令和元年6月4日 衆議院環境委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○秋葉委員長 次に、西岡秀子君。 ○西岡委員 国民民主党、西岡秀子でございます。  本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  早速質問に入らせていただきます。  ただいま起草されました浄化法の一部を改正する法律案について質問いたします。  まず、取りまとめをいただいた提出者の先生方に心より感謝を申し上げます。  生活排水の処理形態は、下水道、浄化槽、農業集落排水施設、コミュニティープラントなど、それぞれが、先ほども議論にございました、所管官庁も国交省、環境省、農水省と分かれております。  浄化槽は、公共の水域の水質保全に大きく寄与し、処理水をその場で放流するので、健全な水の循環、河川の水量が確保できる施設でございます。  我が国におきましては、依然としてくみ取り方式も大変多く残っておりまして、私の地元の長崎県も大変まだ依然としてくみ取り方式が多数を占めておりますけれども、浄化槽については、単独浄化槽と合併浄化槽の二種類がございます。平成 十二年の改正において原則新設禁止となった単独浄化槽が今なお全体の五二%、合併浄化槽が四八%という状況にございます。  浄化槽を取り巻く現状と浄化槽の特性、また、浄化槽の災害対策、その有効性について、そして、今回の改正のポイント、概要、また、今回の改正が必要なのかということについて、まとめて小宮山議員にお尋ねをいたします。 ○小宮山委員 西岡議員、質問ありがとうございます。  今委員が指摘されましたように、単独浄化槽は、平成十二年の浄化槽法改正により設置が禁止をされています。新設は特に禁止とされておりますけれども、現在設置されている浄化槽は半分ほどが依然として単独浄化槽で残っているというのが現状でございます。  単独浄化槽の合併浄化槽への転換が進んでいないことは紛れもない事実でもあり、また、浄化槽法により義務づけられている水質に関する定期検査の受検率は、全国平均で約四〇%にとどまっております。  先ほど委員も御説明いただきましたけれども、河川の水質を守るためにも、やはりここは合併浄化槽にすることによって、また、浄化槽管理のさらなる強化をする必要があるということでございます。そして、これが今回の法案につながったこ とでもございます。  また、合併浄化槽の特徴としては、処理性能がすぐれ、単独浄化槽の約八倍の処理能力があること、短期間でも設置ができ、すぐに汚水処理が可能になること、個別処理で地震発生時の全損率が低いことから早期復旧につながるという可能性が 高いこと、また、地震の災害への対応能力が高いことも挙げられます。  そういう意味においては、合併浄化槽に転換をすることというのは、自然環境、そして災害時の町づくりにも大変大きな意味があると考えております。  また、お尋ねの災害時の状況の対応についてですけれども、災害時のインフラ復旧の目標といたしまして、電力で七日間、上下水道は三十日間、都市ガスの六十日程度と想定されております。大規模災害時には、これら生活インフラが破損した 場合には、トイレの確保に著しい障害が見込まれております。これは、今までの大規模災害のときにはさまざまニュースにもなっておりますし、実感もあるかと思います。私自身も、東日本大震災の後に被災地を回らせていただいたときに、合併 浄化槽というものがあること、浄化槽によって早くに生活排水というのが処理ができるというのを目の当たりにいたしたところでもございます。  防災拠点となる公共施設や避難所指定において合併浄化槽の整備を推進することによって、災害への備えが強くできるかと思います。  以上です。 〔委員長退席、伊藤( )委員長代理着席〕 ○西岡委員 今、小宮山委員からもございました、さまざま浄化槽には大変メリット、大変環境にも貢献をしますし、大変少子高齢化の今の地域の状況にも大変見合った施設ではないかと思っておりますけれども、先ほど議論になりましたけれども、地域において、それぞれが地域の特性に合わせた排水施設を取り入れて構築をしていくということが大変重要でございます。  その意味でいきますと、所管の省庁とともに、総務省も含めた連携が私は今後大変重要ではないかと思っております。