平成29年5月24日 衆議院国土交通委員会速記録(議事速報) ◇この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いい たします。 ○西銘委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 民進党の小宮山泰子でございます。  本日は、不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。  不動産特定共同事業法は、平成六年六月に制定され、平成七年四月に施行されております。同法案がつくられた背景としては、いわゆるバブル経済期ともなる昭和六十二年ころから供給が行われるようになってきた不動産小口化商品に関して、平成三年ごろ、経営基盤の脆弱な業者の倒産等によって、投資家の資金回収が不可能となるといった被害事例が多数発生したことがあると考えられております。  投資家保護とともに、不動産会社などの事業者が主体となって、投資家から募った出資金などをもとに不動産投資と運用を行い、投資家への配当を行う不動産特定共同事業の健全発展を目指していくため、安心して投資できる最低限のルールを整備すべく成立したのが不動産特定共同事業法であり、成立後、複数回の改正を経て今日に至っております。  今回の改正では、小規模不動産特定共同事業が創設され、事業者として、地域の不動産会社など相当数の者が十分行い得る規模となる資本金一千万円にまで引き下げられ、また、投資対象不動産も一億円未満、一般投資家からの出資も百万円以下とされることで、広く一般の方が使える、投資ができる、そういった範囲まで緩和されるものとなっております。  未利用、未活用となっている空き家などが、出資を募って集まったお金をもとに改修、修繕などを行うことで、賃貸されたり、あるいは販売されることなどによって活用されることとなれば、その利益は大きく、地域経済の観点からも歓迎されるものと考えております。  そこで、改修、修繕などをして利用されることが望ましい、町の中で埋もれたままになっている利用されていない土地や建物に対して手が加えられ、魅力あるスポットとして利用されるようになるきっかけが本当に与えられるものにつながっていくこととなるのか、この点についてお聞かせいただければと思います。  私の地元でも、首都圏で現存する唯一の木造芝居小屋、約百二十年ほど前の旧鶴川座などもございます。また、伝統的建造物に指定されている町中の空き家などの活用については、大変注目も浴びておりますし、この手法を使うことでどのような活用ができるのか、私も大変注目しているところでございます。  この点に関しまして、国交省として、また大臣として、どのようなことを期待し、どのような結果を考えていらっしゃるのか、御見解をお聞かせください。 ○石井国務大臣 我が国におきまして、地域の個性を重視した地方創生を実現するためには、地域に根差した民間事業者の活躍が不可欠でございます。  このため、今回の改正案におきましては、地域に根差した不動産事業者やまちづくり会社による地域づくりの取り組みにおける資金調達手法の多様化を図るため、小規模不動産特定共同事業制度を創設いたしまして、資本金要件を緩和することとしております。  本改正によりまして、今委員御指摘いただいたような御地元の川越における伝統的建造物を含めまして、地域で埋もれている資源が、地域の事業者などの力により、地域の魅力あるスポットとして再生され、地域経済の活性化の核となることが期待されます。  国土交通省といたしましても、制度の普及啓発、地方公共団体や事業者等とのネットワークづくりの支援、地域のまちづくりと一体となった取り組みなどの案件形成の促進や優良事例の横展開を通じまして、こういった取り組みを後押ししてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  とはいえ、投資物件ということになりますと、そこそこ人が集積する可能性がある。私の地元の川越においても、当然、そういった意味では、さまざまな資産がまだ活用し切れていないんですけれども、その一方で、多くの方がその地域に来られるということになる。今回も、カフェだったり、また宿泊施設とか、さまざまなことが利用できるというふうに、人が集まるところが改修対象というようなことも御説明の中で伺いました。  現実的には、都市部では、空き家、空き店舗は次々とコインパーキングとなっております。観光地として、観光客のための駐車場は満車となったり、また、まだまだ駐車の需要があることは明らかだと思います。  これまで国交省からは、町並み保存につながる古民家等の活用につながると説明を受けておりますが、小規模不動産特定共同事業が創設された後、制度の利用内容として、空き家などを取り壊して、収益事業としてコインパーキング整備を進めることも可能と捉えられます。 このような利用のされ方も想定しているのか、お聞かせください。 ○谷脇政府参考人 お答えいたします。  不動産特定共同事業は、投資家から出資等を受けて不動産の売買、賃貸借などを行い、その収益を投資家に還元する事業、こういう位置づけでございます。  