令和元年6月20日 環境【未定稿】 令和元年六月三十日(木曜日)(未定稿) 午前十時開会 ○委員長(那谷屋正義君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、伊藤孝江君、水落敏栄君、猪口邦子君、元榮太一郎君、徳茂雅之君、足立敏之君、芝博一君及び大沼みずほ君が委員を辞任され、その補欠として佐藤信秋君、松山政司君、世耕弘成君、浜田昌良君、真山勇一君、松川るい君、小川克巳君及び青山繁晴君が選任されました。  また、本日、浜田昌良君及び世耕弘成君が委員を辞任され、その補欠として山本博司君及び中西哲君が選任されました。 --- ○委員長(那谷屋正義君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  愛玩動物看護師法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、環境省自然環境局長正田寛君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(那谷屋正義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 --- ○委員長(那谷屋正義君) 愛玩動物看護師法案を議題といたします。  提出者衆議院環境委員長秋葉賢也君から趣旨説明を聴取いたします。秋葉衆議院環境委員長。 ○衆議院議員(秋葉賢也君)おはようございます。  ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  我が国においては、犬猫等の愛玩動物は、今や多くの家庭において、家族の一員としてかけがえのない存在になっております。  これに伴い、飼い主が求める獣医療の内容も高度化、多様化しており、獣医師と動物看護師によるチーム獣医療の充実が期待されているところです。  また、しつけなどの飼い主教育の重要性も指摘されているほか、動物を介在した介護や福祉、教育に関する活動も盛んになってきており、これらの活動の充実に向けて、愛玩動物看護師の役割が大変重要となってきております。  こうした状況を踏まえ、愛玩動物看護師の国家資格化を図るため、本案を提出した次第であります。  次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、この法律は、愛玩動物看護師の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律し、もって愛玩動物に関する獣医療の普及及び向上並びに愛玩動物の適正な飼養に寄与することを目的としております。  第二に、愛玩動物の範囲を、獣医師法第十七条に規定する飼育動物のうち、犬、猫その他政令で定める動物とすることとしております。  第三に、愛玩動物看護師が行う業務として、獣医師の指示の下に行われる愛玩動物の診療の補助、愛玩動物の世話その他の看護及び愛玩動物の愛護・適正な飼養に係る助言その他の支援を規定しております。  第四に、愛玩動物看護師になろうとする者は、愛玩動物看護師国家試験に合格し、農林水産大臣及び環境大臣の免許を受けなければならないこととしております。  第五に、農林水産大臣及び環境大臣は、登録機関及び試験機関を指定することができることとしております。  第六に、愛玩動物看護師は、獣医師法第十七条の規定にかかわらず、診療の補助を行うことを業とできることとしております。  第七に、愛玩動物看護師でない者は、愛玩動物看護師又はこれに紛らわしい名称を使用してはならないこととしております。  なお、この法律は、指定試験機関等に係る一部の規定を除き、公布の日から起算してコ一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、本案の趣旨及び主な内容であります。  何とぞ、御一審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。 ○委員長(那谷屋正義君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○宮沢由佳君 おはようございます。立憲民主党・民友会・希望の会の宮沢由佳です。  愛玩動物看護師法案について質問いたします。  初めに、御提出者の先生方、本日はありがとうございます。先生方の御尽力に深く敬意を表します。幾つか質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、本法律案提出に当たっての背景について、何点か確認させていただきたいと思います。  提出理由の近時の愛玩動物をめぐる状況に関連して、三点提出者に伺いたいと思います。  なぜ愛玩動物看護師の国家資格化が必要なのか、なぜ今までの民間資格ではいけないのか、また、なぜ愛玩動物だけなのか、この点も併せてお聞きしたいと思います。さらに、愛玩動物看護師を含むチーム獣医療の重要性についてもお願いいたします。 ○衆議院議員(生方幸夫君) おはようございます。  宮沢委員にお答えをいたします。  まず、なぜ今国家試験なのかということですが、動物医療の高度化というのが挙げられるというふうに思います。私が前に訪ねたことがある中国地方の動物病院では、CTやMRIとか手術台とか、本当に人間の医療と同様な設備が整えられ、極めて高度な医療が実施をされておりました。この背景には、愛玩動物の数が増えると同時に、動物を家族の一員として大事にする文化が育ってきたという背景があるというふうに考えております。  高度な医療を実施するためには、人間の医療と同様に専門の助手が必要で、チーム医療体制の整備が欠かせません。そのためには、しっかりとした教育を受け、国家資格を取得した看護師の育成が重要になると考えます。  動物看護師については、民間主体の取組として、資格の統一化や共通の教育カリキュラムの整備等が進められてまいりました。しかしながら、民間の統一資格である認定動物看護師の技術的水準の確保や、専門職としてその業務を果たすことができる環境の整備が喫緊の課題となっておりました。  今回、国家試験が導入され、新たに愛玩動物看護師が誕生することになります。統一した国家資格が導入されることによって、動物看護師の社会的地位が上がり、技術の向上が期待されます。また、動物好きの若い人たちの中に、新たに動物看護師になりたいという人間が増え、動物医療の向上が期待されるとともに、動物の福祉にも寄与するものと考えております。 ○宮沢由佳君 愛玩動物だけなのかという点についてもお願いいたします。 ○衆議院議員(生方幸夫君) お答えいたします。  動物愛護管理法において、動物の飼い主に対しては終生飼養の努力義務が課せられております。  愛玩動物に対する獣医療の需要は高いものと承知をしております。また、愛玩動物の飼い主は飼養している愛玩動物の看護等について必ずしも十分な知識、経験等を有しているとは限らないため、飼い主等に対する助言その他の支援について専門的知識を有する愛玩動物看護師の資格の制定が必要となっております。  これに対して産業動物については、畜産業者等が産業動物等の飼育に関して一定の知識、経験等を有していることが多いと考えられ、産業動物等の看護師についての具体的な要望は、現時点では上がっていないものと承知をいたしております。  特定動物や実験動物についても、現段階では要望がないものと承知をいたしております。  このようなことから、愛玩動物看護師の業務の対象は愛玩動物に限ることといたしました。  なお、将来的に産業動物や実験動物の現場において需要が出てくれば検討することになると考えております。 ○宮沢由佳君 ありがとうございます。  チーム獣医療の重要性についてもお伺いします。 ○衆議院議員(生方幸夫君) 獣医療が高度化、多様化するとともに、獣医療に対する社会的要請が高まっております。このような要請に応えるためには、人の医療と同様に、獣医師と愛玩動物看護師とが診療の現場において各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有して獣医療を提供するチーム獣医療の体制を構築し、獣医療の質の向上を図っていくことが求められております。  法案では、こうしたチーム獣医療の重要性を踏まえ、四十一条において、愛玩動物看護師は、獣医師との緊密な連携を図り、適正な獣医療の確保に努めるべき旨を規定をいたしております。 ○宮沢由佳君 御丁寧な答弁ありがとうございました。今の答弁で趣旨がよく分かりました。  では、政府にお尋ねします。  本法律案の目的の一つに愛玩動物に関する獣医療の普及及び向上が挙げられていますが、これに関して政府の認識はいかがでしょうか。 ○国務大臣(原田義昭君) 今、この立法趣旨がお話しになったところでありますけれども、今や多くの家庭におきまして愛玩動物はもはや家族の一員だ、かけがえのない存在だとなって、そのために、愛玩動物に関する十分な知識や技龍を有する専門家である愛玩動物看護師の活躍は適正飼養の推進等を図る上で非常に重要になるのではないかと、こう認識しているところであります。これらの方々には、動物病院、ペットショップ、教育機関など、様々な場所で活躍されることを期待しているところであります。  環境省としても、農林水産省と連携しながら、大学等での履修科目の検討や指定機関等の指定など必要な準備を進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。今月十二日に成立しました、いわゆる動物愛護管理法には、マイクロチップの装着義務や動物取扱責任者の要件の厳格化など、愛玩動物看護師の業務に深く関わる規定がございます。同法との必要な連携も図ってまいりたいと思います。 ○宮沢由佳君 ありがとうございます。引き続き、行政は、愛玩動物看護師の国家資格化に当たって国民や関係者のニーズをしっかりと把握していってほしいと思います。  次に、法案の中身に関して提出者にお伺いいたします。  現在の愛玩動物看護師の需要はどうなっていますでしょうか。