行ってもらえるものではありますが、例えば、便器とかそういったものが入らないがために、引っ越されることに、施主さんには渡らず、その際にも賃貸住宅でも仮住まいをされているなど、現実の工事現場では余分なさまざまな料金がかかるのも事実であります。  完了検査を受けた新築住宅など、一部住宅機器がそろっていないために入居できず、賃貸住宅暮らしの予定が、例えば施主には、予定より長くなったといった場合、家賃に対する補助であったり、あるいは、便器が設置できないなどのために入居できない、仮設トイレを敷地内に置くことで、不便はあるもののとりあえず入居ができて、引渡しができることによってある程度の収入のめどがつくということも考えられると思います。  施主さんは支出が抑えられて、工務店さん、職人さんには、住宅ローンの実行により建設費用が回収できることとなりますので、前例にとらわれることなく、このような補助や支援も改めて検討していただきたいと思いますけれども、この点につきまして、お考えがありましたら、いかがでしょうか。 ○青木政府参考人 お答えいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症による建設産業への影響についてでございますけれども、中国からの部品供給が停滞をして、特に民間の建築工事で、トイレ、キッチン等の資材、設備機器の納期におくれが生じているという声が届いているところでございます。また、特に経営基盤が脆弱なところ、そういったところについて、元下間できちんとお金が払われるというようなことが大事になってまいりますので、そういった取引の適正化についても徹底を求めたところでございます。  これは、お話がありました一人親方とか職人さん、こういったものを含めてということでございますし、また、特に中小・小規模事業者の実質無利子無担保、こういったものも、一人親方、下請職人も含めて適用可能というふうになってございますので、建設業団体などに対しましても、この活用につきまして周知を進めている、こういうところでございます。 ○眞鍋政府参考人 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして中国からの部品供給が停滞して、トイレやキッチンシステムなどの製造におくれが生じているというのは、御指摘のとおりでございます。その影響を受けまして、住宅メーカーや工務店においても、住宅の着工、引渡しにおくれが生じているというようなことも聞いておるところでございます。  これまでにも、御指摘のように幾つかの対策を講じてきておりまして、一部の設備などが未設置の状態でも、建築基準法に基づく完了検査などが円滑に行われるよう、こうした場合の手続を明確化いたしまして、地方公共団体や確認検査機関などに周知しております。  また、住宅金融支援機構のフラット35の融資の実行に必要な竣工現場検査、これがございますけれども、それについても円滑に行われるよう、同様に明確化して周知しております。加えて、フラット35については、申込みの後で、事情の変化などによって融資額が変化する、工事の金額が変わってくるというような場合もあろうと思いますので、そうした場合の対応でも、例えば資金の受取前であれば融資金額や資金計画の変更が可能というようなことになってございますので、この点を引き続いて周知してまいりたいと考えてございます。 ○小宮山委員 根本的に、融資が無利息だろうと、正直言って、借りるわけですから、借りれないということを、現場、結構かつかつで皆さん生きていらっしゃいますので、やはりここをしっかりと見ていただきたいと思います。その点はまた別途させていただきます。  大臣、そんなに、職人さんたちというのは必ずしも経済的に今裕福な、潤沢なわけではありません。一人親方たちは補償等一切ない状態で、そして建設職人基本法をつくったときのように、次の世代がない、高齢化をしているところでもありますので、ここはやはり、今回の対策という中で、恐らく閣内でも対策本部で議論されるでしょうけれども、前例にとらわれることなく、きちんと次の世代にしっかりとつなげられるように産業を守っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○赤羽国務大臣 一人親方の皆さんの、全日本土建組合ですとか、私も長いことおつき合いさせていただいておりますので、大変な状況であるということもよく承知をしております。  今回さまざまな対策はとらせていただいておりますが、いわゆる営業補償的なことはお子さんが小学校にいるという子供縛りなんですね。ですから、子供がいないところはその対象に外れているとか。例えば国交省でいいますと、通訳士、通訳の人たちも、子供さんがいればフリーランスとして対応してもらえますがそうでないとそうにはならないということなので、少し所管の分野の中で、本当にお困りの方はどうなのか、その方に対してどういうことができるのかというのは最大限努力をしなければいけないと思っております。 ○小宮山委員 よろしくお願いいたします。  さて、土地基本法の背景について質問させていただきます。  時間の関係で、かなり急ぎ目で行きたいと思いますので、簡潔な御答弁を皆様方よろしく御協力をお願いいたします。  まず最初に確認をさせていただきます。今回の改正の必要性について改めて確認をさせていただきますので、大臣からお願いいたします。 ○赤羽国務大臣 近年の土地をめぐる状況というのは、土地基本法を制定した平成元年当時と比べて随分状況は変わっているというふうに思っております。  人口が減ることによりまして土地利用のニーズ自体が低下をしているということですとか、現実には所有者不明土地、管理不全の土地が増加している。所有者不明というものをもう少し言いますと、登記上は登記はされていても、現実には所有者がどこにいるかわからないということも含めると、そうした土地がふえている。  その結果、近年の災害、私も地元で土砂災害があって、これを見に行ったら、登記はされているけれども現実にはいない、だけれども民間の土地ということなので地方自治体は手が出せない、こうしたことも現実に起こっておりまして、このようなことは改善していかなければいけない。  そのために、土地基本法として、適正な土地の利用と管理というのを確保すると同時に、そうした所有者不明的な土地の発生の抑制と解消をしていかなければいけない、これがもともとの今回の法改正の根っこでございまして、その中では、土地所有者には、適正な土地の利用と管理を行う、そして土地の権利関係と境界の明確化を行う責務を求めておりますし、国や地方自治体につきましては、所有者不明土地の発生の抑制、解消のための措置を講ずることという方向性を示して、そしてそれを具体的には、土地基本方針の創設といったもので具体的な規定を盛り込んでおくということでございます。  ここの中には、国交省だけではなくて、法務省とか関係省庁も含めてしっかりしたものをつくっていこうというのが今回の基本法の理念でございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  今大臣の方から、土地基本法第三条の適切な利用及び管理ということのためにやるんだ、今回の改正の必要性があるというお話もございました。  それでは、その土地の適正な管理というのは実際はどのようなことを意味するのか、あわせて、周辺地域への悪影響防止の観点を盛り込んだ意味をお聞かせください。 ○青木政府参考人 お答えいたします。  まず、第三条の方で土地の適正な管理という規定を盛り込みましたが、この管理は、周辺地域の良好な環境の形成と悪影響を防止する観点から行われるべきものでございまして、大きく分けますと、一つが物理的な管理、実際に悪影響を与えないようにするための物理的なもの、それから、登記を始めとする権利関係の明確化、境界の明確化といったところでは法的管理も含まれるもの、こういうふうに考えてございます。  周辺地域への影響の防止ということを盛り込みましたけれども、これは、先生からもたびたび御指摘をいただいているごみ屋敷の問題とか、あるいは崩れかけている空き家とか、災害の発生のおそれがあるような、いわばそういったことが今顕在化しているということで、特に周辺地域への悪影響を防止するということが、重要性が高まっていると認識しましたためにこのような規定を盛り込まさせていただいた、こういうことでございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  やはり適正な管理がなければいけないんだと思いますので、大切だと思います。  ちょっと時間の関係で先の方に進ませていただきます。通し番号で言いますと四番ですね、第二十条、地方公共団体への支援についてお聞かせいただきたいと思います。  第二十条において、「国は、地方公共団体が実施する土地に関する施策を支援するため、情報の提供その他必要な措置を講ずるように努めるもの」と定められております。  国による地方公共団体への支援が努力義務規定なのは規定ぶりが弱いのではないかと思っておりますが、この点に関しての御見解をお聞かせください。 ○青木政府参考人 お答えいたします。  所有者不明土地を始めとして、今回の人口減少に対応するということになりますと、地方公共団体が非常に大きい役割を果たしていただくんですが、マンパワー、ノウハウの不足など大きな課題を抱えておりますということが認識してございまして、今回支援規定を位置づけたところでございます。  