不動産特定共同事業における不動産の売却、賃貸の相手方につきましては、法律上特段の制限がないということでございまして、今御指摘がございましたコインパーキング事業者といったような方に不動産を賃貸するといったようなことが、事業形態として法律上否定されているというものではございません。  一方で、今までも御説明をさせていただいておりますように、不動産特定共同事業を進めるに当たりましては、地域のまちづくりの取り組みの一環として行われるということが重要であると考えております。  地域のニーズに合った土地の有効利用が促進されるように、地方公共団体などと連携いたしまして、優良事例の形成の支援、あるいはその横展開、ネットワークづくりといったものに取り組んでいきたいと考えております。 ○小宮山委員 コインパーキング整備は、大変利益率もいいし、また、需要もあります。そういう意味においては、当然、収益を求める人にとっては大変有望な事業でもあり、投資先だとも考えられます。また、当然、そこを貸す方にとっても有益な場合があるかと思います。  この点に関しては、まちづくりという観点で、歯抜けという表現がいいのかわかりませんけれども、しっかりと町並みを保存することで、地域の面的整備、この点に関しましての啓蒙、今おっしゃいましたけれども、また支援というものもさらにしていただければと思います。  本法案は、町の活性化、まちづくりに資する制度として活用されることへの期待がある一方、地域の不動産会社、あるいは一般の投資家、空き家の所有者など、これまで出資するとか投資を行う経験や知識が必ずしも豊富と言えない方が、小規模不動産特定事業における事業者、出資者、不動産提供者となってくるため、その保護については、これまで以上に細心の注意を払う必要があると考えております。  出資をする、投資を行う、あるいは金融機関からの融資を受けるなどした場合、後に、出資者と事業者との間で投資内容について、また金融機関との間で何らかのトラブルが生じた際、双方の主張が平行線のまま協議が進まず、民事裁判に持ち込まれるという場合が出てくることも想定されます。  金融機関絡みの訴訟では、貸し手側となる金融機関と借り手側の関係性では、金融機関に多くの証拠書類等が偏在しており、また、日本の司法制度のもとで、根拠となる書類は、銀行の内部資料であるとして開示する必要がないものとされていることから、一般の個人である借り手の主張が立証されることは極めて困難であります。  米国での民事訴訟では、ディスカバリー、証拠開示手続という強力な証拠収集手段があり、相手に証言や証拠の開示を要求することができます。  ディスカバリーの手続には、質問状、自白要求、書類提出要求、デポジションという形が含まれております。米国の裁判では、ディスカバリーにより双方が証拠を開示し合い、明らかになった真実に基づいて陪審員による評決が行われる。一般市民による陪審員制度にも課題とする点は多いんですが、証拠が十分に開示されていれば、偏った判断にはなりにくいと考えます。  比較するに、日本の裁判では、証拠となる資料などの提出、開示が不十分であるため、金融機関と顧客の間の係争事案などでも、顧客からは主張する内容を立証することができず、敗訴するケースも圧倒的に多いのが実情となっております。空き家の所有者や地域の投資家保護の観点からも、米国の裁判で用いられているディスカバリーを参考事例とした、証拠提出を求めるための制度を整えることが望ましいと考えております。  また、今回のように、プロから、いわゆる素人の方、一般の方が対象に入ってくる、こういったものに関しては、この投資関係においては、しっかりと一番末端の個人、特に土地の所有者など、物上保証などをとられたり、また、事業者の形の中に役員として入れられることで、実は、当事者としてこの保証から外されることがなくなるという事例も幾つか聞いてまいりました。  こういったことがないようにきちんと整備をするべきだと考えておりますが、この点に関しまして御所見をお聞かせください。 ○谷脇政府参考人 小規模不動産特定共同事業の実施に当たりまして、投資家保護を確保するためには、御指摘ございました、事業者から投資家に対して正しい情報が提供されることが重要であるというふうに考えてございます。  現行の不動産特定共同事業におきましても、事業者から投資家に適切な情報提供が行われるように、事業者に対しまして、法律上、不当な勧誘の禁止、契約前の書面の交付と説明、定期的な財産管理報告書の交付、こういったようなものを義務づけるとともに、監督庁への事業報告書の提出、こういったようなものも義務づけているところでございます。  こういうような規定によりまして、適切な情報提供が行われることを担保する仕組みとなってございます。