平成29年5月31日 衆議院国土交通委員会速記録(議事速報) ◇この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いい たします。 ○西銘委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 民進党の小宮山泰子でございます。  ただいまから、本日議題となっております住宅宿泊事業法案についての質疑をさせていただきます。  私の住んでいる地元川越におきましては、昨年は七百四万人の観光客の方が来ていただきました。  しかし、宿泊場所の少なさや空き家の増加の問題は常に課題であり、今国会に提出された特定不動産共同事業法や旅館業法改正、さらに今回の民泊新法への関心は大変高まっているところでもあります。  二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、今後も増加し続けることが想定される訪日外国人旅行者に対し、宿泊施設の確保を初めとする受け入れ環境を整備することは喫緊の課題であって、今回提出されました住宅宿泊事業法についてはさまざまな関係団体から法案の影響について懸念する意見も伺っております。  そこで、具体的に質問してまいりたいと思います。  民泊の制度に当たっては、旅館業法上の規制がかかる旅館、ホテル業と競争環境の公平性を確保することが重要な論点の一つとされておりました。  今回の政府から提出された法案で、民泊施設はあくまでも住宅という位置づけであるという理由から、営業日数は百八十泊を上限とし、一年の半分は住居として供されていることを条件とされましたが、旅館、ホテル業界からは上限日数がなお過大であるという意見も根強く、既存事業への影響が懸念されております。  また、民泊に提供される住宅、特に家主不在型民泊、あえて呼ぶならば投資型民泊における固定資産税の扱われ方、非常照明装置、そのほか、設備の基準も、仮にほぼ住宅並みとなれば、ホテル、旅館の営業許可を申請しなくてよい民泊は、収益を優先する企業、投資家にとっては設備費、投資コストが低く、税制上メリットのある投資物件、低コストホテルにつながるのではないかといった懸念がございます。 きのうも、この点に関しましては、参考人の方から提示されたところでもあります。  用途地域に制限がないことも、旅館、ホテルに比べて公平な競争条件とは言えません。仮に、民泊の普及により旅館、ホテルの経営が圧迫され、倒産、廃業となれば、地域経済や観光振興に悪影響を及ぼし、観光立国を目指す上で大きなマイナスとなります。  そこで、今回の制度の検討に当たり、政府は、旅館、ホテル業との競争条件の公平性について十分考慮したのか、まずは見解をお聞かせください。 ○田村政府参考人 本法案につきましては、厚労省及び観光庁が事務局として開催された「民泊サービス」のあり方に関する検討会において、学識経験者、業界関係者等からの意見を踏まえまして、制度の検討を行ったところでございます。  具体的には、本法案におきましても、住宅宿泊事業者に対し、旅館業法同様、宿泊者の衛生の確保や宿泊者名簿の備えつけなどの義務を課しているとともに、防火、避難上の安全基準についても、宿泊サービスを提供した旅館、ホテルと同様の安全基準を求める方向でございます。  また、今後、旅館、ホテルや簡易宿舎につきましても、厚生労働省において今国会に提出している旅館業法の改正法案とあわせて、便所等施設の具体的な要件等について一定の規制緩和を行う方向で検討しているというふうに承知をしております。  これらによりまして、旅館、ホテルとのイコールフッティングを図ってまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 固定資産税について、住宅としての減免がそのまま行われるなどとした場合、旅館、ホテルとの対比で公平性に疑問も生じております。  民泊に用いられる住宅、アパート、マンションなどに対する固定資産課税等に関して、現行の住宅用地特例の考え方をお聞かせください。 ○開出政府参考人 現行の地方税法におきましては、住宅政策上の見地から、居住の用に供する家屋の敷地について、二百平米以下であればその価格の六分の一を課税標準とし、二百平米を超える部分については価格の三分の一を課税標準とする住宅用地特例が講じられているところでございます。  居住の用に供しているかどうかは、特定の者が継続して居住しているかどうかで判断されるものでございます。  具体的には、課税庁において、その形態や実態に応じて、居住の用に供しているかどうかを確認した上で、住宅用地特例の適用の有無、適用方法などを判断することになるところでございます。 ○小宮山委員 それでは、この前の国交省の方からの答弁、観光庁ですか、ですと、そういったことではなく、これはやはり事業に使っているということで、適用は違うというような話がございましたけれども、今の答弁ですと説明と違うのですが、このあたりはどうなっているんでしょうか。 ○田村政府参考人 課税当局において適切に判断されることになると思いますけれども、事業性というものにも着目して課税されることになると思います。 ○小宮山委員 ぜひ、事業を現実に行っているのですから、事業性はあるというふうに私は捉えておりますし、課税当局も捉えるべきであるというふうに思っております。特に、固定資産税は地域においては大変重要な税収のものでもございますので、この点はしっかりと取っていただいた方がよろしいのではないかというふうに思います。  それでは、少し先に行きますけれども、今国会においては、まず厚生労働省から旅館業法改正も国会に提出されております。旅館業法の四分類、ホテル、旅館、簡易宿泊、下宿に新たに民泊宿泊を追加しなかったのはなぜなのか、お聞かせください。 ○北島政府参考人 お答えいたします。  本法案が対象とする住宅宿泊事業は、住宅等を一時的に宿泊事業で活用するものであること、また、不動産業者や個人の住宅所有者によって実施されるものであることなど、通常の旅館業とは異なる性質を持つものであることから、旅館業法の改正ではなく、新法である住宅宿泊事業法案で対応することとしております。 ○小宮山委員 旅館業法改正は、旅館とホテルの垣根をなくして、旅館・ホテル営業へと統合することとともに、無許可営業者に対する規制の一部強化など、限定的な内容となっております。民泊と比較をすれば、安全衛生上、設備投資などに大きな経済的負荷が旅館、ホテル営業には課せられているのは、変わりなくあります。  民泊新法と今回の旅館業法改正で公正で安全な宿泊施設、宿泊営業の確保を可能と考えているのか、この点についても厚生労働省から御所見をお聞かせください。 ○北島政府参考人 住宅宿泊事業の制度化に当たりましては、既存の旅館、ホテルとのイコールフッティングに配慮することが重要であると考えており、関係団体からの要望を踏まえ、旅館業法の改正法案を今国会に提出したところでございます。  今回の旅館業法の改正では、ホテル営業と旅館営業の営業種別を統合することで、和風、洋風といった様式の違いによる規制を撤廃し、利用者の多様なニーズに応えていくものでありますが、あわせて、政令等においても、最低客室数、寝具の種類、客室の境の種類等の規制撤廃等、大規模な規制緩和を図ることとしております。  また、住宅宿泊事業法案では、届け出制を初めとする一定のルールを定め、民泊の実態把握と適切な指導監督を行い得るように措置することを盛り込んでおります。  今後、これらの措置によりまして、旅館や民泊による宿泊サービスが適切に提供されるものと考えております。 ○小宮山委員 稼働率が五〇%を下回っている地方旅館の経営者の方などからは、民泊新法が施行された後に旅館から民泊へ変更を真剣に考えるといった声が聞こえてまいります。  きのうの、民泊サービスあり方検討会の三浦弁護士や、また旅館経営者の永山さんなどからも、旅館業法第五条の撤廃など、公平なイコールフッティングな競争のための旅館業法のさらなる改正、規制緩和が必要だとの指摘、提言がございました。  今後、所管の厚生労働省においても対応を行うべきと考えますが、検討会の設置などさまざまな形がありますけれども、どのようにお考えなのか、お聞かせください。 ○北島政府参考人 ただいまお答え申し上げましたとおり、住宅宿泊事業の制度化に当たりましては、既存の旅館、ホテルとのイコールフッティングに配慮することが重要と考えております。  旅館業法第五条のいわゆる宿泊拒否制限につきましては、過去に、ハンセン病の元患者さんの宿泊を拒否した事業者に対しまして、本規定に基づき行政処分が行われているなど、不当な差別的な取り扱いを防止するために重要な規定であり、見直しには慎重な対応が必要と考えております。  このため、差別的な取り扱いがなされないよう留意しつつ、多様な消費者ニーズに応えられるように、利用者の任意の協力のもとで、例えば女性や大人向け旅館を営業することも可能であることなど、一定の考え方を示すことを予定しているところでございます。  まずは、今国会に提出させていただいております旅館業法改正に伴う規制の見直しを進めるとともに、見直し後の状況や関係者の意見等を踏まえまして、旅館業規制の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 今回提出された法案では、生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度について、営業日数の上限を百八十泊からさらに条例で制限することが可能とされております。  しかしながら、本法案では、条例で制限できる場合の基準が明確でなく、自治体にとって困難な判断を迫られるのではないかと懸念しております。  この点は、先ほど荒井委員からの指摘もございました。  どのような場合にどこまで上限日数を制限できるのか、国が判断基準を明確にするべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。 ○田村政府参考人 本法案におきましては、都道府県等が、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するために必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができると規定をしております。  具体的には、生活環境の悪化を防止するために必要がある区域として、例えばですけれども、静穏な環境を求める住民が多く滞在する特定の別荘地、あるいは、防犯の観点から安全な環境を必要とする学校、幼稚園等周辺等々、挙げられるというふうに考えておりますけれども、一方、この制限につきましては、地域の実情がさまざまであることから、当該都道府県内の各地域ごとの特性に応じて、合理的な範囲内でその必要に応じて区域を設定すべきものであるので、国が判断基準を一律に定めるというのは困難であるというふうに考えております。 ○小宮山委員 自治体の判断が重要であるというのは私も賛成でもありますし、重要だと思っておりますけれども、それであるならば、当然ながら、上限日数をゼロ泊として条例に定めることで住宅宿泊事業を行わない地域を定めるということも可能なのではないかと考えますけれども、この点に関して見解をお聞かせください。 ○田村政府参考人 本法案第十八条における条例による住宅宿泊事業の実施の制限につきましては、一年間、三百六十五日全てをその期間としてだめにする、制限するということは、住宅宿泊事業に係る規制、振興の両面を有する本法案の目的を逸脱するものであり、適切ではないというふうに考えております。  また、同条に規定されている、合理的に必要と認められる限度につきまして、具体的な地域の実情等によってさまざまであるので、制限できる日数を法令で一律に定めるようなことはなかなか困難であるというのは、ちょっと繰り返しになりますけれども、改めてお答えを申し上げるところでございます。 ○小宮山委員 適切ではないと考えるかもしれませんけれども、それを妨げるものでもないということですよね、自治体の判断ということは。ゼロ泊もあり得るということですよね。 ○田村政府参考人 当然、最終的には自治体の御判断ということになろうかと思います。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  良好な環境をつくるというのは、やはり住民同士のコミュニティーをつくったりさまざまな努力があって、また、その町のやはりイメージもあるでしょう、目指すところもあるでしょう、そういった地方自治の自主性というもの、住民の皆様のその思いというものはきちんと受けとめていただければと思っておりますし、それを形にするべきだ、できるということは今ので確認させていただきました。  条例は都道府県または保健所設置市が制定することとされますけれども、実際に各地域の生活環境を把握しているのは市町村でもあります。地方自治の観点からも、各市町村に条例制定権限を付与すべきではないかとも考えております。特にエリアを小さくする場合など、県が全て把握できるものでもございません。  この点に関しまして、なぜ条例制定権限を都道府県または保健所設置市までにとどめたのか、見解をお聞かせください。 ○田村政府参考人 住宅宿泊事業を実施する期間を制限する条例を制定した場合、その制限した期間に住宅宿泊事業が実施されていないかどうかというのを監督する必要がございます。  この点、都道府県または保健所設置市につきましては、既に旅館業に係る行政事務を処理していることなどを踏まえまして、住宅宿泊事業に係る行政事務の処理についても一定の執行能力を有するものと考えているところでございます。  これらを踏まえまして、住宅宿泊事業を実施する期間を制限する条例の制定権限につきましては、都道府県または保健所設置市等にとどめることとしているところでございます。 ○小宮山委員 少し先に行かせていただきます。  改めて、宿泊料を受けて人を宿泊させる行為は旅館業法の適用を受けるとの見解は変わらないのか、厚生労働省に確認をさせていただきたいと思います。 ○北島政府参考人 宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行う場合には、原則として、旅館業法に基づき、旅館業の営業許可を受ける必要がございます。  一方、住宅宿泊事業法案第三条において、住宅宿泊事業を行う旨の届け出を行った者は、旅館業法第三条第一項の規定にかかわらず住宅宿泊事業を営むことができると規定されており、届け出を行うことによって旅館業法の適用が除外されることとなります。 ○小宮山委員 一泊からも宿泊ということは変わらないわけですので、特に宿泊料を取るというところに変わりないということを確認させていただきました。  年間百八十日までという定めに関して、居住型民泊については、ホストが宿泊客と対面し管理を行うものとなり、ホームステイ同様、百八十日を超える宿泊も可能とすることで、文化交流、イベント対応民泊などに資するように認められるべきではないかという意見もございます。  