令和元年5月22日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○谷委員長 次に、小宮山泰子さん。 ○小宮山委員 国民民主党の小宮山泰子でございます。  まず、今国会に提出された、先日既に成立しておりますけれども、建築物省エネ法の委員会審議の際にも触れました気候風土適応住宅に関して一点お伺いをさせていただきたいと思います。  現在、国土交通省では、地域における木造住宅の生産体制の強化、環境負荷の低減等を図るため、地域の木材関連事業者、流通事業者、建築士事務所、中小工務店等が連携して取り組む省エネルギー性能や耐久性等にすぐれた木造住宅・建築物の整備を支援する、平成三十一年度地域型住宅グリーン化事業の公募を五月三十一日まで行っております。  同事業では、事業者が連携して取り組む長期優良住宅や認定低炭素住宅、ゼロエネルギー住宅など、耐久性や省エネルギー性能にすぐれた住宅・建築物について補助が行われるものとなっております。  気候風土適応住宅は、グリーン化事業で求めている性能とはまた別の観点、別の価値観を持ちつつ、それぞれの地域産材を用いた住宅となっております。石場建てであったり土壁を用いるなど、伝統構法に根差した住宅などが範疇に入ってくる 気候風土適応住宅に対しても国土交通省では支援を行っていただいているところではありますが、建築基準法に即して設計し、建築確認を行っていく上で手間も費用もかかるなど、伝統構法による建築物、住宅は大量につくりやすいというもので もございません。  サステナブル建築物等先導事業においても、実験的に支援をいただきながら事例を重ねておりますけれども、現在までに同事業に基づいて二十事例ほどあると伺っておりますが、とはいえ、数年間、三年ほどですか、わずか二十事例にとどまっ ているとも捉えることができます。  耐久性、省エネ性能向上への支援とともに、伝統構法などに基づく建築物など、気候風土適応住宅への支援も、助成金、及び、このような付加価値のつく建築があること、建築可能であることの建築士、工務店、施主となる消費者などへの周知 を含め、より積極的に取り組んでいくべきだと考えております。  この伝統的構法や昔ながらの建築物、そういったものが、観光地などでは、海外からも多くの方が、実際には評価をされ、そこのためにもインバウンドも多く、観光客を集め、経済的にも地域にも影響をし、いい循環をもたらしていると考えて おります。  この点につきまして、大臣の御見解と御決意を改めてお伺いしたいと思います。 ○石井国務大臣 伝統的構法による木造住宅は、地域の気候風土を踏まえた工夫の活用により、すぐれた居住空間の確保を図るものでありまして、例えば調湿機能が高いとされる土塗り壁につきましては、結露の防止や快適性の確保等の効果があ るとされております。  こうした伝統的構法による住宅の普及を図るため、国土交通省では、平成二十八年度より、伝統的構法を採用しつつ環境負荷の低減を図るモデル的な住宅の整備に対し支援を行っておりまして、こうした取組事例について住宅事業者や建築主等 に対し広く周知を行ってまいりたいと考えております。  また、全国各地における和の住まいリレーシンポジウムの開催等によりまして、和の住まいの推進に取り組んでいるところでありますが、こうした機会に伝統的構法の住宅に関する情報についても積極的に提供しているところであります。  さらに、今月十日に成立をいたしまして、十七日に公布をされました改正建築物省エネ法におきましても、伝統的構法の住宅の供給に配慮いたしまして、新たに創設される説明義務制度において、これまで届出義務制度において措置されてまいりました地域の気候風土に適応した住宅に対する緩和措置を適用することとしているところであります。  今後とも、これらの取組によりまして、気候風土適応住宅などの伝統的構法の住宅の普及促進にしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  特に、土壁などの調湿機能について触れていただいたことに感謝を申し上げます。なかなか、省エネ法などではこの湿度に関して言われることがない。また、伝統的構法や日本の建築物、日本の文化は、自然とともにあるがために、木が一本一 本違うように、一戸一戸全てが違うという意味では、画一的なデータがなかなかとりづらいというのも現実にあると思います。  