平成30年11月21日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○谷委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 国民民主党の小宮山泰子でございます。  本日は、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案に対しての質疑をさせていただきます。  まずもって最初にですけれども、この国土交通委員会の、また、常任委員会に大臣が二人並ばれるという、大変、私も国会議員になりまして六期目となりますけれども、なかなかこういった事例はなく、そういう意味におきましては、各理事等、柔軟な対応をしていただいているのかとも思いますし、また、これがいい機会になり、大臣二人の答弁がもらえる、合同審査以外ではこういったことはまずまず、常任委員会ではありませんので、本来、国対的にいえば、なかなか認めがたいところは、本来、内閣委員会でやるべきだったのかなと今も思う部分はございますが、せっかくの機会でありますので、質疑をさせていただければと思いますし、これを前例としてまた生かしていけるようなことになれば、国会の審議というのも充実するのかなというふうに思っております。  さて、今回の法案でありますけれども、欧州で、洋上風力発電による電力コストが大きく低下して、主力となりつつあると聞いております。太陽光発電と比べて、夜間も含めて、比較的安定的に電力供給ができる特性を有することも普及を後押ししてきたと考えております。  海洋国家である日本においても、欧州での現状と同様に、低コスト化が進み、海上風力発電の導入促進が図られることは望ましいと期待しておりますけれども、若干の懸念も感じております。  普及には、大規模な地震災害が余りない、ほとんどないという例えばフランスの土地柄と比較して、日本は地震や台風など自然災害被害についての考慮が必要となると思っております。例えば、地震が生じても、海上発電施設に被害を生じない ように十分な強度の施設にするとか、免震、耐震構造を採用するなどが必要となり、欧州での導入事例と比べて余分にコストがかかるなど、さまざまな懸念、想定というのができるのではないかと考えております。  そこで、お伺いをまずいたしますけれども、海洋再生可能エネルギー発電設備促進区域として指定するに適した自然条件の地域は、日本においてどの程度、どこにあるのか、実際に指定する場所としてはどこをどの程度想定しているのか、お伺 いいたします。 ○重田政府参考人 本法案におきまして、まず、促進区域の指定に当たりましては、先生御指摘の、自然的条件がまず適当である、あるいは航路、港湾の利用に支障がない、あるいは系統接続が確保されていることが見込まれること、あるいは発電事業により漁業に支障を及ぼさないことなどの基準に適合するものを、関係自治体等の意見を踏まえ、指定することとしております。  その上で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合研究所、いわゆるNEDOでございますが、ここが作成しました洋上風況マップというのがございます。これによりますと、我が国の近海では、北海道、東北の日本海側、九州北部など が総じて風の環境が非常によいとされております。  そういう意味では、促進区域の指定に当たりましては、一定の基準に適合するものを関係自治体、協議会等の意見を踏まえて指定することとしておりまして、現時点で促進区域の具体的な場所そのものは決まっておりません。  先ほど来から申し上げておりますように、本法案のKPIとしては、二〇三〇年度において運転を開始している促進区域の数を五区域としているところであります。これは、先ほど申し上げたように、二〇三〇年度において風力発電全体の設備 容量一千万キロワットを目指す中で、現在の陸上風力と洋上風力の設備容量の比率や、具体化している計画の平均的な設備容量を試算したものであります。地元の御理解を頂戴できれば、五区域を超えて指定することもあり得ると考えております。 ○小宮山委員 それでは、平成二十八年度、港湾法改正によって導入された、港湾における洋上風力発電のための占用公募制度の実績は、現状どうなっていますか。お答えください。 ○下司政府参考人 お答え申し上げます。  平成二十八年の改正港湾法に基づく占用公募制度によりまして、これまでのところ、鹿島港と北九州港において事業者が選定されているところでございます。  鹿島港では、港湾管理者である茨城県が、平成二十九年七月に、鹿島洋上風力コンソーシアムを選定いたしました。環境影響評価については、平成二十七年に手続を完了し、現在、事業者において設計等を行っておるところでございます。  