平成29年6月9日 衆議院災害対策特別委員会速記録(議事速報) ◇この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いい たします。 ○秋葉委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 民進党の小宮山泰子でございます。  きのうは、国会議員として大変貴重な経験をしたなと思っております。一つは、戦時中でありますけれども、昭和十九年、二十年の決算の採決をしたこと、そして、百十年間抜本的な改正をされることがなかった刑法、性犯罪の厳罰化が盛り込まれた刑法の一部を改正する法律案が衆議院で全会派一致で可決されたということ、大変大きな意味を持った日だったなという思いがあります。  それとあわせて、院内集会なんですけれども、ハッシュタグなかったことにはできない緊急行動というのに私は参加いたしました。これは、五月末ぐらいでしょうか、詩織さんというジャーナリストの方が、元TBSの記者であったジャーナリスト山口氏の在任中の準強姦容疑の被害届を出されて、不起訴処分となり、検察審査会に申し立てられた案件であります。これをなかったことにはしないという女性たちや、また、賛同する男性の院内集会がございました。  この中で、大変私も感銘を受けたのは、東京地裁に提訴しております女たちの違憲訴訟の代理人の一人であります角田弁護士さんの言葉であります。  戦争の肯定は同時に、平時においても社会で力を使って、もっと言えば暴力を使って物事を処理することを肯定することです、それが当たり前の物事の処理の仕方であるというメッセージを振りまくのです、暴力で物事を処理するやり方は、家父長制社会の男性優位の仕組みの中で活用されてきた方法です、それに対して、多くの女性たちは闘ってきました、詩織さんに対する性暴力が力の行使そのものであるというのは言うまでもありません、そして、私は、逮捕状の握り潰しを聞いたとき、あきれました、弁護士を四十年余りもやっていますが、そんなことは聞いたことがありません、逮捕状は、裁判官が逮捕状請求のために警察から提供された一定の資料に基づいて、犯罪の嫌疑と身柄拘束の必要性等を判断して出されるものです、裁判官のそういう判断を政治的な力で押し潰すような国のどこに正義があるのでしょうか。  逮捕に文句があるのであれば、正々堂々と司法手続にのっとって闘えばよいことです。それをせずに、上からのよこしまな力で事を処理することは、限りなくひきょうと言うしかありません。  私もこのとおりだと思います。今、森友問題や、また加計学園の問題など、さまざまな、なかったことをあったようにする、そんな話が多々ございます。これは本当に、議会制の中の民主主義の中では、やはり議会がしっかりとこのことをただしていかなければ、国民の生命や財産、そして貴重な、本当に命がけでお支払いいただいた税金などがおかしな方向に使われてしまう。また権力者の意向を受ければ何でも許されるんだという風潮というのは、私はとめなければならないんだと思います。  翻って、災害地、被災地を見てみますと、被災地に行くと、あの避難所では性被害があった、痴漢があった、のぞきがあった、そんな話はたくさん入ってきます。しかし、その割には国会においても、報告などの議事録はございますが、これについて正面から議論をした、そういった形跡は本当に少なく、全くないとは言いませんけれども、今までされてこなかったのも事実であります。  まず、皆様方のお手元に配付させていただいております、熊本震災の後につくられました資料を委員の皆様方のところに配付させていただいております。これは「東日本大震災「災害・復興時における女性と子どもへの暴力」に関する調査報告書」、東日本大震災女性支援ネットワーク調査チームの報告書がもとにつくられておりますし、また東北の男女共同参画センターなどのアドバイスを受けて、避難所に入る方々に対してつくられた資料でもございます。  こちらの方をごらんいただいてわかるように、「避難所・避難先では困っている女性や子どもを狙った性被害・性暴力、DVなどが増加します」とあります。「自分を大切にしてください」「周囲の目と支えがたよりです」「見ないふり・知らないふりをせず助け合いましょう」「単独行動はしないようにしましょう!」