ぜひ、これからも、国交省におきましては、伝統的構法や、また、和の住まい方も含めまして、リードしていただきますよう要望させていただきます。  それでは、本委員会に付託となっております建築業法の改正について質問させていただきたいと思います。  本法案は、建築業を取り巻く社会経済情勢の変化に伴い、長時間労働の是正、現場の処遇改善、生産性の向上、持続可能な事業環境の確保のための改正と認識をしております。  今回の改正において、これまで、五年以上の経営業務の管理者としての経験を有する者がいることが求められていた建設業の許可基準が改められ、経験を有する個人がいることではなくて、法人として経営業務の管理が適正に行える状況が整っているかどうかが確認されることとなります。  五年以上経営業務管理経験のある者を必要とする規定について、若手経営者への業務引継ぎ、継承や、建設業以外の業種との兼業を行う事業者にとって支障となる可能性があるものとともに、五年以上の経験を証明、確認する作業にも相当の手 間がかかっておりました。  改正第七条の一において、経営業務の管理を適正に行うに足り得る能力を有するものとして国土交通省令での基準が定められているが、どのような基準を想定しているのか、確認をさせてください。 ○野村政府参考人 今御指摘の国土交通省令で定める基準については、先ほども御答弁申し上げたとおり、これから関係団体の意見あるいは他の事業法における事例を参考に検討を進めることとしております。  現在のところ、まず、経営業務管理体制については、今、許可を受けようとする建設業に関して、基本的に役員の経験を有する者をその会社の役員等として配置することを求めているところ、その経験の役職の幅を広げて、役員又は相応の管理職の経験とすること、あるいは、業種の幅を広げて、建設業以外の業種における役員経験でも可とすることとともに、そのような者を役員として配置をするとともに、その役員として配置する者を適切に補助できる能力を有する者を補佐的に配置するということを検討しているところでございます。  それから、この条項の中で、さらに、社会保険加入などの義務を履行しているという、先ほどからの議論にありました点についても、経営業務の管理を適正に行うに足りる能力の一つとして、この規定に基づいて確認をすることとしております。 ○小宮山委員 今局長の方からございましたけれども、経営業務管理責任者の配置に加えて、国土交通省令で定める要件として、社会保険に加入していることなどが要請されているということでもあります。  国土交通省令の社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインにおいて、適切な保険の範囲が示されております。法人事業及び五人以上の労働者がいる個人事業所においては、健康保険については、年金事務所で加入する協会けんぽに加入する か、年金事務所で健康保険の適用除外承認申請による承認を受けて国民健康保険組合、国保組合に加入する、二通りの方法が適切な保険として認められております。  国保組合は、国民健康保険法に基づき、都道府県知事の許可のもと設立され、医師、弁護士、理容業、建設業など職種別に設立され、それぞれの組合が定める地域内に居住する事業者とその従業員が加入しており、全国に約百六十ほど組合があ ります。建設業にかかわる一人親方や職人などが加入する国民健康保険、国保組合としては、全建総連の運営する建設国保などがあります。  国民健康保険制度において健康保険料の収納率の低下が問題視され、またさらには、市町村から都道府県へと主体が移ることにおいて、更に収納効率が、向上というのが難しくなっているとの懸念も広がっております。これに対して、国保組合 においては高い収納率が維持され、自立した運営が行われるなど、国庫補助もあるものの、国全体を考えれば、むしろ少額、小さな負担で済んでいると考えております。  社会保険への加入が建設業許可新規取得並びに更新の要件として定められているものは今回の改正に伴う国土交通省令での定めからとなりますが、これまでも要件とする方針が示されてきた中で、各地で誤解が生じておるようです。適正に国保組合に加入しているにもかかわらず、国保組合から抜けて協会けんぽに加入し直さなければならないとの誤解を招いて、誤った判断や指導助言が行われている場合があると伺っております。  