平成30年6月19日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○西村委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 国民民主党の小宮山泰子でございます。  まず初めに、昨日十八日午前七時五十八分ごろ、大阪府北部を中心とした大規模な地震が生じました。被災された皆様に、心からお見舞いと、そしてまたお悔やみも申し上げさせていただきたいと 思います。  実は、その時間、私自身は滋賀県の大津市におりまして、その瞬間本当に、地鳴りがしたなと思った瞬間にどんと下から突き上げるような地震がございました。震度五に達していましたし、また震源地も浅いということもあって、ほとんど緊急速報と同時に、若しくは速報の後になったような状態での地震でもありました。  まだまだこの分野というのは研究も必要ですし、また、多くの方が本当に被災されないということが何よりも大切だと思っております。  そして、実を言いまして、新幹線等交通の乱れも本当に大きくありましたし、エレベーターも各地で、きょうも御報告がありましたけれども、とまるという状況が続いておりました。  そういう意味におきましては、まだまだこの問題に関しては検証するべき、災害は本当に毎回毎回違う様相はございますけれども、検証するべきことは多々あるんだと思っております。  大臣には通告はしていないんですけれども、昨日の大阪での地震の状況を見ますと、交通インフラや社会インフラ、水道管が破損するか何かで、随分と各ビルの中におきまして水漏れという報道もございました。  今回、建築基準法改正に当たり、倒壊した塀や、建物内の各種配管の損傷など、建築物の耐震性に担保する本法案に関しても、関連する部分も多々ありますし、また、新幹線や在来線、まだ全部は復旧しているわけではございませんけれども、こういった交通網というものも大変な大きな影響がございます。  正直、帰ってくるときに、多くの外国人観光客の方がバッグを持って、駅の改札で、状況がわからないような様子を見て、きょろきょろとしている姿というのも見受けられました。そういう意味におきまして、今回の地震の被害については、さまざまな観点はあるかと思いますけれども、これら所管をされています国土交通大臣、どのように対処されていくのか、改めて御決意のほど、お聞かせいただければと思います。 ○石井国務大臣 国土交通省では、地震発生後、直ちに所管施設や所管事業者の被害状況の把握に努めるとともに、高槻市や枚方市など、被災十五市三町とホットラインにより状況確認を行ったところであります。また、地方整備局の防災ヘリや海上保安庁の船艇、航空機等により、被害状況調査を実施をいたしました。  本日も、一府六市にリエゾン等を十七人派遣をし、被害情報の収集や支援ニーズの把握などを実施をしております。また、地方整備局からTEC―FORCEを二十名及び照明車十六台、散水車五台を派遣をいたしまして、被災者支援の準備を進めております。  国土交通省といたしましては、TEC―FORCEや保有する災害対策用資機材を最大限活用いたしまして、生活インフラの復旧に向けて被災者の支援に全力で当たってまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  ぜひ、TEC―FORCE、大変頼りになるということで、地方を守る会の首長の方々からもお話も伺っております。この点の充実をしていただき、またさらに、今回のさまざまな検証も引き続き行っていただくことを要望いたしたいと思います。  さて、本日、課題であります建築基準法の一部を改正する法律案の質疑に入らせていただきたいと思います。  五月におきましても、私、この課題につきまして質問させていただきました。  本法案は、建築物、市街地の安全性の確保、既存建築ストックの活用、そして木造建築物等に係る制限の合理化などが主たる改正点だと認識しています。大規模な地震や火災などに対して建築物の安全性確保のよりどころとなる建築基準法、改修しやすく、また木材を利用しやすくなるなど、利便性の向上を図る改正に当たって、しっかりと安全性を担保されるのかについても質問していきたいと思っております。  さて、まずは、用途変更に伴う建築確認が必要となる規模の見直しについてお伺いいたします。  建物の用途変更に伴うリフォームなどを行う際に、建築確認が必要となる規模を現行の百平方メートルから二百平方メートル以上へと緩和を行うことになります。この点について建築士が介在する場面が減少するなどし、ややもすると、適法に、安全、安心して用いることのできる建築物とならない改修が行われてしまう可能性が拡大することにもなるのではないかとの懸念が建築士の皆様からも御意見として寄せられたところであります。  