平成29年3月3日 衆議院国土交通委員会速記録(議事速報) ◇この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いい たします。 ○西銘委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小宮山泰子君。 ○小宮山委員 民進党の小宮山泰子でございます。  大臣所信に対しての質疑をさせていただきます。  今回、大臣の所信を伺っていて、全方位において網羅をされているということで、それぞれが少しずつというのが特徴になっていたかと思います。  その中では、観光政策、観光振興というのが、ある意味、法案の説明等が主となり、大臣の思いというのは余り聞けなかったのかなというのが少々残念には思っております。  そこで、まず最初に、観光庁におきましては、来年度、どのような方針、また、ことしも含めてですけれども、取り組み、その点に関しまして長官から所信を聞きたいと思います。 ○田村(明)政府参考人 お答え申し上げます。  昨年の訪日外国人旅行者数、対前年比で二一・八%増加しまして、二千四百四万人となりました。  史上初めて二千万人を超えております。また、外国人旅行消費額三兆七千四百七十六億円ということで、過去最高を記録しているところでございます。  昨年三月に政府が、明日の日本を支える観光ビジョンを策定いたしまして、訪日外国人旅行者数を二〇二〇年四千万人、旅行消費額八兆円というような新たな目標を掲げまして、その実現のために必要となる骨太な施策を取りまとめました。来年度は、観光ビジョンに盛り込まれた施策をさらに具体化し、実行していかなければならない一年であるというふうに考えております。  このため、観光庁といたしましては、観光産業の国際競争力を高め、我が国の基幹産業とするため、観光産業の人材育成の強化、生産性の向上に取り組むとともに、観光に関する古い規制、制度の抜本的な見直しに取り組んでまいります。  あわせて、欧米豪や富裕層等への戦略的なプロモーションの展開等によりまして、長期滞在による消費拡大を進めてまいります。  また、我が国の豊富で多様な観光資源の魅力を高めるため、各地に存在する古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくりへの支援や、世界水準のDMOの形成、広域観光周遊ルートの向上等に取り組んでまいります。  さらに、全ての人に快適な旅行を楽しんでもらうため、CIQ、通信、交通、キャッシュレス、安全、安心の確保など、入国から出国までのあらゆる場面における受け入れ環境を関係省庁と連携して整備してまいります。  世界が訪れたくなる日本を目指して、政府一丸となって、観光ビジョンに盛り込まれた施策を着実に実施してまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  今ございましたけれども、やはり日本の観光というのは、当然、日本の伝統文化であったり、また安全、安心の確保というもの、どこにいても、そういう意味では、夜も歩ける、ハロウイーンのときなどコスチュームをしても安全に騒ぐことができるというのも含めて、外国人には大変な魅力になっているかと思います。ぜひ、訪れたくなる、そして何度でも訪れたい日本の観光というものの構築にさらに邁進していただければと思います。  さて、その中でも観光産業というものは、大きな予算をもたらしてくれるものでもあります。二〇〇六年当時では約三十兆円であったものが、十年たった現在、去年ですけれども、約二十四兆円まで経済規模は小さくなっております。また、先ほど長官がおっしゃっておりました、訪日外国人は二千四百万人を超えたということでありますし、それは過去最大規模になっております。だからこそ、四千万人への道筋が見えてきたんだと思っております。その経済効果は四兆円弱という形でもあります。  ということは、全体から見ると、やはり、日本人の観光というものが大きくなることも大変大きな経済効果をもたらすものではないかというふうに感じております。  当然、観光地にゆっくり滞在をするということになれば、宿泊も必要かと思います。今、民泊の話がございますが、まずは、既存の旅館をしっかりと整えること、本来の、しっかりと免許を持った、そして安全や衛生面等、しっかりとした業者がやっていくのが筋だと私は思っております。  