家主不在型の投資型民泊は、諸外国の例にも見られるように、より少ない日数とするか、または、空き家、空き住宅の有効利用を明確に目的とするならば、パリのように観光用家具つき住居として、家主の当該居住施設への居住義務を課する方法もあります。  現在営業している日本の古民家を活用した民泊の多くは簡易宿泊の形態をとっており、既存の旅館業法に基づく旅館、ホテルとしてのみ認めるべきとの指摘もございます。  また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック終了後は宿泊施設が余る予測もあるのも事実であります。オリパラ期間のみの期間限定とする選択もあったはずです。  観光庁は、居住型民泊と不在型民泊には基本的に違いはないといった説明をしておりますけれども、きょうのさまざまな質疑を聞いていても、そこに関してはかなりの問題があるのではないか、また、今後、この点に関しては分離することも検討が必要ではないかと思っております。  旅の恥はかき捨てといったことわざがございますが、現在も民泊の利用者による騒音やごみ出しにおけるルール違反などのトラブルが発生しております。  本法には、特区民泊にある、届け出申請前に周辺住民への説明の義務づけがございません。  政府は、対象となる民泊を提供する住宅に対して適切に指導監督を行い、実効性ある管理体制を確保するとともに、違法民泊については厳しく取り締まり、所在地などを調査、把握することで安全と規制の実効性が確保されるとしております。  しかし、民泊の主管官庁となる観光庁は、出先機関や下部組織、あるいは各自治体に関係組織が配置されている状況にはございません。 埼玉県下、六十三市町村ございますが、住宅課が設置されているのはわずか四自治体で、それらの課においても、公営住宅の管理が主たる業務と聞いております。  これまで、閑静な住宅街で民泊が提供され、騒音など迷惑に感じた住民が、民泊の家主や住宅宿泊事業者や住宅宿泊管理事業者、あるいは集合住宅の管理人や管理組合や管理会社などや警察、行政機関に訴えかけても、今後は気をつけますとか、民間事業者の行っていることなので介入しづらいとか難しいといった返答にとどまり、迷惑と感じる方がいれば、何も変わらない、何もしてくれない。最悪の事態は、事件、事故が起きてからしか対処がされないということであります。  警察、地方自治体、保健所、さらには、設置されている自治会、町内会の関係者、徴税にかかわる税務署の間での民泊に関しての情報共有や連絡協力体制を整える必要があるとともに、トラブルなどの通報に対しても迅速に対応されることが周辺住民との信頼関係、安心、安全の構築にも重要と考えますが、見解を求めるとともに、具体的にいかに対応されるのか、お聞かせください。 ○田村政府参考人 本法案では、住宅宿泊事業を実施する場合の届け出等の手続を定めておりますけれども、この手続に係る情報を関係行政機関において共有するためのシステムを構築し、国土交通省、厚生労働省、都道府県等地方公共団体、警察等が連携して住宅宿泊事業の適正な運営を確保していくこととしております。  また、周辺住民からの苦情等への対応につきましては、住宅宿泊事業者等に対しまして、苦情等に適切かつ迅速に対応するよう義務づけております。  その上で、観光庁におきまして、都道府県と連携してワンストップの苦情対応窓口を設置し、当該窓口で受け付けた苦情等につきましては、関係行政機関や都道府県等に通知して必要な対応を求めることを考えております。住宅宿泊事業者等を監督する国土交通省や都道府県等は、苦情対応窓口からの通知を踏まえ、必要に応じ、立入検査、報告徴収を行い、業務改善命令や業務停止命令を行うなど、是正措置をとることといたしております。 ○小宮山委員 先に進みますけれども、実際に現地調査を行うことになるのは、都道府県及び政令市、中核市の保健所職員を初めとする地方自治体職員であり、それらの現場職員にかかる負担が大幅にふえることは明らかであります。  保健所の体制確保や、保健所を持たない基礎自治体においても対応する職員の体制を強化するには、やはり予算面の裏づけがなければ、支援がなければ、現実にこの民泊というものの健全な状況というのは確保できないというふうに考えております。  地方自治体が管理体制を確保するために発生した費用、経費の補填は国が責任を持って手当てするべきではないかと考えますが、御見解をお聞かせください。 ○石井国務大臣 住宅宿泊事業は、旅行業法と同様に、都道府県等の地方公共団体が自治事務といたしまして指導監督を行うものでございますので、これに必要な費用等は当該地方公共団体が負担をしていただくものでございます。  一方で、本法案の円滑な施行のため、国土交通省の予算におきまして、インターネット等による行政手続に係るシステムを構築の上、関係行政機関において情報を共有し、監督主体間の連携を図ることとしておりますが、関係地方公共団体におきましても、このシステムを活用すること等を通じて、住宅宿泊事業に対する指導監督を効率的に実施ができるものと考えております。  