平成29年2月23日 衆議院予算委員会第四分科会速記録(議事速報) ◇この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いい たします。 ○大串主査 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山分科員 民進党の小宮山泰子でございます。  本日、予算委員会第四分科会で質疑をさせていただきます。  本日は、学校のバリアフリー、また、日本の伝統文化の継承ということで、教育現場における指導の仕方等、さまざまお聞かせいただければと思っております。  まず、冒頭ではございますが、連日、各予算委員会、また、さまざま、天下り問題等、大臣におかれましては、陣頭指揮をとっておられることに心から敬意を表します。  ここまで明らかになってきたのも、松野大臣がこれまで築いてこられた文科省との信頼関係があるからこそここまで情報が開示されてきているんだとも、私は確信をしているところでもあります。  しかし、今先ほど質疑もありましたけれども、大阪の案件とあわせまして、今、日本の教育という現場が、大変信頼性というものが問われる、やはり、金銭であったりそういったもので許認可が出たり就職になったりという、そういったことを多くの方が認識をしたということは、ここを今是正しなければいけない正念場なんだ、教育行政においては正念場だと思いますし、その責任というのは松野大臣のやはり手腕にかかっているし、その責任感の強さにかかっていることと感じておりますので、ぜひ、今だからこそ全てを明らかにし、そして、きちんとした道筋をつけていただきますことを大臣には心からお願いしたいと思いますし、御期待を申し上げたいと思います。  それでは、本日、私のテーマでもございます障害者政策の中で、学校の施設のバリアフリーに関しての質問に入らせていただきたいと思います。  二〇〇六年バリアフリー新法の附則に、「法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とありますが、二〇一一年では基本方針改定を中心にとどまり、法改正には至りませんでした。  そこで、今回、オリパラ二〇二〇を見据えて、ようやく動き出したとは感じております。今回の見直しの背景には、障害者制度改革、障害者権利条約の批准、改正障害者基本法、障害者差別解消法の成立や、また、オリンピック・パラリンピック、東京で開催されるというものがあると思っております。  法改正から、現実には、公共交通機関の旅客施設や車両等のバリアフリー化は着実に進展をしておりますけれども、まだまだ進んでいないところ、また、差別がより大きく事件に発展したなどは私たちの記憶に新しいし、これはやはり直していかなければならないんだと思っております。  先日、二〇二〇年東京パラリンピックへの行動計画が政府から発表され、計画案によると、バリアフリー法に基づく施設整備基準を一七年度中に改正し、車椅子利用者の利便性を高めるため、駅のエレベーター定員増、移動経路の複数化、ホテルなどの建設物の設計標準改定で障害者等が利用できる客室確保を目指すこととあります。そして、文部科学省においても、二〇年度から、次期学習指導要領で、障害者との共同学習、道徳、音楽など各教科を通じ、全ての子供に心のバリアフリー教育を実施、教員に対する研修の充実も明記されたと伺っております。  気になるのは、二〇年度からでは、東京パラリンピックにはもう間に合わないわけでありますから、ここはやはり少し早めていただかなければならないのかなと思います。  また、実際に障害をお持ちの方からの御意見としては、こういった座学ではなく、やはり、ともに学び、インクルーシブな環境というものが、共同することの方が、よほど現実には即したバリアフリー、心のバリアフリーというものを育成するのではないかという御意見も聞こえてまいります。  そこで、障害をお持ちの方が学校に来る状況というのは、災害時には顕著にあらわれるものでもありまして、災害の避難所としての役割、学校に備えるべき設備について、まずお聞かせいただきたいと思っております。  