そこで、観光庁では、無料のオンライン講座で旅館経営教室が開催されております。平成二十七年五月に第一回が開催されたと伺っております。  この中では、旅館は、日本の文化や日本人の生活様式、そして地域の伝統や文化を過去から今日に継承し、それらをその空間や時間、サービスの中に体現しているかけがえのない存在なのです、地域における雇用を創出し、観光消費を地域に波及させていくという点で地域経済になくてはならない重要な役割も担っていますと、観光産業課の石原課長が説明をされております。ビデオも拝見いたしました。  そこで、まずは、日本の旅館の現状と課題についてどのように捉えているのか、簡潔に御説明をお願いいたします。 ○田村(明)政府参考人 今先生御指摘のように、旅館というのは、地域における雇用を創出し、観光消費を地域に波及させるなど、地域経済にとって重要な役割を担う存在であるというふうに考えております。  ただ、ホテルに比べて、旅館では、特有の課題として、家業として承継する場合が多く、長年の経験や勘に依存して、戦略的な経営が必ずしも行われていない場合が多いということがあります。  その結果として、労働生産性や稼働率が低く、経営難もあってなかなか追加的な投資の余力がないというようなこともあり、旅館数というのは十年間で二五%減少しているということもございます。  そういう意味で、人材の確保ということもそうでありますけれども、まず、経営の革新というのが非常に重要な課題になっているというふうに考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  確かに、今指摘された点は大変課題だと思います。  せっかく無料でオンラインで公開をされております旅館経営教室の講座の対象、これは一般の方でも見られるものですから、目指す効果についてはどのように考えていらっしゃるのか、あわせて、受講人数などの実績もあれば教えていただければと思います。 ○田村(明)政府参考人 先ほど申し上げましたような課題が、宿泊事業、なかんずく旅館にありますので、こうした宿泊事業者向けに、観光庁で、経営改善に役立つ実践的な知識をコンテンツとして提供するオンライン講座、旅館経営教室というものを開講いたしました。  この講座は一昨年から実施しておりまして、受講人数は、一回目が三千二百名、二回目が三千七百名ということで、かなりたくさんの方々が受講していただいておりますけれども、受講した方々からは、自分の会社の業務を見直す契機となって、働き方の改善につながったというような声も聞かれているところでございます。  こういうオンライン講座に加えまして、さらに深く勉強したいという方のために、地域大学と連携いたしまして、観光産業を担う中核人材育成講座というものも開催しております。これは、全国三カ所、小樽商科大と大分大学と和歌山大学で実施をしておりますけれども、今後、このモデルを複数大学に水平展開して、宿泊業の経営力向上を一層進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。 ○小宮山委員 パリでは、民泊が始まってから一日に一件のホテルが廃業に追い込まれたというような話も伺うことがあります。やはり、しっかりとした業種を持っている方、また、その中での犯罪であったりとか大変危ないこと、そして、納税をされない、また、日本で言われるのは、ごみの問題などの地域の方々とのあつれきの問題など、さまざまな問題があります。やはり、旅館業という業法があり、もちろん、これを続けてきたのには大きな理由があるし、また、地域の中でしっかりとした確固たる地位や、また、さまざま地域の貢献をしてきたのもこういう業法を守ってきた方々だと思っております。  この点に関しましては、やはり今後、民家宿泊と旅館の共存について、また、既存旅館による民家宿泊という、免許を持った、また制度等をわかっている方がちゃんと運営に携わられるというのも大きな点ではないかと思いますが、この点につきましてどのように観光庁としては捉えているのか、お聞かせいただければと思います。 ○田村(明)政府参考人 いわゆるプロとして食を含むおもてなしのサービスを提供する旅館というもの、それから、古民家も含めた既存住宅の空きストックを活用する新たな宿泊モデルである民泊、これは、旅行者の多様な宿泊ニーズに対応するという観点から、共存し得るものだというふうに考えております。  