五月にこの質疑をさせていただきましたが、そのとき住宅局長より、「確認手続は不要となっても、基準への適合義務は引き続き課されることから、基本的には、建築主の責任により用途転用の際に求められる措置を講じることになりますが、建築士が関与した場合には、この建築士が基準への適合性を判断し、必要な措置を講ずることになります。」また、「柱や壁などの構造躯体にかかわる改築等に該当するものについては建築確認が必要となりますので、建築士が関与するということになります。」との答弁をいただきました。  構造にかかわる改築があれば建築確認が必要であり、仮に違法な改修があることがわかれば、かかわった建築士は処分を受けることとなるのだからそんなことはしないという性善説に立ったお話にも思われました。  建設、建築にかかわる大多数の技能士や建築士、職人の皆様は、施主の希望とともに、予算や工期なども含めて工夫を凝らして、適法、適正な工事を計画し、実行されているものと、私も、真面目な建設関係者の皆様の仕事にかける誇りや熱意というものを信じておりますので、そのように行われるというふうに信じてはおりますけれども、一方で、リフォーム詐欺とか手抜きのある内容の工事による被害の事例というのは後を絶ちません。  悪徳業者による工事や詐欺的工事がふえるなど、安全性を損なう違法な改修が行われる可能性が拡大することとなる可能性は、やはり懸念はまだ払拭できていないと思っております。  この点に関しまして、国土交通省の見解をお聞かせください。 ○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど委員の方から御紹介いただきましたとおり、今回、用途変更につきましては、二百平米以下につきましては建築確認を不要としているところでございますが、建築確認は不要となりましても、基準への適合義務は引き続き課されるということでございますので、基本的には、建築主の責任により用途転用の際に求められる措置を講ずることとなります。建築士が関与した場合は、当該建築士が当然その基準への適合を判断し、必要な措置を講ずるということになります。  また、用途変更に当たって、柱や壁などの構造躯体にかかわる増改築等を伴うものにつきましては建築確認が必要となることから、建築士が関与するということになります。違法なものにつきましては、特定行政庁による是正指導や建築士への厳正な処分を行うということにしております。  先ほど、また、リフォームについての御心配がございました。リフォームにつきましては、リフォームに関するいろいろな情報提供ですとか、あるいは紛争が起きた場合の窓口設置などをリフォーム・紛争処理支援センター等において行っているところでございます。  また、このほか、リフォームについては、安心してリフォームを実施していただくための環境整備といたしまして、リフォームを適正に行う事業者から成る団体を国土交通大臣に登録する制度を平成二十六年九月に創設し、今、十団体、御登録をいただいているところでございまして、こうした優良な事業者団体の周知、普及ということも重要であるというふうに考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  とはいえ、建築確認申請を不要とするに当たり、かわりに何らかの形で建築士等から工事実施の届けとか用途変更の届けを求めることとし、少なくとも一定程度の規模の改修、改築が実施されていることが把握できるような制度を設けるということも考えられるのではないでしょうか。その方が確実に、精神的かもしれませんけれども、違法建築若しくは違法な詐欺的な改修等というのを防ぐことが可能なのではないかと考えますが、この点に関しましての御見解をお聞かせください。 ○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。  今回の改正法案により、延べ面積二百平米未満の小規模な建築物に係る防火関係の規制の合理化とあわせて、用途変更に係る手続が不要な規模を百平米から二百平米以下にするということにしております。  建築確認手続が不要となる用途変更につきましては、小規模な戸建て住宅からグループホームなどへの転用が想定されるところだというふうに思っております。このような転用に対しましては、福祉部局から建築部局へ情報提供がなされるよう、厚生労働省と連名で地方公共団体宛てに通知をしております。これによりまして把握が可能だというふうに考えております。  また、先ほど御答弁させていただきましたとおり、用途変更に当たって、柱や壁などの構造躯体にかかわる増築等を行う場合も多いというふうに思いますが、そういったものにつきましては建築確認の対象となるということでございます。  こうしたことを通じまして、既存ストックの活用に当たっての安全性を確保していきたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。しっかりと、地域におきましても、地方自治体においても情報が連携が進むことを期待しております。  