平成29年4月10日 衆議院決算行政監視委員会第二分科会速記録(議事速報) ◇この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いい たします。 ○石関主査 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山分科員 民進党の小宮山泰子でございます。  民進党になってから初めて麻生大臣には質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  また、石関委員長におきましては、やはり国会、参議院の方では重視されていますけれども、特に衆議院においては、この決算、何に結果として税金が使われたのか、この点をしっかり明らかにするために、委員長の責、また通常の委員の皆様には大変期待をしておりますので、頑張っていただければと思います。  さて、多分、この委員会、先ほどもですが、森友問題ばかりが続いておりますが、きょうは、消費税増税もあり、税収というのは上がっておりますけれども、健全な経済活動、ルールがあってこそ日本の経済財政というものは潤っていくのではないかと思っております。また、公平な、公開された、そういったルールがあるからこそ多くの方が活躍をできる、与党の言うところでいえば一億総活躍につながるのではないかという思いを持ち、また、麻生大臣におかれましては、青年会議所の大先輩でもございます。そういう意味においては、実務の経験もあるということで、そのさまざまなキャリアまた経験というものを踏まえて、ぜひ示唆に富んだ御意見を伺わせていただけることを期 待して、質問に移らせていただきたいと思います。  まず、金融機関の行政指導のあり方について伺わせていただきます。  金融機関は、信用、信頼に基づいて真っ当な業務を行っていただくことが大前提となるものだと思います。金融機関、銀行が行ってはならないこと、禁止行為について、銀行法第十三条の三に、「顧客に対し、虚偽のことを告げる行為」や「不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤認されるおそれのあることを告げる行為」などが規定されております。  そこで、銀行が銀行法第十三条の三あるいは監督指針に反するような業務を行っているとの通告があって、その蓋然性が高いと判断した場合、金融庁は具体的に当該銀行に対してどのような調査、指導を行うのか、お示しください。 ○栗田政府参考人 お答え申し上げます。  各金融機関におきましては、適切な法令遵守体制を構築することが重要であり、金融庁といたしましては、日々のモニタリングを通じまして法令等遵守体制を確認しているところでございます。  一般論として申し上げれば、銀行法等に反するような業務を行っている等の情報を得た場合には、モニタリング等を通じまして事実関係を確認し、銀行法等に照らしまして仮に問題が認められた場合には、事案の経緯、重大性、悪質性や、金融機関におきます再発防止策の検討、実施状況等を精査した上で、必要に応じて改善を求める等の対応を行うことになると考えております。  具体的な内容につきましては、事案に応じてさまざまでありまして、一概に申し上げることは困難でございますけれども、例えば、金融機関における再発防止策の策定等を求めるということになると考えております。 ○小宮山分科員 金融機関において不祥事件が生じた場合において、銀行法第五十三条の規定がございます。五十三条「届出事項」は、内閣総理大臣、金融庁に対する届け出事項を定めていて、同条一項八号で「その他内閣府令で定める場合に該当するとき。」とされ、対する銀行法施行規則では、三十五条一項第二十五号で「銀行、その子会社又は業務の委託先において不祥事件が発生したことを知つた」ときと記されております。  銀行法施行規則三十五条七項は、不祥事件について、「銀行の業務又は銀行代理業者の銀行代理業の業務を遂行するに際しての詐欺、横領、背任その他の犯罪行為」、「出資の受入、預り金及び金利等の取締りに関する法律又は預金等に係る不当契約の取締に関する法律に違反する行為」などと、詳細に規定しております。  そこで、金融庁は、銀行法五十三条に基づく不祥事件の届け出があった場合はどのような指導を行うのか、お聞かせください。 ○栗田政府参考人 お答え申し上げます。  銀行から銀行法第五十三条に基づく不祥事件等届出書の提出があった場合には、先ほど申し上げました、銀行法等に反するような業務を行っているとの情報を得た場合と同様でございまして、事案を精査した上で、必要に応じて改善を求める等の対応を行うことになります。 ○小宮山分科員 銀行法施行規則三十五条八項は、届け出の期間制限として、不祥事件の発生を銀行が知った日から三十日以内に行わなければならないと定めております。