北九州港では、港湾管理者である北九州市が、平成二十九年二月に、ひびきウインドエナジーを選定いたしました。同年より環境影響評価手続、設計等を開始しているところと聞いてございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  既にいろいろな形で始まっているのが洋上風力かとも思いますが、けさほど、朝一番だったと思いますが、自民党の委員からの質問の中でも、この時期になったこと、もう既に実証実験等を始めている方々の指摘もございました。  私といたしましては、東日本大震災の後、原発事故を受けて、再生可能エネルギー、自然エネルギーを活用したエネルギーへのシフトというのは大変重要だと思っておりますし、この風力発電というものは、さまざまなところで、大分前、もう 二十年以上前から実験等が始まっている、そういう意味において、安定的に風力が得られるというのは大分前からわかっていたにもかかわらず、何でこんな時期におくれたのかなと思わざるを得ません。特に、この数年で、安倍内閣が政権に戻っ てからは、どちらかというと原発の再稼働に力を入れたがためにこの問題がおくれたのではないかという思いもございます。  洋上風力発電は、欧州を始めとして、従前より取り組まれてもおりまして、近年目覚ましい規模の拡大が見られておりますので、その点に関しては、ここ数年において急激に価格等が競争に勝てるような条件が整ってきた、日本もおくれまじと、何か急いで急遽ここに来て入ってきているような感も否めません。  そこで、日本には地震や台風など自然災害を考慮する必要もありますけれども、日本における洋上風力発電導入推進の必要性、並びに、そうした目的の法律、政策推進が今般のこの時期に出された意義につきまして、宮腰大臣より御所見をお聞 かせください。 ○宮腰国務大臣 小宮山委員御指摘のとおり、諸外国において世界的に洋上風力が進んでおります。  そういう点でいえば、我が国は少しおくれをとっているということも事実ではないかとは思っております。  欧州の国々では、良好な風況や遠浅の地形など自然環境が恵まれていることに加えて、長期占用の付与や入札制度といった洋上風力についてのルールが整備されておりまして、大幅な導入が進んでおります。これにあわせましてコストも低下し ており、洋上風力は競争力のある電源となっております。  我が国におきましても、我が国周辺の広大な海域の有効活用や、地球温暖化対策、関連産業への波及効果等の観点から、洋上風力の導入に向けて、厳しい自然環境への適応やコスト削減を図るための実証事業を行ってきたところであります。  現時点では、実証するフェーズが終わりまして、民間企業による洋上風力発電事業への参入を促進するフェーズに入ってきているというふうに考えております。  しかしながら、この法案を提出した理由であります長期の占用を実現するための統一的ルールが今存在しておりません。 また、先行利用者との調整の枠組みが存在していないなどの課題がありまして、洋上風力発電に係る海域利用促進に大きな支障が生じております。  このため、我が国において洋上風力発電を導入するに当たり、新たな制度の創設等を定める本法案を今国会に提出をさせていただいたところであります。 ○小宮山委員 大臣の指摘したとおり、我が国はおくれをとっている、そのとおりだと思います。  できればやはりもっと早くからこの問題に着手するべきだった。国交白書を見ておりましても、この中にも洋上風力の関係は入っておりました。やっとという思いはありますが、であるならば、適正な形で進めていただきたいと思います。  それでは、中の逐条を簡潔にどんどん聞いていきたいと思います。  国内で指定した促進区域への申請者が、現に海外で用いられている施設、規格をそのまま導入しようとする内容など考えられますけれども、安全性に照らしてどのように評価されているのか。あわせまして、国内の大手電機メーカーで洋上発電 に取り組んでいるところは事実上一社に集約されると伺っておりますが、導入の進む欧州と違う地震大国たる日本の想定をして開発することは避けられないものかと思います。この点の理由について、またどのように今後推進されるのか、お伺い したいと思います。簡潔にお願いいたします。 ○下司政府参考人 実際海外で用いられている設備等を我が国において使用される場合についてのお尋ねについてお答え申し上げます。  我が国において発電設備を設置する際には、電気事業法に基づく技術基準等の法令要求事項を満たす必要がございます。風圧、積雪、地震等に対して構造上安全であること、及び、高さが二十メートルを超えるものにつきましては雷撃から保護 する措置が求められてございます。  また、洋上風力の発電設備の構造につきましては、海域の適正な利用、管理、保全の観点から、波力、風圧、地震等に対して安全な構造を確保するために必要な基準を省令等で定めてまいりたいというふうに考えております。  