平成31年4月2日 衆議院本会議議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○議長(大島理森君) 小宮山泰子君。 〔小宮山泰子君登壇〕 ○小宮山泰子君 国民民主党の小宮山泰子です。  私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま提案されました建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)  冒頭、昨日、今上陛下の御譲位と皇太子殿下の御即位に伴う本年五月一日の改元に向け、新元号令和が発表されましたことに鑑み、一言申し上げます。  新元号が国民の生活の中に深く根づき、令和の時代が平和と繁栄の時代となることを望むとともに、御即位に伴う諸行事がつつがなくとり行われ、国民のみならず世界じゅうの人々がことほぐものとなることを祈念申し上げます。  それでは、質問に移ります。  まずは、今後の審議に当たり、国家の信用、さまざまな制度の信頼性を揺るがす、いわゆる統計不正問題を踏まえ、大前提として確認しておきたいと思います。  厚生労働省に端を発したものの、その後の一斉点検の結果、国土交通省においても不適切な事例が見つかりました。  本法案に関しても、政府の各種調査、統計データが用いられることとなりますが、前提となるデータが本当に正しいものなのかどうか、審議の前に確認する必要があります。  毎月勤労統計の不適切調査判明後、政府が重要と位置づける基幹統計に関する総務省の点検の結果、国土交通省では、建築工事統計の二〇一七年度の施工高において、十五・二兆円から十三・六兆円へと一・六兆円も下方修正されており、再発 防止策が問われております。  公文書改ざん、統計不正など、政府の信頼が失墜する中、本法案は国土交通省として重要政策の一つと位置づけられていると思いますが、審議に当たり、改めて、統計、データの大切さについて、また、万が一にも不正が発覚した場合の対応について、国土交通大臣の決意とともにお聞かせください。  さて、近年、地球温暖化対策をめぐる世界の情勢は大きく変化しています。  二〇一五年、京都議定書にかわる新たな温室効果ガス排出削減のための国際的な枠組みとしてパリ協定が採択されることを踏まえ、地球温暖化対策計画が策定され、二〇三〇年度の温室効果ガス排出量を二〇一三年度と比較して二六%削減する 中期目標が掲げられました。  温室効果ガス排出量の約三割を占める住宅・建築物分野については、二〇三〇年度の温室効果ガス排出量を二〇一三年度との比較で約四割削減することが求められており、戸建て住宅、マンション、オフィスビルなど、建築物の規模や用途、特 性に応じて省エネ対策を進めることが喫緊の課題となっております。  一方で、省エネ対策を進めるに当たっては、さまざまな不安や問題点も指摘されております。中小・小規模事業者からは、制度見直しに、技術面あるいは資金面で十分対応できるか不安だとも指摘されており、個人宅にお住まいの方からは、費 用がかかり難しいという声も耳にいたします。  省エネ対策に関する制度設計や運用に当たっての政府の検討や準備は十分なものと言えるのでしょうか。国交大臣に認識をお答えいただきたいと思います。  ポーランドで開催されたCOP24で、原田環境大臣は声明で、日本はGHG排出量を四年連続で削減してきた、二〇三〇年度二六%削減目標に向けた対策を着実に実施する、地球温暖化対策と経済成長を両立させながら、二〇五〇年度までに 八〇%の温室効果ガスの排出削減を目指す、成長戦略として、パリ協定に基づく長期戦略を策定する、自動車や住宅、ビルを含め、あらゆる分野の脱炭素化を実現するため、イノベーション創出とグリーンファイナンスを活性化させ、ESG金融 を主流化する、パリ協定の目標達成のためには今すぐ行動に移す必要がありますなどと表明され、日本のパリ協定におけるCO2削減活動が進んでいるとした上で、車両、住宅、非住宅のビルを示して、脱炭素化のため、ESG投資を主流化して いくと表明されております。  住宅の断熱性能の義務化の流れは、京都議定書でスタートしたCO2排出量等削減による気候変動対策から始まっています。その後、パリ協定を踏まえて更に追加の省エネ対策が必要となるなど、住宅の省エネ基準の義務化は国際条約案件となっています。  