平成28年5月13日 衆議院国土交通委員会速記録(議事速報) ◇この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いい たします。 ○谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮山泰子君。 ○小宮山委員 おはようございます。久しぶりに最初に質問させていただきます。民進党の小宮山泰子でございます。  本日は、木造住宅、また、伝統的構法や歴史的景観、自然との共生を基本のテーマとして、熊本地震への対応、その復旧後の機能強化等についても質問をさせていただきたいと思います。  先日、十一日の発表ではございますが、環境省から、倒壊した瓦れきなど災害廃棄物が最大百三十万トン生じるという報道がございました。これは中越地震のときの約二倍を超すという多くの量でもございます。  いまだに千三百回を超す地震が地域では起きております。今まで考えてこなかったほどの震動、揺れが続いているわけでありますが、一刻も早い復旧のため、また、地域でもさまざまなごみが出ていて、衛生上、そういった問題もございます。  この点につきまして、まずは、現状と政府の対応、廃棄物の対応についてお聞かせください。 ○鎌形政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、環境省では、今般の地震による熊本県内の災害廃棄物の発生量は百万トンから百三十万トンという推計を出してございます。  この膨大な災害廃棄物を速やかに処理することが必要でございまして、熊本県に対しまして、東日本大震災で私どもの蓄積したノウハウを生かしまして、まずは、県による災害廃棄物事務を受託してはいかがか、あるいは二次仮置き場を設置して効率的な選別、破砕などを行ってはいかがか、あるいは、広域的な処理が必要な場合が生じますが、この場合には環境省が積極的に調整に入っていく、こういった提案をさせていただいて、協議を進めているところでございます。  現在、熊本県において、関係市町村との連携のもと、災害廃棄物の発生量推計に加えて、今後の処理の方向性を示す基本方針あるいは具体的な実行計画の策定について検討が行われてございますけれども、私ども環境省といたしましても、この災害廃棄物の処理を迅速かつ適切に進めていけるように、熊本県と熊本市などの被災市町村に対して最大限協力し、一緒になって処理を進める、こういう観点から支援していきたいと考えているところでございます。 ○小宮山委員 今までの、東日本大震災、そういったときの廃棄物処理の経験を生かされているということ、また、当初から分別、選別等されているということで、大変迅速に行っていただいていること、感謝をいたしますが、また、アスベスト等そういったさまざまな物質が瓦れき等には入っております。ボランティアの方も入ってきておる中で、ぜひこの安全対策というのもあわせて環境省におきましては啓蒙活動もしていただきたいというふうに思っております。  さて、この中には多くの建築に関する廃棄物も含まれているかと思います。そして、これを減らすということが大変重要かとも思っております。  そもそも、建築に関する廃棄物というのは廃棄物の中でも大きなウエートを占めておりますので、この関係についても今までもさまざまな法案、二〇〇〇年度ですか、つくられてもおりますが、やれることというのはたくさんあるかと思います。  環境省でこの百三十万トンの試算を出したやり方は、全壊や半壊、そういったものを、場合によっては衛星写真、住宅地図と照らし合わせて計算をしたというふうに伺いました。そういう中においては、まだまだ再生が可能な建物もあるのではないか、全壊をするという前にまずはそういう使えるもののリユース、そういったものもぜひ視点として入れていただくことも御依頼いたします。  さて、現地では、阿蘇神社や熊本城など文化財である木造建築の倒壊も多く報告されております。  職人がつくる木の家ネットで活動されている建築士など専門家、建築学会の方が現地入りして調査も行っていると伺います。熊本地震被災地調査に参加された木の家ネットの建築士の皆さんの感想、見解というものをお聞かせいただく機会がございました。一部ちょっと紹介をさせていただきたいと思います。  土壁は千五百年の歴史があるとされている、地震が周期的に発生する日本で長きにわたって土壁が建材として使われ続けてきた理由は、身近にある材料でつくれること以外に、地震時には地震のエネルギーをまず土壁が壊れながら吸収することで軸組みにダイレクトなダメージを与えないこと、そして壊れても修復が可能であることがあると思う、地震発生直後のニュースで土壁の建物の被害が報道されていた、土壁は仕上げのしっくいが剥落しただけでも大きな被害を受けたように見える、ましてや土が落ちて竹こまいがあらわになっていると衝撃的な光景として映る、しかし土壁が壊れることは織り込み済みで、いわば確信犯なのだという御意見。  