平成29年5月9日 衆議院国土交通委員会速記録(議事速報) ◇この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いい たします。 ○西銘委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小宮山泰子君。 ○小宮山委員 民進党の小宮山泰子でございます。  国土交通委員会での質疑、この再開の冒頭、大変定刻を長く過ぎたということ、正直、こういった状況、特に、与党がほとんどいないというような状況というのは、私も、五期させていただいておりますけれども、初めての経験で、人によっては、おごりなのか緩みなのか、また、国会軽視と言うような方も出るのではないか危惧しております。しっかりと、委員会また質疑を大切にやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  さて、本日は、まずは、船から荷揚げされる液体貨物輸送の際に用いられておりますフレキシブルバッグについて取り上げていきたいと思います。  二〇一四年八月二十三日午前三時に、米油を入れたフレキシブルバッグの入ったコンテナをトレーラーに接続し、大阪南港から和歌山県伊都郡かつらぎ町までの輸送が行われました。フレキシブルバッグが損傷し、漏れ出した米油により、トレーラーの後ろを走行していた多数の車両がスリップ事故、横転事故を起こしたと聞いております。  このわずか一台のトレーラーの積み荷から、液漏れに起因する事故で、人身、物損など、交通事故等の件数が八十四件に上ったと報告がございました。  まず、フレキシブルバッグからの液体漏れ出しに起因する交通事故発生状況について確認するとともに、交通事故に至らないものの、液体漏れが起きている件数などの把握状況についてお伺いいたします。 ○藤井政府参考人 お答えをいたします。  輸送中のフレキシブルバッグから液体が漏えいした事故については、過去五年間においては、委員御指摘の二〇一四年八月に発生した一件であると把握をしております。また、事故には至らないものの、フレキシブルバッグから液体漏れが起きている事案については、現在のところ把握をしておりません。 ○小宮山委員 事業用自動車事故調査報告書では、運転手の急ブレーキが事故原因であった可能性が指摘されており、同内容で二〇一六年三月の国際海上コンテナの陸上運送に係る安全対策会議に報告されております。二〇一四年八月の事故について、事故原因はどこにあったと分析されているのか、御提示ください。 ○藤井政府参考人 お答えをいたします。  平成二十六年八月に発生しましたトレーラーの漏えい事故につきましては、各分野の専門家から構成される事業用自動車事故調査委員会が調査を行い、平成二十七年十月に報告書を取りまとめ、公表しております。  同委員会の報告によると、漏えいの原因は、運転者が急ブレーキをかけた際にフレキシブルバッグ内の米油が前方に移動してバッグ上面に大きな力がかかったことにより、バッグが破損した可能性が考えられるとしております。  なお、この報告の中では、このような現象は、急ブレーキによる減速度や車両の運動特性に限らず、さらに内容物の液体の積載量、性状など、幾つかの条件が競合した場合に発生するものであると分析をしており、運転者の急ブレーキが漏えいの原因であると断定しているわけではございません。 ○小宮山委員 同事故では、液漏れが生じていることが判明した後の対応が適切でなかったことが事故の規模を大きくしている原因ともなっているが、フレキシブルバッグ自体が破れる、破損する可能性は否定できないものであります。結局、事故原因は解明されないままであるということが、この事故調査からは読み取れるかと思います。  フレキシブルバッグそのものの規格などについては、国際規格などの定めがなく、また、日本国内においても、日本工業規格などによる規格は設けられておりません。国交省でも、海事局、鉄道局、自動車局、また、経済産業省においても、製品の関係があります、製造物であります。危険物に関しては消防庁、食品がかかわれば農林水産省など、多省庁に関係しており、また、事故が起これば警察庁となります。どこの省庁がいかに安全性を確保する司令塔となるのか、それ自体も明確になっていないというのが現状ではないでしょうか。  二〇一四年八月の事故などを受けて、港湾で働く方や運送にかかわる方からも、安全確保のためにはフレキシブルバッグによる液体輸送は全面的に禁止すべきではないか、あるいは液体輸送ではタンクコンテナの使用を原則とするべきではないかといった切実な意見が出ていることは、国土交通省も承知されていると思います。  