「性的な嫌がらせやいたずらなど尊厳を傷つける行為も犯罪です」と明確にうたっております。  これのもとになりました記事であります。これだけ注意喚起をするということであるならば、やはり事実はあったんだと思いますが、なかなか、性犯罪や痴漢や、また、時には、ここにも書いてありますけれども、「男子が同じ避難所にいる男性にわいせつな行為をされた。ほかの男子数名も被害に遭った。」というふうにあって、女性だけではなく男性やさまざまな形で被害が、性犯罪があったことは明らかであります。  この点に関しまして、事件化されていないものも含めて、被災地での性犯罪、性暴力被害の現状認識、実数、被害届、逮捕、検挙数、また相談件数など、どのように捉えていらっしゃるのか、まず現実をお聞かせください。 ○木政府参考人 警察庁の犯罪統計によりまして、強姦、強制わいせつにつきまして、発災の月の前後一年間の数字についてお答えをさせていただきます。  まず東日本大震災については、岩手、宮城、福島の被災三県におきまして、平成二十二年三月から二十三年二月まで、発災前でございますけれども、三百六十四件の認知、二百二十八件の検挙であります。発災後の二十三年三月から二十四年一月までの一年間におきまして、三百十三件の認知、二百七件の検挙でありました。  熊本地震につきましては、熊本県におきまして、発災前の二十七年四月から二十八年三月までが、八十四件の認知、六十五件の検挙、発災後の二十八年四月から二十九年三月までの一年間におきまして、六十六件の認知、六十二件の検挙でありました。  このように統計数値からは震災に関連して性犯罪が増加していることは確認できないものの、避難所における性犯罪、その他、震災に関連すると思われる性犯罪の発生が認知されていることも、関係県警察からの報告により把握をしているところでございます。 ○小宮山委員 そうはおっしゃいますけれども、警察庁から出されています「東日本大震災に伴う警察措置」という平成二十八年三月の資料によれば、「仮設住宅における性犯罪は七件発生。性犯罪等に関する情報や噂については、「事実なし」といったものがほとんど」という記述が書かれております。  きのうのレクにおきましても、凶悪犯とか、そういったものに囲まれているので数字は出ていないという回答で、私、正直びっくりしました。  今ありましたけれども、発災後の方が件数が減っているということになっております。この点に関しても非常に疑問に思うところであります。  先ほど言いました調査報告書の方を少し紹介させていただきます。  「子どもへの暴力」という項目では、「報告された子どもに対する暴力の内容は、調査票への回答から、身体接触があるわいせつ行為(痴漢行為、望まない性行為の強要)五件、精神的・心理的暴力四件、言葉による暴力三件、身体的暴力二件、その他の望まない性的な行為(のぞき、性器露出、ストーカー行為など)四件であった。成人への暴力と同様、異なる暴力が重複」していると思われるとあります。  さらには、「性に基づく暴力が犯罪であることが警察官に認識されていないことに加えて、被害届が出されなかったという理由で、事情聴取後に加害者と被害者をそのまま同じ避難所に返すという不適切な対応をしている。このような警察官の対応は、被害者が加害者からさらなる危害を受ける可能性や、被害者が抱く恐怖を充分に理解していないようだ。」ということ。  さらには、「被害や被害者と関わろうとしない、被害の報告を信じないなどの行為・対応が、被害者の苦しみ、恐怖、困惑を軽視し、問題解決を遅らせ、被害を悪化させる。これはまた、被害者を非難する行為と同様に、暴力を容認する姿勢につながる。」これ自体は、実は二十代の女性が、夜になると男の人が毛布に入ってきて、暗いところに連れていって裸にされたりしたことも、結局、ほかの女性に聞きましたら、若いから仕方がないねと言われた。本当にあり得ないようなことが、やはり災害の後というのは起きるんだということ。  でも、一方で、この報告書の中にありますけれども、「調査に関して、アジア諸国も含めて、諸外国では災害発生後、早期に避難所での聴き取り調査などが実施できているが、日本の場合、避難所や仮設住宅の運営がほぼ男性で占められており、このような調査に関する理解を得ることが極めて難しかった」とあります。  