令和元年5月31日 衆議院環境委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○秋葉委員長 次に、西岡秀子君。 ○西岡委員 国民民主党、西岡秀子でございます。  本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。  ただいま起草のありました動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。  まず、提出者である小宮山泰子議員に、以下四問質問させていただきます。  まず、特定動物について質問させていただきます。  動物愛護法では、専門的な知識を持つ者以外飼育することが大変難しく、政令で定められているものを特定動物と定義をいたしております。現在、六百五十種が指定をされております。特定動物を飼育又は保管する場合は、当該施設を管轄する知事等の許可を受けなければならないとされております。  近年、個人が無許可で特定動物を飼育する事例が大変多く見られ、そのことによる事故も多く起きております。また、近年、自然災害が多発しており、災害時に逃げ出した場合に大変その把握をすることが難しく、危険を伴うということが大変 懸念をされております。  今回の改正において、特定動物の愛玩飼育、つまりペットとして飼育することが禁止をされたという理解で間違いがないかということについて御確認をいたします。 ○小宮山委員 西岡議員にお答えいたします。  愛玩目的の飼育は禁止という理解、そのとおりでございます。  現行法では、特定動物の飼養の目的については特段の規制は設けられておりません。しかしながら、愛玩目的で飼養されていた特定動物による死傷事故の事例があること、災害発生時には特定動物の逃亡のおそれがあること及び同行避難が極め て困難であるということが問題になっており、議員連盟でも特定動物の飼養について議論をいたしました。その結果、今回の法改正により、動物園そのほかこれに類する施設における展示そのほかの環境省令で定める目的に限って特定動物の飼養 の許可を与えることとしており、法改正の施行後は特定動物の愛玩目的での飼養はできなくなるものでございます。 ○西岡委員 ありがとうございます。  それでは、引き続きまして、犬猫等の引取り等についてお尋ねをいたします。  平成二十四年の改正時に委員会決議におきまして、引取り数の減少が殺処分の減少に寄与するということを鑑み、引取り要件を厳格化することを目指すということが明記をされました。  引取りにつきましては、平成二十九年度には犬猫合わせて十万一千頭となっております。犬猫ともに官民の努力により減少しておりますけれども、依然として猫の引取り数が多いという現状がございます。  今回の改正によって、第三十五条第三項には、周辺の生活環境が損なわれている事態が生じていない場合に引取りを拒否できることと記されております。ここで言う生活環境が損なわれている事態ということを定義をすることは大変難しいとい うふうに承知をいたしておりますけれども、例えば、庭に何度か猫からふんをされたですとか、何度かごみを荒らされたなど、このような猫による被害があるからといって、その都度引き取ってもらうということがもし起こると、際限がなくなっ てしまうという事態が起こってまいります。また、官民で取り組んでおります地域猫の活動の有効性からも、大変この要件の厳格化が必要ではないかと考えます。  今回の改正で、駆除目的の取引はなくなるという理解でいいのかどうか、小宮山議員にお尋ねをいたします。 ○小宮山委員 今回の法改正における、委員御指摘の第三十五条第三項の改正の趣旨は、地域において適切な方法によって避妊、去勢した猫を管理する地域猫活動が行われている場合などには、動物の愛護と周辺の生活環境の保全のバランスがと れているため、都道府県等が引き取らなくてもよいとすることにあります。  取引を拒否するか否かは、個別のケースに応じ、都道府県等で判断することとなりますが、今述べた趣旨を踏まえれば、提出者としては、できるだけ地域における適切な管理を促す等の方法により、動物の愛護と周辺の生活環境の保全のバランスをとることが望ましいと考えております。  また、所有者が判明しない場合についての規定でもありまして、所有者がいると推測される場合については、都道府県等は、第三十五条四項、これは今までもございますが、所有者を確認し、返還するよう努めることとされております。 ○西岡委員 小宮山議員、これは通告をいたしておりませんけれども、複数の自治体においては、所有者が不明の猫の取引について、要件を三つ指定をしているという都道府県もございます。  一つとして、負傷している猫、二として、遺棄されたことが明確な場合、また、三、大変幼齢で母親がいない子猫に限って運用をしているということを聞いておりますけれども、このように所有者不明の引取りについて要件を限定するというこ とについて、小宮山委員としてどのようなお考えがございますでしょうか。 ○小宮山委員 お答えいたします。  要件を限定してでも、やはり所有者が判明をしている場合どうかというのはありますが、所有者が不明な場合におきましても、やはりこの場合に関しては、法としては、所有者がいない場合というのでも引取りをしないことは望ましいかと思っ ております。 ○西岡委員 ありがとうございます。  引き続きまして、先ほど堀越委員からも質問がありましたけれども、第四十条第三項に、動物を殺処分する場合の方法について必要な事項を定めるに当たっては、できる限りその動物に苦痛を与えない方法についての国際的な動向に十分配慮し なければならないと記載されております。  近年、地方自治体における殺処分の方法は、先ほどもございました二酸化炭素と麻酔薬の注射の両方が用いられております。特にこの二酸化炭素については、苦痛を与えない方法としては適当ではないのではないかという御意見も多数あると承 知をいたしております。  現在、殺処分の現場で使われておるこの方法について、他国の事例と比べて国際的な動向に沿うものと認識をされるかどうか、このことについて見解をお尋ねいたします。 ○小宮山委員 お答えいたします。  動物を安楽死させなければならない場合における安楽死の方法は、現行法上、動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないこととされ、環境大臣には、動物に苦痛を与えない方法に関し必要な事項を定めることが求められております。  