事故に至っている事例がほかにないなら、とりあえずそのまま対応を行わないでいるということで済まされる問題ではありません。輸送に関しては、やはり液体物でありますので、中身が動く、それによってトレーラーなどの重心が変わることによって、大変注意を要するものであります。これは、ドライバーに対しては、大変な精神的負荷も負わせているものだと私は感じております。  経済産業省では、国内でフレキシブルバッグを生産、提供しているメーカーなどと意見交換などもして安全性向上の取り組みを行っているとのことではありますが、十分とは言えません。どの省庁が担当として安全性確保、安全性向上に取り組むのかということではなく、関係省庁が協力して早急に対策を打ち出していくことがあると思います。次の事故が起きる前に、二度と起こさないためにも、国土交通大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。 ○石井国務大臣 危険物に限らず、液体の路上への漏えいはスリップ事故等を誘発するおそれがあることから、フレキシブルバッグの安全性確保は重要と認識をしております。  このため、国土交通省といたしましても、今後、運送業界の協力を得て、事故に至らなかったものの、液体の漏えいがあった事例の収集を速やかに行った上で、液体輸送のより一層の安全確保のための取り組みにつきまして、関係省庁と連携をし、検討してまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 破損しにくいフレキシブルバッグの開発と使用の義務化、安全を確保する義務化、そして、もし液漏れしてもコンテナ外、車外に漏れ出さない構造のコンテナや車両荷台、荷室の構造など、さまざまな面からとり得る施策は必ずあると考えております。ぜひ積極的取り組みを起こしていただくことを大臣には要望いたします。  さて、次には、三島川之江港が指定港とされていないことについて、改めてお伺いしたいと思います。  四国では、徳島小松島、高松など各港が指定港となっておりますが、三島川之江港は指定されておりません。指定港でも非指定港でも、そこで行われる作業内容自体は同じではありますが、非指定港で行われる港湾運送行為は法的な意味での行為とならないため、派遣労働者などにより労務費を低く抑えることが可能となり、結果、価格競争力につながっていると指摘されております。  二〇一一年三月三十日の参議院国土交通委員会で、国道交通省は、三島川之江港が指定港として基準を満たしているとし、指定港への指定について、地元の理解が得られるよう努力したいとしております。  現状も指定港としての基準を満たしているのか、まずはお聞かせください。 ○菊地政府参考人 お答えいたします。  港湾運送事業法は、港湾運送の秩序維持の確立等を目的とし、港湾荷役事業の許可、料金の事前届け出、下請の原則禁止等を定めており、政令で指定する港に適用しております。  また、指定するに当たりましては、当該港湾の貨物量の多寡、港湾法の重要港湾以上であること、周辺の指定港への影響、今後の取扱貨物量の見込み等を総合的に勘案して判断することとしております。  三島川之江港は、取扱貨物量も多く、港湾法上の重要港湾であり、今後一層の取扱貨物量の増大が予想されるなど、指定港の基準は満たしていると考えております。 ○小宮山委員 港湾運送の安全確保のために指定港というのはあると私も認識をしております。であるならば、直ちに指定港とすべきではないかと考えますが、大臣、どのようにされるんでしょうか、お考えをお聞かせください。 ○石井国務大臣 港湾運送事業法は、港湾運送の秩序維持の確立等を目的といたしまして、港湾荷役事業の許可、いわゆるダンピング行為を防止する観点から料金の事前届け出、港湾労働者の労働環境確保の観点から下請の原則禁止等を定めており、政令で指定する港に適用しているところでございます。  三島川之江港の指定につきましては、指定の基準は満たしているものの、同港の円滑な運用を確保していくためにも、地元関係者の理解を得ながら進めることが必要と考えておりまして、適切な判断をしてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 国交省として指定港を目指すということには変わりがないということであるならば、政府において、現在、働き方改革に取り組んでおられますし、また、この委員会においても、昨年末通過いたしました建設職人基本法案、これはやはり、労務単価の問題や、また、働く人たち、職人たち、そういった者を守るための法案でもございます。  