仮にこれらの規定に違反があったような場合には、指導監督、処分を行うなど、厳正に対応することとしてございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  本法案が施行されて後、不動産屋が事業者として携わったものの、想定したとおりの運営ができず行き詰まったり、また、事業内容が想定していたものと異なり、配当の見込み違い、出資金の毀損といった問題を生じさせたり、場合によっては出資金詐欺となりかねないような募集が考えられたり、また、空き家の所有者が、所有する不動産を、物上保証とか、事業者の役員となり責任を持たされ、事業がうまく回らなくなれば結果として不動産も全て失うなどという事例が各地で生じることは避けていただきたいと思っております。  特に三番目の、不動産を提供して、町並みであったり、せっかくいいものに活用してもらうために提供した方が被害に遭うということは避けなければならないと思います。ふなれであるなどとして一般の方が関係してくる仕組みだからこそ、その保護をよりしっかりと整える必要があるんだと思います。  情報公開だけではありませんし、また、やることは多々あるかと思います。実際にはどのように対応していくのか、本法案で健全な運用がされるために、その決意を国交大臣に伺いたいと思います。 ○石井国務大臣 投資家保護につきましては、御指摘のとおり極めて重要と考えておりまして、不動産特定共同事業を営む者に対しましては、宅地建物取引業の免許、一定の資本金等の参入要件、不当な勧誘の禁止等の行為規制、定期的な業務報告や立入検査等の監督等を通じまして、その業務の適正な運営を確保し、投資家保護を図っております。  今回の改正案で設立いたします小規模不動産特定共同事業者につきましては、これらの措置に加えまして、投資家ごとの出資額の上限を個人の場合百万円、事業者が投資家から集めることのできる出資総額の上限を一億円と定めるとともに、五年ごとの登録更新を通じて不適格業者を排除することとしております。  さらに、今回の改正にあわせまして、事業者に対する監督指針の充実を図りまして、高齢者であるかどうか、投資経験がどれぐらいあるかなど、顧客の属性に応じた適切な勧誘、広告や事業内容の説明のあり方などについて、具体的な指針を示すこととしております。  こういった規定、指針に基づく指導監督を通じまして、投資家保護に万全を期してまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 今国会において既に成立しております都市緑地法等の一部改正において、生産緑地法第八条の改正で、営農者による直売所や農家レストランの設置が認められることとなりました。  レストランなどの経営経験が乏しい営農者が、小規模不動産特定共同事業への出資者の一人となりながら、許可申請をみずからの名義で行うなどしつつ、実態としては第三者が料理などの提供、経営を行うといった農家風レストランを開設することは可能になるのか、御所見を伺いたいと思います。  あわせて、直売所やレストランの設置のためには相当額の設備投資が求められることになりますが、この制度を用いて建物を建て、売り上げの一部から配当するとか、建物使用料、賃料を営農者から徴収して配当に充てるといった事業が行えるのか、お聞かせください。 ○栗田政府参考人 本委員会で御審議いただきました都市緑地法等の一部を改正する法律でございますが、その中で、生産緑地地区内に、そこで生産された農産物の直売所や、その農産物を主たる食材とする農家レストラン、こういった営農活動と密接に関連する施設が設置可能とされました。  これは、生産緑地が住宅地周辺に立地するという環境を生かして、農地の六次産業化を図ることにより、営農者の収入の道を確保し、経営の安定を図る、もって都市農地の保全に寄与する、これが大事だという考え方に基づいております。このため、これらの施設を設置したり管理できる者は、原則として、当該生産緑地地区の所有者、あるいはその所有者から借地をして耕作する者、こういったこととしたいというように今考えております。  御指摘のように、申請名義は営農者であるものの、それは出資者の一人にすぎなくて、実態として第三者が経営を行うレストラン、これは今回の都市緑地法の改正の趣旨に沿ったものではないというように考えております。  法の施行に向けまして、都市緑地の保全に資するという改正の趣旨に沿った要件を現在検討しておるところでございます。 ○谷脇政府参考人 不動産特定共同事業法との関係でございますけれども、不動産特定共同事業法は、先ほどもちょっと申し上げましたが、出資を募って不動産の賃貸、売買を行い、賃貸収入や売買益を出資者に配当する行為、これを規制するということでございます。  したがいまして、レストラン設置者が、関係の不動産の賃貸、売買等を行わずにみずから営業する場合につきましては、不動産特定共同事業法の不動産特定共同事業には当たらないということでございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  あわせまして、今国会には住宅宿泊事業法案も提出されております。この関係についてお伺いいたします。  空き家、空き室となっている住宅を民泊として提供するには、旅館、ホテルに求められる設備要件に比べれば簡易なものとなるものの、表示や安全設備などの追加整備やリフォームなどが必要となることも多いと考えます。  