具体的な整字を教えてください。  求人もかなり多いと伺いましたが、国家資格化によって愛玩動物看護師の待遇面などはどのように変わると恩われますでしょうか。また、国家資格を保有しない方々への配慮はどうなっていますか。 ○衆議院議員(生方幸夫君) お答えいたします。  我が国の犬及び猫の飼育頭数は現在約二千万頭と推計されており、家族の一員としてかけがえのない存在となっていると言われております。また、動物愛護管理法において、動物の飼い主に対しては終生飼養の努力義務か課せられており、愛玩動物に対する獣医療の需要は高いものと承知をいたしております。  なお、民間資格である認定動物看護師の登録者数は約二万三千名であり、毎年新たに二千名程度が試験に合格をしております。国家資格化されることで愛玩動物看護師が愛玩動物に関する十分な知識や技能を有し、その適正な飼養に関する専門家としての役割が明確になるというふうに考えております。  また、愛玩動物看護師の活躍の場は、動物病院を主として、ベットショップ、教育機関など、多岐にわたることが期待をされております。さらに、今後、動物病院において安定した獣医療を提供するためには、愛玩動物看護師を含めた獣医療従事者の雇用条件が労働基準法等の雇用関係諸規定に対応して整備されることが重要であるとの指摘もあります。  このように、国家資格化されることで愛玩動物看護師全体の処遇の向上につながることが期待をされております。  愛玩動物看護師の業務のうち、診療の補助については、現行は獣医師以外は行うことができない業務であるが、この法律の施行後は、愛玩動物看護師の資椅かあれば行うことができることとなる業務でございます。他方、入院動物の世話やその他の愛玩動物の看護や、愛玩動物の飼育者等に対する愛護及び適正な飼養に係る助言その他の支援については、愛玩動物看護師でなくても行うことができます。そのために、愛玩動物看護師の資格を有しない者であっても、それぞれの知識、経験を生かして、今後もこれらの業務に携わることができると考えております。  なお、国家試験を受けたい現在認定の方については、科目の一部免除など、経験に配慮した措置がとられるものと考えております。 ○宮沢由佳君 ありがとうございます。  では、国家試験について伺います。  試験の合格率はどのくらいを想定していますでしょうか。また、試験は、筆記試験のほか実技試験も行うのでしょうか。 ○衆議院議員(生方幸夫君) 愛玩動物管理士国家試験の試験内容については、この法律の施行後、政府において検討されることになると恩われます。  よって、合格率についても現段階でお答えすることは困難であります。  なお、ほかの国家試験における直近の合格率は、獣医師国家試験が八二・六%、看護師国家試験が八九・三%となっており、現在、民間で実施されている動物看護師統一認定試験の直近の合格率は八六・五%となっております。また、獣医師国家試験及び看護師国家試験については、筆記試験のみが行われ、実技試験は行われていないものと承知をいたしております。 ○宮沢由佳君 ありがとうございます。  獣医師の診療の補助を行うに当たっては、第四十一条で、「獣医師との緊密な連携を図り、」とあります。緊密な連携とはどのようなことを言うのですか。  また、獣医師の指導の下に行うの指導の下とはどのような状態を言うのでしょうか。獣医師がその場にいる、若しくは、少なくとも同じ動物病院内におり、何かあれば獣医師がいつでも対応できるという意味でしょうか。電話やSNS等での遠隔指導を受ける場合は含むのでしょうか、含まないのでしょうか。仮に遠隔指導が行えるのなら、獣医師のいない愛玩動物看護師さんだけの施設でも、例えばマイクロチップの挿入が診療の補助に当たるのなら挿入を行うことができることになりますが、これも指導の下と言えるのでしょうか、教えてください。 ○衆議院議員(生方幸夫君) 獣医師との緊密な連携とは、一般に、獣医師と愛玩動物看護師とが各々の高い専門性を前提に目的と情報を共有し業務を分担しつつも、互いに連携、補完し合い、愛玩動物の状況に的確に対応した獣医療を提供する、いわゆるチーム医療の体制を構築することを指しております。  診療の補助の具体的な内容については、この法律の施行後、政府において検討されるととになると承知をいたしております。看護師が医師の指示の下に行う診療の補助の範囲については、厚生労働省の医政局長通知等を通じて明らかにされているところ、愛玩動物看護師が獣医師の指示の下に行う診療の補助についても、同様の方法によりその範囲が明確にされていくというふうに考えております。  その上で、獣医師の指示が包括的なもので足りるのか、具体的な指示が必要なのかについては、個々の行為の愛玩動物の身体への影響、難易度等が考慮されることを想定をいたしております。 ○宮沢由佳君 ありがとうございます。  先ほどもお話にございましたけれども、獣医療も医療技術の進歩により、更に一層高度化していくと恩われます。