したがって、不祥事件と考えられる事実が判明した場合は、独立した立場にある監督部門によって調査を行うなどして、場合によっては弁護士等の意見を確認して、遅くとも三十日以内に届ける必要があるということでもあります。  それでは、不祥事の届け出がおくれたり、あるいは届け出が出されなかった場合は、金融庁は当該金融機関に対してどのような措置をとることとなるのか、お知らせください。 ○栗田政府参考人 お答え申し上げます。  銀行法第五十三条に基づく不祥事件等届出書の届け出遅延あるいは届け出漏れが判明した場合におきましては、まず、銀行に対しまして速やかに届け出を行うように指示をいたします。その上で、届出書の内容を踏まえて、必要に応じて改善を求めるということになります。 ○小宮山分科員 届け出がなされなかった場合というのは、そういった不祥事件というのを知ることができるのか。これも後であわせてお聞かせいただきたいので、あと二問続けて質問させていただきます。  銀行法五十三条、同法施行規則三十五条一項二十五号の不祥事件は、銀行あるいは銀行職員による刑事事件だけではなく、取引先から銀行がだまされた場合も含まれるのか、見解をお聞かせください。  あわせて、金融庁は、不祥事件について虚偽報告をした場合、銀行に対してどのような処分を行っているのか。また、銀行の虚偽報告に対して、金融庁は、これまでの処分事例、また、どのように虚偽報告だということを確認したのか。この点についてもお示しいただければと思います。 ○栗田政府参考人 お答え申し上げます。  まず、銀行法五十三条、同法施行規則三十五条第一項第二十五号の不祥事件とは、先ほど委員が列挙されましたように、幾つかの行為が掲げられております。  この条文に基づけば、銀行等が犯罪行為等を行うことは不祥事件に該当する、これは当然のことでございますけれども、銀行側が犯罪行為等を受けた場合については基本的には想定されていないものと認識しております。  ただし、銀行が、ATMからの現金窃盗や強盗など、現金等の盗難被害に遭った場合には、銀行法施行規則第三十五条第七項第三号に基づきまして、現金等の紛失のうち、銀行の業務の特性、規模等を勘案し、重大な紛失と認められるものにつきましては不詳事件に該当するということになります。  続きまして、銀行が当局に対しまして虚偽報告を行うなど、銀行の法令等遵守体制や経営管理体制等に問題が認められた場合につきましては、基本的には、まず、銀行法第二十四条に基づきまして、当該事項についての事実認識、発生原因分析、改善対応策等について報告を求めることとしております。  当該報告を検証した結果、銀行業務の健全性、適切性の観点から重大な問題が認められる場合、あるいは重大な法令違反や公益を害する行為が認められる場合などにおきましては、銀行法第二十六条等に基づきまして、業務改善命令や業務停止命令等を検討することとなります。  銀行法第二十六条等に基づく行政処分は、さまざまな事由を勘案して発出するものでございますが、銀行等の虚偽報告が行政処分事由の一つとされている事例といたしましては、例えば銀行職員による詐欺、横領等に係る不祥事件届け出を怠っていたほか、事実と異なる内容の届け出が行われていたことに加えまして、銀行法二十四条に基づく報告徴求に対しても事実と異なる報告が行われており、さらに、これに関して代表取締役の指示等が行われているなど、法令等遵守体制、経営管理体制等に重大な問題が認められたことにより業務改善命令を発出した事例があると認識しております。 ○小宮山分科員 基本的には、やはり大資本でもありますので、金融庁というよりかは、銀行というのは大変その責務というのは大きいと思います。  そこで、平成二十二年以降、経営者以外の第三者個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行を確立し、保証履行時における保証人の資産、収入を踏まえた対応を促進することを打ち出した結果、各金融機関も、それ以降は融資に当たり第三者保証を求めなくなっております。  金融機関の融資に関しては、連帯保証の悲劇は大幅に減少することが期待されておりますが、これらの取り組みは、民法、債権法の改正をしていないのもあって、大いに評価をする面もありますけれども、いまだに物上保証の規制をしないと抜け穴ができてしまうということがよく聞かれております。  そこで、銀行の言葉を信用して、会社役員になった上、自宅にその会社の借り入れのための抵当権の設定に応じてしまった事例を聞いたことがございます。一般に連帯保証責任と物上保証責任とは責任の及ぶ範囲が違うといっても、多くの物上保証では個人の自宅、店舗が物上保証になっていますから、これらを奪われることになると、物上保証人の生活は破綻することとなってしまいかねません。  そこで、物上保証についても連帯保証と同様の規制をかけるべきではないかと思いますが、この点に関しまして見解を求めたいと思います。 ○麻生国務大臣 御指摘がありましたけれども、連帯保証のことに関しましては、これは、私どもの方、政権が今の安倍内閣になってから、いわゆる担保とかそういったものに過度に依存している融資体制、質屋と変わらねえじゃねえか、銀行と質屋とどこが違うんだ、同じことをやっているんじゃないのという話から、これはちょっと過度に依存し過ぎるのはいかがなものかということで、今言われましたように、何年だか、七月ぐらいでしたかね、ああいったもののいわゆる監督指針というものを改正させていただいて、今言われたような評価をいただけるようになったんだと思っておるんですが。  今言われましたように、物上保証についてもというお話ですけれども、この物上保証というのは、連帯保証とは違っていまして、提供するものの範囲が、担保に供した財産というものの範囲というのがもうきちんとはっきりされておる、これが一つです。これは、連帯と全然そこは意味が違います。  それから、書類をつくりますときに、成立をするときの、個人の連帯保証とは異なりまして、物上保証の場合は登記が要りますから、登記の手続を必要としますので、これは一定限度検討するという、連帯保証しますなんというんじゃなくて、ちゃんと、物上保証の場合にはきちっとした書類を出さなきゃいかぬという、時間も確保できますので、個人の連帯保証とはかなり異なる性質を有しておるんだと思っておりますので、こういった意味から、今、第三者によります物上保証というものに関して、これは連帯保証と同列に扱うという必要はない。これは十分時間があるんだということなんだと思っております。 ○小宮山分科員 大臣、そうおっしゃいますけれども、先ほど、ちょっと前に事例を挙げさせていただきました。御主人等が亡くなって、その御夫妻とかが営んでいたところに、物上保証という形で家とかを、役員になれば情報が得られるからと言って、銀行の方が問題がないからと言って入れた事例等も聞こえてまいります。  そういう意味においては、なかなか物上保証の制度というのは、実は連帯保証以上に知られていないというのも現実であります。また、大手の会社等であれば、そういったことはないんでしょう。  個人企業が大半を占める日本においては、やはり、こういった情報をたくさん持っている、法律的知識がある側というのがどうしても強くなるのが現実じゃないでしょうか。  とりわけ、信用保証協会の連帯保証に対する取り立ては過酷であるという話も伺います。私も、埼玉県会議員をやっていたときに、無担保保証、そのときもかなり埼玉県の経済的状況が悪いということで、県としては無担保保証の枠をつけた割には、結局のところ、保証協会の方で、枠をつけなきゃいけないということで保証がとられたという事例があって、後ほど、その実情がわかったので、その点はただしたことがございます。  そういう観点でいきますと、平成十八年度までは第三者保証が行われていたために、それ以前に保証人になった第三者に対しても、信用保証協会が裁判を起こして、勝訴判決に基づいて第三者の自宅を強制的に競売する事例というのが今も起こっております。  そもそも、信用保証協会は、保証人をとること自体問題だったから、平成十八年以前に保証人となった第三者に対する取り立ては規制すべきではないかと思います。中小企業庁はこれらについてはどう考えるのか、見解をお聞かせください。 ○吉野政府参考人 お答えいたします。  金融機関が中小企業に融資を行う際、事業に関与していない第三者が、経営者との個人的関係等によりましてやむを得ず保証人となり、その後、借り手企業の経営悪化等によって社会的、経済的に重い負担を強いられることは極力避けなければならないと考えております。  経産省では、平成十八年三月に、信用保証協会に対して、経営者とともに事業に従事する配偶者などの特別な事情がある場合を除きまして、第三者保証人を徴求することを原則禁止する通達を発出しており、現在、保証協会においては、第三者保証を原則として徴求しておりません。  他方で、御指摘のような、過去に中小企業の信用力を補完するために第三者保証を設定した保証契約に基づき信用保証協会が保証人から債権の回収を行うことについて、当該契約の後に政府が強制的に禁止をすること、規制することは適当ではないというふうに考えております。  しかしながら、保証履行時の対応によっては保証人の社会生活を営む基盤すら失わせるおそれがあることから、政府は、信用保証協会向けの総合的な監督指針等において、保証履行時において、保証人の資産、収入を踏まえたきめ細かな対応を行うことを求めております。  このため、各地の信用保証協会においては、完済見込みのない保証人から申し出があり、保証人の資力に応じた一定金額の弁済がなされた場合には残りの債務金額の免除を行うといった形で、保証人の個々の事情に応じた柔軟な対応を行ってきております。  政府としましては、引き続き、信用保証協会による取り組み状況を注視して監督を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○小宮山分科員 そこで問題になるのが、制度融資の趣旨を逸脱して、銀行が信用保証協会つきの融資金で銀行の既存債務を弁済しているとの報告が私にも多数寄せられております。  