昨年の十月十七日、厚生労働省並びに防災担当大臣に対して、障害者当事者でもある地方議員などによる市民団体、障害者の自立と政治参加をすすめるネットワークの皆様とともに、熊本地震の際に障害者の皆様が直面したさまざまな問題に関して同団体が取りまとめた提言内容の説明と、そして要望書を提出させていただきました。  避難所となった学校においては、バリアフリー化が十分でなく、被災者である障害をお持ちの方が避難所に入れない、入りにくい、とどまりにくいということが現実に起きてしまいました。結果、障害者の方々は、被災した自宅にとどまる、また、車中にとどまるなどしていたために、食料やそのほかの支援の手が行き渡らない原因ともなったと、大変つらい経験を伺わせていただきました。  そこで、インクルーシブ教育の時代にも入りました。なおかつ、バリアフリー法改正での、避難所となりやすい学校においてバリアフリーの義務化をすべきではないかという思いが強くございます。文部科学大臣の御所見を求めるとともに、積極的に取り組みをしていただきたいと思いますし、まずは、この点を大臣にお伺いさせていただけますでしょうか。 ○松野国務大臣 文部科学省では、東日本大震災や熊本地震発生後、これらの災害を踏まえた今後の学校施設の整備方針を検討するための有識者会議をそれぞれ設置をし、児童生徒の安全確保や避難所機能の確保等について提言を取りまとめています。  その中で、避難所機能の確保に関する課題として、トイレについて、洋式が少なかったり、断水により利用ができなかったことや、避難所となっている体育館の出入り口に段差があり、高齢者の方が苦労されたことなどが被災自治体の声として上げられるとともに、避難所となる学校施設に必要となる機能や今後の推進の方策に関する提言が盛り込まれています。  文部科学省としては、この提言を踏まえ、引き続き、避難所となる学校施設に必要な防災機能の強化に努めてまいります。 ○小宮山分科員 ありがとうございます。  必要な機能という中において、まず、避難所となった公立学校の被災時の経験等、文科省としての情報収集また集積のあり方は、どのようなことをしたのかも具体的にお聞かせいただけないでしょうか。  熊本地震の後に、学校のトイレ研究会誌というのがございまして、熊本避難所調査レポート、号外で出されたそうです。  この中では、避難所で不便だったことの第一位としてはトイレが挙げられていました。避難所に多く占める高齢者には和室トイレが使えない方が多く、大変苦慮されたと書いてありました。高齢者や車椅子使用者などが使えないなどは、先ほど述べたとおり、その実態は熊本の村上市議からも伺わせていただきました。また、仮設トイレも同様で、段差等があり使えないということでありました。  耐震化とともに、学校の常設トイレの洋式化をすること、また、多機能トイレ、オスメイト対応や折り畳みシートの導入の現状について、文部科学省の見解を伺わせていただきたいと思います。  あわせて、東日本大震災、熊本地震などで避難所になった学校施設での問題点、課題についてどのように捉えていらっしゃるのか、お聞かせください。 ○山下政府参考人 お答え申し上げます。  まず、トイレの件でございます。  学校施設は災害時には地域住民の避難所になることから、御指摘のトイレ環境改善についても極めて重要であると考えております。  公立小中学校施設のトイレの状況を調査しましたところ、平成二十八年四月一日現在で、洋式化率は四三・三%、多目的トイレにつきましては全国で約六万カ所が設置されている状況でございます。  これらの状況を踏まえまして、文部科学省としては、これまでトイレの改修について国庫補助を行うなど環境整備に努めてまいりましたが、今後とも、トイレの環境改善を含め、地方公共団体が計画的に施設整備を行えるよう、必要な予算の確保に取り組んでまいります。  また、御指摘のありました熊本地震、東日本大震災等を踏まえた課題という認識でございます。  先ほど大臣からもお話がございました、私どもとしても有識者会議を設置しまして、児童生徒の安全確保や避難所機能の確保等について取りまとめたところ、それを踏まえまして、避難所機能確保につきましては、調査をするとともに財政支援を行ったところでございまして、引き続き、この提言を踏まえまして、避難所となる学校施設に必要な防災機能の強化に努めてまいりたいと考えてございます。 ○小宮山分科員 ちょっと先に行きまして、引き続きトイレの話になりますけれども、ぜひ、今もう少し詳しく本当は、老朽化した学校トイレの、和式便器が多いというのを、いろいろな行事等でも、おじいちゃま、おばあちゃまとかが来られて、子供たちの応援をしたい、そんなようなときにも、やはり洋式が少ないということで、改修を望む声というのは大変大きくあるということは承知しております。  この点に関して、きのう伺ったところによると、県とか地域によって随分、先ほど、随分普及が進んでいるようには、データは伺いましたけれども、実際には地域的な格差があるというようなことも感じております。  この点の格差をやはりなくしていくことというのもぜひしていただきたいと思いますが、この点もちょっとあわせて伺わせていただきたいのと、続きまして、災害時等では、上水の断水などで、排水システムが重要となってまいります。  東日本大震災のときにも、私も学校の施設、衛生環境のところを見て回りました。非常に、仮設トイレも水が流せないという状況、汚物が積み上がるような状況になっておりました。  また、学校の方も、浄化槽が設置してあるところは多少は、環境衛生関係の皆様がバキュームカーを持ってきて処理をし、また他県でし尿処理などをしていただいたり、そういったことをされましたけれども、なかなか都市部では厳しいところも、公共下水のところはそれもできないということもあります。  国としては、国交省を初め、現実には下水道のマンホールトイレなどの普及はしておりますけれども、この点に関しましては、山間部などにおいては、まだ、もしかすると公立の学校で単独浄化槽がそのままになっているのではないか。環境負荷のこともあわせて考えますと、合併浄化槽への転換というのは全て、一〇〇%にするべきであると考えております。  この点に関しまして、また、先ほどの洋式に変更する、耐震化等、さまざまなところ、また、災害のときには代理の設備等の支援というのも大変望まれているところではありますが、日常のことでもありますし、応用がきくということで洋式に転換する、そこの推進に関して何か地方自治体等への支援策がありましたら、あわせてお聞かせいただければと思います。 ○山下政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど、トイレの調査についてお話をさせていただきました。  実は、この中で、各学校設置者のトイレの整備方針というのを調査してございます。  それを見ますと、学校設置者、全体千七百九十九自治体の整備方針の内訳でございます。おおむね洋便器化をしたいという自治体が全体の四二・五%、各階に一個程度和便器を設置し、他は洋便器が一三・四%、各トイレに一個程度和便器を設置し、他は洋便器とするのが二九・三%、洋便器と和便器をおおむね半々に設置が一〇・七%、あと、その他となってございますが、和便器より洋便器を多く設置する方針の学校設置者は全体の八五・二%になっております。  これに沿って、私どもも、地方の計画がちゃんと進むように財政支援を行ってまいりたいというふうに考えております。  あと、トイレの断水があった場合の件でございますが、御指摘の学校施設における浄化槽の設置状況につきましては、残念ながら把握はしてございません。  下水道が普及していない地域に立地する学校施設につきましては浄化槽の設置が想定されるところですが、これにつきましては、地方公共団体が学校施設の整備を行う際にはあわせて国庫補助の対象としてございます。また、下水道が普及している地域におきましても、災害時に下水管に被害が生じた場合、マンホールトイレとあわせて汚水貯留槽の設置なども検討しておくことが有効であると考えております。これらについても国庫補助をしているところでございます。  引き続き、学校施設の防災機能の一層の強化に努めてまいりたいと考えてございます。 ○小宮山分科員 ありがとうございます。  学校の防災拠点としての役割を担うために今後優先的に改善した方がいいと思うことは何かというアンケートでは、自家発電装置、長期停電によりテレビ、携帯が使えず情報不足になるといった点。また、非構造部材の耐震化、校舎自体の耐震化は終了しても天井の内装、照明、窓ガラスなどが非耐震ということで、大分壊れた事例が多かったと伺っております。そして、今取り上げました、常設のトイレの洋式化ということが挙げられておりました。  