平成30年5月22日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○西村委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 国民民主党の小宮山泰子でございます。  きょうは、参考人のお二方、本当に貴重な御意見をありがとうございます。  この所有者不明土地という問題は、大変さまざまな課題があるんだと思っております。きょうもお二方のお話を聞きながら、やはり、最終的には何のために土地というものがあるのか、その存在理由というものが大変重要なんだなということを感じております。  使えればいい、有効利用ができればいいだけではない、その土地の持つ、場合によっては、個人に対して言えば、山野目参考人いわくでは、所有者不明なのではなく、まだ確定をしていないだけだということでもありますし、また橋本参考人のお話を聞きながら、やはり、その土地の持つ意味や、また一つには、個人が持つさまざまな土地が持つ歴史であったり、若しくは、その土地が地域の自然の中の一角を担うという意味での意味づけというものが経済的な論理ではあり得ないんだということ、その中でどう行っていくのかというのが大変重要なんだということ、示唆に富んだお話で、本当に御提言ありがとうございました。  とはいいましても、やはり人口減少・高齢化社会の推進の中で、いわゆる所有者不明土地の利用というものは大変地域にとっては大きな意味合い、また、必要性があると私は考えております。  また、反対する権利者がいなくて、建物、簡易な構造で小規模なものを除くがなくて、現に利用されていない所有者不明土地について、公共的な、公益に資するものに関しては期間を限って利用ができる、活用ができるようにしようという今回の法律を鑑みますのは、大変さまざまな課題、また誰がこれを指定をするのか、そしてその利用に対しどのような公益というものを客観的に皆さんが判断をできるのか。  特に、今回の法律でいいますと、途中で所有者が返してくれと言っても、その事業の途中では返さないことになります。終了してからの返還という意味においては、当然、所有権の悉皆の部分も多少出てくるものもあるかと思いますので、その中で、やはり公共のものだからこそ、この期間というのは利用するんだということがやはり明確でなければならないんだと思っております。  そこで、この公に関しましての、公益性ということにつきまして、どのような形だったらいいのかというのを改めて御確認をしたいと思っておりますので、御意見をお二人に伺わせていただければと思います。 ○山野目参考人 漢字三文字の言葉二つというふうに申し上げたらよろしいんでしょうか、公共性と経済性という二つのキーワードをちょっとその題材にしてお話を差し上げるといたしますと、本日議題としていただいているようなテーマを考えるに際して、公共性と経済性という二つのキーワードがアンドで結ばれる、及びで結ばれるべきものなのか、オア、又はで結ばれていることで足りるというふうに考えるのかといったようなことをきちっと考えを深めておくということは、この領域における土地政策を進めていく上で非常に重要なことなんだろうと思います。  もちろん、一方においては、経済性ということがなければ、例えば地域福利増進事業に関与しようということで手を挙げる事業者があらわれる可能性がございません。したがって、地域福利増進事業の裁定をするに当たって、都道府県知事は、一つの要素として、資金の計画であるとか権利を取得した後の、その後の事業計画などがしっかりしていますかということをチェックするということが要件として求められております。  しかしながら、ただいま議員が仰せのとおり、所有者を探索する努力はしますけれども、最終的にはお会いすることができなくて、当面、十年の範囲で使わせていただくということになります。  そうすると、経済性だけがあればよろしいのかということになるわけでありまして、半面におきまして、公共性ということが重要であります。なおかつ、その公共性の中身というものが大事なんだということが、きょう橋本参考人が繰り返しおっしゃっていることであろうというふうにも感じます。  地域福利増進事業の場合で申し上げますと、都道府県知事が裁定をするに当たっては、十分にその裁定の内容を審査し、その中で、地域福利増進事業に該当するものであることを確認し、のみならず、公平かつ適正に事業が行われるということの担保を見きわめた上で裁定をするという手順が用意されております。  冒頭に申し上げた問いに対する答えの仕方で申し上げますと、公共性と経済性はばらばらであって、オアで結ばれているのでよくて、経済性があればよいのだということでこの領域の施策を進めるということは大変危険なことであります。この二つはアンドで結ばれていて、公共性が十分に満たされ、かつ経済性の見通しもやられるという、及びでつないだ上で、一件一件の事案を都道府県知事が適切な、慎重な手順で見きわめていって進めていただきたいというふうに感ずるものでございます。 ○橋本参考人 小宮山先生は、大体私たち参考人が申し上げていることをおわかりの上で御質問されているのではないか、私はそう感じるわけですけれども、やはりこれは繰り返しになりますけれども、今、山野目参考人もおっしゃられましたけれども、市民参画がどれだけあるかというのが僕は決定的だと思うんです。これが保障される。それは行政を預かる立場の人たちがやれることですから、これは何もこの法案が云々だけじゃなくて、いろいろな施策をする場合の基本的な観点は、市民参画、これを、形だけじゃなくて、ちゃんと魂を入れる、これが大事なのだと。これがあれば、今の法律の範囲内でも、例えばアセスでもそうですし、かなり前進すると思います。  そういうことが保障されていれば、最後のところのどん詰まりでもめるということはありません。  これは先ほど、欧米のEU諸国が、私が調査した限りでも、むしろもめている日本が不思議だというぐらいのことを言われているわけです。  そんなような点から見ると、もう一度申し上げますけれども、行政を預かるそういう立場の人たちが市民と一緒になってこの問題を考える、そういう協働があればこの問題はかなり前進するというふうに思うわけです。  