平成31年4月26日 衆議院厚生労働委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○冨岡委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 国民民主党、小宮山泰子でございます。  本日は、障害者の雇用の促進に関する法律の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。  また、今上天皇陛下の御退位、皇太子殿下の御即位にかかわる大型連休を控えまして、平成最後の国会審議、厚生労働委員会の審議となること、非常に感慨深くこの場に立たせていただいております。  私自身、一番最初に衆議院に当選させていただいたときは、厚生労働委員会に入らせていただいておりました。当時は、正直、年金改革とかで、この部屋でも外でもさまざまドラマがございましたので、非常に久しぶりにこの場に立ちますと、 ある意味、血沸き肉躍るというんでしょうか、何か頑張らなきゃなという思いもするところではございますけれども、本日は、今回のこの法案の背景を思いますと、本当にさまざまな課題が見えてくるものでございます。  私自身、障害者政策、また、子供のころから、障害をお持ちの方々や、さまざま、母に連れられていろいろな方と接しさせていただきました。そして、その方たちの才能や可能性というものも見て育ちましたので、少しでも多くの方々が社会の 中できちんとした自分の居場所を見つけられる、そしてそれを受け入れられる豊かな社会づくりにつながる審議になればと思っておりますので、どうぞ大臣よろしくお願いいたします。  さて、今回の審議を行います法律は、障害者雇用数の水増し問題への対応が大きな背景となっております。改正の目的も、障害者の雇用を一層促進するため、事業主に対する短時間労働以外の労働が困難な状況にある障害者の雇入れ及び継続雇 用の支援、また国及び地方公共団体における障害者の雇用状況について的確な把握をするということが改正の目的となっております。  三十年間にわたる平成の時代、障害者にかかわったさまざまな変化がございました。障害者権利条約の批准、総合支援法の整備、差別解消法など、関連する法整備が重ねられてまいりました。また、交通バリアフリー法、さらに、昨年暮れ成立のユニバーサル社会推進法など、障害者を含むさまざまな立場の方にとって暮らしやすい社会実現を目指した法制も取り組まれてきたところであります。  幾つかの法整備に私自身もかかわらせていただきました一人として改めて振り返ってみると、感慨深い時代だったと感じております。  また、平成三十年の間は大規模災害が多く起こった時代でもありました。阪神・淡路大震災、東日本大震災始め中越、九州、大阪北部、北海道などでの地震、集中豪雨や台風など災害現地において、東日本大震災のときのDPIさんのつくられ たデータなどを見させていただきますと、障害者の方々の直面した現実というのは大変厳しく、東日本大震災のときには、障害者の死亡率は健常者の二倍に達していたというデータもございます。  さまざまな災害においての障害者というもの、また、日本は災害も多いところでもあります。  多様性が尊重されるダイバーシティー社会、共生社会、インクルーシブ教育など、キーワードも多く見かけるようになってきましたので、ある意味、明るい兆しにも感じておりますが、同時に、やまゆり園事件のような、偏った物の捉え方がむ き出しになり暴走する、痛ましい事例も散見されるようにもなってきております。この点も大変大きな懸念を持っているところでもあります。  間もなく迎える新時代であります令和、穏やかで安心して暮らせる、障害者も健常者も、あるいは年配も子供たちも子育て世代も、誰もがお互いに認め合い、尊重し合える社会の時代となりますことを期待するとともに、そのために、制度をつ くり、仕組みをつくり、その上で、必要なものをきちんと整えていけるよう、与野党問わず多くの先生方と御一緒に私も取り組んでいきたいと思っております。  さて、二十四日の参議院本会議において、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律が全会一致で可決、成立いたしました。議員立法により成立した法律ですが、今後は、所管省庁たる厚生労働省におい てしっかりと施行していただくこととなります。  そこで、法成立直後でございますが、何点か確認しておきたいと思います。  法律の前文では、「我々は、それぞれの立場において、真摯に反省し、心から深くおわびする。」との文言にて、反省とおわびが盛り込まれております。