それから、空き家の活用については、旅館が有する顧客対応のノウハウというものを生かして、空き家を旅館の別館等として活用していくというようなことも、今後のサービスの展開の中では期待されるところでございます。  いずれにいたしましても、健全な民泊サービスの提供に向けたルールづくり、それから古民家の再生、活用による地域活性化の支援など、必要な施策を着実に講じてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 民泊また住宅宿泊においては、やはり匿名性というものも大変危険を伴うものだと感じております。この点に関しましては、法案が国会に提出されてからさらに精査してまいりたいと思います。  今回は、観光と文化の経済効果について質問を続けてまいります。  今、観光のあり方というのは、爆買いから体験型へというふうに変化をしております。私の地元、小江戸川越は、毎月十八日を着物の日として、蔵の町並みを着物で歩いて、消費喚起につなげているという点もございます。また、観光で来た外国の方々がレンタル着物で町歩きを楽しんでいる、これは、浅草や京都でも見られる日常の風景となりつつあります。民家宿泊も旅館も着物も、日本文化に触れることが付加価値となっているんだと考えております。  しかしながら、現実には、日本人が日本の文化を知らない、つまり、観光資源を、日本人自身が、そのすばらしさに気がついていない、また、大切にしていないのではないかという思いが強くございます。イメージのみで日本的なものを提供するのでは、結果として、外国の方々には底の浅い文化でもございますから、短期的には消費につながったとしても、長期的にはリピーターとならない。  それに対してしっかりとした消費を、特に価格の面でも出すことはなくなるのではないかという危機感が私にはございます。  観光立国として、多様な地域伝統文化をいかに活用し、醸成させていくのか、この点に関しまして、観光庁のお考えをお聞かせください。 ○田村(明)政府参考人 日本の各地域に継承されております多様な伝統文化は、有形無形を問わず、我が国の魅力を世界に伝える上で重要な観光資源でございます。  しかしながら、これまで、我が国の伝統文化の価値や魅力を国の内外の人々に理解してもらおうとする意識や取り組みというのは、必ずしも十分でなかったところであります。豊かな観光資源を十分に活用し切れていなかったというふうに認識をしております。  伝統文化は、鑑賞する人にその歴史や意義もあわせて理解してもらうことによりまして、一層魅力が高まるものでございます。また、地域の住民の方々がその伝統文化の意義や価値をより一層自覚し、誇りを持つということが地方創生の重要な鍵になるというふうに考えております。  このため、昨年三月に取りまとめた明日の日本を支える観光ビジョンにおきましても、多様な、広義の文化財ですね、伝統文化、これを国や地方においてフルに活用することが最も重要な施策の一つとして位置づけられたところでございます。  観光庁におきましては、文化庁を初めとする関係省庁と連携をしながら、国内外の旅行者の目線に立って、文化財の本来の価値や魅力を国内外の旅行者にわかりやすく伝えるための解説の充実それから多言語化、それから、社寺や世界文化遺産など、地域を超えた共通のテーマを持つ観光資源の間でのネットワークの構築と情報発信、それから、地方自治体が実施する地域の隠れた文化財の観光資源としての掘り起こし、磨き上げ、魅力の発信に対する支援、さらには、旅行者に新たな感動をもたらすストーリーを有する日本遺産の旅行商品化、こういった取り組みを今後さらに進めていくこととしておりまして、引き続き、国を挙げて、伝統文化の観光資源としての活用を推進してまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 大分前の資料ですけれども、平成二十二年の経済産業省の「「文化産業」立国に向けて」という資料には、売上高が大体四十五兆円というのがありました。もちろん、文化という大きな枠組みでいえば、もっと大きな数ではあります。ぜひ、この点に関しましては、今長官おっしゃいましたけれども、各省庁と連携をし、そして、日本の伝統文化、建築物、町並み保存も含めてトータルに振興していただけるように、よろしく御支援をいただきますことを依頼いたしたいと思い ます。  さて、うちの埼玉県から出ておりますけれども、埼玉では、さきに圏央道が開通いたしまして、本当に、どうやったらビジネスチャンスにつなげるのか、また、成田空港が近くなるなというのが大変話題になっております。  