規定ぶりにつきましては、同様の規定を擁する他の基本法を参考とさせていただいた規定ぶりとさせていただいておりますけれども、こういった地方公共団体の役割の重要性、特に地域コミュニティーに寄り添うような、そういった重要性にも鑑みまして、この趣旨にのっとりまして、例えば専門的な知識経験を有するような職員の派遣、こういった人的支援であるとか、あるいは技術面、そういったことを含めて、関係省庁と連携しながらしっかりと公共団体への支援に取り組んでいきたいと思います。 ○小宮山委員  関係団体と連携をとっていただきたいと思います。  先に更に進みます。地籍調査に係る予算、経費などについて質問いたします。  十カ年計画に基づいて実施する地籍調査事業の経費は、国二分の一、都道府県四分の一となり、残りの四分の一が市町村の負担となっています。都道府県及び市町村の負担額の八割について特別交付税で措置がとられるため、市町村の実質負担は二十分の一となります。総務省の地籍調査の推進に関する政策評価、令和元年の十二月に発表されたものですが、これでは、地籍調査の実施に関して国庫負担金の交付額が要望額を下回っているといった意見も多く、市町村にとってなお予算上の制約が大きいことが示されております。  今回の改正で、所有者探索のために固定資産課税台帳等の利用ができるようにするなど、調査手続の見直しや効率的な調査手法の導入が行われることとなり、地籍調査の進展に期待をされているところですが、あわせて予算面での一層の支援が必要ではないかと考えますが、御見解をお聞かせください。 ○青木政府参考人 お答えいたします。  御指摘いただきましたように、地籍調査をしっかりと進めてまいりますためには、予算の確保、これが大変重要でございます。また、公共団体の要望も強うございますので、これまでも、当初予算、補正予算、緊急対策の措置によりまして必要な予算の確保に努めてきたところでございます。  今回、調査手続の見直しによりまして、より効率的に実施が可能になるとは考えておりますけれども、昨今、災害の発生状況などを背景として、公共団体からの地籍調査の予算に関する要望も増加してきているところでございますので、引き続き必要な予算の確保にしっかりと取り組みたいと思います。 ○小宮山委員 実際に、ある県の方では、市町村が求めても県の方がやはり合意ができない、計画は県がつくるわけですけれども、そのために進められないというような話も聞こえてまいりました。  地籍調査は、都道府県が都道府県内全体として計画を立て、その計画の中で基礎自治体が事業実行していくこととされておりますし、都道府県の役割、姿勢が進捗に果たす役割も大きいということが言えると思います。  基礎自治体が積極的に地籍調査を進めたいという方針でいるとき、都道府県と歩調が合った対応ができていないという場合があるといった事例も聞こえてまいりますので、基礎自治体の主体的意思が地籍調査の推進に生かされやすくなるように、制度面での改善や例外を用意していくことも必要なのではないかと思いますが、この点に関して国交省の見解をお聞かせください。 ○青木政府参考人 お答えいたします。  地籍調査は最も身近な基礎自治体の市町村が実施主体となっておりますけれども、この地籍調査の成果というものは、全国的な政策意義、広域的な政策意義、地域的な政策意義、それぞれ大きいものがございますので、国、都道府県、町村、応分の負担ということを法律に定めているところでございます。  一方で、各都道府県が、法律に基づきまして、毎年度、市町村との協議で調査の事業計画を定めることとされていますので、この中で市町村の意見については反映されるという仕組みになってございます。  国交省といたしましては、今回、新しく十カ年の策定に向けまして、都道府県との意見交換を進めておりますので、こういった機会も捉えまして、地籍調査の意義、重要性を都道府県に御理解いただくように努力もしたいと思いますし、また、都道府県と市町村の緊密な連携のもとに推進されるよう助言を行っていきたいと思います。 ○小宮山委員 今回、第六次十カ年計画が終了いたします。次の計画である第七次十カ年計画へ移ろうとしているわけですが、昭和三十八年から四十七年までの第一次十カ年計画以来、長年にわたる計画と実行の中でも、進捗率が優先実施地域においても約七八%にとどまっております。今回の改正での目標も、実施率を八割、七八%から九割へ向上させることも掲げられております。逆に言えば、第七次計画でも地籍調査は一〇〇%にならないということでもあります。  このためには、なお一層の推進、予算面や国からの助成について更に見直し、拡大や上乗せをしていくべきだと考えております。この点を要請したいと思いますが、いかがでしょうか。大臣、よろしくお願いします。 ○赤羽国務大臣 地籍調査をしっかり進めなければいけないというのは、東日本大震災のときの復興で、東北地方は大変それが進んでおりまして、高台移転等々、うまくいったということもあります。