金融庁は、このような場合、当該銀行及び信用保証協会に対してどのような調査、指導を行っているのか、関係省庁も含めて御説明いただければと思います。 ○西田政府参考人 お答えいたします。  金融機関が信用保証つき融資によって既存の債務を返済させる、いわゆる旧債振りかえと言っておりますけれども、これにつきましては、信用保証協会と金融機関の間で締結しております約定書におきまして、原則として禁止ということにされております。したがって、金融機関がこれに違反して旧債振りかえを行った場合は、信用保証協会は代位弁済を否認できることとなっております。  金融庁といたしましても、金融機関において信用保証制度を利用したいわゆる旧債振りかえが行われていないかといった観点も踏まえて、金融機関の適切な業務運営が確保されるよう、検査監督に努めているところでございます。  こうしたことから、いわゆる旧債振りかえが多数発生している状況にあるとは考えてはおりませんが、今後とも引き続き、信用保証制度の趣旨を踏まえて、中小企業に対する円滑な資金供給が行われるよう、しっかりと監督してまいりたいと考えております。 ○小宮山分科員 ありがとうございます。  銀行が、個人への貸し付けに当たっては、銀行の実質子会社である保証会社と保証契約を締結させることが一般的に行われておりますが、これは、銀行にとっては不良債権飛ばしの抗弁の切断など幾つものメリットがございますが、債務者にとっては、高額な保証料を支払わされるだけでほとんど意味のないもの、どちらかというとデメリットにつながるものでもあります。  保証会社との保証契約については規制すべきではないか、また、この情報については、やはりしっかりと債務者にも全て情報公開をされるべきではないかと考えますが、この点の御見解をお聞かせください。 ○西田政府参考人 お答えいたします。  銀行が個人向け貸し付けを行う際に、契約者と銀行の保証子会社との間で保証契約を締結する場合があることは承知しております。貸し付けにあわせてこの保証契約を締結するかどうかという点につきましては、民民の契約に関する事柄でもありますことから、金融庁として、保証料の水準等に関して一律の規制を設けることは考えておりません。  なお、保証子会社の保証を利用する理由などについて一部の銀行にヒアリングしたところ、例えば、弁済遅延等の事故が発生した債権につきまして、保証子会社で専門的に管理、回収を行うためであるとか、あるいは住宅ローン等の抵当権設定に係る事務集中による効率化を図るためというのが主な理由であると聞いております。  いずれにしましても、金融庁といたしましては、個人向け貸し付けに係る保証契約に関し、仮に問題となる事例が認められた場合には、適切な業務運営を確保するといった観点から、必要に応じて指導を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。 ○小宮山分科員 続きまして、金融機関の融資検討過程における文書等の作成並びに保管についてお伺いいたします。  裁判では、訴訟提起後、文書提出命令により裁判所が証拠資料の提出を当事者に命じることができますが、証拠資料として必要性を示すことが求められ、また裁判所も、そうした書類を銀行の内部文書であるとして提出命令の対象文書に当たらないという考えも示されてまいりました。  まず、前提として、金融機関が公平な裁判を行うにしても、金融機関が顧客との取引を行うに当たり、法的に作成が義務づけられている文書として何があるのか、御明示いただきたいと思います。  引き続いて、もう一問。  銀行稟議書、CRM等は、銀行の業務が適正に行われたかを担保するため、また、その後調査するためにも、作成を法的に義務づけるとともに、保管及び必要に応じて顧客に開示することを義務づけるべきではないかと思います。  この点に関しまして、二点、お聞かせください。 ○松尾(元)政府参考人 お答え申し上げます。  法令上、銀行に対しまして、融資取引を行うに当たり、顧客保護など業務の健全かつ適切な運営を確保する観点から、顧客の知識や経験、取引の目的、内容に応じて必要な体制を整備することが求められております。  なお、監督指針におきましては、例えば契約時点において、契約者に対し契約内容を説明し、借り入れ意思があることを確認した上で、行員の目前で、契約者本人から契約書に自署、押印を受けることを原則としているか、また、貸付契約書について、その写しを交付すること等により顧客が契約内容をいつでも確認できるようになっているかといった点についても、監督上の着眼点としているところでございます。  