また、伝統構法によってつくられた建築物は、変形性能を有し、ある一定以上の地震力が入力されると、移動することによって力を逃がすことから倒壊を免れるケースが多い、もとの木材や土などの自然素材の材料をリサイクル、リユースする意味でも廃棄物にしないことでゼロエミッションを達成することができる、このような提案もありました。  また、西原村の宮山という地域の氏神様である八王社は、享保二十年、一七三五年再建とあるので約二百八十年の建築、拝殿は阿蘇神社と同じく壁がないので倒壊していたが、本殿、脇殿などは二十センチから四十センチ滑るように移動しており、比較的容易にもとの位置に戻せると判断できる、特に文化財の指定を受けておらず、補助金も現在のままでは期待できない、行政はこのような歴史的建造物に関しては特に指定がなくても補助金をつけるべきと主張したいというような御提言もございました。  熊本城などでは、巨額の費用がかかるとしても、復旧されることによって、熊本地震、また、この地域の復興のシンボルになるんだとも思っております。しかし、民間の住宅もしかりですけれども、建物の撤去費用は公費負担が国九割、自治体一割となることもあって、町並みなどを形成してきた木造住宅の場合、家を直して住むよりも経済的に撤去を選択することにつながりかねないと、この災害対応においては危惧するところでもございます。  昔から、古くからある町並み、それが復活することによって、やはり自分の故郷が震災から立ち直る、そういった精神的なシンボルにもなるのではないかと思うときに、町並み、景観の整った町の復旧を望む場合は、壊してなくしてしまうばかりではなく、震災後にも残った既存の建物を生かし、うまく使い続けていくことも重要かと考えております。  そこで、現在さまざまな多くの文化財も被災に遭っております。国指定だけではないものもありますが、文化庁といたしまして、文化財の被害の取り組み状況、また、文化財の復旧のためには多くの職人がその技術を生かさなければなりませんが、昨今なかなかこの技術者というものも数が少なくなってきたのも事実であります。この後継者育成も含めまして、文化庁の対応についてお聞かせいただければと思います。 ○村田政府参考人 お答え申し上げます。  まず、今回の地震におきまして被害を生じた文化財の状況でございますけれども、昨日の時点で、九州各県の教育委員会からは、国指定文化財等の被害につきまして合計百三十四件の被害が報告をされているところでございます。  文化庁といたしましては、熊本県と大分県に被害状況把握のために文化財調査官等を派遣しまして、各所の被害確認に取り組んでいるところでございますが、御指摘ございましたとおり多くの文化財が大変な被害を受けている状況につきまして、極めて深刻に受けとめているところでございます。こうした状況を踏まえまして、文化庁におきましては、熊本城を初めとする被災文化財の復旧に対応するために、専門の調査官から構成されますプロジェクトチームを設置したところでございます。  国指定等の文化財の修理につきましては、国の通常の補助に加えまして、災害復旧の場合には、八五%を上限に二〇%のかさ上げ措置を講じているところでございます。また、文化財の修理には、御指摘ございました文化財としての価値を維持しながら修理をしなければいけないという難しさがあることから、文化庁としては技術的な支援にもしっかり努めてまいりたいと思っております。  それで、さらにもう一つのお尋ねでございます、今後、文化財の復旧に携わる技術者の方々の確保ということでございます。これにつきましては御指摘のとおり、我が国の貴重な文化財を後世に伝えていく、これは災害復旧の場合もそうでございますけれども、やはり文化財の修理技術の保存、継承ということも大切な観点と認識してございます。  このため、文化庁におきましては、文化財の保存のために欠くことができない文化財の修理技術者を、選定保存技術として七十件選定してございます。その中には、建造物の修理でございますとか木工も含まれてございます。そうした選定保存技術の保持者あるいは保存団体が行う後継者、伝承者の養成、技術、技能の向上等に対して補助を行っているところでございます。  今後とも、我が国の貴重な文化財が将来にわたり保存、継承されるよう、保存技術の継承者、後継者の育成に努めてまいりたいと考えているところでございます。 ○小宮山委員 指定をされている文化財というのには、今の答弁のようにさまざまな指定もあるし補助も出るんですけれども、そうでない社、先ほどの二百八十年建っている社、そういったものについては、クラウドファンディングであったり寄附金など、さまざまな手当てをされることが望まれるんだと思います。  