都市部に行くとこれが随分進捗率が低いということも課題でございまして、そうしたことも踏まえてやっていきたい。  かつて、小泉政権だったと思いますが、平成の地籍大改革といって、随分土地家屋調査士の皆さ んとかから期待されたわけですけれども、今、小 宮山委員が指摘のように、余り予算がつかなかっ たとか市町村に対する支援が足らなかったという ようなこともあって、結局看板倒れに終わってしまったような反省も踏まえて、今回はしっかりと進められるように、きょう出た御意見も踏まえながら取り組んでいきたい、こう思っております。 ○小宮山委員 東日本大震災の後に、筆界がしっかり特定されていたからこそ、早い復旧、地図作成につながったと思っております。ぜひ完成されるように御努力をいただきたいと思います。  不動産登記法第百三十一条の筆界特定の申請についてお伺いいたします。  筆界特定の申請について、所有権登記名義人等のうち、全員とか過半の者とかといった条件ではなく、いずれかの者の同意で行うことができるとした理由について説明をいただきたいと思います。  また、いずれかの者は一人でも構わないものとなるのか、確認させてください。 ○竹内政府参考人 このたびの不動産登記法の一部改正におきまして、地方公共団体に申立て権を与えるという内容にしております。その内容としましては、対象土地の所有権登記名義人等のうち、いずれかの者から同意を得るということが要件になっております。  このいずれかの者の意味についてお尋ねがありました。  筆界を特定しようとする土地が二つ隣接しているというふうに考えますと、そのうちのいずれかの一つの土地の所有権登記名義人の同意が得られた場合、それに加えまして、その土地が複数人の共有に属する場合には、共有者の全員や過半数の同意を得る必要はありません。共有者の一人から同意が得られれば、地方公共団体は筆界特定の申請を行うことができるという意味でございます。  これは、現行法の通常の筆界特定手続におきましても、隣接する土地のうちのいずれか一つの土地の所有権登記名義人が単独で申請することができますし、共有の場合には共有者の一人が単独で申請できるということを踏まえたものでございます。 ○小宮山委員 法務省におきましては、ぜひ、今後ですけれども、やはり相続人登記の義務化など、実行していただけるように頑張っていただきたいと思います。やはり、それをしていなかったからこそ、明治時代の名義が残ったり、さまざまなことが今つながっているんだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  さて、最後になりますけれども、未登記道路に関して質問させていただきたいと思います。  市町村道、県道あるいは国道として用いられている土地の一部に、過去に道路整備を行う際、所有者から寄附や売買、場合によっては土地収用を経て公共団体が得たものの、さまざまな事情により所有権移転がされず、民有地、個人名義などのまま登記上残っていることがあると言われております。道路の拡幅や利用を先行したために、公共団体への所有権移転が未了となっている土地で、未登記道路とか登記未履行道路、道路内民地、公簿上民地、過年度未登記用地などと、さまざまな形で呼ばれているようであります。  平成七年にも、会計検査院より、国庫補助事業に係る道路用地取得の事後処理を適切に行われるように改善が求められたりなど、さまざま事案がございます。  最後になりますけれども、未登記道路に係る問題が後に顕在化してくる可能性についてどのように捉えているのか、また、未登記道路解消のための取組をどう行っていくのか、国交省の見解をお聞かせいただければと思います。 ○土井委員長 池田道路局長、簡潔にお願いいたします。 ○池田政府参考人 お答えいたします。  道路の敷地につきまして未登記のままの敷地がある場合に、登記名義人の相続時の場合に権利上のトラブルが生じる可能性もあることから、道路管理者は未登記用地について登記に努めることが重要であると認識しております。  これまでに、平成八年には、全国の道路管理者に通達を出しまして、道路管理者がそれぞれ未登記用地の解消をするよう指導しております。例えば関東地方整備局の管内では、過去十年間で九件の未登記用地の解消が図られてきておりますけれども、未登記の用地はまだ全国的にたくさん存在していると認識をしております。  今後トラブルが生じないためにも、改めて、道路管理者に対しまして、未登記用地の解消に向けて指導してまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 今おっしゃっていただきましたように、未登記道路をほうっておいては後に問題が生じることになります。早くに対応していただくことを要請いたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。