平成30年12月4日 衆議院環境委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○伊藤委員長代理 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 大臣におかれましては、先般の所信的挨拶に対しての質疑をさせていただいたときに、本当にこの分野、久しぶりではありましたが、さまざま課題があり、質問し切れなかった部分、特にグリーンインフラについて質問をきょうはさせていただきたいと思います。  さて、近年、健全な生態系が有する防災・減災機能を積極的に活用して災害リスクを低減させるEco―DRR、エコシステム・ベースド・ディザスター・リスク・リダクションというんでしょうか、という考え方が注目されております。国際的にも、生態系が持つさまざまな機能を社会づくりに積極的に活用する取組として、EUでは、暮らしを支える社会資本、グリーンインフラストラクチャーとして捉えられ、ネットワーク化し、計画的な活用がされているところであります。  このグリーンインフラは、植物を始めとして自然の中にある力や機能をうまく活用することで有効なインフラ整備につなげていき、また低コスト化も図っていくなど、特に先進諸外国で積極的に活用がされているものであります。まず、このグリーンインフラに関する環境大臣の認識をお聞かせください。 ○原田国務大臣 環境省では、生態系の多様な機能を国土づくり、地域づくりに生かすグリーンインフラは、生物多様性の保全とともに、地域の強靱性向上にも資するものと考え、その推進をしっかりと図っているところでございます。 ○小宮山委員 生物多様性国家戦略二〇一二―二〇二〇は、東日本大震災の教訓を受けて制定されました。防災、減災の観点からも、生態系の保全や再生が重要であるとしております。国土強靱化基本法、同計画でも、自然との共生及び環境との調和に配慮することとあり、また社会資本整備重点計画では、国際的な議論や取組が活発化している状況も踏まえ、我が国においても積極的に取り組む必要があるとあります。  環境省のこれは、自然と人が寄り添って災害に対応するという考え方の、我が国の行政計画における位置づけに書いてある言葉でもございます。  それでは、具体的にどのような計画に、この六年ですか、つながったのか、環境省としての成果についてお聞かせいただければと思います。 ○正田政府参考人 お答えいたします。  ただいま生物多様性国家戦略につきまして御指摘いただいたところでございますが、これに加えまして、最近の動きといたしまして、一つは、本年四月に閣議決定いたしました環境基本計画におきまして、その重点戦略の一つといたしまして、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進めるグリーンインフラに関する取組を推進することなどを位置づけまして、例えば、生態系の機能を評価し、積極的に保全、再生することで、生態系を活用した防災、減災を推進することとしたところでございます。  また、本年十一月閣議決定されました気候変動適応計画におきましても、グリーンインフラや生態系を基盤とするアプローチによる適応の取組は、防災、減災、炭素貯蔵を通じた緩和策への貢献、地域社会における多様な社会、経済、文化の互恵関係の創出を生み出し、生物多様性の保全と持続可能な利用への貢献など、さまざまな効果が期待できるという位置づけがされたところでございまして、これに沿いまして、関連する施策の推進を図るとされたところでございます。 ○小宮山委員 グリーンインフラに関して、私自身は、国土交通委員会の方でも質疑と提案等をさせていただいていました。  これに関連する法案としては、自然再生推進法や生物多様性基本法、水循環基本法など、さまざまがかかわってくるものでもあります。社会資本整備交付金等での活用というのは重要なポイントかもしれません。  また、日本においても、遊水地や水循環、雨水流出抑制等のための貯蔵施設等、また都市緑化、緑の防潮堤など、さまざまな活用ということが考えられるかと思います。  ぜひ、これから日本においても計画的に活用すべきことだと思いますので、また、国家戦略の中にもあります二〇二〇年以降には、ぜひ具体的な提案につながるようにしていただければというふうに考えます。  大臣にまた聞きたいんですけれども、グリーンインフラという考え方は、公共インフラ整備を主に所管している国土交通省と限らずに、環境省としても推進、取組を図られていくことが重要かと考えております。この点に関しまして、やはり環境を守ること、場合によっては、日本に導入されたとき、グリーンインフラに対抗するように、グレーインフラという表現でコンクリートやさまざまな人工物を備えられたとかあります。  この両者というのは、私自身は両立するものだとは考えておりますが、やはり自然の力や生物多様性の力というものを生かした国土づくりというのは、環境省がリードするべきではないかと考えております。この点に関しまして、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。 〔伊藤委員長代理退席、委員長着席〕 ○原田国務大臣 おっしゃるように、それぞれの省庁は、みずからのプロパーの分野をしっかりまた守っているところでございます。  御指摘のように、国土交通省がインフラ整備についてはしっかりやっておられるわけでありますけれども、同時に、私ども環境省では、生態系を活用した防災、減災のパンフレットの作成や生態系の機能評価にかかわる研究の支援等を進めることで、グリーンインフラの活用拡大に向けて取り組んでいるところでございます。  