令和元年6月11日 環境 【未定稿】 ○委員長(那谷屋正義君) 動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  提出者衆議院環境委員長秋葉賢也君から趣旨説明を聴取いたします。秋葉衆議院環境委員長。 ○衆議院議員(秋葉賢也君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  動物は、我々人類にとって利用の対象であるとともにかけがえのない伴侶であり、大切に取り扱われなければならない存在であると同時に、適切に管理されなければならない対象でもあります。これまで、動物の愛護と管理の取組を車の両輪として進めていくことを通じ、人と動物が共生する社会の実現に向けて、国、地方自治体、民間の団体など、多様な主体による連携、協働が図られてまいりました。  このような動物の適切な取扱いについて規定する動物の愛護及び管理に関する法律は、昭和四十八年に動物の保護及び管理に関する法律という名称で議員立法により制定された後、平成十一年、同十七年及び同三十四年にいずれも議員立法で改正され、現在に至っております。過去三回の改正により、ブリーダーやペットショップに代表される第一種動物取扱業に対する規制が大幅に強化され、罰則も段階的に引き上げられてまいりました。  平成二十四年の前回改正では、同改正法の附則において、施行後五年を目途として、新法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとされ、特に、幼齢の犬、猫の販売時の日齢に関する規制や、マイクロチップの警義務付けに向けた検討については、同附則においても、必要な検討を加えるものとされていたところです。  他方で、劣悪な飼育環境下で極端な多頭飼育を行う動物取扱業者による不適正飼養の問題は依然として数多く報告されております。動物の福祉の観点から動物の適正な飼養環境の確保が求められる中、動物取扱業の更なる適正化を求める声も高まっています。  また、動物愛護センター等における犬、猫の殺処分頭数については、地方自治体による取引数の削減や動物愛護団体等による譲渡に向けた不断の努力の結果、平成二十四年度の約十六万二千頭から、平成二十九年度には約四万三千頭にまで大幅に減少いたしました。平成二十四年の法改正では、引き取った子猫について、殺処分がなくなることを目指して、返還又は譲渡に努めるものとすることが明記されたところであり、更なる努力が望まれているところであります。  さらに、動物をみだりに殺し、又は傷つけるといった動物虐待も、依然として後を絶たない状況にあります。  こうした状況を踏まえ、動物取扱業の更なる適正化や、動物の不適切な取扱いへの対応の強化を図るため、本案を提出した次第であります。  次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、動物の所有者等が遵守すべき責務規定の明確化を行うこととしております。  第二に、第一種動物取扱業による適正飼養等の促進等を進めるために、登録の際の拒否事由の追加、飼養又は保管に関する遵守基準の明確化、出生後五十六日を経過しない犬、猫の販売等の制限などを規定しております。  第三に、動物の適正飼養のための規制の強化として、犬、猫の適正飼養か困難な場合の繁殖防止の義務化、都道府県知事による不適正飼養に係る指導、助言、報告徴収及び立入検査等の実施、特定動物に関する規制の強化、動物殺傷罪、虐待罪等に対する罰則の引上げなどを規定しております。  第四に、都道府県等の措置等の拡充として、動物愛護管理センターの業務、動物愛護管理担当職員の位置付け、所有者不明の犬、猫の取引を拒否できることなどを規定しております。  第五に、犬猫等販売業者にマイクロチップの装着、登録を義務付けることなどを規定しております。  その他、獣医師による虐待の通報の義務化などを規定しております。  なお、この法律は、マイクロチップの装着義務化など一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、本案の趣旨及び内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。 ○委員長(那谷屋正義君))以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○福島みずほ君 福島みずほです。  今日は、秋葉委員長、生方議員、小宮山議員、本当にありがとうございます。  五年前にたくさんの議員の皆さんたちと犬猫殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟をつくり、この環境委員でいらっしゃいます尾辻秀久議員が会長でたくさんの超党派の、この環境委員会のメンバーにもいらっしゃいますが、たくさんの人たちと一緒にこの間本当に頑張ってきました。アドバイザリーボードの皆さん、たくさんのNGO、市民の皆さん、また、環境省、衆議院法制局の皆さん始め、大変大変大変お世話になり、まさに改正案が今日議論されることを本当にうれしく思っております。  ただ、いろんな点についてちょっと質問させてください。  今回、動物愛護法の本則に記載されている八週齢規制について、これまで七週齢とする旨の附則がありましたが、今回その附則が削除をされました。この理由について教えてください。 ○衆議院議員(小官山泰子君) 福島議員におきましでも、大変この間に様々な御努力いただいたことに、まずもって感謝をいたします。  お答えいたします。  いわゆる八週齢規制の趣旨としては、幼齢の犬、猫を親から引き離すことによる問題行動の防止、不適切飼養の抑制のためのペットショップにおける衝動買いの防止等が挙げられておるところであります。  動物愛護管理法の見直しの時期に合わせた、総合的に理解が深まったとの様々な検討を重ねた結果、前回改正法の附則を削除し、本則の八週齢規制を適用することとしたものでございます。 ○福島みずほ君 今回の改正案には、八週齢規制の例外措置として、天然記念物の対象となる犬種は除外するという規定が入りました。この例外規定が想定する内容はどのようなものでしょうか。  保存協会の会員同士とか、かなり限定された方々がその種の保存を目的とした場合に限るなどを想定しているのでしょうか。 ○衆議院議員(生方幸夫君) 八週齢規制の例外として、天然記念物に指定された犬について、その犬種の保護との調整を図るため、専ら天然記念物に指定された犬の繁殖を行う業者が犬猫等販売業者以外の者に犬を販売する場合は七週齢規制とすることにいたしました。  この例外措置は、天然記念物として指定されている日本犬を専門に繁殖しているブリーダーが一般の飼養者に直接販売する場合に限って適用されることを想定をいたしております。 ○福島みずほ君 保存会の会員ではない一般の飼い主に販売される場合であっても、天然記念物である日本犬の犬種の保存に資するものと言えるんでしょうか。  一般の飼い主が愛玩目的で日本犬を購入する行為は、天然記念物である日本犬の犬種の保存に資するという趣旨にそぐわないものですから、この例外規定は適用されず、八週齢規定が適用されるということでよいのではないでしょうか。 ○衆議院議員(生方幸夫君) 天然記念物に指定された日本犬種以外の犬種を繁殖しているブリーダーやベットショップに販売を行う場合については、特例の対象外であり、出生後五十六日未満の販売等が禁止されることになります。  この趣旨は、天然記念物に指定された日本犬種以外の犬種の繁殖を行っている者は日本犬について十分な知識、経験を飼い主に伝えられないおそれがあること、また、一般の飼い主がベットショップから購入する場合は、飼い主が日本犬についての十分な知識がないままに衝動買いをするおそれもあるので、日本犬の保存には適さないと判断したことにあります。逆に、今述べたような懸念がないと考えられる場合は、すなわち天然記念物として指定されている日本犬を専門に繁殖しているブリーダーが一般の飼養者に直接販売する場合には七週齢規制とする例外措置を設けたものでございます。  なお、環境一般の飼い主はベットショップで犬を購入することが多いと考えられ、この場合は八週齢規制を用います。 ○福島みずほ君 今回の七週齢という例外規定の対象とする血統書を発行できるのはどの団体となると想定していますか。 ○衆議院議員(生方幸夫君) 天然記念物として指定されている犬種に関する血統書の発行については、現在血統書の発行を行っている団体のみを想定をいたしております。 ○福島みずほ君 この例外規定を定めている附則の文言について、その趣旨を説明してください。  専らとの言葉が意味する内容、つまり指定犬の繁殖を行う者までを指すのか、それとも犬猫等販売業者以外の者に販売するというところまでを指すのか。専らの文言の掛かる範囲が異なると、例外規定の対象となる日本犬の範囲が大きく変わってきます。  この附則が成立した場合の販売形態、仕組みとはどのようなものでしょうか。 ○衆議院議員(生方幸夫君) 今回の法改正における八週齢規制の例外措置は天然記念物である犬種の保護との調整の結果であり、天然記念物の保護に適さないおそれが高い場合には例外措置の対象としないこととしております。専らの意味するところは、天然記議として指定された犬の繁殖を行う犬猫等販売業者が犬猫等の販売業者以外の者に指定犬を販売する場合までに掛かっております。  なお、一般の飼い主への直接販売に際しましては、天然記念物である犬種の特徴などを十分説明し理解してもらうようにすることが、天然記念物の価値を知ってもらい、天然記念物を保護する上で重要であると考えております。 ○福島みずほ君 環境省にお聞きします。  八週齢にすることは、みんなのある意味悲願というか当然だという思いでした。附則が削除されるということはいいんですが、例外が定められたということについては、例外、例外、例外、例外、例外ということで、極めて限定的、限定的、限定的で本当にあるべきだというふうに思っております。  この七週齢が適用となる犬種取引は極めて限定するべきだと考えます。この七週齢が例外的に適用される犬の頭数は年間何頭ぐらいになると想定していますか。 ○政府参考人(正田寛君) お答えいたします。  天然記念物として指定された犬の頭数につきましては、環境省としては把握をしてございません。  他方、今般の改正法の規定によれば、七週齢の特例は、専ら天然記念物として指定されている日本犬を自ら繁殖しているブリーダーが他のペットショップを経由せずに直接販売する場合に限って適用されるとととなりますので、その対象となる犬は限定的であり、その割合につきましでも非常に小さくなるものと想定をしております。 ○福島みずほ君 本当に限定的になるのか、しっかりウオッチしていき、また環境省自身もそれについて助言し、その穴がと言うと変ですが、どんどんやはり大きくならないようにということを是非環境省としてもしっかりチェックし、限定的にしていくよう、心からお願いをいたします。  マイクロチップ装着義務についてですが、この条文読み解くと、繁殖業者、ベットショップ業者のどちらがいつの時点で装着の義務を負うことになるのか、法律の定めるところの制度設計について説明をお願いいたします。 ○衆議院議員(小宮山泰子君) 犬猫等販売業者は、犬、猫を取得したときはその犬、猫を譲り渡すまでにマイクロチップの装着義務が課せられるとともに、犬、猫について環境大臣の登録を受けることが義務付けられております。  他方、一般の飼養者については、マイクロチップの装着は努力義務とされ、ただし、マイクロチップを装着した場合には犬、猫について環境大臣の登録を受けることが義務付けられております。  また、犬、猫が登録された場合には所有者に登録証明書が交付され、登録された犬、猫の譲渡しはその登録証明書と一緒にすることが義務付けられております。その上で、登録された犬、猫を譲り受けた者には、新所有者の変更登録が義務付けられることとなります。  これによって、迷い犬、迷い猫の所有者への効率的な返還、トレーサピリティー等の確保が期待されております。 ○福島みずほ君 改正案の二十一条は、いわゆる飼養施設の数値基準に関する条文です。この数値基準については、多くの動物愛護団体から、具体的な数値基準がないために劣悪な環境で動物を繁殖している業者などを行政が取り締まることができていない現状を訴えてきた経緯があります。  そこで、国際的な動物福祉にかなった厳しい数値基準を入れるよう要求したいですが、動物の愛護及び適正な飼育の観点を踏まえつつというのはどのような数値基準を塑定しているのか。臭気や室内の明るさ、ケージの大きさなど、どのような基準を検討しているでしょうか。 ○衆議院議員(生方幸夫君) 今回の二十一条の改正は、第一種動物取扱業者が遵守すべき基準を具体化することが望ましいとの判断によるものであります。  提出者としては、科学的な根拠等を踏まえ、具体的な数値を環境省令で定めることを想定をいたしております。提出者としては、例えばケージの大きさや繁殖を行う頻度などについて、具体的な数値が環境省令で定められるものと承知をいたしております。 ○福島みずほ君 環境省にお聞きします。  そもそも、立法者の意図する目的を具体的な制度として実現していく立場にある環境省として、どのような数値基準を今後検討しようとしているのか、国際的な動物福祉にかなった基準になるのか、方針いかがでしょうか。 ○政府参考人(正田寛君) お答えいたします。  環境省では、動物愛護管理法に基づきまして、動物取扱業者が守るべき基準を定めているところでございます。例えば、飼育を行うケージ等につきまして、個々の動物が自然な姿勢で立ち上がる、横たわる等の日常的な動作を容易に行うための十分な広さ及び空間を有するものとすること等の基準などを定めているところでございます。  さらに、今回の改正案におきましては、こうした基準につきまして、動物の愛護及び適正な飼養の観点を踏まえつつ、基準に定める事項を具体化するとともに、特に犬、猫につきましてはできる限り具体的なものとすること等が規定をされているところでございます。  環境省におきましては、昨年三月に、動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会を設置いたしまして、飼養管理基準の明確化等、適正な飼養管理の在り方について必要な調査検討を進めてきたところでございます。これらの検討を基に、二年後の施行に向けまして具体的な基準の設定に取り組んでまいりたいと考えております。 ○福島みずほ君 二十五条一項において、都道府県知事が、環境省令の定める事態が生じている場合は、必要な指導や助言ができると定めています。  この点についても多くの愛護団体から、一生懸命に地域猫の保護活動をしている人たちへの指導がどのようなときに行われるのか、周辺住民の一方的な苦情だけで保護活動をしている人たちへの活動が制約されることはないのかどうか、生活環境に著しく支障が生じている場合といった限定的な運用とするべきではないでしょうか。 ○衆議院議員(生方幸夫君) 今回の法改正において第二十五条一項を設けた趣旨は、勧告の前の段階で、より権力的でない手段である指導、助言を行うことができることとすることにより、より柔軟な対応を可能とするところにあります。  地域猫に対する給餌、給水等について周辺の住民から苦情か出れば、直ちに都道府県知事から給餌、給水を止めるよう指導等がなされるということはございません。都道府県知事から必要な指導等がなされるのは、周辺の生活環境が著しく損なわれている事態が発生している場合でありまして、それはすなわち、地域猫活動を行う者の猫に対する給餌、給水等によって周辺住民の生活に著しい支障を及ぼしていると認められる事態であって、かつ当該支障が、複数の周辺住民からの都道府県知事に対する苦情の申出等により、周辺住民の間で共通の認識となっていると認められる場合に限られるというふうに考えております。 ○福島みずほ君 八週齢の規定はこの法律の公布後二年で施行、そして飼育環境基準もちょうど二年後です。マイクロチップは三年後というのが、施行になっています。つまり、ブリーダーが、あるいはベットショップが、様々なところの飼育環境基準がしっかりなっている、それと八週齢の完全な実現というのが、両方本当にしっかり行われるということが本当に必要だというふうに考えております。  また、まさに動物愛護センターが、この条文の中では、殺処分の場所ではなく、まさに動物愛護の場所になるようにということで、立法者がこれを規定していただきました。また、重罰化、動物殺傷罪についても、いろんな意見ありましたが、やはり引き上げてやろうというふうにみんなで決めたところです。  是非、今回は一つのステップで、次またさらに改正案に向けて、法案が良くなるように、またこの法律改正案がしっかり施行されるように、また環境省におかれましては、飼育環境基準や、それから八週齢の例外のところの、日本犬のところの、血統書付日本犬、天然記念物のところが拡大を絶対していかないようにしっかり監視してくださるようお願い申し上げ、質問を終わります。ありがとうございます。 ○武田良介君 日本共産党の武田良介です。  私自身もこの犬猫の殺処分ゼロの議連に加わらせていただき、あのPTにも加わらせていただき、一緒に今回の法改正に向けて力を合わせて仕事をさせていただきました。  今回のこの条文をまとめていく作業、本当に各議員の先生の皆さん、御努力いただきましたし、関係者の皆さんにも心から敬意を表したいというふうに思います。  前回の法改正は七年前だったということでありますけれども、この七年間で動物愛護に関わる大きな変化がやはりあったんだろうというふうに思います。例えば、今社会的にも大きな問題になっております、動物を虐待する動画をインターネットにアップするということは大きく波紋を広げましたし、それから多頭飼育崩壊という問題も取り上げられるようになりました。また、今お話もありましたように、ベットショップだとかブリーダーのところでの不適正飼養なども取り上げられてきた中であります。