続きまして、二点目でございますが、銀行法におきましては、業務に係る重要な事項の顧客への説明を含めて、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じることが義務づけられておりまして、これを担保するための文書管理を求め、各銀行において適切な業務運営が求められております。  ただし、その際、利用者保護の確保と同時に、業務運営の自主性についても尊重される必要がございます。どのような書類を作成、保管すべきかということを法令によって形式的に一律に義務づけるということは必ずしも適当ではないということでございます。  また、顧客保護の観点から、契約内容や取引条件等の丁寧な説明が重要であることは言うまでもございませんが、御指摘のような書類に、意思決定など銀行の内部情報を含む場合がございます。  また、顧客との関係にもさまざまな状況が考えられますことから、顧客への開示についても、法令によって形式的に一律に義務づけるということが必ずしも適当ではないというふうにも考えているところでございます。 ○小宮山分科員 法的に義務づけるということはないというところでありますが、正直申し上げまして、それでは、最終的に、今回、森友事件やさまざまな防衛省の問題等、行政文書がなくなるということがございました。民間であれば、意図してつけないことによって立場を守るということも、うがって見ればあり得るんじゃないか。また、そういった案件も見受けられないわけではございません。特に、裁判に係るようなもの、また、強引な融資や保証人をとるといった中においては、やはり記録が残らないことによって銀行側に有利になる、また、債権者側にとっては非常に不利になるという事例を聞いたことがございます。  やはりここは、公正な判断をするために、法的義務づけが必要ではないかと思います。ぜひ御検討いただきたいと思いますので、麻生大臣、よろしくお願いいたします。ちっちゃくうなずいていただきましたか。(麻生国務大臣「質問」と呼ぶ)質問、要望も兼ねまして。要望だと答えていただけませんか。じゃ、質問をしたいと思いますので、麻生大臣、お答えいただければと思います。 ○麻生国務大臣 今、役所の方からちょっと説明をしましたけれども、この話は、利用者保護の立場の話と、もう一個、同時に業務運営というものの自主性というものを考えておかないといかぬので、両方尊重される必要があります。  どのような書類を作成するとか保管しろとかいうことに関しては、これは法令によって一律に義務づけるという話ではないのではないか。また、顧客保護の観点から、契約書の内容とか取引条件のもとでのいろいろな丁寧な説明が重要なのは言うまでもありませんけれども、御指摘のような書類ということになると、意思決定をするときに銀行の内部情報というものを含むことになりますから、そのときに、この人はという話は個人情報も入ってきますので。  また、顧客との関係でさまざまな状況も考えられて、例えばこれは目下裁判中の話とか、いろいろな話が出てきますので、顧客への開示についても、法令によって一律に義務づけるということに関してはちょっと適当ではないのではないかと思います。 ○小宮山分科員 法令に位置づけるのは適当ではないのではないかという大臣の御見解ではございますが、これからグローバル化に入っていく中において、なぜ今この質問をしたかといえば、米国での民事訴訟では、ディスカバリー、証拠開示手続という強力な証拠収集手段があり、相手方に、双方ですね、証言や証拠の開示を要求することができます。ディスカバリーによって相手方に求められる証拠資料の範囲は極めて広範であり、当事者の抗弁などに関するものであれば全て対象になります。特に、証拠がいずれかの一方当事者によって偏って存在する場合には、極めて裁判上に有効な手段となると言われております。  ディスカバリーの手続には、質問状、事実関係に関し相互に交わされる複数項目の質問リスト、自認要求、立証を簡単にするため、基本的事実に関し相手方の自認を求める書面、書類提出要求、訴因に関係するあらゆる書類、記録の提出を求める書面であります、デポジション、法廷外において関係者から直接に証言を求め、正式記録を作成するための質疑応答などが含まれております。  金融機関と顧客の間で裁判の現状を鑑みれば、米国の裁判で用いられているディスカバリーを参考事例とした、証拠提出を求めるための制度が整えられることがやはり必要ではないか、望まれているところでもあります。法的な義務でなければ、やはりこうやって裁判において同等のちゃんとした情報を持ち、公平な裁判が行われるというところを整備することというのは大変必要だと考えております。この点に関しましての所見をお伺いいたします。 ○金子政府参考人 お答えいたします。  委員御指摘のアメリカのディスカバリーは、相手方の手持ち証拠を収集する強力な手段として機能している一方で、アメリカ国内においても、その手続のために多大な費用と時間を要するなどの弊害があることが指摘されているものと承知しています。  