働く方々は港湾においても同じようにいらっしゃいます。適正な労務費等が確保されるよう、国交省としても留意されるように要望をいたしたいと思います。  さて、伝統的構法振興と建築物省エネ法について質問させていただきたいと思います。  昨年三月三十日の国土交通委員会にて、平成二十年度から五年間設置された「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会に関連して取り上げました、検討委員会での要素技術実験について、第一期委員会については、評価書がつくられ、活用されていますが、第二期委員会については、分厚い報告書があるのみで、余り活用されていないままになっておりました。  昨年、二点の建築基準法施行令告示改定が行われたことは好ましいことと大いに評価をしておりますけれども、なおさまざまな事例についての告示化などへ実を結ぶことが重要だと考えております。  本年三月三十日には、日本住宅・木材技術センターに設置された伝統的構法データベース検討委員会において、平成二十六年度、二十七年度、建築基準整備促進事業で取りまとめられた成果を踏まえて、各要素の構造特性に関する実験データ及び理論式等を整理したデータベースが作成され、ホームページ上で公開されております。  伝統的構法のよさとして、金具などで完全に締めてしまうのではなく、大きく変形することができるために、逆に、大きく変形した場合でも急激な耐力低下が起きにくい靱性能を持っていることが挙げられますが、公開されたデータベースに基づいて設計すると、壁量の増加や合板などの使用がふえるなど、伝統的構法の特徴や長所を生かすようにつながっていないといった指摘も実務者の皆様からお聞きしております。  また、四月二十八日に終了したパブリックコメントでは、伝統的構法の推進にも見える反面、仕様を縛ってしまう、使い勝手のよくない仕様への懸念や、性能規定を選択しにくい環境になることも想像されるといった指摘もございます。  データの一覧にはまだまだ空欄となっているものがあり、順次追加されることとなるのか、この点に関して御見解をお聞かせください。 ○由木政府参考人 お答えいたします。  平成二十九年三月三十日に、公益財団法人日本住宅・木材技術センターが管理いたしますホームページにおきまして、伝統的構法データベースが公開されました。  このデータベースにおきましては、平成二十二年度から二十四年度までに開催されたいわゆる第二期の委員会において実施されました実験データ等のうち、専門家による確認を終了した仕様につきまして、実務者が伝統的構法の建築物について構造計算を行う際に活用できるように、接合部等の構造特性や理論式をデータシートとして取りまとめて公表しているものでございます。  御指摘いただきましたように、まだ一部の公表になっておりますので、今後、残りの実験データ等につきましても、順次、専門家による確認や必要に応じた追加的なデータの収集、データシートの作成作業を実施した上で、データベースとして公表してまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 今回のデータは、想定する適用範囲が高度な計算を必要としていることから、一般には使い勝手がよくない、つまり普及には適さないということも言えます。戸建て住宅規模に使いやすい告示を整えていくことが望ましいと考えますが、この点はいかがでしょうか。 ○由木政府参考人 お答えいたします。  伝統的構法による木造建築物は大変多様でございまして、これらの建築物を対象といたしました地震に対する安全性の確認方法といたしましては、現在の建築基準法では精緻な構造計算が要求されているところでございます。  一方で、伝統的構法の壁や床などの構造部位については、精緻な構造計算を要しないで設計しやすくするために、実験等により安全性が確認できたものに関して、順次、技術基準の整備に取り組んできているところでございます。  例えば、昨年六月には、伝統的構法に用いられることが多い、柱と基礎を完全に固定せずに、いわゆるだぼで継ぐ接合方法でございますとか、あるいは火打ちを設けない木板の板張り床について、蓄積されたデータを踏まえて、構造計算を不要とするための政令改正等を行ったところでございます。  