しかし、その中にも恐らく観光施設として成り立つものも多くあると思います。こういった分野においては、文化的価値というものを見出すということは、日本はまだまだ十分ではないというふうに思っておりますので、この点は文化庁としてもさらに何らかの支援策を、税制優遇であったり、そういったものも含めて御検討いただきたいというふうに要望をさせていただきます。  そこで、大臣、これは通告はしておりませんけれども、観光庁を所管する国交大臣でもございます。さまざまな地域、各国の大使の中には盆踊り、そういったものも好きだと、やはり日本の文化や歴史的に積み上げられたものというのも大切にしていかなければなりません。 そして、そのもの自体が観光資源ともなるかと思います。  特に木造で百年を超す、二百年を超す、そういった施設においては、逆に言えば二百八十年木造がもつということは大変大きな実証でもあったと思います。コンクリートの寿命でいえば六十年ぐらいとも言われていることもあります。長期優良住宅などさまざまな制度をこれまで国会も含めて国交省は主導してつくってきたかと考えておりますが、やはりこういった文化財に資するような木造の建築物といったものに関しては保存また復旧等もしなければならないと思いますが、文化財に対しての思いも含めて、大臣、何か御見解がございましたらお聞かせいただければと思います。 ○石井国務大臣 私も、四月の二十九、三十と熊本地震の被災地の調査をしてまいりました。地元の方がおっしゃるには、熊本は三つの観光資源がある、熊本城、水前寺公園、阿蘇。この三つともが大きな被害を受けて大変な状況になっているということでございました。  私も、熊本城それから阿蘇地域、現地を実際に視察してまいりましたが、本当に大変な被害でございました。そのほかにも、阿蘇神社等は今後視察をしていきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、こういった伝統的な建造物の復旧復興につきましては、文化庁ともしっかりと連携をしながら、国、県、市、しっかりと力を合わせて復旧復興に全力で取り組んでいきたい、このように考えております。 ○小宮山委員 文化財指定は受けなくとも、また、日常に溶け込んでいるからこそ、二百八十年もの間、社が守られた。こういったものが復興されることによって、世界に対しても、日本の技術力の高さであったり、また日本が育んできた文化や歴史、その地域の特性というものは、今後とも、観光資源も含めて多くの方に知っていただきたいと思っております。ぜひそういった観点に立ちまして、また、観光庁初め大臣においては陣頭指揮をとって、復興復旧、そして広報も含めて推進をしていただきたいと思います。  さて、東日本大震災の後に、私自身、宮城県の蒲生浄水処理センターの視察をさせていただきました。その被災状況を視察した際に、仙台市長から、原況復旧ではなく、機能にプラスアルファを加えて、将来にたえ得る、より高度化するインフラ復旧ができるようにといった要望が述べられたことが強く印象に残っております。その後、この処理センターにおきましては高度化をされ、今立派な形で、海外からも、特にアジアから視察団が来るなど、活動されているところであります。  例えば、三十年前につくった施設設備など、現在は技術進歩しております。将来に向けて、設備の主たる目的は変えなくとも、高度化した設備も認めるべきかと思っております。  浄水処理センターがそうですけれども、例えば、熊本地震から復旧するときに、多くの映像の中においては、電柱が傾いていたり倒れていたり、そういった中において交通が遮断されたりなんという風景も随分見ました。現在はさまざまな形で通信網も電力網も復旧をされていると伺っておりますけれども、こういったときに復旧復興をさせるためには、無電柱化など別の形での復旧というやり方もあるのではないかと考えております。  この点に関しまして、どのような方法があるのか、また、その範囲を認めていかれるのか。特に今回は、東日本大震災の後につくりました非常災害の初めての指定もされるということでありますので、また、本日閣議決定で、来週明けには与野党協力をしての早期の復興に対する補正予算も組み終わることになります。この点に関しましてお聞かせいただければと思います。 ○森政府参考人 お答えいたします。  今回、熊本地震におきましては、多数の電柱が倒壊をしたり傾いたりということが発生をいたしました。しかしながら、まずは被災者の生活を守るという視点で、地域におきます電力、通信のサービス提供を早期に回復させるという観点で、一部、仮設電柱あるいは高圧発電機車といったようなものを持ち込みまして、応急的な復旧を今行っているというふうに聞いているところでございます。  無電柱化を行うということは、特に今回のような実際の災害発生時に、救急救命あるいは緊急物資の輸送といった視点で特に緊急輸送道路の中でも無電柱化を図るということ自身、非常に効果が高いという認識をしているところでございます。  