平成28年12月9日 衆議院国土交通委員会速記録(議事速報) ◇この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いい たします。 ○西銘委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 民進党の小宮山泰子でございます。  本年最後の質疑になると思いますので、よろしくお願いいたします。  まず最初に、都市再生機構の賃貸住宅における家賃の減免維持についてお伺いしたいと思います。  UR都市再生機構による賃貸住宅は、旧公団住宅を引き継いで現在に至っています。国の公共住宅政策を担うという側面を事実上担ってきたものだと認識しております。  一九九九年、公団家賃を市場家賃化するに当たって、都市公団法は家賃の減免条項をあわせて規定し、都市機構法二十五条四項に引き継がれております。二〇〇三年、機構法制定に際し、衆参両院の国土交通委員会で、家賃負担への十分な配慮、家賃の減免等を挙げ、附帯決議を付して政府及び機構に対応を求めたのも、同様の観点によるものです。  私の地元埼玉県下のUR賃貸住宅居住者、埼玉公団住宅自治会協議会は、生活実態調査をことしの九月から十月にかけて行われました。その中には、年金だけが収入、支給額も年々削られ、貯蓄は底をついている、生活は本当に苦しい、楽しみや交際などの余裕などない、出産や育児、教育費を考えると家賃が払えなくなるなど、切実な声が集まっております。  賃貸住宅に暮らす低所得者世帯にとっては、家賃が家計の最大支出となる場合が多く、その額次第で生活困窮の状態に陥ってしまいます。家賃値上げのルールの問題点は、消費者物価指数から機構の業者査定へ算定基準が変更されたこと、また、三年ごとの一斉改定から、各戸ばらばらの値上げ通知にあります。低所得高齢者等への特別措置の廃止縮小案の取り下げが求められているものであります。  また、昨日の全国公団住宅自治会協議会、安心して住み続けられる公団住宅を目指す決起集会において、いわゆる家賃部会で、居住者として委員に選任されている方が、居住者の高齢者の割合、収入など、家賃に係る前提データを述べようとしたところ、進行役から、意見は家賃のみにと発言を遮られたとの報告がありました。これまで、家賃支払いや独居高齢者の見守りなど、コミュニティーの質の向上などで公団住宅を支えてきたこの皆様方の代表の発言を遮ったのは、言語道断だと思います。  そこで、機構法二十五条四項、家賃の減免条項の完全実施により、生活弱者、低所得者の居住者の追い出しにつながらないようにすること、また、居住者も当事者として参画することで安心して住み続けられる旧公団住宅、UR賃貸住宅をつくることに対して、国土交通大臣のお考えをぜひお聞かせください。 ○石井国務大臣 UR賃貸住宅につきましては、住宅セーフティーネットの確保に重要な役割を担っているものと認識をしております。  URが先般実施いたしました家賃改定ルールの見直しは、平成二十五年に閣議決定いたしました独立行政法人改革等に関する基本的な方針に基づいて行ったものでございますが、低所得の高齢者等につきましては家賃を据え置きとするなど、御指摘の都市再生機構法第二十五条第四項に基づきまして、居住の安定に最大限配慮した内容となってございます。  また、これまでも、UR賃貸住宅におきまして、高齢者向け優良賃貸住宅として供給された住戸に居住する高齢者世帯であって、公営住宅の入居基準に該当する世帯等に対しましても、家賃の減免を行ってきております。  平成二十八年度からは、新たに、手すりの設置等の簡易な改修のみを行った住居に居住する高齢者世帯であって、公営住宅の入居基準に該当する世帯につきましても、家賃減免措置の対象としたところでございます。  今後とも、住宅セーフティーネットの機能が果たせるよう、都市再生機構法第二十五条第四項の趣旨にのっとり、適切な家賃減免措置を講じてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 歴代国交大臣、本当に御理解いただいておりますが、ぜひ石井大臣にも、安心して住み続けられる、そのためにまたさらにお力添えいただくことをお願いいたします。また、今の答弁、本当にありがとうございます。  海上コンテナの安全輸送法案について伺います。  近年、コンテナ輸送船の大型化が進んでおります。しかし、コンテナ内の荷物の状況については、認められた者による検査による簡略化も進んでおります。  