東日本大震災では、計画停電で、関東、まあ、東京、永田町は余り停電がなかったので、この話をすると、私の地元が埼玉、川越ですけれども、一日二度の計画停電等あったということで、さまざま苦労が皆さん地元ではあった、商売にも影響したなんという話は聞けるところでありますが、避難所に指定される可能性の高い学校施設も、当然、停電というエリアに入ることが想定されます。  被災時にも電源確保また蓄電池などの設備というものも設置をするべきであると考えております。  この点につきまして、今現状どのようになっているのか、また、今後、設置に対しての補助や支援策はどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせください。 ○山下政府参考人 お答え申し上げます。  国立教育政策研究所の調査によりますと、災害時の避難所に指定された公立学校施設において、自家発電設備等が設置されている割合は、平成二十七年五月一日現在で四三・九%となってございます。これにつきましては、東日本大震災以降、かなりその設置率を上げてきているということがございます。  文部科学省では、地方公共団体が公立学校施設において蓄電池を設置する際の施設整備について国庫補助も行ってございますので、引き続き学校施設の非常電源確保に努めてまいりたいと考えてございます。 ○小宮山分科員 ぜひよろしくお願いいたします。  先ほどお伝えしました、障害者の自立と政治参加をすすめるネットワークの皆様方の御要望を聞いていても、福祉避難所をつくったといっても、やはり、一時的に避難をされる多くの方は、まずは学校に向かうということがあります。また、多くが、地域において避難所という指定を受けているのも公立の学校かと思っております。  「「熊本地震の被害を踏まえた学校施設の整備について」 緊急提言」というのが出されております。その中には、熊本県のアンケートによると、救命避難期、生命確保期に当たる地震直後から二日から三日後までは、トイレ、非常用電源、水、情報通信機器のニーズが高い、また、段差の解消は、高齢者や障害者への対応だけでなく、物品の搬入にも必要となる、これらについては、避難のために不可欠な機能と考えられる、地域の実情に応じて必要最低限備えるべきものを検討し、それらを優先的に整備または機能確保すべきである。  また、避難所となる学校施設においては、雨漏り等の施設老朽化に伴う建物性能の喪失がないことのほか、ユニバーサルデザインの採用や断熱性の確保、施設の長寿命化など、学校施設として備えておくべき基本的な建物性能が確保されていることが重要であるというような報告書がありました。  また、その中には、文科省は、内閣府、総務省消防庁、国土交通省等の関係府省と連携を深化するとともに、地方公共団体において、関係者の適切な協力体制が整備され、各学校における防災機能強化の取り組みが促進されるよう要請していく必要があると提言されております。  現在、学校は、バリアフリー法におきましては、特定建物、利用円滑化基準に適合努力義務となっております。これを特別特定建築物として適合義務にすることで、学校のバリアフリー化がより早期に実現するものと考えております。  災害に強い、災害後に強い学校にすることで、子供たちと地域の人々を守る拠点となります。これは、社会とともに学校が人を育むことを体現するためにも重要な観点だと確信しております。この点につきまして、ぜひ、大臣におかれましては前向きに御検討されることを強く要望いたし、また、ぜひこの点に関しまして御意見を聞かせていただければと思います。 ○松野国務大臣 避難所としての学校の機能、必要な機能に対する考え方は先ほど申し上げたとおりでありますが、委員の方から御指摘をいただいた、インクルーシブ教育を推進する上でという観点で、障害のある児童生徒が支障なく学校生活を送ることができるようにするため、学校施設のバリアフリー化を進めることは重要であると考えています。また、地域社会における学習活動の場、先ほど申し上げた災害時の避難所としての機能も求められることから、学校施設のバリアフリー化を進めること、このことに関して、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  バリアフリー法では、不特定多数の方が利用される建築物、及び、主として高齢者、障害者の方が利用される建築物について、建築物移動等円滑化基準への適合を義務づけしています。