二月二十六日に圏央道の茨城県区間が全線開通することによって、東京から放射線状に延びる東名、中央、関越、東北、常磐、東関東自動車道、この六つの高速道路がつながったことによって、成田から都心を経由せずに、東北道、関越道、中央道、東名高速へアクセスできるようになってまいりました。今まで内陸部、北関東などではなかなか流れづらかった訪日観光客や物流、また、都内への渋滞の緩和、首都直下型地震などへの寄与など、さまざまな効果が考えられるかと思います。  この点に関しまして、経済効果について国交省としてはどのような試算をされているのか、お聞かせいただければと思います。 ○石川政府参考人 お答えいたします。  圏央道は、都心から半径四十から六十キロメートル圏域にある環状道路として、首都圏の慢性的な渋滞の緩和による移動時間の短縮など、物流の効率化、省力化において大きな役割を果たす重要な道路でございます。  一昨年十月に埼玉県区間が全線開通いたしまして、先月二十六日には茨城県区間が全線開通をし、圏央道全体約三百キロメートルのうち約九割がつながることになりました。  圏央道を利用することで、都心を経由せずに首都圏を横断することが可能となり、例えば、成田空港から秩父・長瀞までの朝七時台から八時台の所要時間を試算した結果、百三十五分から百十五分に最大二十分程度短縮する見込みでございます。  また、今回の開通によりまして、委員御指摘のとおり六つの放射道路がつながりました。これによりまして、例えば、川越、富岡製糸場、日光・那須、筑波山、湘南海岸などの関東各地の観光地の間のアクセスが向上し、訪日外国人を初めとした旅行者による観光周遊の促進が期待されます。  物流面におきましても、圏央道によりまして都心を通過せずに地方間を結ぶことが可能になることなどから、圏央道沿線における物流施設の年間立地件数は、二十年前と比較して四・六倍に増加しております。特に、平成二十一年から二十六年の五年間におきましては、一都三県の圏央道沿線市町においては、大型物流施設等が新たに約九十件、従業者数が約九千人増加しております。  また、企業立地等による沿線市町の税収増加につきまして、法人住民税が約百五十億円、建物の固定資産税が約六十億円増加しており、今回の開通によりさらなる効果が期待されております。  加えまして、圏央道は都心から四十キロから六十キロメートルほど離れておりまして、首都直下地震の影響を受けにくいと考えられることから、災害時における道路啓開や支援物資の輸送等の復旧活動を支える緊急輸送道路ネットワークの機能強化が期待されます。  引き続き、圏央道における未開通区間の整備推進を図るとともに、開通した道路をより賢く利用する取り組みを進めてまいります。 ○小宮山委員 ぜひ、私から見れば北関東を中心というんでしょうか、より活性化するように、また、さまざまな活用ができることを心から期待をしております。  さて、六年連続で引き上げ改定となる、公共工事設計労務単価の改定が発表されました。今回も前倒しで、三月からの改定となっております。  設計労務単価引き上げに関しては、建設現場に従事する技能者、職人の皆さんからお話を聞くと、実際の賃金への反映は余り感じられないという実情が見えてまいります。また、これが何年も続いているのが現実だと思っております。  国交省は、建設産業の、特に地方の現場においての現状をどのように捉えているのか、この公共工事設計労務単価引き上げの背景につきまして御説明を簡潔にお願いいたします。 ○谷脇政府参考人 お答えいたします。  設計労務単価につきましては、公共工事の予定価格の積算に用いることを目的といたしまして、公共工事に従事する技能労働者の賃金を調査した上で、職種ごと、都道府県ごとに設定をしてきております。  また、平成二十五年度以降、設計労務単価につきましては、特に技能労働者の社会保険への加入促進の観点から、社会保険未加入者が社会保険に加入しているとみなし、法定福利費相当額を加算するといったような措置も講じてきているところでございます。  今回、調査によって得られました全国の公共工事に従事する技能労働者への賃金の支払い、この実績を反映いたしまして、設計労務単価の引き上げを行ったところでございます。率で申しますと、全国の平均で三・四%。例えば、熊本地震の復興の事業が続いております熊本県では四・七%といった率でございます。  