また、本法案の施行に当たりまして、十分な指導監督を都道府県等が行えるよう、人員確保、体制の構築に対し、観光庁と関係省庁において必要な措置を検討しているところでございます。 ○小宮山委員 先ほど、岡本委員の方から、避難誘導は義務なのかという質問がございました。通告はしておりませんけれども、火災報知機の設置義務化がされてから、全国の平均設置率は八一・二%、一〇〇%ではございません。また、条例適合率は六六・五%、半数ちょっとのところしかないという報告も聞いております。  設置しなくても消防法で罰則は特に定めておりませんが、今度、民泊で住宅を使うとなりますと、この点は大変重要だと思いますし、これも現地で調べなければわからないことだと思います。そういった技術的にわかるような職員というのが、地方自治体はおりません。なので、この点に関しても、定期点検をしない場合とかもあります、これもしっかりと見て回らなければ、やはり、設置した、民泊というのは不適格ではないか、そういった判断も必要になるかと思います。  こういった地方自治体への対応について、通告はしておりませんけれども、観光庁長官、改めて御見解を聞かせていただけますか。簡潔にお願いします。 ○田村政府参考人 今、大臣からもお答え申し上げましたけれども、この法案の施行に当たりまして、十分な指導監督を都道府県等が行えるように、人員確保、体制の構築に関しまして、関係省庁とともに必要な措置を検討しているところでございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  本法案が成立すれば、これまで都市計画で第一種住居専用地域などに指定して良好な住環境の形成を図って、旅館、ホテルの営業を不可とした地域であっても、民泊を合法的に実施することが可能となります。共同住宅であれば管理規約において民泊を禁止することも可能ですが、第一種低層住宅専用地域において、住環境維持のため民泊を受け入れないとする場合の地域住民の意見を反映する手段はあるのでしょうか。  本法案が先例となり、用途地域に基づく土地利用という考え方、原則が崩れていくことも危惧されております。民泊新法と都市計画法は相入れないという指摘に対しての所見を求めるとともに、今後も用途地域に基づく土地利用の原則は変わらないのか、確認いたします。 ○田村政府参考人 多様な宿泊ニーズに対応する選択肢をふやし、増加する宿泊需要に対応していくことは、観光を成長戦略の柱に据える我が国にとって極めて重要なことでありまして、一定の規制のもとで健全な民泊の普及を図ることが求められております。  また、空きストックである住宅の有効活用や、ゲストとの交流を図るといった、宿泊サービスを提供する側からのニーズも一定程度ございます。  このような多様なニーズに対応するため、住宅を一年の半分未満の期間で活用するという制限のもとで、住宅が多く立地する住居専用地域を含め、住宅が立地するさまざまな地域において実施可能とすることといたしております。  この場合、周辺の生活環境への悪影響を防止するため、標識を掲示するとともに、住宅宿泊事業者または管理業者に対して、宿泊者への説明義務や苦情処理義務などの措置を義務づけることといたしております。  こういう結果として、住宅宿泊事業法案につきましては、都市計画に基づく用途地域制度との整合を確保して提出させていただいているというふうに考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  終わりになってまいりましたけれども、本法案で規定されている住宅宿泊事業については、現行の旅館業法の違法状態や、民泊の実数すら把握できない状況を早期に是正するため法律が必要と理解はしておりますけれども、不動産の有効活用が優先され、観光の資産であるそれぞれの土地のコミュニティーが壊されてしまったら元も子もございません。  各方面からさまざまな懸念事項も指摘されており、懸念事項への対応が十分行われるよう、また、最後に、大臣に、通告はしておりませんけれども、健全な観光産業、また、まちづくりの観点から大変重要な地位を占めている国交省は本当に今回責任が大きいと思っております。大臣の、この新法をつくることでの御決意をお聞かせいただきたいと思います。 ○石井国務大臣 いわゆる民泊については、現状、相当無秩序な状態も見受けられるといったことから、今回、一定の規制をかけて、健全な民泊を、規制をしていくということでございますが、今委員から御指摘のありましたさまざまな懸念に対してもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 この民泊、大変有効に活用されることというのは私も望むところではございますが、営利を優先するために、それまで培った町並みが崩れるとか、そういったことがないように、これからもしっかりと運用、さまざまなところを注視させていただき、質問を終わらせたいと思います。  ありがとうございました。