さて、景観的、文化的に価値のある古民家などを改修、リフォームして物販や飲食店へと活用することは、観光活性化、地域魅力増進などに有効であり、インバウンド観光客の増加、リピーター確保へとつながると期待しております。最近は、京都などの町家の宿泊や、古民家を改修しての、主には簡易宿泊の方式をとっていることが多いと思いますけれども、大変人気を博しているところでございます。  そこで、ちょっと通告の順番を変えさせていただきますが、まず文化庁の方にお伺いしたいと思います。  本年三月、伝統建築工匠のわざ、木造建造物を受け継ぐための伝統技術のユネスコ無形文化遺産への登録を目指して、ユネスコ事務局に提案書の提出が行われました。これにつきまして、同件がユネスコ無形文化遺産登録が行われた場合、その後の取組や、目指す政策的効果について御説明をお願いいたします。 ○山ア(秀)政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のように、我が国は、本年三月、ユネスコ無形文化遺産代表一覧表登録に向け、伝統建築工匠のわざの提案書をユネスコ事務局に提出いたしました。  この伝統建築工匠のわざは、社寺や城郭等、我が国の伝統的な木造建造物を建てる上で不可欠な木工、屋根ぶき、左官、畳製作などの高度な伝統技術で、国の選定保存技術として選定されている十四件を一括して提案したものでございます。  本件の提案により、法隆寺や姫路城など、日本の代表的な木造建造物を支える技術に光が当たり、文化財そのものだけでなく、文化財を守る技術の重要性に対する関心が高まることが大きな意義だと考えます。  文化庁では、文化財保護法に基づき、選定保存技術として選定した技術に対し、その保持者や保存団体が行う伝承者養成、技術の向上等に対する経費を補助し、また、文化財の修理技術者の研修等についての専門的、技術的指導助言を行い、技術者の資質向上を図っております。さらに、保存修理現場や選定保存技術公開事業等を通じ、国民への普及啓発にも取り組んでおります。  この伝統建築工匠のわざがユネスコ無形文化遺産に登録されましたら、こうした取組を通じて文化財の保存修理に係る人材の確保や育成を更に進め、文化財の次世代への確実な継承に努めてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  各技術の保存ということでありますが、技術があっただけでは建築物にもなりません。やはりそれが全て合わさって一つの建物もできますし、また、日本の伝統的構法は、丸太や製材した木材を使用し、木の特性を生かして日本古来の継ぎ手、仕口によって組み立てられて、金物によらない軸組み工法が主たる要素とも言えます。  現行の建築基準法の在来工法と伝統構法の違いの大きなところでは、やはり、筋交いなど斜材を使うか、また、ぬき、差し物などによる水平垂直のぬき構造なのか、また、材料においても、均質であることが前提であるか、自然素材を扱うため、多様でふぞろいなものを使うか。どちらにせよ、地域の気候風土やつくり手によって違うし、一つ一つの建築事例が異なるという特徴があります。  既存ストックの中でも利活用する価値の高い古民家を再生する技術を持つ当事者である伝統木造建築にかかわる建築士などの関係者から、現代工法と異なる技術体系を持つ伝統構法の建物について、十分な見識や経験を持たない設計者や施工者が現代工法に基づく手法で安易に改築を行った場合、建物の長寿命化に資するどころか、せっかくの古民家を短命化させてしまう危惧があるのではないかとの指摘がございました。古民家を始めとする既存ストックの適切な利用促進のための技術基準が必要となるわけです。  何度も質問で取り上げさせていただいておりますが、国土交通省の補助事業として五カ年にわたり実施された伝統的木造住宅の耐震性能及び設計法検討委員会による成果は、建築基準法の中に伝統構法を位置づけるまでには残念ながらまだ至っておりません。伝統建築を正しく評価できる法的な基準や指針を策定する必要があると考えます。  また、それらの策定作業に当たって、伝統構法にかかわる実務者、研究者、建築行政関係者がそろって参加する中で進めるべきだとも考えております。  この点に関しまして国土交通大臣の見解を求めます。 ○石井国務大臣 伝統的構法による木造建築物は、各地域の気候、風土、文化に根差したものであり、我が国の木造文化の伝承につながるとともに、日本らしさを感じさせる空間づくりを通じて、観光振興や地域活性化に資する役割を担っていると考えております。  これらの伝統的構法による木造建築物につきましては、個別の実験や検証等により安全性を確認した上で、構造計算に活用できるデータベースや仕様規定の整備等に順次取り組んでいるところであります。  こうした伝統的構法に関する技術基準等の検討を行う委員会には伝統的構法にかかわる研究者や実務者に参加をいただいており、今後も個別の検討課題に応じて必要な識見を伺いながら検討を進めてまいります。  