コンテナ内の荷物状況が極端に偏ったことが原因での首都高速でのトレーラーの横転事故発生を契機として、民主党政権時代ではございますが、閣法として海上コンテナ安全輸送法の準備を進め、国会にも提出されました。解散でこれは廃案になっておりますが、コンテナを取り巻く状況は、密入国や薬物など多くの問題を生じております。港湾従事者の方々からも、安全確保の要請もありました。  改めて国として根拠法を整備する必要があると思います。この点につきまして、ぜひお伺いしたいと思います。 ○石井国務大臣 委員御指摘の法律案は、荷主が海上コンテナの重量を一本ずつ計測することや、その情報を関係者間で伝達することを義務づけるものでございましたが、それらが物流の停滞につながるおそれがある等の批判がございまして、審議未了のまま廃案になったものと承知をしております。  国際海上コンテナの陸上輸送の安全確保は、重要な課題でございます。このため、荷主、船会社、トラック事業者の関係団体等から構成される国際海上コンテナの陸上運送に係る安全対策会議におきまして、重量の計測や情報の伝達を含めまして、それぞれの関係者が取り組むべき内容を定めた国際海上コンテナの陸上における安全輸送ガイドラインを平成二十五年六月に取りまとめたところでございます。  国土交通省といたしましては、引き続き、関係者間の連絡会議や事業者団体の主催する講習会の場を通じましてガイドラインの周知を図るとともに、その内容が着実に実施されるよう、関係者を指導してまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ガイドラインの強化はわかりますが、手続の簡素化等がございます。そういった中で、当然、海外からのコンテナもございますので、やはりきちんと強制力を持った根拠法という形で検討していただくことをお願いしたいと思います。  海上コンテナ輸送が増大している中でありますから、当然、日本に来たコンテナは、荷おろしをされ、また全国各地に輸送されます。コンテナ輸送については、トラックによる輸送とともに、鉄路を用いた輸送の活用により、低炭素社会の実現、低コスト輸送の実現、すなわちモーダルシフト推進にも望ましいものと考えます。  JR貨物による海上コンテナ輸送用の低床コンテナ貨車の導入に対する支援、また、トラック業界においても、JR貨物で用いるJRコンテナ輸送用の緊締装置つきトラックの導入に対する支援を国として積極的に行うことで、鉄道とほかの輸送手段との連携を強化していく必要があると考えます。これらの支援策についてお聞かせください。 ○重田政府参考人 お答えいたします。  トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトは、物流の省力化と生産性の向上に加え、地球温暖化対策にも大きく貢献するものでありまして、積極的に推進していきたいと考えております。  委員御指摘の海上輸送コンテナ用の低床貨車につきましては、平成二十七年度予算及び今年度予算におきまして、その開発に対する支援を行っております。また、鉄道コンテナを輸送するためのトラックやシャーシにつきましても、平成二十五年度予算より、導入する際の費用に対する支援を継続して行っております。  こうした支援措置に加えまして、本年十月より施行されました改正物流総合効率化法に基づきまして、モーダルシフトを連携して実施する計画について認定を受けました場合には、運行経費補助等も行っているところであります。  国土交通省としましては、引き続き、関係省庁やJR貨物の皆さんと連携しながら、こうした支援策により、モーダルシフトの推進を図っていきたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  ことし最後なものですから、ついついかなり急いでおりますけれども、次は観光に関してでございます。  十二月一日の、本当に未明というんでしょうか、三十三の山、鉾、屋台がユネスコ文化遺産登録に決定いたしました。私の地元の川越まつりもその一つでございます。  一度に多くの指定はうれしいんですけれども、多くの指定のために、町の活性化につなげられなくて明暗が生まれる可能性もあると危惧しております。  国交省は、二〇二〇年に、訪日観光客を四千万人、地方部での外国人延べ宿泊者数は七千万人泊、日本人国内旅行消費額は二十一兆円という新たな目標値を発表されております。今回、ユネスコ無形文化遺産登録された多くの祭りの支援をどう活用されていくのか、また、日本の伝統文化の観光への活用をする中で、推進する側、提供したい側が、日本の伝統文化、また、その祭りの意義というものを少し曲解する、また違うように宣伝することで、時には地域の祭り、文化の崩壊を招きかねないことを常に念頭に、やはり観光政策等をしていただきたいと思っております。  