その上で、平成十七年十二月の通知において、適用除外の承認が必要であるにもかかわらず申請を行っていなかったものの、申請の期限が平成十三年三月末と示されており、それ以降に誤った判断に基づいて国民健康保険を抜けて協会けんぽに 加入し直した者が、誤った判断、誤った解釈であることに気がついて、もとの国保組合への加入に戻したいと考えても、戻ることが、つまり適用除外の承認を受けることができなくなっております。  国交省では、五人未満の従業員を使用する事業者や一人親方などであって、現在既に建設業に係る国民健康保険組合に加入している者については、更に必要な健康保険に加入している者として取り扱われるものであり、社会保険未加入対策上改めて協会けんぽに入り直すことを求めているものではないこと、さらには、従前から国民健康保険組合に加入している個人事業主が法人化した場合、あるいは常時使用する従業員が五人以上に増加した際に、必要な手続を行って加入している者であれば適法に加入している者となり、年金制度は厚生年金に加入し、医療保険制度は国民健康保険組合に加入している事業所であれば、改めて協会けんぽに入り直すことを求める必要はないということについて、関係者への周知徹底に努めているとは思いますけれども、今回の改正で社会保険への加入が建設業の許可要件となるけれども、適切な保険への加入に関しての誤解を招かないよう、十分な周知徹底、さらには、国民健康保険、国保組合を抜けてまで協会けんぽに加入し直そうとする事業者に対して、制度の情報提供を丁寧に、また適切に行うことが重要かと考えております。  この点に関しましてどのように対応していくのか、御答弁をお願いいたします。 ○石井国務大臣 社会保険制度では、法人や個人事業主の別や規模等によって法令上加入すべき保険の種類が異なることから、加入すべき適切な保険について、関係者に正しく理解をしていただくことが重要と考えております。  国土交通省では、平成二十四年に社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインを策定をいたしまして、適切な保険に加入していることを確認できない作業員については、元請企業は特段の理由がない限り現場入場を認めないなどの取組を進め ているところであります。  一方で、ガイドラインの適切な保険に対する理解が徹底されていないとの声もあったことから、国土交通省といたしましては、適切な保険についての注意点を都道府県や建設業団体に通知したほか、元請、下請企業の建設業団体、建設企業、地 方自治体等を対象とした説明会において、適切な保険について説明を行うなど、これまでも周知徹底を図ってきたところであります。  また、加入すべき社会保険をフローチャート形式で確認できるリーフレットを作成をし、個々の労働者が事業所の形態や年齢に応じて加入すべき社会保険が確認できる取組もあわせて進めているところであります。  特に、平成二十九年度から令和元年度までの三年間において、地方自治体や建設業団体、建設企業等が参加をいたしました社会保険加入推進地域会議を全ての都道府県において開催することとしており、改めて、この機会を活用し、適切な保険 に関する周知徹底を行っているところであります。  国土交通省といたしましては、引き続き、さまざまな機会を捉えまして、社会保険の適切な加入に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと考えています。 〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕 ○小宮山委員 引き続きまして、厚生労働省に伺います。  誤った判断や誤解に基づく助言などにより、国保組合を抜けて協会けんぽに加入する手続を行うなどした者について、希望すればもとの国民健康保険組合への加入に戻れるようにする、ある種の救済措置が整えられるべきではないかと考えてお ります。この点に関しましての御見解をお願いいたします。 ○渡辺政府参考人 お答えいたします。  先生の御指摘のありましたケースにつきましても、一定の手続のもとに協会けんぽに加入をしておりますし、また、我が国の国民皆保険のもとでは、医療保険の基本的な給付は、国民健康保険組合でありましても協会けんぽであっても同じとい うようなことを考え合わせますと、なかなか御本人の希望でまた国保組合に戻るということは難しいというふうに考えております。  