また、夫、交際相手の暴力、DVなどさまざまな案件があって被災をされた方々、結局のところは、防災というのは日常から始まる、女性が暴力に苦しむことのない社会を築くには、社会におけるジェンダー不平等をなくすことが両輪であると言っております。  さらには、「防災計画や災害時緊急避難計画などに、女性や子どもへの暴力対策を盛り込むことの必要性」も、しっかりとこの調査報告書では書いてあります。  「回答者の多くが指摘したのは、地域の防災計画に、女性や子どもへの暴力を防止するための項目、および暴力がふるわれた際に適切で有効な対応をするための項目を、具体的に明記する必要性だった。地域での女性や子どもへの暴力についての認識が十分でないために、暴力の防止や被害者への支援、加害者への対応等がなされていないことも指摘されていた。そのため、加害・被害がおこる前に、広く情報提供・啓発が行われる必要がある」という指摘もされております。  先ほど実数の報告もいただきました。やっと出てきたなという思いもありますが、改めて、東日本大震災、阪神・淡路大震災など、熊本地震においては啓蒙活動はされましたけれども、過去の性犯罪、性被害、また相談件数なども、関係当局にしっかりと実態調査をしていただかなければならないんだと思っております。  この点に関しまして、通告というものではございませんけれども、大臣、何かお考えはありますでしょうか。 ○松本国務大臣 性犯罪の被害者の方は、精神的なダメージなどから被害の申し出をためらう場合が多く、被害が特に潜在化しやすい、そんな状況にあります。  適切に捜査を進める上で、被害者の方に被害を申し出ていただくということが何よりも大切だと考えているのですが、このような観点から、警察におきましては、平素から、犯罪被害者に対する電話相談窓口の設置、また、性犯罪捜査を担当する係への女性警察官の配置促進、被害者の希望する性別の警察官による聴取等によりまして、被害の申し出をしやすい環境の整備というものに取り組んでいるところでございます。  また、東日本大震災や熊本地震の際には、このような取り組みに加えまして、女性警察官を中心とする部隊を派遣し、避難所等におけます相談への対応、防犯指導等の活動、また、避難所や仮設住宅に対するパトロールの強化などが実施されたところでございまして、こうしたこれまでの災害時における対応を踏まえ、災害発生時においては、被災地における性犯罪も含めた犯罪の抑止に取り組み、被災者の安全、安心の確保に努めるよう、国家公安委員長として警察を指導してまいりたいと思います。 ○小宮山委員 申し出をためらう、その背景というものをぜひ知っていただきたい。  今回、詩織さんが顔を出し、名字以外ですけれども、実名を出してマスコミの前に出て、現実にはバッシングも受けております。これまでをやらなければ、多くの性被害を受けた方、一割ほどしか実際には届け出すらできない、この背景を正さなければ、現実の問題としては直らないんだと思います。さまざまな観点はあると思いますが、ぜひ、この勇気ある女性の行動、しっかりと支えていただきたいと思います。  再捜査も含めて、資料があるからこそ、裁判所が逮捕状を、請求直前まで、出す直前まで行ったんじゃないですか。この点はしっかりと受けとめていただきたいと思いますし、先ほど報告書の中にもありました、結局のところ、性犯罪や性被害の暴力などに対しての理解が足りない、そのために傷ついた方々、また場合によっては周りに知られると二次被害、そういったものが三次被害まで起こる、だからこそ申し出ができないという現実というものがあります。  警察官の中においても、心ない言葉を被害者にかけたのも報告もされています。もちろん、一方では、しっかりと理解をされ、見回りがふえたがために加害者がその避難所からいなくなって安心したというような話があり、さまざまな対応がされたという事例も聞いてはおります。  また、性犯罪指定捜査員として指定されているのが女性警察官ばかりだということのようであります。実際、約八千人ほどいるんですけれども、男性も理解しなかったら、被災地において、警察官はさまざまな作業やそして捜査、大変な任務を担っていらっしゃる、そういった手薄のときに起こっているのが、避難所や避難場所での性犯罪です。  