空き家、空き室となっている住宅建物を、小規模不動産特定共同事業を活用して民泊施設に用いることも可能となるのか、まずはお聞かせください。 ○谷脇政府参考人 不動産特定共同事業は、先ほどから何回か申し上げておりますが、投資家から出資等を受けて不動産の売買、賃貸等を行い、その収益を投資家に還元する事業、こういうことでございます。  この不動産特定共同事業における不動産の賃貸、売却の相手方については特段の制限がないということでございますので、民泊を含め、オフィス、住宅、店舗、宿泊施設等、地域のニーズに応じた多様な用途で活用されるものであると考えております。 ○小宮山委員 民泊に用いられる住宅は、年間の半分は住宅として用いられることとされ、民泊に提供されていない期間は、賃貸として募集されていたり、販売されていたり、あるいは家主自身が用いることとなります。宿泊料を徴収しての宿泊提供は百八十泊までとなり、あとの、例えば百八十五日の宿泊費を取らないまま泊めてあげるということには支障がないと捉えられます。  出資者に対しては、民泊として提供していない日、宿泊予約の入っていない日、あるいは既に年間民泊提供日数の上限百八十泊に到達した以降の日などには、無料で宿泊することができるといった出資の呼びかけは可能か、また、これが現実にできるのか、お聞かせいただきたい。  また、民泊として提供する場合の宿泊単価より安価な金額で出資者に宿泊してもらうということは可能か。また、その場合には、民泊提供日数の内数として数えなければならないのか。あるいは、一般の方への民泊提供が最大百八十日、出資者の宿泊が年間残り百八十五日までとすることができるのか。この点に関しましてお聞かせください。 ○田村政府参考人 住宅宿泊事業法案におきましては、対象となる住宅は、従前の入居者の賃貸借の期間の満了後新たな入居者の募集が行われている家屋等であって、人の居住の用に供されていると認められるものとして国交省令、厚労省令で定めるものと規定しているところでございます。  また、住宅宿泊事業につきましては、宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数として国交省令、厚労省令で定めるところにより算定した日数が一年間で百八十日を超えないものと規定しているところです。  今委員から御質問の点につきましては、出資者への特典として、プロモーション等のために無料宿泊券等を提供して出資を呼びかけること自体は可能でございますけれども、無料宿泊券等の有償性につきましては、個別の事業形態ごとに判断することになると考えております。  いずれにいたしましても、住宅宿泊事業を行う住宅においては、住宅宿泊事業として提供していない日も含めて、御説明申し上げました住宅の要件というものを満たすことが必要であるということは改めて申し上げさせていただきたいと思います。  それから、いわゆる普通の宿泊単価より安価な金額で出資者に宿泊してもらうということは可能かということでございます。住宅宿泊事業者として、宿泊者に対して安価な金額で宿泊させること自体は可能であるというふうに考えておりますけれども、その際、金額の多寡にかかわらず、住宅宿泊事業には該当することとなりますので、住宅宿泊事業に係る年間提供日数の内数で検討するということになると考えております。  それから、今、最後、民泊として提供する場合の宿泊単価より安価な金額で宿泊者に宿泊してもらうということが可能という場合に、今、内数と申し上げましたけれども、要するに、これは百八十日の内数であるということでありますから、それを超える分については有償で貸すことはできない、こういうことであります。 ○小宮山委員 いま一つはっきりしないところがたくさんございますが、出資者は当事者なのか別人格なのか。お金を取れば、全てそれは宿泊料として捉えるということでよろしいんでしょうか、改めて確認をしたいと思います。出資者であっても、また安価であっても宿泊料というふうにみなすのか。 ○田村政府参考人 出資者と小規模不動産特定共同事業者は別人格となると考えております。そして、出資者に対して住宅宿泊事業として安価な金額で宿泊させるということ、これはもちろん、その対価というのは宿泊料ということになろうかと思います。 ○小宮山委員 出資者とは別人格ということで、そこは、旅館業法違反がないように適正に対応することを望ませていただき、また残余の関係につきましては質疑を続けさせていただきますが、今回、投資家の保護が、もともとこの法案をつくられたときにある法案でもあります。しかし、その前に、やはり持ち主であったり、一番末端である、資産を貸し出す、提供する、そういった一般の方をきちんと守ること、このセーフティーネットを、国交省中心に関係省庁と制度等また省令等の整備を尽くしていただき、この法案ができたがために被害者がふえた、生まれたということがないように万全を期すことを要求いたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。