反省とおわびの主体が「我々」となっており、国がといった形などで明確に示されていな いことへのさまざまな意見なども報じられているところでありますが、議員立法での成立に向けて御尽力いただいた各党関係議員の先生方には敬意と感謝を申し上げたいと思います。  法成立後、安倍総理並びに根本厚生労働大臣は談話を発表し、その中で、法律の前文と同じ反省とおわびの言葉を選んで用いられております。  そこで、首相並びに大臣の談話において、この反省とおわびという文言を改めて用いられておりますが、この談話に込められている真意、思い、一時金などを所管することとなります根本厚生大臣より改めてお聞かせいただければと思います。 ○根本国務大臣 今回の法律については、旧優生保護法が全会一致で成立した議員立法であることや当事者が御高齢であることなどに鑑み、立法府の責任において、できるだけ早期に結論を得るべく、与党ワーキングチームや超党派の議員連盟で、委員も熱心に参加されて議論が行われてきたものと承知をしております。  一昨日成立した法律では、前文において、旧優生保護法に基づき、あるいはその存在を背景として、多くの方々が、生殖を不能にする手術等を強いられ、心身に多大な苦痛を受けてきたことに対して、我々は、それぞれの立場において、真摯に 反省し、心から深くおわびするとされております。  これを受けて、政府として、また厚生労働大臣としても、旧優生保護法を執行していた立場から、手術等を受けることを強いられた方々が心身に多大な苦痛を受けてこられたことに対して、真摯に反省し、心から深くおわびする旨を談話として発表したものであります。  いずれにしても、厚生労働大臣として、法律の趣旨を踏まえ、着実な一時金の支給に向けて全力で取り組んでまいります。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  そして、法律の中には、一時金の額は三百二十万円と明確に書かれておりますが、これは北欧、スウェーデンでの制度を参考としていると説明されており、一九九九年に十七万五千クローナを支給したことを参考に、同金額を日本円に換算する とともに、物価上昇などを考慮したものとされております。  一方で、交通事故などで生殖機能を失わせてしまった場合の賠償額は一千万円程度が目安と言われております。一千万円が生殖機能を失わせるような場合の大体で用いられている額となっております。  スウェーデンなど北欧各国は社会福祉が充実していることで広く知られておりますが、今回、一時金の金額にのみ参考とされてはいるものの、それ以外の、福祉政策による支援の有無やその手厚さなどの条件もスウェーデンの支給金額が決まっ た前提となっていたのではないかと考えられます。  三百二十万円とだけ聞くと十分とは言いがたいとのコメントが、成立を目指して尽力いただいた関係議員の先生方からも聞こえてまいりますが、この議員立法での検討を通じてスウェーデンの事例が参考とされているなど、また、一時金が三百 二十万円という金額に決定しておりますけれども、根本厚生労働大臣は金額についてどのように感じられているのか、一言ぜひお聞かせいただければと思います。 ○根本国務大臣 先ほどの繰り返しになりますが、今回の法律については、与党ワーキングチームや超党派の議員連盟で議論が行われ、与野党一致して取りまとめられたものと承知をしております。  お尋ねの点、これは今委員からスウェーデンの事例が参考にされたとお話がありました。私もそのように聞いておりますが、これはまさに立法過程での御議論の結果によるものと考えております。  いずれにしても、政府としては、必要な予算措置も含め、成立した法律について適切に執行していきたいと考えています。 ○小宮山委員 今回の成立は、これが全て解決したということではなく、今後ともさまざまな形で旧優生保護法の対象者とされてしまった方々に寄り添っていく契機となることを期待しております。  今回の法律には、旧優生保護法に基づく優生手術等に関する調査そのほかの措置を講ずることが盛り込まれております。 条文上、調査そのほかの措置を講ずるものの主語は国の記述となっておりますけれども、議員立法での、成立に向けた与党旧優生保護法に関するワーキングチーム並びに優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟の法案作成プロジェクトチームでの合意事項として、国会が主体となる方向とし、具体的な対応については調査の内容も含め引き続き議論を行うこととされております。  関係者からも、当事者の団体とか障害者団体とか、参加があるのか否かといった点についても関心があるという声もお聞きいたします。国会において、しっかりとした体制のもと、十分な調査が行われていくことに期待をしております。  