そういったことを考えても、やはり、全ての職員がこの性犯罪指定の捜査員となれるほどの訓練や対応というものを知らなければ、根本的な申し出をためらう背景というのは解消されないんだと考えます。大臣、この点に関してはいかがでしょうか。 ○松本国務大臣 性犯罪被害者の精神的負担の軽減、被害の潜在化の防止を図るというためには、特に、被害者に対する対応が適切になされることが極めて重要なことでございます。  捜査員への登用に際して受講させる刑事任用科、あるいは性犯罪捜査を専門に扱う捜査員に受講させる専科において、性犯罪の専門家による事例に基づく講義や、被害者の事情聴取場面を想定してのロールプレーイング方式による実技指導等を行って、被害者の心情に配慮した対応をどういう形でできるのかということを身をもって学ぶ、そういう機会もつくって、これを教養として指導していきたいと考えます。 ○小宮山委員 教養ではなく実践で使っていただかなきゃならないので、しっかりとそれは、性別は関係なく、指導というか対応していただきたいと思います。  ありませんけれども、ぜひ、防災計画や緊急避難計画などこういったものにも、女性、性暴力対策などにおいても、しっかり盛り込むべきだと考えておりますので、この点は要望させていただきたいと思います。  証拠があっても被害が認定される可能性が低いとなれば泣き寝入りがふえます。実際には、周辺との調和やさまざまなあつれきなどがあって、災害のときだけではなく日常から、性犯罪、性暴力の被害というのは泣き寝入りを強いられているのが今の日本の現実だと私は考えております。泣き寝入りをさせないためにもしっかりと、詩織さんのこの事例を見ても、警察の対応、そして今後、加害者が逃げられるような、そんな日本を変えていただきたいと、防災大臣のイニシアチブ、もちろん、国家公安委員長としてもこの点はしっかりと指導していただきたいと思います。大きくうなずいて、何度もうなずいていただきましたので、この点、さらに対応していただく。  文科省におきましても、加計学園の再調査をされるという決断をされたようであります。この点は大臣に期待をさせていただきたいと思います。  さて、最後になりましたけれども一点、首都直下型地震の被害想定というよりかは、この点に関しましてお答えいただければと思います。  具体的なことになります。二の二のところで先に行きますけれども、首都直下地震など大規模災害時には、緊急消防援助隊として全国の消防本部から被災地への応援が行われます。長期かつ過酷な条件下で緊急消防援助隊が救急活動等を行うためには、特殊な車両、資機材等の充実強化が必要となりますけれども、この点に関しまして、特には、無線中継機や拠点機能形成車など、配備されれば有効に使われると思われる機材があるそうでございます。この点に関しまして、国の支援策、対応等について御説明をください。 ○秋葉委員長 杉本部長、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。 ○杉本政府参考人 お答えいたします。  首都直下地震などの大規模災害の際には、緊急消防援助隊が迅速かつ的確な消防活動を行えるよう、車両、資機材等の充実強化を図ることが重要だというふうに認識をしているところでございます。そういったことで、例えば、被災地の前線での部隊活動の後方支援を行う拠点機能形成車を初め、単独の地方自治体では整備することが困難な大きな車両、資機材等については、国有財産の無償使用制度により計画的な配備を進めているところでございます。  今後とも、緊急消防援助隊の活動に有効な車両、資機材等が整備できるよう、必要な財源の確保を図り、緊急消防援助隊の体制強化に努めてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 災害はいつ来るかわかりません。  備えあれば憂いなしという言葉もありますが、全ては平時のときにどのような対応をしていたかということが問われるのだと思います。 この委員会も、だからこそ定例日が設けてあります。災害対策だけではなく、日ごろから災害に備えろといったことで捉えておりますので、今後とも、委員会においてさまざまな質疑を深めていきたいと思います。よろしくお願いします。  ありがとうございました。