なお、この設計労務単価の上昇幅は、民間工事も含めた全ての技能労働者の賃金水準の上昇と必ずしも同一になるものではございませんけれども、平成二十八年の賃金構造基本統計調査の結果によりますと、二十四年と二十八年の比較で、大工、型枠、とび等の労働者の皆さんの賃金は、この四年間でプラス九・一%という数字になってございます。  引き続き、官民問わず、現場の技能労働者の賃金水準の上昇という好循環につながるように取り組んでいきたいと考えております。 ○小宮山委員 これまでも、この問題に関しましては質問を重ねてまいりました。太田大臣のころにも質問させていただき、やはり公共事業の労務単価を引き上げることによって民間への波及というのを期待しているという答弁を何回かいただいております。  昨年暮れに建設職人基本法が成立したことを受けて、建設職人基本計画が制定されていきます。  法律の第三条第二項、また第十条、そして附帯決議において、安全、健康に関する経費が適切に確保されること、つまり、法定福利費を内訳明示した見積書の提出等に関する施策を一層強力に進め、国交省の推進する社会保険一般の未加入対策にも寄与すると期待しております。  六回目の設計労務単価を引き上げたこと、また、建設産業、建設従事者への影響も踏まえて、大臣の建設工事従事者の安全、健康確保への思いをお聞かせください。 ○石井国務大臣 建設職人基本法の成立を受けまして、建設工事従事者の安全及び健康の確保に向けた取り組みに一層力を入れてまいりたいと考えております。委員御指摘の社会保険未加入対策もその一つでございます。同法の附帯決議におきましても、その一層の推進を図ることとされております。  国土交通省では、従来から社会保険の加入促進に取り組んでおりまして、そのためには、元請企業から下請企業に対し、社会保険の加入に必要な法定福利費が適切に支払われることが重要と認識しております。  このため、建設業団体に対しまして、適切な法定福利費の確保を繰り返し要請するとともに、周知啓発や立入検査での確認等を通じまして、法定福利費を内訳明示した見積書の活用促進に取り組んでいるところでございます。  また、同法第八条に定める政府が策定する基本計画につきましては、今後、法第十五条に定める工事従事者安全健康確保推進会議及び専門家会議を設置し、附帯決議の趣旨を十分に踏まえ、関係者と協力をして作成してまいりたいと存じます。  なお、公共工事設計労務単価は法定福利費分を反映して設定しているところですが、本日の夕方、私から主要な建設業団体に対しまして、法定福利費分を含め、設計労務単価の引き上げが、官民問わず、現場の技能労働者の賃金水準の上昇という好循環につながるよう、直接要請することとしております。  こうした取り組みを通じまして、建設工事従事者の安全や健康の確保に今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。 ○小宮山委員 大変心強い大臣のお言葉でございまして、ぜひ、その大臣の思いというものが、各建設業者、そして下までもしっかりと伝わること、また、実際に行動に移されることを心から期待しております。  さて、時間が限られてまいりましたので、バリアフリー改善についてお聞かせいただければと思います。  政府は、二月二十日にユニバーサルデザイン二〇二〇関係閣僚会議を開催し、ユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画をまとめられました。二〇二〇年の東京大会までの実現に向けて努力をいただきたいと思っておりますが、その中でも特にと思う点を何点か伺いたいと思います。  まずは、訪日される障害のある方が国内からの移動においても、車、バスなど交通手段は便利なものではありますが、そこで、空港アクセスや高速バスのバリアフリー化、車椅子で乗車可能なユニバーサルデザインのタクシーの普及の状況についてお聞かせください。 ○藤井(直)政府参考人 お答えいたします。  空港アクセスバス、高速バス、あるいはUDのタクシーに関してでございますけれども、バリアフリー化はまだ途上だと考えております。空港アクセスバスのうち、リフトつきの車両というのは、今、三台ということでございます。また、UDタクシーにつきましても、現在のところ、割合としては、東京では〇・一%ということになってございます。 ○小宮山委員 大変割合が少ないということでもあります。  