そこで、国会において取り組むこととなる調査が充実したものとなるには、厚生労働省による協力支援が重要と考えております。調査への協力支援の積極的な参加について、厚生労働省に、まずお聞かせください。 ○M谷政府参考人 お答えいたします。  議員御指摘のとおり、この法律の第二十一条におきまして、国は、共生社会の実現に資する観点から、旧優生保護法に基づく優生手術等に関する調査を実施することとされているものと承知をいたしております。  また、この調査につきましては、議員御指摘のとおり、国会が主体となって実施されるものと承知しておりますけれども、旧優生保護法、これは旧厚生省が所管していたこと、また執行していたこと、こういうことからも、厚生労働省といたし ましてできる限りの協力をしてまいりたいと考えます。 ○小宮山委員 五月二十八日には、仙台地方裁判所にて旧優生保護法関連の判決が出される予定となっております。違憲が問われている裁判で、当事者、障害者関係団体などからも関心が高く、司法の場でどのような判断が示されるのか、また、 出された判断に対して、国としてどのように対応をしていかれるのか。私も、今後もこの問題に関しては注視をしてまいりたいと思います。  さて、官庁における障害者雇用水増し問題の本質について伺っていきたいと思います。  昨年、中央官庁において、障害者雇用数の水増し問題が明るみに出て以降、これまで残念ながら、問題の本質がどこにあるのか、なぜ水増しが行われることになったのか、原因の部分は明確になっているとは思えません。  国の行政機関における障害者雇用に係る事案に関する検証委員会報告の中身をごく端的に言えば、各省庁において、障害者雇用促進法の理念に対して意識が低かった、関心が薄かった、ずさんだった、また積極的ではなかったなどと指摘が行われているものの、なぜ低かったのか、なぜ積極的でなかったのか、なぜずさんになったのかという原因については突きとめられていないままになっております。  約二十年間もの間、各省庁において障害者雇用数の不正が行われてきた。その背景となるものが何だったのか、問題を解明し、しっかり解決できる手だてがとられているかどうかも正直言ってわからないまま、数をこなすためだけの募集と採用 へと進んでいるようにも受け取れる部分がございます。  障害者雇用水増し問題の原因について、障害者雇用政策を所管する厚生労働省に改めて見解を求めます。 ○土屋政府参考人 お答え申し上げます。  障害のある方の雇用や活躍の場の拡大ということにつきまして、民間に率先して進めていくべき立場にある国の行政機関の多くにおいて、対象障害者の不適切な計上がございまして、法定雇用率が達成されていない状況が長年にわたって継続し ていたということにつきましては、極めて遺憾であったというふうに考えております。  今御指摘のございました、昨年十月に取りまとめられた検証委員会の報告書におきましては、今般の事案が生じた各行政機関側の根本原因として、国の行政機関において障害者雇用の促進を実効あらしめようとする基本認識の欠如、法の理念に対する意識の低さというものが根本原因として指摘をされているところでございますし、また、私ども制度を所管する厚生労働省に対しても、民間事業主に対する指導に重点が置かれ、国の行政機関で適切に対象障害者が雇用されているかの実態把握の努力をしなかったという厳しい御指摘をいただいているところでございます。  こういった御指摘を重く受けとめまして、これまでの対応を深く反省をし、公務部門も含めて障害者雇用の推進を所管するという我々の立場、責任を改めて自覚した上で、国における障害者雇用の促進にしっかりとした役割を果たせるように、 取組を強化してまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 今回、八千人ほどの希望者がいらした中、七百五十四人が合格に至っております。  法定雇用率達成には及んでいないので、引き続きの取組が重要となるかと思います。  ここで合格され採用されるに至った方々は、従前どのようにされていらっしゃった方なのかということにも着目しておかなければならないと思います。  法定雇用率達成に向けて努力を重ねてきた民間企業などの事業者で活躍していた人材を省庁に吸い上げてしまったのではないか、新たな雇用の拡大になっておらず、人材の流出になってしまったのではないかとなる民間事業者では、障害者人材 の募集に頭を抱えてしまっているということになっていないのか。何らかの形で影響についても気になるところです。  