海外で用いられている設備を導入するに当たっても、これらの基準に適合しているか否かの観点から安全性を評価してまいりたいと考えてございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  また、関連する事業者も多岐にわたるかと思います。どのような分野が想定されるのか、電機メーカーだけではない、ドックだったり、さまざまなところに波及するものだと思います。ぜひ、この点に関しまして、この発電事業の推進に対して、予算措置や税制措置など含めてどのような支援を行っていくのかも御説明をいただきたいと思います。 ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、洋上風力発電産業を進めていくに当たりまして、これに関連しまして、風車を製造する製造業、風車を洋上に設置するための建設業、風車の運転、保守を行う発電事業などなど、多くの関連する産業がございます。風力産 業は一般的に部品点数が一万点から二万点と大変裾野の広い産業でございます。産業政策の観点からもこれを推進することに努めてまいりたいと思っております。  政府といたしましては、これまで、洋上風力発電設備のコスト低減に向けました研究開発の支援、日本の海底地形に適しました基礎構造の施工技術の実証事業と同時に、風力発電導入時の減税措置の手当て、また、メンテナンスに関しましては、ITを活用した効率的メンテナンス手法の研究開発支援などの支援を行ってきているところでございまして、先ほど先生から御指摘ありましたけれども、風力の関連産業、日本が国際的な競争力が強いとはなかなか言える状況にはないかと思いますけれども、政府といたしましては、こういった視点を踏まえ、しっかりとした支援を進めてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  ここは国土交通委員会でございますが、陸上の風力発電施設が立ち並ぶ姿は、ある意味この風景が観光資源になっている場合もあるようであります。そう考えますと、この洋上風力発電も、大海原にそびえ立つ姿というのは呼び物になるのでは ないかという思いもあります。  この法案ができることによって、例えば、海洋再生可能エネルギー発電施設促進区域として指定された一般海域のエリア内に洋上風力発電設備が設置されているのに当たって、あわせて洋上宿泊施設などを開設するなど、そういった計画は可能 なのか、ここもお聞かせいただければと思います。 ○重田政府参考人 お答えします。  本法案におきましては、設置される物件が促進区域内海域の利用に支障を与えるものでない場合でありまして、他の法律における所要の要件、例えば今先生が御指摘になっております宿泊施設の場合であれば、必要に応じて、建築基準法などの 要件を満たしたことがもちろん前提になりますが、この洋上風力発電設備にあわせてこういったものを設置することは可能でございます。  海洋再生可能エネルギー発電事業の実施に当たりましては、先ほど来、大臣の方から御答弁申し上げているとおり、地域活性化、あるいは地域との協調、こういったものの視点は極めて重要であると考えております。したがって、協議会等を通 じ地域の要望があれば、洋上風力発電設備の観光資源としての活用も十分あり得るものと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  ますます、いろいろな意味で経済にも寄与する施設になればなというふうに思います。  済みません、ちょっと時間の関係で先に進ませていただきます。  経済産業大臣及び国土交通大臣は、基本方針に即して、公募の実施及び海洋再生可能エネルギー発電施設の整備のための促進区域内海域の占用に関する指針を定めることとされております。公募占用指針として、法第十三条第二項第一号から十 六号に定める事項が示されていて、同十二号で撤去に関する事項が含まれております。  一般に、地上の土地の占用について、撤去時には原状復帰が求められるものと考えられますが、洋上風力発電所の場合、海中の施設についてどのような状況まで復帰することを求めることとするのか、予定しているのか、海中の基礎など、また 環境関係につきましても、完全撤去が困難なのではないか、また、復帰が難しいのではないかと考えることであります。この点の見解をお聞かせください。 ○下司政府参考人 お答え申し上げます。  海洋は国民共有の貴重な財産であることから、発電事業終了後は、委員御指摘のとおり、洋上風力発電設備を撤去することが原則となります。そのため、撤去の方法について、あらかじめ公募占用計画に記載を求め、適切なものかどうか確認を することとしております。  