平成28年4月27日 衆議院国土交通委員会速記録(議事速報) ◇この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○谷委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 民進党の小宮山泰子でございます。  まず最初に、冒頭に、熊本地震、熊本、大分を中心とした大規模な災害に遭われお亡くなりになられた皆様にお悔やみと、そして被害に遭われた皆様へのお見舞いを申し上げ、また、この点に関しましては党派を超え、国会におきましてもしっかりと対応をしていかなければならないと思っております。  さて、今回の災害は、極めて大きな地震が複数回起こっているという点で、これまでの災害と異なっている点が指摘されており、いまだ相当規模の余震が続いております。雨の影響もあり、救助活動、支援活動、復旧活動がしばしば中断されるなど、今後もかなりの期間を要することとなると想定されます。  十四日の地震に続いて、翌日の夜間の本震で多くの建物が崩壊し、お亡くなりになられた方がたくさんいらっしゃるということ、この点に関しましては、後にしっかりとした検証、また対策へとつないでいかなければならないと思います。  特に、大規模災害、耐震化というものでは、複数回の震動に対しての耐震ということで検討されてこなかったというふうにも多くは伺っております。今までにない事例でもございますので、しっかりとこの経験を次に生かしていかなければならないというふうに思っております。  また、このような状況のもと、一日でも早くよりよい住環境のもとに被災者の方が移っていかれるようになること、これにも努めていくことが急務だと考えております。  ここでは、さきの東日本大震災後に相当数の建設が行われた木造仮設住宅について、より積極的に導入することが望ましいと私は考えておりますので、この点についてお伺いいたします。  応急仮設木造住宅協議会というのが震災後につくられました。また、お住まいの方からもさまざまなヒアリングもされて、報告なども私も聞かせていただきました。  木造仮設住宅は、お住まいになられた被災者の方々からも、結露が少ない、また快適であるという高評価も得ていらっしゃいます。また、二番目には、建設費用及び後の撤去費用も大手プレハブ業者による仮設住宅と遜色がない。周辺工事も含めていくと、施工に要する日数、完成時期というのも遜色がないのではないかと考えられます。また、被災地の地元の工務店や建設技能者などへの仕事も発注することによって、このことは地域経済の再建に大きく寄与するものと考えております。  このような特性があるという意味においても、木造仮設住宅の可能性というのは大きくあるかと思います。  また、この点に関しましては、本来であるならば、知事の指令等さまざまありますが、また、対応できる業者等、団体等もありますけれども、緊急の場合の災害対策、そういったところでなかなか要望が出されづらいということも聞こえてまいります。  そこで、木造仮設住宅を積極的に導入すべく、国土交通省は仮設住宅を所管する内閣府とともに適切な連携を行うべきと考えておりますが、御見解をお聞かせいただければと思います。 ○石井国務大臣 応急仮設住宅を木造とするかどうかにつきましては、災害救助法の実施主体である都道府県等におきまして、発災後に迅速に一定戸数の提供が可能なのか、あるいはコスト面の見合いがどうか等の観点も含め地域の実情に応じて検討いただきまして、適切に御判断いただくものと考えております。  東日本大震災におきましても、木造の仮設住宅は約一万五千戸、これは全体の三割弱でありますが供給をされまして、このうち地域の工務店等によるものは約九千戸が供給をされました。  国土交通省では、このような取り組みに対しまして、東日本大震災における地域工務店等による木造仮設住宅の事例を集めた資料集を作成いたしまして、災害救助法を所管する内閣府と協力しつつ、発注者となる地方公共団体に情報提供し、その普及に努めているところであります。  熊本県におきましては、平成二十四年の九州豪雨災害において、熊本県優良住宅協会が四十八戸の木造仮設住宅の実績があり、今般の震災においても、既に熊本県は同協会と協議を開始しているところであります。  今後とも、引き続き、関係機関と連携を図りながら、被災者と地域のニーズに即した仮設住宅の整備を支援してまいりたいと存じます。 ○小宮山委員 また、東日本大震災では、都市再生機構の賃貸住宅や公営賃貸住宅の空き部屋の活用とともに、仮設住宅の建設に時間がかかってしまうのを回避するためという側面もあり、民間アパートを用いたみなし仮設も活用されました。また、プレハブ仮設住宅においても、二段重ねにするなどとした仮設住宅も一部に取り入れられたと承知しております。  