大臣は記者会見の中で、平成三十一年一月一日から三月三十一日までと四月一日に採用された方について、障害者種別、常勤、非常勤の別に加え、国家公務員の障害者選考に合格したため民間企業を離職した人数などについて調査をしており、その結果を踏まえて、民間企業への影響に関する対応について何ができるか検討していきたいと述べられております。  中央官庁にて今般採用された障害者の方々の前職の状況や、民間事業者への影響、さらに、それらの影響への対応などについてどのようにされているのか、厚生労働省の御見解をお聞かせください。 ○土屋政府参考人 各府省の採用計画に基づきます採用状況につきましては、今般調査を実施いたしましたところ、この四月一日までの採用数の合計が二千七百五十五・五人となっております。これは、雇用率のカウントでございますので、短時 間労働の関係もございまして〇・五人という数字が出ております。採用計画数全体が約四千人でございましたので、その全体の、六七・六%という進捗率になっているところでございます。  これらの採用者につきまして、前にどういった仕事をしていたかなどについての詳細な状況は把握してございませんが、各府省において採用した方について任意の聞き取りによって把握をしたという形で確認をしたところ、国家公務員の今回の 選考を受ける、あるいは合格をしたために民間企業を離職したという方の数は三百三十七人となっておりまして、これは採用者の一四・五%に相当するという状況でございます。  こうした結果を踏まえ、公務部門における障害者の採用というのは多様な入職経路で行われてはおりますが、その影響が生じている企業というものも一定程度あるというふうに考えているところでございます。  今後さらに、司法、立法機関や地方自治体の状況も把握をしてまいる予定でございまして、その上で、雇用率未達成の民間企業に対しましての取組としては、法令上の行政措置、例えば計画作成命令などにつきましては、本年については一時猶 予をし、ハローワークにおいてチーム支援を今後速やかに実施するなどによりまして、雇用率達成に向けての支援に重点的に取り組んでいくということを検討しているところでございます。 ○小宮山委員 結構、一四・五%いらっしゃるということで、かなり大きな数字になるかと思いますし、また、それまで合理的配慮をされて働いていた方が異動されてしまうということで、大変御苦労もされていると思います。どのような配慮を されるのか。猶予というだけではなく、やはりそこのところに関してもきちんとヒアリングをして、必要な手だてというもの、また、その手だてをする中で、今後の省庁の中での働き方、そして合理的配慮につながるヒントもあるんだと思いますので、ぜひその点も努力されていただくことを願います。  雇用された障害者の方々について、これから継続的に安定して雇用され続けるかどうかについても懸念の声があります。障害者権利条約にもある合理的配慮がそれぞれの職場でどのようにとられているのか。障害の内容はそれぞれ、一人一人異 なっており、配慮としてとられるべき内容もそれぞれ異なっています。就職、採用されたはいいが、勤務を続けることが難しいと感じられてしまうなどの事例が起きるのではないかと懸念もしております。  今回の法改正では、国及び地方公共団体の任命権者は障害者活躍推進計画を作成しなければならないものとされており、同推進計画において、障害者の採用に関する事項、障害者が職場定着し活躍できる職場づくりに関する事項なども取組として記載することが想定されております。  そこで、障害者雇用の継続、安定化、定着率について、どこの官庁、どこの部門が主体的にどのように対応していくのか、大臣より伺いたいと思います。あわせて、今回採用された方へのフォローアップ、先ほども言わせていただきましたが、 具体的にはどうやって行っていくのか、お伺いしたいと思います。 ○根本国務大臣 障害者の方が希望と能力に応じ活躍しやすい職場づくりを推進して、障害者の雇用の継続や、今お話がありましたが、職場定着を推進すること、これが重要だと認識をしております。  障害者を雇用する各府省において積極的に取り組んでいただくとともに、関係閣僚会議など政府一体となった推進体制のもとでフォローアップを行い、障害者の活躍の場の拡大等に向けた取組を着実に推進していきたいと思います。  各府省において積極的に取り組んでいただくという観点から、各府省において、例えば、障害者雇用の推進に関する実務責任者の配置、あるいは、働く障害者向けの相談窓口の設置、個々の障害者のサポートをする支援者の配置、委嘱、こういう体制を整備してもらって、そして支援、フォローを実施していきたいと思います。  厚生労働省としても、障害者雇用施策を所管する立場から、各府省の取組を最大限支援することや、働く障害者に対する支援などを実施することによって、障害者が活躍できる場の拡大に努めていきたいと思います。  