私どもとしては、地域づくりを担う自治体への普及を図り、グリーンインフラ活用拡大に向けて引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思っております。 ○小宮山委員 大臣の、積極的に活用をということで、感謝いたしますし、また、ぜひ実現をしていただきたいと思います。  というのは、実はグリーンインフラというのは、国土形成計画における定義はございますが、どうも、導入目的や対象は、大変幅広いがために、国際的に統一されていないというところでもございます。この点も、ぜひ日本がリードをして、さまざまな自然環境がある日本だからこそ、このグリーンインフラという定義、国際的な定義、またリードしていただければと思っております。その点を提案させていただきます。  さて、緑の部分から、とても身近なところに参りますけれども、古紙等の資源ごみの持ち去り問題についてお伺いしたいと思います。  古紙、空き缶、アルミ缶やスチール缶、ペットボトル、瓶、古着など布類、金属など、不用品、ごみとして家庭から出されるものがございます。  不用品として出されるものがあります。  しかし、回収の後、再資源されることなく、その前に持ち去りを地域でされているという問題が全国各地、特に都市部と聞いておりますが、起こっているようであります。このうち、古紙については、国内で消費される紙の質が高いということもあり、中国向けなど海外に相当量が流れているという指摘もございます。  資源ごみの持ち去り問題に対して、超党派資源リサイクル推進議員連盟において、先般、関係団体よりヒアリングを行いました。今後はこの中では、法制度を整えるなど、こういったものを視野に検討を重ねていくことでありますが、では現実はどうなっているのかということです。  資源ごみの持ち去りに際して、現状どうなっているのか、環境省での取組について御答弁をお願いいたします。 ○原田国務大臣 さまざまなごみ、廃棄物が有効な形で再利用される、リサイクルされる、これは極めて大事なことだと思っております。  今回、古紙等の資源物、いわゆる資源ごみの持ち去りについて、昨年度環境省が調査しましたところ、全国の約五割の自治体で持ち去り事案が起こっておる、約二割の自治体において持ち去りを規制する条例等が制定されているということであります。また、持ち去られるものは空き缶や古紙が多いという結果でありました。  資源ごみ持ち去りは、各自治体の円滑なリサイクルの推進を阻害するものであり、各自治体ごとの実情に応じ、条例やパトロールなどの対策がなされております。  環境省としては、引き続き、自治体の取組状況を調査し、実態把握に努めるとともに、その結果の周知により各自治体における資源ごみの持ち去り対策を支援してまいりたい、こういうふうに思っております。 ○小宮山委員 この問題というのはなかなか難しいものがあります。捨てればごみ、使えば資源という言葉があるかと思いますけれども、本当に、不要だからといって出したものが、これはでは誰のものなのかというのもわかりづらい。  だからこそ、条例を制定をし、その中で取締り等をされているというふうにも伺っておりますが、せっかく使える資源であるならばしっかりと管理をするべきでもありましょうし、それが、ある意味、持ち去ることでの利益というもの、これは社会通念上どうなのかという部分もあるかと思います。そして、何よりも、その中からまた要らないものは不法投棄に回るということも事例として挙がっているようでもあります。  この点に関しましては、所有者の問題、また置場の問題、そして、この資源ごみが、リサイクル、金銭にかわり、場合によっては育成会や地域の活動というところに潤いとなって戻る。そういう意味においては、資源の循環というのは地域の活動の循環の原資になっていることもあるかと思っております。  そういう意味において、私どもとしては、やはり条例では既にもうカバーし切れない部分、問題も起きている、裁判沙汰になっていることも起きていると聞いておりますので、やはり法整備など、さらなる支援又は整備というものが日本も必要なのではないかと考えております。  その点に関しまして、大臣、やはり資源の有効活用、また地域のため、通告はしておりませんけれども、ペーパーを読まずにお答えができる、そういう意味においては信頼ある大臣でもございます。最後に何か、いま一度御回答いただければと思います。 ○原田国務大臣 おっしゃるように、ごみが、捨てればごみですけれども、これを再利用すれば本当に大事な資源になるわけであります。今お話ありましたように、また私もこれを学習する過程で、本当にいろいろな対応があるなと思います。  つきましては、全体をしっかり管理する、これを、しかも、自治体にもメリットがあり、またいろいろなそういう団体にもメリットがあるという意味では、一方的な結論ばかりじゃなくて、全体を本当に目的に沿った管理ができるように努力したいと思っております。 ○小宮山委員 心強い回答、ありがとうございます。  環境というのは一日でできるものでもないし、自然環境も一日で育つものでもありません。また、意識というものも一日で醸成されるものでもありません。そういう意味においては、さまざまな分野において、環境意識、これは地球市民としての意識もあるかもしれません。やはり日本が、その分野においては、地域から日本全体、そして世界に向けてリードする、そんな国づくり、そして環境省であっていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。