令和元年5月17日 衆議院環境委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○秋葉委員長 次に、西岡秀子君。 ○西岡委員 国民民主党、西岡秀子でございます。  きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。法案についてきょうは質問をさせていただきます。  早速質問に入らせていただきます。  現在のオゾン層の状況についてお尋ねをいたします。  従来から使われておりました特定フロンがオゾン層を破壊するということがわかりましてから、一九八〇年代からは、それにかわって代替フロンが広く冷媒で使われておりましたけれども、この代替フロンについても、二酸化炭素に比べて一万 倍の温室効果があるということがわかり、今回、この代替フロンも規制の対象とされまして、ことし一月にこの規制が発効をいたしております。  二〇二〇年には特定フロンは全廃の予定であり、代替フロンも二〇三六年には八六%の削減目標となっております。  今後は、温暖化の影響のないグリーン冷媒に置きかえていくことが大変急がれるわけでございますけれども、フロンのさまざまこれまでの規制によって回復傾向とされるオゾン層でございますけれども、現在どのような状況にあるのか、また、 今後の予測についてお尋ねをいたします。 ○森下政府参考人 お答え申し上げます。  南極域で毎年形成をされておりますオゾンホール、その規模でございますけれども、特定フロン等の大気放出によりまして、一九八〇年代から一九九〇年代半ばにかけて急激に拡大をいたしましたが、お話にありましたモントリオール議定書に 基づきまして特定フロンの生産及び消費が国際的に規制されたということで、一九九〇年代後半以降は、年々変動ございますけれども、回復傾向にあるということでございます。  WMO、世界気象機関、そしてUNEP、国連環境計画が取りまとめをしましたオゾン層破壊の科学アセスメント二〇一八報告書によりますと、南極オゾンホールが、オゾン層破壊が顕著になる前の指標とされております一九八〇年の量に回復 するのは二〇六〇年代であるというふうに予測をされているということでございます。 ○西岡委員 さまざまな取組で改善傾向にあるということでございますけれども、一方で、昨年のモントリオール議定書の会議におきまして、東アジアで相当量のCFC11と言われる特定フロンが放出をされているということが報告をされまし た。  一方で、放出されているだけではなくて生産されている可能性もあるということを指摘されたというふうに聞いておりますけれども、このことについて我が国としてどのように捉えているか、また、何かこのことを受けて国際的な取組があるの かどうか、このことについてお尋ねをいたします。 ○森下政府参考人 今お話のありました特定フロンでありますクロロフルオロカーボン、CFCでございますけれども、これは、国連の全加盟国が締約国となっておりますモントリオール議定書のもとで、生産、消費を二〇一〇年までに全廃する ということとされておりまして、締約国は現在もこれを遵守をするという義務を負っているという状況でございます。  我が国は、モントリオール議定書のもとで、ほかの締約国と一緒にオゾン層の保護に取り組んできておりまして、このCFCに関しましても、自国としての議定書上の義務は完全に履行をしているという状況でございます。  御指摘の問題につきましては、これは昨年の五月に、議定書に基づいて全世界で製造が全廃済みのはずのCFC11の排出量が二〇一一年以降に増加をしておる、東アジアで違法製造、排出されている可能性が高いということが科学論文におき まして示唆をされたことを受けまして、昨年十一月のモントリオール議定書締約国会議においても議題となったということでございます。  その結果、議定書の専門家パネルに対しまして、CFC11の放出状況や想定される発生源に関する調査、報告を行うことを求めるとともに、全ての締約国にCFC11全廃を徹底するための措置を講じるよう呼びかける締約国の決定が採択をさ れたということでございます。  環境省としても、外務省や経済産業省さんと連携をしまして、議定書の枠組みに基づいて必要な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。 ○西岡委員 ありがとうございます。  今回の法改正につきましては、お配りをしました資料を配らせていただいておりますけれども、フロン類の対策については、この資料にあるように、さまざまな法を通じて、また、いろいろな対応を通じて、今まで対応をとってきていただいて おりますけれども、二〇二〇年に五〇%、二〇三〇年に七〇%という目標がある中で、二〇二〇年五〇%を目前に控えた今、この法改正が行われているということ、先ほどから議論があっておりますけれども、なぜこのような、ぎりぎりの対応と 申しますか、五〇%の達成を目前にした中での法改正となったかということについて、簡潔にお答えをお願いいたします。 ○森下政府参考人 御指摘もございましたけれども、このフロンに対する取組というのは、適時、法律の強化、制度の強化ということがなされてきてございます。  直近になりますと、平成二十五年の法改正がございまして、この法改正が平成二十七年四月に施行されまして、その効果を見たところ、現状のままでは二〇二〇年度に五〇%の目標を達成することは困難というふうに考えられることから、必要 な調査、分析を行いまして、対策を取りまとめたということでございます。 ○西岡委員 先ほどもお話をちょっとさせていただきましたけれども、今後、グリーン冷媒を導入していくということが大変大きな課題であると考えております。  環境省においては、脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業ということを展開をされておりまして、ことしは、予算が昨年度から十億円ふえて、七十五億円の予算が組まれておりますけれども、なかなかこの導入というのがコスト面で進んでいかないという状況があると思いますけれども、現在の利用状況、またこの冷媒機器の導入状況について、また、この補助を受けるための事業者の要件について、簡潔に御答弁をお願いいたします。 ○森下政府参考人 脱フロン・低炭素化社会の早期実現のための省エネ型の自然冷媒機器導入加速化事業でございますけれども、平成三十年度は、対象の事業者として、冷凍冷蔵倉庫、そして食品製造工場、そして食品小売店舗、こういった対象 を補助事業の対象といたしまして、省エネ型の自然冷媒機器の導入補助を実施をしているということでございます。  補助実績でございますけれども、全体で二百十六件、約六十億円でありまして、その内訳としましては、大手の企業で百六十九件、二十九億円、中小企業四十七件、三十一億円等々となってございます。 ○西岡委員 まさに、先般、環境委員会で視察に行かせていただきました東京団地冷蔵株式会社、ここの機器がまさに環境省の補助事業で導入をされた機器でございます。大変珍しい形式の、団地方式の冷蔵倉庫でございましたけれども、脱フロ ン化を目指して、省エネ型自然冷媒、アンモニア、CO2使用の省エネ冷凍設備を、補助金を使って導入をされております。  このときにさまざまお伺いをいたしましたけれども、やはり補助金がないと、コストが大変高い状況で、一般の一・三倍、やはり今費用がかかるということで、ただ、この自然冷媒については大変省エネ効果が大きいというメリットがあるとい う御説明がございましたけれども、なかなか、大企業、大手の企業では導入することができますけれども、中小の企業、また地方においてはまだまだ大変難しい状況もあると思いますし、なかなか、全て建てかえるというような機会でないと導入することが難しい。また、中小企業においては、フロン以外にも、耐震の問題など、ほかに早急に対応しなければいけない課題があって余裕がないという、そのような状況もあるとお聞きをいたしました。  また一方で、配管等からフロンが漏れているケースも大変多いという現実もございますので、このメンテナンスという面も大変重要な側面ではないかというふうに思っております。  今後、中小企業も含め、また地方も含めて、導入促進のために、また、今回この事業にプラスして、さまざまな取組について、今後の予定等ありましたらお尋ねをいたしたいと思います。 ○森下政府参考人 省エネ型の自然冷媒機器の導入でございますけれども、これは、先ほどお話もございましたとおり、若干その初期コストの面で高いというところがございまして、初期市場をつくっていく、そうすることによってコストを下げ て、自立的に導入が進んでいく、そういうことを起こしていく必要があると思っております。  引き続き、この事業を適切に実施すること、さらには、大企業に加えまして、中小企業にもしっかりとこの補助金を使っていただく、そういった工夫もさせていただきながら、今後、取組を更に進めてまいりたいというふうに考えてございます。 ○西岡委員 今言われたように、中小企業また地方もこの補助金を利用しやすい仕組みというものについても今後取り組んでいただきたいと思っております。  次に質問させていただきます。  環境省とともに、経済産業省についても、省エネ化・低温室効果を達成できる次世代冷媒・冷凍空調技術及び評価手法の開発事業という事業を行っていただいております。この事業内容、また昨年の実績について御説明をいただきたいと思いま す。 ○上田政府参考人 お答え申し上げます。  グリーン冷媒は、一般に、燃焼性を有したり等々の物性面の課題がございます。