また、我が国の民事訴訟法における証拠収集手続のうち、ディスカバリーと同様に法的強制力を有する証拠開示制度としましては、委員から言及がございました文書提出命令の制度がありますが、これらの制度においては、裁判所が、物証対象である事実の重要性、証拠としての必要性、それからプライバシー保護の必要性等を勘案して文書提出命令を発するか否かを個別に判断するものとされています。  このような既存の制度で十分かどうかという議論はあり得るところですが、このような制度は証拠開示の制度として確立しているところ、これと両立する形で、当事者に対して包括的な証拠開示を義務づけるディスカバリーの制度を導入することは困難であると考えられます。そのため、我が国にディスカバリー制度を導入することについては、このような問題点を踏まえ、慎重に検討する必要があると考えられます。 ○小宮山分科員 法務省はそうおっしゃいますけれども、そこは公平な判断をどれだけできるのでしょうか。やはり、大手資本が持っているところ、また法務担当等さまざまな知識を持っている人たちがそろって開示をしないということでは、正直言って、ちゃんとした、被害者になる方たちを救うことはできないし、公平な裁判官が判断をすることもできないと考えます。今の点には強く抗議を申し上げていきたいと思います。  監督指針の中で、利用者保護のための情報提供は、顧客から説明を求められなければ説明する必要はないという趣旨なのか、意味について御説明いただきたい。また、説明を求めることすら知らない顧客に対する保護としては不十分であり、より積極的に説明を行うよう徹底する必要があるのではないかと考えますが、御見解をお聞かせください。 ○栗田政府参考人 お答え申し上げます。  主要行等向けの総合的な監督指針におきましては、お客様から説明を求められた場合には、個別事項を含めまして、契約締結の客観的、合理的理由について、理解と納得を得ることを目的とした説明を行うことを求めております。  この説明につきましては、例えば、お客様が契約内容を十分理解されている場合などについてまで一律に説明を行わせることは、金融機関の業務上の負担あるいはお客様のお時間の都合などを考えれば必ずしも適当でないと考えられることから、お客様から求められた場合に説明が必要とされているところでございます。  他方で、監督指針におきましては、その前提といたしまして、金融機関に対しまして、お客様の求めがなくとも、お客様の十分な理解を得ることを目的として、必要な情報を的確に提供することを求めておりまして、お客様の知識、経験、財産の状況、あるいは取引を行う目的に応じた説明体制をとることを求めております。  このため、知識、経験が不十分であると考えられるお客様に対しましては、金融機関としては、個々の事案に応じまして、求められずとも、契約の内容や条件設定の理由などについて必要な説明をすることが望まれるというふうに考えてございます。 ○小宮山分科員 最後になりますけれども、自己破産した個人への固定資産税のあり方について伺います。  法人の自己破産では、法人が消滅することで、未払いの税金についても免じられることとなりますが、これに対して、個人が自己破産した場合には、各種債務は免除となるものの、滞納、未納分の税金については免除となりません。その結果、土地建物の処分はすぐには行えず、場合によっては数年の期間を要することもあります。また、土地建物の名義が自己破産した者の名義から変更されないまま残るということも起こってまいります。  この点に関しまして、自己破産した個人に対してもやはり早急に対応するべきだと考えますが、また、この点をよくわからない地方自治体等が手続をしないということもどうもあるようでもあります。さまざま問題点のあるこの分野について御説明ください。 ○石関主査 申し合わせの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。 ○開出政府参考人 土地家屋に対する固定資産税につきましては、課税庁が賦課課税として大量一括に課すものでございまして、真実の所有者の把握は容易でないことから、土地家屋につきましては、原則として、登記簿に所有者として登録されている者をもって固定資産の所有者とすることとしております。  自己破産の場合も、破産管財人等への名義変更を行っていただくことにより、自己破産者が納税義務者となることを避けることができるわけでございまして、それに多大の労力を要するという事情もないと考えられることから、現行制度の中で対応していただくべき問題であると認識しております。 ○小宮山分科員 個人資産がなくなり、そして個人破産して、一刻も早く次の生活再建ができるように。時には、この税金の収納のために年金まで取られるというのも起きているようであります。  この点の改善を早期に求めまして、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。 ○石関主査 これにて小宮山泰子君の質疑は終了いたしました。