この改正において、一層単独浄化槽から合併浄化槽への転換というものが進むということを期待をいたしております。  次に、今回の改正で、浄化槽の管理、保守点検体制の確立が盛り込まれました。老朽化破損、漏水の事例は六千件に上っております。生活排水の垂れ流し、公衆衛生悪化につながるなど、汚泥の主な原因となっております。  浄化槽の適正な機能を保つためには、日ごろからの保守点検、清掃が何よりも重要であると考えております。設置後三カ月から八カ月の七条検査と、年一回の定期点検、十一条検査がございますけれども、特にこの十一条検査の検査率が低い状 況となっております。  また、保守、管理を行う国家資格である浄化槽管理士の数は現在八万千五百九十一人というふうに聞いておりますけれども、六十歳以上の比率というのが四二・七%、大変高齢化、また後継者不足という状況もございます。  一方で、合併浄化槽は省スペース化また高機能化をしておりまして、技術が大きく進展をいたしております。この状況を踏まえると、浄化槽管理士の技術力、技術水準の確保というのが大変重要であると考えます。  浄化槽の管理の現状の認識、また、浄化槽管理士の育成の施策について、今後どのような体制整備をこの改正によってなされるのか、小宮山議員にお尋ねをいたします。 ○小宮山委員 浄化槽は、処理性能の向上、コンパクト化に伴う技術の高度化が進み、浄化槽の適切な維持管理に新たな知識、技術が必要となっております。  一方で、浄化槽の保守点検者に置かれる浄化槽管理士には、資格を取得した後の知識、技術力を高度化していく場が余りなかったのが今までの現状かと思います。また、高齢化というのも委員御指摘のとおりでもございます。  昨日、私も、埼玉県内に、浄化槽をつくっているメーカーさんに行かせていただきました。本当にコンパクト化される、また、それによって、ある意味、スペースが小さい分、大変管理も難しいということも伺っております。  今回の法案におきましては、浄化槽管理士の知識、技術力の向上を図るために、現在、一部の都道府県では、条例により浄化槽管理士の質の向上に努めておりますが、今回の法改正で、浄化槽管理士の研修の機会の確保に関する規定を設けるこ ととしており、この取組をより広めることができると考えております。 ○西岡委員 一層、この管理士の皆さんがこれからの大変大きな役割を果たされると思いますので、この研修、育成、今後とも進めていただきたいと考えております。  次に、平成三十一年度に改正をされました浄化槽設置整備事業実施要綱についてお尋ねをいたします。  この改正については、地方自治体との意見交換や意思の疎通が十分とられておらず、混乱が生じているという指摘が地方自治体から上がっております。  地方からの要望によって激変措置がとられたというふうに認識をいたしておりますけれども、本改正において、補助の対象外となる浄化槽が大変多く発生をすると見られております。どのような場合に対象から外れてしまうのか、この対象から 外れることによって住民負担の増大というのも懸念をされますけれども、どのような要件のもとに決められたのかということについて御説明をお願いいたします。 ○山本政府参考人 お答えいたします。  今御指摘のありました浄化槽の設置整備事業実施要綱につきましては、平成三十一年の三月二十九日付で改正をしてございます。  その基本的な方向性としましては、まず一つは、汚水処理未普及人口がまだまだ残っているということで、その解消をしていくという観点から、単独処理浄化槽やくみ取り便槽の合併処理浄化槽への転換に予算の重点配分をする。それからまた、浄化槽の市町村整備推進事業を重視して、特に市町村にとってコスト削減や経営改善につながるような、PFIの民間活用、大型浄化槽による共同化、公営企業会計の適用というものを重点配分するというような方向性を出しております。  それで、具体的には、浄化槽整備区域内におきまして、先ほど御答弁申し上げたような共同浄化槽の整備でありますとか、あるいは単独処理浄化槽へ転換していただく場合の宅内配管工事、これを新たな補助の対象とするということで、むしろ そういったところについては従来より手厚く支援をするという形にさせていただいております。  