こうした問題が指摘される中での法改正、待たれていた法改正だろうというふうに思います。  今回の法改正のポイントの一つに、第一種動物取扱業者に対する規制の強化ということがあるというふうに思います。  この法案にあります一種業者が遵守しなければならない基準、これは動物の種類、習性、出生後経過した期間などを考慮して環境省令で定めるものというふうにされておりますけれども、この基準はどんな事項で定められるのか、またその数値を明示して定められることになるのかどうか、御説明いただけますでしょうか。 ○衆議院議員(小宮山泰子君) 武田委員におきましでも、本当に積極的に御協力いただき、また御参加いただいたことに心から敬意を表させていただきます。  さて、今回の法改正においては、新二十一条二項において、第一種動物取扱業者が遵守すべき基準には、飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造及び規模並びに管理に関する事項、動物の飼養又は保管に従事する従業員の員数に関する事項、動物の飼養又は保管の環境の管理に関する事項、動物の疾病等に係る措置に関する事項、動物の展示又は輸送の方法に関する事項、動物の繁殖の方法に関する事項、そのほかの動物の愛護及び適正な飼養に関し必要な事項を定めることとしております。また、二十一条三項において、犬猫等販売業者に係る基準は、できる限り具体的なものでなければならないとしております。  提出者としては、科学的な根拠等を踏まえて、具体的な数値を定めることができるものについては数値が定められることを想定しております。 ○武田良介君 この第一種業者の遵守基準について、八週齢の観点からもう一点お伺いをしたいというふうに思います。  先ほどもありましたように、この八週齢の激変緩和措置が廃止されるということは私も大歓迎をしたいというふうに思っております。  その上で、生後八週を迎えるまでの飼育環境が非常に大事だという指摘もあります。今御答弁いただきましたこの遵守基準が、生後八週までの飼育環境を適正なものとすることになるのかどうか、御説明いただけますでしょうか。 ○衆議院議員(生方幸夫君) 八週齢を迎えるまでの飼育環境の適正化が望ましいのは委員御指摘のとおりでございます。  今回の法改正における新二十一条二項において、基準を定める場合には動物の種類、習性、出生後経過した期間等を考慮することとしております。  八週齢を迎えるまでの動物についても、これらの事項を考慮して適切な基準が環境省令で定められるものと承知をいたしております。 ○武田良介君 先ほどもありましたけれども、施設基準を明確にしていくという問題と、それから八週齢規制を行うこと、これ大変重要なわけですけれども、実際には二年後からということでありました。  これはすぐにでも実施していく必要があるのではないだろうかというふうに私考えておりますけれども、この点はいかがでしょうか。 ○衆議院議員(生方幸夫君) 施設基準については、専門的知見に基づく検討を要することから、一定の時間を要するものと認識をしており、施行を二年を超えない範囲内としたものでございます。  また、いわゆる八週齢規制に関する激変緩和措置の廃止については、犬猫等販売業者に対する影響が少なからずある可能性も否定できないというふうに考えました。  これらのことから、確実に八週齢規制を導入できるように、施行を二年を超えない範囲内としたものでございます。 ○武田良介君 ありがとうございました。  今回の法改正のもう一つのポイントに、先ほど少しお話がありました、動物愛護センターではなくてこれを動物愛護管理センターというふうに改めて設置をしていく、また動物愛護管理担当職員の設置ということもあるというふうに思います。  私も一つ御紹介したいと思うんですけれども、私、議連の副会長でもあります井上哲士参議院議員とともに、長野県の小諸市にある動物愛護センター、これは通称ハローアニマルというふうに呼ばれておりますけれども、ここに行ってまいりました。ここは、動物について学び、触れ合いを通じて命の大切さや相手を思いやる気持ちを育み、人にも動物にも優しい社会をつくることを目指しているということで、処分施設を併設しない、動物愛護に特化した施設というふうになっております。こういう多面的な取組をされているわけです、ここでは。  例えば、小学生などにハローアニマルに来ていただいての動物ふれあい教室というものをやっていたり、また逆に訪問をしていく動物ふれあい出前教室というのもやられているそうです。この訪問先というのも社会福祉施設だとか病院たとか、こういったところも含めて、このふれあい訪問活動は土日を通じて年間約百日やられているということでありました。  今回の法案で動物愛護管理センターの設置が位置付けられるわけですけれども、こういう長野県のふれあい訪問活動に取り組むハローアニマルの経験は大いに参考にできるのではないだろうかというふうに考えておりますけれども、この点いかがでしょうか。 ○衆議院議員(生方幸夫君) 私も資料で知っているだけでまだ行ったことがないので、是非次の機会に行ってみたいというふうに思っております。  環境省においても長野県にヒアリングしているということでございますので、その実態については承知をしているんじゃないかというふうに考えております。  今回の動物愛護法の改正の中で、私も特に取り組んできたのが、動物愛護センターを変えていこうじゃないかというのが元々ございました。動物愛護センターという名前でありながらその中に殺処分施設を併設しているというのはもういかにもおかしいということで、衆議院の討議におきましでも、殺処分はきちんと国際的基準に合った形でしか殺処分はできないというふうに議論をし、その具体的なことはどういうことかといえば、二酸化炭素による殺処分、動物が苦しんで死ぬというようなことは決しであってはならないことだということで、それは今後認めないということになっているというふうに我々も解釈をいたしておりま す。しかし、すぐに殺処分の設備を全部壊してしまってほかのものに変えるというには、もちろん予算等の措置も必要でありますのですぐにはできないとは思いますが、少なくとも殺処分に関しては、そういう動物に対して苦痛を与えるような形での殺処分は今度の改正によって今後はないものというふうに考えております。  そして、本来の動物愛護センターという名前にふさわしいような施設に変えていかなければいけないというのは、例えば欧米諸国のそういう施設を見れば、今、長野県で取り組んでいるような取組がなされており、やっぱり子供たちや地域の人たちが訪れて命の大切さというのをそこで学ぶという施設になっている。日本の動物愛護センター、そこで働いている方たちは本当に動物を愛している方たちが多い中でもつらいことをやらなければいけないという現実がありましたので、本当の意味で動物愛護センターに変えていくように我々も努力をしていきたいし、衆議院の議論の中でも議論になったんですけど、環境省の動物愛護に関す る予算が非常に少ない、これをもっと本当に一桁の億単位では少な渇きるので、尾辻先生もおっしやっておりましたが、百倍ぐらいまでこれを拡大せないかぬというふうに我々考えておりますので参議院の先生方の御協力も是非ともよろしくお願い申し上げます。 ○武田良介君 私たちが視察に行ったときにも、ハローアニマルにいろんな部屋がありますけど、近所の小学生も来て、自由に、何というんですか、居場所を提供するということも含めて職員の方がやっていらっしゃいました。非常に、愛護センター、ハローアニマルの敷居を下げるといいますか、触れ合い、交流を大切にしている施設だということを感じたところです。  このハローアニマルに行かせていただいて私もう一つ学ばせていただいたのは、ハローアニマルサポーターというのを育成するということを努力されておられました。つまりボランティアなんですけれども、その年約百日あるというふれあい訪問活動などで行く際に、職員だけではやはり人が足りない、こういうボランティア、サポーターの方と一緒に訪問されるというお話でありました。  このハローアニマルの体制は、お聞きをしましたら、獣医の方が六名いらして、事務の方が四名、このサポーターの方は二〇一六年の数字ですけれども約百名の方が登録されているということでありました。  今回の法改正でも、三十八条のところで、都道府県知事は動物愛護推進員を委嘱することができるという条文があると思うんですけれども、推進員、そのボランティアを広げていくというときに、こういう長野の取組というのもまた横展開をするといいますか、広げていただくことも大事ではないかなというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。 ○衆議院議員(生方幸夫君) 委員も御承知のとおり、動物愛護に関してはもう本当に様々な動物愛護団体がいろんな面で活動をされております。  ボランティアの活動というのが動物愛護には欠かせないものというふうに承知をいたしております。  