そして、今回採用された方のフォローアップというお尋ねがありました。  繰り返しになりますが、私が今申し上げたような体制を各省で構築していただいて、支援、フォローを実施することと同時に、関係閣僚会議など政府一体となった推進体制のもとでフォローアップを行って、再発防止、そしてとりわけ障害者の 活躍の場の拡大に向けた取組を着実に推進してまいります。  加えて、公務部門における障害者雇用については、障害者雇用促進法に基づいて、毎年六月一日時点の障害者の任免状況を調査しております。引き続き実態把握にも努めていきたいと思います。 ○小宮山委員 具体的なフォローアップはどうされるのかというのは、先ほどの大臣の答弁の中で含まれるということで、認識してよろしいんでしょうか。 ○土屋政府参考人 失礼いたしました。  各府省で、まず個人個人の、採用された方への支援やフォローを丁寧に実施していくということが大事だろうというふうに思っております。先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、体制整備というような意味で、実務責任者の配置であるとか、やはり働く方々、さまざま、仕事の面でもいろいろな環境の面でも御相談事があると思いますので、その相談をできる窓口を設けていくとか、それから、介助というようなことを含めて、個別のサポートをする支援者の方の配置を、これは外部の人材も含めて、委嘱をするような形も含めて体制をつくっていくというようなこと、こういったことが個別の方々との間でしっかりと各府省で行われるということが大事であろうと思っております。  また、それを、政府全体としては、関係閣僚会議等の場で全体のフォローアップをしながら進めていくということでございますし、また、六月一日現在の任免状況というのをこれから確認をしていきます。そのことにあわせて、今申し上げたよ うな定着に向けての取組、そこから見える課題なども、各省から確認をして把握をし、改善をしていきたいというふうに思っております。 ○小宮山委員 そうなんですよね。今回の水増し問題が気がつかなかった理由の一つとして、全部がかかわっているから、ある意味、みんなが気がつかなければみんな気がつかない、気がついても、どこか言わなければというようなところも原因にあったのではないかと思います。  特に、今回の法案と水増し問題でいくと、厚生労働省が法律の所管でもあります。しかし、障害者政策といえば内閣府にもなる。そして、公務員の採用といったら人事院になっていく。そして、全て各省庁でやらなければならないという意味に おいては、どこが責任を持っているのか。どうして早くに見つけられなかったのか。じゃ、実際はここは担当はどこなのかというのは非常にわかりづらい。何となく、ぐるぐるぐるぐると、私どもも、私も、この問題が出たときに、内容を伺おう とすると、いや、あちらに聞いた方がいいんじゃないですか、いや人事院でしょう、いやいや内閣府でしょう、厚生労働省でしょうといって、ぐるぐるたらい回しにされてしまいまして、これはほかの方も同じことがあったというふうに聞いてお ります。  そして、障害者政策、特に合理的配慮をするという中において、非常に価値観の違いというものが一つある。それは、今までの行政などは、できるだけ効率をやはり求めなければ、税金を無駄にしないために、効率化という中で、一律に物事を 決めたりするという方向があります。しかし、障害者政策の、この合理的配慮をするときには、一人一人が違う対応をしなければならない。同じ型にはまらないという意味においては、非常に難しい、今までの概念や価値観というものが通用しな いことになります。  でも、それがある意味多様性の時代であって、ダイバーシティーの時代に合う政策であり、そして、必要な、一人一人に合わせた対応をするというのが求められている時代に入ってきている。  そして、それが、一億総活躍という言葉は余り私としては好んではおりませんけれども、一人一人が活躍できる。さっきも、障害者が活躍できる場をするためには一律ではできないというのが各法律をつくってきたこれまでの趣旨でもあり、そ して、それを形にするために、また、障害者権利条約を批准した日本だからこそ、次の段階に入らなければならないのが、非常に今危ぶまれている、そして、その対応に混迷をというか、苦慮をされているんではないかなというふうに思います。 就労に関して合理的配慮を確保するため、また経費もかかる場合が起こり得るんではないでしょうか。採用希望者の選考や、採用決定後、実際の勤務開始までの間にも、ある程度、どのような配慮が必要となるかについての確認が行われていま すけれども、実際の職場環境や配属先での仕事内容、そのほか、勤務が始まってから以降でないと気づかないような事柄も生じると考えます。  