平成30年11月30日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○谷委員長 引き続き、国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、盛山正仁君外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会及び日本維新の会の六会派共同提案により、お手元に配付してありますとおり、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。盛山正仁君。 ○盛山委員 本起草案の趣旨及び内容につきまして、提出者を代表して御説明申し上げます。  我が国において、障害の有無、年齢等にかかわらず全ての国民が共生する社会の実現に向けた取組を進めることが必要となっており、バリアフリー化の推進のみならず、あらゆる人が活力ある日常生活を送り、社会活動に参加することができるユニバーサル社会の実現が求められております。  一方、我が国においては、障害者、高齢者等に関する個別の施策は大きな進展を見せているものの、これらの施策を統一的かつ有機的な連携を持って進める仕組みが不十分であることが指摘されております。  本起草案は、このような現状に鑑み、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の推進に関し、国などの責務を明らかにするとともに、その実施状況の公表及び策定等に当たっての留意事項等を定めることにより、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策を総合的かつ一体的に推進しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。  第一に、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の推進に関する国及び地方公共団体の責務並びに事業者及び国民の努力を定めることとしております。  第二に、国は、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策を実施するために必要な法制上又は財政上の措置等を講じなければならず、地方公共団体は、必要な財政上の措置等を講ずるよう努めなければならないこととしております。  第三に、政府は、毎年一回、政府が講じたユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の実施状況を取りまとめ、公表しなければならないこととしております。  第四に、国及び地方公共団体がユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の策定及び実施に当たって、特に留意しなければならない事項を定めることとしております。  第五に、国及び地方公共団体は、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策を策定し、及び実施するに当たって、障害者、高齢者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。  第六に、政府は、関係行政機関相互の調整を行うことにより、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進を図るため、ユニバーサル社会推進会議を設けることとしております。  以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。  何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。 ○谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本件について発言を求められておりますので、これを許します。宮本岳志君。 ○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。  ユニバーサル社会推進法案を起草したいとのお話を伺ってから、私も、障害者団体、高齢者団体、LGBTの団体、それからユニバーサルデザイン推進条例をつくった中野区の審議会の委員を務められた方などからいろいろと御意見を伺いました。  その上で、幾つか確認をしたいと思います。  本法案は、障害者基本法やバリアフリー法などに基づく施策をユニバーサル社会の実現に向けた施策として総合的、一体的に推進しようというものだと理解しております。  そうであれば、ユニバーサル社会の実現のためには、その施策を規定している個別法をより充実させることが必要で、実際、障害者団体などからもそうした要望が出ております。  例えば、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会がことし一月二十九日に自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟に宛てた要望書では、バリアフリー法改正及び関連施策についての要望事項として、可能な限り、改正法に移動の権利を明記するなど法律の目的を明確に規定してほしいなどの事項が並んでおります。残念ながら、さきのバリアフリー法改正では、移動の権利は盛り込まれませんでした。  しかし、本法案は、第八条第三号で移動の利便性及び安全性の確保をうたい、第六条で法制上の措置が規定されております。  今後、こうした団体の要望にも応えて、移動の権利を始め、個別法をより充実したものに改正していく、そのことを促していく法案であると私は理解したいと思いますが、いかがでございましょうか。 ○盛山委員 今、宮本先生が御指摘いただいた自民党の議連の事務局長を私は務めておりまして、その御要望は承りました。  