新幹線や特急車両におけるフリースペースの設置、増設もおくれているわけでありますが、できれば、本当は一両に一カ所のフリースペースを確保することで、車椅子だけでなくベビーカー等の利用も行いやすくなり、ユニバーサルデザインに近づくと考えております。これらについての取り組みはいかがでしょうか。 ○奥田政府参考人 お答え申し上げます。  現在、新幹線、特急、通勤型などの鉄道車両における車椅子スペースにつきましては、移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備に関する基準を定める省令におきまして、一列車に一以上の車椅子スペースを設けることが義務づけられております。  また、車両編成が長い場合は一列車に二以上の車椅子スペースを設けること、通勤型車両においては、車椅子利用者に限定せず、ベビーカー使用者等の多様な利用者に配慮したスペースを設置することが、標準的な整備内容としてバリアフリー整備ガイドラインに定められております。  これらの基準に基づきまして、鉄道各社におきましては車椅子スペースの整備が進められておりまして、平成二十七年度末で、全国の約一万二千編成中、八千百五十編成において、一列車に一以上の車椅子スペースが設けられております。これは、全体の約七〇%を占めている状況でございます。  しかしながら、さらに利用可能なスペースを確保してほしいといった御意見、御要望もございますことから、国土交通省に昨年十月に設置いたしました移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備に関する基準等検討委員会におきまして、車椅子スペース並びにベビーカーが利用可能なスペースの増設についても検討を行っております。  いずれにいたしましても、車椅子を御利用される方やベビーカーの利用者を含め、幅広い利用者の方々が円滑に御利用いただけるよう、環境の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。 ○小宮山委員 海外では、車椅子、ジョイスティック、またハンドル形の区別はないと伺っております。実際に、海外からの、ハンドル形に乗った方が国内で新幹線に乗ろうとしましたら、規格にないので拒否をされたという事例も起きております。今後、その検討会の中で、日本の制度がバリアをつくることのないように、ぜひしっかりと検討していただき、門戸を広げていただければと思っております。  最後になりますけれども、バリアフリー新法が成立した二〇〇六年以降、国内外では障害者を取り巻く状況が大きく変化いたしました。障害者基本法の改正、また、障害者権利条約の批准、障害者差別解消法が施行されました。この中でバリアフリー法の改正も、今、障害者の方々から大きく望まれているものでもあります。  ぜひ、基準の改正にとどめることなく、法律の見直しをしていただきたいと思いますが、最後に、大臣におきまして、この点に関しましての御見解をお聞かせいただければと思っております。 ○石井国務大臣 委員先ほど御紹介いただいたとおり、ユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画を策定したところでございますが、これに基づいて、二〇二〇年東京大会に向けた重点的なバリアフリー化、また、全国各地における高い水準のバリアフリー化、さらには心のバリアフリーの推進に取り組んでまいりたいと存じます。  全国のバリアフリー水準の底上げを図るため、公共交通機関や建築物のバリアフリー化のための基準やガイドラインの見直しを行います。また、心のバリアフリー化を積極的に推進するため、交通、観光分野における接遇ガイドライン等の策定など、ソフト面の取り組みも進めてまいります。  これらに加えまして、バリアフリー法や関連施策のあり方につきまして、その見直しも視野に入れつつ、検討を進めてまいりたいと存じます。 ○小宮山委員 あくまでも私としては、障害がある人もない人もみずからの意思で移動ができる環境をつくる、その共生社会というのを目指すことが、やはりオリパラの精神にも適しますし、この分野で後進国だと言われないためにも、心も当然大切ではありますけれども、場合によっては、日本の障害者に対する思いをあらわすのはハードの部分かと思います。この推進を心から期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。