チーム獣医療の必要性、重要性は、愛玩動物だけでなく産業動物にもやはり当てはまるのではないかと思いますが、家畜も含め、人間に関する動物全体について、獣医療の高度化に踏まえてチーム獣医療を発展させることが国民の利益にかなうことと思います。また、アニマルウエルフェアに配慮した動物管理の面も加味すべきと思いますが、動物看護師の今後について政府がどうお考えか、今後、産業動物などにも広げていくお考えがあるのか、農林水産省に伺いたいと思います。 ○政府参考人(小川良介君) お答え申し上げます。  動物看護師の今後の検討でございますけれども、まず、愛玩動物と産業動物の獣医療の違いを考慮していくことが必要と考えてございます。犬や猫といったベットの場合、飼い主が動物を診療施設に連れていきまして、獣医師と動物看護師によるチーム獣医療が行われているところでございます。  他方、牛、豚といった産業動物の場合は、飼い主が動物を診療施設に移動させるのではございません。獣医師が農場を訪問した上で、いわゆる一頭の牛や豚ではございませんで、群れとしての、動物の群を診療することになります。  また、産業動物につきましては、例えば高病原性烏インフルエンザや豚コレラなどのように感染力の強い家畜伝染病に感染した場合は、治療を行うのではなく、同居する家畜とともに処分を行うことになってまいります。このため、産業動物獣医師の業務は衛生管理に重点が置かれております。  日常的には、その業務は畜主が衛生管理を担っているという現状にございます。  今後の検討に当たりましては、愛玩動物と産業動物における獣医療の違いや現場のニーズを踏まえていきたいと考えております。  以上でございます。 ○宮沢由佳君 時間となりましたので、愛玩動物看護師法案が成立することによって、愛玩動物の飼い主である国民が獣医療技術の進歩をより享受でき、また愛玩動物を通じて今より更に幸福になれるように期待したいと思います。  提出の先生方、本日はありがとうございました。  質問を終わります。 --- ○委員長(那谷屋正義君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、佐藤信秋君が委員を辞任され、その補欠として徳茂雅之君が選任されました。 --- ○武田良介君 日本共産党の武田良介です。  愛玩動物看護師法について質問をいたします。  獣医療の現場について、公務員獣医師の方からも、またあるいは産業動物獣医師やられている方からもお話を聞いてまいりました。そのことを踏まえて質問させていただきたいというふうに思います。  まず、豚コレラの問題に関わって質問をいたします。  現在、豚コレラが大問題になっておりますが、この対応に当たられる公務員獣医師の方々、獣医師の偏在も存在する中で、公務員獣医師が足りないという現実があるというふうに思います。今回の法案を検討するに当たって、公務員獣医師の現場での獣医療についてはどんな獣医療が求められているのか、体制は十分なのか、あるいは処遇はどうなのか、こういった点で現地の実情をより深くつかむヒアリングや検討はなされたものなんでしょうか。発議者の方に伺います。 ○衆議院議員(鬼木誠君) 御指摘のとおり、公務員獣医師の現場での獣医療において、その体制の在り方や処遇について課題があると承知しております。昨今の豚コレラ等、また家畜伝塾病といった課題もございます中で、公務員獣医師の仕事、役割の大切さも認識しているところでございます。  そうした中で、私の地元福岡県などでは独自の俸給表を作って獣医師の採用を力を入れておりましたり、また、県によりましては、県庁入庁の年次ですね、年齢制限の引上げなどによってその採用拡大を努めているという状況もされているということでございます。  今後、必要に応じて検討することになると考えております。  以上です。 ○武田良介君 今後必要に応じて検討ということでありましたが、直接関係ないというふうに恩われるのかもしれませんけれども、皆さんもですね、思われる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、小動物の分野では一定の獣医師の方がいらっしゃる、動物看護師の方もいらっしゃる一方で、産業動物、公務員獣医師の現場ではやっぱり偏在で足りないということが指摘をされ、福岡のような取組も私は伺っておりますけれども、そういうことも指摘されている。それだけに、総合的に本法案を審議する上でも、獣医療の全体像、その実態をつかんでいくことが大切ではないかということを考えております。  私、長野県の担当者の方にお話を伺ってきました。この方はもちろん防疫員であられて、獣医師の免許も持たれている方々でありますけれども、豚コレラ発生の際のお話を伺ってまいりました。  長野県で発生という事態を受けて、二十四時間以内の殺処分をしなければならないということで、県職員の方、市町村職員の方、自衛隊の方々などとともに防疫員の方も現地に入ったと。二十四時間以内の殺処分を終えて防疫員の方が引き揚げることになってから、埋却だとか汚染物品の処理、消毒という作業を残った県や市町村の職員の方が当たられるということなんですけれども、専門的な知見が十分ないがために混乱が生じた、作業が遅れたということをおっしゃっておりました。  