しかし、日本の住宅省エネ基準は昭和五十年代のオイルショックに端を発しており、後の法改正後も旧態然とした基準にとどまるとの指摘もあります。当初から住宅への完全義務化を行わなかったことが今後の気候変動対策にどのように影響し ていくと考えるのか、環境大臣に見解を伺います。  省エネ基準への適合について、義務の対象を拡大することで、対象建築物の数は年間約三千棟から約一万七千棟と六倍近く増加いたします。都市部のみならず、地方の建築物も対象となると考えられ、申請者側、審査する側双方の業務負担が大 幅に増大することとなり、現場では、審査の遅延など混乱が生じるのではないかとの懸念が持たれております。  また、冒頭触れたとおり、各種データの正確性が重要であり、不正対策強化も課題となります。  検査等の業務について負担がふえることは間違いありません。人手不足や人員削減の波にさらされている所管行政や市町村、また関係企業などにおいて、人件費の増加のみならず、職員への負担が増すなども予想されます。  また、本件監督のため、監督官庁や関連団体のポストや権益の増加につながることも懸念されます。  負担増が予想される中、関係者がよりスムースに作業、対応を実行できるような具体的な方策について、また、ポストや権益がふえ、いわゆる焼け太りにならないかとの懸念に対して、国土交通大臣からの明確な御答弁をお願いいたします。  さて、日本の住宅建築では、元来、開口部を広くとるなどして、通気性、空気の流動性を高くとり、単に室温に着目するのではなく、湿度も含めて、過ごしやすさ、心地よさを実現することも重視されてきました。日本の建築文化の基本と捉え てもよいと思いますが、省エネ基準の義務化が進んでいくことで、窓などの開口部はより小さくなるなど、変質していくことも懸念されております。  石場建て、土壁などによる伝統的構法の住宅は、省エネ基準への適合が困難な面もあるため、一定の配慮が必要となります。伝統的構法を選択することもできる道を閉ざさないよう、可能な限り柔軟な対応のもと進めていくことをお願いいたしたいと思います。  省エネ住宅として気密性ばかりを追求するのではなく、風通しのよい日本建築のよさを失わないことも大切にしていただきたいと思いますが、大臣の見解をお聞かせください。  省エネ対策には、坪庭など植栽や緑化も有効な手段です。機器や設備の省エネ機能とともに、植栽や緑化も進めることにより、さらなる効果が得られ、見た目にもきれいで快適な空間が広がります。言うなればソフトとハードの両面で進めるこ とが重要だと思いますが、国土交通大臣のお考えを伺います。  今回、主に新築の建築物を対象とした改正内容となりますが、膨大な数の既存ストックが存在しております。新築のみならず既存建築物の省エネ対策も進めることによって初めて、横断的な効果が得られると考えます。  既存建築物の省エネ性能を向上させるには、新築時における省エネ性能向上のための措置に比べて一般的に高コストになるなど、さまざまな課題があります。既存建築物の省エネ性能の向上に対して今後どのように取り組んでいくのか、国土交 通大臣、お答えください。  省エネ住宅、超省エネ住宅、外断熱住宅、無暖房住宅、パッシブハウス、ソーラーハウス、スリーリッターハウスなど、省エネ住宅としてさまざまな呼称が使われております。名前だけでは、どれがどのように省エネルギーなのかわかりません。  EU全土で義務化されている家の燃費を表示する証明書、エネルギーパスが日本にはございません。  EUでは、一年を通して快適な室内温度を保つために必要なエネルギー量が、床面積一平方メートル当たり、どれだけ、何キロワットアワー必要か数値化され、賃貸契約や売買契約時の指標の一つともなっています。エネルギーパスを導入した ことで、居住者はもとより、より快適で光熱費のかからない家を求める基準が明確になり、省エネ住宅の普及につながりました。  EUのようなスマートパス制度の導入が省エネ住宅普及に有効な手段だと考えますが、国土交通大臣の御所見をお聞かせください。  住宅・建築物分野の省エネ対策を進めることは喫緊の問題ですが、運用面での課題も数多くあり、不安視する声も少なくありません。実際の現場における運用が適切に行われて初めて、本来の効果が発揮されます。政府には、特に、現場の関係者の声によく耳を傾けながら、運用面について不断の検討を行うことを強く求めます。  さて、本日は、国連の定めた世界自閉症啓発デーです。