今回、環境大臣がこの方法を定めるに当たっては、国際的動向に十分配慮するよう改正を行うものでございます。  例えば、世界動物保護協会が公表している「犬猫の安楽死のための方法」では、犬猫の安楽死のために用いられている手段は、推奨、許容、条件付許容、許容できないの四つに分類されており、二酸化炭素による安楽死は許容できない方法に位 置づけられております。  また、アメリカ獣医師会委員会の報告書においては、炭酸ガスについては、麻酔作用のある吸入薬として、犬猫に対しては条件付で容認される方法として紹介されております。  環境大臣は、動物を安楽死させなければならない場合における安楽死の方法に関し、必要な事項を定めるに当たっては、このように海外におけるさまざまな動向を調査し、参考にしながら、取組を進めていただく必要があるということでありま す。  ですので、今回も、国際的動向に十分配慮する改正となっております。 ○西岡委員 ありがとうございます。  それでは、引き続きまして、動物福祉についてお尋ねをいたします。  小宮山議員は、動物愛護法についても大変熱心に取り組まれておりますし、動物福祉についても大変造詣が深いと認識をいたしております。  国際的な動物福祉の基本原則である五つの自由ということは、一九六〇年代に英国において、家畜の劣悪な飼育環境を改善させるために提唱されたものです。現在では、家畜のみならず、あらゆる人間の飼育下にある動物の福祉というものが基 本となっております。  諸外国においては、動物福祉に基づいて、この五つの自由の理念に基づいてさまざまな法整備、施策が行われております。  平成二十四年の改正によって、この五つの自由の趣旨が基本原則に明記されたものとされているものの、実際は、恐怖、抑圧からの自由、また本来の行動がとれる自由は盛り込まれておらず、法律に盛り込むべきとの指摘があります。  この動物福祉について、動物の飼養のあり方や、政策分野において今後我が国としてどのように取り組んでいくか、その方向性について小宮山議員にお尋ねをいたします。 ○小宮山委員 国際的な動物福祉は、委員御指摘のように、基本原則として定着しております五つの自由は、平成二十四年の法改正により、基本原則に既に反映はされております。  この動物福祉の理念をより一層推し進めるため、今回の法改正では、動物の所有者の責務を明確化するとともに、動物取扱業者が遵守するべき飼養、飼育の管理、飼養施設の構造等に関する基準の明確化と規制の強化、不適正飼養に対する知事による指導の拡充等の適正飼養のための規制の強化等を行うこととしております。  今後も、動物福祉の考え方をよく踏まえ、人と動物の共生する社会の実現に向けて引き続き取り組んでいきたいと思っておりますが、まだまだ、委員御指摘のとおり、今改正におきましても、全ての動物福祉や、また動物の命を守ることも含め て、満足のいくところというのはまだ達していないのは事実ではございますが、今回の法改正で、一歩でも動物の福祉に近づくこと、そして、必要であれば、やはり、また新たな法を施行することも検討していきたいと思っております。  どうぞ、委員におきましても、引き続き、動物愛護そして動物福祉に御尽力いただきますことをお願いいたします。 ○西岡委員 小宮山議員、ありがとうございます。  今後とも、動物福祉というこの理念に基づいて、動物愛護の政策について、ともに進めてまいりたいと思います。  以上で、小宮山議員への質問を以上とさせていただきます。  時間が、あと残り少なくなっておりますので、あと一問、質問させていただきます。  近年、動物虐待については、凶悪化、また、インターネットを使った虐待の動画配信など、大変深刻な状況がございます。  動物虐待と凶悪な暴力事件との関連性も指摘をされており、動物虐待防止は、国民生活の安心、安全にもつながる重要な問題です。虐待がエスカレートする前に早急に対応することが求められております。  そのためには、警察などの関連機関や民間団体との連携が極めて重要だと考えております。また、そもそも虐待を防止していくためには、虐待の定義を明確にする必要がある、このことも大変重要な視点ではないかと考えております。  今後、このような虐待防止についてどのような取組をされていくのか。今回の法改正で獣医師による通報が義務化をされたということは、実効性の面からも、大変、通報というものが多くできるような体制になったのではないかと理解をいたし ておりますけれども、今後の取組についてお尋ねをいたします。 ○正田政府参考人 お答えいたします。  まず、関係機関等との連携でございますが、本改正法案におきましては、地方公共団体の部局が連携を強化すべき関係機関といたしまして、これまでの都道府県警察に加えまして民間団体についても規定されているところでございまして、国は 必要な情報提供や技術的な助言を行うこととされてございます。  環境省といたしましては、本改正法案の趣旨が広く理解され、実効性を伴う施策に反映されますよう、各機関、団体間の連携のあり方につきまして、必要な助言等を行っていきたいと考えてございます。  また、普及啓発等の観点でございますが、本改正法案におきましては、愛護動物に対する虐待につきまして、みだりに、その身体に外傷が生じるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、飼養密度が著しく適正を欠い た状態で飼養、保管することなど、例示の追加によりさらなる具体化が図られているものと承知してございます。  環境省におきましては、動物虐待の防止のための普及啓発につきましては、これまでも、警察庁との連名によるポスターを全国の自治体等に通算で十万部以上配布してきたところでございます。  さらに、自治体へも、動物虐待に関する知識及び技術の修得を目的といたしました職員向け研修会の開催や、指導等の業務の参考となります動物虐待等の事例を収集した報告書の作成、公表等を行っているところでございます。  環境省といたしましては、今回の改正の趣旨について周知を図るなど、虐待への防止に向けた取組が適切に進められるよう、引き続き、地方自治体と連携を図ってまいりたいと考えております。 ○西岡委員 今後とも、人と動物の共生する社会の具体像というものをしっかりと示して、動物愛護、この法改正を契機に一層進めていくことを、心から、ともに私も取り組んでいくことをお誓い申し上げまして、質問といたします。  ありがとうございました。