つまり、防疫員の方だけではなくて、専門的知見を持った方がもっと現場に必要だということの証左だというふうに思うわけです。そうであるならば、公務員獣医師の現場の実態を踏まえた獣医療全体の体制強化についてもっと議論がなされるべきではないかというふうに考えますけれども、発議者の方、いかがでしょうか。 ○衆議院議員(高木美智代君) お答えいたします。  御指摘のとおり、地方自治体の現場におきまして公務員獣医師の担う役割は大変大きなものがありまして、その数が不足しているのではないかという指摘があることは承知をしております。そのため、県独自で公務員獣医師や産業動物の診療業務に従事する獣医師を志す学生や高校生に対して修学資金を貸与するなど、制度を設けている県もあると聞いております。承知しているだけで十九県でございます。  御指摘の課題の解決に向けまして、今後も議論を深める必要かあると考えております。 ○武田良介君 今日は農水副大臣にも来ていただきまして、今紹介しました殺処分の際の話だけではなくて、捕獲された野生のイノシシが豚コレラに感染していないかどうかということについてこの防疫員の方が仕事に当たられている、こういうお話も聞いてまいりました。イノシシが捕獲されると、防疫員の方が、岐阜県との県境まで約二時間掛けて二名で現地に行くということでした。非常に大切な仕事なんですけれども、それだけで一日が終わってしまうと。これまでの本来の防疫の仕事に加えて豚コレラの対応が入っているので非常に忙しいと、何より豚コレラの終息について先が見えないことが本当につらいところだというこ とをおっしゃっておりました。  今回のこの豚コレラの経験を踏まえて、今後更に求められてくる防疫措置、これをどう行うかということから考えても、やはり獣医療の体制、全体の体制の強化ということを行う必要があるのではないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。 ○副大臣(高烏修一君) 武田委員にお答えをいたします。  豚コレラの防疫対策を始め、安全で良質な国産畜産物を安定的に国民に供給するためには家畜を健康な状態に保つことが重要であり、委員御指摘のとおり、公務員獣医師を含む産業動物獣医師の果たす役割は大きいものと承知をいたしております。  産業動物獣医師につきましては、地域によってはその確保が困難なところがあるという状況であることから、まず産業動物獣医師への就業を志す獣医学生等に修学資金を貸与する地域への支援、それから獣医学生に対する臨床実習への参加の支援、そして中堅獣医師等の能力向上を目的とした臨床研修の実施への支援等の施策を実施しているところでございます。  このような施策の実施を通じまして、産業動物獣医師の確保を図り、獣医療全体の体制強化に取り組んでまいりたいと考えております。 ○武田良介君 この獣医療全体の体制を強化していくということは非常に大事だと思うんですね。  これまでも、口蹄疫だとか鳥インフルエンザだとか重大な疾病、感染病などが発生した場合に、この防疫体制に支障を生じかねないということがこれまでも指摘をされてきたところだというふうに思います。今回の愛玩動物看護師の議論と同時に、大局的に獣医療の現場の声や実情をよく捉えて、また獣医師の偏在という課題についても正確につかみながら対応していかなければならないということを強調したいというふうに思います。  発議者の方にお伺いをしたいと思うんですけれども、本法案は、現在の民間資格である認定動物看護師のうち、愛玩動物看護師の道に進む方のみを国家資格化するものであります。 認定動物看護師の資格を持って産業動物に進む動物看護師の方もいらっしゃる中で、愛玩動物の看護師に限っていくということになれば、愛玩動物看護師に進む方のみが増えるということにはならないのか、その偏在を生むということにはならないのか、伺いたいと思います。 ○衆議院議員(小官山泰子君) 御質問ありがとうございます。  産業動物については、畜産業者等が産業動物等の飼育に関して一定の知識、経験等を有していることが多いと考えられ、産業動物等の看護師についての具体的なまた要望は現時点では上がっていないと承知しております。この点においては偏在につながるとは考えておりませんが、委員御指摘のまた産業動物の看護師に関しても、今後必要に応じて検討することになると承知しております。 ○武田良介君 今後必要に応じて検討ということでありましたけれども、この産業動物の看護師自身はこれまでも求められてきた経過があるわけであります。  例えば、農水省が二〇一〇年八月に出されております獣医療を提供する体制の整備を図るための基本指針、この中で、例えば社会的ニーズの高まりという中で、小動物分野、産業動物分野等の獣医療の現場において、獣医師による高度かつ多様な診療技術の提供が求められており、このためには、獣医師と、動物看護職、検査技師、家畜人工授精師、削蹄師等の獣医療に関わる他分野専門職との連携の必要性が高まっているということも指摘をされておりますし、それから、動物愛護法が二〇一二年に改正された際の附帯決議、これも、「将来的な国家資格又は免許制度の創設に向けた検討を行うこと。」