また、本日から八日まで、発達障害啓発週間でもあります。この期間、東京タワー、私の地元川越市では最明寺など、世界各地のランドマークが癒やしや希望を示す青色でライトアップさ れるなど、世界各地でさまざまな啓発イベントが行われます。  国民民主党は、一人一人がかけがえのない個人として尊重され、多様な価値観や生き方を認め合いながら、ともに生きていく国を育んでいくことを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔国務大臣石井啓一君登壇〕 ○国務大臣(石井啓一君) 小宮山泰子議員にお答えをいたします。  法案の策定等に当たって用いられている統計やデータの重要性についてお尋ねがありました。  施策の立案や推進等に当たり、適切な統計、データを用いることは、言うまでもなく極めて重要であります。  今般の毎月勤労統計における不適切事案を契機といたしました基幹統計の点検において、国土交通省所管の統計でも是正すべき課題があったことは極めて遺憾であります。  国土交通省といたしましては、こうした事態が再発することのないよう、統計、データの適切さの確保を徹底していく所存であります。  今回の法案の検討に活用いたしました省エネ基準への適合率などのデータにつきましては、社会資本整備審議会等に調査のプロセスも含めてお示しした上で議論をいただくなど、データの適切さの確保には細心の注意を払っております。  また、今回の法案に盛り込まれた施策は、今後把握等をされるデータを踏まえて推進、検証していくこととなりますが、こうしたデータにつきましても、適切さの確保に万全を期していく所存であります。  本法案に盛り込まれた施策に関する検討や準備の状況についてお尋ねがございました。  住宅・建築物の省エネ対策は、御指摘のとおり、中小の住宅生産者等の事業者に与える影響や消費者に与える影響などを的確に把握しながら検討を進めることが重要と考えております。  このため、本法案の検討に当たりましては、住宅・建築物の省エネ基準への適合の状況を事業者の特性別に把握するとともに、中小工務店等の御意見をヒアリングする等によりまして、関連する事業者に与える影響を把握しております。  また、消費者に対する影響につきましても、住宅の省エネ性能の向上に必要となるコストの試算等を行うとともに、消費者の省エネに対する意識等に関するアンケート調査を行う等により把握をしております。  社会資本整備審議会におきましても、こうした情報を踏まえた議論が行われており、本法案は、事業者や消費者に与える影響を的確に勘案した内容となっていると考えております。  また、本法案に盛り込まれた施策の円滑な施行に向けまして、関連事業者に対する講習会の開催等によりこれらの施策に関する周知の徹底を進めるとともに、これらの施策の推進に当たりましても、関連事業者や消費者に与える影響を的確に把 握しながら円滑な運用に努めてまいります。  適合義務制度の対象拡大に伴う関係者への負担や国の役割への影響に関してお尋ねがありました。  適合義務制度の対象拡充等に当たりましては、関連事業者や審査を担う機関に過大な負担を与え、現場が混乱することがないようにすることが重要と考えております。  本法案により新たに適合義務制度の対象とする中規模建築物は、既に届出義務制度の対象であるため、関連事業者の負担を大幅に増加するものではないと考えておりますが、講習会の開催等による周知徹底等を進め、申請手続の円滑な実施を図 ってまいります。  また、適合義務制度の審査については、事務の中心となる民間の省エネ判定機関に対するアンケート結果を踏まえれば、本規制の施行までの二年間において必要な体制の整備が整う見込みでありますが、各機関の準備状況等のフォローアップや 必要な調整等を適切に行ってまいります。  なお、審査を担う省エネ判定機関については、既存の民間機関が中心となると考えられることから、本改正案は、こうした民間機関を監督する国の役割の範囲に大きな影響を与えるものではないと考えております。  風通しのいい日本の伝統的構法による住宅のよさへの配慮についてお尋ねがありました。  土塗り壁や大きな開口部が一般的な伝統的構法による住宅は、断熱材の施工が困難であること等により、高い断熱性を確保することが難しい面があります。  