国交委員会におきましては、空き家の問題等、長年やっておりますけれども、民間空きアパートにおいて震災被害を生じていない安全な建物については直ちに活用ができるものとして、各地方自治体とも協力の上で柔軟に活用を進めていくべきだと考えております。これは、今はかなり進んでいるかと思います。実は、埼玉で竜巻が起こった後は、なかなかみなし住宅というものが認められづらいという状況がございました。  なぜみなし住宅を被災された方が望んだかといえば、やはり家が半壊、全壊をしている中において、さまざま窃盗等があります。また、近くにいたいという思いもあるんですが、公営賃貸住宅など、移るとなると近くにないということになって、遠くの地域に住まなくてはならなくなります。そういう意味においては、みなし仮設という方法がとれるならば、近くにおいて、被災した住宅の再建に向けてのさまざまな取り組みというのも早期に着手できるという意味においても大きな意味があるんだと思っております。  本日の法案審査の結果によって、宅地建設取引業法改正でありますけれども、民間アパートのあき、並びにその安全性の確保などにおいては、宅建業者の方々との連携によって今後さらに可能になることが期待されるという一面もあるかと思っております。  そこで、二階建てなど、敷地を有効に利用できるアパート形式の仮設住宅建設や、既存の空きアパートを活用するみなし仮設など、多様な手段、手法を用意するべきと考えておりますが、国交省として、また内閣府、また災害対策本部とも適正な連携を行うべきと考えますけれども、御見解をお聞かせいただければと思います。 ○石井国務大臣 被災者の応急的な住まいの確保につきましては、都道府県等が被災者と地域のニーズに応じた方法により、応急仮設住宅の建設や、既存の民間賃貸住宅の空き室の借り上げ、いわゆるみなし仮設等の対応を進めていくことが重要であります。  東日本大震災におきましては、今委員が御指摘されたような二階建て等の仮設住宅は、福島県郡山市や宮城県女川町で建設の実績がございます。  民間賃貸住宅の借り上げにつきましても、六万八千戸を超える供給が行われたところであります。  これまでも、こうした仮設住宅の建設や民間賃貸住宅の借り上げ等につきまして、関係省庁と連携の上、地方公共団体への支援を行ってきております。  具体的には、二階建て等の仮設住宅の建設事例につきまして、参考事例として取りまとめ、内閣府と協力しつつ、発注者となる地方公共団体に情報提供し、その周知に努めております。また、民間賃貸住宅の借り上げに関しましては、不動産業界団体が実務上の留意事項を取りまとめた地方公共団体向けのガイドブックを作成するに際しまして、内閣府とともに内容についてのアドバイスを行っているところでございます。  今後とも、こうした多様な手法を活用しながら、地域の実情に合った応急的な住まいの確保が迅速かつ適切に行われるよう、地方公共団体の取り組みに対し、引き続き内閣府等の関係省庁と連携をして支援をしてまいります。 ○小宮山委員 建物といえばやはり国交省だと思いますので、この点に関しましては、適切なまた有効な情報提供も含めまして、連携を引き続き御努力いただきますことを私からもお願いしたいと思います。  それでは、本日議題となっております宅地建物取引業法の一部を改正する法律案の審議として質問に入らせていただきたいと思います。  建物状況調査、インスペクションの内容は、建物の構造耐力上主要な部分となる基礎、壁、柱等、また雨水の侵入を防止する部分となる屋根、外壁、開口部等について専門知識を有する者が調査に当たるとはいえ、目視及び水平器による傾きの計測、クラックスケールによる基礎のひび割れ幅の計測など、比較的簡易な検査が想定されているようであります。  国土交通省より平成二十五年六月に公表されている既存住宅インスペクション・ガイドラインに基づいて、インスペクションとはとの見出しのもとに作成された今回の法改正案関係の説明資料の最下段には小さな文字で、調査結果に係る留意点として、瑕疵の有無を判定するものではなく、瑕疵がないことを保証するものではない、調査時点からの時間経過による変化がないことを保証するものではない、建築基準関係法令等への適合性を判定するものではないといった記述がなされております。  ここで、インスペクションの内容、調査結果の効力や意義について現在想定している内容で十分と考えているのか、この点に関しまして御見解をお聞かせください。 ○谷脇政府参考人 お答えいたします。  今御指摘がございましたように、今回の改正法で位置づけております建物状況調査、インスペクションでございますけれども、建物の非常に重要な部分といたしまして、構造耐力上の主要な部分、今お話ございました基礎、壁、柱等、さらに雨水の侵入を防止する部分として屋根、外壁、開口部、こういう非常に重要な部分につきまして、さまざまな機器等を使いまして、傾きでございますとかひび割れでございますとか、そういったようなことをしっかりと調査をするという内容になってございます。  しっかりとした調査をいたしますけれども、それによりまして一〇〇%瑕疵がないということまで、必ずしもそこまでできるというほど保証するわけではない、念のためのちょっと記述をさせていただいているということでございまして、調べること自体は、建物の非常に主要な部分についてしっかりと調査をさせていただくということでございます。基本的かつ重要な情報が提供されるものというふうに考えておるところでございます。  この結果を宅建業法上の重要事項として買い主も説明を受けるということでございますので、既存住宅の状況をより正確に把握した上での取引が可能になるというふうに考えております。  この建物状況調査、インスペクションの活用促進によりまして、既存住宅の流通促進に寄与するものと考えているところでございます。 ○小宮山委員 そのインスペクションが、確かに完璧なものではないでしょうけれども、これを信用し、これを判断基準の重要な項目として購入する方々にとっては、完璧であってほしいということは当然かと思います。また、後ほどこの点に関しましては関連で質問いたします。  経年変化その他の建物に生じる事象に関する知識及び能力を有する者として国土交通省令で定める者としては、建築士一級、二級、木造のうち、一定の講習などを受講した者を考えられているとされています。講習としては、中古住宅の瑕疵担保保険契約と連携している既存住宅現況検査技術者の講習などが参考例とされております。  公布後二年以内の施行と定められていることから、二年以内に国土交通省令で定める資格要件や受講してもらう講習の内容、講習の実施主体などについても定めることとなり、施行後に実際のインスペクションを行うことができる者の人数も相当程度確保しておく必要があると考えております。  この内容のいかん。  そして、これによって信頼というものが築かれるその講習内容でありますが、その内容、実施主体について現状どのようにお考えになっているのか。法施行時点で何人程度のインスペクションを行える者の養成確保を予定されているのか、見込まれているのか。そして、現実には、必要とされている人数はどの程度だと想定されているのか。  また、あわせて、建築士以外の資格者、例えば建設施工管理技士、宅地建物取引士などへの対象拡大についてもお伺いをしたいと思います。  以上三点、よろしくお願いいたします。 ○由木政府参考人 まず私から、インスペクションの講習についてお答えを申し上げたいと思います。  建物状況調査を実施いたします者は、建築士で、かつ一定の講習を修了した者ということを想定いたしております。また、調査そのものの内容といたしましては、既存住宅売買瑕疵保険の検査基準レベルの調査を想定しているところでございます。  したがいまして、建物状況調査の講習の内容といたしましても、この既存住宅売買瑕疵保険の検査基準を前提として考えたいというふうに考えております。  例えば、公正な業務のために遵守すべき事項として、関係法令の基礎知識やコンプライアンスに関する講習を行うこと。また、構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止するために必要な事項に関しまして、どういったふぐあいが発生するのかという具体的事例やその判断基準に関する講習、また、目視や計測機器を用いて調査をいたしますので、その具体的な調査方法や、あるいは、基礎、柱、外壁等の対象部分ごとにどういった点に留意をすればいいか、そういった事項に関する講習、こういった内容を今想定しているところでございます。  次に、実施主体についてお答え申し上げます。  現在、既存住宅売買瑕疵保険を提供いたします保険法人五法人によりまして設立されました民間団体でございます、住宅瑕疵担保責任保険協会がございます。  この協会が実施いたします講習を修了した建築士が既存住宅の調査を行った場合には、既存住宅売買瑕疵保険の加入に当たって必須となっております手続の保険法人の現場検査を省略することができるということになっております。  したがいまして、この協会が実施いたします講習は、本法律案における建物状況調査で想定をしております講習と同等レベルのものというふうに考えられることから、この主体は実施主体の有力な候補の一つになるものというふうに考えているところでございます。 ○谷脇政府参考人 続きまして、人数でございます。  現在の既存住宅売買瑕疵保険の加入の際に必要な建物調査が実施できる建築士であって、一定の講習を修了した者が約一万人おります。  円滑な施行に向けましては、まずこの一万人が法律に基づきます調査を実施できる者として人員が確保できるように、新たな講習制度の創設等の準備を進めていきたいというふうに考えております。  