このため、国土交通省といたしましても、熊本地震の本復旧に当たりまして、特に道路の防災の観点あるいは良好な景観の確保という観点で、必要箇所での一層の無電柱化を進めていけますように、電力、通信といったような関係事業者の方々と積極的に調整をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。 ○小宮山委員 この四月には規定を少し緩和したりと、無電柱化の実現に対しては一歩前進をしているということも伺っております。この点は私も大変評価をしているところでもございますし、これからもさまざまな努力をしていきたいというふうに思います。  さて、さらに、少しまちづくり関係に入っていきたいと思います。  今国会には都市再生法の改正案も提出されております。都市再生特別措置法は、平成十四年に制定の後、これまで七回の改正を経て現在に至っております。私自身も、二〇〇七年改正時及び二〇〇九年改正時に国土交通委員会で法案質疑に立たせていただきました。二〇〇九年改正時の審議では、歩行者ネットワーク協定の導入に当たり、何件の協定締結を見込んでいるかなどについて質問させていただきました。  それから大分月日がたっておりますので、この点に関しまして、改めて歩行者ネットワーク協定の現状について、件数、導入後の評価などについてお聞かせください。 ○栗田政府参考人 歩行者ネットワーク協定の件数、導入後の評価についてのお尋ねでございます。  これまでの実績としまして、福岡市で、はかた駅前通り地下道路、ここで一件協定が結ばれておるところでございます。この事例は、福岡市とJR九州など周辺のビル所有者が、博多駅近傍の地下道と地上への出入り口部分につきまして、歩行者が支障なく通行できるよう協定を締結して日常の維持管理を行っていただいております。  このネットワーク協定、関係する地権者の全員の同意が必要でありますので、締結に当たっては丁寧な手続が求められるものでございます。協定が締結されましたら、承継効によって所有者がかわっても将来にわたって効力が生じます。そういった意味で、通行路を確保するということで有効な制度と考えています。  歩行者の移動上の利便性、安全性の向上が必要な地区で積極的な活用が図られますように、引き続き制度の周知に努めてまいります。 ○小宮山委員 二〇〇九年の改正時から日がたっておりますが一件ということで、もう少し目標が高かったような記憶をしておりますので、現実というものはこういうものなのかなという思いもしております。  また、評価についてというんですが、評価というかこれからの努力についてお聞かせいただきました。せっかく法制度を整えたわけですから、ぜひ、もう少しこの制度の有効性を伝える努力もあわせてお願いしたいと思います。  さて、この法案の中にまたさらに追加されているものとしては、都市の競争力強化という点が大きく取り上げられていることが見受けられます。  森記念財団、世界の都市総合ランキング二〇一四をもとに国土交通省都市局作成の資料「東京の強みと弱み」では、優位にある指標は、経済、研究・開発、交通・アクセス、劣位にある指標は、文化・交流、居住、交通・アクセスと指摘されております。  好きなタレント、嫌いなタレントを選ぶというような調査でも、同一の方が双方に入る、上位に並ぶということはよくあることでもあります。都市の機能とか暮らしやすさなどの評価についても同様なことが言えるのではないか、さまざまな見方、切り方によって優位性というものは変わってしまうというふうに感じております。そこで考えると、国際競争力がある、ない、高い、低いといった比較も、なかなか一概にできるものではないというふうに捉えることが可能だと思います。  そこで、都市の国際競争力について、政府はどのような定義、そして捉え方をしているのかお聞かせください。 ○栗田政府参考人 都市の国際競争力についてでございます。  委員、今御指摘いただいたとおりでありますけれども、都市の国際競争力といいましても、例えば、交通アクセスですとか外国語の通用性ですとか、マーケットの大きさですとか、あるいは治安、そういったいろいろな要素によって議論がされますし、どれを重視するか、いろいろな見方があるというようなものだと思います。  そういった中で、都市行政の観点からは、大規模で優良な民間都市開発事業を促しまして、都市の国際ビジネス環境ですとか生活環境の向上を図る、そういったことを通じまして、世界じゅうから海外企業やビジネスパーソン等を呼び込むことが大事というように考えています。  実際に、ある民間団体の調査ですけれども、外国人のビジネスパーソンに対しまして、オフィスの施設設備の重視度といったようなことをお尋ねされています。