というふうにあるわけであり ます。この指摘を踏まえた議論がなされていくべきだということを改めて強調したいというふうに思います。  この愛玩動物看護師というのは、先ほどもありましたように、ただ獣医師の方を助けるというだけではなくて、獣医療が高度化、多様化する中で、その診療現場でのチーム医療に役割を果たしていく大きな役割があるというふうに思っております。  それだけに、動物看護師全体の処遇の改善も必要なのではないかというふうに思っております。  厚労省に最初に確認したいと思うんですが、衆議院の議論の中で、現在の動物看護師の収入や今後の処遇改善に関わる質問で環境省が答弁している中で、獣医師の給与については、厚生労働省が行っております賃金構造基本統計調査で把握ができる、ただ、動物看護師については、現在対象となっていないために、統計的に把握できていない状況だという答弁がありました。  厚生労働省に確認したいと思うんですが、動物看護師というのはこれ厚労省の賃金構造基本統計調査の対象と今度はなってくるのか、国家資格化されるととによってなってくるのかどうか、お伺いしたいと思います。 ○政府参考人(土田浩史君) お答え申し上げます。  賃金構造基本統計調査におきます調査対象職種についてでございますけれども、まず統計法に基づきます統計基準であります日本標準職業分類での取扱いがどうなっているか、また国民全体の調査でございます国勢調査における取扱いがどうなっているか、また当該職種に従事する労働者の数、ボリューム、そして当該職種の賃金の把握に対するニーズの大きさ等を勘案いたしまして適時見直しを行っていくということにしているところでございます。  したがいまして、愛玩動物看護師が国家資格になることをもって直ちにこの調査の対象となるというものではございませんが、統計基準でございます日本標準職業分類におきますこの当該職種の取扱いにつきまして注視してまいりたいというふうに考えているところでございます。 ○武田良介君 国家資格化をもって直ちに統計で取るわけではないと。先ほどの答弁紹介した中にもあったように、現在でも特につかんでいるわけではないということなんですね。つまり、今も分からないし、これからも、国家資格化する中で例えば給与がどうなるのかということが分かるわけではないということなんです。  環境省にもお伺いをしたいと思いますが、衆議院の答弁の中で、処遇の向上に向けて、その社会的役割の周知、認知度の向上、必要な環境整備をやっていくということを答弁されておりますけれども、これはその動物看護師の処遇改善だとか賃金の引上げにつながっていくというふうに捉えていいんでしょうか。 ○国務大臣(原田義昭君) 動物看護師の活躍はこれから本当に必要であろうと、今回の法律を成立を見まして、ますますそう認識するところであります。  国家資格取得者が従事する業務内容、勤務実態等については、関係団体の協力を得ましてこれから必要な情報の積極的把握に努めてまいりたいと、こういうふうに考えております。 ○武田良介君 処遇か改善されるという明確な答弁があるわけではなかったかというふうに思うんですが、なぜ聞くかといえば、こういう動物病院で働かれている動物看護師の方々の処遇が必ずしも良くない、低賃金であるということも、そういう指摘をする声も私も聞いているからであります。  せっかく獣医療に関わっていきたいという思いを持っていかれる中でも、ブラック企業のようなことではいけないというふうに思うわけであります。  これ、実態が分からないということなんですけれども、原因大臣にも伺いたいと思いますが、まず、この現在の認定動物看護師の処遇について実態を調査していく、これ必要ではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。 ○国務大臣(原田義昭君) 先ほど答弁いたしましたように、今度はいよいよ本格的な具体的内容、勤務実態等について、更にしっかりとした調査をして把握しなければならないと思っております。  当然、関係団体の御協力も得なきゃいけませんし、最終的に、今委員がお話しになりましたように、その処遇の撃音も含めて、また業界全体がそういういい方向に進むように、私どもも環境省として努力をしたいと、こう思っております。 ○武田良介君 実態の調査を始めていくということで、前向きな答弁いただいたというふうに思います。  本当に、重ねてになりますが、強調したいのは、愛玩動物の看護師というだけではなくて、獣医療の全体像を本当に捉えて体制を強化していくための議論がなされなければならないということを私は本当に思っておりますし、そういった処遇の改善もなされて、社会的な地位の向上、やっぱりこれが図られていくということが本当に大事だということも強調して、質問を終わりたいというふうに思います。 ○委員長(那谷屋正義君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。---別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  愛玩動物看護師法案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕 ○委員長(那谷屋正義君) 全会一致と認めます。  よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、宮沢君から発言を求められておりますので、これを許します。宮沢由佳君。 ○宮沢由佳君 私は、ただいま可決されました愛玩動物看護師法案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主党・民友会・希望の会、国民民主党・新緑風会、公明党及び日本維新の会・希望の党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。  愛玩動物看護師法案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一、愛玩動物看護師が獣医師の指示の下に行われる愛玩動物の診療の補助等に必要な専門的知識・技能を十分に有した資格となるよう、その資質の向上の観点から、受験資格を得るために必要な教育養成機関における養成課程及び国家試験の内容の充実に努めること。また、愛玩動物看護師資格取得後についても、現場での指導及び人材育成の充実に努めること。  二、国家試験の詳細及び実施までのスケジュールを広く国民に周知し、円滑な国家資格化への移行に努めること。また、現行の動物看護師等が愛玩動物看護師の受験資格を取得できるよう、講習会及び予備試験の実施等について十分配慮すること。  三、愛玩動物看護師の制度化による業務独占及び名称独占が、現行の動物看護師の業務遂行に支障をきたさないよう十分配慮すること。  四、愛玩動物看護師の業務のうち、獣医師の指示の下に行われる愛玩動物の診療の補助に関する業務は、獣医療関係者、動物愛護団体、消費者団体等、幅広く国民の理解を得られるよう慎重に検討すること。  五、動物看護師の業務は動物診療施設のみならず動物関連施設、企業及び教育機関など活動の場が多岐にわたっていることから、関係省庁間及び関連団体との連携に努めること。特に、所管省庁である農林水産省と環境省は、それぞれの役割を明確にしつつ、十分な連携を図ること。  六、愛玩動物看護師の資格取得のための教育養成機関等における費用負担の増加等が、動物看護師志望者を抑制することにつながらないよう、動物看護師全体の処遇の向上に向けて、その社会的役割の周知や認知度の向上等、必要な環境整備に努めること。  七、動物の愛護及び管理に関する法律の実効性を確保する観点から、愛玩動物看護師が適切に役割を果たすことができるよう、同法との連携に十分配慮すること。  八、小動物分野、産業動物分野、行政分野の獣医療の現場において、獣医療を担う獣医師の偏在問題が指摘されている。偏在問題の原因を分析するとともに、産業動物分野、行政分野における獣医療人材の育成、確保に関する検討を行い、その解消を図るための必要な対策を講ずること。  九、愛玩動物看護師の制度化に伴う諸施策を着実に実施するため、必要な体制の確保に向けて、万全を期すよう努めること。  十、本法律の施行後五年を目途として、本法律の施行の状況のほか、愛玩動物看護師等の資質、処遇及び人材確保の状況等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果について所要の措置を講ずること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。 ○委員長(那谷屋正義君) ただいま宮沢君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕 ○委員長(那谷屋正義君) 全会一致と認めます。  よって、宮沢君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、原田環境大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許しますロ原田環境大臣。 ○国務大臣(原田義昭君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、関係省庁とも連携を図りつつ努力してまいる所存でございます。 ○委員長(那谷屋正義君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議こざいませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(那谷屋正義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。 午前十時四十三分散会