さらに、新しい内容といたしまして、一階の柱と土台を完全に固定せず、いわゆるほぞ差しで継ぐ接合方法でございますとか、あるいは、土塗りの垂れ壁、腰壁を設けた軸組みや、落とし込み板を設けた軸組みの仕様につきまして、同じように、精緻な構造計算を経ることなく採用できるようにするための告示化の作業を進めております。  昨年三月末から一カ月の間でパブリックコメントを実施したところでございまして、今後、寄せられた意見を踏まえて、早期に告示化できるように、手続を進めてまいりたいと考えております。  また、これ以外の伝統的な構法の他の仕様についても、個別の実験や検証等の検討を続けて、安全性を確認できたものから、伝統構法がより活用しやすくなるように、告示化等を進めてまいる考えでございます。 ○小宮山委員 国交省からの発信文書として、事務連絡、技術的助言の別があり、また文書番号がつくものもあります。法改正などがあった際の内容について解説する際に、技術的助言が文書番号として発信されるとも説明を受けております。  データベースの内容について事務連絡文書として発信されており、文書内では参考とされたいと書かれているが、文字どおり参考なのか、事実上の強制になりはしないか、この点に関して簡潔に御説明ください。 ○由木政府参考人 お答えいたします。  伝統的構法の建築物について構造計算を行います場合には、今回のデータベースが公表される以前は、それぞれみずからデータを収集して、確認審査においてその根拠を示していただく必要がございました。今回のデータベースの公表によりまして、設計者みずからがデータを収集しなくても、このデータベースを活用して構造計算を行うということが可能になったわけでございます。  一方、このデータベースの公表後においても、従来のように、設計者がみずからデータを収集した上で構造計算に活用することについては、全く問題がないわけでございます。  こうした趣旨については、御指摘をいただいた通知においても、このデータベースはあくまでも審査上の参考であるという旨は明記いたしておりますが、もし御指摘のような紛れが生ずる可能性があるということであれば、今後、各種会合などにおきまして、特定行政庁や指定確認検査機関等に対して説明をきっちりと行ってまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  今まで歴史的に積み重ねた技術があります。ぜひそれを、計算法という形ではなく、また、通達などで縛ることなく、きちんといいものがつくられる、そういった現場に寄り添っていただければと思います。  最後になりますけれども、伝統的な住まいには、瓦、土壁、縁側、続き間、畳、ふすま、床の間など、地域の気候風土、文化に根差した空間、意匠、構法、材料など、住まいづくりの知恵が息づいておりますが、近年、こういったものは大変失われつつあります。しかし一方で、民家を活用するなど、大変注目もされているのも事実だと思います。  その中で、和の住まいの推進の取り組みというのがございます。大臣におきましては、やはりこの伝統構法の推進、木材の利用推進、活用につながると期待している施策でもございます。この点に関しましての御見解を聞かせていただければと思います。 ○石井国務大臣 和の住まいの推進は、我が国の各地域の気候風土、文化に根差した住まいづくりを通じて、伝統的な住まいの文化のよさの再発見と普及につながるとともに、伝統産業や観光業などの振興や地域の活性化に資する大変重要な課題であると考えております。  昨年三月に閣議決定いたしました住生活基本計画におきましても、目標と基本的な施策の一つとして、伝統的な技術の承継、発展を掲げ、地域材を用いた良質な木造住宅や和の住まいの普及啓発等を推進することを位置づけております。  国土交通省といたしましても、引き続き、関係省庁と連携いたしまして、和の住まいの推進に取り組み、良質な木造住宅の普及や伝統的構法の発展等に努めてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  冒頭に申し上げましたけれども、この委員会、再開が二十分もおくれました。委員長が、大臣が戻り次第再開すると言ったにもかかわらずであります。この点に関しまして、来られなかった方々には猛省を促し、そして、きちんとした委員会運営ができることを心から願いまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。