その中では、約八〇%が省エネ性能、共用施設などのビル設備のグレードの高さを重視するとか、あるいは約九〇%の方々がすぐれた防災体制、そういったことの充実を重視されているというような結果が出ております。  具体的な我々の施策としましても、大規模で優良な民間都市開発事業によりまして、高性能のオフィスビルあるいは充実した設備を備えた国際会議場、そういったことを進めていくことが大事だと考えております。  都市の国際競争力の観点から、経済効果がどういうふうにあるのかという例を一つ御紹介申し上げたいと思います。  しばしば、国際展示会を開催すると大変経済効果が大きいということが言われます。例えば、ことし三月に東京のビッグサイトでエネルギー関係の展示会が開催されました。六十七カ国から七千五百人の外国人の御参加がございました。ある民間機関の試算でございますが、その経済効果として、三日間で延べ一万六千人の宿泊、あるいは会場設営や広告、飲食、交通、トータル七十二億円の経済波及効果があったというようにされております。民間団体の資料から拝借したものというようにお断り申し上げる数字ではございますが、御報告さしあげたいと思います。  いずれにしましても、都市の国際競争力強化のために、都市行政の観点から積極的に取り組んでまいります。 ○小宮山委員 具体的な数字も挙げていただき、ありがとうございます。  二〇〇七年改正時、私も質疑の中では、都市再生特別措置法のもとで、東京を頂点とする一極一軸の国土構造になっていないか、一極一軸型から地方都市を含む都市の再生、町、村も含めた国づくりに変えなければならないと、都市再生のあり方についての見直しを提言させていただきました。  国際的都市の再生とともに、地方都市、さらには町村部も含めた魅力ある地域づくりも目指していくべきだという強い思いを込めて当時質問をさせていただきました。  交通、治安、経済、さまざまな面から競争力を競い合う東京や大阪といった国際的な都市の都市再生を進め、国際競争力を強化することは、世界じゅうから人や投資を引き寄せるとともに、日本国内においても相当程度に人や物、お金が集まることにつながるんだと、今の御提示いただきました数値からも理解をすることができます。  また、都市再生特別措置法の成立とこれまでの改正などを通じて、都市再生法改正案の対象となる都市再生特別地区、七十八地区指定されていますが、ますます便利になっていきます。これによって、東京、大阪など大都市部への集中を助長する効果も伴ってくるのではないでしょうか。かつて均衡ある発展を目指した時代とは大きく異なってきたことを感じております。  二〇一四年、政府は、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保するための取り組みを地方創生のキャッチフレーズとして打ち出しております。  今国会でも、関係する法律として、地域再生法の一部を改正する法律が可決、成立をしております。  この中において東京圏への人口集中是正など目的が明記されている地方創生への取り組みと、都市、殊に東京の国際競争力向上に向けての近年の都市再生特別措置法の流れは相反する面が感じられるんです。この点に関しましての見解をお聞かせいただければと思っております。 ○栗田政府参考人 グローバルな都市間競争が激化する中で、我が国は、海外から人材、企業、投資などを呼び込み、競争に打ちかっていく必要があると思います。そのためには、我が国経済の成長エンジンであります東京など大都市の都市機能の強化を図ることが大事だと考えております。  他方、今、地方創生の観点からのお尋ねがございましたけれども、東京一極集中の是正に取り組むということも重要でありまして、昨年八月に閣議決定しました国土形成計画の全国計画の中でも、東京一極集中の是正を重要な課題と位置づけているところでございます。  これまでも、都市再生特別措置法の中でも、全国都市再生という形で、例えば、交付金の交付、あるいはまちづくりの担い手を育てる、こういったもろもろの措置を講じてまいりました。都市再生への社会資本整備総合交付金による支援は、これまで全国で一千二十三市町村、二千七百九地区に及んでおるところでございます。  今後も、町中への都市機能の効率的な誘導ですとか、官民連携による町のにぎわい創出、こういった施策を推進しまして、全国の地方都市におけるにぎわいのあるまちづくりを促していきたいと考えております。  東京など大都市の国際競争力強化につきましては、地方から大都市に人材を呼び寄せるということではなく、海外から人材、企業、投資等を呼び込む、こういった視点が大事と考えております。  したがいまして、大都市の国際競争力の強化と地方創生、これを二項対立的に捉える政策目的ではなくて、むしろ車の両輪というように考えておるところでございます。