ただ、先ほど来先生から御指摘ございましたように、今現在、国保組合に入っている方にはいわゆる適用除外、そういう制度がございますので、こういった点について誤った指導が行われないよう、私ども厚生労働省としましても、都道府県あ るいは適用の窓口となります日本年金機構などともよく協力をしながら、改めて周知徹底をしっかりやっていきたいというふうに思っております。 ○小宮山委員 誤った判断を誘導する原因、何だと考えているんでしょうか。場合によっては、元請、下請、そして発注先の求めに応じていってしまうときがあるようであります。当然、社会保険事務所の方では受け付けるでしょうけれども、個 人の判断というのが、誤った判断、抜けなくてもいいものをわざわざ抜けて不利益を生じるということも、後から気がつくということもございます。  この点に関しまして、今、事業主なり発注元に対しての周知徹底、これは二次、三次、四次と下請の部分に対してですけれども、この点に関しましても、きちんと厚生労働省におきまして周知徹底をしていただきたいと思うんですけれども、改 めてその点に関しまして審議官の見解をお願いします。 ○渡辺政府参考人 御指摘のございました事業主レベルでの周知ということにつきましては、これは厚労省だけでなく国交省さんとも協力をしながらということが必要になると思いますが、御指摘のありました適用除外制度の周知につきまして、 改めてしっかりと徹底していきたいと思っております。 ○小宮山委員 建設業にかかわっておられる一人親方や個人事業主の皆様は、技能、技術で勝負されている一方、社会保険の取扱いとか税金に関することなど、全てを子細に把握するということは事業の内容から見ても難しく、見落としがちでも あるということもあります。国土交通省、厚生労働省、日本年金機構を始め、関係者から重ねて丁寧な周知や指導を行いますよう強く要望いたします。  そして、あわせて、今ありましたけれども、やはり、変更してしまって、協会けんぽに入らなくてもよかったのに入り直してしまったがために適用除外が外れてしまう、この点に関しましては、ぜひ、改めて、厚生労働省なりの中で猶予期間な りを設けることを検討していただくことを要請したいと思います。  さて、平成二十八年の六月の中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会基本問題小委員会中間取りまとめでは、委員会の審議の際に、ペーパーカンパニーや不良不適格業者を排除するため、現行の経営業務管理責任者要件は不 可欠との指摘があり、企業において当該要件が過度な負担とはなっていないとの意見もございました。  経営業務管理責任者を要件とする許可基準の緩和、見直しは、不良業者等による参入増加の懸念も残るのではないかと考えられますけれども、国土交通省の御見解をお聞かせください。 ○野村政府参考人 お答えをいたします。  今回の経営業務管理責任者の要件に関する改正でございますけれども、これも先ほど申し上げたとおりで恐縮でございますけれども、これまでは、その許可を受けようとする企業の役員の経験、個人の経験として、かつて役員等の経験をしたということを求めておったものを見直して、これを、許可をとろうとする企業、その組織の中で適切な経営管理責任体制が確保されていることを求めることとしたものでありまして、その意味では、考え方を合理化をしたというところはございます。  ただ一方で、建設工事は一品ごとの注文生産でありまして、一つの工事の受注ごとに、その工事の内容に応じて、例えば資金の調達、資材の購入、技術者などの配置、これらを行う必要があるなど、やはり他の産業と異なる経営能力が必要とされているところでございます。  このため、建設業者が適切に経営業務を管理する能力を有しているかについては、建設業の許可に当たって重要な観点であることから、引き続き、建設業者が適切な経営管理責任体制を有することを許可要件として立てながら、それを確認をしていくというプロセスは、許可に際して堅持をしたいと考えております。  委員御指摘のように、不良不適格業者が参入することのないよう、許可の審査に当たっては、この許可基準、これから下位規定により明確にするともございますけれども、しっかりと適切、厳格な運用に努めてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 現行法上において、建設業同士の合併に伴い消滅する事業者が得ていた建設業の許可は、合併後の存続会社に承継されず、新法人、存続法人により改めて許可申請を行い、審査の後に許可について認められるなどの処分が行われる こととなります。  