以上です。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  本当に、協働というのは大切だと思いますが、なかなかそれが現実にはできない。また、最初の市役所等とか現場に行くと、対応の仕方とかでこじれる場合が多々あるというのはよく聞こえてくることでもあります。私の住んでおります埼玉県では、圏央道のやはり最初のところでは、まずは、そういった行き違いみたいなものも随分収用に関してはあったとも聞いております。  その後、もちろん、自然環境との共存の難しさというのもあり、少しずつ対応しながら道を通したということもございますので、大変よく理解いたしますし、ありがとうございます。  さて、土地の荒廃防止というのは大切なことかと思います。以前から質問等でも出ておりますが、昭和初期の共同所有などで、最初は五十人ぐらいだったのが、何代かしていくうちに、もう今七百人。一人の方に何百人という対象者が出るということにおいては、大変これを利活用するためにも必要だといったときに、たとえ目的がよくても収用ができないというところも現実には起きているかと思います。  共同相続人の所有者の探索範囲を明確にするということは重要なのではないか。それとともに、登記をする側が放棄をせずに済むように、若しくは放置をしないためにも、所有者不明土地の相続人の負担軽減というのも重要かと思っております。  この点に関しまして、参考人お二方の御意見、また、具体的に何か提案がありましたら、改めてお聞かせいただければと思います。 ○山野目参考人 ありがとうございます。  登録免許税の問題に絞って意見を述べさせていただきます。  まさに今議員御指摘のとおりでありまして、この問題提起をいただいたことを大変にありがたいと感じるものでございます。  相続を原因とする所有権の移転の登記は、それを国民が申請する際、登録免許税が課せられるという仕組みになっております。相続登記を推進する見地からは問題ではないでしょうか。建物を新築する際にしなければいけない不動産に関する表示の登記、すなわち表題登記につきましては申請が義務づけられている反面におきまして、登録免許税が課せられていないという扱いになっております。  なるほど、確かに、登録免許税に関しまして、国会のこの会期におきまして、租税特別措置法に八十四条の二の三の規定を追加し、場面を限定して、土地相続登記に対する登録免許税の免税措置が創設されたところでございます。しかしながら、ほんのかすかの免税措置でしかなくて、何というんでしょうか、暴言をお許しいただければ、こんなもので免税措置を講じたということで済ませていただいては大変困るわけでございます。  登録免許税のあり方を抜本的に再検討し、さらなる税制上の機動的な誘導を講じ、有効な施策を進めていただく上で、ぜひ立法府において応援を賜りたいというふうにお願いするものでございます。 ○橋本参考人 基本的な考え方は山野目さんと同じです、私も。  ただ、やはり高齢化が進んでおりますし、この間、こういう問題がありました。年金の通知があって、百三十万ぐらいの人たちが税金を余計に取られちゃった。それは仕組みが、税金の改正があって、所得税を申告しなければというか、きちっと書いて、例年だとはがき一枚でチェックでよかったのが、私も年金受給者ですから、私も、ああ大変だな、これは何か起こるなと思いました。  相続に関しても、やはり認知症が進んだり、いろいろなことで苦労もあります。私自身も、つい最近、相続がありました。兄弟が少なければいいですけれども、又は争いがなければいいですけれども、大変です。  そういうふうなことを考えたときに、やはり今、山野目さんがおっしゃられたように、もっと積極的に軽減策をとるべきだろう、それは私も同感です。 そうしなければ国土が荒れてしまう。そういう意味では、そこにきちっと、この法案もある面いいところを持っているんですけれども、私は、その大前提となる、そういうところを出さないようにするという施策にもっと力を入れる。それは恐らく、この委員会で皆さんたちは一致できるのではないかと私は確信しております。  以上です。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  大変、努力は認めていただいたのかなというところはあるんですけれども、まだまだ足りないということであります。これは、まだ国会におきましてもさらなる議論というものをしなければいけない。また、国土交通省だけでできない部分もあるかと思いますが、この点に関しましても努力をしたいというふうに今感じたところであります。  時間の関係で最後になりますけれども、本当は、橋本先生のもっと実体験を伺いたかったなと思うのですが、土地管理の放置を防ぐためには、土地の所有権の放棄のあり方というのも大変重要かと思います。この点に関しまして、義務化では問題解決に必ずしもならないというようなこともおっしゃっているようでありますので、山野目参考人から最後にこの点に関しましてお聞かせいただければと思います。 ○山野目参考人 土地の所有権を放棄したい、あるいは寄附をしたいというような意見が国民の各方面から時に聞かれるところでありまして、必ずしも無責任な発言としておっしゃっているのではなくて、真に迫られた事情があってそういうふうな御議論をいただいているということも理解しております。  反面、政府の方としてこれをどう受けとめるかということを想像いたしますと、現行の法制でいきますと、財務省の所管のもとに置かれる国有財産になってしまうものでありまして、最適な処分、最適な管理をしなければならないという負担を担わせられるということになります。  こういう発想を変えて、何というんでしょうか、国有財産の新しい形態、所有権の放棄を認めるというよりは土地を自然に返すというような発想で、従来の行政財産でも普通財産でもないような、また、もしかすると財務省の所管とは限らないような、新しい公的な土地保有のあり方をこれから研究していく必要があるのではないかということも感じております。 ○小宮山委員 大変貴重な御意見、ありがとうございました。