引き続き、大都市、地方都市双方について必要な都市政策の展開に努めてまいります。 ○小宮山委員 まち・ひと・しごと創生法起草のもととなった、二〇一四年、まち・ひと・しごと創生本部の基本方針の中では、「東京圏の活力の維持・向上を図りつつ、過密化・人口集中を軽減し、」という文言が使われておりました。しかし、法文の目的になりますと、「東京圏への人口の過度の集中を是正」することを目的としておりまして、「東京圏の活力の維持・向上を図りつつ、」とは書いてなく、東京都あるいは東京圏が示すところ、すなわち埼玉や神奈川、千葉などの、全てではないですけれども一部は、ある意味、読み方によっては、人口流入をしないようにとも読み取れるような法案になっていったのも事実であります。  この点を考えますと、都市部も地方も農村部もバランスよく開発され、あるいは再開発されて、安心して暮らせる、仕事ができる、教育が受けられる、子育てができる日本をつくっていくべきと私は考えております。  また、国交省においても、昨今は、コンパクトシティーなど居住の便利さ、また、地方都市のこれからのあり方などさまざまな提言をされておりますが、昨今の政府におきましては、都市再生、地方創生、さらには一億総活躍というお題目が並び、そのもとで事業を進めようとすることに関しては、並べてみると、結果的にさまざまな矛盾を感じるものが多くあります。言い方によれば、お金をばらまく、税金をばらまく、そういったことのお題目にすぎないのではないかという懸念が拭えません。  この点に関しまして、矛盾は感じないのか、ぜひ大臣の御見解を聞かせていただければと思います。 ○石井国務大臣 国土交通省といたしましては、都市再生等を推進する中で、これまでも、地域の主体性のもとに、歴史、自然、文化等の地域資源を生かし、魅力や活力のあるまちづくりを目指してきたところでございます。  地方公共団体による、まちづくりを支援する主要な政策手段の一つとして、社会資本整備総合交付金による財政支援がございますけれども、この交付金の活用に当たりましては、地方公共団体が、事業に先立って明確な目標等を定めた計画を策定するとともに、事業の完了後に事後評価を実施いたしまして、事業の効果の検証も行っているところでございます。  PDCAサイクルにより、効果の高い事業を対象とした支援を行っているところでございまして、今後も、実効性の高い事業への支援を通じまして、地域資源を生かした魅力や活力のあるまちづくりに努めていきたいと考えております。 ○小宮山委員 魅力ある、活力あるまちづくりに努めてまいりますという大臣の言葉でございますが、もう少し具体的にお聞かせいただけないでしょうか。  大規模だからとかではなく、本来であるならば、地方分権、地域主権と言われる時代になって、先ほど挙げました東京の弱み、強みというような、地方から見ても、それぞれの町が自分たちのアイデンティティーというものを認識し、そしてそこを生かすという、地方においての決定というものが大変重要かと思っております。  大臣の考える魅力あるまちづくり、個性的なまちづくり、または地域のアイデンティティーあふれるまちづくりというものについて、御見解、御認識をお聞かせいただければと思います。 ○石井国務大臣 人口減少や高齢化、国際化が進展する中で、我が国の都市はそれぞれの個性や強みを生かして、また一方で弱みを克服していく必要があるというふうに考えております。  その中で、地域固有の文化や歴史、景観を資源として生かしつつ、地域の主体的な創意と工夫を生かしていくことが非常に重要というふうに考えております。  例えば、委員の地元の川越では蔵を生かした歴史的なまちづくりが行われておりますし、また岐阜市では、長良川や金華山、ウ飼いといった自然や文化を生かしたまちづくりが進められているところでございます。  今後とも、全国で魅力のある創意工夫を凝らした主体的なまちづくりを積極的に支援してまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 大臣の目指すまちづくりについて、できれば原稿なしでお答えいただきたかったなと思います。  また、私の地元川越を取り上げていただいて、ありがとうございます。この町並み保存という中におきましては、私の父も昭和五十年代に、電線の地中化をして町並みができた方がいいということで尽力をさせていただきましたし、また保存については、市民団体の方、また建築士などの資格を持った市の行政の方が川越の市民として「町づくり規範」、景観の規範をつくったことから、またナショナルトラストの手法を取り入れたことから始まるものでもございます。  そういった力というもの、そして、自分たちでこの町をつくる、そういう意識というものの支援をこれからもしていただけたらと思いますし、そういった活動を全国でしている方々には、私自身も、改めて敬意と、これからもぜひ学ばせていただきたいと思います。  