このため、現行の届出義務制度では、所管行政庁が認める場合に、壁や窓などの断熱性能に関する基準を適用除外とするなど、伝統的構法による住宅の供給に配慮をしているところであります。  本法案では、小規模住宅等に係る建築士から建築主への説明義務制度の創設を盛り込んでおりますが、本制度でも同様の緩和措置を適用するとともに、所管行政庁による運用が円滑に進むよう、対象とする住宅の仕様を例示すること等を検討し ております。  これらの措置を通じまして、日本の伝統的構法による住宅の供給と省エネ性能の向上の両立を図ってまいります。  住宅・建築物の省エネ性能の向上等に向けた緑化の重要性についてお尋ねがありました。  住宅・建築物の省エネ性能の向上を進めることにあわせて、建物の状況等を踏まえて周辺の緑化を進めることは、例えば、落葉樹を植樹することにより、夏季において、日射の室内への流入を抑制することを通じて、冷房に係るエネルギー消費 を抑制する効果があると認識をしております。  また、建物周辺の緑化は、居住者や利用者にとって快適で豊かな環境の提供にもつながるものと考えております。  本法案に盛り込んだ施策の円滑な推進に向け、関連事業者等に対する住宅・建築物の省エネ対策に関する講習会を実施していくことを予定しておりますが、こうした機会を活用いたしまして、建物周辺の緑化を進めることの効果につきましても 周知を進めていきたいと考えております。  既存の住宅・建築物の省エネ対策についてお尋ねがありました。  省エネ対策の推進につきましては、新築の住宅・建築物に係る対策とあわせて、既存ストックに係る対策を推進することが重要と考えております。  本法案は、新築の住宅・建築物の省エネ性能を向上させるための措置を中心としておりますが、既存建築物の一定規模以上の増築、改築につきましても、適合義務制度、届出義務制度及び説明義務制度の対象としているところであります。  また、既存ストックの省エネ性能の向上を図るため、省エネリフォームに対する税制及び財政上の支援を推進しており、今年度は、次世代住宅ポイント制度の実施や木造住宅の省エネリフォームに対する財政上の支援の充実を行うこととしてお ります。  今後も、新築の住宅・建築物の省エネ対策の推進とあわせて、既存ストックに係る省エネ対策も推進をしてまいります。  欧州連合加盟国で行われております住宅の賃貸時や販売時における省エネ性能に係る情報提供の義務づけについてお尋ねがありました。  欧州連合加盟国では、住宅の賃貸時や販売時において、借り主や買い主に対して住宅の省エネ性能に係る情報を提供することが義務づけられているものと承知をしております。  住宅の省エネ性能の向上に向けて、住宅の流通段階においても、当該住宅の省エネ性能に係る情報の提供を通じて、高い省エネ性能を有する住宅が市場で高く評価されるような環境整備を図ることは重要と考えております。  しかしながら、現段階では、新築時における省エネ性能の評価が行われていない物件も多数存在することもあり、流通時に省エネ性能の評価、説明を義務づけることは、評価コストの負担等の課題があり、慎重な検討が必要と考えております。  このため、まずは新築時における省エネ性能の評価を普及させることが重要と考えており、本法案に盛り込まれた説明義務制度を適切に推進していくことによりまして、着実にその普及を図っていきたいと考えております。(拍手) 〔国務大臣原田義昭君登壇〕 ○国務大臣(原田義昭君) 小宮山議員から、今後の気候変動対策への影響についてのお尋ねがございました。  小宮山議員におかれましては、日ごろ環境政策に非常に積極的に取り組んでおられること、心から敬意を申し上げたいと思います。  パリ協定の目標の達成に向けては、家庭・業務部門の温室効果ガス排出削減のため、住宅・建築部門における取組が極めて重要なものと考えております。  新築住宅分野への規制を強化する本法案に盛り込まれた施策とその他の施策を総合的に講じることにより、二〇三〇年度二六%削減目標の達成のためには今回のこの措置が必要なエネルギー削減となり得るというふうに見込まれているものと承 知をしているところであります。  ただ、環境省としては、今後、長期目標の達成も見据えながら、地球温暖化対策計画のフォローアップ等を行っていく中で、本法案の施策の効果を把握していくとともに、さらなる対策が必要とされた場合には、関係省庁とも連携して、住宅分 野の取組を更に強化してまいりたいと思います。 (拍手)