必要な経費、例えば少しの段差を抑えるであったりとか配置がえであったりとか、机とかの配置がえですね、とか、さまざま、使途目的とは異なる予算に基づくお金を流用してしまったなどとして、善意のはずが、処分対象となる不正とされて しまうのではないか、そんな事態が、現場に配慮をすればするほどあり得るんではないかということを考えてしまいます。  必要な合理的配慮への対応が過不足なく速やかにとっていけるのか、この点に関しては誰が責任者で、誰がこの合理的配慮に対する対応を、決裁をするのか、この点も、厚生労働省の方とお話ししていて、確信が持てないでおります。  合理的配慮を行うための経費が必要となる場合など、その対応とか決裁のあり方とか、また、配慮の内容として実行していくかどうかの判断をされる方は、どのように行われて、指名されていくのか、どのように権限を与えるのか、そしてその 権限を与える根拠とは何になるのか、確認させてください。 ○土屋政府参考人 まず、お話がございましたように、障害者の方々がその障害特性に応じて能力を十分に発揮していく、活躍する、できるようにするというためには、合理的な配慮をどうやって職場で具体化をしていくかというのは非常に大事 なことだというふうに思っております。  職場環境の整備であるとか、本人に対する物的、人的な支援の体制の構築であるとか、周囲の職員の障害に対する理解の促進といったようなこと、そういったことを含めての具体的なものをどうするかというのをよく考えるということでございまして、そのためには、採用前あるいは採用後の早い段階から御本人とよく話し合って、どういったことが必要になるかということを考えて、個別にそれぞれ考えていくということではないかと思います。  そういったものから出てまいりましたその具体的な対応については、全体としての体制としては、今般、各府省には、この法案のもとで、障害者雇用推進者という者を選任をしていただくことにしておりますので、この推進者の統括のもとで、各機関内で、多分、現場で判断をしなくてはいけないこともあると思いますし、また、それを全体として、省としてどうするかというのを考える場面もあると思いますので、それぞれの場面において、組織の中で適宜分担をしていただいて決めていくということではないかというふうに思っております。 ○小宮山委員 適宜分担して、結局、現場に任せるというところなんでしょうか。最終的に、各省庁内もそうですけれども、わからないことがあったら、厚生労働省への問合せ窓口があるかと思います。そういうところにおいて、ぜひ具体的に配 慮ができること、調整等もしていただきたいと思います。  また、私、四月二日が世界自閉症啓発デーでありまして、そのときのいろいろなパンフレット、各省庁、どんなのを出しているのかというのを取り寄せさせていただきました。  厚生労働省は、もちろん、どういうものかというのを網羅的に御紹介されているんですが、国土交通省がつくっているパンフレットは、駅員さんが、来た自閉症と思われる人と接するときにどういった説明をしたらわかるのか、具体的な事例を 挙げています。そして、最後のページには問合せ先、これは厚生労働省も含めて入っております。  こういったものでの啓蒙活動というのも重要かと思いますし、省内の中において言えば、親切のつもりで、そして合理的配慮をやったつもりが、それは健常者の考える合理的配慮であって、障害者が必要としている合理的配慮につながらない。 よくバリアフリーの建物などへ行くと、健常者の考えたバリアフリーであって、実際の障害者は使えないようなものも多々、あちらこちらに見受けられます。  ぜひその点も、しっかりとこれからの、実際に動き出しているものでもございますので、厚生労働省としても責任をしっかりと担っていただき、そして啓蒙も含めて、また自治体もしっかりと相談に乗りやすい体制もつくっていただき、対応し ていただければと思います。そこで、さいたま市の重度障害者の就労支援事業についてお伺いしていきたいと思います。  厚生労働省は、二〇〇一年の省庁再編の中で、雇用、労働についてを所管する旧労働省と、医療、福祉などを所管する旧厚生省が一体となって誕生しております。当時、障害者関係団体は、障害者の方々の中には、雇用と福祉に一体的に取り組まれる省庁ができたと期待されたとも伺っております。  ところが、現実には、労働と雇用に関する政策と福祉政策との間で連携がとれていない、ちぐはぐな対応が見受けられております。  近年、障害者支援のための法整備や制度整備が重ねられておりまして、移動支援であったり、ヘルパーさんからサービスを受けたり、手話通訳や要約筆記などの支援を受けられるといった場面も拡大してきています。  