さて、二〇二〇年にはオリンピック・パラリンピックが東京で行われることになります。この中で、東京の強み、弱みという中に先ほど交通というものが両方に入っておりましたが、まだまだバリアフリーに対しては不十分なのではないかという懸念を持っております。  国交省のバリアフリーのガイドライン、これをさまざまな事業者は参考にし、建物であったり、駅であったり、いろいろなところで今活用されているところでもあります。また、バリアフリーの整備を整えることによって、今よく言われる、オリンピックが終わった以降、レガシーとなるハードの部分が、オリンピックをやりパラリンピックを招致したからこそ進んだというふうに言われる、本当の意味で一番、そういったレガシーになるものだと確信もしております。  これによって、多くの障害をお持ちの方が、また難病や、今までさまざまなバリアがあったから町に出られなかった方がもっと地域に出て社会と触れるといった機会になる、きっかけになる、そういったパラリンピックに向けた整備というのは大変望ましいところでもございます。  そこで、まだまだ、国交省のバリアフリーのガイドラインはしっかりつくられているものではありますが、その本質的な趣旨から離れた、数字だけ活用するような施設整備の仕方というのも散見をされます。この点に関しまして、どのような対応、啓蒙活動も含めまして、国交省としては対応していかれるのか、バリアフリー対策についてお聞かせいただければと思います。 ○毛利政府参考人 バリアフリーに関して二点尋ねがございました。  二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック、特にパラリンピックに向けて、そしてその後も考えますと、障害者にとりましてバリアのない環境をつくることが必要でございまして、国土交通分野におきましても交通や道路、建築物等のバリアフリー化の推進が大変重要と考えております。  政府全体では、ユニバーサルデザイン関係府省等連絡会議が本年二月に設置されまして、競技会場、アクセス経路等の整備の加速、あるいは、ユニバーサルデザインのまちづくり、心のバリアフリーについての検討が進められているところでございます。  国土交通省としましても、関係省庁や関係自治体、関係事業者等と連携しながら、大会に向けまして、空港から競技会場等までのアクセス経路について、持続的、一体的なバリアフリー化を推進するとともに、ICT等の活用を通じました先進的なユニバーサルデザインのまちづくり、さらには、大会を契機とした全国のバリアフリー化の推進に取り組んでいるところでございます。  特に、今年度、障害者団体からの参画もいただきまして、全国的に心のバリアフリーのセミナー、キャンペーン等を実施いたしまして、国民的運動として展開したいと考えております。  もう一点、現場の整備の状況についても御指摘がございました。  国交省では、バリアフリー法に基づく数値目標を定めまして、全国でバリアフリー化を推進しておりますけれども、このようなハード面の整備に当たりましては、御指摘ありましたように、施工者がバリアフリーの本旨をよく理解して、より使いやすいものにしていくことが重要と考えております。  御指摘ありましたように、バリアフリー整備の趣旨や考え方等を解説したガイドラインを作成して、その点は、さまざまな障害特性をお持ちの方がいらっしゃいますので、そういう方々を想定してバリアフリー化を進めることが重要なんだということを示してきているところでございますが、今後さらに一層の普及促進を図ってまいりたいと思います。  引き続き、関係省庁等と密接に連携しながら、ハード、ソフト両面にわたりますバリアフリー化にしっかり取り組んでまいりたいと考えます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  ことしですけれども、足立区内に建設中の木造五階建て特別養護老人ホームの建築現場を視察させていただきました。これについては、今まで木造関係で多く質問をさせていただいておりましたので、太田前国交大臣から、建築中に見てきたらいいよと言っていただいたことがきっかけで行ってまいりました。  一階部分は鉄筋コンクリートづくりですが、二階から五階をツーバイフォー工法でつくられておりまして、国内最大級のものと伺いました。この建築物の中では、中層木造建築物の地震時の横揺れに有効な新技術としてカナダで開発されたミッドプライウオールシステムと呼ばれるものが、国内で初めて採用されたということも特筆されるものかと思います。  最近は、新素材、例えば、経産省が進めておりますセルロースナノファイバー、CNFなどもありますし、また直交集成板、CLTなどもございます。このような画期的かつ有効な木造技術の普及促進について、また、被災地での復興時に先行的に導入を進めることも有効と考えておりますが、御見解をお聞かせいただければと思います。 ○由木政府参考人 お答えいたします。  国土交通省では、従来から、例えば、構造や防火等の面で先導的な木造建築技術が導入されますモデル的な建築物の整備に対しまして助成をしてまいっております。民間事業者から提案を受けまして、専門家の御評価をいただいた上で選定をしている手続をとっております。 今御紹介をいただきました足立区の特別養護老人ホームも、この助成をしている物件でございます。ツーバイフォー工法でありながら、面材の板を縦枠で両側から挟み込むという工法をとることによりまして通常よりも高い構造強度を実現する技術、これが今お話しいただいたミッドプライウオールシステムと呼ばれるものでございます。これとともに、施工を効率的にできるユニット工法を採用した大変先導的なものということで採用したところでございます。  御指摘いただいた被災地の観点ということでありますと、東日本大震災で被災をいたしました石巻市におきまして、中心市街地の活性化のための商業施設と住宅の複合施設について、同じような助成をしてまいっております。これは、地域の中小工務店でも施工できます在来の木造軸組み工法を採用しながらも、通常よりも大幅に高い構造強度の壁、耐力壁を用いるというものを評価して採用したものでございまして、その技術の先導性と同時に、地元経済が震災から復興するということに貢献する面に着目をいたしまして助成をしているものでございます。  こうした先導的な建物、取り組みにつきましては、その成果を事例集として取りまとめておりまして、ホームページ等で公表するとともに、普及のためにシンポジウムを開催いたしております。  こうした周知措置を講じることによりまして、積極的に普及あるいは啓発に努めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 ○小宮山委員 最後になりますけれども、実は、東洋経済の今月号、五月十四日号、「生涯未婚」特集の中の記事で「結婚遠のく住宅事情」というのがございました。要は、日本政府は、持ち家促進の住宅政策を展開し、住宅建設政策を進めてきたということであります。賃貸住宅をほとんど支援しなかった。先進諸国の中で日本の賃貸政策は際立って弱くて、欧米諸国では公的賃貸住宅のストックが蓄積され、家賃補助など公的住宅手当を供給する制度があるということであります。また、若い人たちのアフター・ハウジング・インカムはマイナスであったりすることもあります。  こうやって考えますと、今回、多くの被災者が家を失い、また家から離れなければならない、そういった事態のときに、持ち家中心の住宅政策ではなく、賃貸住宅の情報をストックして、家賃補助など、また住宅手当というような形なのかもしれませんが、公的手当を供給する、日本では新たな住宅政策への転換が重要かと考えております。  この点について、最後に大臣にお伺いしたいと思います。 ○石井国務大臣 結婚を希望する若者世帯や単身高齢者世帯を初めさまざまな世帯が、持ち家、民間賃貸住宅、公的賃貸住宅など、それぞれの暮らし方に応じた希望する住宅に住むことができる環境を整備することは重要と考えております。  特に、低額所得者などに対する住宅セーフティーネットの強化のためには、公営住宅を初めとする公的賃貸住宅を活用するとともに、民間賃貸住宅の活用を促進することが重要であります。  このため、現在、民間空き家を活用し、低所得者世帯向けに賃貸住宅を供給する際の改修費への補助を行うとともに、地方公共団体との連携を前提に、住宅の整備費や家賃低廉化への支援を通じた良質な賃貸住宅の供給を行っているところであります。  さらに、既存住宅を活用し、さまざまな世帯が必要な広さを備えた住宅に低廉な家賃で容易に入居できるよう、空き家等の既存の民間賃貸住宅を活用した新たな仕組みを構築することが必要と考えて、新たな住生活基本計画における基本的な施策として位置づけたところであります。  現在、社会資本整備審議会住宅宅地分科会のもとに新たな住宅セーフティネット検討小委員会を設置し、具体的な検討を開始したところでありまして、今後、御指摘の家賃低廉化も含め、幅広い観点から検討を行っていただき、本年夏をめどに一定の中間取りまとめを行っていただきたいと考えているところであります。  これまでの既存の施策に加えてこうした新たな仕組みを創設することによりまして、全ての世帯が安心して暮らせる住生活を実現するために積極的に取り組んでまいりたいと存じます。 ○小宮山委員 公団自治協の方からも伺いました。  やはり、生涯、賃貸住宅で暮らすということ、それにおいても生活や居住の安定が目指せる、そういった制度の設立を強く望み、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。