この点に関しまして、国交省として、また観光庁としてどのように対応しているのか、お聞かせください。 ○田村政府参考人 本年十二月一日、今月の一日に、山・鉾・屋台行事がユネスコ無形文化遺産に登録されました。これは、地域の人々が一体となって、次の世代も行事をとり行えるように、伝統的な工芸技術を何世紀にもわたって維持するとともに、地域の自然環境を損なわない材料の利用等の工夫や努力によって、今日に至るまで山、鉾、屋台の継承と振興に取り組んでこられたことが評価されて、登録に至ったものと認識しております。  御指摘のとおり、我が国の伝統文化を初めとする多様な観光資源の価値を、正しく、国内外にわかりやすく伝えていくということ、観光先進国を目指す我が国にとっては、これは極めて重要であるというふうに考えております。  このため、政府観光局のウエブサイトでも、英語を初め十五言語の外国語で、我が国の伝統文化や伝統芸能の紹介等、全国津々浦々のいろいろな観光情報を発信しているところでございますけれども、今後も、この政府観光局のウエブサイトを刷新していく中で、関係省庁とも連携しながら、内容のグレードアップや効果的な発信方法の採用を図ってまいりたいと思います。  また、地域のガイドにつきまして、昨年の九月に、構造改革特区法に基づく特例ガイド制度を導入いたしまして、地域に根差した通訳ガイドを全国に拡大するために必要な措置を講じたほか、こういったボランティアガイドにつきまして、日本政府観光局と連携して、優秀な取り組みを行っている団体に対する表彰等を行うことを通じて、その質の向上を図ってまいります。  さらに、私どもの職員、あるいは地方の職員も含めまして、そういう知識の習得、あるいは意識の向上というものにも努めてまいりたいというふうに考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  川越まつりなんですけれども、十月十五、十六日の二日間で約百万人弱が堪能されました。  川越まつりでは、英語の通じる街川越のスピーチコンテスト受賞者たち、一部は出場した学生たちも含みますが、英語での観光案内のボランティアを実施いたしました。ブースで案内した外国の方の人数は、二十三カ国以上、二百十名と聞いております。  多言語など、さまざまな形で支援をしていくことが、より日本を理解し、そして好感度を上げていく、またリピーターをふやす一助になるんだと思いますので、この点もぜひ押さえていただければと思います。  大変申しわけありません、時間の都合で、旅館経営教室、大変興味深い施策をされております。  地域の旅館は、日本文化を過去から今日に継承して、そして地域経済になくてはならない重要な役割を持っているということであります。この点に関しましても、引き続き支援をしていただくことをお願いしたいと思います。  先に行かせていただきます。住宅の長寿命化、中古住宅の流通の活性化と住宅ローンのあり方について聞かせていただきたいと思います。  近年、新築住宅における長期優良住宅制度の創設、インスペクションの積極導入などにより、これまでの、上物である建物については築後二十年か三十年もすれば実質的に資産価値がなくなるという、日本における新築信仰的な住宅流通のあり方の転換を促す画期的な制度導入だと考えております。  ところが、上物はいいものがあった、しかし、金融機関による住宅ローンの設定に当たっては、申し込み時点での申込者の年収、職業により融資額の上限が決められることによって、住宅、建物自体の資産価値については余り考慮されていないということがあります。  欧州では、歴史的な価値を付加されると高額になり、また、購入も世代間で引き継ぐことができる良質な建築物がつくられると聞いております。日本の伝統的構法による木造住宅も、二百年を超える建築物がございます。正当な評価が望まれるところです。  この点に関しまして、国交省、そして住宅ローンを提供する各金融機関に対して、建築の価値への評価に重点を置く融資について周知、指導、検討を行っていくべきだと考えますが、金融庁のお考えをお聞かせください。 ○由木政府参考人 お答えいたします。  既存住宅流通の活性化のためには、良質な既存住宅が市場で適切に評価されることが重要であると考えております。このため、住宅の性能や維持管理の状態など、個別の住宅の状態に応じまして適切に評価がなされますように、平成二十六年三月に、中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針というものを作成しております。  