なお、委員お尋ねの撤去の具体的な工事方法につきましては、近年、撤去を容易にする基礎構造でありますとか、工法の検討も進められておると聞いております。こうした技術の進歩や海外の事例も踏まえながら、実効性がある方法について関 係省庁と連携して検討してまいりたいと思います。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  この事業者が占用期間中に経営破綻する場合も起こり得る、また、先ほども大臣の答弁があったかと思いますけれども、発電期間を終えて撤去すべき時期に資金不足に至るなどして洋上風力発電施設が撤去されないまま放置される場合も懸念さ れます。占用期間内に発電事業を継続されることのみならず、最終的な撤去までが確実に実行されるよう担保する仕組みが必要ではないかと考えます。この点に関しまして、国土交通大臣の御見解をお聞かせください。 ○石井国務大臣 洋上風力発電施設の撤去につきましては事業者の責務と考えております。  このため、事業者選定に当たりましては、提出される公募占用計画の中で、撤去工法や資金計画に撤去費用が計上されているかにつきまして審査をいたしまして、事業完了後に撤去できる事業者であることの確実性を確認いたします。認定公募 占用計画に従った発電事業が実施されているかどうかにつきましては、必要に応じて経済産業大臣及び国土交通大臣が報告を求めることとしております。  さらに、万が一倒産した場合に備えまして、海外の先行事例も参考にいたしまして、倒産した場合等に備えた措置を求める方向で検討を進めているところでございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  自然とともにあるのがこういう再生可能エネルギーの施設だと思っております。この点に関しましては、ぜひ、いい仕組みというか、有効な仕組み、また措置をしていただければと思います。  さて、最後の方になりますけれども、公募参加者の資格については、破産者でないことや反社会的勢力でないということは示されておりますが、本来、一般海域は全ての国民がひとしく利用できる公共物であることを鑑みれば、公募参加者とし ても国内法人などであることが望ましいのではないでしょうか、そういった議論もあり得ると思いますが、WTO、そのほかの通商ルールにも照らした上で何らかの対応は可能なのか。せっかく日本につくるのであれば、やはり目の行き届く国内 事業者というものが対応するというのは非常に有効な手段であり、また維持管理等においても有効かと思っておりますので、この点に関しましての御見解をお聞かせいただければと思います。 ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  委員から御提案ございました公募参加者を国内法人に限るということにつきまして、WTO等の通商ルールとの関係で、これに違反するものではないと理解してございます。  他方で、我が国の洋上風力産業、先ほどお話ございましたけれども、決して国際的に強い競争力を持っているわけではございません。国内にしっかりとした洋上風力の導入を進めていく観点からは、欧州等の先進的な取組を取り入れることは重 要な意義があるとも認識しておりまして、外国企業の参加を一律に規制するべきものではないというふうに考えてございます。  一方で、洋上風力発電のプロジェクトは、海域を長期にわたり占用する事業でございます。そういう観点から、長期安定的な事業の遂行や地域との円滑な関係の構築は不可欠な要素だと考えてございます。  例えば、港湾区域の事例におきましては、参加の要件としまして、日本国内に本社、支店、営業所を有するなど、緊急時に迅速な対応が可能であることを公募占用指針で定めており、本法案におきましても、地元への配慮や緊急時の対応等を適 切に評価することを検討していこうと考えているところでございます。 ○小宮山委員 最後になりますが、国交大臣、ここは国土交通委員会でもございますが、国交白書にもありますように、この問題、既に白書の方には入っていたことでもあります。  きょうは海洋担当大臣ということで内閣府からも来てはいただいておりますけれども、このほかには、この白書の中には小水力などあります。  やはり、国交省といたしましても、自然を生かしたエネルギーをつくること、これは次の世代に向けてやらなければならないことだと考えております。通告はしておりませんけれども、最後に大臣の見解をお聞かせいただければと思います。 ○谷委員長 石井大臣、時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。 ○石井国務大臣 国土交通省としても、再生可能エネルギーは大変大切なエネルギーだと理解をしております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。