さらに、将来的に必要になる人数につきまして想定をしてみますと、新築の住宅瑕疵保険における検査員のニーズが参考になると考えております。  新築の保険の際に、年間約五十万件の保険の加入、検査に対して、検査員が延べ約一・六万人で対応しております。  既存住宅市場の拡大によりまして、先ほど大臣から答弁ございましたように、三十七年の建物状況調査の需要が、大きく見積もりまして二十万件というふうに想定をした場合におきましても、建物状況調査を行う者は一万人程度いれば対応できるのではないかというふうに考えているところでございます。  さらに、三点目でございますけれども、建築士以外の建築施工管理技士あるいは宅地建物取引士等についてどうなのかということでございます。  今回、建物状況調査を実施する者の詳細につきましては国土交通省令で規定するということになってございますが、調査が適正に実施されることを担保するためには三つの要件が必要と考えております。  一点目は、建物の設計、調査に関する専門知識を有していること、二つ目は、適正な業務遂行を担保するための指導監督などの仕組みが制度上確保されていること、三つ目といたしまして、円滑に調査が行われるために、今申し上げました、必要な人員が確保されること。  これら三つの要件を満たす者として、現時点では、国家資格である建築士であって一定の講習を修了した者ということを想定しているところでございます。  御指摘がございました建築士以外の者につきましては、こういう要件に該当するかどうか慎重に検討いたしたいというふうに考えているところでございます。 ○小宮山委員 宅地建物取引業者は建物の売り主に対して、インスペクション事業者をあっせんに関して記載した書面を交付することとなります。  同一の宅地建物取引業者とインスペクション事業者との間でのあっせんや実際のインスペクション実施が繰り返されていくことによって、業者間の依存の構造、さらには癒着の構造が生じることも懸念されるのではないでしょうか。  例えば、比較的年数の新しい建物で、わざわざ出向いて調査せずとも書面だけで整えてしまうとか、より一層簡素な調査だけで実施したことにしてしまうといったような不正が起こりかねないと危惧をしております。  宅地建物取引業者自身あるいは関係の深い者が建築業、建設業を営んでいる例も少なくなく、宅地建物取引業者みずから、あるいは関係の深い者がインスペクションを行うこととなる可能性もあるのではないでしょうか。  昨今では、やはりリフォーム詐欺などさまざまな問題がございます。また、先ほど津村委員が最後に指摘もしておりましたけれども、日本の場合、この制度自体、アメリカで進んでいる事例で言えば、買い手がしっかりと調べるという形になります。それによって独立したインスペクションができる、そしてきちんと建物の調査ができることになるかと考えます。  そこで、インスペクションの実施上の不正、調査結果を示す書類上の不正、関係の深い者が実施することでの第三者性、公平性の懸念に対して、どのように担保されるのか。あわせて、インスペクションの実施上の不正、調査結果を示す書類上の不正に対して罰則規定は盛り込まれていない理由について伺いたいと思います。 ○谷脇政府参考人 お答えいたします。  先ほども若干、インスペクションを行う者の要件のところで申し上げましたけれども、インスペクションの実施、これが適正に実施されることを担保するためには、やはり適正な業務を遂行するための指導監督等の仕組みが制度上確保されているということが重要であるというふうに考えておるところでございます。  これは、法令に基づきそういうことが担保できるということが効果的であるというふうに考えておるところでございまして、例えば、具体的にちょっと申し上げますと、建物状況調査を実施する者、これは建築士を想定しているとお話しいたしましたけれども、例えば、ふぐあいの事象を発見したにもかかわらず、ふぐあい事象がない旨の報告を行ったというような場合には、建築士法に基づく処分等の対象になるということでございます。  さらに、宅建業者があっせんをするわけでございますけれども、例えば不適切な調査を行っている業者であることを知りながらあっせんをしたような場合、こういうような場合には宅建業法上の処分等の対象になるということでございます。  建築士法あるいは宅建業法上の現在いろいろな規制、監督、罰則という規定がございますので、そういう規定の中で今回のいろいろな行為についてもしっかりと適正な行為が行われるように担保できるというふうに考えておりまして、今回、罰則規定の追加等の規定は盛り込んでいないところでございます。 ○小宮山委員 法第三十五条にて宅地建物取引業者から重要事項として説明すべき内容として、建物状況調査を実施しているか否か、実施している場合はその結果を追加しています。  