この指針では、例えば、基礎、躯体と内外装、設備部分を区分いたしまして、基礎、躯体部分につきましては、性能に応じて二十年より長い耐用年数を設定するといった評価の考え方を示しているところでございます。  また、この考え方が市場において定着いたしますように、昨年七月には、二点の実務への反映策を講じております。一点目は、不動産鑑定士が鑑定評価を行う際の留意点の取りまとめ、二点目は、宅建業者が用います価格査定マニュアルの改定でございます。  さらに、本年度からは、金融市場を含めまして、市場全体において良質な住宅ストックが適正に評価されますように、金融機関や工務店、宅建業者等関係者が連携いたしまして、住宅のリフォームによる維持向上、住宅の評価、流通、金融等の仕組みを一体的に開発、普及いたします取り組みに対し、支援を行ってまいっているところでございます。  こうした取り組みを通じまして、良質な住宅ストックが適正に評価される市場の形成を促進してまいりたいと考えております。 ○栗田政府参考人 お答え申し上げます。  一般的な住宅ローンの審査に当たりましては、借り手の年齢、収入、職業、家族構成などをもとに、借り手の返済能力に着目して融資の可否が判断されるものと承知しておりますが、その際、土地や建物といった担保についても、その評価額が適用金利などの決定において勘案されているものと承知しております。  そうした意味におきまして、委員御指摘のとおり、建物の価値を適切に評価することは極めて重要でございまして、金融庁といたしましても、各金融機関に対しまして、ただいま御紹介のありました中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針等に留意するよう、その内容の周知に努めてきたところでございます。  金融庁といたしましては、金融機関が利用者ニーズを踏まえて多様な融資商品、サービスを提供していくよう、引き続き注視してまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  ぜひ中古住宅の市場を活性化していただきたいということ、大臣、この点は依頼をさせていただきたい。  そして、最後ですけれども、ぜひ、それをつくる職人の立場、そして安全を守っていただきたいと思います。  本日最後に、一般質疑の後に、参議院で委員長提案で可決されました建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律案、建設職人基本法案が議題になる予定であります。  近年、国交省では、公共工事設計労務単価の改定を重ね、数字の上で大幅な単価上昇を行ってまいりました。公共工事での労務単価上昇により、民間工事に対しても波及し、建設工事従事者、技能者の賃金や待遇改善につながることが期待されているものと歴代の国交大臣の答弁にもありますが、現実はそこまで期待どおりにはいっていないようです。  各地での重大事故などを考えますと、建築現場の現状を改善するために、この建設職人基本法案が成立し、安全確保、賃金上昇、そして待遇改善に対しての一助になることが期待されます。この点に関しまして、国交大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。 ○石井国務大臣 建設産業は、現場で直接施工を担う技能労働者によって工事の品質が大きく左右されるという、いわば人材で成り立っている産業でございまして、適切な賃金水準の確保など、技能労働者の処遇の改善を図ることは非常に重要と考えております。  御指摘の建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律案におきましては、国及び都道府県は、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する経費の適切かつ明確な積算、明示及び支払いの促進、さらに、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する責任体制の明確化に資するよう、建設工事に係る下請関係の適正化の促進など、必要な施策を講ずるものとされております。これらの施策を推進することによりまして、技能労働者の適正な賃金水準の確保、処遇の改善にもつながるものと考えております。  この法律案が成立した際には、法律の規定及び趣旨に従い、必要な施策を進めてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございました。  以上です。