このため、新たな許可を得るまでの間、工事などを行うことができない期間、おおむね一カ月から四カ月ほどにわたってという期間が生じてしまいます。  改正案では、第四節「承継」が新設され、建設業の譲渡、譲受け、合併、分割並びに相続時について、建設業の許可の承認に関しての規定が整えられることとなっております。  建設業の許可区分を分けての譲渡や分割、相続を認めていないのは、既存の建築物や進行中の案件に関しての責任の所在などが曖昧になることを避け、瑕疵担保責任などの承継にもつながるものなのかなと推測をしているところでありますが、 二十九業種ある建設業の許可区分を別々の者に譲渡したり分割、相続することを可能としていない理由について、御説明を簡潔にお願いします。 ○野村政府参考人 ただいま委員から御指摘がありましたとおり、今回は、基本的に、複数の許可業種を持っていても、それを別々の者に譲渡するという形については特例を適用しないということとしております。  これは、今ほど委員が御指摘されたような事情ももちろんのこと、例えば、建設業の実態としまして、複数の建設業について同一の営業所で営業を行っているケースが多い、あるいは、許可要件として営業所で専任の技術者を置くということに なっておりますけれども、その一人の専任技術者がその営業所で行っている複数の建設業の専任技術者を兼ねているということなど、事業者全体として、そういう複数の許可業種に係る建設業が営まれている実態がございます。  このため、業種別に譲渡等をできるようにした場合には、それらの建設業の実態を踏まえると、技術的な要件を満たさなくなる蓋然性が基本的に高いということを私ども判断をしまして、この制度においては、いわゆる政策的な判断としまして、建設業の全部を承継する場合に限定をするという取扱いにすることといたしております。 ○小宮山委員 仮に許可区分別の会社への分社化などを行うとした場合、分社化後のそれぞれの社で許可をとり直すとか、若しくは、分社化後のいずれかの社にもとの全ての建設業許可を承継しておくとともに、許可を承継していない社において 新たに許可を申請するといったこととなるのでしょうか。この点に関してお答えください。 ○野村政府参考人 今ほど申し上げたとおり、基本的には、建設業の全部を引き継ぐという場合に適用することとしておりますので、例えば、あるA社が建設業を分けて分社化をするというときに、例えばB社、C社に分けて分割するときに、C社に分割をしようとする業種を、A社の段階では一旦廃業した上で、例えばB社に引き継ぐものだけを残したとなれば、B社には丸ごと行くわけですから、その場合、今委員お話があったような、どっちかの一方にはこの特例を適用できるということは、可能性としては考えられるところでございます。  いずれにしましても、そうじゃない側、あるいは、そういうことをしないで、業を分けて分割をしてそれぞれに引き継ぐ場合については、新たに承継した事業者において建設業の許可を取得していただく、そういう必要が生ずることは御指摘の とおりであります。  この場合については、新たに申請する業者においては、これまでどおり、御指摘のとおりの許可の空白期間というものは存在することになりますけれども、例えば、事前に許可申請の内容について調整を行うことなどによって、その許可の空白 期間をなるべく短縮することでその影響が最小となるように配慮していきたいと考えております。 〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕 ○小宮山委員 そういたしますと、建築業の会社分割で、もとの会社は都道府県知事の許可であった上、分割後の会社が大臣許可を得ている、あるいはほかの都道府県知事の許可を得ている場合を示す法第十七条の二第三項のイ、ロのような、こ れは今提示したことでありますが、そのような事例というのは起こり得るのでしょうか。御説明ください。 ○野村政府参考人 例えば、会社分割が行われる場合に、承継元の、譲り渡す側がその一部を分割して既存の会社がそれを承継するという、吸収分割のパターンが想定されるところでございます。  このような分割が行われる場合、もちろん、その場合も、今ほどの御指摘のように、一部分割した中に、建設業については全部の業種が含まれているという必要があるわけでございますけれども、さまざまな合従連衡といいましょうか、これからは企業連携とか生ずる中で、分割する会社が都道府県知事許可でありました、それを承継する会社が大臣許可を得ている、あるいは他の都道府県知事の許可を得ているという場合はございます。