インスペクションについて、同条の六の二において「実施後国土交通省令で定める期間を経過していないものに限る。」と定められているが、これはインスペクションの有効期限のような意味ともとれるんですけれども、国土交通省令で定める期間はどのように想定しているのか、予定しているのか、お聞かせください。 ○谷脇政府参考人 建物状況調査は、先ほど申し上げましたように、建物の状況を調べるものでございます。  したがいまして、建物状況調査が相当程度過去に実施されたものである場合には、現状と乖離している可能性があるということで、そうしますと、買い主に誤った情報を提供してしまうという懸念もあるということでございまして、そこで、今御指摘がございました、重要事項説明の対象とする建物状況調査は、調査から一年以内のものとするということを想定しているところでございます。 ○小宮山委員 それでは、有効な期間内のインスペクション結果であっても、仮にその期間内に、当該建物の建っている地域に建物に被害を及ぼしかねない規模の災害があったり、また、自動車などがぶつかってきた交通事故というんでしょうか、影響があった場合、やはりインスペクションの結果の有効性が確実なものとならないのではないかということも考えられます。この点の御見解をお聞かせください。 ○谷脇政府参考人 建物状況調査が実施されました後に自然災害などが発生した場合には、建物に被害などが生じている可能性がございます。当該建物の購入者に対し、自然災害等の発生状況に関する情報を提供していくということは重要であるというふうに考えております。  今申し上げましたように、建物状況調査の有効期間は一年とすることを想定しておりますけれども、自然災害などの発生によりまして建物状況調査の結果が住宅の現況に合わない事態が生じた場合において、住宅の現況に関し、どのように消費者に情報提供を行うかというような点につきまして、非常に重要な点でございますので、消費者保護の観点も踏まえて今後検討していきたいというふうに考えております。 ○小宮山委員 実は、先日、インスペクションを受けた既存住宅売買瑕疵保険のためのインスペクション、これができる資格をお持ちの方と数日前にお話しする機会がありました。  若い方で、これからこの分野は伸びると確信して受講されたそうなんですけれども、なかなかそちらの方の仕事は現実には回ってこないというお話もされておりました。そういう意味においては、一部の方々がおやりになっているかもしれませんし、まだまだ市場として規模が小さい、この制度自体も知られていないということも実際にはあるのかと思います。  現実に、平成二十六年度で五%、これを三十七年度までに二〇%にこの保険の加入を上げる。そして、既存住宅流通の市場規模は、平成二十五年度で四兆円を三十七年度においては八兆円、倍額にふやすということを目標に掲げて、この法案は国交省から出されたと思っております。  比較的簡易なインスペクションでも、実施率が上昇すれば、中古住宅や建物、流通の信頼性向上や活性化に大きくつながっていくと考えております。この点の大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。 ○石井国務大臣 既存住宅の取引の際に、買い主は住宅の質に対する不安を抱いている一方で、既存住宅は個人間で売買されることが多く、一般消費者である売り主に広く情報提供や瑕疵担保の責任を負わせることが困難であるといった課題がございます。  このため、今回の法改正では、建物の基礎、外壁等について建物状況調査の実施を促進することで、消費者がこうした建物の重要な部位に関する状況を把握することが可能となり、既存住宅取引における不安の解消に貢献するものと考えております。  また、建物状況調査とあわせまして既存住宅売買瑕疵保険にも加入することで、引き渡し後に瑕疵が発見された場合の補償が受けられることになります。  このような措置を通じて、より安心して既存住宅を取引できる市場環境が整備をされ、市場の活性化が図られるものと考えております。 ○小宮山委員 日本での住宅需要は極端に新築に偏っていることは、旧来から指摘されております。  今回の法改正により、インスペクションに対する認知度、さらには信頼感が高まり、インスペクションを受けている中古住宅、既存住宅の流通によい効果を生じることで、意識の変化とともに住宅市場の構造が変化していき、ひいては、よい住宅にリフォームなどで手が加えられながら長く使っていける、環境負荷の低い循環型の成長産業へと脱皮していくことにつながることを心から期待し、あわせて、冒頭の質問で触れさせていただきました、熊本を中心とする被災地の避難生活をされている皆様方が安心して過ごせる状況に少しでも早く移行できることを願って、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。