平成30年12月4日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未 定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○谷委員長 次に、貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、盛山正仁君外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会及び日本維新の会の六会派共同提案により、お手元に配付してありますとおり、貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会の提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。津村啓介君。 ○津村委員 国民民主党の津村啓介でございます。  本起草案の趣旨及び内容につきまして、提出者を代表して御説明申し上げます。  我が国の国民生活及び経済活動を支えるトラック運送事業においては、一部に長時間労働を前提に事業を行う等法令を遵守しない事業者が存在し、事業の健全な発達を図るための規制の適正化が求められています。  一方、トラック運転の業務について、平成三十六年度から時間外労働の限度時間の設定がされること等を踏まえ、運転者の不足により重要な社会インフラである物流が滞ってしまうことのないよう、緊急に運転者の労働条件を改善する必要があります。  本起草案は、このような現状に鑑み、貨物自動車運送事業の健全な発達及び事業用自動車の運転者の労働条件の改善を図るほか、運転者の不足により国民生活及び経済活動の重要な基盤である円滑な貨物流通に支障が生ずることのないよう必要な措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。  第一に、一般貨物自動車運送事業等の許可の欠格事由を拡充するとともに、事業の許可基準においては事業計画が事業用自動車の安全性を確保するため適切なものであること、約款の認可基準においては原則として運送の役務の対価としての運賃とそれ以外のサービス等に係る料金とを区分して収受することを明記するなど、規制の適正化を図ることとしております。  第二に、貨物自動車運送事業者等の輸送の安全に係る遵守義務を明記するとともに、事業の適確な遂行に関する遵守義務規定を新設することにより、事業者が遵守すべき事項を明確化することとしております。  第三に、貨物自動車運送事業者が法令を遵守して事業を遂行できるよう荷主の配慮義務を新設するほか、既存の荷主勧告制度について対象を拡大する等の制度の強化を図ることとしております。  第四に、時間外労働の限度時間が平成三十六年度から設定されるため、平成三十六年三月三十一日までの間、貨物自動車運送事業者の法令違反の原因となるおそれのある行為をしている疑いのある荷主に対し、国土交通大臣は、関係行政機関と連携して、荷主の理解を得るための働きかけを行うことができ、さらに、荷主への疑いに相当の理由がある場合は、違反原因行為を行わないよう要請し、要請をしてもなお改善されない場合は、公表を前提とした勧告を行うことができる制度を新設することとしております。  また、同日までの間、国土交通大臣は運輸審議会に諮り、一般貨物自動車運送事業の能率的な経営のもとにおける適正な原価及び適正な利潤を基準とした標準的な運賃を定めることができることとしております。  以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。  何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。  ありがとうございました。 ○谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本件について発言を求められておりますので、 順次これを許します。小宮山泰子君。 ○小宮山委員 国民民主党の小宮山泰子でございます。  委員会提案、貨物自動車事業法改正案に対する質疑をさせていただきます。  トラック運輸事業は、昭和二十六年に全面改正された道路運送法により、需要調整をベースとした免許制度や許可運賃制度等の事業規制のもと、高度経済成長期による輸送需要の増加や幹線道路の整備を背景に発展をいたしました。  平成二年に、道路運送法の貨物部分を新たに法制化した貨物自動車運送事業法が施行され、トラック運送事業の需給調整規制廃止等の変更が行われました。この規制緩和により、トラック運送業界には新規参入が相次ぎ、平成二年当時は四万社だったが、平成十七年には現在とほぼ同等の約六万社に増加をしております。  従来から中小事業者が大半を占めるトラック運 送事業者は荷主に対して弱い立場にあり、元請の大企業が受注し、実運送は下請の中小事業者が担う多重下請構造が拡大しているため、バブル崩壊後の景気低迷により、厳しい経済環境の中、過当競争が激化し、運賃・料金の低下により経営環境が悪化していると聞いております。現在は、法令に違反して事業許可取消しを受けた者の短期、欠格期間二年ですが、での参入や、同事業取消しの処分逃れのための自主廃業を行う者、処分を受けた者と親密な関係者による参入なども散見されております。  規制の適正化により、悪質な事業者を業界から排除することが可能となるか、この法案においての見解をお聞かせください。 ○津村委員 御質問ありがとうございます。  ただいまの小宮山泰子委員の御指摘のとおり、現行法では、事業許可の取消しを受けるなどした者は、二年間の欠格期間の後に、再度事業への参入が可能となっております。本法案では、バス事業者などの旅客自動車運送事業者同様、欠格期間を五年に延長しまして、再参入の規制を厳格化しているところでございます。  また、貨物自動車運送事業者が処分逃れのために自主廃業した後に再度参入する場合は、本法案では、廃業後五年間は再度の参入ができないこととしております。  同様に、許可を受けようとする者と密接な関係にある者が取消処分を受けている場合も、処分後五年間は参入ができないこととしております。  このような欠格期間の延長や欠格事由の新設によりまして、悪質な事業者が排除され、業界の正常化が一層進むことを期待しております。  以上です。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  運送事業者は、荷主との交渉力が弱いために、現状、必要なコストに見合った運賃を収受することができていないために、運転者は収入を確保するために長時間労働も余儀なくされています。また、荷主の方からは、発した荷主から受け取った着荷主からの指示によって、料金を収受できない積込みや荷おろし、棚入れなどの作業をサービスとして強要されるケースもあると聞いております。またこれも多発していると聞いております。  運転者の長時間過重労働や対価を伴わない役務の発生に対して、本法案はどのように問題解決されていくこととなるのか、説明をお願いいたします。 ○津村委員 小宮山委員の御質問にお答えいたし ます。  本法案では、平成三十六年三月三十一日までの時限的措置ではありますが、一般貨物自動車運送事業の能率的な経営のもとにおける適正な原価及び適正な利潤を基準として、国土交通大臣が定める標準的な運賃を告示する制度を導入することとしております。これによりまして、立場の弱い貨物自動車運送事業者が荷主との交渉を一層進めやすくなり、適正な運賃を収受することができるようになることを期待しているところでございます。  また、本法案では、運送約款におきまして、原則として運送の役務の対価としての運賃とそれ以外の役務又は特別に生ずる費用に係る料金とを分別して収受することを定めさせることとしております。これによりまして、運送以外のサービス等が発生した場合には、それに応じて料金を請求しやすくなる効果があるものだと考えております。  運送事業者において一定の適正な収入の確保が可能となれば、運転者の労働時間の短縮その他労働条件の改善に取り組むことにつながると期待しております。  本法案が我が国の国民生活及び経済活動を支えるトラック運送業の健全な発展に資することを期待しております。  以上です。 ○小宮山委員 大変ありがとうございます。  これまでなかった、約款をしっかりと提示をすること、そういうのは本当に重要かと思いますし、本日、盛山委員の方から提示もありましたけれども、原価及び適正な利潤を基準とした標準的な運賃を定めることができる、これも提示されるということになれば、さまざま課題はありますけれども、いい方向に行くのではないかと思っております。特に、事業者が遵守すべき事項を明確化することにより、運転者の過重労働の防止というものにつながることもこの法案によって期待をされますし、また、社会保険未加入事業者の問題など、さまざまな課題が取り組まれることを期待しております。  この法案が通ることにより、貨物自動車運送事業の健全な発展及び事業用自動車の運転者の労働条件の改善が図られることが先ほどの質疑によって確認がとれましたので、そのことも期待をいたしまして、私の質疑といたします。  ありがとうございます。