一方で、委員御指摘のあった若干の混乱というのは、実は、一月二十四日に、こちら、都道府県の担当者説明会で、開催をして内容について説明したのですが、その説明がこちらも十分でなかったということと、御指摘あったように、自治体と の意見交換が十分でなかったということがございますので、その後、しっかりと自治体と意見交換をしまして、先ほどの未普及解消をいかに進めていくか、単独転換、個人の負担を下げてしっかりやっていく、そういう観点から、どういう形でや っていくのが重要かということをしっかり意見交換させていただきました。  具体的には、少なくとも、昨年度の繰越しでやっていただく分には昨年度どおりのやり方で大丈夫ということで整理させていただきましたのと、それから、新年度のものについても、例えば下水道区域から転居して家を新築する場合には対象と するような形で整理をさせていただきまして、できるだけ市町村の実情に沿った形で整理をさせていただいてございます。 ○西岡委員 やはり地方の声をしっかりと反映をした中で、この保守点検、清掃については、大変維持管理費の負担というものが住民の皆さんに大きくのしかかっておりますし、人口減少、高齢化によって、大変維持していくのが難しいという住 民も大変いらっしゃると思いますので、しっかりと地方と連携をとって今後進めていただきたいと思います。  時間が残り少なくなりましたので、最後に、浄化槽システム普及による国際的な我が国の貢献、そして海外展開についてお尋ねをいたします。  二〇一五年の国連持続可能な開発サミットで採択をされましたSDGsにおいて、全ての人々に、水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確立するという目標が掲げられ、二〇三〇年までに世界の未処理排水の割合を半減をするという目標が掲げられました。特に、東南アジア地域においては、生活排水処理の必要性が大変高まっております。  その中で、我が国のすぐれた浄化槽システムが大変国際的に貢献できる今状況があると捉えております。今後の国際貢献、また海外市場への展開についての取組について、小宮山議員にまずお聞きした後、環境大臣の今後のお取組についての所 見をお尋ねをいたします。 ○小宮山委員 御質問ありがとうございます。  今までも、私自身も委員として、質疑の中で、国際展開というものを進めるべきであるということを、質疑と、また提案をさせていただいておりました。  日本で生まれましたこの浄化槽の制度というものは、やはり海外の各地において広めていくことは、国際貢献としても好ましく、また望ましいものであると考えております。浄化槽設置の推進、そして生活排水適正化の仕組みこそ、積極的に環 境省がリードして国際展開をすることによって、日本の貢献、また各地域で生活排水をきれいにするということ、これはやはり進めていくべきだと考えております。  また、私、ここは個人的な考え方ではありますけれども、さまざまなインフラの輸出をしておりますけれども、この点に関しては、原発などを輸出することよりも、浄化槽で水をきれいにすることにもっと重点を置いて、日本は戦略的にしっか りと対応していくべきだと考えております。 ○原田国務大臣 ただいま小宮山議員からもお答えいただいた部分でございますけれども、委員も既にお話しになっておりますように、浄化槽の海外市場というのは近年急速に拡大をしております。  昨年度の海外設置基数は前年度比で二倍の一万基と伸びており、今までの累計設置基数は二万三千基となっているというふうに報告されております。  環境省は、平成二十九年度に、日本の環境技術、制度を発展途上国に展開することを支援する環境インフラ海外展開基本戦略を策定しまして、その主要な取組分野の一つに浄化槽を位置づけているところでございます。  具体的には、浄化槽のニーズの高い国を対象として、国際会議等を活用したトップセールス、浄化槽セミナーによる技術のPR、ワークショップや国内研修による人材育成、浄化槽の性能評価制度等のソフトインフラ支援といった具体的な取組を進めております。  今後も関係機関や民間企業と連携しながら浄化槽の海外展開を戦略的に推進し、途上国の環境改善だけでなく、我が国のビジネス展開にも貢献できるものにと、そういうように考えているところであります。  どうぞしっかりよろしく御指導いただきたいと思います。 ○西岡委員 時間となりましたので、これで質問を終わらせていただきます。  大臣、ありがとうございました。