それらの団体が相互に連携し合いながら、また行政とも連携し合いながら、動物がいかに安心して生きていけるか、我々の伴倍として一緒に活動していけるのかということをやっておりますので、行政面からもそれをきちんと担保できるような形で、行政の方からも愛護団体の方をサポートできるような体制になれば一番いいんではないかというふうに考えております。 ○武田良介君 時聞が来ていますので、最後に多頭飼育崩壊に関わって一間聞かせていただきたいと思うんですが、今回の法改正では、二十五条ですか、周辺の生活環境が損なわれている事態に対する措置ということも規定されておりますし、三十七条のところで、適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合の不妊の手術その他の措置をするように努めなければならないというような規定があるというふうに思います。私はさらに、その飼い主に対する人間の福祉の観点からの支援ということも大切になるのではないかということを考えております。  例えば、保健師の方とか精神保健福祉士の方、あるいは消防だとか環境汚染の問題の専門家の方だとか、こういった方と連携した形での支援、自治体の動物以外の部署も協働した支援が大切ではないかというふうに思っております。  今回の法改正で、多頭飼育崩壊に陥ってしまうようなそういう飼い主に対する支援、動物愛護の部署だけではない広く連携した支援というのは今回の法改正で拡充されるものなのでしょうか。 ○衆議院議員(小宮山泰子君) 御指摘のとおり、飼い主が犬や猫を増やし過ぎて世話ができなくなるいわゆる多頭飼育崩壊が全国各地で問題となっております。この問題は、地域から孤立した単身高齢者など関わるケースが多いということも明らかになってきております。  対応に当たっては、社会福祉分野との連携は重要でありますし、今回の法改正では、動物の愛護及び管理に関する業務を担当する地方公共団体の部局と福祉に関する業務を担当する地方公共団体の部局による連携の強化について、国が情報の提供、技術的な助言等に努めるとしております。政府においては、情報の提供、技術的な助言等に努め、動物愛護担当者や福祉部局の連携が強化されるように心掛けることを望んでおります。 ○武田良介君 先日の日経新聞にも、ペット多頭飼育崩壊を防げということで記事が掲載されておりました。ここでは例えば長野市の取組ということで紹介もありまして、長野市では、その多頭飼育している高齢者の自宅を訪問する際に、動物愛護の担当者のほかに、ケアマネージャーだとかその福祉職の方が実際に同行されているということでありました。生活を立て直すためにどうすべきかという視点から説得するのが福祉職の方の役目であるということでありました。動物と福祉の部署の情報共有、早期対応を心掛けているということで紹介がされておりました。  こういう取組がまた引き続き大事になってくるというふうに思いますし、今回の法改正が動物愛護に更に資するように、不適正飼養や多頭飼育の問題を含めて資するようになることを願いまして、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。 ○委員長(那谷屋正義君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。−別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。  〔賛成者挙手〕 ○委員長(那谷屋正義君) 全会一致と認めます。  よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、宮沢君から発言を求められておりますので、これを許します。宮沢由佳君。 ○宮沢由佳君 私は、ただいま可決されました動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主党・民友会・希望の会、国民民主党・新緑風会、公明党、日本維新の会・希望の党及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。  動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一、動物取扱業者による不適正な飼養・保管が後を絶たない現状に鑑み、地方自治体が、動物取扱業者に対する立入検査を積極的に行い、必要に応じ勧告、命令及び登録取消し等の行政処分並びに刑事告発も適切に行うよう、規制の実効性を担保するための必要な措置を講ずること。  二、動物取扱業者が遵守すべき具体的な基準の策定に当たっては、地方自治体の改善指導の根拠として実効性のある客観的な指標となるよう、十分な検討を経て、できる限り具体的な基準を設定すること。また、基準の遵守を徹底するため、動物取扱業者への周知や地方自治体職員に対する研修の実施等、施行に向けた体制整備の強化を図ること。なお、第一種動物取扱業の登録又は更新について、立入検査をもって基準の遵守状況の確認を行うことを検討すること。  三、第一種動物取扱業については、様々な業種について登録制の規制が適用されていることに鑑み、業種や事業規模に応じた規制の細分化について検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。  四、家畜化されていない野生由来動物の飼養については、動物の本能、習性及び生理・生態に即した適正な飼養の確保が一般的に困難なことから、限定的であるべき旨について周知徹底を図るとともに、人獣共通感染症防止や動物の健康や安全の保持等の観点から、触れ合いを含む動物展示施設等の動物に係る飼養管理基準の在り方について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。  五、第二種動物取扱業者について、地方自治体の譲渡先として譲渡に関わる団体が動物を受け入れて不適正な飼養管理の状態となる事例も生じていることに鑑み、動物の譲渡に当たって譲渡先団体が受入れ可能か確認するなどの適切な指導が行われるよう、地方自治体に対し周知する等の措置を講ずること。  六、動物虐待等への対応に当たっては、動物虐待等の該当性の客観的な判断に資するよう、事例の集積及びそれらの分析・評価を進め、それによって得られた知見を活用した地方自治体職員等の人材育成を支援するとともに、関係機関及び民間の団体等との一層の連携強化を図ることを通じて、その対応を強化すること。また、動物の遺棄・虐待防止のために、動物虐待等の該当性などについて、普及啓発に努めること。  七、特定動物の飼養・保管の許可については、人体への危害の防止、住民不安の解消、災害時の対策等の観点から、娯楽、触れ合い等を目的とした飼養・保管を規制する措置も含めた規制の在り方を検討すること。また、飼養施設の強度を担保し逸走防止策を図るだけではなく、移動檻での常時飼育などの不適切な扱いを防止し、特定動物のアニマルウェルフェアについても指導、監視できるよう検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。  八、本改正による動物愛護管理に係る諸施策を着実に実施するため、動物愛護管理行政の実態に即した必要な体制及び職員数の充実に向けて、万全を期すよう努めること。  九、所有者不明の犬猫の引取り拒否の要件の設定に当たっては、狂犬病予防法との整合性、当該犬猫に飼い主がいる可能性及び地域猫活動等も考慮し、地域の実情に鹿慮した要件を設定すること。  十、地方自治体における動物収容施設については、収容動物に対する適切な飼養管理を図る観点から、その実強把握を踏まえ、適正な施設や管理の水準等に係る指針の策定を、第一種動物取扱業の基準に準じる形で検討すること。  十一、犬猫へのマイクロチップ装着の義務付けに当たっては、制度の実効性確保の観点から、犬猫の種類によって扱いに差異を設けることなく、一般飼養者等へのマイクロチップの装着や情報登録等の重要性等についての普及啓発を推進するとともに、各地方自治体や関係機関におけるマイクロチップリーダー等の配備を促進すること。また、マイクロチップ登録情報の一元管理化及び同情報の情報管理の徹底等について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。  十二、畜産農業に係る動物に関して、本法及び本法の規定により定められた産業動物の飼養及び保管に関する基準を周知し、道守を徹底するよう必要な措置を講ずること。  十三、諸外国等におけるアニマルウェルフェア及び脊椎動物の心身の苦痛の感受性に関する調査研究並びに動物の取扱いに係る制度・運用の事例等について、我が国の動物の取扱いに係る制度の在り方の検討に資するよう、情報の収集・整理を精力的に進めること。また、国際的なアニマルウエルフェアの基本原則である五つの自由について十分に配慮して、動物愛護管理に係る諸施策を執り行うよう、飼養保管基準の遵守義務をはじめとした法制度の理解の浸透・周知徹底を図ること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。 ○委員長(那谷屋正義君) ただいま宮沢君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。  〔賛成者挙手〕 ○委員長(那谷屋正義君) 全会一致と認めます。  よって、宮沢君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、原田環境大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。原田環境大臣。 ○国務大臣(原田義昭君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、関係省庁との連携を図りつつ、努力してまいる所存でございます。 ○委員長(那谷屋正義君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(那谷屋正義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 −−− ○委員長(那谷屋正義君) 浄化槽法の一部を改正する法律案を議題といたします。  提出者衆議院環境委員長秋葉賢也君から趣旨説明を聴取いたします。秋葉衆議院環境委員長。 ○衆議院議員(秋葉賢也君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  我が国では、いまだに約千二百万人が環境負荷の高いくみ取便槽や単独処理浄化槽等を使用している状況にあり、その早期転換に向けて、下水道や農業集落排水施設等に並ぶ汚水処理サービスである合併処理浄化槽に対する期待が高まっております。  しかしながら、平成十二年の浄化槽法改正で原則として新設が禁止された単独処理浄化槽は、依然として約四百万基も残存し、合併処理浄化槽への転換が進んでいないことに加えて、老朽化による破損や漏水も懸念されています。  また、浄化槽の定期検査は、維持管理業務が適切に実施され、本来の機能が適正に維持されていることを担保するための制度であるにもかかわらず、その受検率は低迷しており、公共用水域の水質保全の観点から受検率の向上が課題となっています。  こうした状況の下、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る観点から、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を促進するとともに、浄化槽の管理を強化するため、本案を提出した次第であります。  次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、都道府県知事は、既存の単独処理浄化槽であって、そのまま放置すれば生活環境の保全及び公衆衛生上重大な支障が生ずるおそれのある状態にあると認められるものに係る浄化槽管理者に対し、除却等必要な措置をとるよう指導、勧告等の措置を講ずることができることとしております。  第二に、市町村は、浄化槽による汚水の適正な処理を特に促進する必要があると認められる区域を、都道府県知事と協議の上、浄化槽処理促進区域として指定することができることとしております。  第三に、市町村は、浄化槽処理促進区域内に市町村が管理する公共浄化槽を設置しようとするときは、当該公共浄化槽の設置について建築物の所有者等の同意を得て、設置計画を作成することとしております。  第四に、公共浄化槽の設置が完了したときは、その設置に同意した建築物の所有者は、遅滞なく、当該建築物の汚水を公共浄化槽に流入させるために必要な排水設備を設置し、この場合において、当該建築物にくみ取便所が設けられているときは、遅滞なく、そのくみ取便所を水洗便所に改造しなければならないこととしております。  また、市町村は、排水設備を設置し、又はくみ取便所を水洗便所に改進しようとする者に対し、必要な資金の融通又はそのあっせん等の援助に努めることとし、国は、市町村が資金の融通を行う場合には、これに必要な資金の融通又はそのあっせんに努めることとしております。  第五に、浄化槽管理者が清掃をして、その使用の休止を都道府県知事に届け出た浄化槽について、保守点検、清掃及び定期検査の義務を免除することとしております。  第六に、都道府県知事等は、その区域に存する浄化槽-ことに、浄化槽台帳を作成することとしております。  第七に、都道府県及び市町村は、浄化槽による汚水の適正な処理の促進に関し必要な協議を行うため、協議会を組織することができることとしております。  第八に、浄化槽の保守点検業者の登録に関し、条例で定める事項として、浄化槽管理士に対する研修の機会の確保に関する事項を追加することとしております。  第九に、環境大臣は、都道府県知事に対して、水質に関する検査に関する事務その他浄化槽の管理に関する事務の実施に関し必要な助言、情報の提供その他の支援を行うよう努めなければならないこととしております。  なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、本案の趣旨及び主な内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。 ○委員長(那谷屋正義君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○宮沢由佳君 立憲民主党・民友会・希望の会の宮沢由佳です。  浄化槽法改正案について質問させていただきます。  提案者の先生方には、本日はありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。  では、まず、本案に関連して、環境の保全について基本的なところから環境省に伺います。  生活排水垂れ流しによってどのような問題が生じているのでしょうか。実例を挙げていただけますでしょうか。 ○政府参考人(山本目宏君) お答えいたします。  生活排水の垂れ流しは河川汚濁の原因となっておりまして、悪臭の発生や景観への影響、水道水源の汚染といった問題が生じます。一例でございますけれども、ある県の県内の河川の水質汚濁は約五割が生活雑排水による影響というような調査結果もございます。国内には、し尿のみを処理する単独処理浄化槽、約四百万基ありますが、この単独処理浄化槽は合併処理浄化槽と比べて約八倍の汚濁負荷があるということで、水質に対する影響が大きいと考えております。 ○宮沢由佳君 ありがとうございます。  そうであれば、単純処理浄化槽では処理できない生活排水に関して、そのまま流すことが続けば、実例からも生活環境に与える影響はとても大きく、豊かな自然環境が破壊される可能性も大きいと言えます。  環境省は、この点、今後十数年程度を目標に汚水処理未普及地域を解消させるマニュアルを国交省、農水省とともに作成されているとのことですが、今回の改正案はどのようにここに貢献されていくのでしょうか。 ○政府参考人(山本昌宏君) 委員御指摘のとおり、公共下水道、集落排水施設、合併処理浄化槽、それぞれの特性に応じて整備を進めていくということで、三省が連携をいたしましてマニュアルを策定して、今後十年程度を目標に汚水処理未普及地域を解消しようということで取り組んでございます。  昨年六月に閣議決定されました廃棄物処理施設整備計画の中で、今後五年間の具体的な目標として、浄化槽整備区域内の合併処理浄化槽の普及率を五〇から七〇%に引き上げる、あるいは、浄化槽整備区域内に合併処理浄化槽の基数の占める割合を六二から七六%に引き上げるというような目標を定めております。  今回の改正案の中にございます、浄化槽による汚水の適正な処理を特に推進する必要があると認められる区域を浄化槽処理促進区域として市町村が指定することができるとされてございます。  環境省といたしましては、その都道府県の構想を踏まえて市町村が円滑に浄化槽処理促進区域の指定を行うよう促すとともに、交付金や補助金による浄化槽整備の支援を進めることによりまして、目標達成に向けて浄化槽整備促進に取り組んでまいりたいと考えております。 ○宮沢由佳君 高齢化や人口減少によって、今後浄化槽の果たす役割はどうなるとお考えでしょうか。下水道の普及との関係も併せて、環境省、お答えください。 ○政府参考人(山本昌宏君) 浄化槽は、特徴といたしまして、特に人口密度の低い地域において比較的安価に整備でき、短期間で整備できるという優れた特徴を有しておりまして、中山間地域での汚水処理に有効であります。また、今後、地域の水環境保全を通じて、農林水産業や観光業の振興、あるいは地方創生につながる地域の活性化という意味でも重要な汚水処理施設であると考えております。  特に、御指摘のありましたような背景で、今後は人口減少等の社会情勢の変化によりまして、過疎地域など人口密度の低い地域を中心に汚水処理のための施設の整備が進められることとなりますので、浄化槽の役割がより一層重要になるものと認識しております。  先ほども申し上げましたように、下水道とも役割分担をしてそれぞれの特性に応じて進めていこうということでありますので、そこが連携をして汚水処理未普及地域の解消に努めてまいりたいと考えております。 ○宮沢由佳君 それでは、法案の中身について伺っていきたいと思います。  まず、台帳に関してですが、台帳の整備についてもこれまでどのような扱いになっていたのでしょうか。都道府県は約二〇%、市町村は約三五%が未整備とのことですが、実際の運用面はどうなっているのでしょうか。  今回、台帳整備が義務化されますが、環境省は自治体に対してこのような支援を行いますでしょうか。環境省、お願いします。 ○政府参考人(山本自宏君) ただいま御指摘いただきました浄化槽台帳につきましては、浄化槽の設置状況、維持管理状況を把握するために非常に重要であるということでありますし、今問題となっております単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換の推進、あるいは適正な維持管理を図る上でも効果的だと考えておりまして、従来から環境省では、台帳の電子化、あるいは関係機関との連携、それからGISの活用などを図るために台帳システムの整備や施策への活用を促進するマニュアルを整備して、そういったものの台帳システムの導入に前向きな地方自治体への導入支援といったことに役立たせてきておるというところでございます。  今回の改正案を受けまして義務付けられるということになりますので、都道府県等に浄化槽台帳が、作成、保管が義務付けられることになりますので、環境省といたしましては、この整備が更に促進されていくように具体的な方策について検討し、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ○宮沢由佳君 よろしくお願いします。  それでは、提案者に伺いたいと思います。本日はありがとうございます。  公共浄化槽の使用料について伺います。  改正法案十二条の十四で、使用料徴収について規定されています。市町村ごとによって違うのはもちろんですけれども、おおよその使用料のめどについて教えていただきたいと思います。  また、同意をした建築物の所有者は、公共浄化槽への排水施設設置、水洗トイレの改造について遅滞なく行うように義務化されていますが、遅滞なくとはどのくらいの期間を想定されていますでしょうか、お願いいたします。 ○衆議院議員(生方幸夫君) 宮沢委員にお答えをいたします。  公共浄化槽の使用料については市町村の条例で定められることになりますが、その額については市町村の人口規模や自然的、経済的、社会的な状況に左右されるため、一概にお答えすることは困難であります。  なお、現在条例で実施されている市町村設置型浄化槽については、市町村によって使用料に幅はあるものの、一月当たり平均約三千円から四千円程度であると承知をいたしております。  遅滞なくの意味としては、一般に、即時性が強く要求されるが、その場合でも正当な又は合理的な理由に基づく遅滞は許されるというように解釈をいたしております。  公共浄化槽の設置が完了した場合における排水設備の設置義務及び水洗トイレへの改造義務については、あらかじめ、これらの義務が課されることとなる建築物の所有者の同意を得る仕組みとしております。その同意をした方には、公共浄化槽の設置の完了後、事情の許す限り速やかに排水設備の設置等を行っていただきたいというふうに考えております。 ○宮沢由佳君 ありがとうございます。  特定既存単独処理浄化槽に関し、都道府県知事が助言、指導を行い、次に勧告を行い、それでも従わなければ改善等の命令をするということになっていますが、それぞれ相当の期限を定めるということになっています。この相当の期限とはどのくらいの期限を示すのか、教えていただきたいと思います。  環境の保全及び公衆衛生上重大な支障が生ずる状態にある特定既存単独処理浄化槽ですから、すぐにでも対応しなければならない、そんなに長い期聞は掛けられないと思いますが、いかがでしょうか。また、助言から命令までの期間内に環境の保全及び公衆衛生上重大な支障が生じた場合には行政がどのように対応する仕組みとなっているでしょうか、お答えください。 ○衆議院議員(小林鷹之君) お答え申し上げます。  必要な措置を講ずるために要する期間につきましては、その措置の内容次第で変わり得るものでありますから、一概にお答えすることは困難であります。  ただ、いずれにいたしましでも、勧告、命令を行う場合につきましては、その対象となる特定既存単独処理浄化槽の状態、必要な措置の内容などを勘案して、その実施のために適切な期限が設定されるものと考えております。  また、委員御指摘の、重大な支障が生じた場合の行政対応についてですけれども、これについては、現行法の浄化槽法の第十二条の第一項や二項におきまして、都道府県知事は、生活環境の保全及び公衆衛生上必要があると認めるときは、浄化槽管理者に対しまして、必要な助言、指導又は勧告ができるというふうにされております。さらに、浄化槽の保守点検ですとか、また清掃が行われていないと認められるときにつきましては、必要な改善措置を命じて、又は浄化槽の使用停止を命ずることができるとされております。  御指摘のような、実際に環境の保全及び公衆衛生上重大な支障が生じた場合につきましては、行政においてそのような措置も視野に適切な対応がなされるものと考えております。 ○宮沢由佳君 ありがとうございます。  次に、命令に違反した者は三十万円以下の罰金と規定されていますが、なぜ三十万円なんでしょうか。その根拠を教えていただきたいと思います。  また、所有者不明の空き家において浄化槽が設置されている場合、管理を行うのでしょうか。お願いいたします。 ○衆議院議員(小宮山泰子君) 法定刑の根拠についてお問合せですけれども、例えば下水道法では、下水道処理区域内におけるくみ取便所の水洗便所への改造する義務が課されており、改造命令違反に対しては三十万円以下の罰金が科せられることとなっております。  量刑については、勧告、命令の趣旨、保護法益、浄化槽法における罰則や類似の法令とのバランス等を考えてこの三十万円以下の罰金としたものでございます。  また、空き家に設置されている浄化槽でございますが、一般に、空き家に設置されている浄化槽については、当該空き家の所有者が当該浄化槽の管理を行うこととなります。  なお、所有者以外の者が当該浄化槽の管理を行うには、私有財産であることから、慎重な検討を必要といたします。  ちなみに、当該の空き家が著しく衛生上有害となるおそれがある状態にあれば、これに認められれば、空家対策特別措置法上の特定空家等に該当し、市町村長が、除去を含む必要な措置をとるよう助言、指導、勧告、命令等を行うこともあり得るものと承知しております。 ○宮沢由佳君ありがとうございました。  今回の改正によって、杷憂とは思いますが、悪徳業者が、法改正によって急いで合併処理浄化槽にしないと罰則があると言って、高齢者に浄化槽を高く売り付けたり高い工賃を取ったり、法改正を悪用する事例が発生するかもしれません。そのようなことがないように、環境省としてはどんな対応を取るおつもりでしょうか。 ○政府参考人(山本昌宏君) 御指摘いただきましたような法改正が悪用されることのないように、環境省としてもしっかり対応を取っていく必要があると考えております。  今回の改正案におきましては、特定既存単独処理浄化槽を所有する浄化槽管理者に対しまして、除却等を行うよう指導、勧告等をすることができるという規定は盛り込まれていますが、その際、地方公共団体の各種説明会を通じまして、高齢者等、資力のない者への配慮や補助制度の活用による転換の支援などについてしっかりと周知してまいります。  また、改正案におきまして、行政や浄化槽業界、それから浄化槽管理者等の関係者の連携協力を深めるための、地域ごとに協議会を組織することができるとされてございます。  この協議会を通じまして、行政による補助制度の活用や適切な工事業者による工事の実施等について情報を共有するとともに、行政から単独処理浄化槽の所有者や関係者に対して情報を発信することによりまして、御指摘のようなトラブルが発生しないように促してまいりたいと考えております。 ○宮沢由佳君 是非よろしくお願いします。  浄化槽実務に携わる自治体職員の教育について伺いたいと思います。  どのように育成していくのでしょうか。専門的知識を要する業務だと思いますが、国としての支援はどうするのでしょうか。環境省、お願いします。 ○政府参考人(山本昌宏君) お答えいたします。  浄化槽実務に携わる自治体職員が、浄化槽に関する最新の知見、専門的知識を有していることは非常に重要であると認識しております。そのため、環境省では、都道府県担当者会議や浄化槽行政ブロック会議等の説明会を通じて、浄化槽実務に携わる自治体職員に対して浄化槽行政に関する最新の情報等の周知を行っております。  