そうすると、そこに複数の許可行政庁が登場するということになりますけれども、そういったケースは想定され得ないことはないという前提のもとに、一応、法技術上の措置といたしましても、今御指摘のあった法第十七条の二第三項第三号イ、ロの規定を置いているところでございます。 ○小宮山委員 公共工事の入札に当たっては、各発注機関が定めているランク分けにより参加できる工事規模などが定められているとしております。  発注機関によって異なりますけれども、AランクからDランクまで四段階とかCランクまでの三段階とか、分けられるようになっておるようです。  経営状況や経営規模、技術力、そのほかの項目などを数値化して評価が行われており、また、地域事情や発注機関の目的に即した判断も行われると認識しております。  建設業のランク分けは発注機関それぞれの判断で行われるものと考えますが、建設業の譲渡、合併、分割などが行われた場合はどのように扱われることになるのか、見解を求めます。  また、譲渡、合併、分割時におけるランクづけの取扱いなどについて、各省庁、各地方自治体、各発注機関に対して何らかの通達や指導の類いを出すかもあわせてお伺いいたします。 ○野村政府参考人 建設業者が公共工事の入札に参加する際には、許可行政庁において行う経営事項審査と発注機関が行う競争参加資格審査を受審する必要がございます。  経営事項審査や例えば直轄工事の競争参加資格審査におきましては、従来より、事前打合せあるいは随時受付といった制度を設けることによって、例えば、建設業の譲渡などが行われた際に新たな経営実態に即した評価を速やかに行えること、そういう体制をとっております。  そういう意味で、経営事項審査や競争参加資格審査につきましては、今回の改正で盛り込まれる事業承継の規定は直接に影響しないということで、この経営事項審査、競争参加資格審査それぞれに取扱いに変更はございませんけれども、実態的には、今ほどの答弁のように随時受付といったようなことも行っているために、現在の取扱いでも支障は生じないものと考えております。  一方で、しかしながら、建設業者の営業に空白期間が生じないようにすることは非常に重要であるということでございますので、本法案の趣旨を踏まえて、成立の暁には、経営事項審査や競争参加資格審査の取扱いの変更の有無にかかわらず、 委員御指摘のとおりに、各発注者に対しましては適切に周知を行ってまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 国土交通大臣による建設業の許可とみなすに当たって、許可番号などが新たに設けられ、また、許可証が新たに発行されることとなるのでしょうか。あるいは、従前の都道府県知事より受けた許可番号、許可証のままみなすことと なるのか。御確認いたします。 ○野村政府参考人 都道府県知事により許可を受けた建設業者が、今回の改正で盛り込まれる承継の認可により国土交通大臣の許可を受けたとみなされた場合には、建設業の許可番号については新たに国土交通大臣許可の番号を付すということに なりますので、ある意味、これまでなれ親しんだ許可番号が変わることになるということは御指摘のとおりでございます。  それから、許可証につきましても、許可番号の変更等を踏まえた修正を行うという形になると承知しております。 ○小宮山委員 質疑時間の都合におきまして、申しわけありません、少し先の方に通告の順番を進めさせていただきます。  改正案第二十条の二において、工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供について新たに規定されております。工事等の影響を及ぼす事象としては、法文上、地盤の沈下について明記されているほか、国土交通省令で定めることとなってお ります。  工事予定地に遺跡、古墳など発掘作業が求められることが考えられる場合、あるいは、さきの大戦での化学兵器の類いなども含めた化学物質や、工場跡地もありますよね、不発弾などが残っている可能性がある場合などについても、義務づけら れる情報提供に含まれることとなるのか。国土交通省令で定められる内容について御見解をお聞かせください。 ○野村政府参考人 注文者が提供するべき情報につきましては、今後、詳細に検討した上で省令に定めていきたいと考えておりますけれども、現時点におきましては、例えば、地中の状況などに関する事項、支持地盤の深度、あるいは地下水位、 地下埋設物、土壌汚染などの事項、あるいは周辺環境に関する事項、近隣対応、騒音、振動、日照阻害などの事項について定めることを現在考えております。  この改正では、注文者があらかじめ知っている情報を建設業者に提供することにより、施工における手戻りを防止することを目的としており、その意味で、例えば土地取得の経緯、あるいは近傍の事象により、その可能性について了知している ものを想定しているところでございます。  今御指摘のありました、遺跡、古墳など発掘作業が求められる可能性、あるいは化学物質や不発弾などが残っている可能性については、それぞれの建設工事現場において可能性があり得ることは当然否定できませんが、その土地において発見さ れるかまで通常はなかなかわからず、その発見は偶然に左右される極めて蓋然性の低いものであることが通常でありますことから、現時点ではそのようなものまで情報提供を義務づけることは想定していないところでございます。 ○小宮山委員 法第二十六条の三第一項において、元請が主任技術者を配置している場合、下請においては主任技術者の配置を不要とするが、その場合にさらなる下請の発注が禁止、第二十六条の三第八項、とされることとなります。三次下請、四次下請、あるいはそれ以上など重層構造での、建築にはこの重層構造というのは特徴的なものかもしれませんが、受発注が起こる建設の現場において、今回の主任技術者の配置義務合理化の効果はどのように見込んでいらっしゃるのでしょうか。  この点に関しましてお願いいたします。 ○野村政府参考人 今回の法案では、主任技術者の配置を合理化して、下請の主任技術者について、一定金額未満の下請工事で一定の要件を満たす場合には、主任技術者の配置を要しないこととしております。  これは、先ほども御答弁いたしましたけれども、職人は抱えているけれども主任技術者たり得る技術者が不足しているという業者がいたときに、なかなか受注の機会を得られない、そういう現状にあるところ、今回の制度改正により受注機会をふやすことが可能となるということが考えられます。  また、法案では、主任技術者の配置の合理化に当たって、主任技術者を不要とされた下請建設業者からのさらなる下請を禁止することとしています。これは、さらなる下請を認めた場合には、適正な施工の確保に係る事業者及び技術者の責任の 範囲が不明確となる可能性があるということを勘案して禁止するものであります。これによって、重層下請構造の改善にも結果としてつながっているものと考えております。  今回の制度改正によって、将来的な技術者不足が懸念される中で、主任技術者の合理的な配置が可能となって、限りある人材の有効活用が進むことを期待しているところでございます。 ○小宮山委員 ぜひ、今までもそうですけれども、重層構造になるがために、実質にはピンはねのような状態で、手取りが下に行けば行くほど本当に小さくなっている、元請で出していた額の分ではないことが起きてしまっています。今回のこの禁止の規定によって、多くの職人や現場が守られ、そして、適正な福利厚生費などが支払われることによって安全が確保できるようになることを期待をしております。  次に、中央建設業審議会による建設工期の基準作成についてお伺いしたいと思います。  さまざまな要素が関係するために、単純化して定量的に基準を定めるということは容易ではないというふうに考えておりますけれども、その上で、各発注機関等は、入札制度を運営してきた実績を持つことから、建設に係る工数を積み上げて妥当な工事金額を見積もってきており、工事の工期についても一定程度以上に見積もっていけるものだと考えております。  この建設工事の工期に関する基準はどのように作成するのか、また、どのような規定となる見込みなのか、お聞かせください。 ○野村政府参考人 この中央建設業審議会において策定する基準でございますけれども、これは、例えばいろいろな諸元を入れたら自動的に個々具体的な工事について工期が定量的に算出されるというふうなものではなくて、工期を設定するに当 たって考慮すべき事項を定性的に定めていく、そういう考え方に基づいて工期設定をしてくださいというふうな形のものになろうかと考えております。  