また、冷媒量が大きく冷暖房用途の家庭用、業務用エアコンでは転換のめどが立っていないという現状でございます。  また、二〇二九年以降、基準値比七〇%削減という厳しい義務の達成というのは、これは日本にとっても非常に大きな挑戦であります。他方、これは他国にも厳しい削減義務が課される中で、日本が世界の新たな市場を獲得するチャンスでもあ るということであります。このため、グリーン冷媒の技術の開発に産学官が一体となって取り組んでいるところでございます。  グリーン冷媒、燃焼性を有するものも多く、漏えいした場合に着火リスク、これは考慮する必要があるということでありますので、ただ、他方、この評価手法は確立をしていないということでございます。  経済産業省においては、平成三十年度から、燃焼性に関するリスク評価手法、これを世界に先駆けて確立する産学官のプロジェクト、これを開始したところでございます。その成果は国際標準化を図り、日本のすぐれた技術を海外に展開すると いうことを目指しているところでございます。  加えて、今年度からは、民間事業者におけるグリーン冷媒及びそれを用いた機器の開発に対する支援制度、これを創設したところでございます。  こうした取組によって、日本は更に世界のフロン類対策に貢献をするとともに、日本企業の新たな市場獲得にもつなげていきたいというぐあいに考えております。 ○西岡委員 ありがとうございます。  日本のすぐれた技術力をぜひ国際的な、地球規模の温暖化防止のために役立てていくということが、大変日本における大きな一つの役目であるというふうに思っておりますし、配らせていただいた資料の冷媒代替現状マッピングに書いてありま すけれども、まだ代替技術が確立をしていない分野については、ぜひこの技術開発に早急に取り組んでいただきたいと思います。  次に、野党提出の修正案につきまして質問をさせていただきます。  今回の野党提出の修正案においては、法改正の四つの原則を規定して、二〇五〇年までにフロン類の大気への排出がなくなることを目指すと、政府案より一歩踏み込んだ内容となっております。  また、五年後の見直しや、業者への経済的な負担についても検討事項に明記されております。  パリ協定を見据えて明確な方針を示しているというふうに思っておりますけれども、この修正案の趣旨について御説明をお願いいたします。 ○小宮山委員 委員御指摘のとおり、本修正案は、基本原則を明記することにより、政府案よりも踏み込んで、できるだけ二〇五〇年までに、さらには前倒しをして脱フロンを達成するための施策の方向性を示すものでございます。  さらに、一般的な検討条項に加え、更に踏み込んだ施策の検討についても、本法施行後五年をめどとして政府に義務づけています。  具体的には、フロン類の排出の抑制のために必要な措置のあり方として、フロン類使用製品の製造及び輸入の禁止そのほかの規制をすること、フロン類使用製品の製造又は輸入を業として行う者に対して経済的な負担を課すことについて検討す ることが明記されております。  これらの施策により、より実効性のある温暖化対策を進めることにつながる修正案となっております。 ○西岡委員 ありがとうございます。  政府案も、対策を強化していただいたということについては大変評価するものでございますけれども、やはりこの脱フロンというような大きな課題については、明確な理念や目標を掲げるということも大変必要なことではないかというふうに思 っております。  それでは、まだ少し時間がございますので、政府案について、戻りましてお尋ねをさせていただきます。  今回の法改正の実効性のためには、機器廃棄またリサイクル業者、充填回収業者、制度実施を監督する都道府県の関係者など、関係者間の連携が極めて重要となると考えております。この関係者間の連携の取組について御説明をお願いいたしま す。 ○城内副大臣 西岡委員の御質問にお答えいたします。  御指摘のとおり、この法改正の実効性を上げ、廃棄時回収率の向上を図るには、関係者間の連携強化が極めて重要であります。  本改正では、充填回収業者や廃棄物・リサイクル業者等の関係者を構成員として、都道府県が設置する協議会を法律に位置づけることとしております。この協議会の設置によりまして、制度運用上の課題についての効果的な対策を関係者が連携 して進めることができるようになり、法律の実効性の確保につながるものと考えております。  国といたしましても、業界団体に対して、協議会への参加を積極的に呼びかけてまいります。 ○西岡委員 ありがとうございます。  関係者間の連携については、国が積極的に、この連携を図るためにぜひ役目を果たしていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございます。