平成30年5月16日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○西村委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 国民民主党の小宮山泰子でございます。  少々風邪を引いておりますのでお聞き苦しい点があるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。  さて、公共建築物等における木材の利用促進に関する法律が平成二十二年五月成立し、同年十月施行され、現在に至っております。  近年、公共建築物への木材利用は、国土交通省、林野庁を始めとした関係省庁での取組により、前進しております。今国会提出の建築基準法改正などを通じて更に拡大が期待されているところでもあります。公共建築物を含むさまざまな建築物での木造並びに木材利用の推進を願う立場の議員といたしまして、大変期待をしているところでもございます。  公共建築物への木造利用の推進を考えるときに、全国各地での木材利用公共建築物の建設予定、計画、検討中の状況などについての情報が広く容易に入手できる環境が整っていることというのは大変望ましいことかとは思います。  こうした情報を得ることによって、さきに述べた公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律を所管される国土交通省官庁営繕部整備課木材利用推進室並びに林野庁林政部木材利用課に尋ねたところ、網羅して情報を収集、集積している機関や民間団体はなく、個別に都道府県や各自治体に問い合わせていただくことになるのが現状であるというふうな説明を受けてしまいました。  ただし、農水省、防衛省など一部工事に関しては、JACIC、一般財団法人日本建設情報センターの提供している入札情報サービスにて入札情報の検索が可能であり、木材利用公共建築物について多少なりとも情報を得ることができるものとなっております。  JACICのシステムは、国の機関のみに情報登録を限っているのではなくて、広く各地方自治体からの利用も可能とされております。現状では横浜市及び岐阜県のみがシステムを使用されており、入札情報などの登録が見られます。  JACICは、昭和六十年に建設大臣の許可を受けて設立され、平成二十四年には一般財団法人に移行しております。この設立目的、事業概要などについて、まずは確認のために御説明をいただければと思います。 〔委員長退席、鬼木委員長代理着席〕 ○五道政府参考人 お答え申し上げます。  一般財団法人日本建設情報総合センター、JACICは、建設情報システムの調査研究を行い、これを広く普及するとともに、建設情報の提供を行うことにより、建設技術の向上、建設事業の効率化等を図り、国民生活の高度化及び経済の活性化に寄与することを目的として設立された団体でございます。  具体的な事業としては、各発注者による建設企業等の工事や業務実績の検索、確認が可能な工事・業務実績情報システムの運用、工事や業務についての発注見通し、入札公告、入札経過等の検索、閲覧が可能な入札情報サービスの提供、積算システムの開発、運用などを実施しております。  これらの事業により、計画から調査、測量、設計、施工、維持管理、更新までの一連のプロセスの生産性向上と社会資本の品質の確保が図られるものと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  JACICにおいてのサービスによって入札情報がより幅広く登録されることが望ましいと考えております。横浜市及び岐阜県以外の自治体で登録促進に向けていかに対応していかれるのか、また、国交省、農水省、防衛省以外の国の機関についての登録となっていないのはなぜなんでしょうか。お聞かせいただければと思います。 ○五道政府参考人 お答え申し上げます。  公共工事等の円滑な施工確保や建設現場の生産性向上に資する施工時期の平準化等の推進を図るため、国や地方公共団体などの各発注者の発注見通しを統合、公表する取組は重要であるというふうに考えてございます。  国土交通省では、東日本大震災の復旧復興事業における施工確保対策として、東北地方において地域単位の発注見通しの統合、公表を平成二十五年に開始し、現在では、施工時期の平準化等を推進する観点から、この取組を全国に拡大しております。  一方、JACICの入札情報サービスについては、工事の発注見通しの情報のみならず、入札公告時の資料の閲覧、入札の経過や結果等の情報提供も含まれており、そのサービスの内容はホームページで周知されております。  このサービスを利用するか否かについては、サービスの内容や利用料金等を勘案の上、各発注者の判断によるものですが、公共調達の透明性、公正性等に資するものであると考えております。  国土交通省といたしましては、発注見通しを始めとしたさまざまな建設情報の活用を進め、関係機関と連携しながら、円滑な施工確保や施工時期の平準化等、効率的、効果的な公共事業等の実施に努めてまいります。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  昨今ですけれども、空き家であったりとかストックの有効活用をということを随分国交省の方ではしていただいております。また、各自治体におきましては、入札が不調に終わることも多々ありますし、また、さまざまな専門的な知識の必要な公共の入札というものもふえていますが、これもなかなかその地域ごとだけでは難しいこともあるかと思います。こういった既にある制度というものをぜひ活用していただきたい。  後ほどまた触れるものですが、伝統的構法など、これもユネスコの無形文化遺産の登録の方に向けて動き出しております。こういった技術のある方たちというのは全国に散らばっているところもあり、一カ所にはもう既に技術者がいないというときもあります。  そのときに、多くの方がまたこういった情報集積をすることによって活用し、歴史的な意義ある、また、地域にとって資産となる価値を生み出す、そんな入札というものがしっかりと可能になるように、これからも各省庁、また、今含まれていないところも公共的な入札にはかかわってくることも、文科省など考えられますので、この点の御検討もいただければと思います。  さて、今ちょっと触れましたけれども、土地の利用等さまざまなもの、今、国交省、この数年やっております。  例えば、昨年の都市緑地法等の一部改正の成立後の状況についてまず伺いたいと思います。  改正によって、生産緑地地区における直売所や農家レストランの設置ができることとなるようになりました。まだまだ活用が見えないところではありますけれども、近隣の営農者等が共同で設置、運営することに対する検討結果及び法律成立後のこの状況はいかがでしょうか。まだ十分な告知や、また動きにつながっていないのではないかと心配しておりますので、この点について御報告をお願いいたします。 ○栗田政府参考人 昨年御審議いただきました都市緑地法等の一部改正法の施行状況等につきましてでございます。  まず、都市公園法改正によりまして新設しました公募設置管理制度、いわゆるPark―PFIというものでございますが、平成二十九年度に、北九州市の勝山公園あるいは名古屋市の久屋大通公園など四つの公園におきまして、公募設置等指針の公示、さらには事業者の選定が行われておりまして、運営開始に向けた準備が進められております。さらに、四十以上の自治体においても検討が進められておりまして、今年度は更に多くの公園で活用が見込まれているところでございます。  また、都市緑地法改正によりまして新設しました市民緑地認定制度でございますが、既にさいたま市及び柏市、二カ所が認定されておりまして、さいたま市では自治会が、柏市ではNPO法人がそれぞれ市民緑地の管理を開始しております。さらに、六十以上の自治体におきまして、制度活用の検討が進められているところでございます。  生産緑地法改正によります生産緑地地区内の直売所及び農家レストランの共同設置につきまして、昨年、委員からお尋ねを頂戴したところでございます。  この点、昨年六月十五日の法律の一部施行に合わせまして都市計画の運用指針を既にお示ししておりますが、その中で、「当該生産緑地に係る農林漁業の主たる従事者が複数の近隣農家と任意組合等を構成して農家レストランの経営、管理を行うことも想定される。」という旨、考え方を明確化したところでございます。  ただ、生産緑地に関する改正は、そのうちの特定生産緑地制度あるいはその関連税制につきまして、本年四月一日の施行ということであります。  今後、生産緑地の所有者が法律の内容を踏まえまして、自分の土地をどう扱っていくか本格的に検討されていく、こういうような段階に入っていかれるものと認識しております。  国土交通省としまして、改正法の周知徹底、制度の活用促進に引き続き努めてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  せっかく改正したならば、しっかりと活用されないとだなと思っております。都市再生法も、先般質問させていただきましたけれども、制度はつくっても実際には活用されていない事例というのも見受けられます。ぜひこれは、地域生産緑地の問題、また、都市農業の振興にあわせまして、この改正については関係の方々とも連携をとって推進をしていただけるよう、国交省においても努力いただくことをお願いいたします。  さて、今国会には建築基準法改正案が提出されて、もう既に参議院で先議となって、本委員会においても今後審議することとなると思っております。  今般の建築法改正案では、建築物の用途変更を行う際について確認申請が求められる床面積が百平方メートルから二百平方メートルへと変更されることとなります。用途変更の基準床面積が広くなる、つまり規制緩和されることは基本的に歓迎されるものと考えられますけれども、リフォームやリノベーションが最近はよく取り上げられ、また、推奨される中において、過去のさまざまな案件をあわせて考えますと、建築士が介在する場面が減ることとなって、適法に、すなわち、安全、安心して利用できる建築物となるような改修が行われない可能性についても考えておかなければならないと思っております。  ややもすれば、危険な建築物となりかねない改修が行われてしまわないかという懸念もございます。国土交通省としての見解をお聞かせください。 ○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。  増改築を伴わない建築物の用途変更については、百平米以下の場合に建築確認を不要としているところでございますが、今御指摘いただきましたとおり、今回の改正法案により、この対象を二百平米以下にすることとしております。  これは、既存建築物は構造上の安全基準を新築時に確認していること、また、今回の改正法案において、三階建て以下で二百平米未満の用途変更の場合には、避難安全性の確保を前提に、壁、柱等を耐火構造とするような大規模な改修工事を不要とし、警報設備等の設置による対応で可とするなどの規制の合理化を行うこととしていることと平仄を合わせるということでございます。  確認手続は不要となっても、基準への適合義務は引き続き課されることから、基本的には、建築主の責任により用途転用の際に求められる措置を講じることになりますが、建築士が関与した場合には、この建築士が基準への適合性を判断し、必要な措置を講ずることになります。  なお、用途変更に当たっては、間取りの変更などを伴う場合が多いというふうに、先ほど御指摘いただきましたようにリフォームなどを行うという場合が多いと考えられますが、その中で、柱や壁などの構造躯体にかかわる改築等に該当するものについては建築確認が必要となりますので、建築士が関与するということになります。  また、火災時等に配慮が必要とされる高齢者福祉施設等への用途変更については、福祉部局との連携により、建築部局としてもその把握に努めることとしておりまして、特定行政庁による是正指導等を徹底するなど、用途変更に当たっても安全性の確保を図ってまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ぜひこの点、やはり構造をさわる場合とか、さまざまなことが考えられると思います。また、既存の建物を生かすことが可能にはなりますけれども、その分、最初につくられたときの構造的な設計図であったりとか、さまざまなものが引き継がれていないということも考えられます。  そういう意味では、建築士がきちんと介在することによって、また、それが確認ができる体制が整ってこそ、安全で、そして、今回の法改正によっての建築物を更に生かしていく、そこにつながっていくんだと思います。  特に今回の法案に関しては、防火に関してを重点に置いておりますので、この点に関しては非常に心配するところでもあります。  私自身は、「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会に関連して、伝統的構法をより採用しやすくなるためのデータ整備や告示などの整備を進めていきたいということで質疑をこれまでも行ってまいりました。  伝統構法の振興についても、建築基準法を始めとした関係法令に則した、安全、安心して使用する、暮らせる建築物となることは大前提でありますけれども、その上で、気候風土に根差して培われてきた構法、たくみのわざが生かされた建築のあり方、住まい方、暮らし方についてどのようにありたいのかという個々人の人生観、生活観に照らしつつ、現代社会の中で使っていくことができるというものが重要だと考えております。  今回の建築基準法の改正に関して言えば、伝統的構法が採用しやすくなる改正ではなく、状況に変化はないのかなという部分も少々心配しております。  この伝統的構法の取組についての昨年五月の質疑以降の進捗状況について簡潔に御説明をいただければと思います。 ○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。  仕様規定に適合しない伝統的構法による場合、地震に対する安全性の確認のために、建築基準法により精緻な構造計算が要求されております。  このため国土交通省では、この精緻な構造計算の際に活用可能な継ぎ手や仕口の接合部のデータベースの整備を進めており、専門家の確認が終了したものについて、平成二十九年三月から公開しております。  昨年五月以降も、当初公開した四十一件に加えまして、追加で確認できた十二件の接合部等のデータを追加したところでございます。  引き続き、データの追加作業を行ってまいります。  また、精緻な構造計算を行うことなく伝統的構法を採用しやすくするため、仕様規定については、実験等により安全性が確認できた壁や接合部について追加してきているところです。  昨年五月以降におきましても、九月に、一階の柱と土台を鉛直方向に固定しない接合方法や、土塗りの垂れ壁、腰壁等の仕様について、仕様規定として告示に追加したところであります。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  伝統的建築工匠のわざ、木造建築物を受け継ぐための伝統技法というのは、本年の二月にユネスコ無形文化遺産の提案案件として決定をしていただきました。十四件ありまして、建築物の修理や木工、彩色、漆塗り、左官などさまざまな伝統的構法や、日本の気候風土に即した、また培われた技法というものが、二年後には早ければこれが指定されるということで、うれしい方向になってきました。  これもやはり、これまでのこういったさまざまな実証実験とデータの積み重ね、また、サステナブル建築物先導事業というんでしょうか、多少あの森友で有名になりまして、気がつきましたら、木質というよりかは木造先導型に特化もしていかれるということでもありますが、この点に関してもやはり、伝統的構法の振興に対して大臣の認識と取組の意欲をぜひお伺いさせていただきたいと思います。 〔鬼木委員長代理退席、委員長着席〕 ○石井国務大臣 伝統的構法による木造建築物は、各地域の気候風土、文化に根差したものであり、我が国の木造文化の伝承につながるとともに、日本らしさを感じさせる空間づくりを通じて観光振興や地域活性化に資するという役割を担っていると考えております。  このため、今後とも、個別の実験や検証等の安全性の確認に向けた検討を続けまして、データベースの追加や仕様規定の充実等を通じまして、伝統的構法がより採用しやすくなる環境整備に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えています。 ○小宮山委員 ぜひ着実に大臣進めていただきたいと思いますし、また、これから観光立国としても、また、地域での気候風土、歴史を反映したすぐれた建築こそ有効活用すべきだと思います。そのときに、この技術が伝承されること、また、それが生きた技術であるということは大変重要な観点だと思っております。  ぜひ、この点に関しまして安全、適法にストック利用するためにも、伝統的構法に関する防火と構造の適正な検証を国土交通省においても引き続き実施していただくことを要望いたしまして、あわせて、サステナブル建築物先導事業ですけれども、木造もこの点に重点を置いていただいたというのは大変ありがたいんですけれども、あわせましてやはり、CLT等の、本来、新たな木質建築材料の有効活用ということも言われております。  三階建てや四階建て、高層の木造建築というのを目指すにはこの検証も大変重要なものでもございますので、この点もあわせてしっかりと検証していただき、木材利用を更に進めていただくことも要求いたしまして、終了いたします。  ありがとうございました。