ただ、今回のいわゆるバリアフリー法の改正は政府提出の法案ということでございまして、この移動の権利につきましては、平成二十五年に交通政策基本法が制定された際、関係審議会において議論が行われました。また、改正バリアフリー法の立案に対する政府と関係者団体との検討会でも議論があったものと我々も承知をしております。  そして、それらの議論の場におきましては、移動の権利の内容等について、まだ実定法における権利として規定できるだけの国民のコンセンサスが得られているとは言えないとされまして、その法定化は時期尚早とされたところと承知しております。  本法案では、宮本委員御指摘のとおり、第八条第三号におきまして、障害者、高齢者等の移動上の利便性及び安全性を確保することをユニバーサル施策の策定等に当たっての留意事項として定めております。 第六条に定める法制上の措置を含めまして、具体的な措置につきましては、この法案が成立、施行された後、政府で検討されることと期待しております。 ○宮本(岳)委員 本法案によって、移動の権利を始め、個別法がより充実したものに改正されていくことを心から期待したいと思います。  次に、いわゆるLGBTと呼ばれる方々に対する認識について確認をしたいと思うんです。  今度の法案では、LGBTの方々は対象とされていないと伺っております。しかし、ユニバーサル社会というからには、当然、その社会にはLGBTの方々も含まれると考えるわけですが、そういう理解でよろしいでしょうか、小宮山委員。 ○小宮山委員 宮本委員におきましては、関係の当事者の方々の話を聞いた上での質問ということで、ありがとうございます。  本法案が目指すユニバーサル社会とは、法案第二条第一号において、障害の有無、年齢にかかわらず、国民一人一人が相互に人格と個性を尊重しつつ、支え合いながら共生する社会をいうと定義されております。  このユニバーサル社会においては、LGBTの方々も当然その構成員であると考えております。 ○宮本(岳)委員 ありがとうございます。  私は、本法案を審査する際に、中野区のユニバーサルデザイン推進条例の策定に向けて同区から諮問を受けた中野区ユニバーサルデザイン推進審議会の委員をされた方からお話を伺いました。  この審議会では、ユニバーサルデザインを定義する際には、誰もが、多様な人々がという表現のみではなく、その中にどういった人が含まれているのかが明確になるように、対象を具体的に列記する必要があると考えます、具体例として、高齢者、障害者、子育て世代、外国人、LGBT、女性があります、本人の特性としては、年齢、性別、国籍、障害の有無、性自認・性的指向が挙げられますなどの意見が出されております。  こうした地方自治体における条例制定の際の議論から見ても、ユニバーサル社会の名を冠するのであれば、LGBTの方々がその対象となっていくのは当然のことだと私は考えます。  さて、障害者の雇用の問題では、民間企業に率先して積極的に取り組むべき中央省庁で水増しされていたということが大問題になり、社会問題となっております。国土交通省でも六百二十九人が水増しされ、国税庁に次いで二番目に多いという恥ずべき実態が明らかになりました。  本法案は、第八条二号で「障害者、高齢者等の多様な就業の機会を確保すること。」と規定されておりますが、障害者雇用の水増し問題に本法案はどのようにコミットするのでしょうか、お教えいただけますか。 ○小宮山委員 委員御指摘のように、本法案第八条第二号では、「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の策定及び実施に当たっては、」「障害者、高齢者等の多様な就業の機会を確保すること。」について留意するように定めております。  今般の、先ほど指摘がありましたが、国の行政機関の多くでの障害者の法定雇用率を達成していないという状況が明らかになったということ、これは本当に猛省を促すところではございますが、そのような状況の中では、本法案第八条第二号の趣旨からすれば極めて残念なことでもあります。  今後、公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議で決定された基本方針に基づき、法定雇用率の速やかな達成、障害者の活躍の場の拡大に向けて取組が進められると承知しておりますが、その進捗状況については、本法案第十三条に規定するユニバーサル社会推進会議においても必要に応じて把握することが望ましいと考えております。  御質問、ありがとうございます。 ○宮本(岳)委員 障害者雇用の水増し問題は、それ自身、当委員会で集中審議すべき重大な問題だと思います。今後二度とあってはならないことでありますけれども、本法案が、同様の問題を起こさない歯どめとなることを期待したいと思います。  本法案にかかわって幾つか確認してまいりました。我が党は本法案にあえて反対するものではありませんけれども、ユニバーサル社会の実現のためには、その施策を規定している個別法をより充実させることが重要であります。そうしてこそ、本法案も実効性あるものになると考えます。そのことを指摘して、質疑的発言を終わりたいと思います。  ありがとうございました。 ○谷委員長 これにて発言は終了いたしました。  これより採決いたします。  ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付してあります草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○谷委員長 起立総員。よって、そのように決しました。  なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る十二月四日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時五分散会