また、浄化槽行政を担う市町村等により構成されております全国浄化槽推進市町村協議会というのがございまして、こちらが、浄化槽の基礎知識の習得を目的として、浄化槽行政を担当する市町村職員等を対象とした市町村職員研修会を開催しておりまして、これと連携して最新の浄化槽行政の動向等を発信しております。  今後とも、引き続き、全国浄化槽推進市町村協議会との連携等を通じまして、自治体職員の育成に取り組んでまいります。 ○宮沢由佳君 是非よろしくお願いいたします。  衆議院での質問にもございましたが、浄化槽は、下水道が普及していない世界の地域にとっても公衆衛生や環境保全にとって大変有効なものであると思います。ハード面はもとより、管理、清掃技術など、ソフト面も含めて輸出する必要があると感じています。そうすることによって、環境の改善とビジネスが更に発展すると考えます。  国内の浄化槽管理のより一層の向上を図るとともに、その実績に裏付けされた日本の管理技術によって浄化槽を必要としている国々においてその国々の実情に合った設備設置と管理が行われれば、世界の環境保全にも貢献できると思います。日本がリーダーシップを発揮していただければと思います。  提案者の先生方の御尽力に深く敬意を表し、最後に大臣の御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。 ○国務大臣(原田義昭君) 浄化槽の海外市場は近年急速に拡大しております。昨年度の海外設置基数は対前年度比でちょうど二倍、約一万基と伸びておりまして、累計設置基数は約二万三千基というところまで来ております。  また、御指摘のとおり、浄化槽の国際展開を進める上では、浄化槽本体のみならず、管理、清掃技術なども併せて輸出することが重要であるというふうに考えているところであります。  具体的には、浄化槽のニーズの高い国を対象に、浄化槽セミナーにおける維持管理も含めた技術のPR、ワークショップや国内研修による人材の育成、国際会議等を活用したトップセールス、浄化槽の性能評価制度等のソフトインフラ支援といった取組を進めていく必要がございます。  今後も、関係機関や民間企業と連携しながら浄化槽の海外展開を戦略的に推進し、途上国の環境改善に貢献するとともに、我が国のビジネス展開にも貢献できるように取り組んでまいりたいと、こういうふうに思っております。 ○宮沢由佳君 ありがとうございました。終わります。 --- ○委員長(那谷屋正義君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、福島みずほ君が委員を辞任され、その補欠として芝博一君が選任されました。 --- ○武田良介君 日本共産党の武田良介です。  浄化槽法の改定案について質問させていただきたいと思います。  単独浄化槽やくみ取り式から合併浄化槽への転換が進められなければならないというのは、これは当然重要だというふうに思っております。現在も、浄化槽市町村整備推進事業が行われております。この事業には個人設置型と市町村設置型があります。これ、どんな事業かということですが、私の方からもう説明してしまいますけれども、資料の一にも付けさせていただきました。  個人設置型、これは、設置者、管理者はあくまで個人になる、市町村が設置に対して補助をするものであります。費用全額に対して四割を補助対象として、国が三分の一、県が三分の一、市町村が三分の一を補助をすると、個人負担が大きくなるということがこの特徴だというふうに思います。  市町村設置型ですけれども、これは合併槽の設置を公共事業として捉えるということですから、国からの補助が三十分の十、三分の一となる、個人負担は三十分の三、一割ということで、個人負担を軽くできることが大きなメリットですけれども、市町村の負担は三十分の七と重いものになると。浄化槽の性能によってその割合が変わるということは資料にも、この斜めで示されているところはそういう意味だというふうに思いますけれども、市町村の負担は重いものがあるということだと思います。  現在でもこの二つの型の推進事業に取り組んでおられるわけですけれども、それでもくみ取り式や単独浄化槽からの転換が進まない理由というのはどこにあるんでしょうか。 ○政府参考人(山本昌宏君) 御指摘いただきました点、単独処理浄化槽がなかなか転換できない理由としては、転換時の設置費用の個人負担が重いと、特に宅内配管工事を含めて余計に費用が掛かるということで、この個人負担が大きいということがございます。それから、単独処理浄化槽を既に付けているということはトイレの水洗化が既に実現しているということで、なかなか設置者の転換のインセンティプが働きにくいというようなことが要因だと考えております。  このことも踏まえまして、本年度予算では、合併処理浄化槽への単独処理浄化槽の転換というところに予算を重点化しまして、単独処理浄化槽から転換する場合に必要な宅内配管工事費を新たに補助の対象とするというようなことをしているところでございます。 ○武田良介君 今御答弁いただきましたけど、個人設置型はやはり個人負担が重くなりますから、今説明もあったような、個人がその負担を決断しなければ転換できないということがありますので進まないと。それは私も理解できるわけですけれども、市町村設置型は、個人負担は軽くなる代わりに市町村の負担も重くなるということがある、ここについては答弁では今触れられなかったわけですけれどもb。どちらを選択しても個人あるいは自治体に重い負担がのしかかってしまうと、それが転換が進まなかったという、それによって進まなかったというのが実態だというふうに思うわけであります。  今回の法改正で公共浄化槽の設置が新たに位置付けられておりますけれども、これに対する推進事業というのは、個人型と市町村設置型、どちらに該当するんでしょうか。 ○政府参考人(山本昌宏君) 改正案におきまして、御指摘の公共浄化槽につきましては、浄化槽処理促進区域内に存する浄化槽のうち、市町村が作成する浄化槽の設置に関する計画に基づき設置された浄化槽であって市町村が管理するものと定義されております。  したがいまして、市町村設置事業で設置された浄化槽が公共浄化槽に該当するということになります。 ○武田良介君 市町村設置型ということであります。つまり、今回の法改正で公共浄化槽の設置を進めるということは、市町村の負担を増やすということにこれはつながります。  資料の二にも付けさせていただきましたけれども、資料を見ましたら、市町村設置型浄化槽のメリット、デメリットというのが中ほどにありますけれども、デメリットのところに市町村の金銭的負担増加、事務作業量増加というのもありますけれども、市町村の負担が増加するということがここにも記載をされております。  市町村の判断で、今回の法改正で公共浄化槽を設置しようと、市町村の判断で地域指定を行っていくということになっていると思いますけれども、市町村自身の負担が増えて、それで本当に転換が進むのでしょうか。環境省、まずお願いします。 ○政府参考人(山本自宏君) 御指摘の点につきましては、今回の改正と並行して予算措置で本年度から、先ほども申しましたように、単独処理浄化槽からの転換の部分、なかなか設置、転換に踏み切れなかった方に対する宅内配管工事についての新設ということもありますし、あと共同浄化槽というような形で、従来、各個別の浄化槽でなくて、ある程度おうちがまとまっているところについては集合型での浄化槽の整備も可能にすると、そういったような選択肢を増やしておりますので、市町村としてより柔軟に地域の実情に応じた整備が進められるようになっているというふうに考えておりますので、こういった予箪措置と相まって 進めてまいりたいというふうに考えております。 ○武田良介君 助成をする、その宅内配管の助成をするということなんですけれども、しかし、資料の一にも付けましたように、市町村の負担の割合というのが基本的に一番大きいわけですね。この負担をどうするのかということは、やはり引き続きこれは課題だろうというふうに思っております。  発議者の方にもお伺いをしたいと思いますけれども、市町村設置型でくみ取り式や単独浄化槽から合併浄化槽への転換を進めようという今回の法改正、これで、先ほどの質問ですけれども、市町村の負担を増やして本当に転換が進むのかということについて、法案作成の過程で検討されておられるのでしょうか。 ○衆議院議員(小宮山泰子君) 公共浄化槽は、現在行われている浄化槽市町村整備推進事業と同様で市町村が浄化槽を整備することとなっており、御指摘のとおり、市町村の負担が増えることは想定されております。  今回の公共浄化槽については、市町村に整備を義務付けるものでもなく、市町村においては財源と見合いを踏まえながら公共浄化槽の整備を進めていただきたいということで予定をさせていただいております。  他方、単独浄化槽の合併浄化槽への転換を促進するためには公共浄化槽が重要な仕組みであると考えております。地形の問題など様々な課題で今まで浄化槽を入れづらかったところ、また単独浄化槽の転換がしづらかったところなどもございます。市町村が公共浄化槽の仕組みを活用できるように、政府においては、市町村の負担軽減等策や助成制度の周知を含めて適切な運用がされるものと考えております。 ○武田良介君 自治体の負担が増えるということは指摘をされているということでありました。  それで、環境省から事前に私もお話伺いましたけれども、その市町村の負担を軽減をしていくためにPFI方式で運営をしていくということ、これを今環境省の方でも進めておられるわけでありますが、御説明いただきましたら、これまで全国十七の自治体でPFI方式を導入したということをお伺いをいたしました。昨日もお伺いしましたら、このうち、今一期目、一期目で運営中の自治体が九自治体あって、導入後、一期目を終えて二期目も継続しているという自治体は二自治体、PFI方式をやめた自治体が六自治体あるということでありました。  なぜPFI方式をやめることにならざるを得なかったのかと、この点については法案作成の中で何か検討かあったのかどうか、発議者の方にお伺いをしたいと思います。 ○衆議院議員(小林鷹之君) お答え申し上げます。  現在行われております浄化槽市町村整備推進事業におきましては、PFI方式を導入している市町村もありますし、一方で、先生御指摘のとおり、地域の実情に照らしてPFI方式が継続されない場合もあるものと承知をしております。  今回の法改正案に盛り込ませていただきました公共浄化槽につきましては、PFI方式に墜定するものではなくて、公共浄化槽を整備するに当たっては市町村において必要に応じて適切な手法を検討していただきたいと考えております。政府におきましでも、どのような手法が本当に効果的なのか、市町村に対し周知をしていただきたいと考えております。  なお、今回の法改正におきまして、公共浄化槽の整備等に関して必要な協議を行うために市町村は協議会を組織することができることとなっておりまして、この協議が調った場合につきましては、その構成員はその協議結果を尊重しなければならないこととしております。 この協議会におきまして、地域の実情に応じた公共浄化槽の整備手法について協議することも考えられると考えております。 ○武田良介君 実情については説明も今いただきました。それから、協議会の話も説明をいただきました。だから、これでできるんだということで進めようということなんですけれども、しかし、事前に環境省から私もお話伺った際にも、PFI方式でなぜうまくいかなかったのかという、その原因分析はされているのかということを私お聞きしましたけれども、これ、されていないということで明確にお答えをいただきました。  このマニュアルですね、これも作って、PFIの推進ということも一つ書きながら、しかし実際には六つの自治体で継続されなくなった。とすれば、こういうマニュアルも含めて、この中身どうなのかという検証があってしかるべきだというふうに思うんですけれども、しかしそういう原因分析はされておられないということでありました。  つまり、今回の法改正によって公共浄化槽の設置を進めようと、しかしそれは市町村の負担が増えていく、そのためにPFI方式も、だけじゃないという話ありましたが、PFI方式を推進しようということも進めていく、しかしそのPFIは必ずしもうまくいっていないと。こういうことで本当に転換が進んでいくのかということに対しては、私は疑問も持っておりますし、更に議論が求められるということを指摘をさせていただきたいというふうに思っております。  私、長野県の下條村というところに行ってまいりました。ここは約三十年前から下水道ではなくて合併浄化槽を整備する決断を行って、個人設置型で合併浄化槽を普及させて、現在九六%の整備率というふうにお聞きをしております。下條村は今後、合併浄化槽の更新が必要となったときにどれだけの負担がのしかかるのかということを不安に感じておられるということもおっしゃっておられました。  一つ環境省に確認したいと思うんですが、先ほどの個人設置型、これは、合併浄化槽から合併浄化槽の更新に対しては今年度で補助は打切りと聞きましたけれども、間違いないでしょうか。 ○政府参考人(山本昌宏君) 本年度予算につきましては、既存の汚水処理の未普及解消につながるものあるいは災害復旧対応に資するものに重点化するということにしてございますので、個人設置事業における合併処理浄化槽から合併処理浄化槽への交換すると、既に生活雑排水の処理、未処理汚水がないというものについては助成の対象外としてございます。  ただ、一方、市町村設置事業につきましては、例えば大型浄化槽による共同化など、経済的、合理的な場合については、合併処理浄化槽から合併処理浄化槽への交換といったようなものについても引き続き助成の対象としているというところでございます。 ○武田良介君 今の答弁を確認させていただきたいと思います。  つまり、下條村のような合併浄化槽で全村整備しているところは、例えば更新の時期が来て、今度は公共浄化槽に転換していくということが言ってみれば強制的に迫られるような形になってまいります。設置費用だとかその管理費用を計算して、合併から合併に更新した方がいいのか、それとも公共浄化槽にした方がいいのか、そういうことを検討するということもできないまま、判断することもできないまま、公共浄化槽を選択せざるを得ないということになるのではないか、自治体の独自の判断を阻害することになるのではないかというふうに思いますけれども、こういう検討は、これはされているのでしょうか。発議者の方にお伺 いをしたいと思います。 ○衆議院議員(小林鷹之君) 委員におかれましては、長野県の下條村の具体的な事例を御紹介いただきまして、ありがとうございます。  お答えいたしますが、合併浄化槽の整備につきましては、ただいま局長から答弁があったとおり、この度の政府の対応におきましては、合併浄化槽から合併浄化槽への転換については補助対象から外れたものと承知をしておりますが、それ以外の単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換ですとか災害復旧対応などの場合につきましては、引き続き、これまでの個人の合併浄化槽の設置を対象とした助成制庵か存続するものと承知をしております。  いずれにしましでも、今回の法改正で創設される公共浄化槽の制度をどのように活用するかは、地域の実情に応じて市町村において自主的に判断されるべきことと考えております。  なお、今回の法改正に伴いまして、今後、政府において個人負担分の更なる軽減のための支援措置が講じられ、合併浄化槽の整備の促進が進むことを期待しているものであります。 ○武田良介君 大臣に最後に一間。  その下條村のような合併浄化槽を整備してきたところの転換は、これは国として支援していくべきではないかと。あっ、大臣いらっしゃ・・・(発言する者あり)失礼しました。  環境省にお伺いしたいと思います。  これ、国として支援していくべきではないかと、下條村のような、合併から合併への転換ですね、いかがでしょうか。 ○政府参考人(山本昌宏君) 先ほど申し上げましたように、まだまだ千二百万人残っている汚水処理の未普及人口をなくしていくというのを、国土交通省を含めて関係省庁と連携してしっかりやっていくというのが重要だと考えております。  個別の市町村につきましては、今回、補助制度も様々改善をしたところでございますし、一部、御指摘の点、対象外になる部分もありますが、そういったものをどういった形で運用するのかと。あるいは、今回の改正法が成立しましたら、ここ、浄化槽に関する制度が大きく変わりますので、それを活用してどんなふうに未普及をなくして生活排水の処理を進めていくのかというのは、個別の自治体の事情に応じて様々なケースがあると思いますので、しっかりとそこは各市町村の御事情も伺いながら、制度の運用あるいは補助事業の運用について引き続きしっかりと検討してまいりたいと考えております。 ○武田良介君 時間なので終わりたいと思いますけれども、今回の法改正は、生活環境保全のためとはいえ、単独浄化槽の所有者に罰則を科すことや公共浄化槽の設置に係る所有者からの同意を得ること、自治体負担の問題など、慎重で十分な議論が必要たと考えます。  そもそも、なぜ会期末なのか。議論が十分尽くされないまま、本日も二法案をまとめて成立させるということでは立法府の責任を果たせないということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。 ○委員長(那谷屋E義君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。−別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  浄化槽法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。  〔賛成者挙手〕 ○委員長(那谷屋正義君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(那谷屋正義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十八分散会