学校施設につきましては、委員から御指摘があったとおり、障害のある児童生徒が学ぶ特別支援学校は義務づけの対象になっていますが、一方で、その他の学校は努力義務の対象となっていると承知をしております。  バリアフリー法は国土交通省の所管でありますので、文部科学大臣として見解を申し上げることは差し控えさせていただきますが、私としては、学校種を問わず、学校施設のバリアフリー化を推進していくということは重要であると考えています。  文部科学省としては、各地方公共団体等に対し、学校施設のバリアフリー化の推進について要請するとともに、指針や事例集等の作成による情報提供や、バリアフリー化にかかわる施設整備について国庫補助を行っているところであります。今後とも、バリアフリー法を所管する国土交通省とも協力しながら、各地方公共団体等における学校施設のバリアフリー化の推進に取り組んでまいります。 ○小宮山分科員 大臣、ぜひ、この点に関しましては、災害時、不特定多数の方、さまざまな方が学校に来るということを鑑みても、国交省の確かに所管ではありますけれども、多くの方の命、そして情報を得る拠点ともなる学校のバリアフリー化、これに関しましては、各省庁と連携をしていただき、推進をしていただくことを心からお願いいたします。  さて、日本伝統文化を遺産とせず日常に生かしていただきたいと思っております。時間が大分過ぎてしまいましたので短くはなりますけれども。私自身も、この数年、経済産業省など、この分科会を通じまして、日本の職人が使う道具をつくる職人の支援というのをテーマに質問を重ねさせていただきました。国際化の中で、日本の伝統文化を日本人自身が知らな過ぎるというのも実感でもございます。日本人が日本の伝統文化、生活文化を知ることというのは、日本の文化、そして日本の魅力というものをさらに深化させるとともに、これが、世界の方からやはり日本が一目置かれる、そういったものにつながるんだとも確信しております。  そこで、観光庁への質疑では、ユネスコ無形文化遺産登録一号の能楽の映像が外務省で作成され、大変すばらしかったものでありまして、これはやはり、個人としては、私としては、文化庁でもっと、日本の伝統文化、そういったものを国内外に紹介をする、多言語でできれば紹介をする取り組みがあっていいのではないかと思っております。  この日本の伝統文化の伝え方、施策についてお聞かせください。 ○中岡政府参考人 先ほど外務省の方の事例が紹介されましたけれども、日本各地には歴史や風土に育まれ発展し、伝承されてきた貴重な無形文化財や民俗文化財が多数存在しますけれども、近年の急激な社会構造の変化、とりわけ少子化、過疎化等々によりまして、それが廃れていったり、衰退していくというおそれが危惧されるわけでございます。  そういった面で、この保存というものは喫緊の課題となっておるわけでございますけれども、文化庁におきましては、重要無形の文化財に指定されている保持者の高度なわざを、これをしっかりと後世に残せるような記録映画等を作成しておりますし、また、無形の民俗文化財につきまして、各地において守り伝えられてきたものを文書、映像等によって残すための記録作成にも取り組んでおるところでございます。  今後とも、こういった伝統文化の指導者や学び手等が正しい知識を学べるという観点もございますけれども、我が国の貴重な文化の保存に努めてまいりたいと思いますし、国内外への発信につきましてもきちっと対応してまいりたいと考えております。 ○小宮山分科員 ありがとうございます。  農水省の調べによりますと、ピーク時の昭和三十四年には全国で千八百七十一社あった製糸工場は、今はもう七社になっておる、もう少し減っているかもしれません。また、絹産業も、養蚕農家というのは、ピーク時二百二十一万戸だったものが、平成二十四年には五百六十七戸まで減っています。これは和装離れがあり、そして需要がなくなったからだということも言われております。  サブカルチャーなどには政府は本当に巨額の基金などを積み上げておりますが、こういった文化に対してはなかなか支援が行き届いていない。