これは、例えば全工程に関する基準としては、自然的な要因であるとか、あるいはお休みによって稼働できない日であるとか、そういったものを考慮しなさい、あるいは、準備段階、施工段階、後片づけ段階で、それぞれ各工程においては、例 えば準備段階では用地買収のこと、建築確認の進みぐあいのこと、あるいは近隣状況などのことを考慮しなさい、施工段階では地下埋設物の存在のこと、掘削土をどうやって排出するかということ、あるいは事前の時期とか設備の試運転などのことを考えてください、後片づけ段階では各種の検査のことを考えてください、このようなことをそれぞれの工事のプロセスごとに定性的な形で書いていくことを現在検討しているところでございます。 ○小宮山委員 法第十九条の五に関係しますけれども、建設工事を施工するための通常必要と認められる期間に比べて著しく短い期間の工期となるというんですが、この著しく短い期間というのはどのような判断になるんでしょうか。この点につ いてお聞かせください。 ○野村政府参考人 工期につきましては、それぞれ具体の工事において、工事の内容や工法、投入する人材、資材などの量によるところがございまして、なかなか一律の判断というのが難しいと考えております。  例えば、先ほど申し上げた、休日、雨天による不稼働日など、まさにこの審議会が定める工期基準で示した事項がそれぞれ考慮されているかどうかということの確認、あるいは過去の同種類似工事の実績との比較などを行うとともに、それぞれ 建設業者による工期、建設業者側も工期を見積もる努力義務を課しますので、その内容などを踏まえて、工事ごとに個別に判断されるべきものと考えておりますけれども、まさに、著しく短い工期に該当するかどうかを判断するに当たっては、ま ず、建設業者などからの通報、相談などを端緒として、著しく短い工期であるなという疑いが高まったものについては、更に発注者側から資料の提出や報告を求めること、そして、さらには必要に応じて有識者の意見も伺いながら、実際にそれが 著しく短い工期であるかどうかということを確認し、そして確認した場合には勧告を行うこととして、運用していきたいと考えております。 ○小宮山委員 最後の質問とさせていただきたいんですけれども、工期の確保、施工の時期の平準化を図るための方策についてですが、この中においても、公共工事の施工時期の平準化については、市区町村など地方自治体においての取組推進が必要であります。  公共工事の発注機関、特に市町村長など、施工時期の平準化推進に向けての取組はどのような事例が行われているのか、事例は省いても構いません、御説明と、先進事例について広報、周知の取組について、やはりどういったやり方がいいのか、ぜひ、市町村に向けてどのようなことをされるのか、お聞かせください。 ○野村政府参考人 公共工事の約三分の二を占める公共団体発注の工事、ここにおいて平準化を進めること、とても重要になっております。  先ほど来申し上げているとおり、特にやはり市区町村においてまだ低い水準にあるということを踏まえまして、国土交通省では、こういう平準化に向けた取組を多くの公共団体に広げるために、いわゆるさしすせそ、さは債務負担行為の活用、 しは柔軟な工期の設定、すは速やかな繰越し手続、せは積算の前倒し、そ、早期執行のための目標設定という五項目をさしすせそと称して、これをさしすせそ事例集と、ちょっと発音が難しいんです、これを公共団体が参加する会議などにおいて周知に取り組んできたところでございます。  先進事例ということで、ちょっと時間もありませんので、ちょっとさわりだけですけれども、例えば北海道のある市では、かなり早い段階から明確に建設業者の経営環境の健全化、労働者の処遇改善、資機材確保の円滑化を図ることを目的とし て掲げた上でゼロ市債を設定しているということを取り組んでいるなど、非常にいい事例がございます。  そういう事例も盛り込んだ上で、これは現在第三版を公表しているところでございますが、適宜、先進事例、改訂しながら、引き続き周知に努めていきたいと考えております。 ○小宮山委員 先進事例や、また、さしすせそというわかりやすい表示の仕方というのは大変いいなと素直に思うことにいたしました。  さて、スマートフォンとかさまざまIT技術が発達しております。また、建設現場というのは、さまざまな方もいらっしゃいますし、近隣の方も注目しております。ぜひ、スマートフォンなどQRコードの読み込みなどで情報がしっかりととれ るようにするとか、こういったこともぜひ御検討していただくことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。