しかし、これらのサービスは、仕事に従事していない障害者が対象となり、就労にかかわる時間帯は受けることができなくなります。このため、勤務先までの通勤に福祉サービスを用いることもできませんし、また、職場において、食事の時間 など、ふだんから、みずからもなれているヘルパーさん、介助者の支援を受けたいと希望してもできないことになります。 福祉サービスは経済活動には使えないという原則があり、就労時における支援は企業、事業者などが担うべきものと整理されているためにこういった事態が起きています。  重度障害者が企業などで働く場合、障害者雇用促進法のもとの措置ではなく、障害者雇用給付金制度に基づく給付金として職場介助者助成金制度もありますが、残念ながら制度の使い勝手が悪く、ほとんど活用されていないのが現実です。  常に介護を必要とする重度障害者の方々が、在宅のまま何らかの仕事をこなすことができるようになった場合も、就労の間、重度訪問介護が受けられなくなるといった問題が生じています。筋ジストロフィーなど重度障害者の方々は、障害者総 合支援法に基づき重度訪問介護を利用できることとなりますが、近年パソコンなどを用いた仕事に従事できる方法も出てきているにもかかわらず、  仕事中は訪問介護を受けられません。  さいたま市では、市の独自サービスとして、今年度、三十一年度、市の予算において、在宅就労時も訪問介護が受けられるようにする重度障害者の就労支援事業を開始することとなりました。大変すばらしい取組として、障害当事者、障害者関 係団体などでは多くの方から歓迎の声が上がって、また注目も受けております。  このさいたま市の取組について、また同様の支援が広く各地でもとられる、採用されることが望ましいと考えますが、政府の御見解をお聞かせください。 ○橋本政府参考人 お答え申し上げます。  就労中の障害者を支援することは、障害のある方が活躍できる社会を築いていくために大変重要な課題であると認識しております。  御指摘のありました、さいたま市でございますが、平成三十年の地方分権改革に関する提案といたしまして、重度訪問介護の訪問先に係る制限の緩和ということを提案される一方、地方独自の取組ということで、常時介護が必要な重度障害者を 対象に、日常生活に係る支援を在宅就業中にも行う、重度障害者の就労支援事業というものを試行実施されたというふうに承知いたしております。  さいたま市の取組は、まさに今始まったばかりでございまして、今後、国としても、状況については注視をしていきたいというふうに考えております。  各地方公共団体におきまして公費をどのように使うかということにつきましては、それぞれ慎重な判断はあるというふうには考えますが、各地方公共団体が地域住民のニーズを的確に把握しながら、その地域の実情に応じた事業を実施していく ということは大変有用なものであるというふうに考えております。 ○小宮山委員 今回、障害者雇用水増し問題への対応ということもあり、かなりの省庁や地方自治体においても、従前の受験資格とされていた自力通勤可能な者という条件が削除されました。介助が必要であって、通勤などに対しての移動サービ スが必要であったりする障害者の方も、働く意欲があり、何らかの就労がかなえられてこそ、自立した生活への大きな一歩が踏み出せることになると考えます。さらには、納税者としてなり得るんだと思います。そうした道を模索することという のは、また、そしてそれを希望する障害者の方も大勢いらっしゃいます。  ぜひ、さいたま市での大英断の事例にも学んでいただき、就労時にかかわる障害者福祉サービス利用を認めるよう、ぜひとも方針の大転換を厚生労働省にしていただきたいと思います。  大臣、この点に関しまして御見解をお聞かせください。 ○根本国務大臣 障害者の在宅での就業支援、これについては、昨年十二月に閣議決定した平成三十年の地方からの提言等に関する対応方針において、「常時介護を必要とする障害者の在宅での就業支援の在り方について検討し、二〇二一年度の 障害福祉サービス等報酬改定に向けて結論を得る。  その結果に基づいて必要な措置を講ずる。」とされております。これを踏まえて、今年度、在宅で就業している重度障害者の実態を把握するための調査研究を行って、その就業支援のあり方について検討して、今後必要な措置を講ずることとしております。  先ほど委員の話にありましたように、今はパソコン、要は技術革新によって、在宅でも今までやれなかったような仕事ができるようになってくるという、環境も私も変わってきているんだろうと思います。その意味で、今後とも引き続き障害の ある方の活躍ができる社会を築いていけるよう取り組んでいきたいと思います。 ○小宮山委員 もう一歩踏み込んでいただきたかったなと思います。  