また、私も県議会議員時代から、学校でもう少し日本文化を教えられないのかというような質問を教育局などにお話しいたしますと、難しいから教えられないという答えが何度も返ってきて、大変つらい思いもいたしました。  しかし、今、そう言っている場合ではございませんので、やはり、日本というのはすばらしい文化があり、伝統がある。着物などを見ても、ポップカルチャーにつながるような、さまざまなデザイン性の高いものもたくさんあります。  例えば、着物歴史博物館といったものの整備や、国立博物館や国立近代美術館工芸館で染織、繊維、着物作品の充実をすることで織物や養蚕、小袖や能衣装のデザイン性の高さ、日本人の美意識を再認識し、後世に伝えることというのは、日本の伝統文化をつなげる意味においても大きな役割を担っていただけるのではないかと思っております。  この点につきましてお聞かせいただければと思います。 ○中岡政府参考人 お答えいたします。  小袖とか能装束などの染織品は、我が国に受け継がれてきました貴重な文化財でございます。これらの継承を図る上で、博物館が果たす役割は大きいものと考えております。  現在、文部科学省におきましては、公私立の博物館の施設整備に対する国庫補助制度というものはございませんけれども、美術館、博物館が地域で行う特色ある取り組みを支援いたします、地域の核となる美術館・歴史博物館支援事業を実施しております。例えば、平成二十八年度には、こういった事業の中で、奈良さらしに関する展覧会にあわせたワークショップや講演会に係る経費を補助したりしております。  先ほどもお話がございましたが、国立博物館におきましては、歴史的、芸術的に価値のある約五千件の染織品を、国立美術館では重要無形文化財保持者など近現代のすぐれた作家による染織作品約一千件を所蔵しておりまして、その保存、活用を図っておるところでございます。今後とも、こういった取り組みを通じまして、着物文化の振興に努めてまいりたいと考えております。 ○小宮山分科員 桃山時代から大変すばらしい意匠のものもございますので、ぜひ、一千点と言わず一万点ぐらいはそろえていただければなというふうに思います。  さて、私の地元は川越でございまして、ユネスコ無形文化遺産で指定を受けました川越神社の氷川祭り、川越まつりが大変有名であります。市内各所、鯨井の万作踊りや南田島の足踊り、富士見市においては南畑神社や諏訪神社の獅子舞など、さまざまな伝統文化が残るエリアでもございます。  地域に根差した伝統行事、文化を担う地元の小学校など、保存会などの方の外部講師を得て教えている場合もあると伺っております。このように、地域とともにある、肌で感じる、学べるような地域の文化学習の機会をとっていただくことが望ましいと思いますけれども、この点に関しまして、文科大臣の御見解をお聞かせください。 ○松野国務大臣 まず、先ほどの質問の日本文化の発信についてでありますが、小宮山委員、茶道家でもいらっしゃって、日本文化に対して造詣が深く、見識をお持ちであり、また、かねてより文化庁の情報発信に関してアドバイスをいただいておりますが、今、文化庁でも、日本の伝統文化を国内外に伝えるためのさまざまな施策、動き出しておりますので、ぜひ御期待をいただきたいと思います。  地域に根差した伝統行事、また教育の場でということでございますが、御指摘のとおり、子供たちが地域に根差した伝統行事などの日本の伝統文化について学ぶことは、大変重要であることは言うまでもありません。  本年度中の告示を目指している小学校、中学校の学習指導要領の改訂案においても、県内の主な文化財や年中行事、我が国や郷土の音楽、和楽器、和食、和服など、我が国の伝統や文化に関する教育について充実を図ろうとしているところであります。  また、伝統文化親子教室事業や文化芸術による子供の育成事業などを通じ、子供たちが日本の伝統文化に親しみ、あるいは体験、習得できる機会を充実させるよう、努力を続けてまいります。  こうしたことを通じて、学校教育において伝統や文化について学ぶ機会を一層充実してまいりたいと考えております。 ○小宮山分科員 ありがとうございます。  地域、日本の伝統文化を学ぶことによって、世界各国の文化を大切にする人たちとその思いも共有できる、そんなすばらしい教育ができることを心からお願いして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。