引き続き、伝統的構法がより採用しやすくなる環境整備に向けて着実に取り組んでまいります。 ○小宮山委員 ぜひ着実に進めていただければと思います。そして、それによって、日本の民家など、さまざまな木造の建築物など景観に資するもの、そしてきちんとつくられたものによって、多くの方が豊かな気持ち、そして豊かな文化、豊かな地域経済につながる、そんな法改正につながることを心から願っております。  さて、時間の関係で少し進めさせていただきますけれども、法八十七条の二において、既存不適格建築物について増改築等の工事を含む工事を二以上の工事として計画的に実施されるものとして特定行政庁が認める場合には、全体の工事計画の中で最後の工事に着手するまでは建築基準法の現行基準への適用を遡及して求めないこととなります。既存不適格のまま使用が認められることとなるかどうか、先日、国交省の方に伺わせていただいたところ、これは違反になるだろうというようなお話もございました。  あわせて、新築においては瑕疵担保責任保険が導入されました。中古物件では本年四月から、宅建業法改正に伴い、ホームインスペクションの報告義務化が施行となりました。ホームインスペクション制度の最大のメリットは、欠陥のある中古住宅の購入を避けられ、物件の信用度が上がり、質のよい中古住宅の流通促進につながることだと考えております。  既存建築ストックの用途変更のため、改築等の際にホームインスペクション制度を活用し、建築の状態を明確にすれば、建築物の健全化の確保が図られ、また、中古住宅市場等のときでも、そういう意味では信用も増すのだと思っております。  このため、ホームインスペクション制度、今回、売買ではない場合もございますけれども、普及を目指すのには今回の導入というものも必要かと考えております。  このホームインスペクション制度の普及を目指すための国土交通省の見解をお聞かせいただきたいと思います。 ○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。  インスペクションは建物の構造上のふぐあいや雨漏り等の劣化事象等の有無を現場で調査し、消費者に情報提供する枠組みであり、既存住宅流通市場やリフォーム市場の活性化等に寄与するものと考えております。  このような観点から、ことし四月に施行された改正宅建業法においてインスペクションを位置づけるとともに、消費者が安心して購入できる既存住宅に対し標章付与を行う安心R住宅制度も開始したところです。  インスペクションは現在の住宅の状況を評価するものでありますから、住宅として流通する場合のみならず、御指摘のとおり、用途変更等においても有効であるというふうに考えております。  インスペクションは一定の講習を修了した建築士が実施するという枠組みにしておりまして、インスペクションを実施することができる人材をふやすことがその普及にも寄与するというふうに考えております。このため、建築設計関係団体においてもその普及に向けた取組を推進していただくよう働きかけてまいります。 ○小宮山委員 ありがとうございます。しっかりとしたインスペクションができる方々の育成というものも重要だということでお伺いいたしました。  時間の関係で最後になりますけれども、循環型社会の形成や国土の保全、地域経済の活性化の貢献から、建築材料としての木材利用促進は大変重要かと思っております。これまでも、建築基準法改正等も含めまして、国土交通省では、サステナブル建築物の先導事例も推進されております。  現行制度において、木造建築物を一律に耐火構造等としなければならないこととされてきておりますが、木材、木質のよさを生かした景観への寄与も含めましてどう評価されているのか。木材の利用促進効果をどのように見積もっているのか。  大臣の見解をお聞かせいただければと思います。 ○石井国務大臣 我が国におきましては、木造建築に親しみを感じる国民も多く、木材利用に対する根強いニーズがあると認識をしております。  今回の改正法案におきましては、防火関係の規制の合理化を図ることによりまして、中層建築物の柱やはりなどにつきまして、木材がそのまま見えるあらわしで使いやすくなる。防火地域及び準防火地域における建築物について、内部の柱やはりなどや大規模な門、塀について、木材を使いやすくなるなどの効果を想定をしております。  このような合理化によりまして、景観面でも木のよさを実感ができ、また、これまで木造が少ない中層建築物や非住宅の分野での利用が促進されることが期待をされます。  これらを通じまして、地域における木材関連産業の振興、循環型社会の形成などにも貢献するものと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  時間の関係で、準備をしていただいた皆様方には申しわけございませんが、また、この課題は引き続き注視をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。