そのサービスを受けることによって、また納税者になる。先ほどもどなたかが、午前中でしたか、眼鏡をかけていると障害と思うか、思わないかというような質問をされていたと思いますが、吉田さんでしたか、いなくなっちゃった。私もそう思います。少しの道具、また制度というものが少しあれば、障害ではなく、その能力を発揮できるんだと思います。  最後に、時間になりますので、大臣に質問させていただきたいと思います。対象となる障害者の範囲についてです。  障害者雇用率の計算のもととなる、障害者であるかどうかの確認は、身体障害者については身体障害者手帳で確認、知的障害者については都道府県知事又は政令指定都市市長が交付する療育手帳の類い、又は児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医若しくは障害者職業センターによる判定書により確認する、精神障害者については精神障害者保健福祉手帳で確認することとなっております。  障害者の手帳や指定医による診断書が証明するのは障害者の機能障害の原因や程度であって、職業生活上の制限や困難さをあらわしておりません。  障害者雇用促進法の本来の趣旨から考えれば、障害者手帳を持つか持たないかで線引きして対象とするか否かを判断するのではなく、職業生活上の制限や困難さを伴っている人を対象とするように改めていく必要があると考えます。  二〇一〇年一月に設置された障がい者制度改革推進会議の議論を踏まえ、障害者の範囲について、就労の困難さに視点を置いて見直すことについて検討し、二〇一二年度内をめどにその結論を得るとされておりますが、その後検討は進められておりません。  厚生労働省の、今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書、二〇一八年の七月三十日の公表のものですが、これでは、障害者雇用率制度の対象となる障害者の範囲について、障害者手帳でなく就労能力の判定等によることとして はどうかという意見が出たところ、制度の公平性等を担保するため、まずは、フランス等の諸外国における就労能力の判定の仕組みを十分に精査した上で議論することとすべきであると触れつつ、二〇一〇年の閣議決定については記述されており ません。  障害者雇用率など、計算する障害者の範囲については、手帳の所持といった医学モデルではなく、障害者権利条約に基づいて、社会モデルとしての観点で見直す必要があるのではないか。あわせて、法定雇用率自体の設定についても、対象とする障害者の範囲の見直しと諸外国の状況なども勘案して検討を行っていくべきと考えます。  この点について、大臣の御見解をお聞かせください。 ○根本国務大臣 障害者雇用率制度では、法的公平性と安定性を確保するため、対象とする障害者を明確かつ容易に判定できるよう、対象障害者の条件を、原則として障害者手帳等を所持していることとしております。  障害者雇用促進法という法律はありますけれども、その当てはめについては、障害者雇用促進法における障害者の定義は社会モデル、一方で、障害者の確認方法である障害者手帳や診断書は医学的観点から判断されております。障害者手帳は、 医学的観点からの身体機能や精神疾患の状態を基本としながら、日常生活の制限の程度によって等級を定めております。この当てはめについてはこういう整理であります。  また、法定雇用率、これは障害者雇用促進法において、常用労働者と失業者の総数に対する障害者である常用労働者と失業者の総数の割合をもとに決定することとされております。このような算定方法は、障害者にも一般の労働者と同様に雇用 の機会を確保するという趣旨に基づくものであります。  対象障害者の範囲については、労働政策審議会においても検討しております。本年二月に取りまとめられた意見書では、諸外国における仕組みも参考にしながら、労働施策と福祉施策の連携を詰めながら、引き続き検討することが適当とされて おります。このような指摘も踏まえて、適切に対応していきたいと思います。 ○小宮山委員 何とも、結局どうしたいのかがわからない答弁だなと思いますけれども、でも、前向きに、適切に対応していかれるということで、社会モデルも大きな転換で、しっかり取り入れていくというふうに捉えたいと思います。  そして、何よりも、今働き始めていただいている障害者の方々、しっかりと合理的配慮をされることによって、またその件に関してはきちんとフォローしていただきまして、長く働き続けられる、新しい可能性を省庁の中においても見つけられる、そんな活躍の場を提供されることをお訴えさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。